終わらない夜と火の無い灰   作:ムリエル・オルタ

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何故か書きました。だからといって続くとは思わないでください(屑)
書き方を忘れてる+色々な書き方を試行錯誤している状態です。読みにくかったら、申し訳ない。

では、どぞ。


1話

「狩人様、貴方は何故そうなのですか?」

 

美しい女性だった。しかし、陶磁器のような肌、間接部にはボールがつくその姿は、その容姿を差し引いても異様であり、彼女が人間でないことを証明していた。そんな彼女は、何処か不安げに、幼子が親に些細な疑問を口にするかのように、表情を変えずにそう問うた。女性の視線の先には、顔には何処で視界を確保しているのか分からない兜を着け、上は烏のように黒光りした羽を模したコートを着込み、貴族を想わせる服装をした存在がいた。その者の陰は揺れ、人型から異形へ、異形から人型へと移ろいで行く。

 

「…ふむ、不思議な事を聞くのだな。簡単な話だ、私が私であるからだ。この呪いを身に宿し、炎に魅入られた時からソレは決定付けられていた。ただ、それだけの話に過ぎない。貴公も分かるだろう?」

 

その者は、育ちの良さが現れるような口調でそう幼子に諭すように言う。しかし、そこには何処までも無機質で、何処までも狂いすぎた感情が蠢いていた。

 

「ですが、その様な状態であるのならば尚更悠長に事を構えているべきではありません。自我の崩壊を招きます」

 

その者の発言を切り捨て、尚のこと言いつのろうとした女性に対しその者は、片手を上げて制した。二人の間での価値観の違い、文化の違いがこの口論の原因であることは一目瞭然だった。

 

「問題は無い。元より、自我が希薄な私だ。なにより、私たちにとってこの様な術は十八番と言っても良い」

 

そう得意げに言うその者の手には、雷の形をした槍と闇を感じさせる西洋剣を持っていた。表情こそ、兜によって分からないが、その声からして、微笑んでいるのは彼女には分かった。そして、説得するのは不可能と判断したのか、溜め息を尽きながら

 

「そうですか、…………ですが。お気お付けください、狩人様のそれ(・・)は人間との境界を完全に破壊するモノ。世界になるものです」

 

そう言いながら、彼女が見つめた先には干からびた渦巻き状のナニカがあった。

 

~最後の狩人と人形の会話より~

 

少しばかりの浮遊感を感じたと同時に、下からの突然の風を受ける。当たりの雰囲気も変化すると同時に、灰の中に失った物が入ったような。壊れやすいガラスの器に消火に使われる放水をされた様な衝撃を受けた。簡単に言ってしまえば、内部から溢れるソレ(・・)に身体が抑えきれず、ダメージを負ってしまったのだ。

 

「コフッ」

「ちょ、灰!?」

 

召喚された瞬間、目の前で知り合いが吐血するという事態に優花は悲鳴にも似た声を上げる。それに、気が付き振り向き他のクラスメイトもギョッと目を剥く。顔の至る所から血を流し、服からも血が滲み全身が傷だらけであることが分かる。血は止まることなく、地面に血の海を広げ続けている。

 

「だ、誰か!?誰か灰を!?」

「ち、治癒師を呼びなさい!大至急です、勇者様のお仲間が!」

 

好々爺善とした老人も突然のスプラッタな光景が生まれた事に動揺しながら、周囲に居る同僚らしき人物に指示を出し灰は何処かに担架で運ばれることになった。慌ただしく残った血の海を片付ける人や残ったクラスメイトを誘導する人、これからの事について話し合う人、何処かへ報告しようとする人。教会なのか、動き難そうな法衣を着ている為、時々コケている人も見受けられた。

 

血の付いた車椅子に縋っていた優花は愛子先生に連れられ、茫然自失な状態のままその場を車椅子をひきながら後にした。その時の優花は瞳に光が無く、幽鬼を彷彿とさせ、押している血塗られた車椅子も相まって軽くホラーとなっていた。しかし、それを気にして居られるほど当時の優花の精神状態は良くは無く、愛子先生は心の中でギャン泣きしながら付き添ったらしい。

 

その頃、運ばれた灰は、そのまま教会の一室で複数人の治癒師が同時に癒すことでどうにか命を繋げていた。治癒師たちも額に汗を流しながら、目の前で死にそうになっている灰を生かそうと必死に治癒魔法を送っている。しかし、依然として灰の体からは血が流れており、真っ白だったベットは赤く染まっていた。運ばれて既に一時間は経っている筈なのに、未だに止まらない血は一体どこから流れ出ているのだろう。

 

「グッ、あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“あ”あ“‼‼?!?!?」

「クッ!包帯はまだなのか!?こんなことで、神の使徒様をむざむざ死なせるつもりか!?」

「前回の回診で使い切っていて今この場に無いんです!急いで王宮迄行って取ってきてもらっているんです!」

 

治癒師の一人が怒号を上げるとその場に居合わせた神父が悲鳴にも似た声で返事をした。神から遣わされた存在が既に致命傷を負っていて今すぐ治療をしなければ死んでしまうという状況は現場に居る治癒師の精神へ多大な負荷を与えている上に、治癒魔法に使う魔力を回復する為にポーションを飲みながらと言うこともあり、その場の雰囲気は最悪と言ってよかった。

 

そんな時だった。灰が寝ているベットの傍らに赤い頭巾を纏った美女と全身を黒で統一し、目元を布で隠している女性が現れた。彼女らは、そこに居る誰にも認識されていないのか誰もが目線を合わせない。それは、まるでそこに存在しない(・・・・・・・・)かの様に反応しなかった。

 

「また、夜が訪れるのですね。狩人様」

「また、火継ぎが始まるのです。灰の方」

 

そう呟いた二人の手には黄金に輝く瓶とビニール質な袋に入れられた輸血液が握られていた。赤頭巾の美女は輸血液を徐に手の中で握り、一思いに灰の右太ももに輸血液の袋から延びる針を突き刺し中身を流し込む。全身黒で統一している女性はその手に持った瓶を傾け、中の液体を灰に流した。するとどうだろう、先程まで流れていた血は止まり、灰の顔も苦しみから歪む事も無くなった。その姿に治癒師もその場にいた神官たちも安堵の溜息を吐き、その場に崩れ落ちたり、壁に凭れ掛かったりしながら若い命を助けることが出来たと喜んでいた。

 

~~~

 

「なんなんだ、なんだこれは!?」

 

人が到達できない場所に坐した超越者は起きた事に驚きを隠せずにいた。何処からともなく現れた、背中に丸い石を鎖で背負った老人の集団。木のようになりその場から動かなくなった人間。空を飛ぶ天使の様な謎の生物。木乃伊の様な見た目の人間たち。獣に変貌した人間。時折聞こえる赤子の声。巨大な頭に細い胴体と腕を持つ異形。自分より遥か上に居る強者。異世界すら巻き込んでゲームを行おうとした矢先に起こった数々の原因不明の現象、変異。超越者にはそれが何なのか分からない。ただ、自身が取り返しのつかない事をしてしまったのではないかと言う一抹の不安を抱えるのみだった。

 

誰もが藻掻き苦しみ、栄枯盛衰の果てに辿り着く。戦神は、くべられた。数々の王。人々の願い、想い、思い出は名もなき首飾りに宿り、拠り所となる。全てを焼却し、始まりの地に思い出は集められたとき、世界は救済か永遠の選択肢を与えられる。

 

今まさに始まりの火は異世界へと舞台を変えた。神を名乗る超越者の遊戯盤の上で踊るのか、同じく人ならざる身としてサイコロを振るのか、それは誰にも分からない。火はまた途絶えかけ、夜は広がり始める。啓蒙を、人間性を捧げよ。月より見つめる娘の目には、ソウルの尽きた亡者が映るのか、はたまた生まれたばかりの幼子の成長が映るのか、穢れ、輝き、狩り、淀み、獣の抱擁、苗床、全てが差し占めす先には何があるのか。

 

トータスは病に倒れるのか、闇が訪れるのかそれは誰にも分からない。救済も、ハッピーエンドも無い。底なしの絶望の中に火を灯せ、その身を捧げよ。始まりの火に抱かれ、赤子と母親を繋ぐ絆を喰らえば誕生するだろう。最上にして最低、至高でありながら冒涜的な生贄が。死と言う概念から外れた、素晴らしき薪が生まれる事だろう。

 




実は、プロットは完成していません。なんか、思いついたから書いちゃった系。ありふれ二次の新しいルート開拓もしたいなとか考えながら書いてた。正直、ハッピーエンドにする気は無い。そもそも、フロムを使ってハッピーエンドにするのってなんか違うよなぁ?(同調圧力)(やっかいなタイプ)
目指すはメリーバットエンド。根本的には、ハッピーじゃ無いよねっていうストーリーを目指したい(ハッピーエンド主義)
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