桜が養子になるのは避けられないかもしれない。けど、あと少しでも一緒に居られるなら私はとても嬉しい。けれど、私にはやらなくてはいけないことがある。
私は私の右手に宿った赤い聖痕───令呪。お父様と綺礼が持っていた聖杯戦争の参加の印。急に召喚された黒い人と私はお父様を勝利に導いてみせる。
「お姉ちゃん、良い?死徒擬きとは言えサーヴァントに喧嘩売ったら死ぬからサーヴァントから攻撃されたら即逃げて」
私は来る戦いに備えてお姉ちゃんに色々と説明を始めることにした。さっきまで死んだ様に生きていた人だ。同行に私は反対したがお姉ちゃんにかなりゴリ押しされたので諦めた。聖杯戦争の知識など微塵もある訳が無かった。最初はアリマゴ島の英語でも良いか思ったが、日本語の方が自然なので
「ヌルなら勝てるの?」
「余程相性が悪いの以外なら、流石に魔術全無効とかされたら厳しいわ」
正直向こうでいた時に骨折りしたのは気配感知でかなり飛び回られたエルキドゥと籠城が強いオジマンディアス位だ。メディアはまぁ
「大丈夫。さっき一人でその辺のキャスター落として来たから」
私は得意げな笑みを顔に貼り付ける。
「本当に頼りになる妹ね」
「いくらでも頼っていいのよ?金銭面も軽く喧嘩売ってきた魔術師から拝借したのがあるから」
この世界に来てからも馬鹿が多く、私に襲撃掛ける魔術師が居たが、聞き分けの無い奴は無限魔力炉の炉心にした。
聞き分けのある奴からは大量に罰金を請求した。後、広まって急に襲撃されても面倒なので負けた奴に再戦に関わる行動と情報を漏らした瞬間死ぬ様に魂に呪術も掛けた。それでも大量に湧くから恐らく爆撃機位なら余裕で買える程度にはある。
他にも弟子にして下さいとか言ってきた奴は課題を出したけど一向に終わる様子が無い。当たり前だ。その課題は本来三代掛けてやる様な課題だから一代で終わる訳が無い。
その所為で第二の魔術師殺しが出たとか何処かの名門の化物が裏稼業を始めた等と噂になった。
「大体どの位?」
「前に換算した時は確か千五十人強の生涯を養える程度だったかしら?」
「……本当に?それって確か国によると国家予算レベルの金額なんじゃ……」
「そうなるわね」
なんかお姉ちゃんが顔を引き攣っているが、魔術師の世界からしたらこの程度大した金額にはならないと思うのだけど?
「不労所得とかは?」
「毎月収益の十分の一を収める様に子々孫々に受け継がれる呪術契約を施しておいたから問題無いわよ?」
勿論、自己強制証明では無く完全な隷属系の呪術を使った。これで私の資金不足は先ず無い。
なんかお姉ちゃんが虚空を見て放心し始め、「スイカが一つ、スイカが二つ」と訳の分からないことを呟き始めた。今後は資金面をやり過ぎない様に気を付けよう。私としては金がいくらあっても困ることは無いと思うのだけど。
金銭感覚の違いに付いていけないお姉ちゃんは放っておいて、どうしようか。
英霊のフリをするにしてもある程度「この英霊の真名は誰」と想定が付くようにしておきたい。騎士王、英雄王と征服王、あと寝取りの騎士と今回出るか不明の湖の騎士。それらの時代からズレた英霊であるのが良いだろう。間違っても彼等と面識のある英霊のフリをしていてバレては笑えない。魔術師と言う点でソロモン王を出そうと思ったが、ギルガメッシュが年代が近しい点からして知っている可能性が高い。最悪、「特徴出すとか馬鹿なの?」とでも言って特徴を無しにしてしまえば良いのか?
そういえばランスロットは自らの認識を阻害させる宝具を持っていたと言う。ならば、私もそれと同じ様に認識を阻害すれば良い。そこに居るがそこに居ない程度の阻害で良いだろう。とにかく、セイバーは対魔力的に認識阻害が通用しない。が、そこは特に問題点では無いだろう。
切嗣に誤魔化してとは言ったが恐らく直感でバレる。喋られたとしも、証拠が上がらなければ関係無い。
余り遅くなって面倒になっては堪らない。
「お姉ちゃん行くよ?」
「分かった。私は見てるだけで良いのよね?」
「多分、手を出して来る馬鹿は居ないと思うけど居たら適当にこれで叩いたらどうにかなるわ」
私は虚数空間に手を入れ、その中から大量の文字が刻まれた拳十個分程度の長さの剣をお姉ちゃんに投げ渡した。
「魔術を分解するのに特化した剣。あと、魔力が元になってる物なら大体分解出来るから」
「分かった」
私は空間を置換した。そこはコンテナ置き場の数あるコンテナの内の一つだった。中は大量の種子が入った袋があった。
次の瞬間だった。目の前にはコンテナを紙切れの様に物ともせずに貫いた一本の剣があった。このドリルの様な形状は
無理矢理軌道を修正された
「ほぅ?まだ雑種が隠れておったか。下賎な手で
よし。殺そう。台詞がカンに触ったから殺す。狙って殺す。確実に殺す。こいつは殺さないと駄目だ。
「お姉ちゃん?ここに隠れててね?」
「…分かった」
私は自分に重度の認識阻害の魔術を掛けてから置換で一度上空に出た。切嗣はクレーンの上。舞弥さんも別のクレーンの上。そして、アイリがアルトリア達の所に居る。アサシン?一応、始末しておこう。私は右手に魔力を束ねて槍を作り、槍に摩擦力を軽減する魔術を掛け、私の右腕に身体強化の魔術を掛け投擲する。音速を超えて投擲された槍はアサシンの身体に大きな風穴を空けて海へと落ちていった。これで後九十八匹。
私は再び下を向いて確認した。アルトリアの前に
私は
私は上空から落下する最中虚数から長めの鉄パイプを取り出す。かつて戦った英霊の持っていた薄い青い色の朽ちること無い剣───
私は
「
キャスターと違い鬱陶しかったので今回は身体を四方爆散させた。肉片が周囲に飛びっちっているが黄金の魔力の粒へと変わっている。もう直に完全に退去するだろう。私は
「なっ、なんなだよ!あの黒いの全くステータスが見えないぞ?!本当にサーヴァントなのか?!」
「全く、勿体無いのぅ。ああも簡単に殺すとは……」
黒い髪が長めの私の人間離れした殺害行動に驚く少年と簡単に殺したことに勿体無いとケチをつける筋肉の塊が居た。
「あら?人に黒いのって失礼じゃない?」
「ヒッ」
少年は筋肉の塊の
「aaaaaaaaaaAaaaaaa」
「全くうるさいわね。少し静かに」
だが、やはりバーサーカーと言った所か。静かにしない。まぁ、騒ぐだけなら許そう。子供がやったこととでも思えば良い。
「遅れて失礼したわ。早速だけど、アーチャーは討たして貰ったわ。次に私に来るのは何処の誰かしら?」
沈黙。誰も返事をしない。そりゃそうだろう。こんなにもコンテナを潰した英霊を正体不明の手で落とした英霊に何の情報も無く挑む英霊が居るだろうか。
「じゃあ、私は帰らせて貰うわね。後は皆さんでお楽しみ下さい」
正直その気になれば全員討てるが下手に力を振るいすぎて抑止力が動いても面倒だ。
「あとランサー?」
私はランサーの前に身長差もかなりあるので空中に置換で飛び黒子に触れる。そして、黒子の加護を破壊した。全くこんな自由の恋に反する物許せないわ。
「……感謝する」
「あら!殊勝な事ね。男からしたら理想の加護だったと思うのだけど?」
「そんなことは無い。この黒子は我が身を滅ぼすのに関わった物だ。特に執着する故は無い」
「そう。じゃあ今度こそ本当に帰るわ。皆様それではまた何処かで」
私は軽くお辞儀をして置換し、玄関に帰った。そう言えばお姉ちゃんと切嗣は何をしているのかしら?仮に海に自由落下しても剣に少し細工したから死ぬことは無いと思うけど。
『やあ。ヌル』
『何かしら?
『バーサーカーのマスターを把握した』
『誰かしら?』
『遠坂凛。現在魔力を吸い上げられ危篤』
『遠坂凛は今何処に居るの?!』
『どうやら昨日の公園の様だね。あの四角いベンチのあった。あと今母親が駆け付けた』
私は昨日の公園に置換した。そこには大きく叫ぶ赤いジャンバーを着込んだ少女と白い服を着た黒いロングヘアーの母親と思わしき女性。これは不味い。完全に魔力を無理に吸い上げられている。
「誰?!」
私は構わず凛に近づく。だが、女性がそれを看過しない。女性は私と凛の間に塞がる様に両手を横に広げて立つ。
「家の娘に近付かないで!」
「娘さんを殺したいんですか?一生車椅子にしていいならそこで私の邪魔をしてれば良いんですよ!」
「そんな───」
私は彼女の腹部に
「あれ?痛くない」
「全く、時臣は何を考えているんだか」
「ヌルがやったの?」
「貴方何でマスター何かになったの?時臣に相談しなかったの?」
「令呪が宿ったのは今日の昼で……。相談したら絶対に止められるから……」
「そりゃ当たり前よ。自分の娘を嬉々として戦場に駆り出す親なんて居ないわよ」
まぁ居ないことも無いが遠坂時臣はその手の人間では無いだろう。さっきからバーサーカーが私の魔力を大量に持ち出しているが今は一旦放置しておこう。セイバーなら最悪死ぬことは無い。死ななければ鞘か私の治療でどうにか出来る。
「凛!」
後ろから走ってきた女性が凛に駆け寄り抱き上げた。そろそろ私は撤退するとしよう。私は一応念には念を込めて辺りに魔術師が居ないか確認するが見当たらない。
「貴方は一体?」
「私?その辺の魔術師よ?」
「後日お礼に───」
「遠慮するわ。私こう見えても多忙の身なの」
と言ってもあまり忙しくは無い。残っているサーヴァントで面倒なのって精々ライダー位なのよね。ランサーは魔眼で縫縛してそのまま首を刎ねれば終わるのよね……。もちろん抑止力が鬱陶しいからそんなことはしないけれど。あれ?私確か
「ヌル。ありがとう」
「ハイハイ。凛ちゃんも気をつけてね。あと多分貴方の父さん今頃髭がしょんぼりすることになってるだろうから励ましてあげてね?」
凛の頭を撫でて私は公園から退場して置換で玄関へと帰った。さて、もう眠いし寝ましょう。
私はシャワーへと向かった。
やっと書き上げられました。多分もう令呪の下りについて書くことが無いので説明しちゃいますとですね、桜さんに令呪が宿らなかったのは聖杯戦争に参加すると言う気力が一切無かったからですね。この場合聖杯はやる気がある御三家から選出しますが、まず雁夜おじさんは魔術回路自体はありますがやる気が無い上に聖杯に託す望みが無いわけではありませんが望みが弱いので落ちました。葵さんはそもそも魔術師じゃないので論外です。その結果消去法で凛さんに回ってきました。で、寝取りの騎士召喚した理由としてはアーサー王の伝記が禅城のお家野書斎に残っていたからですね。あと、アルトリアがこの世界に召喚されたので縁召喚みたく縁があったからです。
あと、縫縛の魔眼はオリジナル魔眼です。静止の魔眼とは別物ですのでご理解下さい。