切嗣はヤバい女を手懐けてしまいました   作:柚原  笹葉

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 僕には人の心が分からない。魔術師だから当然の事なのかもしれない。僕は物心ついた頃から本を読む事と人形を弄るしか無かった。僕は四歳で父の作った人形を超えた。父は「ファレトスの傑作だ」と感嘆を零していたが僕にはどうでも良かった。僕にとって人生はただの研究可能な期間でしか無い。そして、僕より遥かに魔術師として劣る父は研究上価値の無い存在だった。
 僕はいつも通り野良の魔術師を狩って材料を調達していた時に迷子の少女と出会った。その少女は僕が知る如何なる物より美しい黒をしていた。かつて、父から与えられた補助道具の黒曜石の短剣より遥かに美しいその黒髪と目は僕の目を奪った。両親は拾う事に反対しなかった。何でもその少女は回路の質と数が僕より多いから良質な魔術回路を増やす点に置いて文句は無かった。そして、彼女との日々は徐々に僕に人の心を持たせた。
 そして、僕はある日二度目の運命に出会った。その少女は誰のお古か知らない手の甲が見えない位にサイズの合っていない草臥れたあの少女には遥かに劣る黒いコートを着た、高価なサファイアが霞む深海の様な深い青い目と対比的な高価なトパーズが霞む日光を押し固めた様な黄色の目をしたオッドアイの少女が切り株に座っていた。
 僕は何となく彼女は魔術師だと思い、遥かに実力が上だと本能で感じ取った。彼女に手合わせを申し込んだが、僕の人形は一瞬で木っ端微塵にされた。
 僕は彼女に師になる様に頼んだ。彼女は最初は断ったが、何故かカリレアが頼むと渋々ではあるが成功した。それが何故か当時の僕には分からなかった。
 だが、何だこの課題は『作成過程で誰一人殺さずに単独で国家を落とせる程度の人形作成』だと?確かにアドバイスはくれるがこれを一代で終わらせるのは無理では無いか?
 だが、僕は諦めない。いつか彼女の持つ知識を得るその日まで。


馬の躾け方

 紫色の髪の半裸の色白の男の椅子に座る少女が和室に一人。男からは大量の汗が滴っていた。少女は男の尻を黒い棒のみの一本鞭で叩く。その度に質問が投げれる。

 「で。十歳の乙女に取る対応は?」

 「はい!例え赤子でも女性の部屋に入るのは許されないことであります!」

 「凹凸に乏しい寸銅体型の乙女に対しての対応は?」

 「はい!例えまな板の様な胸でも、未来の無い絶壁だとしても決して突っ込んではいけない!」

 私は四つん這いの騎士からステップを踏む様に降りた。そして、廊下を駆ける音。この歩調はセイバーね。襖を鬼気迫った顔で勢い良く音を立てて開けた。

 「何事ですか?!サー・ランスロ……」

 「はっ!王よ」

 セイバーは鬼気迫る顔から急に見てはいけないものを見た様な反応になった。顔に「軽蔑しました。サー・ランスロット」と書いてあるかの様に見て取れた。

 「誤解です!誤解です、我が王よ!これには訳があります!」

 「あら?バーサーカー?何を言ってるのかしら?さっきも女性を凝視してたわよね?」

 「マスターお止め下さい!」

 お止め下さいも何も貴方アサシン狩りの時に普通に通り掛かった女性に熱視線を送ってたじゃない。やっばり狂化外さない方が良かったかしら?狂化外した方が獣じゃない。この寝取りの騎士。

 「サー・ランスロット。今は貴方が何故ここに居るのかは問いません。ですが、その様な行為は然るべき場所と相手に行って下さい」

 「我が王よ!」

 「一応聞く?セイバー。何でここにランスロットが居るのか?」

 「大方、何処かのマスターから令呪を抜き取ったのでしょう。その割には随分仲良さげですが」

 やっぱり、直感スキルは嘗めてはいけないわね。この様子だと私がキャスターと言う嘘情報は見破られていると考えて良いでしょうね。

 「半分正解ね。元マスターが死に掛けていたから私がマスターになったの。ね?バーサーカー」

 「はい。私は狂化に身を任せ、危うく罪の無い少女を殺めかけました」

 「その少女はどうなったのですか?」

 「安心して?セイバー。私は子供を殺す何てことはしないわ」

 勿論、殺した事が無いわけでは無いが仮にどんな悪ガキでも私は教育する。鞭を打ってでも言うことを聞かせる。私に襲い掛かるのを許可して教育する。けれど、その中に私に傷を加える事に成功した者は居ない。

 「良いでしょう。信じましょう」

 「で?積もる話は無いの?私も風呂に入るから好きにしてなさい」

 「いえ、特にありません」

 セイバー貴方結構冷たいわね。バーサーカー何か絶望してるわよ。

 「あと、バーサーカー。あの子のご飯食べさせてくるから」

 私は隣の部屋の布団で寝ているアサシンをお姫様抱っこした。腕に伝う子供独特の瑞々しい柔肌、子供体温。全く幼女は最高ね。

 「ヌル。その少女は一体?」

 「拉致って来たアサシンの分身体よ?」

 セイバーが構えている。確かにアサシンはサーヴァントだけど、今回英雄王(バカ)が霊基三騎分位あったから三基位なら殺さなくても問題無いのよね……。何か知らないけどサーヴァントが召喚されている。

 「安心してセイバー。今回英雄王(バカ)が何故か知らないけど三騎分の働きしてくれるらしいし」

 「そうなのですか?!」

 最悪、その辺でサーヴァントを無理矢理召喚して埋め込んであげましょう。

 「じゃあ、私はこの子を居間に連れて行くから」

 私は襖を静かに開けて、居間へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 私は服を着直して王と円卓の代わりの間に合わせの卓袱台を挟んだ。何故か鎧は出せない。恐らく、マスターが何ら仕掛けを施しているのだろう。王と私は互いに鎧を脱いで対面していた。

 「……サー・ランスロット」

 「はい」

 「ランスロット。単刀直入に聞きます。卿は何故狂気に身を落としたのですか?」

 王、何故貴方には分からないのです?私は……私は。

 「……困ったお方だ」

 私は思わず苦笑いを浮かべていた。トリスタン卿、貴方はかつて王には人の心が分からないと言いましたね。この人は王としては素晴らしい。ですが、確かに鈍感です。

 「貴方は私を咎めようとしませんでした」

 「私は卿に感謝していたのです。私は王ではありますが男ではありません。それ故にギィネヴィアを満足させることは不可能でした」

 「私は……貴方に断罪して欲しかった。私は貴方に咎めて欲しかったのです」

 私の頬には透明な液体がいつの間にか伝っていた。その液体は頬を伝い、顎を這い、膝に滴り落ちていた。その様はまるで私が胸に溜め込んでいた物を一粒一粒吐き出す様に零れ落ちていた。

 「……そうですか。私は王に向いていないのですね」

 王は顔を曇らせる。違う、違うのだ。王よ、貴方は余りにも王に相応しすぎた。皆の期待を受ける王であり過ぎた。

 「王よ。我が身は今マスターの物です。故に死罰は受ける事は出来ません。ですが、貴方が私に僅かでも申し訳無いと言う気持ちが有るのならここで断罪して下さい」

 「分かりました。貴方が望むならそうしましょう。私は貴方を断罪します」

 王は立ち上がり、私に言葉を掛けた。

 「サー・ランスロット。その身命を賭してヌルを死守しなさい」

 「分かりました」

 私は右膝を立て、左手を畳に着き、右腕を右膝に着けた。

 「このランスロット、身命を賭してマスターを死守します」

 今度こそは道を違えることはしない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……」

 「何かやりたいことは? 」

 さっきから返事が無い。切嗣が来た時からずっと起きてたのにさっきまで寝てたフリをしてたけど何故かしら?

 私は適当にその辺で買っていたうどんを茹でて鰹だしに突っ込んだ簡単なうどんを作った。それを食べてから何の動きも無い。

 『貴方話せないの?』

 『……うん』

 心に直接語り掛けられたのに驚いたのか、一瞬肩が揺れた。どうやらそうらしい。となると私以外とコミュニケーションを取るのはかなり厳しい。

 『貴方名前は?』

 『……無い』

 やはり、高々一人格と付けないだろうなとは思っていたが本当に無いとは。貴様言峰綺礼何故戦闘能力を持たないこの子供を戦場に出した?

 『先ずはそこからね。貴方は名前欲しい?』

 『……欲しい』

 『そうね。……じゃあノワで良い?』

 『……それで良い』

 肌が黒いから(ノワール)から取ったのだけどそれで良いのね。

 『一応、確認するわ。貴方あそこに帰りたい?』

 『……嫌』

 『そうじゃあここで暮らしましょう』

 『……分かった』

 「アイリ?見てるでしょう?」

 私は襖の後ろで聞き耳を立てているアイリに声を掛けた。切嗣も居るけど今は切嗣に声を掛ける必要は無いわね。

 「気付いてたのね。何時から?」

 「そうねぇ。貴方が風呂に出て着替えてから私がノワを連れてこの居間に入っていたのを見ていた所かしらね?」

 「最初から気付いてたのね」

 私の耳を逃れる者は居ない。腐っても向こうで切嗣の邪魔者を狩っていたからこの程度容易い。

 「この子の服見繕いたいのだけど、何かある?」

 「無いわ。今城にあるのも私と切嗣の服だけよ」

 そっか。しょうが無いわね。私は虚数から適当に私の着ていたピンクのロングパンツと黒の長袖Tシャツを取り出した。

 『これで良いかしら?』

 『……うん』

 「切嗣。一応言っておくけど見ちゃ駄目よ?」

 「僕にも気付いてたのか」

 「心音を消さなきゃ気付くわよ?」

 元から私は耳が良いのである程度静かな所なら心音の数で相手の位置や人数は分かる。

 「相変わらず、人間の域を超えている」

 「一応、私人間なのだけれど」

 そしてノワは左側の肩紐が外れたシャツを脱ぎ始めた。ん?この子下着も無いのね。流石に下着はお古を渡すのはアレだしそうね。

 『少し待っててね』

 私は置換で魔術師の家に訪れた。そこには一人の茶色気味の金髪をした三十路の男がPCで株を弄りながら私が課した中でも一番容易い『作成過程で誰一人殺さずに単独で国家を落とせる程度の人形作成』に取り組んでいた。地下室にある彼の工房は図書館と加工場が合わさった様な空間をしていた。私の後ろには四段の本棚が三つ並び、彼の前には大きな作業机には試験作成中と思わしき人形の腕、鋸やドライバー、金槌、他にも大量の道具が見受けられた。

 「ねぇ?ローザン」

 「何かね?師匠にでもなってくれるのかね?」

 「少し妹が出来たのだけど幼女用下着は無いかしら?」

 ちょっと、止めてよ。何か「何言ってんだこいつ。頭イカれたのか」みたいな反応するの。お前が一番まともな奴だと思ったのに。

 「いや、すまない。私はこの今一瞬理解が出来なくてね。君が人間と言う意味でも魔術師と言う意味でも常識の範疇逸脱しているのは知っているが、ここまで酷いとは思っていなかったよ。何故事前に用意しなかったんだい?」

 「急だったのよ。出来るでしょ、課題停止より良いでしょう?」

 「全く、酷い師を持ったものだ」

 「私まだ貴方を弟子に持って無いのだけど」

 男は机の横にある引き出しから白のショーツと黒のキャミソールを取り出した。この男、実は人形作りの合間に服を作っているのである。何故、女児下着を作っているのかと言えば「私の知的好奇心だ」との事。そんなんだから貴方の奥さんヤバい奴なのよ。

 「ローザン。今日は逃がさないわよ?」

 上から私より年上の幼さが残る少女の声が聞こえる。ほら来たよ。

 「すまない。ヌルさん、少しあの(ケダモノ)から逃れる術を教えて貰えないか?」

 「知らないわよ。貴方が誰にもモテないからでしょう?本当に嫌なら何で居るんだか?」

 「アレとはただの妹分だったんだ。それを僕達の親がくっつけたのさ」

 この男、実は元から朝から晩まで地下室で人形弄りをしている人形使いと言う訳では無い。元は少し知的好奇心が旺盛な子供だったのだ。それが魔術に触れた結果、これである。そして、彼の妻カリレアさんは所謂肉食系女子と言う奴で。

 「全く、知ってるわよ。貴方最初は楽しかったんでしょ?」

 「確かに最初は年の離れた妹分として一緒に居たのもあって楽しかったよ」

 彼は頭を抱えてため息を一つついてこちらを振り返る。まぁ、何を言いたいのかは察しが付く。

 「でも、まさか婚姻一週間目で静止の魔眼で拘束されて拉致られて初夜を迎えるとは思って無かったよ」

 この男は彼女からの誘いを断っていた結果、七日目の夜にまさかの十三歳下の嫁に拉致られたのである。そして、三日間自由は無かった。

 「良かったじゃない愛されているのね」

 事実ローザンは何やかんや言って心ではカリレアの事を愛している。ただ、カリレアが少し肉食系女子過ぎて若干引いてるだけだ。

 「頼む。本当に助けてくれ。僕はこんな所で死にたくない!魔術の探求で死ぬのは本望だが、年下に搾られて死ぬなんて死んでも嫌だ」

 死ぬのに死んでも嫌だって何言ってるのかしら?一度大人しく死んでみれば?

 「頑張りなさい。跡継ぎが産まれるまで」

 「いい加減にしてくれ。僕だって鬱になるよ。毎日毎日あの腕力六十キロ超えの年下の女子に襲われる気持ちを考えてくれ」

 「私十四歳だから難しいこと分かんなーい」

 その瞬間鉄の何かが吹き飛ぶ音がした。多分カリレアがドアを吹き飛ばしたのだろう。これはもうどうしようも無いな。

 私は必死にしがみついてくる自称弟子を他所目に置換で家に帰った。

 「ノワ持ってきたわよ」

 私はノワにローザンから回収した服を渡した。さて、どうしましょうかね。

 『どう、何かしたいことはある?』

 『……寝たい』

 『そう。じゃあ布団に行きましょう』

 私はノワの手を取ってそのまま布団に連れて行った。ノワは今度は早く寝付いた。

 どのサーヴァントから落とそうかしらね?抑止力の嗾けてきたアーチャー、あの主の婚約者に魅力(チャーム)を掛けていたランサー、マスターと不釣り合いのライダー、嘘つき代行者のアサシン。流石にアーチャーとライダーは嵌め殺しすると抑止力が動く可能性がある。これはあくまでも仮説だが、私に容易く抑止力が働くのは私が本来存在しないこの世界線に置いて存在しないため。そして、私が英雄王(バカ)を始末した際に抑止力が発生した。

 この点から考えられるのは二つ。『未来の編纂事象を破壊した者への排斥』と『編纂事象への干渉による感知 』。私は言うならば【パスポート】無しに入国した違法入国者。違法入国自体は国にもよるが入ってさえしまえば有耶無耶に出来る。だが、余りに目立つ行動をすれば当然見つかる。そして、処罰される。

 恐らくゼルレッチが処罰されないのは【正規の戸籍(存在)】を何らかの方法で世界に認識させている。又は突然飛ばされた私には出来なかった【手続き】があったのか、それとも【抜け道】があったのか。だが、現在この世界線に置いてゼルレッチは存在していない。その為、正確な答えを得るのは不可能。

 魔術の乗っ取りも恐らくこの世界に存在しない以上使うと抑止力に尚の事目を付けられる可能性がある。また、余り宝具を使うのは止めた方が良いだろう。これも危険度が高いとして目を付けられる可能性がある。一応、辛うじて存続しているエインズワースの置換魔術は使用しても大した問題は無いだろう。

 となると理想としては先ずはアサシンとライダーをぶつけ、アーチャーとランサーをぶつける。そして、アーチャーとライダーをぶつける。そして、疲弊状態の生き残りを叩く。最悪、アサシンとランサーは私が撃退しても構わない。だが、セイバーはランサーとの果し合いを望んでいる。そして、ライダーはこの二人の生き残りにしか仕掛ける気が無い。

 正直言おう。面倒臭い。このままいけば私とバーサーカーがアーチャーとライダーの二人を私が始末する必要がある可能性もある。だが、一番面倒なのはここで私やバーサーカー、切嗣やセイバーがアーチャーを始末した場合、再び抑止力の派遣が有り得るかもしれない。

 アーチャーの始末は私と関わりの無い陣営に行って貰いたい。今回大規模な魔術を使用すればまた面倒なことになる可能性がある。

 全く面倒にも程がある。戦争なら街一個吹き飛ばして終わりなのに……。

 そうね。一先ずは静観する事にしましょう。




 はい。私です。連稿はやっぱり無理ですね。今後は上げられる内に一週間に一回上げる様にしようとは考えていますが、難しいかと思われます。
 こういうことです。ヌルさんの課題は詰まる所、魔術師に向いてない試練を与えて弟子になる事を防いでいます。全く酷いやり方だ一体誰がこんな事を。
 そして、実はまだこの話二日目の夜と言う驚くべき事実。

本編=聖杯戦争開始〜
一日目
(ザイードさんの尊い犠牲)劇外

二日目
本編一話
(アイリと別の便でヌルさん襲来)
(キャスターの始末)
(お姉ちゃん回収)
本編二話(一部本編四話)
(ギルと黒子のバイバイ)
(バーサーカーGETだぜ)
本編三話
(アサシン二十八名バイバイ&ノワ拉致)
(黒子の後始末)
本編四話
(バーサーカーにお仕置)
(ローザンが死んだ!)


???:抑止力がアーチャー召喚


生き残り
セイバー陣営
新アーチャー陣営
ランサー陣営
アサシン陣営(綺礼と約六十名)
ライダー陣営
バーサーカー(キャスター)陣営
 大まか間にこんな感じですね。何だこの進行速度……。原作(Zero)一週間位あったのに……。来年の九月までに終わるのか……。少なくともエタることは無いにせよ、終わりが遠いです。どうか最後まで読んで頂けると幸いです。
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