長身の男がちらっと雄太の自転車かごにあるホームセンターのレジ袋を見る。
前回、僕に近づいてきた男らより細身で、しかしがっしりとした体型である。言うなれば細マッチョ、だろうか。恐らくは前みたいに僕が路地に逃げ込むことを想定したのだろう。
唯一ニット帽をかぶった男が口を開く。
「ここらの地区で危険物を持ち歩いた人物がいるという話でね。通りかかる人に所持品の検査をさせてもらってるんだ」
きたっ。
僕はうっかりを装って自転車についたベルを鳴らす。これが合図だ。
僕は家と反対方向に、雄太は家の方向に一斉に自転車を漕ぎ始める。
雄太の自転車のカゴにはレジ袋。しかも行き先は家。男らは当然、雄太に向かって駆け出していく。そこそこの運動神経を持ち合わせた雄太が自転車を漕いでいるというのに、男らが徐々に距離を詰めていく様子が見える。
それを見届けて、僕は路地を曲がった。
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「早すぎだろっ」
俺はちらっと振り返って確認した三人組の距離に思わずそう吐き捨てる。初動でつけた差が、しかもこちらは自転車でむこうは走りだというのに、どんどん縮んでいく。人間離れした身体能力だ。ふくらはぎが張る感覚に気が付いたがそんなこと気にしていられない。少しでも兄ちゃんから離れなくては。
「いくら急いでも直接家には向かわないで。できれば五分で家の前を通過するのが望ましい」
兄ちゃんの言葉を思い出して、俺はスピードを落とさずわき道にそれる。住宅の外壁が右前に迫って慌てて体を左に傾ける。
「コケたら……負けなんだっ」
俺はそう叫んで重心を左へ右へと移動させる。つい今しがたぶつかりそうになった外壁が視界から消えたかと思うと今度は道を挟んで左側の住宅の生け垣が視界に広がる。
三度そんなことを繰り返して、ようやく体を傾けなくとも前に進めるようになって後ろを振り向くと、三人組は五メートル弱の位置にまで近づいていた。考えてみれば当然だ。蛇行しながら前に進めば直線距離は短くなる。それに対して彼らは走り。バランスを崩すことはそうそうない。
俺は左腕の時計を確認する。そろそろいい時間だ。次の角を曲がればちょうどいい頃合いだろう。ペダルを踏みしめる両足に力を込める。
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よしっ。
カーブミラー越しに雄太が家から離れていくの様子を見届けて、僕は家の一本手前にある路地から顔を出す。雄太はもう一度角を曲がろうとしている。僕はさっと家の前まで移動してダウンジャケットのポケットを確認する。カバーとゴム栓とビニールテープ、ちゃんとある。
僕は自転車を片付けてそろそろと家の中に入る。雄太のために鍵は開けておく。
監視の目から外れているであろう洗面所に行って買ったブツを取り出す。畳んでおいていた自分の洗濯物の間にそれらを挟んで僕は洗面所を出た。