用務員の日常   作:八雲 紅

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GXを見直してたら書きたくなったので書きました


アカデミア用務員編
俺はアカデミアの用務員


 

トラックに轢かれた覚えは無し。死んで神に会った覚えも無し。

気が付けば遊戯王の世界に転生。

たまたま持ってた現代のカードと知識と原作情報を活かして無双するぜ!と息巻くも両親が多額の借金を残して蒸発、そして残された俺は船に乗せられ怪しい場所に連れて行かれそうになるも嵐で船は難波。

流れ着いた先は遊戯王GXの舞台であるデュエルアカデミア。

着の身着のままで、デッキが無くなって、でもなんとかアカデミアに用務員として拾って貰えまして、俺……遊佐健斗(ゆさ けんと)は元気です。

 

今日も元気に用務員の仕事に励む。

現在、大徳寺先生に頼まれてレッド寮の物置を整理し補強や配置換えを手伝っていた。朝から始めた作業も気付けば昼を過ぎて日が傾く夕時になっていた。

 

「いやぁ、遊佐くんが手伝ってくれて助かったにゃー」

 

「いえいえ、大徳寺先生のお願いでしたら喜んで」

 

「そろそろ新入生が来る時期だから少しでも綺麗にしとかないとにゃー」

 

「はい、お茶だにゃー」と言って大徳寺先生は俺に冷たい麦茶を差し出す。

レッド寮の整理と清掃という仕事終えた俺は食堂で一息吐いて先生から麦茶を受け取り一気に飲み干す。

汗をかき火照った身体に麦茶が染み渡る。

 

「それにしても遊佐くんが流れ着いてから今日で3ヶ月、早いもんだにゃ」

 

大徳寺先生の言葉を肯定するかのように彼の飼い猫のファラオが「ニャーゴ」と鳴いた。

 

「もうそんなに経ったんですか」

 

「君を海岸で見つけた時は何事かと思ったけど、無事にやっていけてるようで安心だにゃ」

 

「自分でもなんで生きてるのか不思議ですよ……」

 

ここに流れ着いた経緯を振り返りながら遠い目をする。

脳裏に過ぎるのは典型的な黒服サングラスの借金取り。親の借金のカタに俺をナントカカントカすると言ってきたのでデュエル勝ってみろと宣言してボコボコにして返り討ちにしたのにあいつらリアルファイトで取り押さえてきた。

「お前らそれでも決闘者か!」「リアリストだ!」の問答は記憶に新しい。

その後は取り押さえられデッキも家も奪われ怪しい船に乗せられ、しかし嵐で監視の目が無くなった隙に船内で大暴れ。デッキを返せとバーサークゴリラ並にリアルファイトを繰り広げた結果、嵐で船ごとひっくり返り漂流した俺は無事デュエルアカデミアに流れ着き海岸でキボウノハナーを咲かせていたところを散歩中の大徳寺先生に発見、保護された。

その後は大徳寺先生に事情を話し、彼を通じてアカデミアの経営陣も話を聞いて不憫に思ったのか用務員として雇ってもらえる事になった。

例の船がかなり離れた沖で転覆して見つかり、乗組員と見られる怪しい男達が捕まっており話が事実だったという事も大きい。

 

「生きてるだけで儲けものだと思うにゃー」

 

「そうですね」

 

大徳寺先生の言葉を軽く流して立ち上がるが、この人が命とか言うと重みが違うので困るのである。

 

「では、今日はこれで」

 

「またよろしく頼むにゃ」

 

大徳寺先生に手を振りレッド寮を後にする。

イレギュラーな用務員として過ごしている俺は正規の部屋を与えられる余裕が無く、レッド寮の近くの森にある小屋が与えられそこで過ごしている。この島自体に廃寮やら怪しい施設やらあるしこの小屋は「この建物一応使えない事も無いけど管理面倒だなー、そうだこいつに使わせよう」的なノリで渡されたんだろう。

小屋はこの3ヶ月の間に隙を見て改装増築を加えて住みやすくし、更には周りに簡易的な畑も作った。

一応アカデミアで働いてる訳なので給料もちゃっかり貰っていたりするのだが小屋の改装や日用品に使いっぱなしでカードやデュエルディスクを買う余裕は無かった。

ぶっちゃけデュエルするよりこの秘密基地小屋を開拓してた方が充実していたかもしれない。

 

小屋に帰り改装して作ったシャワールームでシャワーを浴び、パジャマ代わりのジャージに着替えてベッドへと寝転がり思案する。

 

 

俺にはこの世界の知識がある。

今は原作……遊城十代が入学する直前の秋でありこれからあの深夜42時アニメと呼ばれた怒涛の展開が始まるのだ。

 

「なるようにしかならないよな」

 

ごろん、とベッドで寝返りを打ちながら呟く。

経緯はどうあれ元々原作に関わるつもりで来たのだ、もう止まれはしない。

いち原作ファンとして、決闘者として、出来る限り十代をサポートすると決めたのだ。そのためにレッド寮の設備を多少改善したりレッド生達とはそれなりに仲良くなっている。

デッキが無いのとデュエルで通じ合う十代のスタンス上、直接デュエルに関わる事は難しいが、それ以外では助けになってあげたいのだ。

 

 

自分勝手かな、そう最後に呟いて俺は明日の仕事の準備に取り掛かるのだった。

 

 




主人公はただの遊城十代強火オタク。
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