転生したらまたしても猫娘だった件   作:炎の剣製

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更新します。
ネタでよく言われているうすしおさんの登場です。


NO.003 ドライアドのトレイニー

 

 

 

 

出久はとりあえずどこかも分からない道を進んでいきながらもとあることをフォウに忠告されていた。

 

【イズクー、とりあえずなんだけど体から漏れ出ている妖気(オーラ)を抑えない?そうでもしないとここら辺に住み着いている魔物とかが恐れてしまって顔を出してこないよ?】

「そういうものなの? わかった。どうすればいい?」

【そうだね。ちょっと自分の体から漏れ出ているオーラ……個性に言い換えれば未使用時状態にしておく感じかな】

「やってみる」

 

それで出久は抑えるイメージをしていると、フォウがなにかを感じたのか、

 

【あ、イズク。なんか新たにエクストラスキル『魔力感知』を覚えたみたい】

「……そんな簡単にスキルって増える物なの?」

【多分だけど……イズクが無意識的に『妖術』を使用して新たに覚えたんだと思う】

「なるほど……」

【うん。おかげで大体の力は対外的には感じられなくなったかな。この世界の普通の魔素量の基準がまだ分からないからしょうがないけど……イズク、オールフォーワンみたいな感じだったよ。オーラが……】

「うっ……嫌な例えはやめてよ、フォウ」

【まぁまぁ。それと、今後からは私と話す際は心の声で話すといいと思う。他から見たら独り言を言っているちょっと痛い子だから】

 

それを聞いて出久はひどく感銘と同時にショックを受けた。

確かにそうである。

誰かに聞かれているかもしれない中でさきほどは結構一人でブツブツ言っていたように見えていただろう。

それで少しばかり羞恥に悩まされていたのだが気を取り直して、

 

『そ、それじゃ……こんな感じでいいかな?』

【うん。いいと思う。これで内緒ごとは二人だけで話せるね】

『そうだね』

 

フォウと心の中で会話する術を得た出久はそれからどうしようかという話になって、

 

「とりあえず、思ったんだけど……妖術って便利だね。仙術がまだ未知数だからこれだけでもありがたいかも……」

【そうだね】

「でも……」

 

そこで出久は一回地面に体育座りになって座る。

そして回想するは残してきた子孫たちや弟子の存在。

 

「あの子たち、元気にしているかな……。僕の個性をいくつか継いで身に着けた子達はまだ生きているから大丈夫だけど、同じく猫娘になったのには笑えないけどね」

【可愛かったからいいと思うよ。私も我が子の様に思ってたし】

「うん。そっちはあまり問題ないと思う。出来る事はもうしてきたはずだし。

問題なのは弟子の方だよねー。ワンフォーオールを引き継がせたのはいいけど、これから発現していく個性達に身体が追い付いて行けるか心配だよ。

僕も先代達の個性が出た時は結構苦労したのに、そこにプラスして20個以上の異なる個性がぶわっと出てくるんだから……」

【イズクみたいに統廃合されて最適化されているわけでもないからね。たぶんただの人間の平均寿命だと全部会得するのは困難だと思うなー。廃人一直線……?】

「そんなことはないと思うけど、万が一耐えられなくなってワンフォーオールを放棄していたらと思うと怖いよね……」

【大丈夫だよ。イズクが選んだ子でしょ? きっと立派に成長してくれているよ】

「そう願うばかりだね……」

 

 

そんな事を話していた出久とフォウ。

実際、弟子は出久が逝ったあとにさっそく猫娘に変化してしまって色々と挫折しそうになっているのはここは言わぬが花である。

きっと、半分ワンフォーオールに宿った出久の魂たちがなんとかしてくれるだろう。そう願いたい。

 

 

 

 

そんな時にその場に一陣の風が巻き起こった。

 

 

「わっ? なに!?」

【イズク! なにか来るよ!】

 

 

 

―――――そのお話、わたくしにもお聞かせくださいませんか?

 

 

その言葉とともに風が止むとそこには緑の髪をしたどこか神秘性を伴った感じの女性が立っていた。

その突然の登場に出久は一瞬言葉が止まってしまっていた。

女性はニコリと笑みを浮かべながらも、その瞳は真剣そのものであった。

 

「あ、あなたは……」

「わたくしの名はトレイニー。このジュラの大森林の管理者である樹妖精(ドライアド)です」

「ドライアド!? それってファンタジー世界では結構有名な……」

「あら。わたくしの存在はご存じなのですね。それよりお聞かせくださいませんか?名も分からない聖獣様。あなたはどのような理由を持ちましてこのジュラの森に出現したのですか?」

「せ、聖獣……? 僕が?」

「あら? 自覚はないのですか? あなた様からかなりの聖なる気配を感じられるのですが」

「そうなんですか? フォウ、わかる?」

【そうだねー。多分生前の功績かなんかでそんなものを纏っているのかもねー。イズク、かなりの人数救ってきたわけだし】

 

それで出久も自覚する。

万単位での人の命を救ってきたわけだからそのくらい当然なのかな、と……。

 

「その、フォウさんというのはどなたですか? この森に現れた時から独り言のように会話を成されていますがなにかのスキルなのでしょうか?」

「えっと、はい。僕の昔からの相棒であり、今はスキルの一つで『治癒者<イヤスモノ>』というものになったらしいんです。

それと先ほどの突然現れたというのは、信じられない話だとは思うんですけど多分僕がこの世界に転生してきた瞬間だと思うんです」

 

それを聞いたトレイニーは驚愕の声を上げる。

 

「まぁ! あなたは転生者だったのですか」

「あれ? 意外な反応……もしかして僕以外にも転生者って結構いるんですか?」

「まぁいるといえばいると思います。わたくしは会った事はありませんが……他にも異世界から渡ってくる異世界人などの存在も確認できていますね」

「そうなんですか……」

「それで、あなたの事はなんとお呼びすればいいですか? 転生してきたばかりなのでしたらまだこの世界での名はないのでしょう?」

「名前……? 生前の名前でしたら『イズク』がありますけど……この世界って名前って結構重要なんですか?」

「はい。この世界は人間は普通に名付けられていますが、魔物などはほとんどは名前を持ち合わせていません。そしてもし名前があるのでしたらその魔物はネームドと呼ばれ、誰かの眷属に力とともに名付けられるものが多いです」

「そうなんですか……」

「はい。しかも名付けは魔素を大量に消費するためにほとんどの場合は力あるものしかできない行為なのです」

 

そのトレイニーの説明を聞いて出久は納得しつつも、思った。

なぜ初対面の自身にここまで丁寧に説明してくれるのかと。

 

「あの、トレイニーさんはなんで僕にそこまで丁寧に説明してくれるんですか……?」

「ふふふ……なんででしょうね。ですがあなたの聖なる気配も関連してか悪人ではないとわたくしの勘が告げているのです」

「はぁ……それはどうもありがとうございます」

【よかったね、イズク】

 

穏やかな笑みを浮かべているトレイニー。

とりあえずトレイニーからは良い評価を貰っている事に出久は安堵しつつ、するとトレイニーがある質問をしてきた。

 

「それでですが、もしよろしければ前の世界であなたは何をしていたのかを聞かせてもらってもよろしいでしょうか? その聖なる気配を出せる意味もそれで分かるかもと思うのです」

「いいですけど……ちょっとフォウと相談させてください」

「わかりました。しばし待ちますね」

 

トレイニーからそう言葉が返ってきたので、出久は心の声でフォウと会話をする。

 

『それでフォウ。どうする? 僕としてはトレイニーさんは信用できると経験上分かるんだけど』

【イズクがそう感じたなら私が意見する事なんてないよ。それにこの世界に来て初めて出会う人(?)だしなにかと情報も必要となってくるから、私としても話すのは賛成かな】

『そっか。うん……それじゃ搔い摘んで話すね』

 

それで出久は決心しつつ、トレイニーに向き合って、

 

「それじゃ話しますね。僕の生前してきたことを……」

「はい。ありがとうございます」

「僕は前の世界ではヒーローをやっていました」

「ヒーロー……ですか?」

 

それで出久は説明をしていく。

個性社会となって一回荒廃した世界で、それでも立ち上がって頑張ってきた前の世界の事を。

そして自身は色々な人の助けもあってたくさんの人の命を救ってきたことなど……。

搔い摘んで簡単に説明が終わると、トレイニーはどこか感動しつつ、

 

「なるほど……イズク様のその聖なる気配の原因は過去の功績だったのですね」

「多分ですが……なにぶんまだ転生してきてそんなに経っていないんでフォウとともにまだこの世界がどんな世界か知りません。

それに多分ですがもう前の世界の既成概念とかはこの世界では通用しないと思うんです……」

「そうですね。この世界にはヒーローを自ら名乗る人は恐らくいないでしょう。勇者や英雄、魔王などはいますが」

「ですよねって……え?」

 

トレイニーからさらっとだが出たとんでもない単語に出久は思わず目を丸くさせる。

 

【やっぱりRPGの世界だね……】

 

フォウの心から思って呟いた感想がすべてを物語っていた。

 

 

 




今回はここまで。
次回はトレイニーのもとでしばらく暮らすかなと。
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