私は飛行機から降りる。少し来る前にやんちゃをした為少々眠い。これではいけませんね。この国には今あの方が来ています。あの方にこの様な失態を見せる訳にはいきません。この老躯ではもう会えないと思っていましたが偶然遭遇した紳士のお陰で再び会えそうです。
「感謝しますよ。───」
そう言って私は日本に降り立った。所で、この空港から冬木まではどの位あるのでしょうか?
「葵、雁夜と連絡は取れるか?」
「取れないことは無いけど……。どうしたの?」
何故、私は思い至らなかった?冷静に考えれば分かる事じゃないか。雁夜は間桐の魔術師の血を引いている。となれば彼に令呪が宿るのは必然だ。間桐家の消失は他の御三家を油断させる為の偽造工作。然知った。まさか雁夜に出し抜かれたとは。侮っていた。
余裕を持って優雅たれ。こう考えるのだ。間桐家はそれ程までに焦っているのだと。確か間桐は代を重ねる毎に魔術回路が減っている。これを最後の聖杯戦争と見越してのことだろう。
「彼が恐らくあのキャスターかバーサーカーのマスターだ。今直ぐに居場所が知りたい」
「何を言っているの?キャスター、バーサーカーのマスター?」
「葵、確かに幼馴染の雁夜を攻撃するのに気が引けるのは分かる。だが、これは───」
これは遠坂家の、そして娘達のためなのだ。根源に至れば娘達に普通の人生と言う新たな選択肢を与えることも出来る。勿論、私は娘達の持つ魔術師としての資質は素晴らしいと思っている。だが、彼女達が望まないと言うのなら私の代で終わらせることも出来る。だとしても、根源に至らずに終わるのは父に、祖父に、顔も存じ無い先祖に申し訳無い。
ならば、私が根源に至ってみせよう。
「凛のサーヴァントなら、ヌルさんが連れていったわよ?」
……ヌルさん?一体誰だその人物は?私は聞いた事が無い。待て、マスター権を移動させた?となるとその人物はかなり強力な魔術師だ。
「凛のお友達で、凛が魔力を吸われて死にそうになってたから───」
まさか、凛はバーサーカーを召喚したのか?だとしたら不味い。バーサーカーは他のクラスに比べて圧倒的に燃費が悪い。だとしたら魔術回路に傷が、最悪肉体自体に損傷が。
「凛は?!」
「無事よ」
「そうか。なら、その人物と今連絡は取れるか?」
サーヴァントのマスター権をマスターに何の害も無く取り出せるとしたらかなりの魔術師だ。私以上の魔術師と言う可能性も十分にある。素性を掴みたい。
「多分今冬木に居ると思うわ。あと雁夜君には連絡を掛けてみるけど、多分彼は今回の聖杯戦争に参加していないと思うわ」
「万が一と言うこともある。一応、確認しておいてくれ。恐らく、幼馴染の君にならマスターだと言う事位なら教える可能性もある。あとヌルと言う人物にも連絡が取りたい。今回キャスターが余りに強力だ。バーサーカーが居なければ厳しい可能性もある」
「分かった。多分、いつも凛が居る公園に行けば居ると思うわ」
切嗣達を置換でアインツベルンの城に送還して風呂に入って寝た。そして、今この状況である。ノワは一先ずは心行くまで寝ても良いとして、バーサーカーは寝ていたが叩き起した、勿論留守番として。そして、お姉ちゃんと今後の買い物に出掛けたらこれである。
「あら?ライダー何の用かしら?私は見ての通り忙しいのだけど」
スーパーに行く途中で遭遇したのである。と言っても最悪なことに、この道以外を行った場合はランサーのマスター又は抑止力の英霊と遭遇する訳だが。このままだと他所に会話が漏れるので勿論裏に回って私が防音と人避けを張ったのだ。
「ライダー、止めろよ。相手はあのキャスターだぞ?!下手に反感を買うと不味い」
赤色の大男の後ろには身長の低い男が一人。安心して、もう充分反感買ってるから。あと、そこのライダーは近い内に落とそうかしらね?
「なーに、近所に酒を買いに来ればまさかキャスターと遭遇する訳とはな」
「あれかしら?私は見ての通り忙しいの。食料品の調達って分からないのかしら?」
「確かに、食料が無ければ戦は出来ん。食料の有無とは即ち戦いの可不可そのもの」
まともなことは言ってるのに如何せんイラつくわね。何かこうムサイのよ。
「それが分かったら早く酒を帰ってくれないかしら?馬鹿らしくも私を勧誘しようとするのはやめてそこのウェイバーとでも酒を飲んでいれば良いじゃない」
全く、心を読んでみたが本当にこの男は裏表が無いと言う奴なのか本気で全員に勧誘を掛けている。同盟なら分かるが何故軍門に下ると思ったのか。
「釣れん奴だ。坊主は酒が飲めんしなぁ、流石にマッケンジー殿を誘うのも……酒?」
頭を抱え出したライダー。全く早く終わりにしてくれないかしら?防音と人避けを解除しようと思ったその瞬間だった。
「おっととんでもない名案を思い付いたぞ?」
危ない。もう少しで結界を解除していた。心を読んでみたが何を言っているんだこの筋肉は。私は未成年だぞ。酒が飲める訳無いだろう。
「お断りするわ」
「まだ何も言っておらんだろう」
「聖杯を持つのに相応しい器を決めるのに未成年を除外する様なお酒を使うのはやめてくれないかしら?」
「未成年とな?サーヴァントの体なら少々飲んでもどうと言うは無かろう」
問題しか無いわ。私は時には小国を単騎で落とす事もあるが体自体はひ弱な乙女と差して変わらない。きっとアルコールなんかなんだ日には酩酊し何も出来なくなる。
「私は受肉済みなの。だから色々と不味いのよ」
しまった。彼はこちらを歓喜の目で見る。これは下手を打ったかもしれない。
「ほぉ?受肉とな?それは少しばかり興味深い」
そうでしょうね。貴方の望みは征服では無く征服の為の肉体を手に入れること。ならば、受肉さえすれば済む。それこそ魔術でどうこう出来る程度の話だ。
「誘うなら、そこらのサーヴァントに片っ端から声を掛けたら?ランサーならさっき見掛けたわよ?」
「それは誠か?キャスター」
「そうね。誰か知らないけれど人探しをしていたわ」
恐らく、彼の性格からして黒子の件で礼を言おうとでも考えているのか、セイバーとの果し合いを取り付けたいのか。どちらかは知らないがそんな所だろう。
「あい、分かったでは余はセイバーを探してくる」
「ねぇ?一応言っておくけどその問答セイバーの所でやる気かしら?なら、せめてドアを壊さない様にしなさい。仮にも酒宴の会場を借りるのだから常識に乗っ取りなさい」
この馬鹿今宝具で突入しようとしていたぞ。そんなんだから筋肉馬鹿って言われるのよ。
「そうさなぁ。確かにあの騎士王は怒るだろうなぁ」
「じゃあ私はもう帰るわ。ランサーも貴方が誘いなさい。後、反対側から出ないと敵対行為と見なすから」
「あい、分かった」
私はその場で結界を解除した。そして、互いに踵を返し私達はスーパーへ。ライダー達は反対側へと向かった。そして、目の前にはランサー。ランサーは漸く見つけたと言わんばかりに顔を二パーとさせていた。少し話し過ぎたか。
「キャスター、ソラウ様に関して本当に申し訳無い」
「気にしないで。私は単に純愛物が好きなの。政略結婚後に愛が芽吹けば良し、芽吹かなければ引き離す。それだけよ」
ランサーは若干顔を引き攣らせていた。私は単に純愛主義者なだけで人を助ける気は無い。
「キャスター、貴様かなり恐ろしい事をするのだな」
「ランサー。女ってのは貴方が思っている以上に闇が深いモノなのよ」
「一ついい教訓になった」
「じゃあ、私は買い物に行くから。早くマスターに怒られる前に帰りなさいよ」
「そこまで読まれていたか……」
僅かに聞こえた感想を他所目に私達はスーパーへと向かった。
「アイリ、結論から言おう。今回の聖杯戦争、下手に僕らが動くよりヌルに任せるのが最善と考えて良い」
僕は朝起きて作戦会議をした。ただ作戦会議と言っても作戦と言うには程遠い物だ。
「どういうこと?切嗣」
「彼女は僕達とは次元が違い過ぎる。キャスターとは言えサーヴァントを撃退した時点で異常だと思っていた。誰か分からなかったキャスターとバーサーカーのマスターを突き止めバーサーカーの獲得。更には単騎であのアーチャーを落とした。正直ここまで次元が離れているとなると僕達は足手纏いだ」
正直言おう。恐らく、鞘が何かの間違いで二つありセイバーと僕に鞘を埋め込んで彼女に立ち向かっても勝てない。良くて千日手で引き分けだろう。彼女は僕が今まで出会った中でも最強の存在だ。敵に彼女が居れば間違い無く敗北していた。
彼女は恐らく僕達と違い完全に二手三手先所かこの戦いの始まりから終わりを見据えている。余りにも彼女が有利過ぎる。まるで何らかの方法でこの戦いの全てを知っているかの様に。更に驚くべきは彼女が僕の起源弾を知っていたこと。あの日アインツベルン城で「切嗣、起源弾増やそうか?」と聞いてきた。何処で知ったのか知らないが彼女は情報収集力が異常だ。彼女は記憶を読む魔術でも使っているのか?
「切嗣、貴方がどうしたのです。貴方なら培った知識を持ってヌルを援護出来る筈です」
「……セイバー、時に力無い者の援護は妨害になる。君にも分かる様に言うなら例えば目の前に剣が見えない速度で打ち合う敵と味方の騎士が居たとしよう。そこにそれに着いていくことが出来ない騎士が行ったらどうなる?」
セイバーは口を固く結び手袋が音を立てる程に力を入れる。言うまでも無い。それはその騎士が原因で敗北する。この場合その未熟者は足手纏いでしか無い。セイバーもそれは分かる筈だ。だからこそ悔しさからこの様な行動を取る。
「僕らは今後あくまでもヌルの支援に回る。ヌルを前線に出させるのが正解だ。僕らはヌルの討ち零し等を狙う」
「切嗣。でしたら一つ頼みがあります」
「何だセイバー」
「ランサーは私が倒します。それで構いませんね」
「あぁ、構わない。但しセイバー。今後は僕の命令に従ってもらう」
「良いでしょう。但し切嗣、もしランサーとの決闘に水を指すのであれば私は自害します」
「分かった。好きにすると良い。但し負けるのは許さない」
仮にここでランサーを撃退した場合残るのはアサシンとライダー。聖杯戦争、思いの外呆気なく終わりそうだ。
「ケイネス。あのキャスターか、貴方の教え子のライダーと同盟を組むのがベストよ」
「確かにあのキャスターは強力だが、何故ウェイバー・ベルベットと同盟を組まねばならんのだ!」
ソラウと作戦会議をして第一声がこれだった。ソラウ、何故そんな事を言うのだ。
「ケイネス、恐らくあのキャスターは今回の聖杯戦争において手傷の無いセイバーやアーチャーと同等かそれ以上の英霊よ。キャスター、ライダー。この二騎の内一騎の一騎とは同盟を組まないととてもランサーでは倒すのは無理よ」
確かにあの二騎は取り分け強力だ。あのキャスターは剣を使っていたが、工房外でもそれなりに動けるのだろう。そうで無ければキャスターが単騎で他の陣営に悠々と散歩に来れる訳が無い。その上、私達を見逃したと言うことはいつでも私達を殺せると言うことだ。
「確かに、あの二騎は今回の聖杯戦争の重要な
「どうして?ケイネス」
「バーサーカーに取って私のランサーは天敵だ。出来る限り相手にせず、誰かに仕留められるのを狙っていると考えられる。こちらから同盟を持ち掛ければ、好機を狙い同盟に賛成する。だが、キャスターとライダーのマスターを仕留めたいのはバーサーカーのマスターも同じ筈。キャスターとライダーを仕留めるまでは使える。バーサーカーのマスターも私達と一度共闘している。同盟を組むのは容易い」
あのキャスターとライダーは単騎でも十分に勝利を掴める。そう考えるとあれのマスターが同盟を受けるメリットは無いだろう。ライダーのウェイバー・ベルベットは私に嫌悪を抱いている。あの三流魔術師なら情に流され同盟を蹴る。そして、キャスターのマスターも単騎で優勝出来るのなら同盟を組む理由は無い。ならばバーサーカーのマスターにお互いの一時的に休戦を申し込み、あのキャスターとライダーを討伐するのが正解だ。
「分かったわ。でも先ずはバーサーカーのマスター探しね。ランサーが街に居れば間違い無く、私達の拠点を狙って他のマスターが後を尾けるわ。そこを利用しましょう。ランサーの外向き用の服もあるわ」
ソラウ。何故そんな物を持っているのだ?いや、しょうがないことだ。ソラウは昨日まで認識操作でランサーに好意を向けさせられていた。寧ろ、服が予め用意されている点を喜ぶべきだろう。
「使い魔を放っておこう。ランサーを泳がせて、ランサーの周りに寄ってきた者から絞れば良い。ランサー、これより街へと駆り出しバーサーカーのマスターを捜索せよ」
「分かりました。では、私は街に出ます」
ソラウはクローゼットからフードの付いた深緑のパーカーとベージュのジャージ生地の長袖のズボンを取り出した。
「ランサー、貴方はこの服に着替えて下さい」
「はっ」
ランサーは服を受け取りバスルームに入った。そして、数分後その辺のバスケットコートでバスケに励む青少年の様な見た目をしたランサーが現れた。
「行け、ランサー。バーサーカーのマスターを探し出すのだ」
あー、……貴方が来ましたか■■■。
はい。私です。オリキャラの投下が立て続けにありますが、ヌル様弱体したからマイナスなのは変わりません。因みに前回のローザンを含めてこのシリーズ内に出るオリキャラでヌル様に戦闘で並ぶ人物と勝てる人物は居ないのでご安心を。というかヌル様越えが出るとまた剪定される可能性が……。
今回のオリキャラですか?目安としては
頑張ればケイネス君でも勝てるんじゃないかな?
程度です。
ちくせう。ポッキーの日に騒ぐRea(l)充共め☆公園でポッキーゲームとかしてんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ。です