すまぬぅ……すまぬぅ……
難産過ぎたんじゃあ…………
結局全部書き直してこうなりますた( ^ p ^ )
後なにより感想評価ありがとうございます。
感想に関しては私が返信が必要だと判断したもののみ返信させて頂きます。が、全部見させて頂いています。
とても励みになります。
「ふむ……」
青年、佐々木小次郎は一人、山の中に佇んでいた。
彼の右手には胡蝶家から借り受けた日輪刀が握られている。普段使っている木刀とは取り回しが違うために生じる僅かな違和感を刀を何度か振るうことで修正しながら、彼はゆるりと歩いていた。
そんな彼に、突如襲いかかる影がいた。
目は血走り赤く、額から角を生やした青白い肌の異形。その怪物は小次郎を喰い殺さんとその牙を、爪を彼に向ける。
しかし、
「グ、ガ────」
前触れなく怪物、鬼の首が落ちる。
いや、前触れなくと言うのは正確ではない。正確にはその鬼では知覚不可能な速度の刀が首を撥ねたというだけだった。
「この山にいる程度の鬼であれば問題無い、か……」
そう呟き、小次郎はその場から掻き消えた。数秒後にはこの山の鬼の数は激減することになるだろう。
彼がいるのは最終選別のため鬼が放逐された山、藤襲山。彼は丁度最終選別を受けていた。
何故、彼がここにいるのか。ことは数日前に遡る。
────────────
胡蝶カナエを助けた翌日。小次郎は産屋敷邸へと招かれていた。
「今日は来てくれてありがとう」
「私も聞きたいことがあったからな。礼は必要ない」
小次郎の言葉に、産屋敷耀哉は少し首を傾げ、
「なら、カナエを、しのぶを助けてくれてありがとう。君がいなければカナエは死んでいただろう。しのぶも、復讐に囚われていたと思う。こればかりはお礼を言わせて欲しい」
産屋敷の言葉に小次郎は頬をかく。そんな彼の様子に産屋敷は微笑みながら言葉を続けた。
「カナエから話は聞いているけど、本当に鬼殺隊に入りたいのかい?」
「無論だ。あのような畜生がいることを知った上でのうのうと暮らすなど出来ん」
「でもそれは修羅の道だ」
上弦の弐を退ける程の実力者相手に、しかし産屋敷は思い留まらせるかのような言葉を紡ぐ。実際、小次郎が鬼殺隊に入るというなら産屋敷にとってこれ以上ありがたいことは無い。
だが、目の前の青年はあまりにも鬼に対して無知だ。
鬼は卑劣であること、敵は常に未知であること、この現状の打破は途方もなく遠い道のりであること、そして何より、どうしようもなく助けられない命があること。
誰か大切な人を奪われた訳ではない青年に、それら全てを押し込めてなお刃を振るう覚悟があるのか。産屋敷はそれを確かめていた。
「……少し、昔の話だ。長くなるが、聞くか?」
「是非に」
小次郎の言葉に、産屋敷は耳を傾ける。少しして、彼の表情はいつもの微笑みの他に多分な悲しみを孕んだものに変わった。
「それではまるで……」
「
小次郎の静かな肯定に産屋敷は黙り込んだ。
「だがな、今のまま死ぬのは御免だ」
静かに、小次郎の言葉がその場に響く。しかしその言葉は熱を、
「ならばこの力を、命を、何かを救う為に使いたい」
────────────
そうして小次郎は最終選別の場へと足を運び、今こうして鬼を狩っている。
「……ま……んだ……」
「この声は……」
聞き覚えのある声に、小次郎は足を向ける。
声の下に辿り着けば、そこには
「お、前は……!殺してやる……!!絶対に……!!」
少女は怒りに支配されているようだった。水を幻視する剣術でもって手鬼に突貫する。だが、
(呼吸が乱れている……まずいな……)
全集中の呼吸。小次郎が剣を極める内に知らず知らずに身に付けていたこの技法は、鬼を狩る鬼殺隊において必須の技術と言って差し支えない。
ならばそれが乱れればどうなるか、
「あっ!?」
「キッヒヒヒヒヒ!!!呼吸が乱れているなぁ!!!?」
当然、鬼には敵わない。実際少女は足を手鬼に掴まれ、逆さ吊りの状態になってしまった。
(頃合だな)
小次郎は手鬼が力を込めるよりも先に少女を掴んでいた腕と手鬼の身体を斬り刻んだ。しかし首は斬らずに済ます。
「立て」
「え?」
痛みに叫びを上げる手鬼を無視して、小次郎はへたり込む少女に告げる。少女は鬼を前に刀を納めてしまっている彼に困惑しつつも立ち上がった。
「戦いにおいて、最も大切なものはなんだと思う」
「え?え?」
「早く答えろ。あの鬼が再生し終わる前にな」
その言葉に少女はなおも困惑しながらも小次郎に答える。
「力……?」
「確かに大切だ。だがお前は力が強いか?」
「なら、技?」
「それも大切だ。だがそれでもない。いいか?最も大切なのは────」
「────心だ」
小次郎は背後から迫る手を斬り捨てつつ言葉を続ける。
「力で負けようと、技で負けようと、心で負けるな」
いつの間にか困惑が消え、聞き入る少女に向けて彼は続ける。
「怒りは捨てるな、だが呑まれるな。呼吸を整えろ、己のすべき事を見据えろ」
彼の言う通りに、少女は呼吸を整える。あの鬼の首を斬る。その事にのみ意識を集中させる。そして怒りつつも、思考を冷静な状態に保つ。いや、
「行け」
少女、
迫る手を避け、斬り捨て、彼女は進む。足元の土の僅かな動きを感知して彼女は飛び上がった。ほぼ同時に地面から手が迫り上がる。その手が彼女に届かないと理解した手鬼は即座に空中の彼女に向けて拳を放った。
だが足りない。今の彼女にそんなものは通用しない。
「全集中 水の呼吸 弐ノ型」
『水車』
真菰は手を斬るのではなく
「全集中 水の呼吸 壱ノ型」
それは奇しくも、本来の歴史において手鬼を討滅する少年が放ったのと同じ技だった。
『水面斬り』
手鬼の首が斬られる。それを見届けて、小次郎はその場から姿を消した。
────────────
「あれ?」
真菰は手鬼が消滅したのを確認してから周囲を見回し、青年が居なくなっていることに気が付いた。
(お礼言いそびれちゃった……)
その事に若干気落ちしながらも、真菰は油断せずに歩を進める。
「凄く強かったから、きっとまた会えるよね」
その時に、ちゃんとお礼を言おうと決め、彼女はその場から走り去って行った。
次はいつになるかな……(遠い目)
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