ワンパンマン世界に怪人TS転生だって?   作:八虚空

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十話 伝説の地へ

 キャメロットに上京する眷属はノイ・ジェントル・ソウル・エレナの四人。ジェントルは武術にソウルは剣術に興味を示した。

 エレナは生産。その中でもとりわけ薬品に興味を持っている。毒とか薬じゃなくて化粧品や乳液なんかを作れるようになりたいらしかった。どうやら性で貢献できない分、美でもって尽くそうと考えてるようね。私だけではなくキャサリンとリリシアのファッションコーディネートをしてる様子を何回か見たし。

 

 私が村人の魂経由で学んだ言語をエレナは生まれた時から習得していたから、既に片言のノイより村に馴染んでいて、キャメロットに行くと言ったら友達に泣かれたらしい。まだ生まれて一週間くらいしか経ってないはずなのに友達がいるのか。凄いなエレナは。

 頑張って言語を学んでいたノイが納得がいかなそうに眉を潜めていたけれど、そこは仕方ないと諦めて欲しい。チートってのは理不尽なものなの。

 

 眷属が私の知識を持って生まれてくる性質を利用した意図的な知識の贈与。これがソウル・ファーン・エレナには施されている。生まれた時からの言語習得は私の研鑽成果。この調子で眷属作成の秘術を解析していって魂の贈与による元人間の眷属を作成するのが、とりあえずの目標になるかな。

 まるで科学者か魔術師になった気分ね。

 

 それで残ったボンゴとファーンは農地弄りと家畜の飼育にそれぞれ夢中だったから村の防衛要員として置いていく事になった。場合によっては新しく駐在人員を作成する必要があったし、全員が上京を望まなくて良かったわ。流石に多少はどんな人格をしてるか様子を見ないと怖いしね。怪人が直ぐに調子に乗るのは自分のことのように分かるからちょっと心配。

 

「私達の出発準備は終わりましたが、キャサリンさんとリリシアさんは本当に連れて行かなくて良いんですか?」

「必要ないわ。この時勢で無力な女を旅に連れ出すなんてとんでもない。少なくとも眷属化するまでは荒事に巻き込むのは避けるつもり」

 

 私でも危うい怪人が近隣に存在する中で足手纏いなんて連れて行く余裕はない。

 キャメロットまで強行軍が可能な災害レベル狼の実力を持つシノン達が最低ラインね。場合によっては眷属の無限作成で時間稼ぎをしなくてはならなくなる。

 

「理屈ではそうですが」

「何だシノン。貴様、カーミラ様に異議を唱えるつもりか?」

「ノイさん。その、人間達がカーミラ様に不敬を働かないよう間を取り持つ人間が必要ではないかと思いまして……」

 

 ああ。シノンは逆に私達がキャメロットの人間を害さないか心配なのね。

 馬鹿ね。害するに決まっているのに。魂を吸い取らないと技術獲得に支障が出るわ。

 

 でも、怪人として本格的に敵対視されるのは何とか避けたい。この問題を解決するには。

 

「その役割はシノンが担いなさいな。ついでに始末しても良い荒くれ者を選別してくれたら嬉しいわね」

「そういうスタイルで動くんですね。うーん、犯罪者に限定するなら構わないのかな。記憶を辿れるのなら大規模な犯罪組織の検挙も可能だし」

 

 暫く悩んでいたが、記憶を覗き見れるのは私だけだという情報を教えて上げたら、私をS級の卵だと理解したのか納得して都市に案内してくれる事になった。

 本当にギリギリまで葛藤してたわね。とうにキャメロットの位置なんてカマセ隊の隊員の記憶を持つ私なら知り得ていると分かっても良さそうなのに。無理に侵入して怪人扱いされるのも面白くないから情報を与えて上げたけどシノンって微妙に抜けてるのね。本当にシノンに折衝を任せていいのかちょっと不安になったわ。

 

 その上、私をラウンドナイトなら御しきれると最終的に判断したし。

 ま、現状なら間違いじゃない。でも面白くはないから早く都市毎、蹂躙できる化物にならなくちゃね。

 

 

 

「ケケケッ。俺らは怪人ならず者! 女なんかを旅に連れ出すとは血迷ったな!」

「はあ? お前、今、私を見下したの?」

「あったり前だろうがっ! 何だ腕を回して、デカい胸を揺らして誘ってやがんのか?」

「ノイ達は手を出さないでね。殺す前にちょっといたぶるから」

「はっ!」

「うっわ、怪人がゴミ屑のようになっていく……」

 

 道中、6人組の山賊上がりの怪人がちょっかいを掛けてきたんでストレス解消にサンドバッグにした。全員で災害レベル虎程度の強さで私を挑発するとは身の程知らずがっ。

 私って自分から謙遜するのは気にならないけれど、相手から舐められるのは死ぬほど嫌いなのよね。例え相手が格上でも。

 正直、シノンが無意識に私を侮ってラウンドナイトの下に見たとき、思わず殺さないよう自制するのに必死だったし。

 

「この怪人の魂も、何の異能も手に入らなかった。イワンって実はレア怪人だったのね。怪人一族ゲルマン人も数と身体能力任せで格下を狩るスタイルだったし。人間の方が技巧を磨くだけ何倍も魂を吸い取る価値があるわ」

「その、無差別に襲いかかったらいけませんからね? 下手したら本当に一族毎、怪人認定されますよ?」

「何だシノン。それは脅しか?」

「ち、違いますっ!」

 

 慌てているシノンをノイが虐める何時もの光景を見ながら私は溜息を吐いた。これで意外とノイってシノンの事を気に入っているのよね。

 好きな子を虐めたくなる性分かな。微笑ましいけれど他のカマセ隊の生き残りは息を殺して私達の様子を窺ってるし、全ての人間が怪人を人間側として隔意なく扱うかといったら厳しそうね。

 

「アレがキャメロット? 結構、村から近い!」

「それは道中、人間を抱えて飛行したからだろう」

 

 無邪気に騒ぐ年相応の振る舞いをするエレナにソウルが律儀に付き合っている。

 そういえばコウモリのように翼を出しての飛行は可能だけれど、超音波を出して位置・速度・大きさを把握するエコーロケーションの使用は出来るのかしら。今度、試してみないと。

 ふむ。使用できたらバンパイア一族は暗闇の中では更に厄介な怪人となるわね。基本異能だけでも極めたら強そうな気がする。

 

「カーミラ様。怪人ならず者の拠点に多少の物資がありましたぞ。生き残りの始末のついでに漁りましたが金銭は我々にも有用でしょうな」

「良くやったわジェントル」

 

 怪人、寝取られ男を殺さずに私の前に引き連れて来た事といい、ジェントルは気が利いて有能ね。

 もし眷属の不死化に成功したら男だけどジェントルも対象にしましょうか。こういう部下は失ってはならない。

 

「ん?」

 

 誰かに見られた気がして周囲を見回すけれど人影はない。

 方角的にはキャメロットの方から。異能か望遠鏡のような文明の利器か、それとも単に数キロ先を視認できる視力の持ち主。

 

「面白そうなとこね」

 

 様々なサブカルチャーに取り上げられてきた白亜の城。キャメロット。

 12人の伝説に謳われる選ばれし円卓の騎士。最高峰の魔法使いとして歴史に名を残した宮廷魔術師マーリン。

 そして聖剣を引き抜いた騎士の理想、アーサー王。

 

 私は今、伝説の只中にいる。

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