ワンパンマン世界に怪人TS転生だって?   作:八虚空

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七話 怪人一族

 ラウンドナイトのB級ナイト。これがB級ヒーローと同じ階級なら災害レベル狼を単独で対処できるくらいの実力になる。

 でも原作じゃA級ヒーローが災害レベル虎をボロボロになりながら死闘の末に倒したかと思えば、一撃で災害レベル鬼を始末するような奴がいたりするのよね。B級1位の地獄のフブキはA級上位の実力を持っている上に相性によっては災害レベル竜と渡り合える可能性があったりと階級で戦闘力は正確には測れない。

 

 眷属で簡単に蹴散らせる可能性もあるが、私ですら問答無用で討たれる可能性がある。

 その上、人類の味方だからといって本当に敵に回して良いかも分からない。最終目的を考えるとアッティラに加勢した方が良いに決まってるんだけれど、怪人バンパイアを奴隷階級にして従えたりしそうなのよね。歴史的な人物像だと。

 とりあえずは様子見かな。

 

「いいわ。B級ナイトとやらを連れて来なさい」

「はっ」

 

 ボンゴは頭を下げると家を出て行った。ちなみにこの家は元村長宅。村長一家は近隣に住む親戚の家に引っ越しさせた。

 狭っ苦しくて古くさいが時代を考えると仕方ない。我慢して使ってやってる。他の村人より学はあるから小間使いとしては村長一家は便利だし殺さなかった。感謝して欲しい。

 

 ビクビクしながらゴマすりをしてくるウザったい爺を思い出しながら自分の寛大さに感心しているとボンゴが難民を引き連れて戻ってきた。

 これがB級ナイトか。ボロボロになった鎧に剣。泥で薄汚れた外套を纏った集団。オマケに代表はむさ苦しいオッサン。

 

「我々はキャメロットから参ったラウンドナイトと申すもので……」

「チェンジ」

「は?」

「挨拶は横の可愛い女の子にさせてくれないかしら。むさ苦しい男となんて会話する気になれないわ」

 

 私の発言にヒソヒソと「おい、どうするよ」「どうって、そのくらいなら譲っても」「いやだが、リーダーは俺だぞ」ってしばらく内輪もめをしていた様子から思ったより一枚岩な組織ではない事が窺えた。

 原作のヒーロー協会同様、我が強いな。たかが村の代表に頭を下げねばならない屈辱と、見下していた部下が逆らった様子に代表は面白くなさそうに顔を歪めた。

 馬鹿にしたようにそんなリーダーを見るメンバーもいて、チームとして上手く纏まっていない。町が滅亡した故の急造チームなのでしょうね。そうじゃなきゃお粗末すぎる。

 

「失礼しました。私達はキャメロットから派遣されたラウンドナイトのB級ナイトチーム。カマセ部隊です。怪人一族ゲルマン人から避難民を引き連れて逃亡中にボンゴさんと出会い、補給と難民の受け入れをお願いしに立ち寄った次第です」

「カマセ。部隊長の名前かしら。さっきの人?」

「え、ええ。何故それを?」

「何となくね」

 

 カマセか。こりゃチームで災害レベル虎あたりかな。B級ナイトでも下位チームな気がしてきた。

 いや、ワンパンマンだと逆に変な名前の奴が強者だったりするからな。ブサイク大総統なんてブサイクを馬鹿にされ続けた怨念で災害レベル竜に至った化物すらいるし。私の転生先が美女バンパイアで良かった。ブサモンなんて種族名まで付けて弄られるブサイクモンスターに転生するくらいなら例え災害レベル狼スタートだったとしても美女バンパイアになるわ。

 

「怪人一族、ゲルマン人。恥ずかしながら噂に聞くだけで詳細は知らないのよね。その情報と引き換えに難民の受け入れと補給は請け負いましょうか。もう近隣に出没していたりするの?」

「ありがとうございます。はいゲルマン人は……」

 

 B級ナイトの少女が言い終わらない内に悲鳴と笑い声が村に轟いた。

 

「もう村に侵入したみたいですね」

 

 ゲッソリした顔で少女は溜息を吐いた。

 

 

 

「グハハハハッ。我々はアングロ・サクソン七大王が一人、憤怒のラース様の配下だぞっ!」

「早急に頭を垂れろ。我らが寛大な対応でいるうちになぁ!」

「ヒィィッ」

「ゲルマン人が、この村にまで来やがった!」

「野郎、お前らのせいで餓死した奴もいんだぞ。誰が頭を下げるかっ!」

「良かろう。ならば死ねぇい!」

 

 現場に辿り着いた時にはもう騒乱が起こっていた。ふむ、群の数は30ちょいか。何匹かには逃げられてしまうか?

 ボスならともかく明らかに格下の怪人一族の雑魚に負ける気はしなかった私はそんな計算をしていた。怪人達を呑気に見ている私を心配してかB級ナイト、カマセ部隊の少女が前に出て言った。

 

「怪人がこんなにもっ。私達では撃退仕切れません。時間稼ぎをするので村の方を連れて脱出をお願いします!」

「おい、シノン。お前勝手に何を言ってやがる! 誰が時間稼ぎなんざするかっ!」

「ええ!? カマセ隊長、戦わないんですか!?」

「馬鹿が、死ぬじゃねぇか。もう難民は村に引き渡した。貰った金の分は働いたんだ、これ以上は契約外。守って欲しけりゃもっと金をよこせってんだ!」

 

 うっわ、マジか。ここで仲間割れに敵前逃亡するのか。流石は中世。原作ほど倫理感が高くない。

 唖然とした私を置いてカマセ隊長他数名のカマセ部隊が逃亡しようと走り始めた。怪人とは逆方向に。残ったのは女隊員シノンを含めた3名。怪人の半分はいたのに残った人数はこれだけ。なるほど御恩と奉公か。意外と中世の騎士ってビジネスライクで利益が得られなきゃ従わないっていうしね。

 だが、ヒーロー協会を思わせる騎士の理想と語られたアーサー王の配下がそれはマズいんじゃないの? ああ、だから左遷されたのか。

 

 色々と納得のいった私は身体の一部をコウモリと化して密かにカマセ部隊の後を付けさせた。アイツらなら別に食ってもいいでしょ。

 でも今は怪人ゲルマン一族の対処を優先しよう。死者はまだいないけど怪我をしてる村人も多い。

 怪我で済んでるのを見ると災害レベルは狼。カマセ部隊が時間稼ぎは可能だけど負けるってことはアイツらも個人で狼クラス。うん、雑魚しかいない。

 

「ボンゴ・ジェントル・ノイ。逃がさないよう注意。怪人一族ゲルマン人も出来るだけ魂を吸い取りたいけれど無理なら殺して良いわ」

「御意」

 

 影のように現れた眷属達が頷いて、蹂躙が始まった。

 

「ば、化物。血を吸う化物だっ!」

「貴様らも怪人だろうが。人みたいに情けない声を上げるんじゃない!」

 

「うわぁ! 隊長、コウモリが、コウモリが首に噛みついてきて!」

「よし、生き餌が死なない内に逃げるぞ!」

「隊長のクソ野郎ぉ!」

 

「え、え? 血を吸って。怪人? でも村人を守ってる……」

「あら。キャメロットには私達のようなナイトはいないの?」

「そんな人はっ! ………………。結構、いますね」

「そうよね(原作にだって変な人間多いし)」

 

 最終的に村に来た怪人一族ゲルマン人は全滅。カマセ部隊は5人逃亡7人死亡3人客人という結果となった。

 もっとカマセ部隊に戦力を割くべきだったわね。シノンに聞いた所、あれでもカマセ隊長は災害レベル鬼が闊歩する戦場を毎回生き延びているらしかった。

 生存特化型か。逃亡時のみA級クラスの働きをするのかもしれないわね。戦場じゃ確かに頼もしい。

 

 もしかしたら私に最も必要だったのはカマセの力だったかもしれない。ミスったわね。

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