ワンパンマン世界に怪人TS転生だって?   作:八虚空

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三話 サイタマ異星人説

 生み出した眷属に村の治安維持を任せていたら村人の一人が怪人になったらしく引き連れてきた。人間時代の名前はイワンでキャサリンの夫だったらしい。怪人名は寝取られ男。ね・と・ら・れ・男。

 

 直球ネーミングに腹筋をヤラレタ。怪人名って自分で決めたんだろうか。面白すぎるんだが。

 

「イワンっ!」

「おっと」

 

 怪人になってしまった夫を見てキャサリンが涙目で駆け寄ろうとしたので抱きしめて拘束した。

 場合によっては無理心中なんてツマラナイ結末になってしまうかもしれないからな。単なる人間に過ぎないキャサリンを怪人に接近させるわけにはいかない。

 

【おのれ、妻を放せ!】

 

 怪人になっても愛情は変わらないのか、独占欲と嫉妬心で憤怒してるのかイワンが咆える。

 ボンゴに両腕を背中側で拘束された上に身体を地面に押し付けられているんだが、今、一瞬だけだが抵抗したな?

 怪人になって暴れた際の周辺被害から災害レベル狼だとボンゴとジェントルは判断したらしいが、何らかの異能持ちの可能性があるな。試してみるか。

 

「ククッ。可哀想にねぇイワン。お前の溺愛する女は既に私の物。さっきまで激しくベッドで喘いでいたのを知ってる?」

「や、やめて」

 

 キャサリンの美しい金髪を一筋、手で掬ってキスをする。サラリとした感触が飽きない。

 耳元で囁く私にキャサリンは頬を赤く染めて目を潤ませる。拘束した手がキャサリンのささやかな胸を撫で回して愛撫する。

 プチプチとキャサリンの着ている服のボタンを外して肌をはだけさせればイワンは面白いほどに憤怒して暴れ狂った。

 

【殺じゅ。ゴロジュー!!】

 

 もはや真面な言葉すら話せなくなったイワンの抵抗は更に激しくなり、災害レベル虎であるボンゴが拘束するのに苦労している程だった。

 やはり、強化されている。もしや細胞が更に変異し始めているのか? 場合によっては一気に虎を飛び越して鬼クラスの変異をするのかもしれないな。危険だろうか?

 だが、この程度のリスクを背負わねば何も出来ない。格下が覚醒して一気に強くなるのがワンパンマン世界だが、理不尽なまでの力量差に踏みにじられるのもワンパンマン世界だ。私の災害レベルは鬼。最下級の狼にビビる訳にはいかない。

 

「フフッ。イワンが怒ってるわよキャサリン」

「アナタ……」

「言って上げなさいな。実は満更でもなかったって」

 

 囁く私にキャサリンは頬を染めた。

 連日連夜の性行為にキャサリンが調教され始めていたのは本当だ。不本意だろうが耳で睦言を囁かれては身体が反応してしまう。

 

 だが、イワンから見てそれは裏切り行為に他ならない。騒がしかったイワンの声が静まりキャサリンの表情を直視した。

 

「ぬぅこれは!?」

 

 拘束していたボンゴが弾き飛ばされイワンが無言で立ち上がった。

 

【殺す。妻諸共、殺してやる】

 

 圧倒的な怒気にキャサリンは涙を流しながら座り込んだ。

 その様子を私は呑気に眺めて。

 

「やってみれば?」

 

 そう微笑んだ。

 

 

 

 警戒して動き出そうとしていたボンゴ・ジェントル・ノイを片手で制止し、突進してきたイワンの体当たりを反対の手で押さえ込んだ。

 少し痺れた。今の一撃は虎クラスは間違いなくあったわね。

 しっかし背後にはキャサリンがいるってのに、寝取られたと思った瞬間に殺そうとするとは。流石は怪人、寝取られ男。憎しみ無念・嫉妬の感情が渦巻いている。

 

「こんなもの?」

【ぬぉおおおおおおおっ!!】

 

 拳の連打が私の全身を殴り続ける。私は特に防御せず甘んじて受けた。

 ふむ、微妙に痛いな。血は流れないにしても青痣くらいにはなるかもしれない。ま、その程度のダメージなんて吸血鬼ならないようなものだけど。

 

 それに時間が経つにつれて目に見えて力が弱まっていく。疲れたとか息切れしたとか、そんな理由じゃなくこれは。

 

「へぇ。殴ってる内に多少はスッキリしたのかしら。女を殴るタイプにも見えないしね」

【な、何故、防がない】

「防がなきゃいけないほど脅威じゃないし、虎クラスの攻撃を受けてみたかったから」

 

 結論。コイツは災害レベル狼だ。

 激情によって一時的、数十秒間くらいかな? 肉体をエネルギーの過剰放出によって強化しているだけだ。

 嫉妬の感情をエネルギーとして使用できるのは利用価値がありそうだが、それだけね。

 

 怪人化による細胞の変異を再び起こした訳でもサイタマのように肉体のリミッターを外している訳でもない。

 生物の持つ成長の限界『リミッター』

 それを限界を超えた訓練で常時外していたからこそサイタマはあそこまで強くなったんじゃないかと私は思っている。

 

①怪人と戦う→②瀕死状態→③特訓→④限界突破→①怪人と戦う

 こういうループを繰り返したんじゃないかって話ね。

 

 要はドラゴンボールのサイヤ人達が自分の限界を超えた修行で瀕死になって急激なパワーアップをするようなもの。正直、真似できるとは思えない。

 サイタマ以外だって似たような事をやった人間はいるだろう。武術家なんて自分自身を越える為の修練の道を歩む人種だ。誰もがサイタマと同じ境遇を乗り越えれば急激なパワーアップをするならS級ヒーローの武術家達はもっと強くないとオカシイ。

 

 なら、何故サイタマだけがああも強いのか。簡単だ。

 ドラゴンボールで例えるならばサイタマがサイヤ人だったからだ。選ばれた人種なのだ。

 

①怪人と戦う→②瀕死状態→③特訓→④身体を壊す

 おそらく、これが常人の末路だ。誰もがサイタマになれるとは私は思わない。

 

 そしてサイヤ人全員がキチガイな修行馬鹿である訳がないし、修行馬鹿がサイヤ人である可能性も低い。

 故にサイタマは特別なのだ。

 

 それに本家のドラゴンボールのサイヤ人達だって常時瀕死になる修行をしている訳じゃない。強敵を打倒するためにインフレ的成長をするのだ。

 競い合うライバルもいないのにドラゴンボール的インフレである成長リミッターの解除を常時やっていたサイタマが如何にオカシイかよく分かるだろう。

 

 常時とは言わないまでも一回でいいから成長リミッターを外して強化したサンプルが手に入れば、多少は後追いも出来るかと期待したのだけど。

 残念ながら期待外れだったらしい。

 

「もういいわ」

【え?】

 

 私の攻撃によって腹に大穴が空いた怪人、寝取られ男が腹を二度見して遅れて激痛に叫んだ。

 悠々と私は怪人の背後に回り込み血を吸ってイワンの魂を取り込んだ。

 

【キャサリン】

 

 最期に怪人、寝取られ男は妻へ手を伸ばして灰となって消えていった。

 

 血を吸った事による強化は人間とさほど変わらないわね。所詮は災害レベル狼か。

 ま、研鑽すれば嫉妬のエネルギー化とエネルギーの過剰放出による肉体強化の異能が手に入りそうだし満足しておきましょうか。

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