タイトルの通り。舞風野分のカップリングは最高って、はっきりわかんだね。

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ドッキリを仕掛ける野分を全力で迎え撃つ舞風の話

 

 「嘘…だよね?」

 

 野分が沈んだ。

 

 「うそ、嘘だ…!だ、だって今日の朝、いってきますって…」

 

 いってきますと笑顔で手を振っていた彼女の姿がよみがえる。

 

 「うそ…だよね?ねえ、嘘なんだよねえ!?嘘って言ってよ!!」

 

 親友の最期を告げられ、息が詰まる思いがした。目の前にいる提督に掴み掛かり、彼の制服がグシャグシャになるくらいに泣いて縋った。

 

 「…立派な最期だったようだ」

 

 それでも彼の言葉は変わらなかった。

 

 「いやだ…」

 

 苦しくなるくらいに彼の制服に顔を押しあて、溢れてくる涙と声を押し殺そうとする。

 

 「やだ…やだよぉ!!」

 

 しかしついには堰き止められなくなった想いのままに…。彼の体にもたれかかり、髪をそっと撫でられる感触にさらに胸が苦しくなり、くぐもった嗚咽交じりの声が親友との永久の別れを肯定するかのように止まらなくなった。

 

 「のわっちぃ…」

 

 ふいにずっと呼び続けてきた彼女の名が口から飛び出したが、二度とそれに返事が来ることはないのだ。

 

 瞼に浮かぶ数々の思い出…そのどれもが温かくて懐かしい。

 

 「…いつもみたいに、ただいまって、言ってよぉ」

 

 雲一つないある晴れた日、鎮守府の波止場で、潮風にさらわれて、ふわりと揺れた銀色の髪…そこにはいつものように笑って、乱れた髪を直す親友の姿があった。

 

 「会いたいよぉ…」

 

 照れくさそうに顔を逸らした親友の元へと急ぐ。両腕を精一杯広げ、息を切らして駆け寄った。そして目の前の彼女のおぼろげな影に体裁なんて一切考えずにただ飛びついた。

 

 「………」

 

 ところがどうして、親友は消えてしまった。腕の中で必死に抱きしめようとしたのに、彼女はもうそこにはいなかった。

 

 「…舞風」

 

 頭上から聞こえた声が現実へと引き戻す。でも、もちろん親友はいない。

 

 私と提督がいて、のわっちはいないのだ。

 

 …………… 

 

 ………

 

 …… 

 

 …

 

 御膳立てはこれくらいでいいかな?

 

 きっとのわっちは、私が泣き喚く姿をカメラ越しに覗いて大満足だろう。雑に隠された映像カメラの前までわざわざ移動し、バッチリ映り込むところでワンワン泣き真似をしてやったのだからその甲斐がないと、ね?

 

 『のわっちがお前のこと泣かしてやりたいそうだぞ』

 

 つい数日前、提督から言われた言葉を思い出す。思わず呆れた目を彼に向けてしまったのは申し訳なかった。

 

 『あ、でものわっち曰く、悪意があってやるわけじゃないそうだ。大好きな舞風が自分のことをどう思っているのか気になってる…だからやるんだと』

 

 でも、のわっちに今回の所謂ドッキリの協力を仰がれた提督があっさりと私に暴露してくれたおかげでどうやら助かった。

 

 それにしても…のわっちがねぇ~。えへへ、嬉しいな。

 

 『ねえ、提督?ちょっと舞風に協力してくれません?』

 

 普段、私の方からばかり積極的に関わって、当ののわっちはクールに、飄々と、その気がないように適当にあしらってくるのに…へえ~!

 

 クール気取りののわっち、私が抱えている想いも知らないでそんないじらしいことしてくれるなんて…ねえ?

 

 『提督がすることは簡単だよ。私にドッキリをバラしたことをのわっちに黙ってる、ただそれだけ』

 

 のわっちに鬱陶しい奴だと思われていなかった…それだけで今にも昇天してしまいそうなのに、私が彼女にやろうとすることを考えるとゾクゾクが止まらない。

 

 「えへへ、まーいかぜっ!」

 

 そしてずっと、ずっとずっと待っていた。後ろから掛かるその嬉々とした声を…。

 

 「じゃーん!ドッキリでした~」

 

 キャラでもないのに…無理にテンションを上げて声を上擦らせるのわっち。

 

 顔は笑っているはずなのに、どこか不安そうに私の顔を覗き込むのわっち。

 

 おずおずと伸ばした手で、私の肩にそっと触れようとするのわっち。 

 

 全部、全部全部いじらしい。

 

 「えへへ、ビックリした?ごめんね?」

 

 ネタバラシをされて硬直しているフリをのわっちにわざとらしく見せつけながら、普段と違う彼女を心から堪能した。

 

 「ま、舞風…?」

 

 ああ、のわっちが心配そうに私の顔を見ている。そして茫然としているように見せかけ、一向に喋らない私を前に、伸ばしていた手は空中でピタリと止まり、まるで助けを求めるかのように提督をチラチラ見ている。

 

 ちょっと焦り始めたのわっちの顔は真正面から見ても、横から見てもなかなかにイイ眺めだった。

 

 「ま、まいか…」

 

 のわっちの乱れた息遣いが鮮明に聞こえるくらいの静寂、ああなんて甘美な時間だろう。尤ものわっちにしたらこの沈黙の時間は耐えがたいものかもしれないけど…。

 

 少し泣きそうになりながらも、一度は行き場を無くして引っ込めようとしたその手をもう一度そっと伸ばして、私の肩に触れようとするのわっち。

 

 そろそろ仕掛けるか…。

 

 「…さわらないで!」

 

 バチン

 

 自分でも驚くくらいの低く唸る声はきっとのわっちに届いただろう。そしてそれに反応するかのようにピクリと揺れた親友の手を私は軽く弾いた。

 

 「…え?」

 

 はたかれた瞬間、目を丸くするのわっち。真っ白い彼女の肌だから、徐々に赤みを帯びていくのが目で見てよく分かる。

 

 「…信じられない。のわっち、私のこと騙してたんだね…」

  

 「え、ちっ違…!」

 

 大きな瞳を幾度となくパチパチさせて、口をパクパクさせるのわっちの姿にいつものクールさは感じられない。

 

 「…どれだけ心配したと思ってるの?どれだけ悲しい思いしたと思ってるの?」

 

 「あ、そ、それは……」

 

 のわっち、もう泣きそう。ああ、可愛い…可愛いよぉ!

 

 「ご、ごめんなさ…」

 

 声を詰まらせながら頭を下げて謝ろうとするのわっち。だから私はそれを制止するように大声で叫んだ。

 

 「もうのわっちなんて大っ嫌い!」

  

 嵐のように轟いた私の叫びはのわっちだけでなく、もはや置物と化していた提督の体を震わせた。というかよく見ると提督が必死に口角が上がりそうになるのを堪えているけど、私も堪えるのに必死だ。

 

 だって………

 

 「え、あうっ…」

 

 体の力が抜けたようにペタリとその場に座り込んだのわっちはポロポロ涙を溢していた。

 

 まだ…まだまだ!のわっちの悶える姿が見たい…!

 

 でも………

  

 「ごめんなさい…」

 

 私を見上げる潤んだ瞳…上目遣いで許しを請うのわっちを抱きしめずにはいられなかった。




ちなみにこの後舞風と提督は陽炎にボコボコにされた。

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