ドルフロのIFのお話になります。私が他に書いてるドルフロ連載作品とは全く関係ありません
鉄血や正規軍・パラデウスなど諸々の面倒が全部終わった後のUMP45の話。捏造過多というか、もしドルフロストーリーに戦後と言える概念があったら彼女はどう過ごしているか、という内容になります
喫茶店の二階にある探偵事務所という概念は鉄板ですよね

1 / 1
一発ネタです
エタッてる作品あるのになんでこういうことしてるのか自分でも不思議に思いますね()


戦後

 

 

 

 ハバフロスク郊外の某所にて。

 どことも知れぬ海沿いの道路脇に、ひっそりと古びた喫茶店がある。

 別に営業している訳ではない。店名が書かれていたであろう看板は塗装がすっかり剥げ落ちていて、店の中も年月による劣化で荒れ果てている。廃墟と呼ぶのが正しい有り様だがそんな建物の二階から海を見つめる少女の姿があった。

 

「この体、捨てるタイミングを失っちゃったな……」

 

 海を見つめる少女────正確には戦術人形・UMP45は、そう呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自身の体に見合わないゴツゴツとした機械が剥き出しになっている右腕を無事な左腕で撫で窓から離れる45。

 一階よりずっと整理されている二階は事務所と言うのが相応しい。窓際に程近いソファで横になりボーッと過去を回想していた。

 

 

 

 

 404小隊は解散した。鉄血や正規軍、パラデウスなどと戦い何度も窮地に陥りながらもその度に四人満足で生還してきたが、何事にも潮時というものはあるのだ。

 45を姉と慕っていたUMP9はグリフィンの指揮官と誓約した。誓約しても尚45と離れることに不安を覚えていた9であったが45の「別に、別れるからって私達が家族であることに変わりはないでしょう?」の一言で決心が付いたのか今では立派に指揮官の副官兼妻として隣で支えているらしい。生存確認がてら時折来る連絡には幸せそうな二人が確認できた。

 HK416はM16の動向を探るためにグリフィンに残っている。鉄血が事実上崩壊しているが未だに不穏な気配を残すM16に416は執着している。416一人だけなら独断専行も構わずM16を追いかけていただろうがそんな416をかろうじてグリフィンに引き留めている人形がいる。G11だ。なんだかんだ面倒見の良い416はどれだけ悪態を付いてもG11の普段の怠けっぷりを介護してしまう癖がある。ただの怠け者なら速攻で首になるが、戦闘時のG11の実力はグリフィン内外問わず高く評価されているものだ。結果、普段はものぐさに振る舞うG11の保護者として半ば暖かい目を向けられながら416はG11を叩き起こす日々を過ごしている。

 

 45はかつて目的の一因になったであろう過去を更に回想する。UMP40、蝶事件、エリザ、OGAS、バラクーダ……。

 そんな回想を突き破る音が響いた。呼び鈴だ。

 一階から二階へ上がる外階段。そこの玄関口へ45が出てみればスーツを着た男二人組がいる。一方は中年、もう一方は若年と見られる二人組だ。ここに居を構えてから数ヶ月、45にとってはそこそこ見知った顔である。

 仕事かしら、と45が問えばにべも無く首肯する二人。

 二人に連れられて後にする二階の玄関には【私立探偵人形事務所】の文字がとても小さく踊っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 探偵。

 それが今の45の職業である。

 バラクーダを巡る四つ巴の戦争が終わった今404小隊のような所属不明の怪しい小隊に仕事は降りてこない。彼らがばらまいた争いの火種こそあるがそれらは都市部では警察などの政府直轄機関、僻地では地区の入札により地区の統括権利を入手したPMCが対処する事案になっている。傭兵稼業は縮小に向かっていく一方なのだ。

 とはいえ治安の悪化は著しい。WW3以降一時的とはいえ世界の秩序が乱れに乱れたのだ。加えてバラクーダを含めた内戦とも言っていい"遺跡"を求めた争い。戦争の被害者はいつだって力の無い日陰者達ばかりだ。そんな弱者にとって法ほど無力なものは無い。結果、犯罪者が増える。都市部でも目に見えて分かる治安悪化に警察だけでは手が足りず時折こうして、45のような外部の者に事件の捜査を委託することがあるのだ。

 月におおよそ一度のペースで事件の依頼が来る。そこから支払われる高額の依頼料を糧に45は"戦後"を過ごしていた。

 

 

 

 

 

「有名作家という割りにはしょうもないとこに住んでたのね」

 

 ハバフロスク市内のアパート前で警察から手渡された資料を元に現場へ赴く45。移動中、車内で事件のあらましを二人組の刑事から聞いていた45だがその刑事は既にいない。伝えることだけ伝えたら次の仕事があると言わんばかりに45を下ろしてすぐアパート前から去ったのだ。あくまでも仕事上の付き合いでしかないというスタンスなのだろう。もう少し愛想があってもいいのにと45は自身を棚に上げて思った。

 大して大きくない五階建てのアパート。上がって見れば三階の奥に規制線が張られている。そこをくぐり玄関を開け部屋の中を45は観察した。

 事件の詳細はこうだ。被害者は40代の男性。職業は作家で主にエッセイを出版する方向で多くの人気を集めていた。最近まで精力的に活動していたが、ある日を境に担当編集者と連絡が取れなくなり編集者本人がこのアパートまで直接確認に行ったところ玄関に鍵がかかっておらず、不審に思った編集者が部屋の中を覗き首を吊って自殺している様子を発見してしまったらしい。死亡推定時刻は午後11時から午前3時頃の真夜中。死因は首を吊ったことによる窒息死だとされているが遺書などは見つかっておらず、またご近所とトラブルを起こしたなどの話も無い。不審な点が幾つも残っている以上自殺と断定するのは早計だろうというのが刑事の見解だった。

 

 部屋をざっと見る45。現場となった部屋には首吊りに使用したとされる紐が本棚の上の角に引っ掛かる形で残されていた。

 

(首吊りという割りに、部屋が綺麗すぎる)

 

 45は簡素にそう思った。首吊りはあらゆる自殺方法の中で最も苦しまずに死ねる方法とされているが、その一方で自殺後の環境がひどく汚れることでも知られる。体の具合にもよるが死後、制御を失った体から重力に従って失禁することが多いのだ。発見が遅れれば遺体が腐敗していることもあってその状況は筆舌に尽くし難い。

 今回は遺体の発見が比較的早かったのもあり腐敗は進んでいなかったのもあるだろうが、それでも棚に紐が引っ掛かっていること以外は匂いも無く普通の部屋としか見えない状況に45は違和感を感じていた。

 

(紐の幅が違う……。この紐で絞殺されたのは間違いないだろうけどここの棚で首を吊ったわけじゃ無さそうね)

 

 使われている紐は主に雑誌類を廃棄する際の梱包に使われるプラスチック製の紐だった。基本的に小さい帯状の形をしているが人が持って巻いてしまえば帯の横幅より細く巻けてしまう。45は遺体の写真から首を絞めた紐は棚に掛かっている紐より細い状態であったことを見抜いていた。もし本当に被害者がここで首を吊っていたのなら、被害者の首に残る鬱血痕は今の紐と同じ形をした帯状の形になるはずだ。

 

(部屋も荒らされた形跡が無ければ金品を盗まれた形跡も無い。顔見知りの、怨恨による殺人。それも計画的なものではなく衝動的なもの)

 

 難事件という程でもない。適当に近所の聞き込みと監視カメラをハックして事件前後の人の流れを調べれば犯人への手掛かりが掴めるだろう、というのが45の見解だった。

 

 

 

 

 45の予想通り犯人は簡単に見つかった。被害者の弟だ。

 大成している兄とは違って弟であるこの犯人は出来が悪く子供の頃から非行を繰り返す不良少年であった。大人になってもその性質は改善されず窃盗などを繰り返して最近まで刑務所に収監されていた。刑期を終え刑務所からから出てきた弟は先立つ物が無ければと兄に金銭的な援助を求めたのだがそこを断られカッとなって部屋にあった紐で勢いのままに殺害。我に返った弟は思い付きの隠蔽工作を図りそのまま逃走したのだ。

 逃走後行く宛ての無い弟はそのまま裏路地を転々と回るホームレスとなっていた。ハバフロスク市内には他に多数のホームレスがいるが、彼らには彼らなりのコミュニティがあり新参者は目立つものだ。そういったホームレス達に端金を握らせ聞き込みをすることで事件から数日後、裏路地に蹲る弟を45が発見した。

 担当の刑事に連絡し連行してもらう。45の仕事はここまで。後は警察の仕事だ。

 事件一回の謝礼で二、三ヶ月は余裕で過ごせる額が稼げてしまう。そうなるように署長と"お話"したのは45だが正直言って張り合いが無かった。

 

 

 

 

 

 仕事を終え現住所である喫茶店二階の事務所に戻る45。窓辺から見える砂浜や海は、いつかの日に40と回想としたあの光景とは似ても似つかなかった。海から漂着したゴミが砂浜に散乱し海はそういったゴミが作り出す環境汚染でひどく濁っている。こんな光景を求めてたわけじゃないのにね、と軽く45は自分を嘲笑した。

 仕事が無い時の45は日課として気の済むまでこれらのゴミ掃除をしている。たまに自前のバイクでドライブに出かけることもあるが大部分はここで過ごすのが日常だった。今日は仕事帰りということで流石に行く気には慣れない45だが明日からはまた砂浜で過ごす日々が続くだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 404小隊が解散してからこんな生活を45を続けていた。あの頃とは違い、銃火に身を晒すことも無く憎悪を持って黒幕を追いかけるのでもない退屈な日々。けれども45はこの退屈な日々が嫌ではなかった。

 もし私に平和が訪れるのなら、それはきっとこういう形なのだと、噛みしめながら。




45ってドルフロ本編のストーリーじゃ死亡フラグめっちゃ立ってそうに思えるんですよね。目的果たしたらもう自分は邪魔だからっていう理由で死ぬのを恐れないというか
根本的に45は自分が大嫌いなはずなんですよね。深層映写で416に指摘されてたかもですがわざわざ45自身を危険に晒す作戦を平気で立ててしまう。かつて人間の都合に振り回されて40を救えなかった弱い自分ってのが45が一番嫌う物。だからこそMODストーリーじゃメンタルの奥にいた擬似40にそこを指摘されて泣いていたりするんです。結局彼女はどこまで年月が経っても40といた頃のメンタルのままなんですよ。何重にもそれに蓋をして必死に取り繕ってるだけ
そんな彼女が生き延びたらなぁ、と思う一人の45推しの妄想が今回の話でした。厭世的とは言わずとも退廃的に平和を満喫する45がいてもいいじゃないってね

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。