五等分の家庭教師   作:ドラしん

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こんにちはドラしんです。

公開してから凄い沢山の人に見てもらって五等分の花嫁すげぇなって思ってます。

ただそうなるとプレッシャーも凄い訳で…

一先ず一人でもお気に入りの人が増えるように頑張ります。

という訳で第3話始まります。



上杉風太郎。リスタートする

 

「…!…夢か…」

 

飛び起きる様に体を起こした俺。

 

今の時間を確認するべく、俺はふと時計に目を向ける。

 

「…良い時間だな」

 

時間は丁度7時30分を回った所。

 

これは普段から俺が起きる時間であり、どうやら習慣付いた体が自然と俺を眠りから開放させたようだ。

 

キッチンの方からは良い匂いがしてくる。それに耳触りの良い心地良いフライパンで何かを焼いている音も。

 

「…懐かしい夢を見たな」

 

脳裏に浮かぶのはさっきまで俺が見ていた夢。

 

俺の前世の記憶。

 

物心がついた時から何故か俺は前世の事を覚えていた。

 

上杉風太郎という名前だった事。

 

父親と妹がいて家が貧乏だった事。

 

小学校の修学旅行で出会った少女によって俺が勉強一筋に変わった事。

 

頭の悪い五つ子の家庭教師に俺が選ばれた事。

 

喧嘩しながらも互いに少しずつ心を開き、楽しい毎日を過ごした事。

 

そして…そんな俺の日々が幕を閉じたあの日。

 

全て鮮明に覚えている。

 

これだけでも充分おかしい事になっているのだが、この俺の新たな人生にはこれよりも更におかしな事が起こっている。

 

それは…

 

 

 

 

 

「お兄ちゃん。朝ごはん出来たよ!」

 

「ありがとう、らいは」

 

 

 

 

 

上杉らいは。

 

俺の前世にもいた可愛い妹。

 

そのらいはが、俺の新しい人生にもいる。

つまりどういう事か。

 

【俺は今、上杉風太郎という名で再び同じ人生を歩んでいる】

 

何を言ってるか分からない?安心しろ。それは俺も一緒だ。

 

だが確かに言えるのはこれは間違い無く現実で、前世の記憶を持った俺が前世と同じ人生を歩んでいるという事。

 

…うん。益々何を言ってるか分からなくなったな。

 

とりあえず冷めない内にらいはが作ってくれた朝ご飯を食べるとしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから朝食と身支度を済ませ、学校へ向かう俺。

 

書店で買った参考書を片手に、前世と同じ学校へのルートを通っていく。

 

前世の記憶を持ったまま始まった俺の新しい人生は、言い方が悪いかもしれないがとてもイージーなものだった。

 

何せ前世の記憶だけで無く体力はそのまま受け継ぎ知力はさすがにそのままとはいかなかったが小学生レベルなら完全に理解出来る程。

 

まさに強いままでニューゲーム状態だ。

 

これは前世で頑張った俺へのご褒美に違いない。

 

何せ俺は進級すら危うかった五つ子の成績を信用やる気0の所から卒業可能レベルまで引き上げたのだから。

 

とにもかくにもこれで俺は第2の人生を心置きなく謳歌できる。

 

しかも一度終わった上杉風太郎のままでだ!

 

普通の学校生活…普通の恋愛…今度は自分の価値観だけに拘らないで甘酸っぱい青春を堪能してやると意気込んでいた俺は、そのままあっという間に中学生になり、月日が流れていった。

 

 

 

 

 

「…はぁ…」

 

結論。それは叶わなかった。

 

俺のため息が人気の無い通路で木霊する。

 

「…何でこうなっちゃったんだか…」

 

俺は落ち込みながら手元にある参考書にもう一度目を通してみる。

 

…やっぱりだ。何度見ても結果は一緒で答えも同じ。

 

一通り目を通し終わると、俺はぽつりと呟いた。

 

 

「全く分からん」

 

 

そう。俺は前世の時より大幅に知力がダウンしていた。

 

くそ!何でだ!?何故こんな事になっているんだ?

 

知力は俺の唯一のアドバンテージ。しかし、2度目の上杉風太郎の人生ではそのアドバンテージを失ってしまった。

 

振り返るのは中学時代。最初に違和感を感じたのは中学に入ってすぐ受けたテストだった。

 

授業は理解出来てたし対策も万全。

 

今回も100点間違い無しだと意気込んで挑んだテストの最中、俺の動かしていた手が突然止まった。

 

「…あれ?」

 

そう。分からないのだ。

 

あれだけ予習復習をしたはずなのに突然そこだけ頭から抜け落ちたかの様に全く思い出せない。

 

何度考えても捻りだそうとしても思い出す気配は無い。

 

あんなのは前世を合わせても初めてだった。

 

結局俺はこの人生で初めて100点を逃し、その日を堺に少しずつ俺の知力が崩壊していった。

 

授業が進むにつれ頭から抜け落ちる現象が増えていく。

 

更には、授業中理解出来ていたはずの内容も理解出来なくなってきていた。

 

おかしい…勉強だってきちんとしているはずだ。

 

それなのに全く頭に入らないのは何故だ?

 

その答えは出せるはずもなくただ悪戯に時間だけが過ぎていき、中学3年生の最初のテストでそれは起きた。

 

「…嘘だ…29点…だと?」

 

そう、生まれて初めて俺は赤点を取ってしまったんだ。

 

回答欄は全部埋めた。自身もあった。

 

でも、それは大きな間違いだった。

 

回答欄がズレたとかいうベタなミスではなくただ単純な間違い。

 

その事実は前世を含め今まで100点を沢山取ってきた俺にとって屈辱以外の何物でもなかった。

 

それからはテストの度に赤点を取り、その度にクラスメイトから笑われ俺のメンタルはボロボロになっていく。

 

やってもやっても追い付かない勉強。

増えていく間違い。

 

やがて小学生の時の俺を知るクラスメイトから、こう呼ばれる様になったんだ。

 

【落ちこぼれの天才】

 

小学生の頃は運動も知力もトップで天才と呼ばれる程。

 

しかしそれが中学になってからは日に日に落ちていき最終的には体力も知力も地に落ちた。

 

そんな俺にはピッタリな言葉だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…おっと。少し暗い話になってしまったな。話題を変えよう。

 

一先ず不安視していた高校も何とか受かり無事2年生に進級して今ここにいる訳だが、一つ気になる事がある。

 

それは、前世で俺が家庭教師を受け持った中野五姉妹の事だ。

 

人間関係、通う学校。どれも前世と同じで、俺は今回の人生前世と同じルートを辿ってきた。

 

高校2年生の今日。前世ではこの日に中野五姉妹の末っ子中野五月と出会ったんだ。

 

となればこの人生でもきっと出会う筈だ。

 

しかし今回の俺は学力が無く家庭教師が出来るレベルには程遠い。むしろ俺に家庭教師を付けた方が良い程だ。

 

そうなると俺とあいつらが親密になったキッカケが無くなるわけだ。

 

…俺としてはあいつらが争う姿を二度と見たくないから俺との関わりが最初から消えるのは全然構わないのだが、一体これはどうなるんだろうな。

 

食堂でばったり会ってそれっきりだろうか?

 

それとも会う事も無いのか?

 

「…まぁ行かなきゃ分からん話だ」

 

ここでグダグダ予想しても仕方がない。とりあえず向かうとしよう。

 

また冷ややかな目で見られるのか…と呟きながら俺は重い足取りで学校に向かうのだった。






今回少し短くてすいません!

この小説は1話辺り3000字〜5000字くらいでまとめていきたいと思いますのでよろしくお願いします。

さて、次回はいよいよ五つ子ちゃんの出番かな?
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