魔導書使いの妖精さん   作:島夢

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5話 

この頃はよく依頼に行ったりして生活費を稼いでいる

俺が稼いだ金以上に周りに被害が出ている

だがそれはマスターが頑張っている…

申しわけない

 

んで、今俺が何してるかと言うと

河原でぼーっとしている

ここは人が全然通らないところだ

でも景色もきれいだしたまに俺が来る、いつきても誰もいないし誰も通らないけどさ

珍しくノアも置いてきた

今頃はハッピーと遊んでるんじゃないだろうか?

 

俺がギルドに入ってもう二ヶ月だ

二ヶ月かぁ…時間がたったな

 

 

「もう…二ヶ月か…」

 

 

もう二ヶ月…そう、二ヶ月たったんだ…ギルドに入って…

そして…

両親と…友達と…俺の…知り合い全員と別れて…

 

 

「もう会えないんだろうなぁ…」

 

 

こっちでの日常も楽しい

俺が転生する前じゃ味わえなかった楽しさだ

ギルドのみんなは優しいし、一緒にいて楽しい

マスターには拾ってもらった恩もある

もちろんエルザにもだけどな

 

 

でも…それでも…

 

 

「会いたいもんは会いたいんだよ…あいつらと…父さん、母さんと…」

 

 

ああ…この日常が楽しいと…楽しいからこそ、そう考えてしまうんだよなぁ…

ちくしょう…なんでだろうな

 

 

いつの間にか頬が濡れてる

目から涙があふれる

 

こうやって一人になるといつも考える、俺の転生する前のみんなのこと

 

この世界のみんなだって俺にはすげぇ大切な人たちだけどさ

 

でも悲しいんだ、寂しいんだ…

幸いここは誰も通らないし…今のうちに泣いとこう…んでいつもどおりの顔でギルドに戻るんだ…

それが一番いい

こんな悩み、誰にも言えないしな

 

 

「こんなところにいたのか、珍しいなノアも持たずに…って、どうしたんだ!?大丈夫か!?」

 

 

マジかよ…マジかよ…なんてタイミングでくるんだエルザ…

こういうとき、ノアの魔法でなんとかできるのかなぁ…

 

なんてこと考えながらエルザのほうを向く

 

まだ涙は流れてる、そんなにすぐ止まるわけもないしな

止まったとしても泣いていたって言うのはわかるんだし

 

 

「別に大丈夫だよ」

 

「泣いてるじゃないか!」

 

 

エルザはすごく心配してるみたいだ

必死だなぁ…まったく、良い奴すぎるよ、惚れちまったらどうするんだよ

 

 

「大丈夫だって」

 

「泣いているのに…大丈夫なのか?」

 

 

心配そうに言ってくる

仲間思いだなぁ…

 

 

「ああ」

 

「………言いたくないのなら言わなくても良いが…だが、抑えきれなくなったらちゃんと言うんだぞ?私じゃなくてもいい、マスターでもミラでもナツでもグレイでも…なんだったらハッピーでもいい」

 

「そうだな…」

 

 

その通りだな…そもそも抑える必要なんかないのかもなぁ…

んじゃぁ…

 

 

「ちょっとだけ…聞いてもらおうかな」

 

「ああ、私でよければ…な」

 

 

私でよければ…か、お前くらい良い奴はあんまりいないぜ?

まあ、うちのギルドには多いかもしれねぇけどな

 

 

「俺さぁ…エルザに会う前…山を凍らせる前はさ…

ここからずっと遠くに離れたところにいたんだ…そこにも、フェアリーテイルのみんなみたいにさぁ、いっぱい仲間がいたんだ、一緒にいて楽しくて…

つらいこともあったけど、でもみんなで乗り越えてさ…俺もただの人間で、凡人だから…いきなりみんなの離れたら悲しいんだ…でも俺はもうあそこへは戻れない…

 

もちろん、ここでの生活も楽しいよ?エルザを含めたみんなが大好きだ…みんな俺の守りたい大切な人だ、みんな俺にとっては特別な人たちだ

 

でも…寂しいって思ってしまうんだ…みんなといるとそう思ったりしないけどさ…それでも…寂しいって…思うときがあるんだよ…

 

なんでだろうな…まあ、そういうわけで、泣いちまってたんだよ」

 

 

一気にしゃべっちゃったな…エルザはちゃんと聞いていてくれた

ずっと真剣な顔でな

 

 

「そうか…私にも同じようなことがあった…私にもな、フェアリーテイルに来る前に仲間がいたんだ」

 

 

自分の過去までしゃべらなくてもいいのに…

対等な条件でってことかな…

相手と同じ立場からか?

はぁ…無駄に男らしいな、おい

 

 

「だが、おそらくもう会えないだろう…会えたとしても…どんな顔をして会えば良いのかわからん…

でもな、取り合えず…今を見ることにしたんだ、振り返ることもするし、ずっと先を見ることもするが…でも取り合えず今を見るんだ、今の問題を解決してそれを乗り越えていけば…

いつかまたその寂しさと、向き合えるようになるかもしれない…こう考えるのは逃げかもしれないな…それでも取りあえずはこうしようと思ったんだ、でないと進めないからな

こういう考え方では…ダメか?」

 

 

そうだな…

 

 

「は、ははは…そうだな…エルザ、お前男らしすぎるぜ…惚れちまったらどうするんだよ」

 

「そのときは、お前が頑張って私を惚れさせればいいさ」

 

「そうだな…んじゃ、頑張るわ」

 

 

うん、本当に惚れちまったかもだぜ…

これが恋かどうかなんてわかんねぇけど、いつもどおり、やりたいようにやろうかなぁ

そうやって、たまには振り返って泣いてもいいや…全部含めて俺だし

エルザの言ったように今だけみよう

いつか…なんていう長い目でみなきゃいけない考えだけどさ…

でもだからこそ…乗り越えられるんじゃねぇかなって思う

 

 

「エルザ」

 

「なんだ?」

 

「ありがとな」

 

「ふっ礼なんていらないさ、私は私のやりたいことをしただけだからな」

 

「そっか…」

 

 

俺はエルザと一緒にギルドの方へと歩いていく

根本的な解決になんてならないけどさ…でも、なんとかなりそうだなって思った

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