trick and magic or fate 作:島田正二
どこまでいけるかな...
さて、サブタイトルも捻りがないどうしようか。
ここ冬木市は、地理的には橋を挟んで東西に分かれている。
まず、冬木の電車の駅を中心に発展している新都。
ここだと、ニュースにもなっている吸血鬼事件が発生しており、できる限り一人で出歩かないように注意の声かけがされている。
実はキャスターを召喚した日は自宅に戻る前に、吸血鬼事件と昏睡事件、そして女性ばかり狙った猟奇殺人の概要を聞くために兄弟子のいる、ここ新都の言峰教会へと向かっていたのだ。
吸血鬼事件については、共通点として被害者は首筋に噛みつかれて魔力を抜き取られていたという。
これが出来るとしたら人間ではない、吸血鬼というと真祖や死徒が思い浮かぶが、これは彼らとは違うだろう。
真祖と死徒は、犠牲者に血を流し込むことでねずみ算式に長い時間をかけて死徒を増やしていくことになる。
ところが今回の吸血鬼事件については、そういった痕跡はなく単に血によって魔力を吸いとるための犯行だとわかった。
昏睡事件についても、表向きはガス漏れなどで隠蔽しているがこちらも魔力が吸いとられているという点が吸血鬼事件と共通している。
最後の惨殺事件については、喰いちぎられて血と肉がバラバラになった状態で発見されているのが共通しているところであるが、なぜやったかは不明である。
キャスターと凛は、二人でまず新都の吸血鬼事件と殺人事件の現場を巡っている。
主に路地裏も多く、地図に書き込みながら進んでいく形となっている。
霊体化と実体化を繰り返しつつ、念話も交えて相談していく。
──流石にもう襲って魔力を吸い上げるなんて手段はやりづらいでしょうね。
被害者に共通しているのは、いずれも人気のない裏通りで発見されてるってところ...誘導されたか、はたまた襲ってから路地裏に運んでるか。──
注意の声かけを見かけて、凛がキャスターに念話を飛ばす。
──路地裏にっていう点では、あの猟奇殺人の手口とも似通ってるけど、魔力目当てならばわざわざそこまでやるかしらね──。
キャスターがその疑問に、考えたことを言う。
──なら、魔力以外が目的だったとみるのが正しいかの?──
──さあね...とにかく謎が多い事件よね。この惨殺事件は──
次に立ち寄ったのは、冬木中央公園であった。
キャスターも実体化して、中央公園の入り口を見つめる。
「のお、凛...どうしてここは、こんなに変な空気なのじゃ?」
異様な空気を感じ取ったのか、不安がるキャスター。
「ここね、今は再開発されて公園になってるけど、10年前に行われた先の聖杯戦争の頃に市民会館が建設中だったのよ...綺礼によると、先のセイバーとアーチャーの戦いが原因で火災が起きてかなりの犠牲者が出てるって話でお父様はここで亡くなったらしいの」
「そうか、まるで浮かばれぬ魂がそのまま留まっている吹き溜まりのようじゃ、二度と繰り返してはならぬ悲劇じゃの...」
キャスターは悲しげな顔をする。その顔を見て、改めて管理者としても戦わなければならないと決意を固める。
次に二人は一度駅前中心街に戻りつつ、昼食をとる。
事前に地図を買ったのは、地形を改めて把握するためのキャスターの提案でもあった。
「ええと...これで今起こっている事件の現場の方は全て回れたようじゃな、あとは北の埠頭と」
「キャスター、熱心なのは構わないけど、新都だけでも全部回ったら日が暮れるどころか翌日になっちゃうわよ、あくまで明日は学校だし」
「おお、そうじゃった!確か今日は、学校を
「......あんた、今朝のこと根に持ってない?」
顔をひくつかせながら、凛は聞く。
「わらわは、学校をサボったという事実をいっておるだけじゃ」
これ以上言っても埒があかない、自分がおれた方が良いだろう。
凛はそう判断した。
「はぁ、済まなかったわ...学生の分際で学校サボったの」
「分かればいいのじゃ」
このサーヴァント...大分根に持つようである。
「まあ代わりに、ここのデパートの屋上から新都全体は見渡せるしそれで勘弁してくれるかしら」
「確かに見渡せるならば、都合がいいことこの上ない、地形さえ把握できればあとはなんとかなるしの」
食事がすんだあと、キャスターと二人でデパートの屋上へと上がっていく。
念のため認識阻害の魔術は掛けてある。
凛は、荷物から地図を取り出すと大体のデパートの位置に印をつける。
一通りフェンスに沿って、視力強化の魔術をかけながら周辺を見回す。
すると、同級生とおぼしき赤い髪の少年を見かける、同じ学生服を来ていたので恐らく学校帰りだろう。
向こうから見えているかは不明だったが、驚いた表情をしていた。
慌ててフェンスから離れる。
不審に思ったキャスターから声をかけられた。
「凛、どうしたのじゃ?」
「ん?なんでもないわ、ただ同級生を見かけただけよ。もっとも向こうから見えているかは分からないけどね」
しかし、次のキャスターの一言には流石に凛も驚いた。
「その同級生、凛のダチなのか?」
別に聞かれたことを驚いているわけではない、むしろその言葉使いだ。
「そういう訳じゃないわよ!それより良いところのお嬢様がダチなんて言葉遣いしないでしょ!普通友人か友達でしょうよ!?」
「凛も、良いところのお嬢なのじゃろう?それと同じじゃ」
「今と貴方の時代を比べられても困ります!大体誰からそんなこと教わったのよ」
「マゴからじゃ」
「孫?なんで自分の子供の子供に教わってるのよ?」
「違う!
「あぁ、あだ名ね...孫市だから孫か、それじゃ貴女のほうがおばあちゃんみたいね」
くすくす笑いなから言うが、内心孫市になんて言葉遣い教えてるのよと毒づいた。
デパートを後にした二人、日も傾いてきたので深山町の自宅に戻ることにした。
冬木市の西側に当り、昔ながらの木造建築の建物も並んでおり、遠坂の邸宅だけでなく同じ始まりの御三家である間桐の屋敷もこちらにある。
バスに乗って帰らなければならないため、デパートから駅前のバス停に移動した。
(しかし、手掛かりは何もなしか...とはいえ、ここまで騒がれたんじゃ吸血鬼も惨殺事件の犯人も下手に動けないわよね、そういえば、まだ綺礼にも連絡済ませてないし早く行った方がいいか)
そう考えながら向かう途中、キャスターからすれ違った者のなかにサーヴァントがいたことを報告された。
聖杯戦争は主だって動けるのは夜のみとはいえ、油断はできない。
バスに乗って、深山町の遠坂邸付近に向かうと門の前に少女がいるのが見えた。
眼鏡を掛けて黒髪、学生服は凛と同じものであった。
バスから降りて走っていく。
「あら、沙条さん!どうしたのよ、わざわざ来てくれて」
「あっ...遠坂さん、今日体調を崩して学校休んだって聞いてたけど元気そうで何よりです」
「ごめんなさい、まさかサーヴァント呼び出して寝坊してなんて言えないし...そこで、仮病使って偵察に行ってたところなのよ」
「えっサーヴァントを...?」
その一言を聞いて、沙条と呼ばれた少女は困惑してるようであった。
「どうしたの沙条さん」
「いえ、何でもないです、そうそう実は今日の授業のノート写したから貸そうと思ったのと、一つ返したいものがあって」
沙条がポケットからだしたのは、凛の首飾りだった。
「あっ...それ、貴女が持ってたの!」
「ごめんなさい、まさか昨日ぶつかった時に荷物に混ざると思わなくて...本当は今日学校に来たときに返したかったんです」
首飾りを返し、ノートを渡すと失礼しますと、直ぐに帰っていった。
「凛...あの女の子は何者じゃ?」
「沙条綾香さん、同じ魔術師で沙条広樹の娘さんの一人...沙条さんがどうかしたの?」
「いや...あの子からサーヴァントの気配が少ししてきての」
「沙条さんが?確かに魔術師だからあり得なくはないけど...」
沙条一家、沙条広樹の妻が亡くなったあと冬木に引っ越してきたのだが霊地を提供してるのは
恐らく、聖杯戦争の参加者になったとしても敵に回るのは明白だろう。
「世間っていうのは狭いもんね」
凛は小さく独りごちた。
さて、今回後半に登場した
実はstaynightのスピンオフ作品、氷室の天地で同じく冬木市にいるのですが氷室の天地は微妙にstaynight本編と状況が違うこともあり、今回落とし込むに辺り遠坂の霊地ではなく霊地を提供したのは間桐、と設定を変更しております。
あとガラシャと雑賀孫市の関係、史実では接点はないのですが、実はガラシャが初登場した戦国無双2猛将伝のストーリーで孫市とともに行動してるのもありまして、少し取り入れました。
ちなみにガラシャの過去は史実に寄せつつ歴代の戦国無双シリーズでの人間関係を取り入れた感じになります。
どう転がっていくのか、楽しみにしてください。