We are born, so to speak, twice over; born into existence, and born into life.   作:Towelie

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 わたしの家は代々続く旧家だった。

 それなりに由緒なんかもあるらしい。
 自分には特に関係がないことだけど。

 家だって無駄に広くて、迷う事だってままにあるぐらいだった。

 その無駄な家を捨てることにした。
 廃棄するというわけではなく、町に寄贈という形で。

 家だけでなく、何なら名前さえも捨てても良かった。
 けれど、流石にまだそこまでの覚悟はなかった。

 別名を名乗るとか、まだそういった深刻なことまでは考えていない。
 そこまで嫌いというわけではないけど、取り立てて名乗りたいわけでもなかった。

 あの、”三間坂(みまさか)”の名を。

 けれど、世の中には姓を変えてしまうだけの正当な理由を持った人もいる。

 立場上、もうその姓を”名乗る必要がなくなった”人がそうだった。

 でもそれは世間的には別人になることと同じで、もし変更した場合は住む場所を変えてしまうことが殆どだった。

 それぐらい姓を変える、もしくは前に戻すということは極端に言うとその人がしんでしまうことと同義のようだった。

 そして、例え親がそれを望んだとしても、その子供には抗いようのない、それこそ不条理な理由から従わざるを得なくなってしまう。

 親の決定権は子にとって絶対であり、ある一定の年齢に達するまでは(もしくは達したとしても)、子にとっては親は絶対的な存在であり続けているのだから。

 実際に、とてもすぐ傍でその問題を抱えていた友達がいたせいか、余計にその事が気になってしまう。

 その友達の母親はそうなることを危惧していたらしく、一人娘が卒業するまでは苗字を変えないようにしたようだった。

 ただ、卒業後はどうするかはまだ本人も良く分かってないらしい。

 だから自分がオーナー兼、職人のパン屋さんなのに、名前や苗字の一部をあえて付けなかったのだと言っていた。

 でもその子は例え母親が苗字を変えることになっても、きっと変えないだろうとは思っている。

 だって、その友達は……。

「どうしたの蛍ちゃん。何か、面白いものでも見つかった?」

 ──燐は、離婚した父親がまだ嫌いじゃなかったから。

 きっと、ずっと”込谷(こみたに)”のまま。

 蛍はそう思っていた。

「ん? わたしの顔に何か付いてる? さっきからひっくり返してばかりからかなぁ」

 蛍にじっと見られている事に気が付いた燐は、汚れていると勘違いしたのか首に巻いたタオルでゴシゴシと顔を拭った。

 燐の無邪気な仕草に蛍は少し困った顔でにこっと微笑む。

 蛍は燐と共にまだ蛍の家である、坂の上の大きな屋敷。
 町の中でも一番目立つ場所にある三間坂家まで一緒に来ていたのだった。
 
 昔からある家だが、度重なる増築の上改装までしたこの家はその辺の旅館よりも大きく、町のシンボル的な建物と言っても過言ではなかった。

 その無駄に広い家を蛍は町に寄贈するつもりなのだが、それは手続き上まだ先の話になりそうだし、それにしたって色々な準備が必要だった。

 片付けという名の断捨離と言うか、ともかく不用品の処分が。
 
 無駄なものを削ぎ落して、身軽になりたかった。
 由緒とか、肩書とか、そう言ったしがらみ。

 そして……何もかもから。

「大丈夫?」

 タオルで拭き終えた燐が覗き込んでいた。

「……うん。ちょっと、ぼーっとしてただけ。あ、それと、ごめんね」

「なんのこと?」

 燐は小首をかしげる。

「あはは、こっちの話」

 蛍は慌てて手を横に振った。

 自分が余計な事を言ったせいで燐に無駄なことをさせてしまったことへの謝罪とはさすがに今は言えなかった。

 それに確かにぼーっとしていたのは間違いない。

 けど、燐の家庭の事情にまで頭を巡らせているのは流石にお節介過ぎだと思ったから。
 勝手に頭を悩ましていた事への謝罪も一応含まれていた。

「ごめんね。燐にばっかり作業させちゃって。わたしの家なのにね」

 蛍はもう一度燐に手を合わせる。
 まだわたしの家なのに、そのわたしが一番何もしていないなと改めて思ったから。

 単純に足手まといだなと思った。

「それは仕様がないよ。だってこれだけの量の荷物を見たら、いくら蛍ちゃんでも、流石にため息ついちゃうもんねぇ」

「あははは……」

 燐は蛍の心情を理解したように頷くと、山の様に積まれている段ボールや家財道具の山をうんざりするように眺めた。

 蛍は苦笑することしか出来ない。

 まだこれでも全体のほんの一部であることを燐が知ったら、きっと脱帽してしまうだろうことが分かっていたからだった。

「わたしの家の場合はこんなに荷物はなかったんだけどなあ。やっぱり蛍ちゃんちはスケールが違うよね。庶民とお金持ちの決定的な差って感じ」
 
 燐の家が引っ越しした時は、トラックで運びだせる程度の量に留まっていたのに、蛍の家の量ときたらもう。

 比較になんかとてもなりそうにない。

 この分だと誇張ではなくて引っ越し用の大型トラックが例え数十台あっても足りないだろう。

 物置部屋だけ見ても、古びた調度品や埃をかぶった貴重品の様なものが、それこそ溢れでるほど出てきているのだから。

 仮に全てを処分したとしても、それだけで何日かかるのだろう?
 燐には全く想像もつかなかった。

「ねぇ、蛍ちゃんの家って部屋数いくつあるんだっけ?」

 燐は少し顔を青くして蛍に尋ねる。

 部屋の数だけ荷物があるとしたら、それはおおよそどの程度の量になるのか見当もつなかったからだった。

「ええっと、ねぇ……」

 蛍は高い梁の天井を見ながら指折り数えてみる。
 両手と両足の指を全部足しても、到底足りるわけなかった。

「ごめん、燐。わたしも実は正確な部屋の数は分からないんだ。家全体の見取り図のようなものが確かあったとは思ったんだけど、それもどこへいったのか分からないの……」

 蛍は羞恥心から顔を赤くして答えた。

 蛍ですら正確な部屋数を知らない事実に燐は目を丸くする。
 前に尋ねた時も蛍はよく分からないと言っていたが、本当にそうだったなんて。

 自分とは全く違う次元の蛍の悩みに、燐は深いため息をついた。

「あれだよねぇ。暮らす事って本当に物入りなんだね。蛍ちゃんの言う様にこーんなに大きな家なんて、蛍ちゃん一人だったら確かにもう必要ないのかもね」

 わざわざ両手を広げて燐は蛍の家の大きさを表現して見せた。

 蛍はうんうんと何度も頷く。

「けど燐。今の台詞、映画からのものでしょ」

「あ、バレてた? でもこれは本当の事だよ。今、住んでるマンションだって最低限の家具で良かったはずのに、結構ちょこちょこ増えていってるもんね」

 小平口駅ではなく、燐と蛍の通う学校の駅の真ん前にあるタワーマンション。
 それが今、二人の住処だった。

 最近になってやっと引っ越すことが出来たけど、二人ともそれぞれの家から家具や電化製品等は持ってはこなかった。

 新しい家には新しい家具や家電がいいよね!
 そう意気投合した二人は、新居用の家具や家電をそれぞれのセンスで買い漁った。

 始めはシンプルで良かったのだが、次第に物は増えていった。

 衣服や調理器具、ゲーム機や寝ころぶための長座布団等。
 それらは多岐に渡り、次第に二人の目に付くようになってきた。

 そういった事で二人の間で言い争いの様なものは起こったことはないけれど……。

「ある程度は仕方ないんだろうけど、それでも生活してると物は増えちゃうよね」

「それでも蛍ちゃんちの中にここまであるとはねぇ……あの”青いドアの家”みたいにシンプルなインテリアだったらすぐに片付くのにね」

「それは……確かにね」

 この時は二人とも、またあの青と白の世界に行けるとは露程も思ってはいなかった。
 だからか、遠くの世界の事を語るように話していた。

 もう行くことのないあの青いドアの家を懐かしむかのように。

「でも……まだ蔵の中までは手をつけてないから……」

 追い打ちをかけるように驚愕の事実を言う蛍に、燐はショックを通り越して閉口してしまった。

 きっともうこの家が片付くことはないだろうと。
 そんな絶望的な感じで。

「ねぇ……蛍ちゃん」

「うん?」

 疲れ切った顔で燐がつぶやいてくる。
 今まで聞いたことがない燐の声に蛍が少し眉を潜めたその時。

 体格の良い男が二人の居る二階の部屋に突然入ってきた。
 手には大きな段ボール箱を抱えて重そうに運んできた。

 男はきょろきょろと辺りを見渡すと、畳の空いているスペースにドスンとその荷物を無造作に置いた。

 中身がぎっしり詰まっていそうな段ボール箱を置くと、男は二人を見やることなくそのまま部屋を出て行ってしまった。

「ふぅ……」

 ため息にも似た息を蛍は吐く。
 それを見た燐は小さく笑うと蛍に向かって目くばせした。

 その気持ちは分かるよと言っているように。

 今、蛍の家に居るのは燐だけではない。
 前に雇っていたお手伝いさんや、町の男衆も来ていた。

 彼らも蛍の家の片づけを手伝ってくれている。
 
 新たな、歴史資料館とするための。

 それまで小平口町の歴史資料館は中学校の図書室の中に併設されていた。

 それだと気軽に立ち寄ることも出来ないし、最近では意識の高まった学校側のコンプライアンスに関わるとして、町内議会でも議論に上がっていた。

 資料館だけで別の場所に移せないかと意見が上がることもあったが、これと行った受け入れ先がなく、宙ぶらりん状態となっていた。

 そんな折、たびたび議会に顔を出していた燐の母親である咲良の鶴の一声で蛍の家、つまり三間坂家に白羽の矢が立ったのだった。

 蛍自身が、あの家にいる意味がないと、たびたび燐や咲良に相談していたこともあったので、思い切って提案してみたのだが、思いのほかすんなりと事が進むことになっていった。

 特に蛍が譲渡する町側に金銭をそれほど要求しなかったことが最大の決め手となっていた。

 歴史資料館として寄贈することに決めた蛍の家だったが、事はそんなに単純なものではなく、まず最初の段階で大幅に遅れていた。

 ある程度の時間の余裕は貰ってはいるのだが、このままだと何時まで経っても終わりそうにない。

 だからこそボランティアで人を雇って手伝ってもらっているのだが。

 物を処分する権利が蛍にしかないので、何より効率が悪かった。
 いちいち確認を取ってからでないと単純に捨てることも出来ない。

 そのせいで一作業するのにも思ってた以上に時間が掛かってしまい、一日の作業が段ボール数箱分なんてことはザラだった。

 燐のアイデアで荷物を一か所に集めてもらい、それを片っ端から蛍が確認する作業にすることで少しでも効率を上げようとしたのだが。

 その荷物が多すぎるし家が広すぎることもあって、部屋に運んでもらうだけでも結構な労働となっていた。

 最初の内は俄然張り切っていた二人だったのだが、今はすっかりこの状況にも慣れてしまったのか。

 いつしか片付けよりも、お宝発掘の方に主軸に置いていた。

「蛍ちゃん、そっちの箱から何か見つかった? あのお面と違って、お金になりそうなものとか」

 燐が蛍の家の廊下で初めて目にした不気味な面は、今ではひとつ残らず取り外されていた。

 あれが何のために使われていたものなのかそれが分かった以上、あの面を飾っておく意味など全くなかった。

 正直壊してもいいぐらいの忌まわしく汚らわしいぐらいのものだったが、それでも一応保管だけはしてある。

 あの座敷から離れた、薄暗い部屋の隅の方に。

 こんなものでも、この土地に座敷童がいた証拠になるわけだし、今更壊したところで何も変わることはない。

 けど資料としては展示しないつもりだった。

 それはあの人に。

 ──オオモト様に、申し訳が立たないと思ったからだった。

「資料として価値がありそうなものはそこそこあるんだけど、燐の言うようなお金になりそうなものは見当たらないと思うよ。うちのご先祖様って絵とか壺とかの”骨董”を集める趣味とかなかったみたいだし」

 周りの大人があくせく働いているのを気にもせず、燐と蛍はついつい話し込んでいた。

 もっとも蛍はこの家で唯一の当主なんだし、燐だってその蛍の友人として来たのだからそれほど問題はないとは思うけど。

 いちおう片付けはやっているわけだし……。


「えっ、遂にお値打ちのモノが見つかったの!? 蛍ちゃん」

 興奮したように燐は身を乗り出してくる。

「えと、そう言うことじゃなくて、ちょっと変わったものが見つかったって燐に言いたかったの」

「なぁんだ……で、その変わったものって……?」

 蛍は山の様に積まれた段ボールの中から正方形の箱を取り出して燐の前に置いた。

「中に何が入ってるの?」

 燐はその薄汚れた木箱を指さす。

 真新しい感じではなく、素人目にも明らかに年季が入っている感じはした。

「燐、開けてみて」

 蛍は既に中身を確認したらしく、燐に開けるよう促してきた。

 蛍の表情から推測をすると、それほど変なものが入っているわけではなさそうだった。
 けれど、そこまで良いものが入っているような感じも特にない。

 箱自体が割とぞんざいに扱われていたみたいで、ところどころが変色して色させていたせいからかもしれない。

(蛍ちゃんが勿体付けるぐらいだし。ヘビの抜け殻とか。ちょっと不気味なのが入ってそうなんだけど……)

 燐は箱の中身を見る前から少し憂鬱な気分になった。

 ヘビの抜け殻を見てもそこまで気分を害することはないとは思うが、かと言って別に見たいわけではないから。

「変なものは入ってなかったから安心してね、燐」

 蛍は燐に気を使ってそう言った。

「そうなの? でも、本当かなぁ。そうやってわたしを驚かす気なんでしょ蛍ちゃんは」

「うふふ、わたしは燐と違って正直者で通ってるから」

「またまたぁ~。お代官様ほど悪いお方はこの江戸の中でもそうそうおりませんてぇ」

「ふっふっふ」

「はっはっは」

 べたな時代劇のようなやり取りを続ける二人。
 こんなことをしているから一向に片付かないんだろうとは思っていたのだが。

 このいつものノリがとても心地よかった。

「変な事言ってないで燐、早く開けてみて。本当に大丈夫だから」

「はいはい。開けますよー」

 燐は軽い返事をして箱に手を掛ける。
 
 口ではそんなことを言っていた蛍だったが、燐の手が蓋に触れると何故かごくんと喉を鳴らしていた。

(蛍ちゃん、中身知ってるんじゃないのぉ?)

 燐は訝し気になりながらも箱を開く。

 その中のモノを見て燐は思わず声を上げた。

 初めて見るものだけど、初めてではない気がしていたからだった。

「こ、これって……市松人形、だったっけ?」

「うん、確かにそんな感じだよね」

「でもさ、これちょっと似ていない? あの、あの時のオオモト様に」

「燐もそう思った? わたしも最初見た時ビックリしたよ。まさかこんなものが今まで家の物置に眠っていたなんて」

「それは、そうだよね……だって偶然にしては出来過ぎてるもんね」

 燐の開けた木箱の中に入っていたのは、少女の形をした一体の人形だった。
 何も知らなければよくある日本人形だと思うだろう。

 それこそ、蛍の家に飾ってあった人形とそれほどの違いはない。

 ただ……その人形はあまりにも似ていた。

 赤い着物を着た。
 あの少女に。

「これって、オオモト様……?」

 燐は人形に触れるか触れないかの微妙な距離で指をさす。

「うん……”座敷童様”を模して作ったんだと思う」

 蛍は割と無造作にその人形に触ると、黒い絹糸のような人形の髪を優しく撫でていた。

 櫛の様なものは一緒に入っていない。
 代わりにその人形に合うサイズの手毬が箱の中に収められていた。

 漆黒のおかっぱに可愛らしい模様の赤い着物、そして小さな手毬と……それは正しくオオモト様そのものと言ってもおかしくはなかった。

 黒く大きな瞳は本物の少女のようにあどけなく、可愛らしい顔立ちをしていた。
 でもどこか寂しそうにもみえて……それが余計にあの人を彷彿とさせる。

 柔和のようでいて、どこか憂いを帯びている。

 幼い少女と大人の女性が同居したような、あの柔らかい人に。
 とても良く似ていた。

「蛍ちゃんは、いつ知ったの? この人形のこと」

 人形をしげしげと見ながら燐はため息を漏らす。

「つい最近だよ。家の片付けをするまでは全然知らなかったの。だってこの人形、二階の物置部屋の一番奥の方にあったから。片付けしてなかったら多分、見つからなかったと思う」

「物置部屋ってあの時わたしたちが隠れようとした?」

「うん。そこに置いてあったみたいなんだ、誰からも知られずにずっと前から」

「そっか……」

 夜が明けなかったあの日、二人は蛍の家に侵入しようとしてきた、彼らを物置部屋から覗いていたのだった。

 二階から庭の様子を見ることが出来た絶好の場所だったけど、そこにこの人形も一緒に置いてあったなんて。

 偶然なんだろうけど、何らかの意味でもあったのだろうか。
 物言わぬ人形に何の答えも求めてはいないけど。

「作った人の名前とかは書いていないの?」

「箱とか色々見てみたんだけど……」

 蛍は肩をすくめる。
 どうやら、作者不明の人形らしかった。

「何のために作ったんだろうね、この人形。やっぱり、座敷童の存在を後世に残す為?」

「そうだと思う。むしろそれ以外考えられないかも」

「だよね」

 三間坂家、もしくはそれに近い人が作ったんだろうと思う。

 三間坂家が祀っていた幸運を呼ぶ神様。

 オオモト様──座敷童。

 その像の姿を。

 図書室の資料には載っていなかった。
 きっとどの文献にも。

 だからこそ作ったのではないかと思っている。
 その姿を力を後世に伝えるためだけに。

 これを見つけるのがもう少し早かったら何か変わったのだろうか。

 あの異変が起きる前だったら、と。
 そんな無意味な仮定をしてみても全てはもう終わってしまった後だったから。

 虚しくなるだけだった。

「この先異変が起こるとかそういった事は書いてないんだよね? ただ座敷童の存在を人形で示してるだけで」

「それは流石に無理ないと思うよ。ああいった事が何回も起きてるとは考えにくいし」

「だねぇ」

 蛍は小さな人形の両脇を持ってその人形と見つめ合う。
 ガラス玉のような黒い瞳は、目に映る全ての景色や人を夜の色の中に染め上げていた。

 蛍は一瞬はっとなってその人形から顔を離す。
 
 けれど人形には何も変わった様子はなく、燐は蛍の驚いた顔を見て不思議そうに首を傾げた。

「何かご利益ありそうな感じは……流石にしないね」

「うん。むしろ夜中に動き出しそうな感じの方がするよ」

 蛍はすっかり怖気ついてしまったのか、人形を箱に収めると、黒い瞳と目を合わそうともしなかった。

「じゃあさ、わたしが家で見たオオモト様ってもしかしてこの人形が動いてきたのものかも……」

「まさか」

 燐が変なことを言い出したので、蛍は半信半疑にその人形を二度見してしまった。

(動き出すとか、首が勝手に回るとかそういった事はないと思うけど……)

「蛍ちゃん、これはマンションに持っていかないよね」

「うん……これが枕元にあったらきっと寝れないと思うよ」

「じゃあ、わたしが一緒に寝てあげるよ。はだかで」

「燐ってば……」

 蛍はマンションの寝室にこの人形があることを想像して震え上がった。

 けれど燐が一緒に寝てくれると言った時、呆れながらも同時に心が躍る感じもした。

(はだかで寝るのはまだ抵抗あるけど)

 ひとまずその事は置いておいて、蛍は人形が収まった木箱を元通りにする。

「これは資料として展示するかはまだ分からないけど、とりあえずはまだ大事にしまっておくよ」

 そう言うと蛍は自室ではなく、元あった場所の少し目につきやすい棚の上へと戻しに行った。

 燐もその後についていく。


 残ったのはぎっしり詰まった段ボールの山と、散乱した郷土関係の資料の山だった。


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In Bloom

 今にして思えば、それは確かに一瞬の出来事だった。

 

 そのたった一瞬程の出来事は、少女達に新鮮で強烈なビジョンを残して行ってしまった。

 

 色とりどりの光の粒。

 

 視界一杯に光の粒子が広がっていた。

 それは日が沈まない世界の湖に夜の帳、小さな宇宙を作り出していた。

 

 それらは意思を持った生き物なのか、それともただ通り過ぎるだけの無機質な物体だったのか。

 

 その範疇すらも分からなかった。

 あまりにも早すぎていたから。

 

 瞬き出来ないほどではなかったけど、それでもあまりにも早く、それこそ激しい水の流れのように過ぎ去ってしまった。

 

 それらの正体を知るには全く足りない時間だったと思う。

 

 燐も蛍も同じ思いでいた。

 

 瞼の裏にはちかちかと、変化しながら瞬きを繰り返す星の残滓だけがいつまでも流れているようで。

 

 ──綺麗だった。

 

 それは間違いようもなく。

 むしろそれ以外の感想が頭に浮かんでこなかった。

 

 そのせいなのか、二人は今だにその過ぎ去った方向に目を奪われたままだった。

 瞼の裏側で瞬いている星の軌跡を探し求めているように。

 

 もう何の姿も見えてないというのに。

 

 あの小さな光たちはどこまで行くのだろう。

 その行先は誰にも分かりようがない。

 

 もしかしたら世界の果てまで行ってしまうのかもしれない。

 きっと誰も見たことのない世界の終りのその先まで。

 

 わたしたちには到底たどり着けそうにない薄いヴェールの向こうのその先までも。

 

 ずっと、ずっと。

 

「………」

 

「…………」

 

 二人は無言のまま、光が消えて行った先を呆然と眺めていた。

 

 現実感などまるで感じられない場所(水中)であるのに、意識が現実に戻るのに少し時間が掛かっていた。

 

 時を止めたように一点を見つめ続けていた燐と蛍。

 けれどお互いに何かを諦めたみたいに顔を見合わせた。

 

 言葉は発せずとも思いはいつも同じだった。

 

 ──これからどうしよう、と。

 

 そんな不安げな気持ちであることが、揺れ動く二人の瞳の奥から見て取れる。

 

 もう目的は果たしたと思う、一応邂逅できたわけだし。

 後はこの先どうするか、それだけだった。

 

「えっと、蛍ちゃん。とりあえず上にあがろっか。流石にもう泳ぎ疲れちゃったでしょ?」

 

 遥か上の頭上の水面を指さして燐は口を開く。

 

 ぽこっと、小さな気泡が浮かび上がり、我先にと水中へと上がって行く。

 気泡は泳ぐよりもずっと早く、上へと浮かび上がっていく。

 

 日差しが燦々と降り注ぐ。

 天候がずっと変わらない、白く眩しい地上へと。

 

 その速さに、蛍は少し憂鬱な気持ちになっていた。

 

 天井が開かれている以上、そうすることが妥当だと思った。

 

「そう、だよね……」

 

 蛍はぼんやりとした返事を返すだけで、青いカーテンにくるまれたまだら模様の空を物憂げに見上げて続けていた。

 

「どうしたの蛍ちゃん。何かまだ、気になることでもあるの?」

 

「えと……そういうことじゃなくて。まだそこまで疲れていないし、それにわざわざ水面まで出る必要なんてないんじゃないかって」

 

「ど、どうして?」

 

 意外な蛍の返事に、燐は驚いて目を丸くした。

 てっきり蛍は即決すると思っていたから。

 

 確かにこの中に居ても、直ぐにはしんでしまうことはないと思う。

 かと言ってここにずっと居てもきっと何も起こることはないだろう。

 

 この世界は閉じた場所にあると思っているから。 

 

 それにいくら息が続くへんてこな水の中だとはいえ、泳ぐ事自体は普通のプール中や海中を泳ぐ事と何も変わっていない、変わりようがないと言える。

 

 水泳をやることは地上を普通に走るよりも何倍も体力を使うから。

 

 それに、かなりの全身運動なのだから、蛍の身体が悲鳴を上げていても何らおかしくはない、そう燐は思っていた。

 

 それに蛍自身が泳ぎは苦手だと言っていたし、現に燐がここまで引っ張って来たようなものだから、余計に気が気ではなかった。

 

 大丈夫と本人は言っていたが、蛍を引き付けるなにかが、この群青色の世界にまだあるのだろうか?

 

(もしかしてここが気に入ったのかな……水中で息出来るのは確かに素敵だし、水の中も綺麗だしね。でもそれが理由なの……?)

 

 それだけだと少し弱い気もする。

 

 確かに不思議なことではあるが、ただ泳ぎ回っていても退屈しのぎにはとてもなりそうにないし。

 

 それに綺麗な景色ならここだけでなく、それこそ世界中にあるのだから。

 

(じゃあ、一体なんだろ)

 

 濃いブルーの空を見上げながら逡巡する燐。

 

 確かに綺麗な青の世界だとは思う。

 とても静謐で神秘的で、やっぱり綺麗だった。

 

 魚も何もいないけどそれほど寂しさを感じさせないのは圧倒的な解放感とこの世のものとは思えない景色のせいだろう。

 

 実際、この世のものではない気はしている。

 

 それは水中なのに呼吸も出来ていることや、水の冷えや冷たさを感じることもないこと。

 何より、生ぬるい水の感触に妙な心地の良さを覚えていることだった。

 

 食事以外の方法で栄養を摂ることが出来るのなら、ずっとここに居ても平気だと思ってしまう。

 

 もっともこの世界に来て摂取したものと言えば、蛇口からの水道水だけ。

 それでもお腹を空く気配を見せないのは、ここに適用出来ているせいなのか。

 

 それとも前に来たから?

 

 それともやっぱり”わたしが”座敷童になっちゃったから???

 

 この奇妙な世界と自分に対する疑問ならいくらでも浮かんでくる。

 けれど、絶対的な答えはどうしても浮かんではこなかった。

 

 燐は怖気づいたように身震いをした。

 

 このことを追求するのはもう止めよう、頭を振って思考を変えるよう試みる。

 

 今は蛍の事だけを考えることにした。

 

(蛍ちゃんは確かに疲れているはずなのに、まだ大丈夫って言ってる……あっ! それって、もしかしてっ)

 

 燐はある考えに達して、胸中で手を叩いた。

 このような蛍とのやり取りは初めてではないことを思いだしたからだった。

 

 蛍は見た目も性格も大人しそうなのだが、意外にも芯はしっかりしていて、燐が驚くほど大胆でそして……。

 

(頑張り屋さん、なんだもんね……蛍ちゃんは)

 

 もしあの歪んだ夜が訪れなかったら、きっと分からなかったであろう。

 燐にさえ分からなかった、頑張り屋の蛍の一面。

 

 割と頑固な面があるとは思っていたけど、あそこまで一途でひたむきだとは思ってはいなかったから。

 

 燐は、失念したように胸中で反省する。

 

(だったら、またアレがいいのかな……? 少し恥ずかしいけど)

 

 それはあのトンネルの時の様に、()()()()言い方を変える必要がある。

 

 そう燐は思ったので、すかさず実行に移した。

 

 燐は急に気が抜けたように柔らかい表情をとると、柄にもなく弱気な発言を少し大げさに口にした。

 

「あ──、もうダメだめだぁ~。さっきから体がギシギシ言ってて、もうまともに泳げないぃぃー!」

 

「……え? えっ?」

 

 声のトーンまで変えた燐の芝居がかった(わざとらしい)発言に蛍は目をぱちくりとさせている。

 

「この分だと明日は筋肉痛で動けなくなっちゃうー、どーしよー」

 

 燐の口は止まらない。

 止まりようがなかった。

 

「あー、お日様も見たいなあー。日の光を浴びたらきっと気持ち良くて最高なんだけどなぁー」

 

 口を魚のようにあんぐり開けたまま膠着していた蛍だったが、過去にこの状況があったことを思い出して、同じように深くため息をつくと、困り顔で苦笑した。

 

「燐、わたし流石にそこまで馬鹿じゃないよ。でも……ありがと。いつも気を遣ってくれて」

 

 別に馬鹿にされたとは本気で思ってはいないけど、こうして返したかった。

 

 いつものように他愛のないやり取り。

 それはこんな異常な状況でもいつものままで。

 

 けど燐がいるからこの非常識な世界でも平静を保っていられると思っている。

 もし一人だったらとっくにもう溺れている、そんな気がしていた。

 

「蛍ちゃんごめんね。でも疲れてるのは嘘じゃないからね。ついでに筋肉痛なのもね」

 

 燐は片足を持ち上げて、軽くマッサージしてみせる。

 普段なら何気ない行為だったが、本人は気付いていないのか裸でのそれは色々と大胆なことになっていた。

 

「それは分かってるよ燐。けど、ちょっとはしたないかも。さっきから色々見えちゃってる」

 

 言おうかどうか迷っていた蛍だったが結局口にしていた。

 

「はしたないって……蛍ちゃん、散々わたしの恥ずかしいとこ見てたんだから今更感があるよ~」

 

「わたしはチラッとしか見てないから」

 

「えー、痛い程の蛍ちゃんの視線を感じてたんだけどなー。主に下半身の辺りに」

 

 燐は少し照れた表情を見せるも、自身の裸体を隠す様な素振りはしなかった。

 

「ちょっと自意識過剰なところが燐にはあるよね」

 

 蛍は風のようにさらっと言ってのける。

 

「またそうやってぇ。全く、蛍ちゃんって大人しいわりに結構毒を吐くよねぇ」

 

「燐といる時だけだけどね」

 

 二人は顔を見合わせるといつものように笑い合った。

 

 それで良いんだと思う。

 良いことも悪いことも、二人で綯い交ぜにして飛ばしていけばきっとそれで。

 

 蛍と燐の間にはそういった、心のわだかまりなど絶対に起きないのだろう。

 

 傍目から見れば少しもどかしく感じる二人だったが、当の本人たちはこれが自然体、もっとも楽な関係だった。

 

 自分とは違って何か別の理由があるのかもしれない。

 

 例えば、世界の果ての秘密を探りたい、とか。

 

 見かけよりずっと好奇心の強い蛍にはあり得ない話ではないが……。

 

 そんなものが本当にあるのだろうか。

 でも、それが蛍ちゃんの目的なら一緒に行ってみるつもりだけれど。

 

「でも……燐が行きたいのなら一緒に行ってもいいよ」

 

 いつの間にか蛍は燐の方を向いて微笑んでいた。

 

「え、蛍ちゃんが行きたいんじゃないの? その、世界の果て、とか……」

 

「うん? そんなつもりはないけど」

 

 蛍は不思議そうに燐を見つめて首を傾げた。

 

(なぁんだ、わたしの先走りだっただけか)

 

 燐は安堵の息をぽぅっと漏らすと。

 

「だったら……もう戻ろうよ蛍ちゃん。目的は果たしたと思うし」

 

 燐はもう一度手を差し伸べた。

 

 ここに来た理由は見いだせなかったけど、それについてのお話なら地上に戻っても普通に続けられる。

 

 わざわざこの奇妙な水の中で話さなくてもいい事だったと思った。

 

 蛍は差し出された手をそっと握り返すと、微笑んで自分の考えを口にした。

 

「ごめん、別に戻りたくないってわけじゃないんだ。ただ、”目覚めるだけ”でいいんじゃないかなって思っただけで」

 

「目覚めるだけ?」

 

 やはり意味が分からず蛍に聞き返す。

 

 不思議な会話のやり取りはあの人と会話しているときに似ていると燐は思った。

 

 夜のプールで感じたことはやはり気のせいなんかではなかった。

 それはもう分かっていたことだけど、それでも確信せざるを得なかった。

 

 柔和な笑みと穏やかな瞳。

 

 あの時感じたものと同じ想いがした。

 

 捻じれた夜と同じようにお互いに裸で水の中にいるせいだろうか、普段よりもずっと近くにオオモト様を感じることが出来る。

 

 彼女()の中の透明な笑みの中に。

 

「だって夢だから。夢は覚めれば消えてしまうでしょ」

 

 蛍は柔らかい雰囲気のまま、そう言葉を作った。

 

「やっぱり蛍ちゃんもそう思ってたんだ……」

 

 燐は思いのほか動揺することはなかった。

 だって蛍の言っていることは大体燐も同じ想いだったから。

 

 驚きはしても否定したり呆れることはなかった。

 むしろ普通に同意した。

 

 つまりは夢、全ては夢の中のできごと。

 そういう事なんだろうと。

 

「うん……でも、いつもとは違う夢だってことは燐だって分かってるよね? 寝るときに見る夢じゃなくて、身体と心が別離したときの、幻のような妙な現実感のある夢」

 

「……じゃあそれも含めて同じってことだね、あの時と」

 

「うん」

 

 多分最初から分かっていたことだった。

 ここに来たときからずっと感じていた違和感の正体。

 

 青いドアの家も、あの風車だけの場所も、そして終わらない夜も形は違ってもその理はきっと同じなんだと。

 

 現実とよく似ているけど、これは現実じゃない。

 誰かが見た夢、じゃなくて想いが重なり合ってできた夢と現実の境の世界。

 

 そこには悪意なんてなくて、ただ、存在しているだけの場所。

 

 だから──目覚めればこの世界は消えてしまう。

 それは簡単に、まるで陽炎のように儚く消えていってしまうものだと。

 

 そう言いたいのだろうか蛍ちゃんは。

 

 けれど、燐にはその仕組みが良く分からなかった。

 

「でもさ、わたしも蛍ちゃんも眼はずっと開いてるし、眠ってなんていないよね。意識だってちゃんとはっきりしてるし……それでも起きてはいないの?」

 

 立ったまま寝ているだなんて、蛍の家で起きた幻を見た時に思ったことがあったけど。

 それとは違う? のだろうか。

 

 その辺りの境界(せんびき)がどうにも曖昧なままだった。

 

「起きていないっていうか……わたしも燐も最初から寝ていないんじゃないのかな。寝ていなければ目覚める必要はないわけだし」

 

「あ……」

 

 蛍に言われてようやく気付くことができた。

 

 蛍の言う、目覚めの意味を。

 とても単純で、だからこその残酷さ。

 

 でも、何となくそんな気はしていた。

 

 この世界にずっと感じている違和感は、どうしようもないほどに心の中に引っ掛かっていたことだったから。

 

「この世界を()()()……そういう事、かな?」

 

 蛍は静かに頷く。

 

「えと、じゃあ、わたしたちが青いドアの家に来るたびに世界は壊れてたってこと?」

 

 蛍は少し迷った表情を見せたが、それでも小さくこくりと頷いた。

 

 燐は口を開けたまま黙り込んでしまった。

 

 ──青いドアの世界。

 

 それは最初に訪れたときからずっと変わっていない。

 変わりようのない世界。

 

 そう、思ってたけれど……本当はきっと違っていたんだ。

 

 世界は二人が離れる度に消滅して、そしてまた創られていたんだと。

 

 破壊と、創造。

 

 それを繰り返してきたんだ、きっと。

 

 けれど──同じような世界は生まれてはこない。

 

 来るたびに些細だけど変化があったのは多分そういうことだったんだ。

 同じことを望んでも叶えられない、投げた手毬の軌跡のように。

 

 シーシュポスの様でもあり、宇宙そのものとも言えた。

 

 宇宙には変わらないもの、永続するものなど、一切何もないのだから。

 

「燐はさ、この世界好き?」

 

 蛍は燐の手と手の間に滑り込むように泳ぐと、その顔を覗き込んだ。

 

 長くなった栗色の髪と、二つに結わかれた艶やかな黒髪がマリンブルーの背景にたなびいている。

 

 波の様な()()()と、艶めかしい蠢きで。

 

「そうだねぇ」

 

 急な蛍の質問に燐はちょっと考え込む。

 

「酸素みたいなのもあるし、静かだし、割と好きだよ。でもちょっと怖いけどね」

 

「怖いって? 燐、なにが怖いの?」

 

「このまま水に溶けちゃいそうな気がしない? 何もかも水の中で溶けて混ざって一緒になって……」

 

 燐はその想像だけでぞぞっと鳥肌が立った。

 

「それはそれで面白そうじゃない。燐と一緒にどろどろに溶けてくっついちゃったら、それこそずっと一緒に居られるし」

 

「蛍ちゃんとずっと一緒なのはちょっと嬉しいけど、それじゃあスライムじゃない。スライムは流石になんか嫌だなぁ。それにせっかくの蛍ちゃんの可愛い顔が台無しになっちゃうよ」

 

「わたしの顔はどうでもいいけど、燐が嫌なら止めたほうがいいね」

 

 蛍の小さな笑い声が耳朶をくすぐる。

 

 もし蛍がずっと傍で囁いてくれるのなら、溶けて一緒になったとしても寂しくはないからちょっとだけマシかもと燐は思った。

 

「そういえばさ、二人とも裸なんだよね。やっぱりちょっと恥ずかしいかも。今更なんだけど」

 

「えー、蛍ちゃんから提案してきたのに?」

 

 燐もからかうように耳元で囁く。

 蛍は耳まで赤くしながらも、掴んだその手を離そうとはしない。

 

 むしろより強く、燐の手を握りしめた。

 

「ねえ、燐。どうして夢って終わっちゃうのかな」

 

「わたしも、終わらない夢があってもいいとは思うけど……」

 

 蛍が唐突に放った言葉は燐の胸の深くのところを軽くくすぐった。

 

「でも終わるから綺麗なんじゃないのかな。目覚めた後にため息をついちゃうぐらいに儚いから良いんじゃないかなってわたしは思ってるよ」

 

「なるほどね。燐はそういう考えなんだね」

 

 蛍は感心したように頷く。

 

「じゃあ嫌な夢は?」

 

「それはすぐ終わってくれないと困っちゃうよね~。ずっと嫌な夢なんてそれこそ悪夢だし。夢でまで怖い思いなんて誰もしたくないしね」

 

「うんうん」

 

「あ。夢って言えば前から気になっていたことがあるんだけど。燐、聞いてくれる?」

 

 ふと蛍は頭の中で思いついた疑問をそのまま口にする。

 それは前々から思っていたことだったが、あえて言葉にはしなかったことだった。

 

「なになに、どんな夢のお話なの、蛍ちゃん?」

 

 燐が興味深そうに顔を近づけてきた。

 

 大きな燐の瞳は吸い込まれそうになるほど透き通っていた。

 群青色の世界よりもずっと透明で一つの曇りもない。

 

 その奥は小さな光できらきらとしていて、生命力に溢れている。

 

 心が壊れた少女の瞳とは思えなかった。

 

 その燐にどれほどの自覚があるのかは分からないけど、ひっかき傷でさえどこにも見当たらないほど光り輝いている。

 

(責任を持つようになったから、かな?)

 

 蛍はそう思っていた。

 

 それは燐の家のパン屋さんのことや部活でのキャプテンの事、そして……自分とのこと。

 

 どっちかっていうと守られることが多かった燐だけど、今は自分から色々率先してやっているし、すごく頼りにされているから。

 

 その周囲からの期待が燐を再度輝かせていると思った。

 

 きっと燐は壊れやすく面倒なものばかり集めてしまう、一つの癖の様なものがある。

 

 他人の問題を自分の問題に置き換えて考えてしまうから心に無数の引っ掻き傷が付いてしまいやがて壊れてしまったのだと。

 

 けれど、そのおかげなのか、今の燐は少しだけ楽に生きているように見えていた。

 

 壊れたところは決して元には戻らないとは思うけど、他の部分の輝きが増したのではないかと思うほどに、今の燐は生命力に満ち溢れてるようだった。

 

 本来の燐の輝きが、引っ掻かれて砕け散った後でしか見ることが出来ないなんて、あまりにも残酷すぎるとは思うけど。

 

(でも燐が幸せそうだからこれで良かったんだよね、きっと)

 

「どうしたの蛍ちゃん。何かお話してくれるんじゃなかったの?」

 

 ちょっと気を遣った燐が視線を合わせてくる。

 蛍は意識を今に戻すと、燐に向かって済まなさそうに頭を下げた。

 

「ごめん。それは戻った後でも良いかなって思って……思わせぶりな事言ってごめんね」

 

 燐はいつもの笑顔で微笑んで首を横にふるふると振った。

 

「ううん、全然問題ないよ。向こう(現実)に戻った後で珈琲でも飲みながら蛍ちゃんの話を聞けばいいわけなんだし」

 

「ミルクをいっぱい入れたコーヒーを?」

 

「んもー、それは言わないでよ~。これでもわたし結構気にしてるんだからぁ。それに蛍ちゃんだってミルク入れてるよね。中が真っ白くなるぐらいにたっぷりと」

 

「真っ白って程はないとは思うけど、でも、燐が淹れてくれたコーヒーをちょっと甘くしたカフェオレが好きだから」

 

 蛍のちょっとは一般的な甘みの範疇を超えていたから、燐は苦笑いする。

 

「カフェラテももちろん好きだよ。”青パン”で使っているのって全自動のやつだっけ?」

 

「そーなんだよねぇ。自分で色々アレンジできるセミオートか手動が良いって言ったのに、お母さんが、”うちは本格的なコーヒーショップじゃないんだからそんな面倒な事しなくていい”って全自動タイプになったんだよねぇ。それだって中古なのに」

 

 はぁ……。

 燐のため息が小さな泡の輪っかを作って空へと浮かび上がって行った。

 

 その泡がちょうど燐の頭上にきたとき、上から射してくる光に照らされた燐を見て、蛍は密かに胸をときめかせた。

 

 本当に綺麗なものを見た時の情景の眼差しで。

 

「だったら次に淹れる時は違った豆にしてみようかなエクアドル産じゃなくて、もう少し口当たりのいい……あ、そうだ! 蛍ちゃん知ってる? 猫の糞から作る珈琲もあるんだよっ。ちょっとお高いけど今度試しに取り寄せてみよっか?」

 

 でも、お代は蛍ちゃん持ちでお願い! と、燐が都合よく話を進めようとしたのだったが。

 

「……」

 

 蛍は話を聞いていないのか、燐を見ながら呆然としていた。

 

「どうしたの? わたしの体に何か付いてる?」

 

 燐はいつもの洗顔みたいに頬っぺたを持ち上げてみる。

 

 何も付いていないとよう言うよりも、何も身につけていない。

 燐は蛍が自分の裸を凝視していると思って急に恥ずかしくなった。

 

「わ、わたしは蛍ちゃんと違ってひんそーなんだからあんまり見ないでよぉ!」

 

 ぷんすかと顔を赤くして抗議する燐。

 それを聞いた蛍はキョトンとした顔になった。

 

「あ、ごめん。そう言うことじゃないんだ」

 

「じゃ、じゃあどういうことなのぉ」

 

 燐はまだ頬を紅潮させたまま尋ねる。

 

「天使みたいだなって思っただけで」

 

「誰が?」

 

「燐のことが……あっ! で、でもそういう意味じゃないからね。それぐらい綺麗だったってこと」

 

 普通であれば特に訂正するところではないが。

 燐の受け取り方次第では悪意ともとれる発言となってしまった。

 

「ごめんね」

 

 蛍は素直に頭を下げる。

 つい口から出てしまったことで、そこには意図するべきものは何もなかったから。

 

「それぐらい分かってるよ、蛍ちゃんはとっても素直な子だってことも、ね」

 

 ──でも。

 

「わたしは蛍ちゃんの方が天使の様に見えるんだけどね。座敷童うんぬんは別にしても蛍ちゃんは顔も性格も可愛いし、いい意味で人じゃないみたいにきらきらしているから」

 

 燐も素直に言葉を口にする。

 蛍の想いが変わっていないのと同じで燐の想いもずっと同じままだった。

 

 変な事に巻き込まれても、二人は一緒の方向を見ていた。

 

 互いに寄りかかるわけではなく、ほんの少し寄り添うだけの絶妙で、ちょっと儚い距離感のままで。

 

「それこそないと思うけどね。でも……ううん、ここは素直に受け取っておくね。だって、燐とまたこうして一緒に居られることは、天使の悪戯みたいなものなんだし」

 

 多くは望んではいない。

 たった一つの願いが叶うならそれでよかったから。

 

 何でも願い事が叶う箱に入っていたのは、お金ではなく彼女──燐、だったのだから。

 

「あ、それはわたしも思ってたよ。”奇跡”って言葉を使っても良いよね? でも誰に感謝したらいいのかなぁ……やっぱりオオモト様かな」

 

 蛍の話だと、オオモト様は町の人に神様として祭られていたようだから、あながち間違いではないと思う。

 

()()()は何もしてないよきっと。それに燐の場合、感謝よりもちょっと怒ってもいいとは思うんだ。燐はただ、巻き込まれただけだから」

 

「えっ? でもだって、わたしは自分から……」

 

 言いかけて、燐は口を閉じた。

 

「燐?」

 

 蛍はキョトンとした顔で首をかしげた。

 燐が何を言いたそうにしていたのか分からなかったから。

 

「あ、ごめん……ちょっと変な事、言いそうになっちゃった」

 

 燐は少し慌てたように笑みを浮かべる。

 その繕った笑顔に、蛍は僅かな胸の痛みを感じた。

 

「ねぇ、燐。もう居なくなったりしないよね? もし燐がまた辛くなったら今度は何でも言って欲しい。わたしはどんなときでも燐の味方なんだから……でも燐はこういうのが嫌なんだっけ……難しいなぁ……」

 

 自問自答する蛍に燐は困ったように微笑んだ。

 

「嫌なわけ、ないよ。ただ、蛍ちゃんに迷惑を掛けたくなかっただけなんだ。でも結果的にすごく迷惑かけちゃったけどね」

 

 あれは何かの不可抗力だったのか、気まぐれなのか。

 その辺はよくわかっていない。

 

 蛍と燐。

 

 同じ方向を見ていた二人が、何かのひょうしで別れてしまった。

 

 世界が間違っていると確かに少女は言った。

 

 あの時、世界は”ある人の心”と偶然重なりあって、あのような異変が起きてしまったようだったけど、それはどこからかで二人の想いへと変化していった。

 

 兆候がなかったと言うわけではないけれど、それでも必然なんて事柄は今もあの時からも存在していない。

 

 あるのはただ、偶然だけで。

 

 偶然という概念が幸運という事象を生み出して、それはまた別の偶然を生み出していった。

 

 この連鎖はどこまでいっても終わることはなかった。

 

 あの歪んだ夜が始まるまでは。

 

 その夜も終わり歪みは別の世界、これまでと違った世界の有り様に切り替わってしまった。

 

 それでも、町には幸運が残っていた。

 

 これまでとは違った幸運の形。

 

 幸運はあの土地と町に何をもたらすのだろうか、町に住む人も当事者(ざしきわらし)も何も分かっていない。

 

 良いことは起こるだろうとは思う、望む望まないに限らずに幸運は町に降ってくるものだから。

 

 けれどまた異変が起こる可能性も当然あった。

 

 わたしたちの住む世界は常に均衡を保っていて、良いことも悪いこともバランスよく起こるもの、らしかったから。

 

 もし、あの過ちを二度と犯さぬ為に、”わたしたち”がいるのだとしたら……。

 

 それは──。

 

「ねぇ……蛍ちゃん」

 

「なぁに、燐」

 

 わたしたちにできることは結局こんなことだけ。

 特別な事なんて何もできるわけがない。

 

 いつだって、自分たちのことだけで精一杯だったから。

 

「手、繋ごっか。二人で手を繋いで念じれば元の世界に戻れる……そうでしょ?」

 

「うん。間違ってなければ、だけどね」

 

 蛍は差し出された燐の両手をそっと取ると、その柔らかい手をぎゅっと握った。

 

 少し強めに握ってしまったかもしれない。

 けれど、この手を二度と離したくはなかったから。

 

 その強さに少し驚いた顔をしたが。

 いつもの様に、燐はにこっと微笑んでくれた。

 

 蛍の大好きな笑顔で。

 

「戻ったら何時ごろになるのかな……」

 

 蛍はこれまで気にも留めなかった時間の事をつい気にしていた。

 身体はまだ水の中でも、意識だけは向こうのマンションの部屋の中だった。

 

(でも全てが夢なら時間の流れなんか関係ないのか……)

 

 夢か現実か、なんて。

 その事に決定付けるものがあるとするならば、多分それは時間だろうと思う。

 

 夢を見ていた時間と現実での時間。

 それは等しく同じだが、夢の中の時間は現実とは異なっている。

 

 夢では時間などいくらでも作ること出来るし、反対に減らすことだって出来るから。

 

 ただ、意識の介入が難しいだけで。

 

 これまで何度かこの世界──所謂”青いドアの家の世界”に来たことのある二人だからそれは良く分かっていた。

 

「ここ来たときは確か夜だったよね? 確かまだ雨が降っていたし」

 

 何となく二人で踊った後の出来事だった。

 唐突な光は燐と蛍の時間を白く切り取っていってしまった。

 

 だからこそ、今ここに居るわけなのだが。

 

「…………」

 

 二人の視線が自然と宙に向けられる。

 

 深い水の中から見る空は、白い花のように輝いていた。

 そこには雨模様など微塵にも見せずに、雲の隙間からこぼれる(ひかり)をレジンの様に滲ませていた。

 

「不思議だよね。向こうと同じ空なのに全く別の世界なんだもんね」

 

 水面越しに空を仰ぎながら、蛍は感嘆したようにつぶやいた。

 

「うん。でもどっちも綺麗だよね。まるで絵で描いた世界みたいに」

 

 同じように燐も空を見上げる。

 

 柔らかい水の揺らぎが、絵画のような不思議な空の形を青と白のキャンパスの上に作っているように見えた。

 

「でも、それだと現実より絵の中の方が綺麗みたいになっちゃうね」

 

 燐は何も答えず小さく頷いた。

 言葉の意味は分かっていると言いたいように。

 

「……」

 

 蛍はそんな燐を少し不思議な瞳で見つめていた。

 

 横顔がちょっとだけ似てたから。

 白いプラットフォームでの表情と。

 

「あの。そろそろ……良いかな? 蛍ちゃん」

 

「あ、うん」

 

 燐は蛍に囁くように呼び掛けると、正面から見つめた。

 

 二人の少女の視線が水の中で交差する。

 

 蛍はすぐに分かって瞼を閉じる。

 燐も同じタイミングで瞳を閉じた。

 

 夢から目覚めるのに目を閉じるなんて矛盾していると思うけど。

 それがこの世界でのルール、(ことわり)だったから。

 

 燐と蛍は闇の中、静かに想いを繋ぎ合わせる。

 ここに渡って来た時と同じように、一つの願いだけを胸中に念じて。

 

 向こうの世界に帰りたい。

 

 ただ。

 その一点だけを。

 

「…………」

 

 胸中でそれを願い続けるだけ。

 たったそれだけのことだった。

 

 けれど、蛍は不意に湧きあがった不安に駆られてしまう。

 

 燐がその言葉を止めた時、世界が静かになってしまったと思ったからだった。

 

 これまで聞いていた燐の声が一切しない。

 それは蛍にずっと遠くに忘れていたはずの事を思い出させていた。

 

 燐は目を閉じて自分と同じように願っているはず……きっとそうだとは思っている。

 

 けれどそれはただの思い込みで。

 燐はもう居なくて、自分が触っているのは何か別の物質。

 

 あの悪意を持ったモノかもしれない。

 だって、自分を水中に引きずり込んだ透明な影は今だに見つかっていなかったのだから。

 

 瞼を閉じているから姿は見えないけど、燐は確かにいるはずだ。

 この手の温もりは燐以外にありえないから。

 

 蛍はそう信じて手を握る。

 

(でも、燐がもういちど居なくなっていたら?)

 

 疑っているわけじゃない、けど。

 何故だか確信が持てなかった。

 

 蛍は自身の黒い考えを否定するように首を大きく振る。

 

(大丈夫、燐はわたしの手をちゃんと掴んでいてくれる。二度と離さないって言ってくれたから、だから大丈夫なんだ……)

 

 自信の弱った心に言い聞かせるようにして蛍は同じ言葉を繰り返す。

 

 そうすれば気持ちが落ち着いてきてちゃんと願うことが出来る……はずだった。

 

 むしろ得体の知れない不安と焦燥感が胸中でどんどんと膨らんで、どす黒い波となって蛍の心を惑わしてくる。

 

 激しい感情のうねりは、蛍の願いを中断させて、秘めた感情を言葉にしていた。

 

「燐っ……!!」

 

 蛍は堪らずそのまま燐の胸の中に飛び込んだ。

 

 燐の声が今すぐ聞きたい、燐の優しい瞳にずっと見つめられていたい。

 その一途な思いだけを頭いっぱいにして。

 

「ほ、蛍ちゃん!?」

 

 全く予想していなかった燐は面食らったように蛍の名を呼んでいた。

 

「ごめん燐。わたしなんかダメだったみたい」

 

 蛍はそこで言葉を止めた。

 

 何で? という疑問が真っ先に浮かんでしまった燐だったが、言葉にはせず蛍をそっと抱きしめるとその頭を軽く撫でた。

 

「怖い夢でも見ちゃったとか?」

 

 少し茶化すように言葉を投げた。

 

 柔らかい燐の声が蛍の頭上から響いてくる。

 

 その声色だけで、さっきまでのささくれ立っていた心が静かに落ち着いてくるようだった。

 

「夢っていうか、もうあり得ないことを想像したら急に不安になっちゃって。何か集中出来なかった」

 

「それって、わたしの事?」

 

 それには蛍は何も答えなかった。

 

 言えなかったわけではなく、その事に対する自分の弱さが恥ずかしかっただけだった。

 

「そっか」

 

 燐は一言だけ呟くと、蛍の背中を強く抱きしめた。

 

「ごめんね。わたし蛍ちゃんの事、いっぱい傷つけちゃったんだね」

 

「ううん」

 

 蛍は胸に顔を埋めたまま小さく首を振る。

 

 燐はそれ以上はもう何も言わず、ただ蛍を抱きしめていた。

 

 意味のない自傷や薬で誤魔化してみても消えることのない傷跡。

 千のひっかき傷よりも深い傷は、燐も蛍も互いに大事なところに大きな穴を空けていた。

 

 誰のせいだとも思っていない。

 それはもちろんお互いに。

 

「わたしも同じだった。わたしだって、すごく弱いんだよ……燐」

 

「蛍ちゃん……」

 

 燐は自分の事を弱いと言っていたけれど、自分の方が本当に弱いと思った。

 

 それまで何とかなったのは強がりなんかじゃなく。

 

 ただ、無知だっただけ。

 

 本当に大事なものを知らなかっただけだった。

 

 今は大事なものに気付いてしまった。

 もう二度と失いたくはない大切な人の存在に。

 

 でも、もうそれも終わったと半ば諦めていたことが戻ってきてくれたとき、わたしは嬉しさよりも、疑いからもってしまった。

 

 別人と言うよりも、その物全てが夢なんじゃないかと。

 これは都合の良い、自分だけが見ている自分の為だけの夢なんだと。

 

「もう一回やってみない? もしこれでダメだったらそれはそれでってことで」

 

「……燐」

 

 蛍は顔を上げた。

 すぐ目の前には夢じゃない燐の顔があった。

 

「こうして抱き合ったままの方が上手くいくかもしれないよ。保証はないけどね」

 

「ねぇ、燐はわたしで本当に良いの?」

 

 蛍の瞳が細やかに揺れていた。

 

 凪いだように穏やかな水の中なのに、その瞳だけが揺れている。

 それは多分、自分も同じだろうと燐はおもった。

 

 よく似ているから。

 姿形じゃなく心の、もっとも大事な部分が。

 

「蛍ちゃんだから、だよ。わたしはそのままの蛍ちゃんが好きだから」

 

「わたしも、燐がすきだよ……それはずっと変わらない」

 

「だから、怖い?」

 

「うん」

 

 好きだからこそ怖かった。

 嫌われたくなんかなかったから。

 

 蛍は燐の両頬をそっと包み込んで、真正面に見つめた。

 

「わたし、燐が心から笑っているの好きだよ。ずっと笑っててほしいの」

 

「わたしだって蛍ちゃんの笑顔に癒されてるよ。これは本当に」

 

 蛍の視線を逸らすことなく受け止める。

 

 二人の視線の先は互いの姿だけ。

 それ以外は背景にすらなっていない。

 

 空も水も、裸であることすら目には入っていなかった。

 

「じゃあさ……わたし達、両思いのままなのかな? 燐は、その……心変わりとかしてない?」

 

「するはずないよ。蛍ちゃんより綺麗で透明な子なんてそうそういるわけないよ」

 

「わたしもだよ。燐よりも素敵な人なんて学校にも町にもいなかったから」

 

 胸の鼓動を感じる。

 あの中学校の夜の時のように、二人の鼓動が重なりつつあった。

 

 どくんどくん、と。

 

 何かを期待しているように脈を打って。

 

(このままだと変な事になりそう、かも)

 

 燐はにこりと笑うと、軽く頭を振った。

 

 燐の視線が外れてたことに、蛍は少し残念そうな顔をする。

 

「今度はさ、もう少し肩の力を抜いてやってみようよ、リラックスする感じで、ね。もう戻れなくてもいいかなってちょっと投げやり感じが案外いいのかも?」

 

「くすっ、それっていつもの燐じゃない」

 

「ま、まあそうとも言うかも、ってわたしいつもそんないい加減じゃないしっ! それはむしろ蛍ちゃんの方でしょー。蛍ちゃんは本気だせば何でもできるのにぃ」

 

「わたしはいつも全力だよ。この前のマラソンだってあれが今のわたしの精一杯なんだから」

 

「えー、あれがなのぉ。蛍ちゃんはもう少し出来る子だって思ってるんだけど」

 

 蛍は週末、山歩きをするようになったが、それでも体育の成績は相変わらずのままだった。

 

 使う筋肉の違いなのかなぁ、と燐は割と不本意な蛍の体育の結果を気にしていたのだが、当の蛍はそこまで気にしていないようで。

 

 ”わたし山を歩くとき大体何か甘いもの食べてるから、そのせいかも”。

 

 と、何とも暢気な答えが返ってくるだけだった。

 

「燐の言う通り、明日は筋肉痛決定だね」

 

「じゃあマッサージしてあげるね。全身くまなく」

 

 ひひひ、と口元を歪ませながらわざとらしく両指をわきわきと蠢かせる燐。

 

 蛍は呆れたように溜息をついた。

 

「もう、燐ってばそればっかりだよね。女の子の体を触るのが好きなの?」

 

「そ、そんなことないってぇ。わたしは蛍ちゃんだからマッサージしてあげたいの」

 

「誰にでも言ってそうだよね燐は」

 

「んもう、心外だなあ。今のわたしは蛍ちゃん一択なんだからね」

 

「即答できるところがますます怪しいかも」

 

 可愛い顔に似合わず蛍はジトっとした目を燐に向ける。

 儚い印象の蛍との瞳のギャップに燐は少したじろいでしまった。

 

「うー、とにかく信じてよー。わたしは蛍ちゃんが好きだし。もうどこにも行ったりしないからぁ!」

 

 急に大声を出した燐に蛍は目を丸くするも、その言葉ににこっと微笑んだ。

 

「うふふ、ごめんごめん。燐のこと信用してないわけじゃないよ」

 

「本当?」

 

「うん。でも、裸でマッサージされるのは流石に嫌だけどね……変なお店、みたいだし」

 

 悪戯っぽく笑う蛍に燐はきょとんした表情を見せたが、やがてその意味がようやく分かったように苦笑いをした。

 

 蛍はさっきまで不安が嘘の様に笑っていた、ずっと。

 つられて燐も微笑む。

 

 青い、青い世界。

 

 笑い合う少女たちの頭上で光の輪が揺れ動きながら、平らな水面(みなも)に浮かんでいた。

 

 熱の無い、金色の陽光をまき散らしながら。

 

 

 ……

 ………

 …………

 

「……こうして抱き合ってればその内、戻れるのかな?」

 

「どーなんだろうね」

 

 蛍と燐は結局抱き合ったまま、その時が来るのを待っていた。

 

 気泡を纏わせながら、青い水槽の中で揺蕩っている。

 

 どこまでも、どこまでも続いていきそうな水槽だったが、これ以上はもう進むだけの意味はなかった。

 

「ねぇ、燐。何か『お話』して欲しいな」

 

「いいけど。蛍ちゃん、どんなお話がいいの」

 

 繋いだ手を絡めながら訊ねる。

 

 燐と蛍が裸で抱き合うのはこれが初めてというわけはない。

 二人がマンションのベッドに入るとき、裸であることはわりかし多かった。

 

 別に夜な夜な変な事をしているというわけではなく、ただ互いに寂しかったんだと思う。

 寂しかったから、お互いの肌を密着させて温もりが欲しかった。

 

 寒いからとか、そういった温度は関係なく。

 

 何かを埋めたかったんだと思う。

 

 本当はもっと効果的で刺激的な方法があるんだろうけど。

 

 それはまだちょっと怖かったから。

 二人はただ、抱き合って眠るだけ。

 

 不器用と笑われてもこれしか出来ないし、やりたいとはまだ思わなかった。

 

 それは今だってそうだった。

 水のベッドに横たわる様にして裸で抱き合っている。

 

 お互いの息遣いが聞こえるような距離で言葉を交わしていた。

 

 他に誰もいない青一色の中で。

 

「なんでもいいよ。燐の声を聴いていればそれだけで安心できるから」

 

 燐はふむ、と小さく考え込むと少しだけ笑った。

 それに合わせて少し大きめの泡が水面を目指して浮かび上がっていく。

 

 何度も見た光景だけど、とても慣れそうになかった。

 慣れればいいというものでもないとは思うけれど。

 

 偶然にも燐も同じことを考えていた。

 

(わたしだって蛍ちゃんの”お話”が聞いてみたかったんだけど……まあ、いいか)

 

「えーとね……」

 

 燐は口を開いたはいいが、話す内容を考えていなかったので頭を捻る。

 それを見て蛍はまたクスクスと笑い出した。

 

「だって、お話って言っても急に何か出てくるわけがないよぉ。何も手元にないんだし……あ、そうだ! 蛍ちゃんこんなこと知ってる?」

 

「え、どんなこと?」

 

 燐は言い訳の途中で急に頭を切り替えたように質問を投げかける。

 

 ちょっとだけびっくりした蛍。

 けれど、燐の話に合わせることは何ら苦ではなかった。

 

「わたしもね、あれからまた色々調べてみたんだよ。小平口町に伝わってる民謡の事とか郷土とか」

 

 それを聞いて蛍はあぁ、と微笑んで同意する。

 

「燐には前にも話したと思うけど、わたしもまた中学校の図書室に行ったんだ。ほとんどの資料に目を通したけど、やっぱり役立つことは何も書いてなかったよね」

 

 二人があの夜、忍び込んだ中学校は全てが嘘の様に平穏だった。

 

 図書室での資料も蛍が確認した限りでは、変化したような記述も消えたような形跡もない。

 もっとも、オオモト様の事は町の中でも秘伝中の秘伝だったのだから当然なのだけれど。

 

「でもさ、もし何かオオモト様に関して重要な事が書いてあったとしても誰も分からないだろうね。だってあの時の記憶が残ってるのってわたし達だけ、なんだもんね」

 

「うん。そうだよね」

 

 それとなく吉村さんや見知った人たちに尋ねてみたのだが、誰一人あの時のことを覚えている人はいなかった。

 

 更にそれだけではなく、あの夜に大雨が降った記録でさえも予報や天気図に残っていなかった。

 

 もしも燐が戻ってこなかったら、蛍は全て夢の話と疑っていた可能性は十分にあった。

 

 それはもちろん燐も同じで、母親や学校の友達に自分がいなくなっていた時の話をしても、まともに取り合ってもらえないどころか、漫画や空想等の”捉えどころのない話”としてでしか扱ってもらえなかった。

 

 まあ確かに不可思議な事象ではあったし、どちらかというとオカルト色の強い話を信じてもらえるとは到底おもってはいなかったけど。

 

「だからね。わたしはちょっと別の事について調べてみたの。そしたら結構面白いことが分かっちゃってさ」

 

「別の事?」

 

「あのね、河川について調べてみたの。この辺の川って昔はよく氾濫してたって蛍ちゃん言ってたから」

 

「うん、確かにそう言ったね、最近はそうでもないけど。それにその為の防災サイレンなんだし。でも、燐。それが何かのヒントになったの?」

 

「ほら、線路と並行して流れてるこの辺で一番大きな川って”龍”の名前が付けられてるでしょ。それって何か意味があるんじゃないかって思って、そっち方面で当たってみたんだよね。そしたらさ……」

 

「うん」

 

「蛍ちゃんの言う様に小平口町の辺りは昔、水害が頻繁に起きて酷かったんだって。それを何とか鎮めようと当時の人達も色々な方法を試してみたんだけど、結局上手くいかなくて頭を悩ませてたんだって」

 

「それを鎮めたのが、オオモト様ってこと?」

 

 幸運を呼ぶ力が一番発揮されそうなのはそういった天災だろうと思った蛍はそう答えた。

 

 燐は小さく笑うと首を振って話を続けた。

 

「ううん、どうもね、”龍神様”がやったみたいなの。その龍神様が川の氾濫や洪水を力で封じ込めていたんだって。でもそれが何度も頻繁に起こるものだから、龍神様は自らの体ごと川を封印をしてその源を鎮めちゃったんだって。だから川に龍の名前が付いたんだって」

 

「へぇー、わたしも昔の話を色々聞かされてたけどそんな話、初めて知ったよ」

 

 燐の話はやけに具体的で、どこからそんな話をもってきたのかは分からない。

 

 蛍ですら知らない事だったから、ちょっとだけきな臭い感じもしたが、あの土地の異変や座敷童の事を知ってしまった以上、この手の話を何でも信じてしまいそうになる。

 

 それに座敷童は一応実在しているのだから、龍神の様なものが仮にいたとしてもさほどおかしいとは思えなかった。

 

 何より燐が熱心に話してくれるのだから、蛍が耳をそばだてない理由は全くなかった。

 

「まあね。わたしも聞いた時はにわかには信じられなかったんだけどね」

 

「それはそうだよね、龍神なんてそんなそれこそオカルトな事なんてそうそう起こるものでも……あ、そういえばあの話と何か関係あるのかな」

 

 蛍はふと、記憶の引き出しからあることを思いだした。

 三間坂家に伝えられていた、もう一つの”神様”のことを。

 

「あの話って? 蛍ちゃんも何か知ってたの?」

 

「そういうわけでもないんだけど……」

 

 蛍は軽く息を吐くと、伝えられたもう一つの話の事を燐に語った。

 

「燐の話を聞いてね、本当に小さかった頃に一度だけ聞いた話を思い出したの。やっぱり馬鹿馬鹿しいと思ってまともに聞いてなかったんだけどね」

 

 蛍は一旦言葉を切ると、幼い頃を回帰するように頭を巡らせる。

 

 話の内容は不思議と思い出せたが、誰からの事付けなのかだけはどうしても思い出せなかった。

 

「小平口町を含めたあの辺りの地域にはかつて二人の神様がいたんだって。でも、大昔の戦か何かでその神様を祀っていた柱の一つを消失させてしまったみたいなの。それからは一つの柱、つまり座敷童様が一人で町を支えるようになったんだって……そう、言ってた」

 

「じゃあその失われた柱が龍神様ってこと?」

 

「分からないけど……もしかしたら」

 

 誰が伝えたものか分からない話だったけど、燐の話と照らし合わせてみると不思議と辻褄があう気もしてくる。

 

(座敷童と、龍神か……)

 

 蛍は言葉に出来ないモヤモヤしたものが自分の中に溜まっていることに気付く。

 

 おとぎ話のような事柄が自分の周りどころか自分自身にまで降りかかってくるなんて。

 今更ながら数奇な生まれなんだなあと、少し他人事のように思った。

 

(それにしたって龍の神様なんているのかな)

 

 もしもそれがれっきとした神様であり、きちんとした形で人々に祀られていたのなら、町の均衡は保たれたままで、あの歪みの様な出来事は起こらなかった、とか?

 

 今更そんな事を結果を望んだところで意味なんかないんだけど。

 

(でも、だったら……その龍神様はどこに行ってしまったんだろう)

 

 失った柱が行きつく先とは?

 

 蛍が考えを巡らそうと、葡萄酒の様な深青い世界をぐるりを見まわした時、真っ先に目に付いたものは美しくしなやかな燐の裸体だった。

 

 その燐も何やら考え込んでいた。

 同じように二つの意見をすり合わせているのだろうと思う。

 

 無防備な身体のまま、むむむと小さなうなり声を上げていた。

 

「二つの柱かぁ……蛍ちゃんはそういった霊験あらたかな場所(パワースポット)とか行ったことある? その、あの町の中で」

 

 燐も何とも煮え切らないような顔で蛍に尋ねた。

 

「ううん。柱どころか社の様なものも見たことがないよ。それに考えてみたら小平口町って、お寺とか神社って一軒もないんだよね」

 

「それって、オオモト様が居たせいかも……?」

 

 何気なく燐がつぶやいたことだったのだが、蛍には何とも答えようがなく、少し寂し気に瞳を伏せた。

 

「あ、ごめんね。そう言うつもりで言ったわけじゃなくて……」

 

「大丈夫。燐が言いたいことよく、分かるから」

 

 蛍はそう言うと少し頭を引っ込めて表情を見えないようにした。

 

 燐は蛍に見えないようそっと小さな息を吐くと。

 想いを伝える様に蛍の小さな背中を強く掻き抱いた。

 

 一瞬だけピクッと身体を強張らせた蛍だったが、やがて燐の胸の中に寄り添うように抱きつくと、音のない流れの中に身をまかせていた。

 

 二人の周りを穏やかな時間が流れていった。

 

 今までも、そしてこれからもきっと二人きりだと思ったから。

 

「ねぇ、燐。ここのお水ってもしかしたら龍神様が清めた水なのかな。だから息が出来たり濡れたりもしない。そう言う事を燐は言いたかったんでしょ?」

 

 蹲るようにして何やら考えていた蛍が小さく口を開く。

 その考えは燐を少しだけ驚かせるものだったが。

 

「あ、うーん。そこまで飛躍した考えじゃないけど。でも……蛍ちゃんの言う様にそう捉えてみるのもちょっと面白いかもね。この水溜まりもちょっと神聖で厳かな感じに思えるし」

 

 燐は蛍の意見に同意するように笑みを返した。 

 

「なんとなく、(いにしえ)のロマンを感じちゃうよね」

 

 儀式とか妖怪とか神様とか。

 そう言ったものがわたしたちの日常にどれほどの影響を与えるものなのか。

 

 根拠を正してみたところで、これといった何かが起こるはずもなく。

 

 ただ大きな流れの赴くがままの方に流れていくだけ。

 

 きっとここだって、わたしたちが居なくなれば全て無に還ってしまうのだろう。

 

 夢と現の境目に全て落ちて消えて、そしてまた生まれて。

 

 それを見守ることすらも出来ない。

 

 時の流れは急すぎて、わたしたちではその流れに逆らうことなんで出来るはずもないから。

 

「ねえ、燐。わたしたちって何なんだろうね……」

 

「分からないよ。でも、今こうして二人でいることはきっといいことだと思うんだ」

 

「うん」

 

 二人はそれだけ言葉を交わすと、後は静かに瞼を閉じた。

 言いたいことはそれこそ山ほどにあるはずなのに、それを胸の内にしまい込んで。

 

 裸で抱き合ったまま闇へと沈む。

 

 戻っても戻れなくてもきっと同じ、だから。

 

(燐さえ一緒なら、どこだって……)

 

 意識を失う寸前に蛍が考えたことはそんな些細な想い心だった。

 

 

 …………

 ………

 ……

 

 

 ざあっと、波の様な音がした。

 

 これまで凪いだ海のように穏やかだった水面に白波が飛沫を上げていた。

 

 ぽぅんと柔らかい音と共に水中から何かが浮かび上がってくる。

 そこには手ごろな大きさの手毬がぷかぷかと浮いていた。

 

 色とりどりの絹糸で描かれた幾何学模様は、まるで今出来たばかりの様に白日の下で光り輝いていた。

 

 それらは幾つも水中からぽかっと浮かび上がってきて、あたり一面の水は毬が敷き詰めてられていた。

 

 それは水面に咲く蕾をつけたばかりの蓮の花の様に色鮮やかで、無機質なのにどこか生命力に溢れているように見えた。

 

「本当に、綺麗ね」

 

 いつからそこにいたのか、その光景に小さく笑みを見せる少女が、水と陸の境に一人で立っていた。

 

 小さく切り揃えた黒髪を少し手でかき上げると、その少女は浮かび上がった幾つもの毬目掛けて、とてとてと水の中へと歩み寄ろうとする。

 

 可愛らしい模様の着物が濡れる事など気にする様子もなく、じゃぶじゃぶと細い脚で水をかき分けながら進むと、浮かんでいる毬をそっと手に取って小さな手の中に大事そうに収めた。

 

 安心しきったように手の中の毬を愛で続ける少女。

 

 その横顔は年相応の少女の様相であったが、少し見方を変えると大人びた女性の様にも見えなくもない。

 

 それはくるくると色を変える手毬のように。

 

 少女は毬を手にしたまま見つめていた。

 青と白の境界(コントラスト)、変わることのない失われた景色を遠くに眺めていた。

 

 黒い瞳の奥に僅かな揺らぎが見える。

 何か大事なものを欲するかのような一途さを持って。

 

 

「あの子たちは」

 

 そこで少女は言葉を区切った。

 

 ────

 ───

 ──

 

 






先日、仙台まで旅行に行ってきましたよー。宮城県は流石に遠かった……ズラぁ。

思っていたよりも都会でビックリでしたー。で、予約しておいた秋保温泉で宿泊──なんですが、話題の温泉むすめの等身大パネルを案内所で偶然お見掛けしましてねぇ。その時はちょうど物議を醸す直前だったので普通にそのまま置いてあったのですが……やはりと言いますか、特に誰も気にも留めてなかったですね。
もちろん私も横目でちらっと見たぐらいでプロフィールを調べるなんてことは考えすら及ばなかったですよー。

それよりも、温泉街でおはぎを売っている有名な店の方に人が一杯いて、完全に密でした……。おはぎって言うからてっきり和菓子店かと思ったんですがまさか地元のスーパーに売っているとは。そこまで広くない店舗のお総菜コーナーだけに人がぎっしりと……。

朝にも寄ってみたのですが更に人だかりが増えていて、店の外にまで行列が出来てましたねぇ……まあ確かに美味しいおはぎだったわけなんですけどね。
私は変わり種? の納豆おはぎをいただきました。納豆のおもちとはちょっと違った感じでぺろっと美味しくいただけました。

帰りは何を思ったのか福島にある、塔のへつりにまで行ったり──もう新潟が近いじゃん──でも良かったです。

またもやコラボシューズ……ですか。
またadidasとサウスパークがコラボするとは──。
今度はTowelieじゃなくて、主役のStanとのコラボシューズかぁ。しかもStanとStansmithの語呂合わせで作るモデルみたいですね。スクリーンショットだとまたブルーがメインでそしてレッドのラインのシューズになりそうかな? フルはまだ分からないですけどちょっと期待ですね。

日本ではまた手に入りにくそうですけど……抽選に当選と買えないんでしょうか──でしょうねぇ……まあ、やってはみますけどもー。

ではではーー。

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