ワンパンマン世界に怪人TS転生だって?   作:八虚空

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二十二話 ローマ帝国vs円卓の騎士

 イワンをTSさせて遊んだ後、私はノイ達バンパイア傭兵団のボスとしてラウンドナイトの依頼を受けた。

 村は災害レベル虎の吸血鬼が4人もいるし大丈夫でしょう。暴走しそうなイワンも大人しくなったし、同じく村に来た時、有無を言わせず殺した村人を思い出して眷属にしてケアさせてる。TS仲間として、仲良くなれると良いわね。フフフッ。

 

 頭が良くなった原因である青年の魂を切り離しても知能が低下した感じはしないし、才能なんかの基本スペックは魂の蒐集時に向上して下がらないみたい。

 未熟だけど将来を期待されているホープあたりを乱獲するのも良いわね。今回の依頼は人間同士の戦争で諜報員として活動する事だし、怪人バンパイアとして動くのは狙いを誤魔化す事にも繋がる。

 

 そう今回、私達はラウンドナイトの依頼で円卓の騎士とローマ帝国軍との戦争に加担しようとしてるのだ。

 死ぬまで血を吸う事で記憶を得られるってシノン経由でラウンドナイトに情報を伝えているからね。いずれはこういう依頼が来るんじゃないかとは予想してた。それが狙いでわざわざ能力の一部を見せびらかしたんだし。そうでないと困る。

 

 警戒はすれどラウンドナイトにとって私は簡単に始末できる程度の実力。利用する方に踏み切ると思ってた。

 その程度の度量がなきゃ12人の円卓の騎士を身分の上下はないと自分と同じテーブルには着かせない。アーサー王を直接は知らないけれど、怪人に対する偏見もないでしょう。そうでなきゃ湖の乙女を殺した罪で円卓の騎士ベイリンを地下牢に閉じ込めたりはしないしね。

 

 アーサー王にエクスカリバーを渡した湖の乙女を殺害、か。地球意思に力を渡されたホームレス帝の同種が湖の乙女だとすると災害レベルは竜って事にならない?

 それを円卓の騎士が見ている前で止められる前に殺害する円卓の騎士ベイリンか。コイツも尋常な人間じゃないわね。

 

 そう、ローマ帝国と円卓の騎士の激突風景を見て思う。

 

 

 

『ザッザー、繰り返す。ザー、諸君はローマ帝国の領土を不法に占拠している。ザッー、直ちに退去を―――』

【怨】

 

 ヘルウェティイ族の復讐者ブルーノが数キロは離れたローマ帝国の士官を見て一言呟いた。それだけで勧告は途絶え、士官は死んだ。

 ブルーノの魔眼による遠隔透視。射程は短くなるが途中に障害物があろうと透視能力で透かし見て問答無用でターゲットを補足する恐ろしい目。そして姿を見てしまえばヘルウェティイ族の呪術で殺せるという理不尽な組み合わせ。元S級賞金首の暗殺者。

 

 遠隔呪術では災害レベル狼未満しか殺せないらしいけれど、一族を奴隷としてこき使った挙げ句、父親を蛮族だと不当に殺したと恨まれているローマ帝国の人々は生きた心地がしないでしょうね。ブルーノの復讐相手は暗君ホノリウスだが、皇帝はセインツに守られて手出し出来ない。結果として哀れなローマ帝国の士官達がターゲットとして日々狩られ続けている。

 

 

 士官を殺されたローマ帝国軍が反撃だと、一斉に数キロ先から砲撃を繰り出してきた。戦車砲だ。

 そう、ローマ帝国軍は現代兵器を利用している。これがキャメロットで聞いた錬金術の正体。純粋科学のみではなく、魔法知識も利用された砲弾はピクト人従軍者の張った魔法の障壁を貫通し、ラウンドナイトに被害を与えている。

 

「こんなの、こんなの人間の戦争じゃねぇよぉ……」

「痛い。足が、足がァッ!」

 

 死にきれなかったラウンドナイトの兵士が呻く地獄の光景を一人のアイドルが笑って闊歩する。

 

「大丈夫。大丈夫。痛いの痛いの飛んでけー」

 

 吟遊詩人のトリスタンが謳いながら手を振ると、欠損していた手足が瞬く間にニョキニョキと気持ちの悪いスピードで生えだした。

 即死さえしなければトリスタンならその場で治せるのだ。また、同時展開でバリアの結界を空中に張り、幾つもの砲弾を弾き返している。

 

 

「マズい。戦闘機だ!」

 

 ラウンドナイトの哨戒部隊が備品として渡されている双眼鏡を手に空中を指さした。そこにはこちらの陣地を爆撃しようと高速飛行をする戦闘機が群れをなしていた。

 

「ベディヴィエール卿、槍筒です」

「すまないね」

 

 爽やかに笑った隻腕の青年が笑顔で槍が何個も入った筒を自分の周囲に幾つか置くと、ふぅーっと精神統一の為か息を吐き出した。

 そしてマッハ1以上の速度、時速約1200キロ以上で高速飛行する戦闘機へと次々と槍を投げ始めていく。

 

 ギュルっと高速回転した槍が対空砲のように戦闘機へと次々と命中して空に爆発の煙を上げさせた。投げ槍による狙撃だ。しかも、ちゃんとエンジンを狙って投げている。あまりの勢いに吹き飛びそうになっている周囲の槍筒をラウンドナイトの兵士達が必死になって押さえ付けていた。

 

 

「派手にやるね。このままじゃ俺達は引き立て役だぜ?」

【我慢ならんな】

「だろ? お前の走りを魅せつけてやろうぜ兄弟」

【良かろう!】

 

 巨大な獅子、災害レベル竜の怪人が咆哮して背に円卓の騎士ユーウェインを乗せてローマ帝国の戦車隊へと突撃していく。

 当然、幾つもの砲撃が巨大な獅子に命中していくのだが、まるで意に介さず笑い続けている。それはユーウェインも同じなのだが、破片で傷を負っている事から直撃してしまえばマズいのではないだろうか。何故、ああも楽しそうに死線を潜っているのか。

 

「お前らまた隊長が暴走してるぞ!」

「今日こそ死ぬんじゃね?」

「ハハッ。じゃあ、俺は生きる方に10銀貨な」

「ちょ賭けるなら俺も生きる方だっつーの」

「じゃ俺、今日こそ死ぬ方に20銅貨な」

「お前が死ね」

 

 笑ってユーウェインの配下のラウンドナイト達が騎獣にした災害レベル鬼の四足動物を戦車隊へと突撃させていく。ユーウェインの配下部隊である獣騎士達だ。

 ラウンドナイトで最も死傷率の高い部隊であるにも関わらず、入隊希望者が絶えないというラウンドナイトの花形部隊。場合によっては獣騎士達だけでローマ帝国の戦車隊を片付けられたんじゃないかと思う程の高い戦闘力を持っている。

 

 

「これ、傭兵を雇う必要あった?」

 

 ズタボロにされていくローマ帝国軍を見て、私は頭を抱えた。

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