用務員の日常   作:八雲 紅

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1ヶ月も更新をしなかった不甲斐ない私を許してくれ……

十代は少し出ます


用務員と復活のサンダー

龍牙の処分が下って数日経過した。

一部の生徒間だけとはいえブチ切れて醜態を晒してしまった事を小屋に帰ってから猛省しビビりながら翌朝にレッド寮で朝食を準備していたが十代達は変わらずに声を掛けてくれた。

更に被害に遭っていたレッド生も俺に礼を伝えてきた。

相手が相手だったので他の生徒も「カードを返してくれてありがとう」「スカっとしたぜ!」など感謝を伝える言葉がほとんどだった、とのこと。

気分が良くなった俺は皆のご飯を大盛りにし夕飯はエビフライに変更しレッド寮食堂は歓声に包まれた。

神楽坂もカードが返ってきたことを喜び感謝していた。

 

 

そしてノース校とアカデミア本校の代表戦は終わった。

結果は原作通り十代が勝ち万丈目はアカデミアに残留した。もちろんアームドドラゴンを借りパクして、だ。

そして出席日数が足りないという事でオシリスレッドに編入し夕飯前の食堂にて改めて皆に万丈目が紹介されるため待機している。

 

「というわけでレッド寮の新しい仲間の万丈目くんだにゃ、みんな仲良くするのにゃ」

 

「万丈目"さん"だ!」

 

「よろしくサンダー!」

 

というやり取りが行われて夕飯タイム。

万丈目はレッド寮の質素なメニューに引いていたがブルー寮はブルー寮でメニューがおかしいからな、1回行った事あるけどあそこ毎日高級食材並ぶからな。余りでいいから分けて欲しい。

と、思考が逸れたので現実に意識を戻すと万丈目や十代達がワイワイと騒ぎながら食べ始めたのでその席に移動する。

 

「はじめまして万丈目くん、レッド寮へようこそ。用務員の遊佐健斗です、よろしく」

 

実は初めましてだということを改めて思いながら夕飯の焼き鮭定食に手を付けている万丈目に挨拶する。

彼は俺の顔を一瞥した後に思い出したのか「ああ」と声に出す。

 

「確か迷宮兄弟とのタッグデュエルで十代のパートナー……でしたか?」

 

「あ、うん。そんなこともあったね」

 

万丈目の言葉に頷いて返すと「よろしくお願いします」と答えた。

なん、だと……万丈目が敬語だと……。

 

「万丈目が敬語だ……」

 

「明日はきっと大嵐がくるんだな」

 

「ふざけているのか貴様ら!」

 

十代と隼人も俺と同じ気持ちだったらしくそれを口に出せばすぐさま万丈目のツッコミが飛んでくる。

まぁ初期の万丈目ってクロノスとかにも敬語だったしこのあと吹雪にも敬語使うし尊敬する相手とか特に何も無い相手に対してはそういう感じなんだろうか。

さっき大徳寺先生に思いっきりタメ口だったから少なくとも大徳寺先生よりは上の模様、やったぜ。

 

「あ、そうだ聞いてくれよ健斗さん!万丈目も俺達と同じで精霊が見えるんだってさ!」

 

「万丈目"さん"だ!いや、ちょっとまて俺達だと?」

 

「ああ!健斗さんも精霊が見えるんだ!」

 

驚きの表情を見せる万丈目に十代は笑顔で肯定する。

 

「その話は夕飯のあとにしよう。後で十代くんの部屋に行ってもいいかな?」

 

「それもそうだな!じゃあ部屋で待ってるぜ」

 

他の生徒や大徳寺先生の目があるこの場所でする話でないと判断し後で十代の部屋に行く約束をしてその場を離れた。

 

 

 

 

「いらっしゃい健斗さん、上がってくれよ」

 

「お邪魔します」

 

夕飯の片づけを済ませた俺は約束の場所へ向かうと笑顔の十代が出迎えてくれる。部屋にはルームメイトの翔と隼人、そして万丈目が居た。

 

「いいな~アニキ達は精霊が見えて。ボクもブラマジガールの精霊と……」

 

「…………」

 

翔は見えないことにいじけてベッドへ上がり妄想に耽る。

そして隼人は隼人で何やら考えている。

安心しろ翔、お前の願いは近いうちに叶うぞ。

 

「ふん、見えたところでいい事なんて無いぞ」

 

「えー、俺はいろんな精霊と話せて楽しいけどな」

 

『クリクリー』

 

「ははっ、擽ったいぜ相棒」

 

十代の言葉に呼応するかのようにハネクリボーが姿を現すとご機嫌な様子で十代に甘えるようにすり寄る。

微笑ましい、永遠に見ていたい、守りたいこの笑顔、守らなきゃ(使命感)

 

「はぁ……お前はまだいい方だな」

 

『あらぁ~ん、おいらも負けてないわよサンダーの兄貴ぃ~』

 

ため息を吐く万丈目の傍に体をくねらせる黄色いナマモノ、おジャマイエローが姿を現した。

 

「それが万丈目くんの精霊か」

 

「おもしれーやつだなー」

 

「オカマみたいな声が聞こえるんだな……」

 

隼人、聞こえるのか。そういえば隼人は声が聞こえたりソリッドビジョンの変化に気づいたりしてた気がするから素質はあるんだろう。ちなみに君のデスコアラは精霊だ、いま部屋の隅でユーカリ食ってるぞ。

 

「くっ、引っ込んでいろ!」

 

『いやぁ~ん』

 

万丈目に叩かれておジャマイエローは変な悲鳴と共に消えた。

順番的に次は俺だろう。

 

「俺の精霊はまずこの子達」

 

そう言って俺はローレベルデッキを取り出して床に広げるとたくさんのモンスターが飛び出てくる。

ダンシングエルフやキーメイスやエルディーンなどなど、様々なモンスターが部屋いっぱいに姿を現した。

 

「なっ、これ全員か!?」

 

「俺も最初は驚いたけど話せるし慣れると楽しいぞ?」

 

『よろしくー!』

 

「はいみんな戻って―。で、こいつが俺の相棒」

 

モンスター達をデッキに戻したのちに1枚のカードを取り出しそれを万丈目に見せる。

そのカードはもちろん【精霊神后 ドリアード】。見せたと同時に光と共にドリアードが姿を見せる。

 

「これが……」

 

『初めまして、弱さを知り己を知る者よ。私はドリアード、彼のパートナーとして力を貸しています。よろしくお願いしますね?』

 

「は、はい」

 

柔らかい微笑みと共にそう話すドリアード、これには万丈目も思わず敬語で頷く。

弱さを知る者かぁ、絶好調ですねドリアードさん。たぶんノース校で自分を見つめなおした=自分の弱さに気づいたからなんだろうなぁ。

 

「俺の精霊はどうしてこんなやつなんだ……」

 

ドリアードとおジャマイエローを比べて肩を落とす万丈目。

大丈夫、更に増えるから。ていうか増やす。

 

「万丈目くん、明日の朝に時間あるかな?渡したいものがあるんだ」

 

「朝ですか?構いませんが」

 

そう俺は彼に持ち掛けるとあっさりと承諾した。

万丈目にはあいつらを引き取って貰わねばならない。

その後はみんなで雑談して解散し1日を終えた。

 

 

 

 

翌朝。アカデミアも週末は授業が無い休日があり今日はその休日。

今日はレッド寮の当番ではないので早めに購買部へ向かい今日もショップの準備をする。休日といえど購買部は開いており朝早くから買い物に来る生徒もよく居る。

 

「カードショップのオープンはもうすぐといったところかしら?」

 

「なんでここにいるのかな藤原さん」

 

「あら、生徒が購買に来るのは普通でしょう?」

 

カウンターに越しにこちらを見つめる赤い眼差しの主であるゆきのんにそう返すも軽く流される。

龍牙との一戦以降に俺は彼女の興味の対象になったのか最近距離が近い。

彼女におもしれーやつカウンターを乗せられてしまったようだ。

 

「はぁ……ショップはまだだよ。機械とか色々な調整がまだ残ってるからね」

 

「そう、残念」

 

残念のざの字も無い返事がくる。

さすがにショップの件は既に生徒間に知れ渡っている。

コツコツと準備を進めてはいるが本格的なオープンは先になるだろう、さすがに新学期までには間に合うとは思うが。

 

「おはようございます師匠!」

 

「おはよう神楽坂くん」

 

ゆきのんの視線に耐えながら作業をしていると元気よく響く神楽坂の声、救世主の登場である。

『決闘主義』と達筆な字がプリントされた白地のシャツを制服のインナーとして着用している。

このダサT集めは神楽坂の趣味のようだ。初めて見たときは千年パズルのシャツ着てたし納得である。

 

「おはよう弟子のボウヤ」

 

「おはよう藤原」

 

挨拶を交わす2人。

俺の弟子である神楽坂は俺と関わりのある原作メンバーとの交流が増えた事でよく十代達といる事が多くなった。

ゆきのんも明日香と行動をすることが多くなりその流れで2人はいつの間にか知り合いになっていたりする。

 

「誰か待っているんですか?」

 

「うん。万丈目くんに渡したいカードがあるから倉庫を開けてるんだ」

 

「けーんーとーさーん」

 

「お、噂をすればきたね」

 

神楽坂の問いに答えていると万丈目を連れた十代がやってきた。

 

「おはよう2人とも、朝早くにごめんね」

 

「全然オッケー」

 

「何故勝手に付いてきた貴様が答える!」

 

「だって面白そうだし?」

 

「はいはい、それじゃあ早速本題に入るから付いてきて」

 

いつもの騒がしいやり取りを笑顔で諌めながら俺は目的の場所である倉庫へ進む。十代と万丈目、そして成り行きを見守っていた神楽坂とゆきのんも付いてきた。

俺はみんなを購買部の倉庫の一角、カードの在庫をを並べるために清掃したエリアに案内し、事前に準備していたカードを手に取りそれを万丈目に差し出す。

 

「このカードが君の元へ行きたがっている」

 

「俺の元へ?……んなぁ!これは!?」

 

疑問に思いながらも万丈目はカードを受け取り、それを見た瞬間に素っ頓狂な声を上げた。

俺がこのタイミングで万丈目に渡すカードなんてアレ(・・)しか無い。

 

「どうしたんだ万丈目?おっ【おジャマグリーン】と【おジャマブラック】じゃん」

 

万丈目に渡したカードを十代が答えた瞬間、そのカードから緑色と黒色のナマモノがそれぞれ姿を現した。

 

『どうもどうも、健斗の旦那から話は聞いとります』

 

『なんでもイエローを連れているそうで。兄弟共々よろしくお願いしますぅ』

 

「断る!これ以上ザコを増やしてたまるか!」

 

綺麗にお辞儀をするグリーンとブラックに切れるサンダー。

おジャマ達をはじめとする井戸のカードはショップ設立の際に回収し倉庫に保管していたのだ。

また使ってもらえるかもしれないという希望と薄汚れた井戸は嫌だという総意のもとで実行している。

そしてノース校から帰ってきた万丈目にもうおジャマを渡しておこうと思い呼んだのである。

 

『誰かオイラのこと呼んだ?』

 

『イエロー!』

 

『弟よー!』

 

『グリーン兄ちゃん!ブラック兄ちゃん!』

 

目の前では原作と同じ兄弟再会が繰り広げられている。

 

「万丈目も精霊見えるんだな」

 

「ああ、いまおジャマ達と話してるぞ」

 

「もう慣れたわね」

 

蚊帳の外の神楽坂とゆきのんだが十代達といる場合ではこういう事は日常茶飯事なので慣れている。

さて、目の前では万丈目がおジャマ兄弟を拒否しているのでそろそろ助け船を出そう。

 

「万丈目くん、提案があるんだが」

 

「なんだ!?じゃなくてなんですか!?」

 

肩で息をしながらこちらへ振り返る万丈目。イライラのせいか少し素が出ている。

 

「無理して今のデッキに入れるんじゃなくていっそおジャマ専用のデッキを組んでみるのはどうだい?」

 

「……は?」

 

「確かアームドドラゴンは借り物なんだろう?いつ返せと言われるか分からないしもう一個デッキがあってもいいと思うんだ。もちろんこっちがおジャマ達を押しつけ、もとい紹介した責任もあるしこの在庫のカードは好きに使っていいよ」

 

「……そうか。それもそうだな、アリだな」

 

俺の話を聞いて腑に落ちたのか納得した表情を浮かべる万丈目。

 

「聞いたかザコども。それで納得しないなら捨てる」

 

『『『ありがとうサンダーのアニキ!』』』

 

どうやら落着したようでおジャマ達は喜び涙を流して万丈目に縋り付いて、万丈目に蹴り飛ばされている。

 

「じゃあせっかくだし、万丈目くんがそのデッキを作ったら俺とデュエルしよう」

 

「貴方とですか!?」

 

「俺も最近新しいデッキを組んでみたからね、それにおジャマ達も戦いたいだろう?」

 

『『『もちのろん!』』』

 

俺の提案に驚く万丈目だがおジャマ達はやる気を見せて団結している。

おジャマ関連のカードは確かストレージにたくさんあったし構築に関しては大丈夫だろう。

万丈目の事だから作ったまま放置という可能性もあるが万丈目がおジャマを使わないのは今後を考えると少しマズいので1回でもいいので使わせておく。

 

「万丈目がやらないなら俺が健斗さんとやりたいぜ」

 

「いや、ここは弟子である俺が!」

 

「黙っていろ2人とも!指名されたのは俺だ!」

 

「「どうぞどうぞ」」

 

万丈目の方も十代と神楽坂に乗せられて気合い充分のようだ。

しかし先程からゆきのんが怪しい笑みを浮かべているのが気になる。

 

「明日の昼!それまでにデッキを仕上げて貴方に挑みます!」

 

「分かったよ、デュエル場を抑えておくね」

 

こうして俺と万丈目のデュエルが決定するのだが……

 

「ふふふ、楽しい事になりそうね」

 

この時に放ったゆきのんの言葉の意味を俺は翌日に改めて思い知る事になる。




万丈目、意外と敬語使ってたりする
あと神楽坂のダサTは私の趣味です、千年パズルシャツ持ってるなら絶対色んなダサT持ってるって信じてる

おもしれーやつカウンターが乗るとどうなる?
知らんのか、男優にされる
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