trick and magic or fate   作:島田正二

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今回の話は、謎のサーヴァントとの遭遇と戦闘です。(戦闘描写苦手だけど大丈夫かな?泣)
今回から本格的に聖杯戦争は始まる予定です。
果たして今回のサーヴァントのクラスと真名は誰でしょうか、予想してみてください。


絶望的な追撃戦

翌日、学校に登校した訳なのだが、自分が休んでいる間にどうやら校舎全体に結界を仕掛けられてしまったようである。

発動には時間はかかるが、その分結界内の人間の命を奪うことなど造作もないほどの効力を持った大規模な結界なのだ。

結界への対処法を考えながら、綾香へノートを返しにいくところであった。

綾香のクラスへ行くと、先客が居たようで綾香と話しているところで、声をかけようか悩んでいるところに、その先客が気がついて声をかけてきた。

 

「おぉ、遠坂じゃん。あんたも沙条さんに用事があったの?」

 

「昨日の授業分のノート貸してもらったからね、それを返しに来たのよ。美綴さんの方は?」

 

綾香と話していたのは、同級生の美綴綾子。

凛達が通っている穂群原学園の弓道部の主将で、凛が猫を被らずに話せる数少ない人物だ。

 

「慎二のことでちょっとね、あいつ最近後輩いびりがひどくって...」

 

「やっぱり、弱い立場には強く出る奴だからね。でもそれと沙条さんとどう関係あるのよ?」

 

「私だけから注意しても聞きゃしないからね、沙条さんもあいつと付き合い長いから言ってもらった方が良いかなと思って相談してたの」

 

「私からもちょっと聞きたいことがあったから、ついでにと思いまして」

 

もじもじしながら、綾香も口を開く。

慎二というのは、間桐慎二のことだ、

凛達と同い年で、始まりの御三家の間桐の長男で顔は良いのだが、性格が悪い奴という感じである。

 

「そんなときに悪かったわね、沙条さん。昨日ノート貸してくれてありがとう...それとあの首飾りも」

 

ノートを出しながら感謝する。

小声で最後は言ったつもりだが、綾子には聞こえてしまったようだ。

 

「首飾り?なんのことよ」

 

「ううん、何でもない。こっちの話よ、さて邪魔者はとっとと退場しようかな」

 

凛は立ち去った。

 

「慌ててるみたいだったけど、変な奴。」

 

学校が終わって、自宅に戻る。

 

「戻ったか凛。今夜の偵察はどこを回るかの?」

 

「ごめんなさいキャスター、今夜は偵察後回しにして学校に行くことになったわ」

 

いつになく真剣な顔をしていた凛の姿に何かあったことを察したキャスターも、気を引き締めた。

 

「何かあったのか?」

 

「学校のなかに特段でかい結界仕掛けられちゃってね、それを解析して可能なら解呪するの」

 

「結界か...術者を倒せばすむ話でもないのか?」

 

「多分術者を倒すだけじゃ解除されないわ、どうなってるか分からないから現地で確認するわよ」

 

「承知した!」

 

その晩にある程度仮眠を済ませ、荷物を整えると、学校へと入る。

いつもならば野球部など部活の解散が遅い学生達が下校する時間帯なのだが、幸い吸血鬼事件などで早めに下校するよう指示があったので、下校後の部活も中止、生徒と教師はあまりいない。

どこに呪刻があるかも分からないため、気配を探りながらいく。

極端に気配が濃い箇所に呪刻はあったのだが、解析してみたところ困ったことになった。

 

「術式も複雑ね...完全に解呪しようにも私には無理よ」

 

「じゃが放っておくわけにもいかぬじゃろう?、どうすればよい」

 

キャスターに一縷の望みをかけたが、細川ガラシャが魔術に精通していたという逸話もないし、あくまでキリスト教に殉じたという一点で英霊になってしまったのだろう。

弱り目に祟り目とはこの事か...ため息をつきたくなったが、キャスターにも失礼だ。

 

「あくまで、発動を遅延させる応急措置ならばなくはないわ...それでも完全に消せる訳じゃないから、一時しのぎ」

 

「ならば、術者との交渉、もしくは戦になるのか...しかしだれがこんなことを?」

 

「さあね、さて始めますか!」

 

凛が言っていた応急措置、それは呪刻に自分の魔力を注ぎ込み浄化することである。

術者本人の魔力が注ぎ込まれれば、すぐにでも取り戻してしまうものだ。

気配を感じ、片っ端から解呪していく。

 

「私の見立てに狂いがなければ結界の起点は一ヶ所だけね。私が休みの間にやってくれるわ......」

 

汗をぬぐいながら屋上へと向かう。

恐らく中心になっているのは屋上だろう。

屋上のドアを開けて、呪刻の気配を探すと屋上のど真ん中であった。

 

「こいつで最後ね......」

 

「凛、気を付けた方がよいぞ。結界を仕掛けた者にもこのことは知られてしまってるはずじゃ」

 

ガラシャは周囲を警戒しながら、凛に促すが...

 

「彼女の言う通りだ。確かに結界を仕掛けられた以上は、解除はしなければならないわけだが、第三者に隙を突かれることを考えず行動するのは、戦術としては下策だね」

 

後ろから男の声が聞こえてきたので、振り向くと入り口を塞ぐように、根を持った男が立っていた。

こんな時間に、流石に教師が残っている訳はなくましてや生徒にもこんな格好をした奴はいない。

考えられる可能性があるとするならばやはり。

 

「凛、あの男はわらわとおなじサーヴァントじゃ」

 

「そうみたいね...あんたがこの学校の結界を仕掛けた張本人?」

 

謎のサーヴァントは、笑いながら答える。

 

「まさか、私の部下に似たようなことを出来る人はいてもこんな人命を無視した結界を作れるものはいないよ、私個人としては協力したいくらいだが...生憎一度は他のサーヴァントと戦えと命令されてね、恨みはないが戦ってもらうよ」

 

──ここじゃ狭くて勝負にならないわね...キャスター着地任せたわよ?──

 

──任されよ!──

 

キャスターに念話をし、屋上のフェンスに走っていくと、フェンスを越えて校庭に飛び降りていく。

キャスターも続くと、お姫様だっこの姿勢で着地する。

時間を稼げるはずだと言う凛の思惑は、鎖鎌の斬撃によって砕かれた。

威嚇目的で当てるつもりはなかったようだが、それでも驚異だ。

 

「戦で肝心なのは、勝つまで油断しないことさ...まさかあの人の予想が当たるとはね」

 

鎖鎌が飛んできた方から、さっきとはまたべつの男の声が聞こえてくる。

男の外見は、バンダナを巻いて、中華風の装いの服であった。

 

「凛、ここはやるしかないようじゃ!」

 

「頼むわよキャスター!」

 

男は、鎖鎌を振り回しキャスターに斬りかかる。

しかし、キャスターは一撃を避けると軽く印を結んで火の玉を繰り出す。

すぐには動けず男は火の玉を食らう。

軽く服が焦げた位であまり効果がなかったようだ。

キャスターは一瞬の隙をついて近づくとパンチと膝蹴りをかます。

回し蹴りまで食らわせるが、体勢を崩しただけで、さらに火球を叩き込む。

まともに受けるが、男の方はまだまだ余裕である。

 

「はっはぁぁ!あんたも中々粘るね。キャスターと思って油断していたよ、一体どこの英霊だ?」

 

「おほめに預かり、と言いたいが、真名まではダメじゃ。この戦、真名を悟られる訳にはいかぬのであろう?」

 

「そりゃ違いない...さて本気でいこうか!」

 

がしゃんと校舎の方から音が聞こえてきた。

そちらをみると、学生服を着た同じくらいとおぼしき子供がいた。

凛はこのときばかりは人避けの結界をしなかった自分を恨んだ。

男は、少年を見つけると口封じのためか追いかけていく。

 

「まずい...凛急ぐぞ!」

 

「う、うん!」

 

二人も遅れて校舎の方へ走っていった。




ガラシャが魔術に通じた逸話もないと説明したにも関わらずどうしてよくあるステレオタイプの魔術とも言える火球の攻撃ができたか...申し訳ない、戦国無双のアクションを元にしたからです。
ガラシャの通常攻撃は、徒手空拳での攻撃なのですが、特殊技では火球に吹雪に最後はレーザーを放つ攻撃タイプと自分の回復、バリア、防御を下げる代わりに攻撃力を上げる補助タイプの二種類があるのです。(チャージ攻撃というものでは、衝撃波、しょうていなどがあります)
中々おとしこむのも骨がおれます。
ちなみに真・三國無双には、必殺技に名前があるので困らないのですが、戦国無双には必殺技に名前がないので宝具の名前もどうしようか困ってます。
今回の題名は、真・三國無双7の宛城(えんじょう)の戦いの曲名desparate runの和訳をもじって付けました。
次回もお楽しみに。

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