イベントの裏でちとせが詩緒との仲を進展させていたところで、表では半分の種目を終えて昼休憩の時間となり、観客席の緊張は緩和されていた。
事前にイベント詳細を発表していただけあり、あらかじめお弁当などの昼食を持参しているお客さんが多い。
もちろん、昼食を用意していない観客にもスタジアム内併設の売店や食堂などが利用可能であるため、空腹を満たして午後のプログラムに向けて応援する準備を整える。
同時に、昼休憩の演目と称してトラック中央でチアが開演することも観客にとっては忘れてはならないことだった。
食堂や客席の外のスクリーンからなどでも鑑賞することはできるが、せっかく現地にいるのであれば生で見たいというのが当然であるため、食堂や売店を利用するお客さんは少し慌ただしく動き回ることになっていた。
そんな彼らを横目に見ながらパタパタと通路を走っているのは詩緒であり、体操着の衣装を着ているため人目を浴びている。
先程までの借り物競争で出ずっぱりだった彼もチアに参加する予定なので、スケジュールに少し間に合わなくなるかもしれないと思い、小走りしているところである。
当然、アイドルとして活動し人気を博しているだけあり、注目度は凄まじい。
急ぎ気味であることはその様子から伝わるようで、彼に声を掛ける者はいても道を譲るように捌けていく空気の読めるお客さんばかりで、感謝の念から自然と会釈をしつつ通路を進む。
今小走りで通路を進む詩緒を見た人が一様に彼に釘付けになっているのは、アイドルとしての知名度や男子でありながら可愛らしい衣装を着て、それが似合う容姿をしているからだけではなく、頬を紅潮させて、どこか色っぽい艶やかな雰囲気を纏っているからでもあった。
詩緒がそのような様子なのは、ちとせとのやり取りが主な要因となっており、恋心を自覚した彼の胸の鼓動が、今も早いまま治まらない。
ただしファンに対する対応が疎かになっているわけではなく、声を掛けられれば足を止めずとも笑顔で手を振ったり、ハイタッチしたりと、忙しないアイドルとしては破格のファンサービスである。
人混みを抜けた詩緒は実況席には戻らず、控室へと向かう。
昼休憩でチアリーディングのステージに参加するので、衣装を替える必要があるからだ。
控室の扉を開くと、夢子が既にチアの衣装に着替えて待っており、詩緒が入室して来るのを認識するとすぐに詰め寄った。
「ちょっと、遅いんじゃない? 早く準備しないと間に合わなくなるわよ」
ムスッとした様子でお小言を挟むと、彼の腕を引っ張って衣装やスタイリストなど、スタッフの前へと案内する。
直しをお願いします、とお辞儀をした彼女の態度は丁寧でありながらも急かすような口ぶりであり、プログラムを滞りなくスケジュール通りに進めたいという意思の表れでもある。
「オッケー、夢子ちゃん。なる早でやるから任せてね」
「ありがとうございます」
スタッフの深い理解と迅速な対応に夢子もお礼を言い、一緒に登壇する年下のアイドル達にも声を掛けていた。
今回のチア発表では、詩緒を除けば最年長でもあり、こういう時に他者を気に掛けてリーダーシップを発揮できるのは夢子の強みでもある。
年上に取り入るのも上手いが、下の子たちを引っ張るのもまた上手なものであった。
「はい、終わったよー」
夢子の様子を鏡越しに確認している間に詩緒のメイク直しは終了しており、衣装替えもどこぞのお嬢様よろしく、まるで仕様人のような手際のスタッフに着替えさせられた。
「ウタちゃん、さすが似合ってるね。可愛い!」
髪型は特にいじらずツインテールのままで、スパッツに短パン、ノースリーブのチア衣装を着る。
詩緒本人はミニスカートを履かせられても別に文句を言うことはなかっただろうが、スカートの中のスパッツが見えることを考えると、詩緒には履かせられないというプロデューサーや運営側の協議の結果である。
「ウタさん、とても似合ってますね。男性とは思えないくらいですけど」
衣装合わせの終わった詩緒が鏡で見栄えをチェックしているところに橘ありすがいつの間にか近寄ってきていたようで、彼は横から声を掛けられる。
不意にありすがハッとした様子で口を噤んだのを詩緒が目敏く気付いたが、男性とは思えない、と言われ慣れているため特に嫌な顔をすることもなく、むしろアイドルになってからは誉め言葉とばかりに前向きに捉えている。
「あはは、ありがとう。ありすちゃんも凄く可愛いね!」
そのため、失言したかもしれないと疑い、罪悪感に苛まれそうになったありすへ対して満点に近い回答をすることも容易であった。
「お揃いの衣装だし、後で写真撮ろうね!」
「は、はい! ぜひ、お願いします!」
詩緒はチアのチーム内では年長者であるため、それらしく振る舞いながらありすや他のメンバーを夢子と一緒に先導し始めた。
関係者用の通路を通り、フィールドに一番近いドアからチア隊が出て行くと、小走りでフィールドの中心へと向かって行く。
チア隊を紹介するアナウンスが終わると同時に、小中学生を中心にして構成された可愛らしいチア隊が登場し、観客席は拍手で出迎えていた。
彼女たちのファンもいるが、観客は皆一様に親のような気持ちで見守っている様子なのが会場の雰囲気から伝わってくる。
詩緒たちが配置に着き、ほどなくしてポップな音楽が流れ始め、それに合わせてチア隊のダンスが披露されていた。
全体で合わせるような練習時間についてはそこまで確保できなかったものの、各個人での練習の成果なのか、個々が高いクオリティに仕上がっており、見守る人たちを安心させるどころか、十二分に感心させることに成功していた。
このままの調子でチアを終演させれば、この大規模なイベントの中の一つである小さなステージは間違いなく成功するが、その中核の一旦を担っているはずの桜井夢子は雷に打たれたような衝撃を受けていた。
夢子の役割と言えば、大会を通してのコメンテーターであり、ライブへ参加するアイドルであり、はたまたチアリーディングのリーダー的ポジションでもある。
一つ一つの役割をしっかりとこなそうと考えていたし、今回のイベントを通してアイドル業界を牽引していく存在に近付くという目標まで掲げていたが、一緒にステージに立つ水上詩緒によってその目標はあっけなく砕け散ろうとしていた。
IUを勝ち抜いた経験によって各所で安定感のある仕事をこなしていた夢子であったが、その実績に胡坐をかいていたのもまた事実である。
業界でもしばらく生き残っていることから、どうやら実力は世間に認められたことは間違いない。
バラエティのみならず、ドラマや映画出演のオファーまで来ているとなれば、目指す場所は業界で長生きするための安定感が必要になると考えた夢子の思想が誤りということは決してなく、徐々にその名前も広く浸透し始めている。
しかし、彼女の最終目標であるトップアイドルの座には遠く及ばないだろう。
なぜなら、そのことを現在進行形で、チア隊を引っ張っている詩緒に教えられているからであった。
大規模なイベントではあるが、その小さなステージで安定した仕事をこなすなんて考えている方が馬鹿だった、と夢子は内心で猛省する。
詩緒とは一つ一つのステージに掛ける想いが段違いであるのだと肌で実感させられる。
そこに規模の大小は関係なく、観ている人を楽しませる、感動させるといった純粋な想いがパフォーマンスに反映されているのだ。
いついかなる時も全力で、彼の全力にファンが、観客が応える。
無理矢理悪く言えば効率が悪いと批判することも出来るだろうが、それを補って余りある程、観ている人の心に働きかけているのだと、夢子は認識し、理解した。
それゆえに彼女は歯を食い縛るほどの悔しさを感じており、同時にIUという大きな大会で詩緒に勝った気になっていた自分自身に苛立ちすら覚えていた。
さらに詩緒は他のアイドルの魅力を引き出すのが上手い。
詩緒のパフォーマンスに感化されるだけではなく、同じステージに立った時の安心感が段違いで、非常に強い繋がりを感じることができる。
顔を見合わせると微笑みかけてくれる心強さと、その笑顔に裏打ちされた意志や自信が他のアイドルのパフォーマンスを一、二段階ほど引き上げるのだ。
当時は必死で気付かなかったが、恐らくIUでの自分自身のパフォーマンスもいくらか引き上げられていたに違いない。
IUで詩緒と直接対決を選択したのは最善の選択だったと考えると、アイドルとしての資質で詩緒に完全に劣っていることをハッキリと自覚してしまうが、自分の嗅覚の鋭さは確かなものだとも実感できた。
夢子がそのまま玲音や颯の結果に並んだのは詩緒との対決による作用なのだと分かり、複雑な気分になった。
それに加えて今の詩緒は先程までには無い雰囲気を兼ね備えているような気がしてならない。
どんなきっかけがあったのかは分からないが、明らかに借り物競争でちとせと共にゴールした前後で纏う空気感が変わっている。
その変化は悪い方向ではなく、一段と、いや二段階くらい、夢子の目から詩緒の魅力が増しているように見えていた。
だが今はパフォーマンス中であり、あれこれと悩んでいる暇はない。
チア隊の様子を見渡せば、小中学生のアイドル達がこれまでにないほど輝いて見える。
内側から見ても素晴らしいパフォーマンス。
それを惹き出しているのはライバルだと思っていた詩緒。
複雑な想いが胸の内に馳せていたが、今は彼に乗っかってでもパフォーマンスを良くすることに集中しようと、気持ちを切り替える。
利用できるものは利用する精神で、桜井夢子は傷を負いながらも強かに生き抜くのである。
☆ ☆ ☆
「みんな、お疲れさまー!」
パフォーマンスを終えたチア隊は控室に戻っており、詩緒はそれぞれに労いの言葉を掛けていた。
「ありがとうございます。ウタさんのおかげで気持ちよく踊れたと思います!」
他のアイドルよりも人一倍彼を慕っているありすが屈託のない笑顔でパフォーマンスの感想を語る。
「えー! ありがとう! でも、前見た時よりも良くなってたし、ありすちゃんの日頃の練習の成果だと思うよ」
詩緒はそう言ってありすの頭を撫でると、彼女は少し驚いた様子で何か言おうとしたが、しばらくの間口を噤み、目を細め、詩緒に髪を触らせている。
サラサラの髪を指で優しく流すように梳かれるのは少し気持ち良かったようだが、ありすは置かれた状況を客観的に見てすぐに詩緒の手を遠慮がちに払った。
「ウタさん、子ども扱いはちょっと……」
「あ、ごめんね! それにしてもありすちゃんの髪サラサラで綺麗だねぇ」
ありすにやんわりと注意された詩緒は謝ったが、なおも彼女の髪を褒めると、ありすは満更でもなさそうにほんのりと頬を赤らめる。
髪を褒められた嬉しさと子ども扱いされて女性として意識してもらえていない切なさが同居し、何とも複雑な表情をしている。
神保がそのような発言をすればセクハラだなんだと、あれこれ言われそうなものであるが、詩緒の容姿や性格、声質などから女性へ対する発言がかなりマイルドに受け取られることは、彼の強みでもあるのかもしれない。
「良かったら午後の競技も見ていってね」
詩緒は午後の競技も見にいくように勧めて、衣装を着替えにカーテンの仕切り一枚を隔てた更衣室に入っていった。
カーテン一枚を隔てた向こう側に異性と思えない憧れの人が着替えていると思うと、ありすはその好奇心から詩緒の性別を直に確かめてみたいと熱が上った頭で考えたが、ブンブンと頭を振ってその熱を逃がす。
「きっと知らなくていいこともあるはず……」
ぼそっと小声で自分に言い聞かせるように言葉を発して、彼女も別の更衣室に入っていった。
☆ ☆ ☆
昼休憩のチアリーディングは盛況に終わり、午後からの競技が始まった。
午後一の競技は大縄跳びで、チームメンバー全員参加の高得点が狙える競技である。
プロジェクトミーティアの面々も気を引き締める中、心ここに在らずなだらしない表情を見せるちとせに全員の視線が向いていた。
「ちとちゃん、ウタちゃんと何かあったでしょ」
珍しく引き気味なりあむが借り物競争を終えてから様子がおかしいちとせに言及した。
「うーん、どうだろう? あったと言えばあったし、無かったと言えば無かったよ」
満面の笑みで答えるそれには何も無い訳がなく、その美しい顔に『私はウタちゃんと何かありました』という文字がでかでかと書き出されているように見える。
「まあ詳しいことは追及しませんけど、アイドルとして良くないことのような気がするんご……」
あかりの憶測や懸念は実際にその通りであり、ちとせと詩緒の気持ちが世間にバレたらアイドルとしての彼らの立場が危ういものになってしまうのは明白であった。
「まあまあ。とりあえず、誰がロープ回すか決めちゃいましょう」
あきらがちとせの話を一旦流して、競技の作戦へと話を戻す。
「私やる? 一番背高いし」
ちとせも先ほどまでの浮かれた様子は鳴りを潜め、しっかりとしたお姉さんの一面を表に出す。
「ちとせさんは浮足立っているみたいなので、跳ぶ方が良いのでは?」
ちとせは凪の冗談に笑うと、そうかも、と返した。
「でもたくさん跳ぶと疲れちゃうから、跳ぶ側はみんなにお願いしたいな」
結局、彼女の体力などを鑑みて、縄を回すのはメンバーの中でも身長の高いちとせとあかりに決まる。
一分ほど時間を設けて大縄跳びの練習を行い、その後本番が始まる。
本番では三分間でどれだけ跳べたかの回数を競う。また縄を回し始めてから一回引っかかれば終了という、なかなか厳しいサドンデス風のチーム対抗戦となっている。
練習で縄跳びを数回跳び、大丈夫だろうとプロジェクトミーティアのメンバーは多少の余裕を持ち、競技中盤ということもあって、一発勝負に対する緊張はだいぶ解れていた。
本番は実況席からの合図でスタートするようで、詩緒が参加者に準備ができているか問うと、全員ノリ良く返事をする。
詩緒の合図と共にスターターピストルが放たれてほぼ一斉に大縄を回し始めた。
「行くよー! せーのっ!」
多分に漏れずプロジェクトミーティアも、あかりとちとせがタイミングを合わせて縄を回し、全員で回数を数えながらジャンプする。
どのチームも開始してから順調に進み、十回という記録には到達しているようで、なかなか決着が付かないのではないかと予想されるが、いつ誰が足を引っ掛けるかは分からない。
そのうち運悪く、足を引っ掛けて脱落してくるチームが現れ、会場からは落胆の声を上がったりと、異様な盛り上がりを見せている。
特に盛り上がる場面と言えば競技参加者がアップでモニターに映し出されるタイミングである。
映される参加者が、男性なら黄色い声援が聞こえてきたり、女性なら野太い歓声が上がってくる。
女性チームの半分ほどが脱落した中、いまだにプロジェクトミーティアのチームは生き残っており、モニターにピックアップされる回数も増えてきていた。
詩緒が贔屓目に応援しているチームは、さすがにレッスンをしっかりと受けているメンバーたちが揃っているので、余裕そうな表情の千夜を筆頭にその他のメンバーも無事に付いていっているように見受けられたが、一定のリズムで縄を回し続けるちとせと、体躯に似合わず豊満な胸を揺らしながら跳び続けるりあむの表情に陰が差している。
『ちとせさん、りあむさん無理しないで……』
心配からくる詩緒の言葉を聞くと逆に失敗できないと思いながらも、残り数チームとなったところでようやくりあむが足を引っ掛けた。
記録は五十三回と可もなく不可もなく終了したが、りあむがスッと音も無く仰向けに倒れこみ、メンバーに介抱されるシーンが映されて笑いを取っている。
「五十回くらいでそんな疲れました?」
あきらが涼しい表情で仰向けに寝転がっているりあむに尋ねる。
「おっぺぇがよぉ……おめぇんだよぉ……」
泣き言の内容が少しばかりウザいと思ったあきらは、りあむを介抱するふりをして両方の胸を両手で鷲掴みにする。
「これは確かに重そうデスねぇ……」
「痛い痛い! なんで!?」
力強く握られてりあむは飛び起きながらあきらの手を払うが、なぜあきらがそのような暴挙に出たのか、りあむには到底見当も付いていない様子であった。
「おお、鷲掴みいいですね。そのままもぎ取りましょう。もぎもぎフルーツグミ。もぎもぎしたらもぐもぐ」
あきらに続いて悪ノリした凪がりあむの背後へと忍び寄り、後ろから抱き付くように胸を鷲掴みにした。
もにもにとやらしい手付きで触りながら、これはなかなか……と真面目な顔で手触りを楽しんでいる。
双子の姉の蛮行を呆れたように横目で見つつ、もぎもぎって何? と疑問を口に呈している颯は、いつもの戯れ程度だろうという認識で、どうやらりあむに手を差し伸べる様子はない。
「おい、誰か助けろよ! もぎもぎしてもぐもぐされたらだいぶグロじゃん!」
当事者だけが凪の発言からその情景を想像したようで、運動や辱めなどで赤くなった顔を今度は青褪めさせていた。
『りあむさんを虐めるのは止めてください!』
スクリーンに一瞬しか映っていないものの、イベント中には不適切な行いであることは明白だったため、その一部始終を見かねた詩緒からアナウンスが入ると、凪は舌打ちを一発してから、命拾いしたな……とガンマンのようなことを言って手を引く。
「ぼく助かった! ウタちゃん愛してるぅ!」
放送席に向かって手を振り、投げキッスをするりあむだったが、不意に悪寒を感じて辺りを見回すと、ちとせの視線が痛いほどに刺さっていることが彼女と目を合わせたことで判明した。目と目が合う瞬間好きだと気付いた、などと茶化せない程に射殺しそうなその視線を切るようにして、りあむはひっそりとあかりの影に隠れるのであった。
☆ ☆ ☆
「次、仮装競争だって」
仮装競争はその名の通り仮装して、トラックを半周するレース種目となっていた。
一レースで七、八人の走者が一斉にスタートし、二箇所あるうちの最初のチェックポイントでくじを引き、二つ目のチェックポイントで対応する番号の書かれた更衣室に入る。
そこに用意された衣装に着替えてあとはゴールを目指すという競技だ。
更衣室は簡易的なものだが天蓋まで付いており、中の様子が確認できないようになっている。
「別名コスプレレースですね。凪はぴにゃこら太の着ぐるみを所望します」
「あの大きさじゃ着ぐるみは入らないでしょ」
出場するのはどんな仮装をするのか期待に満ちた凪と、あっけらかんとしつつも内心ワクワクしている颯である。
普段ステージ衣装を着こなしているとは言っても、魔女やバニーなど仮装の定番のような衣装を着たことはなく、着方が分からなければレースの勝敗に大きく左右するため、どんな衣装が宛てがわれるかが重要である。
「どんな衣装があるか気になるね」
颯はどんな衣装を着てもアピールできるように想像を膨らませており、注目を集めた時の妄想をしたのか、にやりと口角が上がっている。
「でも全身タイツかもしれないよ?」
ちとせの現実を突きつける一言に、颯はげんなりとした表情を見せる。
「うわぁ、確かにありそう……。でも考えようによっては美味しいかも」
「おお、ポジティブというか、芸人魂だねぇ」
「芸人じゃなくてアイドルだよ!」
ちとせの発言を颯が訂正する。
その考え方は丸っきりお笑い芸人か、アイドルとしてもバラエティ路線に振り切った通称バラドルでしかないのでは? と周囲のメンバーは疑問に思ったが、口に出すのも憚られた。本人が良いならそれでいいか、と売り出しの方向性には口を出さないのが吉である。
「……ちなみに何か着てみたい衣装とかあるの?」
颯の心の叫びを流してちとせが改めて質問する。さっき振った話は頭の片隅に追いやって、既にちとせの中では無かったことにした。
「えー、どういうのが良いか迷うな~」
頬に手を当てて考える仕草が様になっている颯は、しばらく悩むが明確なイメージが湧いてこないらしい。
「可愛かったら何でもいいや!」
照れたように笑って投げやりな回答をする颯だったが、その声色は天真爛漫という言葉で表すのがぴったりであり、彼女の表情や振る舞いから感じられる印象は快活そのものであった。
「ちとせサンは、着てみたい衣装とかないんデスか?」
二人の会話を傍で聞いていたあきらがその輪に入り、ちとせの仮装願望について尋ねるが、しばらく思案して出てきた答えは、特に無いかな、と簡素なものであった。
「ちとせちゃんは絶対にヴァンパイアとかドラキュラだよ!」
仮装に対して消極的なちとせを余所に、颯は一人得心した様子で、理想のちとせについて本人を前にして語る。
「あー、分かる。それに千夜サンは執事風のヴァンパイアが良いよね。主と眷属って感じで」
あきらも表情を明るくし、颯の意見に肯定する。
「やー、そもそも私はヴァンパイアだからね。仮装をする意味が無いの。ちなみにドラキュラっていうのは昔の小説に出てくるヴァンパイアの名前であって、一般の名詞じゃないからね?」
あきらは、その設定が生きていたことを思い出し、下手なことを言わないように改めて気を付けつつも、初めて知る豆知識にはちょっとだけ感心した。
「そう言えばそうだった! 上手く溶け込んでたから忘れちゃうよ。血が必要になったら言ってね! はーの血だったらいっぱい分けてあげる!」
「ありがとー♪」
颯があまりにも自然にちとせの会話に乗っかっていたので、あきらはスルーしかけたがよくよく考えてみると、とんでもない会話をしていることに気が付き混乱していた。
「ちとせサン、設定の話だよね?」
「さぁ、どうだろ?」
煮え切らない答えで翻弄するちとせであったが、彼女は人間界でも人を惹き付ける魅力は随一なのだから、彼女が仮に人外である吸血鬼でも今更驚きはしないと考え直して、あきらは一つ溜息を吐いた。
「まあ、どっちでもいいかも。今一緒にアイドルしてることが大事。#ミーティアの絆は深い デスからね」
「嬉しいこと言ってくれるね♪」
「あきらちゃん、良いこと言う~!」
ちとせはあきらに近寄るとぎゅっと抱き付き、颯も同じように二人に抱き付いた。
「暑苦しいデス……」
「照れちゃってー」
発した言葉とは裏腹に、あきらは二人の腰に控えめに手を回しているので、彼女たちの愛情表現はしっかりと受け止めていた。
☆ ☆ ☆
簡易的な更衣室から出てきたのは283プロの衣装を身に纏った颯であった。
「見て見て~! はー移籍しちゃった!」
現在仮装競争の競技中であり、ここから颯はゴールを目指さなければならないのだが、普段は絶対に着ることのない衣装だからか、ミーティアのメンバーに手を振ったり、ポーズを決めたりと興奮を抑えきれず、目的を忘れてしまっているようだ。
他事務所のステージ衣装にはメンバーも羨ましがるような反応を見せており、あきらやりあむは端末に颯のレアな姿を収めながら、是が非でも出場すればよかったと肩を落としている。
ちとせや千夜は楽しそうで何よりだと微笑みを携えて静観し、凪は次の自分の衣装ガチャに何が来るのかと思いを馳せているため、競技に勝つことはどうやら二の次になっているらしい。
あかりだけがゴールを指差して向かうように応援しているのだった。
結局のところ着順は八人の走者がいる中で五位と揮わなかったものの、体操着に着替えるまで颯は上機嫌であった。
その後、凪の出番でも同じように久川凪ファッションショーが始まり、見事に最下位を取って帰ってきたが、反省も後悔もしておらず気が済むまで写真撮影をしていた。
「きゅんっ! ……どうでしょうか? ヴァンパイアガール当てました。これはSSR」
凪の表情はあまり変わっていないながらもしっかりとテンションは上がっているようで、歌詞を口ずさみながら踊っている。
「さっきまでちとせちゃんとヴァンパイアの話してたからだ! めっちゃかわいい~!」
可愛らしい衣装に颯も興奮気味だ。
「ああああああ! 眼福、眼福……。ていうか、それ踊れるんだね。すごっ!」
両手を合わせて拝むのはりあむで、凪が振り付けをほとんどマスターしていることにふと気が付いた。
「結構前にウタちゃんと自主レッスンした時に遊びで覚えました。実はウタちゃんバージョンがこの携帯に収められています。言い値で売ろう」
凪が危険な取引を持ち掛けるかのようにスマートフォンをチラチラと見せ付ける。
買った! と声を上げたのはちとせだ。
凪はそれに対してフッと鼻で笑うと、あれは嘘だ、と悪びれもせずに言い放つ。
「まあ見せてあげたいのは山々なのですが、一緒に見返した時にウタちゃんが恥ずかしがって秘密にしてほしいと言ったので、やっぱり本人がいないところでは止めます。あとでグループに貼っておきましょう」
ウタちゃんの気持ちはいいのか、と颯は内心で姉に呆れていたが、どうせ言うことを聞かないだろうし自分も見たかったので黙っておくことにした。
☆ ☆ ☆
仮装競争という名のステージ衣装貸し借り競争が終わり、すでに次の競技である大玉転がしが始まっていた。各チームから三人を選んで参加するこの競技に、詩緒もメンバーの一人であるプロジェクトミーティアからはあかり、あきら、りあむの三人が現在進行で大玉を転がしているところであった。
放送席では競技の実況をしつつも、詩緒と夢子の二人で雑談のようなトークが展開されている。
「大玉転がし見たの小学生以来かもですね。上から見てみると息ピッタリのところが速そうですよ」
離れた場所から見る大玉転がしは状況が分かりやすく、詩緒から見てもついそんなコメントが出てきてしまう。
「そうね。961プロダクションのディアマントはさすがって感じだわ。玲音さんを中心にチームワークが取れてる感じがするわね」
スタートしてからすぐに独走態勢に入っている961プロのチームからはディアマントとして活動中の玲音、詩花、亜夜の三名が競技を行っている。
「玲音さん楽しそうですよね。何でも全力で楽しそうにやるから見ていて気持ちが良いです。アイドルとしても実力があるし、カッコいいし、憧れます」
「そうね。いろんなアイドル番組で一際目立ったパフォーマンスをするし、ウタとは方向性が違い過ぎるから、憧れる理由も納得と言えば納得。そもそもあんたじゃカッコいい系は無理じゃない?」
詩緒が尊敬するアイドルの一人である玲音をべた褒めすると、夢子も同意するが彼への毒も忘れない。身長や声質、容姿、仕草など、どれをとっても詩緒をカッコいい路線で売っていくのは無理がある。
「そんなことないもん!」
男の子だけど可愛い王道アイドル路線で広く知られている詩緒には、確かに夢子の言った通りのイメージは無いが、過去に海辺でイケメン風にスタイリングをされた時はそれなりに評価されたため夢子に反発する。
「……まあ、最近はありませんけど」
その後何か言い返そうと思った詩緒だが、可愛さを売りにした仕事しかほとんど来ないのも事実であるため、悔しそうに頬を膨れさせて事実を認めるだけだった。
「最初の方に試したけど、可愛いウタの方が需要あるってことだったんでしょうね」
夢子も居たたまれなくなったのか、それとなくフォローを入れて再び競技中のアイドルに目を向ける。
「ディアマント速っ! もうゴール寸前じゃない!」
「ブレずに真っ直ぐ行って、ターンもとってもスムーズでしたね。他のチームはどうですか?」
あっさりとトップで終えたディアマントから他の組へと視点を移す。
二着以下の進行状況は全体的に大差がなく、折り返しのUターンをスムーズに決められた組が無難に上位に入っている。
ただ一組だけ、ディアマントとは対照的に圧倒的な最下位を独走しているのはあかり、あきら、りあむの三人である。
「ミーティアチームはちょっと見ていられない状況に……」
贔屓にしている詩緒からの発言からも分かる通り、直線は真っ直ぐ進まずあちらこちらへフラフラし、ターンの際も綺麗に行かずに理想的な走路を大きく外れていた。
隣を走るチームは接触されて妨害されるなどたまったものではなく、着順を大きく落としている。
特にりあむが張り切り過ぎたのか、転んだり、大玉を強く突き飛ばしたり、何かとトラブルメーカーとなっていたようで、他チームから疎まれるような視線を向けられるのも相まって後半は泣きながら大玉を転がしていた。
そんな年長の彼女を、あかりは困ったような笑顔で、あきらはギザ歯を覗かせて励ましながらゴールを目指す。
「みんな、がんばって!」
目を逸らしていた詩緒も彼女たちの姿勢に強く応援し、三人は最下位が確定してから数十秒後にようやくゴールした。
最下位でも嬉しそうに抱き合う三人。
最後に残った組は全員から注目を浴び見守られるため、応援や激励も一身に受けており、会場はしばらくの間拍手に包まれた。
情けなくも泣いているりあむと、泣くほどじゃないでしょとはにかみながら微笑むあかりとあきらを見て、詩緒は胸に温かいものを覚えつつも、あの場に入れないことを悔しく思うのだった。
「あんた、みんなで参加できなくて寂しいんでしょ?」
夢子はちょっと意地悪な笑みを浮かべる。
詩緒の表情が分かりやすく変化したので揶揄ってみたのだ。
「うん、ちょっとね……」
詩緒が意外にも真面目なトーンで返事をするものだから、夢子は先ほどの発言を後悔し、少しだけ居たたまれない気持ちになった。
会場で鳴り響く拍手の音とは対照的に、わずかな時間ではあるが放送席は静寂に包まれていたのだった。
☆ ☆ ☆
大きな盛り上がりを見せている運動会も残すところ二種目となり、この大きなイベントもいよいよ大詰めとなっていた。
美城プロダクションからの代表チームの一つとして出場しているプロジェクトミーティアの獲得した得点は、今までの競技が上位か下位のほぼ二極であったため、可もなく不可もなくといったちょうど平均点程度の点数状況である。
残す二種目がしっぽ取りとリレーという走力重視の競技だ。
そのため、頑張っても優勝は無いだろうという下馬評だったが、本人たちに諦めの色は無く、依然として闘志に燃えていた。
「次出る人、千夜ちゃんとあかりちゃんとあきらちゃんと凪ちゃん?」
「そうですよ! 頑張りんご!」
りあむの素朴な質問にあかりが答える。
気合十分なあかりと、ほっと胸を撫で下ろしたりあむ。
足を引っ張らなくて済んで良かったと心底から安堵した時に出る溜息がハッキリと聞こえたが、あかりは聞こえないふりをした。
闘志に燃えていると言っても勝てない戦いに出るのは嫌なりあむである。
「はっはっはー! それにしてもウチの中で運動神経抜群のメンバーが出ちゃったら、もう勝ち確じゃん!」
安心したら気が強くなったのか、りあむは高らかに笑うが、あかりとあきらからは冷ややかな、千夜と凪から虚無を感じさせる視線をそれぞれ浴びせられて、笑い声とぴょこんと跳ねている一束の毛髪がしゅんと萎んだ。
「自分あんまり#運動得意じゃない し、そんなに期待しない方がいいデスよ」
あきらが暗い顔で返答する。
もともとインドアな趣味を持つ彼女としてはスポーツのようなアクティビティを苦手な分野に含んでいるようだが、傍から見れば運動神経が悪いということはなく、むしろ良い方であることを自覚していない。
「りあむさんよりは確実に上ですけど、凪も運動はあまり……。運動後はりあむさんよりも顔が涼しそうとは言われますけど、実は運動はあまり……。ウタちゃんとりあむさんよりは運動できますけど……」
凪も自信が無いと言いつつも、特に暗い表情はしていない。
ここぞとばかりに、りあむに対するチクチク言葉を放つことで生き生きし始めていた。
ついでに詩緒も巻き込む。彼の運動神経の悪さは周知の事実であるし、近しい場所からその光景を目の当たりにしてきた彼女たちはより解像度が高いのだ。
ちなみにちとせ曰く、そういうところがさらに可愛さを引き立てていると大変評判であるし、ファンの間ではなぜ運動神経が悪いのにダンスだけはできるのかが永遠の謎とされている。
「ごめんごめん! わかったって! りあむちゃんが悪ぅございました! そんなに冷ややかな目で見ないでおくれよぅ……。あとウタちゃん巻き込まれ事故!」
気楽に構えていたにもかかわらず出場メンバーへの期待値を上げ過ぎたことに少々の反感を買ったようで、りあむは平謝りした後で口を噤むことにした。
「でも、りあむさんの前向きな言葉って良いよね。あんまり頑張るの好きじゃないけど、まだ優勝できるっていうなら頑張ってみるんご!」
「あかりちゃん、すこ……」
頑張ることに関しては控えめなあかりが諦めないというのは珍しく、褒められたことも含めてりあむは感動したようで、ひしっと抱き付いた。
あかりは一瞬驚いて半歩退いたが、胸に飛び込んでくるりあむを優しく受け入れて、恥じらいつつも微笑んだ。
二人の身長差から良い位置に頭があるので、思わず片手でゆっくりと撫でる。
りあむが依存しそうな勢いであかりにしがみつき、気を良くしたあかりが両手を使って名で始め、次第に激しくわしゃわしゃ撫でる。
ぐしゃぐしゃにされ始めてしばらくしてようやく不機嫌な猫のような声を上げてあかりから離れた。
「あかりちゃん、やりすぎじゃね? ぼさぼさになっちゃったよ……」
「あはは、ごめんなさい。なんか楽しくなってきちゃって」
りんごろうをぞんざいに扱うかのような攻撃的な一面を垣間見せてなお笑うあかりに、りあむは恐怖よりも普段とのギャップによる興奮を覚えていた。
「Sなあかりちゃん、あり寄りのあり。今度からりんごろうみたいな扱いでもいいからね? いや、むしろりんごろうの中身ぼくがやるから、今のうちにしばき慣れた方がいいかも」
「それは普通に引くんご……」
一度嫌がったもののなぜか心変わりしてぐいぐい来るりあむに、あかりは付いていけず半歩どころか三歩ほど引き下がった。
競技とは別の方向で盛り上がりそうになった雰囲気だったが、千夜が控えめに咳払いすることで気を引き締めるように暗に伝えた。
「皆さん、次の競技についてのおさらいではありませんが、ルールの確認などは大丈夫ですか?」
「んー、何となく?」
あきらが人差し指で自分の頬にトントンとさせながら答えたものの、少し不安が残っている様子だったため千夜から改めて説明を共有することにした。
しっぽ取りとは、簡単に言えば鬼ごっこである。
各チームから四人が出場し、一人が捕まえる役、残りの三人が逃げる役に分かれる。
逃げる役はまず腰にベルトを巻いて、そのベルトにテープを取り付ける。この時、テープは自身の背中側に取り付けなければいけない。そして競技が始まって制限時間までテープを取られないようにする。
捕まえる役の一人は他チームの逃げる役のテープを取るだけである。
取ったテープ一本につき一点、生き残った逃げる役一人につき三点を持ち点として加えられる。
ミーティアチームが総合優勝に絡むにはこの競技で一位を取る必要があり、なおかつ現在首位争いしているチームを蹴落とすのが理想的であった。
「……ルールは以上ですが、凪さん、あかりさん、あきらさんは取られないように逃げていれば大丈夫です。怪我だけには気を付けてください」
逃げられなくても全部取ります、といったような言い回しに聞こえて三人の安心感が非常に高まる。
「#千夜さんの強者感やば」
「千夜の姐さんが全部やってくれる……ってコト!?」
本人はそんなつもりはなかったようで表情に出していないながらも内心では困惑していたが、不安にさせるよりいいかと思い適当に首肯しておいた。
☆ ☆ ☆
競技が始まってからというもの、各チームが入り乱れるしっぽ取りはフィールドが広いとはいえ展開が目まぐるしく動いていた。
真っ先に狙われるのは現時点で総合優勝に近いチームの参加者か、ただ単純に目立つ人である。
ミーティアメンバーである凪、あかり、あきらの三人は前者には含まれないが、詩緒や颯、ちとせを筆頭に、世間からも注目され始めているグループのメンバーということで、目立つ人というカテゴリーに含まれていた。
特に見た目にも目立つのは銀髪の凪で、競技が始まってからほぼ常に鬼ごっこをしている状態である。
逃げ足のスピードが速いという訳ではないが、人に捕まらないということに関しては天才的な能力を持っているようで、しっぽをとられないようにする動きが何よりも上手いのであった。
「凪選手、ここで華麗にターン。……どうやら撒いたようです」
誰に聞こえるわけでもないのに独り言で実況解説しているほど競技を楽しんでいる様子である。
しつこく追い縋る人もいたが、何十秒経っても捕まらなければターゲットを変えた方が良いと判断して諦めていく。
終ぞ、凪の周りには人がいなくなり、最後の数十秒はやることが無くなってしまう。
一方であかりはがむしゃらに逃げる一手で、持久力の戦いを制し続けている。
短距離も遅くはないため、息を切らしながらも縦横無尽に逃げているが、捕まることはない。
「ああああ! なんか私、今超がんばってるんご!」
普段はしない全力疾走とジョギングのサイクルにランナーズハイになっていた。
そんな二人を離れた所で見守っているのはあきらだった。
彼女はフィールドの隅で目立たないようにしつつ、普段は見せないポニーテールといつも着用しているマスク姿で、競技の参加者じゃありませんよ、とばかりの様相を呈していたが呆けている時間は長く続かず、他チームの出場者がこちらへ向かってくるのを見て追いかけっこを開始した。
「やばっ……。他の人に擦ろう」
逃げる時はなるべく省エネでターゲットを外してもらうため、わざと逃げ回っている人の近くに寄り、判断を鈍らせようと画策する。
数分の制限時間も後半戦へと差し掛かる頃、捕まえる側の参加者はその手にいくらか尻尾代わりのテープを手に持っていたが、追いかけっこともなると短距離走を何本も全力で走ることに変わりは無いため、いくら体力に自信のある選手と言えど涼しい表情の者はいなかった。
千夜も当然その例に漏れなかったが、既に手には大量のテープが握られており、一人で十人分を超える得点を稼いでいた。
メンバー随一の運動能力を誇る千夜のスプリントと判断力で、狙った相手のテープを短時間で一人も漏らさずに奪い取り、さらに運も味方して既に追いかけっこをしている選手が近付いてきたのを逃さずに横取りしたのも大きかった。
そのせいで他の選手に睨まれることも多少あったが、彼女の性格上、そんなものは気にもならない様子であった。
千夜のほぼ独壇場と化した活躍により周囲を見渡せばそれほどの得点を重ねた選手はおらず、チームメイトも必死に逃げ回ったおかげで誰も捕まっていないという最高の状態だった。
「はぁ……はぁ……最後に、もう一頑張り、ですかね……」
膝に手をついて息を切らしながらも、自分自身を奮い立たせるため、まだ終わっていないという意志を口に出す。
千夜は大きく深呼吸して息を整えると、次の狙いを定めて再び走り出し、その後も得点を伸ばしていく。
『すごい! 千夜さんの怒涛のラッシュが止まりませんね!』
放送席では同じグループのメンバーである詩緒が、千夜の活躍に盛り上がっており、今にも席を立ちそうな勢いである。
『千夜さんも凄いけど、残り時間わずかでミーティアチーム全員生存なのも重要ね。大量得点のチャンスで一気に総合優勝も見えてくるわ』
夢子のコメントの数秒後に終了の合図が鳴り響き、彼女の言うとおり、しっぽ取りでのポイントが加算される。
モニターにはそれぞれの順位が表示されるが、ミーティアチームは再び上位に浮上して優勝争いに加わった。
『次はリレーですね! 今の競技に参加した皆さんは結構辛そうですが、大丈夫でしょうか?』
詩緒の心配そうな声が会場に広がったが、息を切らした選手は親指を立てたり、放送席に向かって両手を挙げたりと大丈夫な状態であることをアピールしていた。
☆ ☆ ☆
しばらくのインターバルを挟んで最終競技のリレーへと移る。
ミーティアチームの優勝条件はシンプルで、一着ならば優勝である。
今回はメンバー全員が参加することになっており、先程の競技の参加者は未だに疲労の色が抜けないでいた。
「ちょっと疲れたけど、勝てば優勝まで来たねー!」
あかりがストレッチをしながら言う。ニコニコと笑顔なのは自分の頑張りが結果へ繋がったことに対する嬉しさから来るものである。
「順番どうする!?」
発言をしたのはりあむで、最初に言い出したものの自分では決めたくなさそうな雰囲気を自然と醸し出しており、無意識に責任を負うまいとしているようだ。
「みんなの希望が無いなら、私が決めちゃっていい?」
「リーダー!」
ちとせが全員に尋ねる。
リレーの走る順番にこだわりのある子はいないため、反対されるようなこともなかった。
そんなちとせに、りあむが頼れる眼差しを発しており、他のメンバーは二人が同い年であることを忘れてしまう。
二人の身長差は十五センチ以上離れていることもあり、ちとせが幾分お姉さんに見えてしかたがない。
「じゃあ、颯ちゃん、凪ちゃん、あきらちゃん、あかりちゃん、りあむちゃん、千夜ちゃん、私の順番ね」
ちとせがリーダーらしく全員の順番をあっさりと指定する。
メンバーにもちろん反対する人はおらず、はーい、と各々返事をした。
「絶対優勝するよー!」
ちとせ自身も体力には難ありで、こういったイベントでは上位を目指して頑張ろうという気持ちで臨むのは珍しいことであった。
そんな彼女を見て、千夜は何か事情がありそうだと訝しんでいるが、主従関係を結んだ主君のご意向とあれば詮索しないのが従者たるべき千夜の考えであるものの、なぜ張り切っているのか大体予想ができるものであった。
ちとせのやる気の源が詩緒から発生しているのは言うまでもなく、実際にちとせはイベントの休憩中に優勝したらご褒美が欲しいと詩緒へメッセージを送っており、OKとスタンプで返事が送られたのを言質としてスクショまで保存しているほど、現在やる気に満ち溢れていた。
不純な動機から優勝が見えるまでに順位を上げた立役者でもある千夜は、知らず知らずのうちに詩緒のご褒美という名の『詩緒がある程度言うことを聞く権利』をちとせに献上しようとしているのであった。
千夜はそんなことを知る由も無い。
また詩緒自身も二つ返事でOKしたが、まさかちとせからの要求を聞くことになるとは思いもせずに、勝った時のご褒美を何にしようか頭の片隅に置いているくらいのものだった。
☆ ☆ ☆
運動会の最終競技であるリレーの準備が進められ、選手たちが各レーンの配置に着く。
インコースからアウトコースにかけてカーブ分の距離があるため、先頭と後尾の差が大きい。
一人五〇メートルの距離を最初の六人が走り、最後の一人が一〇〇メートルを担うように、全員でトラックを一周するルールとなっている。
そのため最後の一人の負担が他の人の二倍となっているが、裏を返せば、走力に自信のある人をアンカーに配置すれば多くの距離をより短時間で消費できるということになる。
ミーティアのアンカーをちとせ自身にしたのは、先程のしっぽ取りで千夜が体力を使い過ぎたからである。
しかし、ちとせの能力が決して千夜に劣っているという訳ではなく、確かにスタミナはメンバーの中でもワーストだが、短距離走となれば話は別である。
ちとせは幼い頃から、病弱ながらも常人とは一線を画す運動能力の持ち主であった。
しかしながら、一〇〇メートル程度の距離であれば、走り切った後に息は切らしても、スタミナ切れによって走る速度が落ちることはない。
千夜が先ほどの競技で大分消耗していることも考慮したメンバーの配置、ちとせ以外のメンバーが二着以下になった時に自分自身が後悔するだろうという予感、そしてリーダーの務めとして最後の責任を負おうと考えていた。
そんな彼女の考えは知る由も無く、モニターはスタート位置にいる第一走者を映す。
その後、第二走者、第三走者と順々に紹介していき、アンカーの第七走者までの紹介が終わった。
ちとせに並ぶ面々は運動能力の高い選手ばかりで、それぞれ風格もアスリートのそれではないかと錯覚させるが、ちとせの眼中には無かった。
☆ ☆ ☆
オンユアマーク、セットという本格的な合図から号砲が鳴り響く。
第一走者の颯は体育で習ったことのあるクラウチングの体勢から、それほど悪くないスタートを切った。
意外とすんなり加速するんだ、と短距離走におけるクラウチングスタートの効率の良さに少しだけ感心しながら、徐々に前傾姿勢を起こしていく。
他の選手と見比べてもフォームが綺麗な颯は他の選手よりも一歩、二歩分先へ進んでいることが傍目からでも分かった。
隣の選手とは最初から開いている差があるため、自分がどれくらいの位置にいるのかが分かりづらかったが、五〇メートル事態は大した距離ではなく、数秒でバトンパスを待つ凪が目の前に映った。
「はい!」
颯はこれもまた体育で習ったことを思い出し、冷静にバトンを左手に持ち替えて、バトンパスの合図を声に出して伝えると、凪がスタートを切る。
スタートダッシュした凪と共に颯はテイクオーバーゾーンに入ると、後ろに差し伸べられた右手に向かってバトンを振り下ろす。
流石は双子だと言わんばかりの絶妙な距離感で手渡したバトンは、ぱしん、と小気味良い音を立てて凪の右手に握られる。
颯は、凪がしっかりとバトンを握ったことを確認して手を離し、緩やかに減速した。
「なー! 行けー!!」
ぴょんぴょんと跳ねながら、手を振り、声援を送る。
颯のファンは競技そっちのけで、今の彼女の姿を目に焼き付けていた。
それほど愛らしい応援をしていたのだろう。
そこから視線を移せば、颯の双子姉の久川凪がいつになく真剣に走っている。
いつになく、と言うと凪の口からは、心外です、と返ってきそうなものであるが、こういったイベントにおいてはバラエティ的な雰囲気に呑まれて可笑しく振る舞おうとするのが普段の凪でもあるため、やや珍しい。
彼女はいつも同じような表情なので真剣かそうじゃないかの判断は難しいが、生まれてこの方いつも一緒の颯と自主レッスンをよく一緒にしている詩緒には見分けが付くようだった。
「あーちゃん、パース」
間の抜けるような合図を出して、凪はあきらへとバトンを繋ぐ。
「初めて呼ばれた。あかりちゃんと被るし」
受け渡しの最中に器用にも会話する。
凪は一仕事終えたと腰に手を当てて、んふー、と満足気に鼻を鳴らしていると、レーンから捌けるようにとスタッフに誘導されていた。
そんな彼女の様子を知るべくもなく、あきらは前を見ながら運動会が終わった後の事を考えていた。
表彰の後にライブをする予定だが、あきらはそれが楽しみでもあった。
全員で集まって詩緒も含めてライブをするのは数か月ぶりである。
あきらたちも最初の頃はメンバー八人全員でのユニットとして活動することが多かったが、ここ最近は全員揃ってのステージがなかったため、自分でも柄ではないと感じながらもワクワクしているのだった。
あれこれと考えているうちにあかりを眼前に捉える。
バトンを受けてから五〇メートル弱という短さは何か物事を考えながらだと一瞬で過ぎ去っていた。
「あかりチャン!」
普段は落ち着いているあきらだが、自分が想像したよりも早いタイミングになったバトンパスに驚いたのか、大きな声が出ていた。
「あきらちゃん!」
あきらに呼応するようにあかりも彼女の名前を呼んでバトンを受け取る。
受け取ったんご! と内心で叫ぶと、走ることに集中したのかぐんぐんと加速していく。
あかりチャンの集中力は凄い。
あかりと共によく行動するあきらは、息を切らしつつもあかりに対しての信頼は一入であることを再確認する。
もう自分に出来ることはないな、と切り替えも早いあきらは、この運動会、リハーサルを含めてもいろいろあったことを振り返り、帰ったら久々に配信でもしようかな、と考えていた。
あきらから受け取ったバトンを強く、大事に握りしめたあかりは隣のアウトコース側のレーンを走る選手を一人二人と抜いていく。
わずか二、三〇メートルであかりの基礎的な運動能力の高さを会場に見せ付ける。
林檎農家の実家を時々手伝っているうちに同年代の女性アイドルの中では割と体力お化けと化していたあかりの膂力はユニット内でも随一である。
「りあむさんっ!」
「もうぼく!?」
りあむは、あっという間に自身の順番が回ってきたことに驚愕し、慌ててスタートを切ったせいでバトンパスが上手くいかず、二人ともわたわたとしてしまう。
バトンだけは何としても落とさないようにして、りあむがしっかり握り込めるように何度も彼女の手の平に押し付ける。
「取った!」
テイクオーバーゾーンが終わるギリギリでバトンの受け渡しに成功し、バトンを掲げてアピールするが、あかりが咎めるように声を張る。
「りあむさん、速く走ってぇ!」
バトンパスでごたつき、減速した分のタイムロスを取り戻せと言わんばかりのあかりの叱咤激励に尻を叩かれたりあむは、ひえぇ……と小さい悲鳴を上げながら走る。
先に走った四人と比べてフォームが杜撰であり、明らかに走力は劣っていたが、懸命に走る彼女はいつも以上の力を発揮していた。
本人もいつかの合宿でトレーニングのためのダッシュをした時よりも上手く走れているという自覚があるものの、今までのリードはどんどん失われている。
バトンを受けてから数秒だが、りあむにとってはとても長い数秒に感じられた。
「千夜ちゃん!」
ようやく千夜と触れ合える距離まで到達し、りあむは彼女の名前を呼んだ。
千夜が全力でスタートを切るとりあむを置いてけぼりにしてしまうことを予見して、りあむとの距離を測りながらスピードを調節する。
「お疲れ様です。任せてください」
二人がバトンの受け渡しをする刹那に、さらっとクールな発言をする千夜が何とも頼もしく、りあむは今すぐにでも抱き付きたいと思ったが、千夜がバトンを確実に握った直後のえげつないほどの加速に、追い付くことすら無理だと理解した。
数十メートルでりあむの遅れは無かったことになり、アンカーとの距離を考慮すると千夜がトップに躍り出たことが窺えた。
りあむへ宣言した言葉通り、千夜は自分の仕事を十二分にこなしてアンカーのちとせへと繋ごうとトップスピードを保つ。
「はい!」
さながらアスリートのような千夜のしっかりとした呼び掛けに、完璧なタイミングで助走を付けるちとせ、その両名は長年の主従関係により合図も必要としない程に息が合っていた。
「さすが私の僕ちゃん」
振り返らずに短い言葉を千夜に掛ける。
バトンが千夜の手からちとせの手へと独りでに移動したのかと見紛うほど、流れるような動作で手渡された。
ちとせの走るレーンは少しのカーブと直線。
一着でバトンを繋いで、あとは逃げるだけだった。
別のレーンのアンカーの選手には玲音や菊地真がいる。
他も足に自信のある選手ばかりがアンカーを務めており、バトンが受け渡されるたびに会場のボルテージも上がっていく。
各チームのメンバーや観客の応援の声で埋め尽くされ、走っている選手の耳にも届いているはずだが、ちとせにはどうやら聞こえていないようだった。
自身の運動能力を底の底から引き上げるような集中力を発揮しており、自分以外が世界から消えたような極限状態だ。
ライブパフォーマンスで他の誰よりも目立っているような感覚に近く、本人はそれを認識しない。
ちとせが直前まで考えていたことは詩緒での恋慕。今の彼女にとって、それは何よりも優先されるべき、あるいは強制力のある事項であった。
リレーの最終節ではトップのちとせが他の選手に脅かされるどころか、追い抜かれて逆転を決められる展開が予想されていたが、まるで嘲笑うかのようにその評価を覆した。
何故ならちとせと他の選手の差は全くと言っていいほど縮まらず、あわやまだ離すかと懸念されるくらいの圧勝であった。
ちとせはゴール直後、我に返り、リレーの結果に対して盛り上がりに欠けてしまったかもしれないと反省しかけたが、詩緒との約束を思い出して関係ないと割り切った。
日々のレッスンのおかげか今回のリレーでは特に疲労で息が切れるということはなく、自身の体力が日に日に強くなっているのを実感する。
元々身体が弱いちとせにとって、アイドル活動で得た副産物であった。
「ふふっ……。ウタちゃんに何をお願いするか決めておかなきゃ♪」
モニターに映る優勝者の表情はファンでもなかなか見られない笑顔をしていた。
☆ ☆ ☆
男女とも全競技が終了し、運動会の表彰式が行われていた。
成績優秀者またはチームには、詩緒と夢子からそれぞれトロフィーなどの賞品を授与される。
閉会式も続けて行われ、事務所対抗運動会は盛況のうちに終わる。
メインイベントは終了したが、人によっては休憩時間の後に始まるライブがメインイベントになる人もいるだろう。
第一のイベントが終わり、会場の熱もそこそこに落ち着いてきた頃、裏では各出演者、運営スタッフによってライブ準備が進められており、詩緒たちも例に漏れず急いでライブの準備をしていた。
詩緒と他のメンバーはパーティションを挟んで、さらに簡易更衣室を設けてそれぞれスタッフに衣装合わせをしてもらっている最中であった。
「お疲れさま! みんな凄かったよ!」
ステージ衣装に着替えながら一仕事を終えた詩緒がメンバーに声を掛ける。区切られているとはいえ会話ができるほどの距離である。
先程まで仕事で散々喋ったはずだが、詩緒は喉が強いのかまだまだ苦も無く喋れそうである。
「ありがとー! やっぱ千夜ちゃんがMVPかなぁ」
仕切りの向こうから颯の声が聞こえてくる。
話題に上がった千夜からは特に反応がない。
「千夜さんもそうだけど、みんな良かったよ! 何かお祝いしたいし、僕に出来ることあったら言ってくださいね」
まるで自分が勝ったかのようにウキウキな詩緒の声音を聞いてちとせを始め、メンバー全員ほっこりとした気持ちになり、頑張って良かったと思うことができる。
「ウタちゃんてば気が早いね。りあむちゃんはウタちゃんの施しがあれば二週間は生きていられるから何でもいいっすよ。ていうか後で体操着の写真撮らせてよ。あれ、めちゃかわだし、ブルマも履いちゃわない?」
このりあむの提案を聞いていた他のアイドルやスタッフは平常を装い準備をこなしていたが内心では、一歩間違えればセクハラかもしれないがナイス提案だと考えていた。
「えぇ、ブルマ? うーん……さすがに僕には似合わないと思います。需要は分かっているつもりですけど、そもそも男子のブルマ姿に需要は無さそうだし、僕が着るとさすがにやりすぎというか、あざとくないですか? それにぴっちりしてるから、ちょっと……えーと、恥ずかしいかも……」
自分の口から陰部の事を言う訳にはいかなかったので、言葉を選んで最大限濁す。
詩緒の言い分を聞いて意外と考えているし一理あるな、と現場の人間は思ったが、それ以上に詩緒のブルマ姿に需要が無い訳がないだろうし、口には出さないが彼らも見てみたいと考えていた。
「まあ、そうかぁ。スク水もぴっちりで身体のライン出るからって着てもらえなかったし、しょうがないか」
りあむの発言で空気が一瞬固まった。
現場スタッフはスクール水着を着ないか提案されたこともあるらしい詩緒の性別に混乱する。
「あー、そんなこともありましたね。スク水もさすがに無理ですよ」
「股間の膨らみを抑える下着ならありますよ」
本人が気にしているのは下半身の膨らみが出てしまうことらしく、ぴっちりなのがネックになっていることを理解した詩緒担当の衣装スタッフの女性が教えると、パンツまで気を配っていなかった詩緒は目から鱗とばかりの表情を見せた。
「そういうパンツあるんですか? というか何で気付かなかったんだろう。教えてもらってありがとうございます」
急にこんな知識を与えて少し引かれるのではないかと身構えていた衣装スタッフは、詩緒の屈託ない反応に安心しつつも罪悪感を覚える。
「ウタちゃんのウタちゃんを隠すパンツがあるならブルマ着てみますか? 凪たちとお揃いで。みんなで着れば怖くない」
凪の提案に詩緒は考え込むように唸る。
みんなが着るなら仲間外れになるし、仮に記念撮影した時に一人だけ短パンだと逆に浮いてしまうだろうと想像すると凪の提案を断るわけにはいかなかった。
「……うん、みんなが着るなら着るよ」
その一言を聞いて、詩緒の周囲にいた人間は隠れてガッツポーズをする。
「その前にステージ成功させないとね!」
自分の昭和の体操服姿に期待されていることも露知らず、今は目の前のライブパフォーマンスへ集中する。
何よりプロジェクトメンバーとのライブに楽しみが抑えられない。
参加しているユニットが多いため、たった二曲のステージにはなるがメンバーそれぞれが売れている現状を鑑みれば、詩緒にとって十分な曲数である。
いや、二曲で満足できるかと尋ねられれば、当然満足できないと答えることは間違いない。
うずうずと気分の高揚を感じ、衣装合わせやメイクの時間が通常の倍くらい長く感じられた。
スタッフに準備ができたことを告げられると、詩緒は勢いよく席を立ち自分のアイドル姿を鏡でチェックする。くるくると回り、背中からの見栄えや、動きを付けて衣装の揺れや着心地を確認していた。
アイドルならばやっぱりこれしかないと、衣装が心身にフィットする感覚を覚える。
「皆さん、いつもありがとうございます」
詩緒がメイク担当やスタイリスト、現場ADなどにお礼を言うのは日常的な光景であり、いつも関わるスタッフは詩緒のそういった態度を知っているので、にっこりと表情を和らげていた。
既にメイク、衣装替えを終えていたりあむがパーティションを挟んで出てきた詩緒をまじまじと見て、にへらとだらしない笑みをこぼしていた。
「ウタちゃん、ツインテ似合ってるねぇ。ウタちゃんのツインテでしか摂取できない栄養があるから、週一くらいでツインテールにしよう! ていうかぼくが髪型のローテーション決めてあげるよ。月曜から、ポニテ、ツインテ、お下げ、サイドテール、ゆるふわウェーブ、ロングのストレート、ショートヘアね」
よくつらつらと髪型の指定が出てくるな、と半ば感心していた詩緒だが、髪型を毎日変えるのは大変なので愛想笑いをして話を流した。
無視すんなよぉ、と拗ねるりあむは詩緒の脇腹を細い指で突っつくと、くすぐったそうに身を捩じらせた。
「わっ! やめてくださいよ。……ひゃっ! またやった! ……ふっ! くすぐったい!」
やめてと言いつつも全然嫌そうな顔をしない詩緒。
彼を突っついた時の反応がりあむにとっては面白く、誰からも相手にされないようなだる絡みも延々と続けてしまいそうだ。
されるがままだった詩緒も、りあむのつんつん攻撃から逃れるために彼女の手を掴んで両手で握りしめる。
「も~、りあむさんやりすぎっ! この手が悪いんですね! もうちくちくしないでください!」
両手を封じられたにも拘わらず嫌そうな顔をしないのはりあむも同じで、うへへ……と、むしろ幸せそうな顔をしているのが傍から見てもすぐ分かる。
二人のじゃれ合う様子を見せ付けられて、現場スタッフは気が気ではなかった。
ただの友達としてのじゃれ合いなのか、詩緒とりあむはお互いをどのように認識しているのか、考えればキリがないが、スタッフを忘れて楽しんでいる二人が仲良しなことは明白である。
「ちょっと、りあむサン……未成年に手出すのはアレじゃない?」
「アレ!? 今アレって言った!? あかりちゃんもそんなに引かないでよぉ……」
「い、いえいえ、仲が良いことは良いことです……」
どうやらりあむが詩緒に手を握らせているのだと思われているらしい。
そんな勘違いに対し珍しくりあむは憤慨し、両手を振り上げる。
急に手を振り上げたため、その勢いで詩緒は驚きながら手を解いた。
「違うってばー! ウタちゃんがぼくの手を握ったの! だからりあむちゃんは悪くない!」
「うん、そんなに大袈裟に捉えなくても大丈夫だよ。りあむさんと遊んでただけだから」
詩緒のフォローも入ったことで二人の誤解を解くことに成功したかと思われたが、あきらは怪訝そうな顔でりあむを見てから溜息を一つ吐いた。
「ていうか、ウタチャンの悲鳴が聞こえてたから、りあむサン言い逃れできないよ」
そう言われたりあむは分かりやすく、げっ……という表情を見せる。
先程まで詩緒に責任を擦り付けようとした挙げ句、その彼にフォローされてしまったため余計にバツが悪い。
そんな狼狽えているりあむに、あかりは近付き、彼女の耳元に口を寄せた。
「というか何してたんですか? ウタちゃん『くすぐったい』とか言ってましたけど、脇腹でもつんつんしたんご?」
あまり周囲には聞こえないようにするための配慮であったにも拘らず、あかりはそこまで声を抑えておらず、普通に周りにも聞こえる声量となっていたことに気が付いていない。
しかしながら、りあむは美少女アイドルの顔が近くにあるという状況に興奮を抑えきれなくなっており、詩緒にやったみたいにあかりの脇腹もつい突いてしまった。
「きゃぁっ!? 何するんですかっ!?」
「あかりチャンの言う通り、ウタちゃんにもこうしてやったのさ。うへへ……」
詩緒とりあむがじゃれ合っていた流れを、あかりとりあむでそのまま再放送する。
微笑ましく眺める詩緒と、こりゃダメだと額を手で押さえるあきらは二人を止めるようなことはしない。
しばらくするとメンバー全員の衣装替えも終わり、ステージへと向かう。
りあむは相変わらずだらしない笑みを浮かべており、あかりは少し疲れた様子である。
「同じステージに立つの何時振りだっけ?」
詩緒の隣を歩くちとせが彼に尋ねる。
「半年前にやった野外ライブ振りじゃないですか?」
「あー、あれね。もう懐かしさすらあるよ」
上をチラッと見て思い出すような仕草をとるちとせ。
同時に思い出したことがあるのか、閃いたように目蓋を開き、すぐに何か企んでいる時のような、にんまりとした笑みを浮かべると、詩緒の肩に腕を回して自分の口元に彼の耳をぐいっと引き寄せた。
驚いてよたよたとよろめく詩緒をしっかりと支えながら、ルージュで艶めかしく潤ったリップを震わせる。
「優勝のご褒美くれるんだよね?」
彼の耳に当たりそうなほどの距離で、ぼそぼそと呟かれる音の振動はぞわぞわと鼓膜を通い、吐息のこそばゆさと併せて、まるで脳を直接揺さぶるほどの甘美な刺激に感じられる。
その鮮烈な刺激に詩緒は肩をびくりと竦めて一瞬硬直した。
おぼつかない足取りをどうにかしようとしたが、転びそうになったところを再びちとせが支えてくれる。
抱き付くような形になり、詩緒の脳内で慌ただしく警鐘を鳴り響かせるかのように、彼の健康体に異常な信号をバンバン送り届けていた。
顔は沸騰しそうなほど熱く、動悸は倍くらいのスピードに跳ね上がり、耳は真っ赤に変色する。
詩緒が顔を上げると、ちとせと目が合ったが、今までの比では無いほど彼女が綺麗で美しく見える。
パチパチと短いうちに数回の瞬きをしても、ちとせの存在感は変わらない。
深紅に染まる瞳に魂を吸い取られそうな錯覚まで覚えて、詩緒は咄嗟に目を逸らした。
「ご、ごめんなさい! あはは……ご褒美何がいいですか?」
慌ててちとせと距離を取りながら、抱き着いてしまったことを謝った。
自分の心身の異常に戸惑いながらも普段通りの会話を心掛けて、乾いた笑いをした後、ちとせの質問に質問で返した。
いつもの彼ならこんなことでは謝らないし、むしろ抵抗なく抱き着いているはずだった。
「んー、じゃあ私のモノになってよ」
大胆過ぎる願望を聞いて、詩緒はまた息が詰まりそうな感覚に陥る。
目を合わせられない。合わせたら何でも聞き入れてしまいそうになる。まるで魔法でも掛けられたかのように、彼女に魅了されてしまっている自分がいることに気が付いた。
「……それはダメです!」
了承しかけたが寸でのところで断った自分を褒めてやりたいと詩緒は思った。
「借り物競争の時にも言いましたけど、アイドルとしての活動がすごく楽しいんです。まだ皆のアイドル水上詩緒でいなきゃ、そうしなきゃ自分のこと嫌いになっちゃいそうで……。上手く言えないんですけど、アイドルとして全て満足いく結果になったら、その時は……ちとせさんのモノにしてもらえますか?」
ぼやけるような視界で、ふんわりとした思考で、ちとせに対して精一杯の誠意を見せて詩緒は答えた。
その時にはもう目を合わせられるようになっており、彼の真っ直ぐな瞳を直視できなくなるのはちとせの方であった。
彼女は詩緒の意思を尊重し、詩緒をどうにかしたい衝動を抑えて、彼から少し距離を置いた。
「……じゃあ、待ってるから。ウタちゃんも待っててくれる?」
「当り前じゃないですか!」
狼狽えている詩緒もいいけど、やはり屈託ない太陽のような詩緒が好きだと、ちとせは改めて実感する。
「でも、その前に皆とのステージを楽しみましょう!」
眩しいほどに明るい彼に照らされて、たとえ暗闇の中にいても自分は輝いていられそうだと、ちとせはふと思う。直後に、我ながらポエムみたいでキャラではないなと自分で自分を馬鹿にした。
とにかく今は仲間たちとステージを楽しもうと考えるちとせだった。
☆ ☆ ☆
イベント直後のライブでは、演者の体力は勿論だが、それよりも観客の体力が持つかどうかが懸念されていた。
そしてその懸念は先頭ユニットの一曲目で吹き飛ばされることになるとは誰も思わなかっただろう。
ステージを覆っていた簡易的な暗幕が降りて、美城プロダクションの中では新人となるメンバーで構成されたプロジェクト、その名もプロジェクトミーティアがこの運動会直後のライブのリードオフマンを務める。
今回の優勝者、そして今人気の男の娘アイドルの登場で会場のボルテージは既に最高潮に達していた。
ステージ上でのパフォーマンスは完璧であり、待機している他の出演者たちもステージ上のミーティアメンバーに見入っている。
取り分け注目を浴びているのはちとせと詩緒だ。
前回のライブで魅せたパフォーマンスよりも、今日のそれは格段に人目を惹いている。
いつものステージ上ではライバルとなる他の六人のメンバーの存在感よりも詩緒とちとせの存在感は大きく見えている。
ライブを観ている人も彼らを目で追ってしまう。
例えフォーメーションが変化しても、ステージ中央から外側へ移動しても、他のメンバーのパートだったとしても、この二人から目が離せない。
とにかく、見ていて琴線に響くものがあるようだ。
ステージ上で二人が向き合う。
この瞬間の支配感は過去の彼らのライブを参照しても、これまでにないベストなワンステージだという確信がファンの心に刻まれる。
意思疎通をしているような、息の合ったパフォーマンス。
いつものメンバー同士は仲間として支え合いながらも、ライバルとして競い合って、食らい合うような負けん気を全面に押し出したステージの盛り上げ方をしているが、今回は違った。
それぞれのライブに対する気迫、観客を楽しませようとするアプローチの仕方で盛り上げるのではなく、完全に詩緒とちとせの空間を作り出している。
歌は、ちとせの主旋律に詩緒が見事な重音を合わせており、詩緒の主旋律にもちとせが合わせることで、完璧なハーモニーを奏でている。
ダンスに至っては一分の狂いも無いタイミングでシンクロしており、二人から目が離せない理由を強固にしていた。
今二人はとんでもないパフォーマンスをステージの上で行っている。
ファンもまるで初めて見るような完成度で、今までのパフォーマンスは最高ではなかったと気が付いた。ただ、この評価は正確ではなく、確かに今までのパフォーマンスでもこれほどか、というくらい最高なステージはあったが、まだ他の最高を隠し持っていたのだと改めて知ることができたのだ。
観ている一部の人々の目からは涙がこぼれる。
最高のパフォーマンスを魅せられた時、胸の奥から熱いものが込み上げてくる人が一定数いる訳で、言葉として吐き出せない感情は涙となって出てくることがあるのだ。
それは決してファンに限った話ではなく、ステージ上のアイドルにも同じことが言える。
何故ならこの瞬間の詩緒とちとせも、目尻に溜めた涙が汗と共に流れていったからだ。
なおもパフォーマンスは落とさない。
一緒にレッスンをしたのだって一週間ほど前の出来事だったにも拘わらず、ここまで心が通じ合っていることはなかった。
二人の関係性が一歩進んだことで、ライブにおいて新たなメッセージ性を持たせることができたのだ。
プロジェクトミーティアのライブが終わる。
中心にいる二人はまさに本日の主役に相応しく、他のメンバーは雰囲気に飲み込まれたと思うと同時に、今までにないステージだと実感していた。
メッセージの受け取り方は人それぞれだ。
しかし、それを受け取る側は今日のステージを尊いことのように感じるのだ。
☆ ☆ ☆
「みんな、お疲れ様!」
プロジェクトミーティアの仕掛け人、基プロデューサーの神保が労いの言葉を掛ける。
「いやぁ、総合優勝なんてよく取ったね。正直無理だと思ってたよ」
それなりに長く続く彼らの関係性は、プロデューサーの敬語が抜けるほどには親しくなっており、忖度のない言葉も当然投げかける。
「不可能を可能にするのがりあむちゃん達ってわけ。ウタちゃんっていう勝利の女神もいるからね」
「勝利の女神じゃなくて一般的な男子高校生ですけどね」
詩緒は訂正するが、一般的な男子高校生なわけがないだろう、と視線だけで訴えてくるメンバーと苦笑する神保。
「今度はウタちゃんも一緒だといいですね」
「やー、でも僕がいたら間違いなく優勝できてなかったから」
凪が詩緒に声をかけるが、当人はあまり乗り気ではないようだ。
ツイッターでも、もし詩緒がいたら、というIFの世界線の話が多々あったが、どれも散々な言われようであったのを先ほど確認していた。
仮に詩緒が女子の部で参加していたとしても、競技の結果において嫌な顔をする人はいなかっただろう。
「女子と見せかけて男子の俺。運動会で無双するかと思いきや……」
「なろう系小説のタイトル風に言うのやめて……」
実際に自分があの場にいたらと思うとゾッとする詩緒を余所に、神保がメンバーへ呼びかける。
「これから合同の打ち上げあるみたいだけど、君らはどうする? 朝からイベントで疲れてるだろうから、帰りたい人がいればいったんここで解散にしよう。」
打ち上げのお誘いがあったことを伝えると、颯の目の色が変わる。
中学生にとっての打ち上げとは、いわゆるパーティーと同じ響きであり、自分よりもお姉さんなアイドルや大人がたくさんいるということであれば、憧れを抱くのも無理はない。
「行きます! 行きまーす!」
ゆえに元気よく手を上げるのは好奇心旺盛な颯である。
颯が行くのであれば必然的に凪も、やれやれ、と肩を竦めて両手のひらを上に向けながら参加の意思を示した。
「颯と凪が来るなら二十一時までには引き上げて寮に送って行かないとな」
「Pタクシー。送迎いつも助かります」
凪にとっては足扱いという不憫なプロデューサーは任せろとでも言うように、親指を立てて凪に応える。
「他には誰が来るんですか?」
尋ねたのは詩緒で、神保は少し意外そうに目を瞬かせた。
イベントの後など、特別でない日は基本的にいつも帰るため、彼にとっては特別なイベントとなったようで何よりだと思い、神保は微笑みを浮かべると、詩緒と関わりがあって、なおかつ打ち上げに来そうな参加者をつらつらと列挙する。
詩緒はふむふむと頷いて少し考えた後に、じゃあ行きます、と言った。
誰が来るかを把握したうえで参加を決意するというのも詩緒にしては珍しいことだと思い、神保は聞き間違えではないかと再度確認する。
「うん、冬馬くんや玲音さんも来るみたいだし、僕も行きたいです」
詩緒も来るとなれば、当然ちとせが黙っておらず、詩緒に悪い虫が付かないように見張らなければと使命感に燃えている。
そんな主に冷や水を被せなければならないのが千夜の役目であり、彼女の参加はほぼ強制と見て間違いないだろう。
アイドルあるところにはりあむも馳せ参じないわけにはいかず、あきらも颯と同じように乗り気だった。
最後に、みんなが行くなら、と控え目にあかりが挙手する。
「全員参加も珍しいな……」
呆気に取られた神保だったが、自分の計画したプロジェクトのメンバーが久しぶりに全員集合する状況には、さすがに胸が躍るようだった。
神保が今日使っている社用車は九人乗るには少々狭かったが、駆け出しの時の気分を味わうと同時に、ファンだけでなく彼女たちの笑顔も見たかったという、プロデューサーのちょっと我儘で小さなお願いも同時に叶えることができたようだ。
「楽しそうですね」
助手席に座る詩緒が神保に話しかける。
「ああ、全くな」
後ろの座席で、疲れも知らずに騒いでいるアイドルたちをミラー越しに確認して、相槌を打った。
「神保さんのことですよ!」
詩緒の予想していなかった発言に、神保はきょとんとして、横目で詩緒を見たが、その表情は見る者を魅了するような笑顔であった。
「……まあ、そうかもしれないね」
そうして神保は全員を乗せた車のアクセルを踏み込むのだった。
了
【おまけ】
プロジェクトミーティアについて語るスレ Part○○
1:名無しの346ファン ID:a6WF+z3fb
主にプロジェクトミーティアを応援しています。
美城プロダクションのアイドル部門について語るスレです。
※誹謗中傷や個人情報等の書き込みは控えるようお願いします。
前スレ プロジェクトミーティアについて語るスレ Part○○
[URL]
次スレは>>950が立ててください。
2:名無しの346ファン ID:z/ns9nhEz
立て乙
そしてミーティア優勝おめでとう!
3:名無しの346ファン ID:b/fB0t1AY
おめでとう!
4:名無しの346ファン ID:PDumJ89ep
おめでとう!
5:名無しの346ファン ID:dapP5qPKq
ちとせお嬢様すげぇ足速くなかった?
一番体力無いって聞いたことあったけど嘘でしょ?
6:名無しの346ファン ID:oNdrCtmdD
ラジオかなんかで聞いたことあるわ
千夜ちゃんも大概だったけどな
7:名無しの346ファン ID:ELMBfo4LV
あの二人スペックおかしいわ・・・
でもチーム優勝は正直意外だった
他にももっと強そうなところあったからな
8:名無しの346ファン ID:kc1Dauos/
確かに。前回は765プロだったし、今年の961プロも強そうだった。
9:名無しの346ファン ID:r4YBiNOWl
ミーティアは運動ダメだったの夢見だけだったなw
他は久川姉妹と砂塚も標準以上だったし、辻野、白雪、黒埼は頭一つ抜けてた
10:名無しの346ファン ID:GWdc+ro8r
千夜ちゃんは何でもできるし、スペック高すぎる
11:名無しの346ファン ID:Ic+mccxkY
ちとせはあれで病弱なのおかしいだろ
そういう設定なのか?
12:名無しの346ファン ID:3l0tSaT19
設定とかじゃないよ
どっかで聞いたけど、いつかのライブでぶっ倒れたらしい
13:名無しの346ファン ID:sPCVvEJME
多分年末の24時間ライブのやつだ
階段から落っこちたちとせをウタちゃんが庇って、裏で二人とも運ばれたらしい
14:名無しの346ファン ID:YVmMo7WaS
ウタちゃん漢だな
15:名無しの346ファン ID:FrzD+mw7W
ホントにかっけぇよ。。。
16:名無しの346ファン ID:v3nnzsjax
そういや骨折って休止してた時期あったな
出れる仕事は出てたみたいだけど
17:名無しの346ファン ID:7EkgmplCR
今回の勝因は詩緒がいなかったことだろ
18:名無しの346ファン ID:3N/AJho8G
>>17
草
19:名無しの346ファン ID:hVYUJtf0a
>>17
間違いないw
20:名無しの346ファン ID:F+VNCeQxe
ウタちゃんいたら最下位すら見えてる
21:名無しの346ファン ID:DUBOzbYzY
ダンスはあんなに上手いのに、何でそんなに運動神経悪いの?
[URL]
22:名無しの346ファン ID:getlC0eWy
>>21
走り高跳びのウタちゃんいつ見ても笑えるwww
23:名無しの346ファン ID:3qqfMAmSS
>>21
wwwwwwww
マジで可愛すぎるだろ
24:名無しの346ファン ID:xV00h6/2U
>>21
どうやったらそんな突っ込み方出来るんだよwww
25:名無しの346ファン ID:FsTTbxiGc
>>21
前に回転して背中から棒に当たるの人間技じゃないw
26:名無しの346ファン ID:lrIEXu3ny
>>21
これほんま草
27:名無しの346ファン ID:3Vzd6VMnT
>>21
可愛いのずるじゃん
28:名無しの346ファン ID:SyOAKOgT+
何でこいつダンスはできるんだよw
29:名無しの346ファン ID:72hGYYhrs
ダンスは超練習してるらしいから上手いけど、運動神経は一向に良くならないの不思議
30:名無しの346ファン ID:35sNtx6qb
体勢綺麗すぎるwww
31:名無しの346ファン ID:84+EhV8Jh
これベリーロールでも背面跳びでも無いし
どうやって越えようとしたんだろうか・・・。
32:名無しの346ファン ID:f/hmWt+Li
越える気さらさら無いだろwww
33:名無しの346ファン ID:PJEXYx5A0
まじで白雪、黒埼がいなかったら負けてたな
34:名無しの346ファン ID:b9EesM4D5
ウタちゃんは借り物競争で活躍したから・・・
35:名無しの346ファン ID:THGXpaALb
借り物競争良かったな
真っ先にウタちゃん借りに行くのメンバーの仲の良さを感じた
36:名無しの346ファン ID:s42rtb/By
できすぎて最初台本かと思ったわ
37:名無しの346ファン ID:jILRwA8wS
台本説はまあある
でも帰りちょっと遅くなかった?
38:名無しの346ファン ID:J5x2fQRGq
そんな急いでる感じなかったし、帰り際にイチャイチャしてたんだろ
39:名無しの346ファン ID:ACWr7kyvC
>>38
あら^~
40:名無しの346ファン ID:NkHfxYYuz
いや百合じゃないだろ
41:名無しの346ファン ID:KngzyzyH0
実質百合だろ
42:名無しの346ファン ID:Hq8ZEECX5
百合だよ
43:名無しの346ファン ID:QDQERMqYb
ウタちゃんは女の子だからね
44:名無しの346ファン ID:UKJJBbjaI
男だぞ
45:名無しの346ファン ID:/AP1ioFqW
どっちだよ
46:名無しの346ファン ID:2ic9AbGSr
それデビューしてからずっと言われ続けてるよ
47:名無しの346ファン ID:AebYDrfLz
また水上の話ばっかになってるなぁ!
りあむが一番よかったに決まってるだろ!
出る競技ほぼドベの割には一番会場盛り上げて確実に爪痕残してたよな!
もっと目立ってそのうえで大恥かいてほしいわ
ていうか次の総選挙りあむしか勝たんだろ
りあむ以外入れたやつまじで終わりだよ
48:名無しの346ファン ID:pl4YQKLkk
出たりあむ好きすぎるやつ
49:名無しの346ファン ID:kdOPNpkSs
りあきちきたあああああああああああああああああ!!!!!!
50:名無しの346ファン ID:J1BWHaNQn
リアル基地外みたいな略し方だなりあきち
51:名無しの346ファン ID:j3j8c3JTi
その略語で合ってるよ
52:名無しの346ファン ID:MUvSgG3XT
ウタちゃんに入れたいけどまた欠番ってマジ?
53:名無しの346ファン ID:uokALLunP
男だからしょうがない
54:名無しの346ファン ID:0NmIVSu05
今度初めてミーティアの握手会行くんですけど、誰に行ったらいいですか?
55:名無しの346ファン ID:Egsb/3X71
>>54
自分の好きな人のところ入ったら?
ここでそんなこと聞くと自称ファンの鬱陶しい奴ら沸くぞ
56:名無しの346ファン ID:cjt4FAA5B
>>54
自分が話してみたい人にいけぇ
57:名無しの346ファン ID:jWkvZJKUW
>>54
初めてなら見た目がタイプな子に行くのが定石だが、
基本的にファンは推してる子がいるからその子に会いに行く
決められないんなら全員に入ったことのある俺が教えてやる
58:名無しの346ファン ID:quNWHamBO
>>57
猛者来たw
59:名無しの346ファン ID: 0NmIVSu05
>>57
お願いします!
60:名無しの346ファン ID:jWkvZJKUW
ちとせ嬢は人間離れしているほどの美人だから緊張するかも、でも見た目よりも大分フレンドリーでとっつきやすいぞ。
ただお身体が病弱なので長居はできないみたいだからメンバーの仲ではレア度高い。周回が難しい。
千夜は見たまんまクールビューティって感じで、握手してお礼してさよならっていうテンプレ通りの握手会だから期待感は少ないかも。
にこやかな表情も少ないが、顔を覚えられると笑顔で罵られることもあるらしい。
久川の妹のはーちゃんは元気印だが対応は丁寧。
リアクションも上手に取ってくれるし、話していて絶対に楽しいタイプだ。間違いなく学校でもモテる。
逆に姉のなーちゃんはダウナー系な感じかな。
たまに会話が成立しないこともあるが、本人は気にしない性格だからなーちゃんの劇場を楽しみたい人向けだな。忘れられない数秒になると思う。
あかりんごもはーちゃんとタイプが似てる感じ。
けど気を付けろ。隙あらば山形林檎とりんごろうを薦めてくる。しかし嬉しそうに話すから何か応援したくなっちゃう。帰ろうとしても握手した手を離さずに布教してくるから、ちょっとお得。
あきらもなーちゃんとはまったく違ったタイプのダウナー系って感じ。
配信を見てた古参アピールをすると一段階声のトーンが上がるのが可愛い。
普段はマスク込みでおしゃれしてるけど、マスク無しの時はギザ歯が見れるかも!?
りあむは初対面でも距離が近いからドキッとするぞ。普段の言動の割には近くで見るとかなり可愛いからなおさらだ。握手できることに感謝しろだのと傲慢なことも言うが、最後は「また来いよ」って手のひら返すのがりあむらしいし、周回したくなる。
水上は特筆すべきことはない。男だし、並ばない方がいいよ。女性が列に多いしアウェイだから。
61:名無しの346ファン ID:prYlSEonZ
>>60
りあむまで良レビューかと思ったら最後なんだよw
62:名無しの346ファン ID: 0NmIVSu05
>>60
ウタちゃんって握手会だとそうなんですね
63:名無しの346ファン ID:BPCpuYgsp
>>60の通り
マジで詩緒はやめておけ
64:名無しの346ファン ID:K3Hs6ZhbO
>>60、>>62、>>63
こいつら結託してウタちゃんの列に並ばせないようにしてるだけだろ
65:名無しの346ファン ID:67fK7cj5a
ウタちゃんの握手会は知ってる人なら知ってるが、メンバーの中でも頭一つ抜けて行列になってる。マジで神対応。
66:名無しの346ファン ID:ka6Cp7Y58
ワイもこの前ウタちゃんに行った。その日は猛暑で汗がヤバかったんだが、握手だけじゃなくて、団扇で扇いでくれたし、タオルで汗も拭いてくれた。しかもずっと笑顔だったからもう秒で落ちました。時間過ぎてたのに感謝しかない。
67:名無しの346ファン ID:u3LaylSxZ
スタッフどうしてたんだ?
68:名無しの346ファン ID:fkX3ptSzp
ウタちゃんがちょっと待ってもらうように言ってるの見たことある
69:名無しの346ファン ID:RRgACnBlA
引き剥がしのスタッフも困るやろ
詩緒ってちょっとわがままなところあるな
70:名無しの346ファン ID:5aFSCa94a
わがままって程じゃないと思うけどね
初対面でも本当に優しいし、距離感近い子だから
まあ長蛇の列の理由は一人当たりの対応が長いことなのは事実
でも握手一回の満足度めっちゃ高いね
71:名無しの346ファン ID:/i1rGLE56
ウタちゃんは握手だけじゃなくて、それ以外のサービスが豊富過ぎ
たまにサービスの内容の有無とランクで詩緒ガチャとか呼ばれてるしな
72:名無しの346ファン ID:5ertv5xiF
この前俺にもひそひそ声で話してくれたのは詩緒ガチャだったのか!
ちなみに耳元で囁いてくれるのはどれくらいのレア度なの?
73:名無しの346ファン ID:VdqNaqOeT
>>72
お前を○す
74:名無しの346ファン ID:8q0MR6uKB
>>72
覚悟はいいか?
75:名無しの346ファン ID:zv3/iGREH
殺意の波動がヤバくて草
>>72のおかげで囁きはSSレアであることが分かったなw
76:名無しの346ファン ID:qnskWBHWm
他にはないんか?
77:名無しの346ファン ID:DSBmKDEUU
ガチャ報告はいろいろあるよ
まあ嘘だと思うなら自分の足で確かめてみるしかないね
78:名無しの346ファン ID:remEIirbq
ていうか運動会の仮装レース思ったのと違ったけど想像以上に良かったな
他のアイドルの衣装借りて着るの熱すぎた
79:名無しの346ファン ID:8VpsG1b/Z
颯が283プロで、凪が765プロだったか
そんな世界線もあったかもしれないと思うと確かに熱いな
80:名無しの346ファン ID:y/MH78V7e
凪のヴァンパイガールの衣装と言えばさっきツイッターにこんなのアップされてた
[URL]
81:名無しの346ファン ID:A7zZrWW1s
>>80
は?何だそれ?
この子らヴァンパイアガール踊れるんか
可愛すぎるだろ!!
82:名無しの346ファン ID:NP1/BM6/G
美味しそうな男の子はウタちゃんなんだよなぁ・・・
83:名無しの346ファン ID:TvO+W69aE
ちなみに三人とも「きゅーん」のところがお気に入りらしい
[URL]
84:名無しの346ファン ID:cpWVxqXac
>>83
ありえんほど可愛い!
85:名無しの346ファン ID:ZuB+fmQEV
遊びでやってるということはこれ以外にもバリエーションがありそう
つーか、自分らの曲も仕上げつつ他の振り付けも覚えるの凄すぎだろ
86:名無しの346ファン ID:FAPY0UzRM
まじでこの男の子食べちゃいたい
ていうか開発しまくってメス堕ちさせたい
87:名無しの346ファン ID:xc10fiGkI
きっしょい人がおるな
88:名無しの346ファン ID:K79aUuy0W
でも仮にメス堕ちさせちゃったら他の女の子と変わらなくないか?
89:名無しの346ファン ID:VRqaEhVHA
>>88
いや変わる
90:名無しの346ファン ID:dh7mk0K8A
彼女たちが他の曲踊ってるところ見たいよな
91:名無しの346ファン ID:FTOXZEgP0
そういえばPM*1内での恋愛事情ってどうなってんだろうね実際
誰がウタちゃんとくっ付くのか……
92:名無しの346ファン ID:QJj3STvCS
案外誰ともくっつかないで一般の女性だったりしてね
93:名無しの346ファン ID:0p1rFjnnB
やっぱ辻野か白雪じゃね?
年齢近いし
94:名無しの346ファン ID:Mr7GWWlbj
年齢は皆近いだろw
今日のライブの感じだとちとせ様が波長合うと思うけどね俺は
95:名無しの346ファン ID:pachpeOhK
>>94
わかる
今日のおまけのライブは特別に二人の存在感凄かった
ちなみにウタちゃんはチアでも素晴らしい働きをしたと思う
96:名無しの346ファン ID:j3/+fzhWQ
そんな働きだのなんだの難しいことは置いておいて、とにかく可愛ければヨシ!
97:名無しの346ファン ID:NFjFGQFjR
大穴で天ヶ瀬冬馬
98:名無しの346ファン ID:I+6bUk8sN
詩緒と冬馬は仲良いでしょ
99:名無しの346ファン ID:IAebYDrfLz
りあむにだけは手を出したら許さん
100:名無しの346ファン ID:RN1Vvifu9
>>99
相変わらずだなw
また思い付いたら何か書きます。