【悲報】転生したらツンツン頭で知らない部屋にいたんだけど   作:現実殺し

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序盤の話はやめてスキルアウト編書きます。尺の問題ですねはい。
あと普通のss書くの苦手だから(警告)



スキルアウト編:一方通行

 10月3日。夜7時。

 学園都市外部からやってきた侵入者によって引き起こされた「0930」事件が終わり、

 

「あ、一方通行(アクセラレータ)! って、ミサカはミサカは手を振りながら呼び掛けてみたり!」

「うっせェクソガキ。はしゃいでンじゃねェよ」

 

 病院の出入り口から出てきた、頭に包帯を巻いた白い髪の少年を、アホ毛のある少女が出迎える。

 

「むぅ、折角心配して迎えに来てあげたのに、その言い方はないんじゃないかな。って、ミサカはミサカは憤慨してみる!」

「ハイハイ。そりゃァどうも」

「ふふ、相変わらずね」

「ま、それがこいつらじゃん」

 

 少女……打ち止め(ラストオーダー)の後ろから、さらに二人の女性が姿を現す。

 

「黄泉川、芳川……オマエ等も来てたのかよ」

「この子を一人にするわけにはいかないからね」

 

 一方通行(アクセラレータ)の問いかけに、芳川が答える。

 先日の一件で、打ち止め(ラストオーダー)猟犬部隊(ハウンドドッグ)と呼ばれる部隊に狙われた。なので、暫くの間彼女を一人でいさせるのは危険なのだ。

 

「ささ、早く乗るじゃん」

 

 黄泉川が車にエンジンをかけ、ボーっとしている一方通行(アクセラレータ)に座席に乗るよう促す。

 一方通行(アクセラレータ)は無言でそれに従った。そして、しばらくの間は車の中で眠っていた。

 

「……オイ」

「ん? どうかしたの? って、ミサカはミサカは質問してみる」

「オマエには聞いちゃいねェ」

「……分かってるじゃん」

 

 運転をしていた黄泉川が、サイドミラーに視線を向ける。いや、正確には、そこに映る、()()()()()()()()()()()()()

 病院を出てから、その車はずっと彼らの後をついて来ていた。明らかに不自然だ。というか、

 

「あの車、つい最近も見たっけかァ」

 

 どう見ても猟犬部隊(ハウンドドッグ)が前に一方通行(アクセラレータ)を襲撃した際に使用していた車であった。

 同じものを使うという余りの馬鹿さ加減にため息をつく一方通行(アクセラレータ)

 

「車止めろ。片づけてくる」

「そうはいかないじゃん。アンタは病み上がりなんだ、ここは私に任せるじゃんよ」

 

 そういった黄泉川が突如車を止める。一方通行(アクセラレータ)が前方に視線を向けると、道路を塞ぐように大きなトラックが停車していた。

 さらに、彼らを囲うように続々と車がやってくる。

 

「えっ? 何が起こってるの? って、ミサカはミサカは聞いて見る」

「……気にすンな。どっかの三下がバカみてェにはしゃいでるだけだァ」

「ねえ、彼ら何かこっちに向かって構えてない?」

「あァ? ……そォだな」

 

 芳川の声に一方通行(アクセラレータ)達が外に視線を向けると、車から降りてきたヘルメットと黒い軍隊服に身を包む集団が、ライフルらしきものを構えている。

 

「……おいおい、警告も無しに武器を向けるとは、とんでもない奴らじゃん」

「……降りるぞ」

一方通行(アクセラレータ)?」

 

 何かを見つけた一方通行(アクセラレータ)が、無断で車を降りる。

 降りた先で彼の瞳に映ったのは、顔に刺青のある金髪の白衣を着た男性だった。

 

「よォ、木原クン。数日ぶりだなァオイ」

「全くだ。折角テメェの顔見る事もなくなったってのに、まーた同じ依頼吹っかけてきやがったんでな。……まっ、そんな訳で、ガキは貰ってくぜ」

「くたばれクソ野郎」

 

 一方通行(アクセラレータ)が地面にあった小石を木原に向けて蹴り飛ばす。それは徐々に加速していき、弾速の域にまで到達しようとする。

 それを体を捻って軽く躱した木原は、マイクロマニピュレータを装着した拳で一方通行(アクセラレータ)に接近する。

 

「させないじゃんよ!」

 

 木原が一方通行(アクセラレータ)に殴りかかる瞬間、黄泉川が車のドアを開き、木原を妨害する。

 いきなり開け放たれたドアに驚く素振りも見せずに軽く躱す木原。

 

警備員(アンチスキル)じゃん。お前ら全員、銃刀法違反、及び道路交通法違反でちょっと署まで来てもらうじゃんよ」

「国家権力に頼るとは、いよいよ最強は潮時なんじゃねぇか一方通行(アクセラレータ)? ま、こっちはなるべくスピーディーに仕事を終えろとのお達しだ。……失せろ」

 

 その一言とともに、一斉に発砲をするよう猟犬部隊(ハウンドドッグ)に命令する木原。

 だが、それよりも早く一方通行(アクセラレータ)が動く。

 

「あぁ?」

「ぶち殺し確定だクソ野郎!」

 

 一方通行(アクセラレータ)が木原に向かって右の掌を引っ掻くように繰り出す。

 それを見て、にやりと笑った木原は、一方通行(アクセラレータ)の手が届くよりも早く彼の右頬に拳を放つ。

 普通なら、それは悪手だ。幻想殺し(イマジンブレイカー)のような特別な右手でもないのに、まともに殴りかかれば、力を「反射」され、彼の手が折れてしまう。

 

「ゴフッ!?」

「相変わらず何も学習しねぇなテメェは。前に言ってやったの忘れたのか?復習の時間が必要なのか?」

一方通行(アクセラレータ)!? 一体どうして……なんで「反射」が……」

 

 殴り飛ばされた一方通行(アクセラレータ)のもとに駆け寄る黄泉川。

 本来なら一方通行(アクセラレータ)の「反射」で木原の手が折れ、地に転がっているのは彼の方だったはずだ。なのに、現実は全然違う。

 何故一方通行(アクセラレータ)の「反射」を突破できたのか。それは、木原だからこそ、だろう。

 

「ソイツの「反射」ってのはただ逆転させるだけだ。だったら、「反射」される瞬間に引き戻せば、その力を反転させてそいつに攻撃が届くって寸法。あー、同じ説明を何度もするのはダリィなオイ」

 

 なんて事のないように言うが、そもそも目には見えない反射の基点を見極めて引き戻すなど、常人には不可能に近い。

 そんな偉業を平然と成し遂げる目の前の男に、黄泉川は戦慄するが、

 

「退いてろ……ソイツは俺がぶち殺す……!」

「言ったろ。テメェらに付き合ってる暇はねぇの。あばよ」

「? ……はっ!? 打ち止め(ラストオーダー)!? 芳川!?」

 

 一方通行(アクセラレータ)に背を向けて去っていく木原を不審がった黄泉川だったが、急いで自分たちが乗っていた車を見る。

 そこには、恐らくは猟犬部隊(ハウンドドッグ)によって気絶させられた芳川しかいなかった。

 

「な――!? クソっ、待ちやがれ木原ァァァァァァァッッ‼‼」

 

 同じく彼女がいないことを確認した一方通行(アクセラレータ)が、急いで木原を追おうとするが、すでに彼らは逃亡し、姿が見えないところに居た。

 急いで彼女を追おうとする一方通行(アクセラレータ)だったが、

 

「……念のため、持たせておいて正解だったみたいじゃん」

 

 一方通行(アクセラレータ)の肩を掴み、黄泉川は『ある物』を見せた。

 それを見た一方通行(アクセラレータ)は目を丸くし……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと。あれの準備は出来たかテメェら」

「はい。ここに」

 

 打ち止め(ラストオーダー)をいとも容易く攫って行った木原達。

 仮拠点であるビルで、今回の依頼を達成するため、行動を開始した。

 

「へぇ……こいつが学習装置(テスタメント)か。じゃ、ちゃっちゃと始めますかね」

「はっ」

 

 木原の一声とともに、手際よく学習装置(テスタメント)を起動し、打ち止め(ラストオーダー)にウイルスを流し込む。

 暫くは何も起こらなかった。

 だが突如、窓の外で変化が起こった。

 

「おいおい、なんだありゃぁ? ハハッ! 理論の理の字も分かんねぇぞ! 畜生、飛んでやがんなアレイスター!」

 

 光翼のようなものが、学園都市を覆いつくした。そして、一方通行(アクセラレータ)の頭脳を完璧に把握し、先読みできる頭脳を持つ木原をもってしても、その現象に説明を付けることが出来ずにいた。

 その事実に、憤るどころか笑みを浮かべる木原。

 

「ほら、お前らも見てみろよ。いつから聖書ってのは飛びだす絵本に――」

 

 ドカァァァァン!!と、彼らのいた部屋の扉が破壊される。

 そして、その先からぞろぞろと警備員(アンチスキル)が現れる。

 

「あれま。こりゃ一体どういう……」

「動くな! 警備員(アンチスキル)じゃんよ!」

 

 その警備員(アンチスキル)の中に、先ほど木原と遭遇した黄泉川がいた。

 

「……なんでここが分かった?」

「旧式の発信機……念のためにその子に持たせておいて正解だったじゃん」

 

 そう言って、黄泉川が携帯の画面を見せる。そこには、地図上に赤い点のようなものが、このビルの部分で点滅していた。

 

「武器を捨てて大人しく投降するじゃん」

「……まさか、こんなつまんねぇ結末とはねぇ。……ま、ただで終わらせるつもりはねぇがな!」

 

 すると、木原は懐からチップのようなものを取り出す。

 それを見て眉を顰める黄泉川。

 

「こいつが何か知りたいか? じゃあ教えてやるよ。こいつはそこのガキにに仕込んだウイルスのオリジナルスクリプトだ! これがなきゃ、そのガキは絶対に助からねぇぞ!」

「!?」

 

 その言葉を聞いた瞬間、警備員(アンチスキル)たちの動きが止まる。

 

「ハハッ! そうだよなぁ!? テメェらが哀れな被害者(ガキ)を無視するなんて非道なことするはずねぇよなぁ!」

「くっ……!」

「さぁて。俺がちょっと力を入れるだけでこのガキを助ける希望は虫けらみてぇに潰れちまう訳だが……」

 

 詰んだ。

 理屈は分からない。だが、打ち止め(ラストオーダー)が危険な状態にあるというのは彼女の姿を見ても明らかだ。

 そして、それを助ける手段は目の前の男が持つデータだけ。……どこまでが真実か分からない。だが、それ故に彼らは迂闊に動けない。

 まず黄泉川が、手に持っていた銃を落とす。

 

「ハハハッ! それでいいんだよそれで。おらどうした? こいつがぶっっ壊れちまってもいいのか? あぁ?」

 

 一人、また一人と。手にしていた銃を下ろし、地面に膝をつけていく。

 

「よーしよし。おいお前ら! そいつら捕まえとけ。流石に公的な治安維持組織をぶっ殺すと後が面倒だからな」

(だが……一方通行(アクセラレータ)がいないのは何故だ……?)

『その必要はねェよ。クソ野郎ッ‼』

 

 バリィィィィン!、と。部屋の窓ガラスが割れ、何者かが部屋に侵入してくる。

 侵入者は一気に木原の手からスクリプトを奪うと、寝かされていた打ち止め(ラストオーダー)を背に庇うように立った。

 その人物は他でもない、一方通行(アクセラレータ)だった。

 

「あぁ……そういや、テメェが来てねぇのは妙だと思ったが、そういうことだったのね」

 

 つまり、一方通行(アクセラレータ)は切り札。万が一木原が打ち止め(ラストオーダー)を人質にとった場合、彼女を救出できるように準備をしていたのだ。

 恐らく、9月30日のように、警備員(アンチスキル)が落ちているような状況では、こうはならなかっただろう。

 そして、打ち止め(ラストオーダー)という人質を失った木原達に残った選択肢は一つだけ。

 

「チェックメイトだ。クソ野郎」

 

 一方通行(アクセラレータ)は低い声でそう言った。

 その後、猟犬部隊(ハウンドドッグ)と木原数多は逮捕され、彼らの日々は終わった。

 一方通行(アクセラレータ)の持ってきたスクリプトとウイルスを仕込むのに使われた学習装置(テスタメント)、そして彼自身の能力で打ち止め(ラストオーダー)は完治したが、人間の脳にウイルスを撃ち込むという前代未聞の事態に、担当した医者はしばらくの間経過観察が必要だとし、彼女の入院生活が決まった。

 

「またここに帰ってきちゃったよー! って、ミサカはミサカは余りの退屈さに愚痴ってみる!」

 

 




え、サブタイ詐欺?木原君がかませみたい?言うな。

因みに、そのころのイッチ。

イッチ条「風斬!大丈夫か!?」

ヒューズ=カザキリ「……」

イッチ条「くそ、こんな右手が無ければ……あれ?治ってる?」

風斬「あ、ホントだ」

こんな感じ。

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