五等分の家庭教師   作:ドラしん

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こんにちはドラしんです。

結構無理矢理過ぎたかな?でもこのままいくとダラダラと永遠に書き続けられそうだったのであえて区切りをつけました。

原作と違う部分が結構ありますので、そこをふまえてご覧ください。

それでは第2話始まります。


懐かしき前世の記憶②

一花と別れ絶賛絶望中の俺は、昼食が一向に進まないまま策を練っていた。

 

このままじゃいけない…

 

全ては妹の為、借金返済の為、妹の為…とりあえず何が何でも家庭教師が行える所まで行かなければならない。

…ん?今妹の為が重複した様な気がするがまぁ気のせいだろう。

 

「上杉さん」

 

一先ず五月に許してもらう事が絶対条件だ。

 

ただでさえ低い好感度がさっきの出来事で地に落ちた。このままではいけない。

 

「うーえすーぎさーん」

 

家庭教師の顔合わせは今日…俺に時間は残されていない…

 

ならば放課後五月が一人になった所を見計らって…

 

「うーえーすーぎーさーん!!」

 

「…ん?」

 

何か前方から声がした様な…

 

すっかり考え込んでいた俺の耳に入る微かな声。

 

何も考えずに顔を上げたその時、そいつはいた。

 

「あ…」

「…」

 

初めて間近で見る女の子のドアップ。

 

良い匂いがする…睫毛長い…目が綺麗だ…っ…じゃなくて!!

 

「うわ!ドッペルゲンガー!」

 

突然の出来事に俺は思わず仰け反った。

 

一瞬見惚れた気がしたが気のせいだ。そうに違いない。

 

「…ドッペルゲンガー?」

 

俺の咄嗟に発した言葉がよく分からなかったのか首を傾げながらこちらを見つめる少女。

 

「…いや、何でも無い」

 

説明するつもりも無い為、忘れろと付け足し口を閉じる。

 

…にしてもまさか別のドッペルゲンガーが俺に話し掛けてくるとは思わなかった。

 

一花よりは長めの髪に特徴的なデカイリボン。

 

こいつも間違い無くあのドッペルゲンガー組の中にいた。

 

てか友達と話してたんじゃないのかよ。

 

「にしてもやっと気付いてくれましたね」

 

柔らかな笑みを浮かべながらこちらを見つめる少女。もといドッペルゲンガー2号。

 

ここで俺は2号の発した言葉に少し引っ掛かった。

 

「…やっと気付いてくれた?」

 

「そうですよ。ずっと話し掛けていたのに全く反応無いんですもん。本当に気付いてなかったんですか?」

 

…マジか…それは全く気付かなかった。

 

「すまない。考え込むと周りが見えなくなる癖があってな」

 

俺は申し訳なさそうにそう言うと、2号は「そうですか。なら仕方ありませんね」と笑いながら言った。

 

ふむ…一先ずは五月や一花よりもまともそうで良かった。

 

「で、俺に何の用だ」

 

「あ、そうでした」

 

2号はそう言うと、俺の目の前に2枚のテスト用紙を出してきた。

 

「さぁ、あなたが落としたのはこの100点の答案ですか!?それともこの0点の答案ですか!?」

 

前言撤回。

 

全然まともそうでは無かった。

 

勿論俺のは100点の答案だ。知らない間に落としたらしい。決してわざとでは無い。

 

となればもう片方の0点の答案は恐らく…

 

俺はチラリと2号の顔に視線を向ける。

 

無邪気に自分の100点の答案と恐らく2号の物と思われる0点の答案を堂々と俺に見せ金の斧銀の斧もどきを楽しんでいる。

 

とりあえず素直に答えてあげるか。

 

「右」

 

「正直者ですね!正直者なあなたには両方差し上げます!」

 

「いらねぇよ!」

 

笑顔で2枚とも差し出す2号に俺は思わずツッコむ。

 

どこの世界に0点の答案が欲しい奴がいるんだよ!

 

ていうか0点の答案なんて初めて見たわ。

 

「念の為聞いとくがこの答案は?」

 

「私のです」

 

「やっぱりか…」

 

どうやら俺の予想は当たったらしい。

 

最初はまとな奴かと思えば0点の答案を恥じらいも無く初対面の奴に見せてくるヤバい奴だった。

 

チラリと答案に書かれてる名前を見るとそこには【なかのよつば】と書かれていた。

 

…高校生になっても名前平仮名かよ。今時の小学生でも漢字で名前を書くぞ。

 

「とりあえずそれいらないから」

 

俺はサッと食事を済ませると、その場から逃げる様に食堂を去っていった。

 

「…にしてもあいつ何処かで見た事ある様な…」

 

ふと思い出すのはドッペルゲンガー2号ことなかのよつばの顔。

 

何処かで見たと言われれば顔がそっくりな一花や五月になるのだがそれは違う。それよりもっと前に会った気がする。

 

ふと脳裏に浮かぶのは6年前、京都の修学旅行で会った白いワンピースを着た少女。

 

勉強が嫌いで、悪ガキだった俺を変えてくれた可愛らしい少女の顔だった。

 

「…まさかな」

 

何となくあいつの雰囲気があの少女と重なった気がした。

 

でもあくまでも気がしただけだ。

 

気のせいだと割り切り俺はそれ以上その事を考えるのをやめた。

 

そうだ。俺にはもっと考えなければいけない事がある。言わずもがな家庭教師の事だ。

 

こうなりゃヤケだ。放課後、家庭教師の顔合わせの時間の前に何としてでも五月と接触する。何としてでもだ。

 

そう決めた俺は小さく気合を入れると、決戦の放課後に向け作戦を立てるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

放課後になってからの俺の行動は早かった。

 

いち早く五月の姿を視界に入れ、一人になる瞬間を待つべくひたすらに後を付けた。

 

…あれ?よく考えればこれってストーカーなのでは?

 

…………

………

……

 

いやいやいや何を考えてる風太郎。ここまで来たら形振り構っていられない。

 

俺には時間が無いんだ。これも妹、借金、妹の為。

あ、また妹が重複したな

 

一先ず五月が動けば俺もこそこそと動く典型的なストーカーと化した俺は、ひたすらにチャンスを伺った。

 

傍から見れば犯罪予備軍…いや、もはや犯罪者に見えてるだろう。

頼む誰も通報しないでくれ。

 

そんなこんなでしばらく五月を付け回していても一向に一人になる気配が無い。

 

それは五月がドッペルゲンガーの友達とずっと一緒だからだ。

 

「…くっ…邪魔だなあいつら…」

 

一花や四葉とは違うドッペルゲンガー。

 

ヘッドフォンを首につけたあまり表情の変化の無いドッペルゲンガー3号と、髪の両サイドに黒いリボンを付けた気の強そうなドッペルゲンガー4号。

 

てか今日1日でドッペルゲンガーという単語をめちゃくちゃ言ってるな。

 

もう一生分のドッペルゲンガーを言ったんじゃないか?…いやいや一生分のドッペルゲンガーって何だよ。ああドッペルゲンガー。

 

何はともあれこのままじゃ五月と接触出来ない。

 

どうにかして引き離さないと…あれ?

 

一瞬五月達から目を離した俺が直ぐ様視線を戻すと、一つの違和感に気付いた。

 

一人足りない…

 

ヘッドフォンを付けてたドッペルゲンガー3号がいない。

 

辺りをキョロキョロ見渡してもその姿は見当たらない。

 

そして再び正面に視線を戻したその時だった。

 

「…」

「…あ」

 

こちらをじーっと見つめる3号と目が合ったのは。

 

「一人で楽しい?」

 

無表情で放たれたその言葉はどういう感情で言っているのかは分からない。

 

とりあえず今出来る事は慌てずに質問に答える事。

 

ここで慌てるのはクロのやる事だ。

 

俺は冷静を装いながら3号の質問に答えた。

 

「割とね。こういうのが趣味なんだ」

 

「ふーん」

 

眉1つ動かさずに言う3号。

 

何だこのドッペルゲンガー…全く何考えてるか分からん…

 

「女子高生を眺める趣味…予備軍」

 

3号はぽつりとそう言うとスマホを取り出し操作し始める。

 

まさか…

 

「あの無言で通報するのやめて。そういうのじゃないから」

 

俺がそう言うと、3号の動かしていた指がピタリと止まった。

 

危ねえ…あと少し遅かったら俺の人生詰んでた…

 

いやもう詰みかけてる気がしないでもないが。

 

「後、友達の五月ちゃんに言うのもやめてくれ」

 

我ながら図々しいお願いだ。

 

ストーカー紛いの事をしておいて都合の良い方向に持っていこうとしてるんだから。

 

3号は少し考える素振りを見せると、俺の抱えてるやむを得ない事情を察したのか

 

「分かった」

 

と一言だけ言ってその場を離れるのだった。

 

「…ふー…何とかなった…」

 

こんなに冷や汗をかいたのはいつ振りだろうか。

 

中学の時のリレーの時以来かもしれない。

 

一息ついてると、目の前に3号が立っている事に気付いた。

 

「うおっ!あんた行ったんじゃないのか?」

 

「一つ、訂正しておこうと思って」

 

…訂正?俺は今から何を訂正されるのだろうか。

 

まさか本当は既に通報していたとかいうオチか!?それならもう終わりだ…俺の、上杉風太郎という人生はこれで幕を閉じるんだ…

 

くそ!こんな事なら一度でも良いから焼肉定食の焼肉有りを食べておくんだった!

 

「別に友達じゃないから」

 

「…え?」

 

頭を抱えてる俺に掛けた言葉は、予想外な物だった。

 

「…友達じゃないとは?」

 

俺は思わず聞き返していた。

 

とりあえず通報されていた心配は杞憂に終わりまたホッと一息つきたい所ではあったが、それよりも俺は3号のその言葉の真意が気になった。

 

「…五月ちゃんの事か?」

 

口を開かない3号に痺れを切らした俺は、予想で直接聞いてみた。

 

すると3号は小さく頷き、もう一人のドッペルゲンガーを指差しながら言った。

 

「あの子も違う」

 

相変わらずの無表情で淡々と言う3号に俺は何も言う事が出来なかった。

 

…どうやら女の子同士の人付き合いも思ったより大変らしい。

 

3号は言いたい事を言って満足したのか今度こそ二人の元へと戻っていった。

 

…女って怖っ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからまた暫く経ち、3人がやってきたのは高級そうなマンションが並ぶ住宅街だった。

 

「うわ…マジで金持ちなのか…」

 

立ち並ぶ高層マンション。

 

俺とは縁の無い眩しい世界に目を瞑りそうになりながら歩を進めていく。

 

「…ていうかまだ離れないのかよ…」

 

一向に離れる気配を見せないドッペルゲンガー2人に焦りを募らせていく。

 

まずい、もう時間が無い…

 

きっと五月の家も近いのだろう。このままでは謝罪が出来ないまま初めての授業が始まる事になる。

 

そうなれば当然勉強どころでは無い。

 

「…!…曲がった」

 

その時、3人が1棟のマンションの方へ曲がる姿が確認出来た。

 

こうしちゃいられない。急がねば。

 

そう思った俺は、全力疾走で曲がったマンションへと向かう。

 

だが、それが罠だと分かったのはそれからすぐの事だった。

 

「何君ストーカー?」

 

「…!…」

 

曲がり角を曲がった瞬間それは起きた。

 

目の前には不機嫌そうな表情を浮かべた4号と相変わらずの無表情でこちらを見つめる3号。

 

…気付かれてた?…いつから?…どうやって?

 

上手く状況を飲み込めない俺は自慢の頭をフル回転させる。

 

やがて1つの答えを出した俺は、ドッペルゲンガー3号の方へ顔を向けた。

 

「お前…」

 

バラしたな?と言わんばかりに若干睨みを効かせた目で見つめると3号は直ぐ様口を開く。

 

「五月には言ってない」

 

少し勝ち誇ったかのように言う3号。その時ちょっとだけ表情が変わった様な気がした。

 

…やられた。まさかドッペルゲンガーの方にバラされるとは思わなかった…

 

「五月なら帰ったわよ。用があるなら代わりに聞くけど?」

 

そう言うのは警戒した様子でこちらを見つめる4号の姿。

 

まぁ二人からすればストーカーに見えてるだろうから当然だ。

 

だが生憎君達に伝えるんじゃ意味が無いんだ。

 

「お前達じゃ話にならない。どいてくれ」

 

俺はそれだけ言うと二人を無視し歩き出す。

 

しかし俺の返答が気に食わなかったのか4号は俺に詰め寄ると怒り口調で言った。

 

「しつこい。君モテないでしょ?早く帰れよ」

 

並べられた辛辣な言葉の数々。

 

何このドッペルゲンガーめちゃくちゃ口悪いじゃんか。普通に傷付くんですけど。

 

でも、ここでこいつらに弱みを見せてはいけない。

 

「帰るも何もここが俺の家だけど?」

 

俺は涼しい顔で嘘を吐く。

 

とりあえずこの場さえ乗り切れれば何でも良い。

 

後の事は知らん。この嘘がバレようがここを通れればそれで良い。

 

そんな最低な事を思いながら堂々と俺は歩き出す。

 

ふと4号の顔に目を向けると、案の定しまったという表情を浮かべている。

 

よしよし計画通りだ。これで心置きなくここを…

 

「焼肉定食焼肉抜き。ダイエット中?」

 

「3号ぉぉぉぉ!!!」

 

通れなかった…

 

秒でバラされた俺は直ぐ様走り出す。

 

くそ!まさか聞かれていたなんて!

 

「あいつやっぱりここの住人じゃないわね!警備員さーん!」

 

「…3号?」

 

後ろで何やら聞こえるが知ったこっちゃない。

 

こうなりゃ強行突破だ。

 

マンションの中に入りふと前方を見るとエレベーターに乗り込む五月の姿があった。

 

しめた!これでエレベーターに乗込めば間に合う!

 

俺はより一層走る速度を上げ、エレベーターに向かい全力で走る。

 

全ては妹の為に!

…あ、ついに妹だけになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「く、くそ…まさか自分の体力の無さを呪う時が来るとは…」

 

結論、間に合わなかった。

 

ギリギリで閉まってしまったエレベーターに落胆しつつも、立ち止まっていられないと自分の体に鞭を打ち階段を駆け上がる。

 

確かにらいはの話では30階に住んでいると言っていた。

 

動け足!立ち止まるな風太郎!

 

例えどんなに疲れても…足が痛くても…動かし続けろ!

 

息なんてとっくに切れてる。体力なんて当然残っちゃいない。

 

いらないと切り捨てた運動、体力がまさかこんな所で活きてくるとは思わなかった。

 

29階…もう少しだ。もう少しで着く。

 

この階段を上りきれば…俺はっ…

 

 

 

 

 

「待ってくれ!」

 

 

 

 

 

30階に到達するやいなや俺は直ぐ様叫んでいた。

 

そこに五月がいる事を信じて。

 

そして廊下に差し掛かると、そこには驚いた表情の五月が扉の前で立っていた。

 

良かった…間に合った…

 

疲労困憊で立っているのもやっとの俺。

 

俺はゆっくりと五月に歩み寄った。

 

「何故あなたがここにいるんですか?」

 

「はぁ…はぁ…実は…」

 

くそ…息切れが邪魔で上手く話せない…

 

もう少し頑張ってくれ俺の体!

 

「用件があるなら手短にお願いします。これから家庭教師が来るので」

 

「それ…俺だよ」

 

「…え?」

 

「家庭教師…それは俺だ」

 

俺の口から紡がれた現実。

 

五月の表情が次第に青く染まっていく。

 

「嘘…あなたが…」

 

「分かる。嫌だろ?俺なんかが家庭教師なんて。でも悪いな、俺にも事情がある。これは仕方ない事なんだ」

 

俺は更には五月との距離を詰めると、五月の目を見つめながらはっきりと俺は言った。

 

「昨日の事は全面的に俺が悪い。すまなかった」

 

 

 

 

 

 

 

「今日から俺がお前のパートナーだ」

 

 

 

 

 

 

 

ようやく言えた…

 

家庭教師である事を…五月への謝罪を…

 

別にこれで許してもらえるとは思ってない。

 

これで少しでも俺の罪が軽くなってくれればそれで良いんだ。

 

「こんな人が…まさか…」

 

震えた声で呟く様に口を開く五月。

 

やはりそう簡単に落ちた好感度は取り戻せない。

 

まぁそれはこの際どうでも良いことだ。好感度が低くてもこいつが勉強してくれればそれで構わない。

 

そう思った俺の淡い思いは、次の五月の呟きによって崩される事になる。

 

 

 

 

 

 

 

「【私達】の家庭教師だなんて…」

 

 

 

 

 

 

その時、エレベーターの扉が開かれる。

 

そこから現れた4つの人影。

 

その正体が分かると、俺の表情は一気に青く染まっていく。

 

「あれ?優等生君五月ちゃんと二人で何してるのかな?」

 

「あー!こいつがストーカーよ!」

 

「二乃、早とちりしすぎ」

 

「え?上杉さんストーカーだったんですか?」

 

「ま、まさか…」

 

「…そうです。今日から家庭教師に教えてもらう生徒は…」

 

 

 

 

 

 

「私達五つ子の姉妹です」

 

 

 

 

 

 

道理で…ドッペルゲンガーが多いわけだ…

 

 

 

 

 

 

 

これが俺の人生が大きく変わった瞬間だった。

 

最初は中々勉強会に参加したがらなかったが次第にやる気を見せ勉強と仕事を両立させた実は新人女優であるショートカットをした長女の一花。

 

俺に対し敵意剥き出しで攻撃的だけど誰よりも繊細で家族思いな黒いリボンを付けた次女の二乃。

 

最初は何を考えてるか分からなかったが時間が経つに連れ表情が豊かになり苦手な物も克服しようとする頑張り屋なヘッドフォンが特徴的な三女の三玖。

 

最初から協力的であったが致命的なバカでそれでもポジティブに明るく前に突き進んだデカリボンが目立つ四女の四葉。

 

そして一番真面目で自分の夢に諦めず真っ直ぐ突き進み最終的には心を開いてくれた星型のヘアピンが印象的な五女の五月。

 

いろいろな事があった。

 

それぞれ到底最高とは程遠い出会いをし、そこから一人一人と向き合いながら日々の勉強会や花火大会、林間学校、テスト、クリスマス、正月、家族旅行、修学旅行、文化祭を通し少しずつ信頼関係を育んでいった。

 

背中を押したり押されたり、優しい言葉を掛けたり掛けられたり、励まされたり励ましたり。

 

6年前に俺を変わるキッカケをくれたあの子との再会。

 

そうしていく中でそれぞれに芽生えた何か。

 

日に日に膨れ上がっていくその感情は、次第に自分達を飲み込んでいく。

 

気付けば周りが見えない程に。

 

そして俺は気付いたんだ。こんな関係間違ってるって。

 

最初は良かった。皆仲良く笑顔で過ごして勉強にも少しずつやる気を見せて時折ドキッとさせてくれる。

 

そんな家庭教師と生徒の関係を少しだけ超えたあの日々が好きだった。

 

でも、行き過ぎてしまえばそれは全く違う景色になってしまう。

 

騙し合い、蹴落とし合い、奪い合う。

 

そこに笑顔は何1つ生まれなかった。

 

違う。違う。俺が求めたのはこの景色じゃない。

 

どうしてこうなった?どこで間違えた?

 

姉妹の関係は壊れ、後戻り出来ない所まで来ていた。

 

時が経ち5人から好意を向けられる様になり、それは目に見えて膨らんでいき爆発した。

 

その結果がこれなんだ。

 

本当はもっと早くに答えを出していればこんな事にはならなかった。

 

選択肢だって沢山あったはず。

 

でも、答えを先延ばしにしてしまった結果、俺は1つの選択肢しか選ぶ事が出来なかった。

 

誰か一人を選んだとしてもこの争いが止むとは思えない。

 

かといって全員を選ぶのは現実的じゃない。

 

…だったらもう一つしかないじゃないか。

 

 

 

 

 

 

【誰も選ばなければ良い】

 

 

 

 

 

 

そう決めてからは早かった。

 

俺は彼女達に自分の気持ちを伝え、姿を消した。

 

俺が居たから彼女達はこうなった。

 

俺が居なければこうはならなかった。

 

極論を言えばこうだ。

 

成績は上がらなかったかもしれないが、それなら全員笑顔で一緒に過ごす事が出来ただろう。

 

そこに俺という異分子が入った結果、姉妹の仲を切り裂く事になってしまったんだ。

 

だから消えた。彼女達の前に現れない様に遠く。

 

もういっその事この体のごと…心ごと消えてしまおうかと思うくらいに。

 

そして神様そんな弱った俺の心を察した様に、そっと、俺の背中を押したんだ。

 

 

真っ逆さまの体。逆さまの空。

 

脳裏に浮かぶ思い出の数々は思わず涙を流してしまう程懐かしく、幸せなものだった。

 

やがてその時が近付くと分かると、俺は呟いたんだ。

 

 

 

 

 

 

 

一花。

 

二乃。

 

三玖。

 

四葉。

 

五月。

 

【幸せになれよ】

 

 

 

 

 

 

 

 

そこから先の記憶はもう無かった。

 

 

 




少し最後シリアスすぎたかな?

まぁ無理矢理だけどこうするって決めてたから悔いは無いです。

よーしこれで本編にいけるぞー!
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