日が傾き始めた研究室の中で、出されたコーヒーを飲みながら、ケルシー女医から相談を受けていた。
「何?最近悪夢を見るオペレーターが増えている?」
「あぁ、ここ最近、睡眠薬と精神安定剤を申請するオペレーターが増えていてな。」
「…なるほど、私にそれを言うって事は…何かオブジェクトの影響と考えているって事ですか…」
夢が関係する…言われて思いつくオブジェクトは…
SCP-1582-JP 悪夢よ、さらば
SCP-516-JP 夢に生命を
SCP-1646-JP 全て夢の中
「…一応悪夢を見てる人にカウンセリングを実施したいですね。それに応じて、SCiPかどうか確認します。」
「すまないな。SCiPに関しては、全て君頼みだ。」
そう言って、ケルシー女医は研究室から出ていった。
一人残された部屋の中で、疑念にかられていた。
「……まさか鳥?いや、まさか…」
(あれだけは絶対に駄目だ。)
思い出してはいけない。考えてはいけない。もう、あれに餌を与えてはいけない。
「緋じゃないだろうな…全く。」
新しい頭痛の種が出来たことに辟易しながら、部屋を出る。
この時間なら、ちょうど夕食の時間だろう。
どこかで、鳥が羽ばたく音がした。
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目が覚めると、何故か懐かしい街並み。東京のスクランブル交差点のど真ん中。不思議なことに、太陽が照りつけるお昼頃にも関わらず、誰も居ない。一人を除いてだが。
『おかしい…俺はテラに居るはず…ここは…まさか。』
この空間に見覚えがあった。それは、あの世界から消える直前に。そして、後ろから少し嗄れた男の声がする。
『そう、私の領域だよ。SCP-■■■■いや、ザイと呼ぶべきかな?』
『…ドリームマンか。』
そう、この男こそSCP-990 Dream Man (ドリームマン) Object Class: Keter
誰かの夢に現れ、危機などを予知するスーツを着た、正体不明の初老の男性。今の所、的中率は100%。
『なんとまぁ…面白い事になっているようだね。見ていて飽きないな。』
くつくつと笑いながら、話しかけて来たドリームマンに少し苛立ちを覚えた。だからさっさと話を終わらせようと問いただす。
『そんな無駄話しに来た訳じゃないだろ。要点を掻い摘んで質問に答えろ。』
『全く…相変わらずのようで何よりだ。じゃあまず先に言っておくけど、君の元々居た世界だけどね、ちょっとした騒動が起きていてね。いくつかのオブジェクトが行方不明になっている。恐らく、こっちの世界に流れてきてる。』
『サイトー13のスレッシャーのせいか?』
『それは分からない。だが、用心しとくといい。いつ牙を剥くか分からないからねぇ…。』
気づけば、スクランブル交差点が崩壊し始めた。どうやら目が覚めるらしい。
『今回は早いな…まぁ顔が見れてよかった。それとひとつ言い忘れてたよ。』
悪夢の正体は、鳥じゃないよ。
完全に地面が崩壊し、落ちて、落ちて、落ちて行く。
その時見えたドリームマンの笑った顔が、悪辣な笑みだった事に気づくことは無かった。
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「…よかった…」
夢から覚めた瞬間に、深く安堵する。
(鳥じゃないなら…なら何なんだ?)
起きると、食堂のテーブルに突っ伏して眠っていたらしい。
時計を見れば、短針が3時を指していた。
(…誰も起こしてくれなかったのか…)
「う……んと、さて部屋に戻るか。」
伸びをして、立ち上がろうと体に力を入れた瞬間に、誰かの気配。そしてシャランと言う何かが擦れ合うような音と共に、紫の波動の様なものが俺の意識を刈り取って行った。
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気づけば、私はまた誰かの夢の中に居た。もう1人の私は、よくこう言う真似をする。他人に迷惑がかかる事なんて気にしていない。
「なんで死なないんだよ!」
「いい加減死なせてくれよ!もう疲れたんだ!嫌なんだ!なんで毎回生き残る。なんで誰も終わらせてくれないんだ!」
苛立ちの詰まった声で泣き叫ぶ誰かの声がする。どこかで聞いた事がある声。
(どこで?)
「消えたい!消えてしまいたい!僕はこんな所でノコノコ生きてていいはずが無い!頼むから誰か、こんなクソみたいな僕を早く消してくれ!」
泣いていた。叫んでいた。絶望していた。諦めていた。
『見ろよ、死にたがりだ。』
『おいやめろって。聞こえるだろ?』
『あいつだよ、毎回たった1人だけ生還する職員。』
『味方を置き去りにしたって聞いたぞ。』
『聞こえたって気にもしねぇよ。あの死神はそういうの気にしてないからな。』
変な格好をした人達が噂している。噂の内容もバラバラ。
「死神で仲間置き去りで生きようとするって矛盾してるだろ。」
吐き捨てるように呟いて、歩く男の人。顔が真っ黒で塗りつぶされていて、誰だか分からない。
見ても分からないかもしれないけど、それでも何故か気になっていた。
場所が移り代わって、なにかの施設。
「こちらDー6、突入する。」
8人の男が、警戒しながら施設の中に入っていく。
次々と犠牲になる仲間。それでも進む。傷が増える。まだ進む。
絶望する状況で、彼はようやく目的地へと辿り着く。
そして………
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『何を見ている?』
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「んお……」
パタパタと走る誰かの足音でまた目が覚めた。
というか…
「頭痛てぇ…なんだこれ。」
ズキズキと頭の奥が痛む。また食堂の椅子で寝てたらしい。
「あれ?ザイさんだー。何してるの?」
通路の入口を見れば、不思議そうな顔をしてる重装オペレーターのグムが居た。
(って事はもう朝食の準備をする時間か…こんな所で何時間居たんだ…)
「おはようグムちゃん、今日も元気だね。もう準備を始めるのかい?」
「みーんなのご飯の準備は時間かかるから。今からだよ?」
「じゃあ俺も手伝うよ」
そう言って、キッチンに備え付けられたエプロンを着て、グムちゃんと共に朝食の準備を始めた。
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SCP-1582-JP 悪夢よ、さらば http://scp-jp.wikidot.com/scp-1582-jp
SCP-516-JP 夢に生命を http://scp-jp.wikidot.com/scp-516-jp
SCP-1646-JP 全ては夢の中 http://scp-jp.wikidot.com/scp-1646-jp
危機契約が始まりましたね。
始まるまでに、ソーンズとウィーディ、安心院を特化させようと思いましたが、間に合いませんでした…なので、このペースだと終了日までに間に合わないので、強行します。
それと、感想やアドバイスとネタ提供等ありましたら、お願いします。