お願い、負けないで龍牙!
あんたが今ここで倒れたら、教員になってクロノスを蹴落しエリートを排出する夢はどうなっちゃうの?
指輪はある。魔法を封じれば、暴君に勝てるんだから!
今回「龍牙死す」デュエルスタンバイ!
みんな龍牙先生好き過ぎでは?
「健斗さんが龍牙先生の次の対戦相手!?」
「面白い事になったじゃない」
あのあと購買へ戻ると明日香達が十代一行を連れて事情を聞きに来たのでそう答えると皆それぞれの反応を示した。
ちなみに三沢は神楽坂を寮へ送っていったので居ない。
「そういえばレッドの生徒も何人か被害に遭ってるらしいんだな」
「隣の部屋のチックくんとかがそう言ってたっス!」
「私も調べてみたけど中等部の生徒や一部の女子も被害があったらしいわ」
「皆……魔法が発動出来なかった……」
みんな龍牙には何かしら思うところがあったのか調べた情報を伝える。
やはり分かっていた事だが漫画通りのロクでもない奴のようだ。
「明日香さん、被害者には女性も居るんだよね?」
「ええ、気の弱そうな相手を狙っているみたいよ」
全く許せないわ、と明日香は怒りを露わにする。
「その子達全員で校長に直訴しようぜ、この人痴漢でしかもカード奪いましたって」
「ええっ!?」
「マトモな仕事出来な委員会のリーダーっぽいの女性だしあいつら証拠無くても動くしいけるんじゃね?あいつらの杜撰なとこ逆手に取ろうぜ」
俺の提案に全員は驚きで口を開いたまま固まっている。
「それはちょっと……」
「決闘者に決闘させないのってかなりの仕返しになると思うんだけど?元々俺がデュエルを受けるメリットは無いしアイツが捕まれば余罪も全部バレてカードも戻るんじゃないかな?」
思い返すはリアルファイトで俺を捕らえてきた借金取り。
2、3人ならばなんとかなるがさすがにそれ以上が一斉に来たら無理だった。世の中にはデュエルを捨てリアリストにならなければならない場面もあるのだ。
なんにせよ今回の事件、先に人としての道理を破っているのはあの眼鏡だ、外道にかける情けは無い。
「調べりゃ証拠たくさん出そうだし被害者もたくさん居るし、たまたまデュエル前に余罪がバレて御用されても不思議じゃないよね?」
「……それは最終手段にしましょう」
「健斗さんも明日香もそれほど怒ってるって事なんだな……」
明日香と十代がそう返事する。
明日香も否定せずに最終手段として残す辺りやっぱり腹が立っているんだろう。
「まぁデュエルで白黒付けた後に告発でも問題は全く無いね。向こうが約束守るとは思えないし」
「で、ボウヤは実際勝てるのかしら?」
「もちろん」
雪乃の言葉にそう返しながら俺は新たに構築したデッキをディスクにセットする。
デッキを作っていたのは神楽坂や三沢だけでは無い、俺もカード整理しながら新たなデッキを作っていた。
「あいつはきっと俺が本土で使っていたデッキが流された事を知らない。だから対策してたとしてもそのデッキか、ここで新たに組んだローレベルデッキだ」
実際【王の舞台】が無いと展開が難しいジェネレイドを使う気は無い。
それにまだあのデッキを公に出す訳にはいかない。
「魔法が使えないなら、罠中心に……?」
「いや、相手がそれを見越してイカサマを罠に切り替えたとしたらその時は目も当てられない。変に弄らずにこのまま行く」
心配せずともこのデッキはモンスター効果がメインだ、魔法罠のどちらかが封じられても問題は無いし貫通効果を活かすためならスキドレも無いと踏む。
「健斗さん!あいつをぶっ倒したら俺とデュエルしてくれよ!」
「もちろんだよ十代くん」
十代と新たなデッキで戦う事を約束し、明日の龍牙とのデュエルはみんな応援に来るという事が決定して解散となった。
翌日の夕方。
龍牙は宣言通り教育実習デュエルの最後の相手に俺を指名し夕方にデュエルが執り行われる事となった。
「急にすみません、佐藤先生。頼れる方が貴方しかいなくて」
「遊佐くんの頼みなら構いませんよ。……今は教師ではなく一個人として君を応援します」
急なお願いにも関わらず監督者を承諾してくれた佐藤先生に礼を述べる。そして最後の言葉からして先生も龍牙のよくない噂に気付いているようだ。
「おや、怖気付いて逃げたと思いましたよ」
佐藤先生と話していると龍牙が到着したらしく、フィールドに上がりながらそう挑発してくる。
「そっちこそ、無事に決闘が行えて良かったですね。いつ龍牙先生が校長に呼ばれるかヒヤヒヤしながらお待ちしておりました」
「言わせておけば……!」
おうおう沸点低いな眼鏡、もっとポーカーフェイスの練習をしな。
「揃いましたので、これより龍牙教育実習生の最後の試験デュエルを開始します。このデュエルは私、佐藤が監督します」
口論に発展しそうだと判断した佐藤先生がすかさず間に割って入りデュエル開始を取り仕切る。その際に俺に咎めるようなジト目を向けてきた。
佐藤先生には申し訳無いが、今回は口が悪くなるのを抑えられそうに無い。
「あぁ、今回のデュエルは関係者のみの観戦を許してます。龍牙先生こんなにいっぱい関係者が居るなんて大人気ですね」
「……ええ、いずれはここに赴任しますから今のうちに生徒と交流してたんですよ」
観戦席には俺の応援に来ている十代達以外にも他の生徒も居る。
龍牙はこう言っているがもちろん彼らは龍牙にカードを奪われた生徒達だ、十代達に頼んで呼べる奴全員呼んだ。
「関係者のみなら何が起きても大丈夫ですね」
「私の勝利を全生徒に届けられないのが残念です」
「負けても関係者にしか知られないですし良かったですね」
「…………」
「…………」
煽りの押収が続き、お互いに沈黙が流れる。
俺は涼しい笑顔で対応しているが龍牙の方は表情こそ笑顔だが青筋を浮かべて怒りを隠せていない。乳酸菌摂ってるぅ?
「両者、位置に着いて。デュエル開始!」
これ以上は耐えられないといった様子で佐藤先生はデュエルの開始を宣言した。俺も龍牙もすかさずデッキをディスクにセットして構える。
「「
健斗
LP:4000
龍牙
LP:4000
「先攻は俺が貰いますね。ドロー。手札から魔法発動」
【おろかな埋葬】を発動するべくカードをディスクにセットするが反応無し。そのまま魔法を妨害するつもりのようだ、知ってた。
「どうしました?」
「失礼、俺のデュエルディスクはお転婆でね。貴方相手なら魔法は要らないって言ってるんですよ」
わざとらしく訊ねてくる龍牙にそう答えつつ、此方を伺う佐藤先生にニッと笑う。恐らくこうでもしないと彼は中断をしてくるだろう、仮にも俺は教員側の人間な訳だしそのデュエルディスクが故障しているなら中止する理由にはなる。
佐藤先生はやれやれ、といった様子で首を振るとデュエルを見守る事にしたようだ。
「では早く続けてください」
「モンスターをセット、カードを2枚セットしてターンエンド」
健斗
LP:4000
手札:3
モンスター:セット1
魔法罠:セット2
「口の割に随分と慎重ではありませんか。では私のターン、ドロー。【ハイパーハンマーヘッド】を召喚しバトル。セットモンスターに攻撃」
「攻撃された【魔導雑貨商人】のリバース効果発動。魔法か罠が出るまでデッキの上からカードをめくりそれを手札に加える。それ以外は墓地へ送る」
【魔導雑貨商人】
星1/光属性/昆虫族/攻 200/守 700
【ハイパーハンマーヘッド】
星4/地属性/恐竜族/攻1500/守1200
「貴様……あのデッキはどうした」
「どんなデッキを使おうが俺の自由だ、効果続けるぞ」
ジェネレイドと違うデッキだと気付いた龍牙が険しい顔で睨み付けるが軽く流す。
「まぁいい。ごほん、続けてください」
「1枚目【ワイトプリンス】2枚目【ワイトメア】3枚目【ワイトプリンセス】4枚目【カオス・ネクロマンサー】5枚目【ライトロード・ハンターライコウ】6枚目【ワン・フォー・ワン】、魔法カードのため手札に加える」
「いい魔法カードが引けたじゃあないですか。あ、今は使えないんでしたね」
「いま墓地へ送られた【ワイトプリンス】の効果発動。デッキから【ワイト】と【ワイト夫人】を墓地へ送る。そして【魔導雑貨商人】は破壊される」
名前の通りのハンマーの頭が振り下ろされ商人は爆散する。
「雑魚がワラワラと溜まろうが無駄です。では私はメイン2でカードを3枚伏せてターンエンド」
「エンドフェイズ時に永続罠【闇の増産工場】を発動。手札を1枚捨てて1枚ドローする。【カードガンナー】を捨てドロー」
「チッ、手札交換か」
龍牙
LP:4000
手札:3
モンスター:【ハイパーハンマーヘッド】
魔法罠:セット2
「俺のターン、ドロー。【闇の増産工場】の効果発動。手札の【ワイトベイキング】を捨て1枚ドローする。この時墓地へ送られた【ワイトベイキング】の効果発動。【ワイト】か【ワイト】の名が記されたモンスターを2枚まで手札に加えその後手札を1枚捨てる。俺は【ワイトメア】と【ワイトプリンセス】を手札に加え【ワン・フォー・ワン】を捨てる。そして【カオス・ネクロマンサー】を召喚」
【カオス・ネクロマンサー】
星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
「ふ……やはりきましたか」
人形を操る男がフィールドに現れる。
ネクロマンサーの登場に龍牙は想定の範囲内だと笑みを浮かべた。
「【カオス・ネクロマンサー】の攻撃力は俺の墓地のモンスターの数×300アップする。俺の墓地にはモンスターが10体、よって攻撃力は3000」
【カオス・ネクロマンサー】
攻:0→3000
「バトル。【カオス・ネクロマンサー】で【ハイパーハンマーヘッド】に攻撃」
「甘いですよ、罠発動【重力解放】!この効果により全てのモンスターの表示形式が入れ替わる。守備になった【カオス・ネクロマンサー】の攻撃は中断!」
突如としてフィールドが無重力空間になるとネクロマンサーは宙に浮きモンスターに向かえず守備になり帰ってきた。
「カードを1枚セットしてターンエンド」
健斗
LP:4000
手札:3
モンスター:【カオス・ネクロマンサー】
魔法罠:セット3【闇の増産工場】
「私のターン、ドロー!手札から【俊足のギラザウルス】を特殊召喚する!このモンスターがこの方法で特殊召喚に成功した時、相手は墓地からモンスターを特殊召喚できる」
「じゃあ俺は墓地からもう1体の【カオス・ネクロマンサー】を攻撃表示で特殊召喚」
「だが墓地のモンスターが減り攻撃力は2700です」
【俊足のギラザウルス】
星3/地属性/恐竜族/攻1400/守 400
【カオス・ネクロマンサー】
星1/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0
攻:0→2700
「更に手札から【テラ・フォーミング】を発動!フィールド魔法【ガイアパワー】を手札に加えそのまま発動!フィールドの地属性モンスターの攻撃力は500上昇し守備力は400下がる。そして【猛進する剣角獣】を召喚。【ハイパーハンマーヘッド】を攻撃表示に戻しバトルだ!」
「ならメイン終了時に【闇の増産工場】の効果発動、【タスケルトン】を捨て1枚ドロー。【カオス・ネクロマンサー】の攻撃力は3000になる」
【猛進する剣角獣】
星4/地属性/恐竜族/攻1400/守1200
攻:1400→1900
【俊足のギラザウルス】
攻:1300→1800
【ハイパーハンマーヘッド】
攻:1500→2000
突如フィールドに生えた巨木から降り注ぐ恵みにより向こうの恐竜たちがイキイキとする。
それでもネクロマンサーには劣るがバトルに入るってことはあの伏せは恐らく……
「モンスターを墓地に送るのは読んでいたぞ!攻撃表示の【カオス・ネクロマンサー】に【猛進する剣角獣】で攻撃!その瞬間に罠【生存競争】を発動!剣角獣に装備し攻撃力を1000上昇させる!更に伏せていた速攻魔法【蛮勇鱗粉】を発動し攻撃力を更に1000上昇!」
【猛進する剣角獣】
攻:1900→2900→3900
「【生存競争】を装備したモンスターが戦闘で相手モンスターを破壊し墓地へ送った場合、もう一度モンスターに攻撃できる!【蛮勇鱗粉】を発動したモンスターは直接攻撃出来なくなるが関係ない!貫通効果を持つ剣角獣で守備表示の【カオス・ネクロマンサー】を攻撃すれば終わりだ遊佐健斗ォ!」
度重なる強化を受けた剣角獣は血走った眼をこちらに向けながらネクロマンサーを貫かんと迫る。
これまでかと覚悟を決めるネクロマンサーだが剣角獣の横っ腹に豚の骨が体当たりし、バランスを崩した剣角獣は倒れもがく。
「墓地の【タスケルトン】の効果。バトルステップ時に墓地のこのカードを除外して発動、モンスターの攻撃を無効にする。この効果は1デュエルに1度しか使用できない」
「ちぃ!小癪な真似を!」
「モンスターを戦闘破壊していないので【生存競争】の追加攻撃は不発。……で、誰が終わるって?」
「うるさい!だが墓地からモンスターは減った!【ハイパーハンマーヘッド】で攻撃表示の【カオス・ネクロマンサー】に攻撃!このモンスターとの戦闘で破壊されなかった相手モンスターはダメージステップ時に手札へ戻る!」
龍牙
LP:4000→3300
ハンマーヘッドはネクロマンサーに向かっていくも人形の群れに行く手阻まれ消耗するが最後の力を振り絞り頭突きをお見舞いした。頭突きを受けたネクロマンサーは手札へと吹っ飛ばされるが同時にハンマーヘッドも力尽きた。
ごり押しで来たか。
「【俊足のギラザウルス】で守備表示の【カオス・ネクロマンサー】に攻撃!」
ギラザウルスに飛び掛かられたネクロマンサーはあっけなく爆散した。
守備0だから仕方ない。
「メイン2で永続魔法【つまずき】を発動しターンエンド!【蛮勇鱗粉】のデメリット効果で【猛進する剣角獣】の攻撃力は2000下がる」
【猛進する剣角獣】
攻:3900→1900
龍牙
LP:3300
手札:0
モンスター:【猛進する剣角獣】【俊足のギラザウルス】
魔法罠:セット1【生存競争】【つまずき】
「俺のターン、ドロー」
「無駄無駄。何を召喚しても【つまずき】の効果で守備表示になる、諦めたらどうだ?」
「自分はもう後がないから降参しろって言ってるように聞こえるんですけど気のせいですよねアハハ。じゃあ【闇の増産工場】の効果で手札の【ワイトプリンス】を捨てて1枚ドロー。墓地へ送られた【ワイトプリンス】の効果で【ワイト】と【ワイト夫人】を墓地へ」
「そっちこそ【カオス・ネクロマンサー】の攻撃力を上げるのに必死じゃないか」
「ええ、攻撃力を上げるのに必死ですね」
【カオス・ネクロマンサー】の、とは言っていない。
「【ワイト夫人】を守備表示で召喚」
【ワイト夫人】
星3/闇属性/アンデット族/攻 0/守2200
現れたのは骸骨の貴婦人。椅子に座りカップを手に優雅にティータイムを過ごす。
「壁モンスターで凌ぐつもりですか、浅はかな考えだ」
「墓地の【ワイトプリンス】の効果発動。このカードと墓地の【ワイト】2体を除外しデッキから【ワイトキング】を特殊召喚する」
龍牙を無視してプレイを続行する。アイツは語るに落ちるって諺を知らんのか。
そんなことを思っているとフィールドに一際雰囲気の違う骸骨、【ワイトキング】が降り立つ。
【ワイトキング】
星1/闇属性/アンデット族/攻 ?/守 0
「攻撃力不明だと……?」
「【ワイトキング】の攻撃力は墓地の【ワイト】と【ワイトキング】の数×1000上昇する。そして俺が今まで墓地に送った【ワイト】モンスターは墓地では【ワイト】として扱う」
「なっ……あれら全部を数に含むのか!?いや、だが【つまずき】の効果によりそいつは守備表示になる!守備力は0!俺の勝ちは変わらん!」
高笑いしながら龍牙はフィールドを見るが【ワイトキング】は直立不動のままである。
「何故だ、なぜ変わらない!?」
「【ワイト夫人】がフィールドに表側表示で存在する限りこのモンスター以外のレベル3以下のアンデッド族モンスターは戦闘で破壊されず魔法罠の効果を受けない。ついでに手札の【ワイトメア】を捨てて効果発動。除外されている【ワイト】1体を墓地に戻す。更に【ワイトプリンセス】を手札から捨て効果発動。お互いのフィールドのモンスターはこのターン自身のレベル×300攻撃力が下がる」
プークスクス、といわんばかりに夫人は龍牙を指さしキングは全身の骨を鳴らしながら体を震わせる。たぶん両方とも笑ってるんだろう。
「これで俺の墓地には【ワイト】が9体、レベル1のため300下がり攻撃力は8700」
【ワイトキング】
攻:?→8700
「ば、バカな……攻撃力8000越えだと……!?」
「そしてそっちのモンスターはレベル4とレベル3のため1200と900下がる」
【猛進する剣角獣】
攻:1900→700
【俊足のギラザウルス】
攻:1800→900
「私のモンスターが……」
龍牙はフィールドの状況を見ればその場に膝をつく。
「バトルだ、【ワイトキング】で【猛進する剣角獣】に攻撃」
「ぐぼぉぁぁぁぁぁぁぁ!」
龍牙
LP:3300→0
ワイトキングは助走を付けてその骨の拳を振るい猛進する剣角獣を殴りつける。ワイトキングの攻撃は猛進する剣角獣を貫通し勢いそのままに龍牙へと向かうとその拳が頬へとめり込む、迫真のソリッドビジョンだ。
ワイトキングの一撃で吹っ飛ばされライフが0になる音がフィールドに響き渡る。
「そこまで。勝者、遊佐健斗!」
佐藤先生が俺の勝利を告げソリッドビジョンが解除されデュエルが終了する。
そして遅れて観客席からワァと歓声が上がった。席を見渡すと十代達と見守っていたであろう神楽坂を見つけたので笑顔でサムズアップを向けておく。
「信じてましたよ師匠ォーー!」
それを見た神楽坂はこちらにまで届くほどの歓声を送ってきた。
元気になったのならよろしい。
「さて、と」
俺はディスクを解除すると吹っ飛ばされたまま起き上がらない龍牙の元へ向かう。
「約束だ、奪ったカードを生徒に返して謝罪して校長に自首しろ」
「……の、せいだ……」
「あ?」
「お前のせいだ!いつもいつも最後の大事な時にお前は邪魔をする!2年前のあの日も、今も!」
何やら叫び始めた龍牙に面食らっていると尚も言葉は続く。
「2年前、本土で開かれた社交界の交流デュエル会!エリートとして期待されていた私は優勝まであと一歩のところで当日参加枠のお前に敗れた!あの無慈悲な【
「ふーん、覚えてねーわ」
2年前と言われても当時は賞金やコネ欲しさにあらゆる大会に出ていたから覚えていない。
正直いい思い出が無い、忘れたい記憶だ。
「お前がアカデミアに居ると知ったときは胸が躍った。落ちぶれて作業員になっていると知ったときは爽快だった。そしてデュエルで勝利しあの時の借りを返すと共にアカデミアの教員にお前より上になれると……思っていた」
「……はぁ」
佐藤先生も龍牙の言葉にため息をついている始末だ。
「おい。お前が好き勝手言うんなら俺も好き勝手言うぞ」
「遊佐くん」
佐藤先生が止めに入るが構わず口を開く。
「リベンジ上等、メタデッキ上等、デュエリストとして再戦したかったってんなら大いに結構。だがお前がやったことは何だ?醜い逆恨みにデュエルを妨害するイカサマ、無関係の生徒を巻き込む脅迫と強引なアンティルール!自分の非道の理由に俺を使うな反吐が出る」
俺の反論に茫然とする龍牙にそのまま近づきその指に嵌まっている怪しい指輪を奪い取る。
「な……あっ、お前」
「これが魔法カードを使えなくするイカサマの正体なんだろ?KC製のデュエルディスクのプロテクトを突破するなんてやるねぇ。……なんでこの才能を伸ばさなかった!デュエルなんざ忘れて機械に進んでいたらエリートも夢じゃなかっただろ!」
そう吐き捨てて指輪を地面に投げ捨てる。指輪は砕け散り辺りに精密機械の部品が散らばった。
「自分からデュエルに囚われた挙句に無関係の人間を自分のエゴで巻き込んだお前にかける情けは無い。恨むんなら俺じゃなくてデュエルで全てを判断した周りの人間を恨むんだったな」
「あ……あ……」
「遊佐くん、それ以上は私も黙っていません」
まだまだ続けたいところだったが佐藤先生に肩を掴まれ止められる。
いつの間にか血が上っていた頭が冷めていく。
「……すみません佐藤先生」
「あとの事は我々教員に任せてください」
「ありがとうございます」
佐藤先生にそう告げて俺はデュエルフィールドを後にする。
あれほど歓声に包まれていた会場はいつのまにか静まり返っており俺の去り際の靴音だけが響いた。
『さすがにやり過ぎたのでは?』
「いいんだよ、あれで」
小屋への帰り道、顕現したドリアードが心配そうに声を掛けてきた。
「これだからこの世界のデュエル社会は嫌なんだよ」
あの龍牙も社会風潮の被害者なのだろう。それは分かる、同情も出来る。
だがそれは悪事を働く理由にはならない。それにあいつは機械方面の才能があった。それならそっち方面に進むことも出来たはずだ。
俺みたいな、
それを無視してあんな事をしたのだ、自業自得だ、同情も消し飛ぶ。
何より神楽坂を泣かせたのが許せない。相応しい報いを受けてしまえばいいのだ。
『健斗……』
「大丈夫、こんなのは今回限りだ。もともと説教とか怒るとかするようなガラじゃないからね」
俺は大層な事が言えるほど立派な人間じゃないのだから。
ドリアードは何も言わずに小屋まで一緒に隣を付いて歩く。
それでいい。今更何を言っても変わらないのだから、隣に居て癒してくれる、それだけで有り難い。
その日の夜、龍牙の不採用と今までの脅迫とアンティが暴かれアカデミアを追放する処分が下った事を佐藤先生から知らされた。
カードは全部持ち主の元へ返却されたようだ、これでこの件は落着した。
龍牙のデッキは書いてて楽しかった(コナミ感)
本当はきれいな龍牙プランもあったんですよ、再登場も考えたんですよ
でもこいつのやらかしてることどう頑張ってもフォローできなかったし後に出てくる変な語尾の後輩ザウルスとデッキが被るので救いようのない眼鏡にしました
神楽坂を泣かせたのが悪い(確信)
なんかこの主人公、十代より先に闇堕ちカウンター溜まってるんですけど大丈夫ですかね(他人事)