しなびた農村を裏から実効支配したのだけど、思ったよりも村の重要度が増してる。
何故って眷属ガチャをあれから二人も引いたのに爺さんとオッサンしか出現しなかったから。今の私じゃ美女眷属は狙って作成できない。
ノイは本当に大当たりだったらしい。絶対に死なせないように注意しなきゃ。
でも村人に痩せてはいるけど美少女姉妹がいたのでハーレムは拡充できた。一人は人妻だったけれどね。
いっそ未亡人にして本格的にハーレム要員にしましょうかと囁いたら泣いて腰を振ったので、これはこれでベネ。心が満たされる。
眷属は何をされようと今のところ嫌がった事がないので新鮮だった。うん。人を滅亡させるのはまだ早いな。
むしろ保護して増やそう。人間牧場を運営するのだ。強力な吸血鬼の登場する作品に偶に出てくる設定だし、餌は豊富な方が良いよね。
やろうとしてる事はどう考えても怪人側の所業だし、神様も機嫌を損ねないでしょう。いや、自然破壊をし過ぎたら吸血鬼まで討伐対象になりそうだから気を付けなきゃいけないのか。面倒な。
「カーミラ様。野生動物の捕獲完了しました」
「やはりイノシシが家畜にするにはちょうど良いようですな」
新参眷属二人。ぶっきらぼうなオッサンがボンゴで爺さんがジェントルだ。名付けは適当。
が、任せた仕事を熟したようで報告に来た。今にも倒れそうなくらい痩せ細った人間を肥えさせるために狩猟と家畜化を任せていたのだ。
他にも食べられそうな植物を教えて採取させたり村の畑の肥料として森の土を持ってこさせたりしてる。最初に血を吸った村人の知識や聞きかじった現代知識の賜物だ。でも、まだ配下は周辺言語が話せないから村人との意思疎通は私が通訳しなきゃいけないけれどね。
眷属はどうやら転生前の私の知識の一部を持って生まれてくるらしく日本語を話している。現代日本の知識もあるし怪人なのに村人よりも文明人に見えるくらいだ。まあワンパンマンの原作知識は聞いてみても誰も答えられなかったが。ここに関してはむしろ知られずに済んで良かった。何かの拍子で原作知識が拡散してしまう恐れがあったし。
言語の問題はノイがマスターしようと私の世話の傍ら頑張っている。ハーレム、いや性奴隷の方がらしいかな。の姉妹とベッドで頻繁に話しているし。
「そう。では引き続き治安維持活動と周辺怪人の探索を継続なさい。難民も場合によっては受け入れていいわ」
「了解しました」
今にも崩壊しそうな限界集落は私達が来た時から間違いなく改善に向かっている。少なくとも今月くらいは食べる食料に不安を覚えずに済む。これはゲルマン人に脅かされて隠れ住んでいるローマ人にとっては望外の幸運だった。
その証拠に明らかに村人の対応が変わってきているしね。
もう村長一家への信頼よりも私達に対する畏敬の感情の方が明らかに大きい。村長は私の代理人に過ぎなくなってきている。
現状に不満を持っているのは最初に殺した村人関係者と寝取ったキャサリンの夫くらい。
思ったより遙かに人間って手懐けやすいな。
「そう思わないノイ?」
「確かにそうですね。まさか一月も経たずに懐柔されるとは」
「フフッ。ねぇキャサリン。ノイが貴女は淫乱だって」
「あん。言わないで。言わないで下さい」
「お姉ちゃん」
「ほらリリシアも見てないでお姉ちゃんを舐めて上げないと」
「ああっお願い。やめて」
うーん。最終的に滅ぼされても後悔しないくらいには現状を楽しめてるな。
キャサリンとリリシア姉妹も何とか眷属にして末永く弄びたい。姉は16で妹は13くらいだからもうちょっと成長したら魂を吸い取るか。
そんなことを考えながら私は性行為に耽っていた。
◇◆◇◆
「ちくしょう、あの怪人共!」
「おいイワン。酒はその辺にしとけ聞かれちまう」
「女房を浚われて飲まずにいられるかっ」
キャサリンの夫は酒を飲んでやさぐれていた。滅亡寸前の村落で、いや追い詰められていたからこそ熱々であった新婚家庭の花嫁を怪人に生贄として差し出す羽目になったからだ。そのイワンを苦笑しながら他の村人が慰めている。
怪人が村にやって来た時に血を吸われて殺された被害者の事もあり当初は他の村人も怪人達を苦々しく見ていた。
だが、今現在はと言うとむしろ逆に怪人は歓迎されている風潮すらあった。
憎きゲルマン人の襲来によって交易網が寸断され、無限に侵食し続ける森を伐採して利益に還元する
意図的に特殊な呪術によって土地を弱らせて切り開いた村落では畑を耕してもろくな作物は育たない。食料は全て定期的にやってくる商隊任せで自給自足など村人達にとっても初体験であったのだ。
ゲルマン人達がやって来た森林地帯に生息する野生動物は獰猛な肉食動物ばかりで狩人が逆に狩られることも多い。場合によっては怪人に後を付けられて村が壊滅する危険性もあった。森の中への採取は常に滅亡の危機と引き換えの博打なのだ。
実際に森の中から怪人達が現れてこれまでかと思われた村落はしかし、怪人達の気紛れで生き残る事が出来ている。
豊富な森の恵みを採取し、獰猛な肉食動物を家畜とし、村人達にもよく分からない呪術によって弱った土地を一部だけ再生させ、これ以上ない程の利益を村は受け取っていた。
正直な話、既に一人二人の生贄など村では必要経費だったと納得済みなのだ。
その程度の人的損失など珍しくもない。森を自分達で探索するより被害は圧倒的に少ないのだ。
これで花嫁が怪人に命を奪われていたら他の村人もイワンにもっと同情していただろうが、怪人は花嫁を性的に弄ぶだけで命を取ろうとはしていない。
こうなるとイワンはただ女を寝取られただけの甲斐性無しに過ぎず、影で他の村人に嘲笑われる事すらあった。
今、イワンが飲んでいる酒だって怪人達が採取してきた果物から作られた物なのだ。今更、怪人を排除しようなんて村人は誰も思っていない。
「ちくしょうちくしょうちくしょう」
嘲笑った村人の声が怪人の含み笑いが女房の享楽の声がイワンの中で反響し、ついに男は人間であることを止めた。
【許してなるものかぁ!!】
身体が二倍以上の大きさに膨れ上がり、ドス黒い血管が身体中に浮かび上がり、男は怪人として新生した。
「ヒィィッ」
【俺は怪人、寝取られ男。この村諸共、怪人を潰す!】
大声で咆えた男を村人達は恐怖の眼差しで見つめ、たまたま通りかかったボンゴとジェントルに発見された。
「フォフォ。災害レベル狼。雑魚ですな」
「そうだな」
真祖の吸血鬼が眷属、怪人バンパイアは災害レベル虎。
人数と武装さえ整えれば普通の人間にも倒せる災害レベル狼とは次元が違う。そんなことも知らずイワンだった怪人は二人に激情のまま襲いかかった。
「良いお土産になりましょう。女王の前に生かして連れて行くとしようかの」
【グガァッ】
ジェントルの掌底によって寝取られ男の足の骨が粉砕され怪人は地面に崩れ落ちた。
その2メートルを超える怪人の大きな身体をボンゴが片手で掴み引きずっていく。
【止めろ。やめろぉー!!】
暴れる怪人の手を溜息を吐いたボンゴが軽くねじ伏せると哀れにも寝取られ男は吸血鬼の女王の前に引き連れられて行ったのだった。