We are born, so to speak, twice over; born into existence, and born into life.   作:Towelie

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 長く白い──プラットフォーム。

 けど、そこは向こうの世界じゃない。

 現実の、良く知っている駅の大きくて長いホームだった。

 まだ昼間だと言うのに、そこはまるで大きな病院みたいに静まり返っていて、少し空に近い場所にあるせいか、周りの雑踏もまばらにしか聞こえなかった。

 ──列車はまだ姿を現していない。

 到着まで少し時間があるせいか、人気(ひとけ)(まば)らで行き交う者も少なく、目に付くものといえば白い石畳と転落防止用の鉄製のフェンス、それと申し訳程度の自販機とベンチぐらいだった。

 在来線とほぼ同じ高さにあるのに、この専用のホームだけが少し違った異質な情景となっていた。

 その自販機の間に設置されていた小さなベンチに少女たちは座っていた。

 少女らの傍らには長い柄の付いた中程度の四角いカバンが立てかけてあった。

 二人は同じものを買ったのだろうか、それぞれの手には同じようなものが握られている。

 色こそ違うが、小さな泡を吹く炭酸飲料を片手に持ち、もう一方の手には紙で撒いた少し柄のある”クレープ”を手にしていた。

 だが、よくあるクレープとは少し違った形状をしていたが。

 クレープという概念からは外れてはいなかった。

 二つの花飾りを付けた長い髪の少女は顔をにこりとほころばせていたが、可愛らしいカチューシャをつけたもう一人の少女はあまり乗り気ではないのか、何とも形容しがたい苦笑いを浮かべていた。

 二人の少女の反応は様々だったが、食べる事には変わりないようで、ため息をついた燐が先に口を開いた。

「本当にここのクレープ好きだよね、蛍ちゃんは。確かになんでも奢るよって言ったんだけどさ」

「うん。だって好きだし。燐も好きでしょ? ”ぱすてるのクレープ”」

「ん、まあ、確かに嫌いではないけどもぉ」

 そう呟くも、燐の顔は困ったままだった。

 夏の──最後の週。

 燐と蛍は駅に行く前に、マンションからほど近い、行きつけのクレープ店へとやって来ていた。

「はい、どうぞぉ。大きいから落とさないようにしてね」

「ありがとうございます」

 蛍は自分の顔よりも大きい、”超特大ジャンボパフェ、まさかの生クリーム抜き!?”をクレープの店員から両手で受け取った。

 満面の……これ以上ない幸せそうな表情で、声を弾ませながら。

「……」

 燐は絶句というか、複雑な顔でその様子を横目で見ていた。
 半ば、呆れたように。

 けど、蛍は本当に嬉しそうな笑みを浮かべていたから、茶化すような事は言わなかったけど。

(本当に大丈夫なのこれ? これだとクレープって言うよりか……)

 何か別のもの。

 去年の冬だったかに頼んだものよりも遥かに大きく見える。

 それはあたかも、手に持って食べられる特大サイズのパフェかデコレーションケーキのように燐には思えた。

 今目の前にあるものが信じられないというような目つきで、燐は蛍の受け取った特大特製クレープを呆然と眺めていた。

「やっぱりさ、ボリューム感……もの凄いね、これは。こんなの、蛍ちゃん以外で食べきれる人なんか中々いないんじゃない」

「燐~。そんな人を化け物みたいに言わないでよ。これぐらいなら普通の女の子は食べられるもん」

 少し眉を寄せて蛍は不満げに言い放った。

 けれど、この好物のクレープを前にしたら、そんなことは些細な問題だと言うように、すぐに蛍はキラキラとした表情に秒で戻っていた。

(普通って、これがぁ!? こんなのわたしだったら絶対にむりぃー)

 前に蛍と同じものを食べた時、クレープ一つでお腹がパンパンになった出来事を思い出して、思わず手で口を抑えた。

「……?」

 一人で悶えだした燐をみて蛍は不思議そうに小首を傾げる。

 きょとんとする蛍に内心呆れかえっていた燐だが、それは流石に口には出さなかった。

「えと、一応分かってるつもりだよ、燐の言いたいこと。だから前もって頼んでおいたんだ」

「前からって? それって、一体どういう事なの、蛍ちゃんっ」

 似たような事が確か前にもあったから何となく嫌な予感はするけど、恐る恐る蛍に尋ねてみる。

「燐、それはね──」

 意味ありげに微笑む蛍を見て、嫌な予感が的中したことを燐は確信してしまった。

 けれどその前に、別の人の声が二人の耳に届く。

 答えを言おうとした蛍だったが小さな唇を一旦閉じると、囁くような声色で燐に促した。

「ほら、燐。店員さんが呼んでるよ。燐のが出来たみたいだね」

「あっ、うん」

 また蛍がくすりと笑ったので、燐は何とももやっとした気持ちになったのだが、呼ばれている以上、迷惑をかけるのも何なので、その事に特に追及はしないでおいた。

 自分も家がパン屋になってしまったわけだから、そういったちょっとしたトラブルの様なものはよくわかってしまう。

 店に来る客と言うのは自分で思っている以上に、自分勝手で気まぐれなものなのだと。

「お待たせちゃって、ごめんなさいっ。それ、わたしが頼んでいたやつですよね」

 燐はカウンターの前まで急いで戻ると、客らしからぬ言葉で謝った。

 向こうは一瞬ぽかんとしていたが、すぐに気を取り直すと、出来立てのクレープを燐へと手渡した。

 クレープからは、出来立ての香ばしい匂いと熱を加えた甘いソースの香り。

 そこにフルーツやアイスのトッピングが交じり合って、年頃の女子の好物をぎゅっと詰め込みました適な感じが何ともたまらないのものなのだが……。

(あれれ? な、何これ?)

 それは燐が注文したものとは全く違う”もの”だったので。

 鳩が豆鉄砲を食ったような──そんな困惑した顔で、燐はわけが分からず凍り付いていた。

 そのまま駆け込む勢いで燐は店員に尋ねる。

「あ、あのっ、すみません! これ注文、間違ってないですか!? 確かわたしが頼んだものって、もっと普通の──」

 ごく普通のクレープだったはずだ。

「大丈夫だよ、燐。これは確かに燐が注文したものだよ」

 その真意を問う前に蛍がやんわりと口を挟む。
 燐は訝し気な瞳ですぐに反論した。

「えー、だって全然ちがうよお、これぇ、わたしの注文したものってこんなに大きくないし、形だってぇ」

 トッピングや大きさ等、割とバリエーション豊富なぱすてるのクレープだが、こんな不思議形のクレープを燐は今まで見たことがない。

 そもそもこれがクレープかどうかすら疑わしいほど、変わった形をしていた。

(何かこう……花みたいに見えるけど)

「実はね、燐。燐には黙ってたんだけど、わたしが頼んでおいたの。燐の為の特別なクレープを作ってくださいって」

「わたしの為? 何でまた」

 思いがけない蛍の言葉に燐は首を横に傾ける。

 特製のジャンボクレープ以外の新作があったこと自体が初耳だったし、そしてそこに自分が関係しているとは露にも思わなかった。

「だって、燐。今日、行っちゃうんでしょ。だから燐に何か変わった贈り物があればいいなって思って。そこで、ぱすてるの人に事前にお願いしてたの」

「変わった贈り物って……?」

 これがそう言う事なの?

 まだ良くわからない燐は、その少し変わったクレープを眺めながら頭を捻る。

(贈り物ってことは、つまりプレゼントってだよね? 確かに変わったプレゼントだけど……? んー、そういう事じゃないんだろうなあ、蛍ちゃんが言いたいのは)

 その新作クレープは、普通のクレープとは違った形になっていて、円錐を逆さにしたような、逆三角形のような形をしていた。

 けど、トッピングが多すぎるのか生地の上具材がはみ出ていた。

 どうやらそれは、ワザとそうしているらしく、その証拠に見た目は適当ではなくむしろきちんと整えられている。

 まるで、そう花束みたいに──。

「あぁっ!!」

 燐はようやく合点がいったように、短く声を上げてそれを指さした。

 だからこんな形なんだろうと納得することが出来たから。

 チョコにストロベリー、バナナやチョコのソースが白いホイップクリームの土台の上に大輪の花を咲かせていた。

 その姿は、クレープをまるでブーケ(花束)のように見立てているみたいで。

 燐はようやく蛍の意図が分かったみたいで。

「じゃあ、これは、()()()()()()()!! そういう事なんだよね、蛍ちゃん」

 くるりと蛍の方を振り向く。

 蛍は柔らかい顔でこくんと頷いた。

「うん。あのね、わたしがこういうのがいいって、ちょっとデザインをしてみたの。全然下手くそな絵だったんだけど、それをこんなに可愛く作ってくれるとは思わなかったよ」

 燐が喜んでくれている。
 それだけで蛍は胸の奥いっぱいに幸福を感じ取ることが出来た。

 不意に高鳴った感情が、秘めていた蛍の琴線に触れたのか、急に鼻の奥がつんと痛くなる感覚に戸惑ってしまった。

(わたしって、結構単純だよね。こんな事ぐらいで)

 照れ隠しのつもりなのか、蛍は自分のクレープを燐に先だってこっそりと舌で舐めた。

「デザイン……へぇ、蛍ちゃん凄いね。あ、そういえば、ありがとう蛍ちゃん。わたしとっても嬉しいよ」

 改めて燐は蛍にお礼を言った。

 こういったサプライズを蛍にされるとは思わなかったから、ちょっとびっくりしちゃったけど。

「ねぇ、蛍ちゃん。これって何のお花をイメージしているの? もしかして蛍ちゃんが髪に着けてるキンセンカ、なのかなって」

 蛍はずっとキンセンカの髪飾りを気に入って着けているらしいから、蛍と花と言ったらどうしてもそっちのイメージになってしまう。

 しかしそう言う燐もまた、トレードマークとも言えるお気に入りのリボンのついた白いカチューシャで長い髪を留めていた。

 中古のマンションから今の実家である、小平口町のパン屋に引っ越す際、身の回りのものを随分と処分したが、このカチューシャだけは手放すというか、そんな気さえも頭には浮かんでこなかった。

 結局、あの異変の事を覚えているのは、()()()()()とそれぞれが身に着けていた衣服ぐらいだった。

「ねぇ、どうなの、蛍ちゃん……って」

「んっ、なぁにぃ?」

 その事を蛍に聞こうとしたのだったのが、蛍がいつの間にか自分のクレープをむしゃむしゃと食べだしていたので、燐は面食らってしまった。

 しかし、あまりに美味しそうに食べる蛍をみて、燐もついその気になってしまう。

 蛍ほどでは流石にないが、燐だって甘いものが好きな普通の女の子なのだから。

(けど、良いのかなこれ食べちゃっても)

 燐はクレープに夢中になっている蛍ではなく、ぱすてるの店主の方をちらりと窺う。

 女性の店主はニコニコしながらこちらに向かって軽く手を振っていた。
 どうぞと、言わんばかりに。

 燐はうやうやしく軽く頭を下げると、蛍がデザインしたと言っていた、花束の様なクレープをまざまざと見つめ直す。

 ホイップチョコや生クリームを花に見立て、その周りをドライフルーツと菓子が取り囲んでいる。

 確かに色とりどりの花を束ねた花束のように、クレープが甘い香りを纏った花びらを彩り豊かに咲かせていた。

(見た目良くできてるからちょっと勿体ない気もするけど)

 燐はごくっと唾を呑み込む。

 かと言って、このまま保存しておくことも出来るはずもなし……。

(と、なると)

 燐は閃いたようにスマホをポケットから取り出すと、口を付ける前にパチリと一枚写真を撮った。

 蛍は不意に燐のそれを見て、あっと思い出したように声を上げたが、もう既に遅かった。

 食べてしまった部分はもう戻しようがなく、蛍は自分の行為に苦笑いしながらも、燐と同じようにスマホで撮影しようとしたのだったが。

「蛍ちゃん、こっち!」

「あううっ!」

 燐に強引に肩を抱かれて蛍は手からクレープが零れ落ちそうになるのを慌てて支えた。

 何事かと思った蛍が、怪訝そうな顔で燐に振り返ろうとした時。

 パシャッ。
 
 不意を突いたようなシャッター音に、つい変な顔でカメラの方に蛍は振り返ってしまった。

「あ……」

 蛍は口元を手で覆うもこれも遅く。

「ほら、これでいいでしょ」

 燐のスマホの画面には、クレープを真ん中にして、二人の少女の画像が映っていた。

 カメラ目線で笑顔を送る燐と、少し変な顔をしている蛍のツーショット。

 蛍はそれを見てはぁ、とため息をついた。

「もう……燐ってば。クレープ、落としちゃいそうだった」

 蛍は少し口を尖らせて抗議するも、けれど、そこまで怒っているわけではなく、手持ちのクレープをぱくっと口に入れた。

「にゃははっ、ごめんね。あ、でも、これ結構良い感じじゃない? このままネットに投稿してみちゃおっかぁ」

 クレープを手にしながらも燐はまだ食べずに、写真の出来栄えに満足気な表情を浮かべる。

「そんなの恥ずかしいから……」

 蛍は顔を真っ赤にしながら、パクパクとクレープを口に運んでいた。

 蛍のストレス解消なのかもしれない。
 燐は呆気に取られたようにそれを見送っていたが。

 にひっ、と口元を緩めると。

 幸せそうに頬張る蛍に向けて、不意打ち気味に燐はまたシャッターをカチッときった。

 ……
 ……
 ……



Supernatural

 

「ん、おいしぃ! 見た目だけじゃなくて普通に美味しいよね、これっ」

 

 ホームで食べるのを少し恥ずかしがっていた燐だったが、一度(ひとたび) クレープを口にしたら、蛍じゃないけど食べるのが止まらなくなってしまった。

 

「やっぱり燐もそう思うよね。わたし達ここ(ぱすてる)のクレープ、結構食べてる筈なのに全然飽きないのってそう言うことだよね」

 

「たしかにねー。やっぱりトッピングが多いからかも。それか単純に美味しいから、かもね。あ、でもね、蛍ちゃん」

 

「ん? なぁに、燐」

 

 急に燐が神妙に話出したので、蛍は少し驚いて振り返る。

 

 口にはクレープをいっぱいに頬張っていたが。

 

「そのさ、別に出来立ての時に食べちゃっても良かったんじゃないのかなぁ、って。なんでホームまで我慢しなくちゃならなかったのぉ? ここまで来るの結構恥ずかしくて大変だったんだけどぉ」

 

 確かに燐は荷物が少し多かったので、歩くときドリンクは蛍に持ってもらったのだが。

 

 あの花束のクレープだけは燐の手に握られていた。

 

「だって、燐の為に作ってもらったものだから……やっぱりちゃんと持ってて欲しいなって」

 

「うー、でもでもっ結構気が気じゃなかったよお! アイスなんかちょっと溶けそうになってたし」

 

 ほんの少しの時間とはいえ駅構内を移動してきたせいもあり、それにやはり夏だからか、クレープの中のバニラアイスは少し溶けだしていた。

 

 すぐ食べるだろうと思ったから保冷剤の様なものは持ってなかったし。

 

 けど、こぼれるような事はなかったことだけは幸いだった。

 

 後、食べて見て初めて分かったことだが、溶けだしたアイスのおかげなのか見た目よりも食感がまろやかな気もする。

 

 元の状態で燐は食べてないから比較はできないけど、何となく口当たりが爽やかで、そのせいか割とスムーズに大きめのクレープを燐でも無理なく食べることが出来ていた。

 

「でも、フルーツやチョコで彩られた花束を持って歩くのって、なんかおとぎ話のお姫様みたいで面白かったでしょ」

 

「んー、わたしはそこまで面白くなかったけどね。ただ、恥ずかしいってだけで」

 

「そうなの? でも燐が恥ずかしがったのならある意味正解だったのかもね」

 

「それってどーゆー意味ぃ?」

 

「うふふ」

 

 恍けた顔で蛍はクレープを口に運ぶ。

 けど、それはさっきまで蛍が食べていたと違う、別のクレープ。

 

 見た目もそのまま燐と同じ花束のクレープだった。

 生クリームを使用していないという以外は。

 

 蛍が最初に受け取ったものは、蛍と燐がクレープ店の前で立ち話をしている最中に蛍がペロリと平らげてしまったので、新しいものを作ってもらうことになった。

 

 その新しい、花束のクレープも既に三分の一が蛍の胃に収められている。

 

 あの細身の体のどこにそんなに入るのかとちょっと訝しんでしまうが、それだってもう、そこまで驚くべきことでもなくなっていた。

 

 甘いもの、特にパステルのクレープは蛍は大好物であるし、生クリームも相変わらずダメなことも知っている。

 

 むしろ知らないことがないぐらいにお互いの事が分かっていた。

 一緒に暮らしているせいからかもしれない。

 

 いい事も、悪い事も、理解できるようになっていた。

 

「はぁ、甘くて冷たくて、美味しいね」

 

 うっとりとした口調でクレープを食べている蛍。

 

「本当に甘いのが好きだよね。蛍ちゃんは」

 

「まぁ、生クリーム以外、ならね」

 

 残念そうな蛍の意見に軽く相づちを打ちながら、燐もクレープを舌先でぺろっと掬い取る。

 

 やっぱり見た目が好きだったから、一気に口に運ぶのにはどこか抵抗があった。

 

 それにしても、美味しいのは確かなことなのだが、ちょっとだけ甘味と言うか味が濃い気がする。

 

 もしかしたら、この辺りも蛍のアイデアなのだろうか。

 甘党の蛍ならやり兼ねない。

 

 燐はそう思ったので素直に蛍に聞いてみた。

 

「もしかしてだけど。ソースというか、味の方も蛍ちゃん、関係してる?」

 

「うん、ちょっとだけだけど。見た目と味のバランスもこれでも一応考えたんだよ」

 

「へぇ、蛍ちゃんやっぱり凄いね」

 

 感心するように口を開ける燐を見て、蛍は少し頬を赤くして苦笑した。

 

「燐のパン屋さんも甘い菓子パンを多めにしたらきっと人気でると思うよ」

 

 甘党らしい提案に蛍の提案に、燐は軽い笑みを返す。

 

「蛍ちゃんらしいよね、それ。まあでも、流石にないかなー。そんな事したらそれこそ本当にお店潰れちゃうよきっと」

 

クレープ店(ぱすてる)は大丈夫なのに?」

 

「やっぱり都市部とじゃ客層が違うんだよね。田舎のクレープ屋さん何て、やっぱりちょっと需要ないと思うし。それに色んなパンがあってこそのパン屋だとわたしは思ってるよ」

 

 小平口町も以前とは大分様変わりしたが、それでも住人の平均年齢にはそれほど変化は無く、むしろ高齢の傾向はより強まった方だった。

 

 そうしたニーズに特化した店は、小平口町ではそれほど需要がないのが現状だった。

 

 田舎らしいといえばそうなのだが。

 

 燐の考えに蛍は感嘆した声をあげた。

 

「燐も色々考えてるんだね。でも、お店、継ぐ気はないんでしょ。今のところ」

 

「うん、まぁね。まだそこまで縛られたくないっていうかさ……」

 

「何かやりたいことがあるとか? 燐は探検家とか似合いそうじゃない世界中を飛び回ったりとか」

 

 何気ない蛍の言葉に燐はふむ、と少し考え込む仕草をした。

 

「わたし、そんなに宙ぶらりんな感じするのかなぁ。まぁ、でも同じことをやり続けるよりかはちょっと良い気もするけど~」

 

「”女性探検家、燐。巨大恐竜の謎を追う!?”とか面白そうだよね」

 

「……何、その、”昔のベタな胡散臭い番組タイトル”みたいなの。それに恐竜は大体巨大でしょー」

 

「手乗りサイズの可愛い恐竜もいるかもしれないよ」

 

 二人は他愛もない話をしながら、特製クレープにそれぞれ舌鼓を打っていた。

 

「でもさ、なんか、不思議だよね」

 

「それって何の話?」

 

「ほら、美味しいものを食べると嫌なこととか全部忘れちゃうよねって良く聞くから。燐だってそう思わない?」

 

「そうだねぇ。あ、でもそういうのって科学的根拠みたいなのがあるみたい。なんか脳内で幸運を感じるような成分が分泌されるっていうか」

 

「エンドルフィンとかセロトニンのとかの脳から出る快楽分泌の話でしょそれ。前にそういうの本を読んだことあるよ」

 

 脳内から分泌される成分を上手くコントロールすることでスポーツや試験でいい結果を出すことが出来るらしい。

 

 そうかといって、美味しいものばかり食べたり、脳が快楽を感じることばかりしていればいいというものではないようだが。

 

「何事もほどほどが良いってことだよね」

 

「……蛍ちゃんが言うとそんなに説得力感じないけどなー。ほら、前にデザート食べに行っちゃじゃない」

 

 前の休日に蛍と燐がスイーツビュッフェに行ったとき、蛍は目を輝かせながらほぼ全種類のケーキをぺろりと平らげた時は、流石の燐も少し引いてしまうほどだったから。

 

 ドーナツとかクレープとかパフェとか、日頃からよく食べてるし。

 

 蛍がいつも可愛らしく、甘い香りを漂わせているのはスイーツのおかげなのではないかと燐は密かに思っていたし。

 

 そういう意味では蛍は常に幸福を感じているのかもしれない。

 

 座敷童と言う意味のない固定観念に縛られる前から。

 

「でも、それだけじゃないよ。燐」

 

 蛍はクレープを食べ終えてその包み紙を白い指で綺麗に畳みながら、言葉を奏でた。

 

「燐と──いっしょだから、だよ」

 

「燐の隣で食べているから美味しいんだと思う。もし一人だったら多分こんなに美味しく感じることはないと思うな。もしかしたら味すら感じないかも」

 

「流石に、それは……」

 

 けど、自分だってそうだろうと燐は思った。

 

 実際、前のマンションの時だって一人きりで食事をしている時は味どころか今、自分が何を口にしているかどうかにすら興味が持てなかったから。

 

 学校や部活をしている時なんかは気にならなかったけど、そのせいか誰も待っていない家に帰った時は酷く空しかった。

 

 永遠と灰色のパンを噛み続けているみたいに、味気なかった、ずっと。

 

(今は十分満たされてる気がする。でも、だからこそ今の内に……)

 

「どうしたの燐、やっぱりちょっとだけ緊張してる?」

 

「うわわわっ!!」

 

 目の前に急に蛍の顔が現れたからつい燐は変な声をあげてしまった。

 

「な、何、蛍ちゃん?」

 

 周りを見渡した後、燐は声を潜める。

 

 ベンチから転げ落ちることはなかったけど、到着待ちの乗客にちょっとした注目を集めてしまった。

 

「あ、ごめん。燐、何か、わたしの顔を見ながらぼーっとしてたみたいだったから」

 

 蛍はさらに顔を寄せて尋ねる。

 

 顔色を気にしているのかその蛍の仕草に、何か観察されているような気になった燐は、困った顔でその視線から少し目を逸らせて笑みをつくる。

 

「ううん、何でもないよ。ただ、ちょっと」

 

「うん?」

 

「お日様が、眩しかったって、ただそれだけ」

 

「あ、うん。そうだね。まだ日差し、大分強いもんね」

 

 夏の終わり際なのに強い日差しが薄い雲の切れ間から地上を照らしていた。

 

 この日の気温は30℃。

 

 真夏というにはもう遠いが。

 秋と言うには早すぎる。

 

 夏と秋の狭間。

 

 本日はその様な情景だったと言えた。

 

 二人はビルの間から覗く空と太陽を同時に仰ぎ見た。

 

 雨除けの長細い(ひさし)が、白いプラットフォームにそこだけを切り取るみたいに青い影を落としていた。

 

(燐……本当に行くんだよね。一人で)

 

 ちらちらと燐の方を覗き見ている蛍。

 

 先ほどの顔色を窺うものとは少し違った視線。

 自分の事を気にかけて欲しいようなそんな少し熱を持った視線を向けていた。

 

「えっと、そうだね。全部食べないと行儀悪いよね」

 

 蛍のその視線に気付いた燐は薄く笑みを浮かべながら、表情を誤魔化すように残ったクレープを全部口の中に入れ込んた。

 

 空の先にある青い景色を無理やり呑み込んだような、甘さと清涼感を一気にかみ砕いたような、何とも不思議な味が燐の口の中いっぱいに広がった。

 

「ご馳走様でしたっ」

 

 御馳走様の合図とばかりにパンと燐は手を合わせる。

 

 その膝の上には蛍と同じように綺麗に折り畳まれたクレープの包装紙が小綺麗なハンカチみたいに置いてあった。

 

「燐。美味しかったね」

 

「うん。ちょっと大きいかなって最初は思ったけど、意外と最後まで食べられるもんだね」

 

「まぁ、スィーツは別腹っていうしね」

 

 確かに蛍は普段食が細い方だが、本当にスィーツだけは別口のようで。

 

 先ほどのビュッフェでもそうだったのだが、燐が止めなければいくらでも食べられそうな勢いがその時の蛍にはあった。

 

「ん? 何か燐、わたしのことさっきから変な目で見てない? ちょっと馬鹿にされてるっていうか」

 

 何か察してしまったのか、蛍は大きな目を少しだけジトっとさせていた。

 

「そ、そんなことはないよ全然っっ!?」

 

「ほんとかなー」

 

 蛍がずっ、とまた顔を寄せてくる。

 

 たじろんだ燐は椅子から擦り落ちそうなほど、首と腰を引いた。

 

「そういえば、電車来ないね……」

 

「うん。まだちょっと時間あるみたい」

 

 スマホの時計をちらりと覗き見る。

 

 到着予定時刻まで後5分ほど余裕があるみたいだった。

 

「何か、忘れ物なんてないよね。まあ、今から取りに行ったら間に合わないだろうけど」

 

「大丈夫、取り立てて必要ものはないし。後は買ったりするから」

 

「お金は? 余裕あるの?」

 

「もう、大丈夫だってばぁ」

 

 母親みたいに心配する蛍に燐は呆れた口調で返す。

 

 二、三日前から蛍はこんな感じだった。

 

(まあ、無理もないんだけどね)

 

 わたしが自分で勝手に決めちゃったわけだし。

 

 燐は、蛍と離れようとしていた。

 

 他でもない。

 

 唯一無二の大切な、ともだちと。

 部活の仲間や母親とも、町とも。

 

 何がどうしてこうなったとか、そう言った概念などなく。

 

 ただ、燐が行きたかっただけだった。

 

 割り切れない、燐個人の想いがそうさせていた。

 

 ──聡と、もう一度ちゃんと会って話がしたい。

 電話やメールではなく、まっすぐに目を見てキチンと話がしたかった。

 

 たったその程度の事が今の燐を突き動かしていた。

 

「あれ?」

 

 何か急に眼が痛くなった。

 

 ごしごし。

 

「どうかしたの、燐。急に目を擦ったりして?」

 

「ちょっと、目に塵が入ったみたい。もう取れたから平気だけど」

 

「そう。無理に擦らず目薬とか使ったほうがいいよ。燐の目とっても綺麗だから、傷ついちゃったらちょっと勿体ないからね」

 

 そう言ってふふっと蛍は微笑んだ。

 

 その無垢できれいな笑顔を向けられていることに燐は少しの罪悪感を覚えて、ちくりと胸が痛んだ。

 

 ──分かってる。

 

 またきっと同じことをしているという事に。

 

 でも、それでも、今だけは。

 

(蛍ちゃんと、一緒に居たい)

 

 都合の良いワガママを言っていることは充分理解しているけど。

 まだ時間はあるから。

 

「ちょっと、来るの遅くなってない? 何か遅れが出てるとかあるのかな」

 

 感情を誤魔化すように、燐は時間の流れをわざとらしく気にして見せた。

 

 スマホで時刻表を確認してみると、確かに列車の到着予定時刻から一分ほど過ぎていることが分かった。

 

 事故とかそういった案内(アナウンス)もまだないから、単純な遅れなんだろうと思うけど。

 

「どうなんだろうね。けど、燐とこうして一緒にいられるのなら少しぐらい遅れがでてもわたしはいいけどね」

 

 蛍は自分の素直な感情を口にしていた。

 

 それは当然本心であり、ともすればこのまま何も来ないで時間が止まってしまう事さえ望むほど強い思いであったけど、あまりにも現実離れした考えだったので、もっとも口にすることはせず胸の、奥の深いところで柔らかく留めて置いた。

 

「……うん。わたしも同じなんだけどぉ。その後乗り換えもあるからさ」

 

 燐は最終的に飛行機に乗るからちょっとの遅れでも気がかりであった。

 

「ごめん、そうだったよね」

 

 忘れていたわけではないが、今の時間が大切だった蛍はついうっかりしていた。

 燐から前もって今回の旅行というか旅に近いその日程を知らされてはいたのだったが。

 

 まだどこか現実感がないのが本音だった。

 

「それでも蛍ちゃんとこうしてゆっくりしてるのってすごく貴重な感じがするね。ここの所なんだか色々あってバタバタとしてたし」

 

 あの時の異変の余波は相当大きいのか、一年経っても明らかに日常とは異なる事象を時折周囲に持ち込んでくることがある。

 

 それは波のように上下に動いたり、左右に振れたりと安定しないものだったのだが、それが少し落ち着いたようにも思えた。

 

 ある一つの区切りがついたせいなのかもしれない、が。

 

 ──普通にしか見えない少女が、”ふつうの女の子”になる。

 

 そんな当たり前のことが、当たり前にみえる日常を安定、均衡に導いたのだとしたら。

 

 燐がそんな雲をつかむような事を考えていた時、低い警笛音と共に遅れていた列車がホームに滑り込んできた。 

 

 ──

 ───

 ────

 

「燐。本当に良いの? 飛行機代ぐらいは出してあげるって言ってるのに」

 

 呆れたような溜息を蛍はついた。

 

 燐がその旅行の計画を打ち明けてくれたときから、蛍はずっとそう言い続けているのだが、結局燐が聞き入れてくれることは最後までなかった。

 

「わたしだってちゃんと計画は立てて来たんだから大丈夫だって。これでも行き当たりばったりじゃないんだよ」

 

 その為に家でのバイトのお金をちょっとづつ貯めてたりしてたし。

 こっそり節約なんかもしてたら。

 

 なるべく周囲に迷惑をかけたくない。

 特に蛍には。

 

 燐が今回のことを計画したとき、最も気にかけていたのはそこのところだった。

 

「それは知ってるけど……燐って、ほんと変なところで頑固だよね」

 

 浜松から東京まで新幹線で行き、そこで乗り換えて羽田空港まで、そして格安(LCC)の飛行機で”新千歳空港(北海道)”。

 

 燐がいろいろ調べた結果、これが一番手っ取り早く、そして安く確実に行ける方法だった。

 

 聡も同じようなルートを使ったみたいだった。

 でも、それを燐は真似したわけではない。

 

 ただ予算と時間に見合ったルートがそれぐらいしかなかっただけで。

 

 もっとも聡の場合、その時初めて北海道に行ったというわけではなく、向こうの山に登る為に何度か訪れたことはあった。

 

 行くのが初めてな燐とは違って。

 

 その意味では今の燐は不安の塊であるはずなのだけれど、そんなことはおくびにも出さずにいつものように蛍に笑いかける。

 

 蛍には燐のその気持ちが分かるから複雑な心境でもあった。

 

「蛍ちゃんにはマンションの事で殆どお金出してもらっちゃったからね。あ、でもでもっ、いつか必ずわたしの分は返すからね」

 

「もう、それだって良いんだよ。あれはわたしが自分の為に買ったんだから気にしなくていいって、もう何回も言ってるよね燐には」

 

「うん。でも、これから何年掛かるか分からないけどいつか蛍ちゃんに返すからね。もちろん利子をつけてね」

 

「ほんとにもう良いのに……」

 

 頑なに燐が意見を曲げてくれないので、蛍はそれ以上はもう言えなかった。

 

 頑固なのはそう、お互い様だし。

 

(あれ……?)

 

「どうしたの蛍ちゃん、さっきから何度も首を傾げて」

 

「あ、うん。燐、わたし……この新幹線見るの初めてかも」

 

「えっ、それ本当!? あ、でも修学旅行の時、乗らなかったっけ?」

 

「修学旅行の時のとはちょっと形が違う気がする」

 

 似たような印象はあるが、やっぱり少し違う気がした。

 微妙な色使いとか、車両の形状とか。

 

「あぁ、そういう事ね。そうだね、一口に”新幹線”って言っても色んな種類があるもんね」

 

 この駅に来る新幹線の種類は三つ程あるが、その内の一つは駅を通過するだけだった。

 

「でもさ、それだったら、来た甲斐あったんじゃない?」

 

「まぁ、そうだね」

 

 白く細長い車体にブルーのラインが目を引く曲線的なデザインの車両。

 

 先頭車両のみ特徴的な形をしていて。

 

 それは何かの生物──例えるのなら水鳥の嘴のような細長い形状となっていた。

 

 その見掛け通り現行の線路鉄道では最も早く、燐が目的とする首都圏までは1時間と少しで着くことが出来てしまう。

 

「けど、マンションの窓から見えたりしない? わたし新幹線が走ってるの結構目にするけど」

 

「燐が言ってるのはこれぐらいの大きさのやつでしょ。そういうのは見慣れちゃってるから」

 

 蛍は小さじ程度に指を広げた。

 

「何か蛍ちゃん、ちょっとセレブっぽいね。あ、お嬢様だから当然か」

 

 燐は勝手に自問自答して納得していた。

 

 その様子に蛍は困った顔を浮かべながら、ようやく到着した新幹線(ひかり)の車体をぼんやりと眺めていた。

 

「そう言えばわたし、燐が乗るの新幹線って黄色いのかなって思ってた」

 

 足を揃えて小首を傾げた蛍が暢気な事を言った。

 

「それって検査用の車両でしょ確か。それはわたしも見たことないかも」

 

 滅多に走る事のない黄色い新幹線は、走る時間が決まってるらしく、調べれば見る事ぐらいは出来そうなのだが。

 

 けれど、二人ともそこまでの興味はないようで。

 

 すぐに視線を互いの方へと移していた。

 

「それよりさ、蛍ちゃん」

 

 蛍の手を燐はそっとにぎる。

 それだけで、蛍は胸をドキッとさせた。

 

「わたしちゃんとここに戻ってくるから。だからさ、ほんの少しだけ待ってて」

 

「燐……」

 

「今度は絶対に蛍ちゃんの元に戻ってくる。約束するよ」

 

 そう。

 もう同じことは二度としない。

 

 向こうで何を言われようが、されようが必ず戻ってくる。

 もっとも大切な人のいるこの地に。

 

 連れ戻そうとか、向こうで一緒に暮らすとか、そんなことは全く考えていないし。

 

「このままじゃ、ダメなんだよね、燐は」

 

「だめってことはないけど、でもなんかずっともやもやしちゃって」

 

 そう言って燐は軽く苦笑いした。

 

「わたしが悪いのは分かってる。けど、お兄ちゃんだって責任を感じてるから離れて行っちゃったんだと思う」

 

「時が経てば解決することだってあると思うけど。それじゃ何か寂しいなって」

 

「そういうのちょっとだけ分かるよ」

 

「でもね。別に白黒はっきりつけようって気はないの。ただ向かい合って話がしたいだけ。お兄ちゃんだってそのつもりだから、わたしの事拒絶しなかったんだと思うし」

 

 燐はいきなり行くのも何か悪いからと事前に聡に連絡していた。

 

 拒否されるかと思ったが、意外にも”いいよ”との返事をもらったので、長い休みが終わる直前に燐はひとりで行くことを決めたのだ。

 

 ただ、蛍にも一応誘ったのだが。

 

「わたし、燐と一緒には行けない……ごめんね。せっかく誘ってくれるのに」

 

 そうやんわりと断られてしまった。

 

 見送りにはちゃんとついてきてはくれるのだけど。

 

「きっと迷惑かけちゃうから」

 

「わたしは迷惑だなんて全然思ってないよ」

 

「でも……」

 

 そう言って口ごもる蛍を前に、燐はもう無理に誘うのを止めた。

 

「ごめんね。燐……けどわたし、あなたが戻ってくるのをマンションで待ってるから。もし仮に燐が戻らないような事があったとしても、それでも待ってる、ずっと」

 

 そう言った蛍の瞳は真剣そのものだったので、燐は小さくため息をついて首を振った。

 

「ねぇ、蛍ちゃん……それって何かのフラグなの? そんなこと言われたらわたし行けなくなっちゃうじゃん」

 

 じっ、と顔色をのぞくような視線を燐に向けられている。

 そう気付いた蛍は、困った顔で手を振った。

 

「あっ、そういう意味じゃなくて」

 

「んじゃぁ、どういう意味いぃ?」

 

 少し意地悪な言葉で燐は返す。

 

 催促するように、人差し指で蛍の手の腹をすりすりと撫でまわしながら。

 

 それは非難というよりかも、子が母親に尋ねる時のように少しいじけているときにする仕草にみえた。

 

「何て言うか、さ」

 

「……うん」

 

「燐がもし、そのまま戻ってこなくても、わたしはその、いいと思ってるの。だってその為に会いに行くんんでしょ? 聡さんところまでわざわざ」

 

 口を詰まらせながらも、本当に大切な事を口にしたときのように細かに唇を震わせて蛍は言葉を紡いだ。

 

「それはないって、何度も言ってるでしょ。わたしが帰ってくる所は。ここ」

 

 とん、と蛍の胸の中心を軽く指で押す。

 

 ただ、燐の思っていた以上に蛍の胸は大きく柔らかったので、ちょっとびっくりしてしまったが。

 

(つい触っちゃったけど、もしかしたら初めてだったかも。蛍ちゃんの胸に触ったのって)

 

 自分からやっておいて燐は耳まで顔を赤くした。

 

「わたしは蛍ちゃんが幸せになるまではずっと傍にいるつもりだよ。でもだからって自分を犠牲にしてまでとかは、もう止めたの。わたしだって”折り合いって”言葉ぐらい知ってるんだから」

 

「燐……」

 

「だから少しの間寂しいだろうけど、辛抱してね。あ。何ならわたしの家の方に泊ってもいいからね。お母さんもきっと喜ぶだろうし」

 

 蛍の事を燐の母親はとても気に入ってるから問題はないと思う。

 

(むしろわたしがいなくても蛍ちゃんがいるからいい、とか言われそうだけどね)

 

 燐はちょっと変な想像をして勝手に頭を悩ませていた。

 

「うん、分かった。でも、燐……前とは違うから。今の燐の姿を見たら、聡さんも惚れ直しちゃうかもね」

 

「惚れ直すって……自分で言っちゃうのもなんだけどぉ。何も変わってなくない? せいぜい少し髪が伸びたぐらいでしょー。それにぃ、わたしはねー」

 

 自分でも良く分からなかったが、何故だか燐は少し早口になっていた。

 

 蛍は特に気にすることなく少し熱の入った声で話を続ける。

 

「今の燐はわたしから見てもすごく綺麗になったと思う。ちょっと色気みたいなものが出てきたのかもしれないね」

 

 足から頭まで、燐の姿をまざまざと見て蛍はにっこりとする。

 

 口では否定したものの、蛍に言われたことで意識したのか、燐は照れたように頬を染めて小鼻のあたりを指で少しつまんだ。

 

「うー、綺麗になったかどうか分からないけどぉ、わたしはそういうつもりで行くわけじゃないからね。何度も言ってるけどもぉぉっ」

 

「ふふ、分かってるよ燐。戻ってこなくてもいいとは言わなくても、向こうでゆっくりしてていいからね。ちょっとぐらい休みを延長しても燐なら大丈夫でしょ」

 

 分かっているのかいないのか、蛍はくすっと笑みをこぼした。

 

「もう、分かってないでしょ蛍ちゃん。まあ……わたしには、()()()()()()()()、だからそういうことを言うんだろうけど」

 

 そう言って燐は大きく息をついた。

 

「流石に、そこまでは言ってないけど」

 

「でもー、同じこと、だよね。わたしは蛍ちゃんの気持ちを裏切って自分の気持ちを優先したんだから。蛍ちゃんにそう疑われても仕方がないよね」

 

「わたしはそんな事、全然思ってないよ。燐が今隣にいるっていう事実だけでわたしはすごく嬉しいから」

 

 蛍が真っ直ぐにそう言うと、燐は照れたように一言、ありがと、と返した。

 

 一瞬視線を宙に逸らせた燐は、ひとりごとみたいに空に向かってそっと呟いた。

 

 少し増えてきた雑踏に紛れそうな声だったが、蛍には意外なほどはっきりと聞き取ることができていた。

 

「蛍ちゃんに信じてもらえないのはわたしも分かってるの。けど、わたしだって”本当に大切なもの”が分かったから。それは……最後の最後で」

 

「燐」

 

「蛍ちゃん……わたしに、さいごのチャンスをください。お兄ちゃんと少し話だけしたらすぐにもどってくるから、絶対に!」

 

 懇願するように蛍の手を燐はぎゅっと握る。

 

 まっすぐな瞳は、目の前の少女──蛍の姿しか映していなかった。

 

 黒い瞳を小刻みに揺れ動かす蛍だけを。

 

(えっ……!?)

 

 ビックリした顔で見つめているのは、燐だ。

 

 何を驚いているのだろう燐は?

 

 一体何に……?

 

 蛍が不思議そうに目を瞬かせようとしたとき、ぽろりと何かが零れた。

 

 こぼれたところから跡が残ってそこが熱を帯びたように熱くなる。

 

 軽く手を解いて手首の柔らかい所でそっと頬に触れた。

 

(あっ!)

 

 羞恥にも感情が顔から一気に溢れかえる。

 

 自分でこぼしたものだとようやく気付いた。

 

(泣いてるんだ、どうして……?)

 

 こんなに満たされた気持ちでいるのに、一体……?

 

 疑問を呈すればするほどぽろぽろと壊れた蛇口みたいに止まらなくなる。

 

 蛍はとうとう自分の瞼を両手で覆ってしまった。

 

 けれど、頭は冴えているのか、蛍の中で急速に答えを導いていく。

 

 気持ちに対する戸惑いよりも、そうした感情に対する自分の条件反射の理由の方が知りたかったのだ。

 

 あ、そうか、これが、普通の。

 

 普通の女の子らしい、ということなんだ。

 

 ──涙もろくなった?

 

 こんな他愛もないことで泣いてしまうんだから。

 

 じゃあこれが普通の感情、なんだ。

 

「あの、蛍ちゃ……大丈夫? ごめん、わたし……」

 

 急にぽろぽろと涙を零す蛍に、燐はどう言葉をかけていいのか分からず、無意味に謝っていた。

 

 その燐の瞳にも薄っすらと滲むものがあったのだが、蛍の方に意識が向いているせいで全く気付かないようであった。

 

 蛍は、この感情を燐にどう伝えたらいいのか分からず、解いた燐の手を再び自分から握り返した。

 

「蛍ちゃん!」

 

 燐は一瞬視線を握られた手の方に向けた。

 

 温かい。

 包み込むような温もりが白く細い指を介して心の奥まで伝わってくるようだった。

 

 気持ちが、想いが二人の間で。

 千切れてしまった糸が再び繋がったみたいに。

 

 ぴったりと交わった、そう思えた。

 

「燐、わたし……待ってるから」

 

「……!」

 

「ずっと、例えお婆ちゃんになったって燐のこと、ずっとずっと待ってるからっ」

 

 そう言って笑顔を向ける蛍は、まだ目に涙を溜めたまま。

 その奥が溺れてしまうのではないかと思うほど、綺麗な瞳で微笑んでいた。

 

 

 燐は、純粋に綺麗だと思った。

 

 普通の──なんて形容詞では例えようもなく、可憐で、透明で、そしてきっと誰よりうつくしかった今の蛍は。

 

「はぁ……」

 

 そんな事は一切表には出さずに、燐は長いため息をつく。

 けれどそれは安堵の溜息であった。

 

 少し戸惑ったような瞳を向ける蛍に、燐は優しく微笑んで、その目元を細い指で柔らかく拭った。

 

 透明な滴は蛍の純粋さ凝縮したみたいに綺麗であたたかった、本当に。

 

「くすっ。もう、蛍ちゃん。そんな事言われたら、明日にでもすぐに戻って来ちゃうよ」

 

 小さく笑う燐。

 

 その時、燐の目元からからも小さな滴が頬を伝って落ちて行った。

 

「それは……燐ダメだよ。せっかく行くんだから……」

 

 出掛かった言葉を呑み込んで、蛍も笑顔で返す。

 

 けれど水晶のような瞳は、本心では違うと否定しているようだった。

 

「分かってる。けど、蛍ちゃんはわたしとってとっても大事な人だってことを覚えてて欲しいの。わたしは気付くのが遅かったけど、だからこそこの想いは大事にしたいの」

 

「燐って、見かけによらず結構重いよね」

 

「それは蛍ちゃんだってそうでしょ?」

 

「ん。まぁね」

 

「何それ」

 

 そう言って二人はくすくすと笑い合った。

 

 傍目から見たらまるで今生の別れのようにも見えたであろう。

 

 けれど、彼女たちはそれにも似た思い、むしろそれ以上に悲しい事があることをお互い知ってしまったのだから。

 

「……燐、わたし」

 

 蛍は一呼吸おいて、まだ目元を触っている燐の手を優しくとった。

 

 一度離れてしまった手。

 

 けれど今はしっかりと繋がれている。

 

 あの大きな異変の後だって、様々なことが色々あったけど。

 

 元のさや。

 燐と蛍の絆はしっかりと繋がれていた。

 

 ともだちを超えた、本当の想いで。

 

 ……

 ……

 ……

 

「あのね、燐。わたしさ……あの終わらない夜のあと、どうしてこうなったのかってずっと考えてたんだ」

 

「あ、それ、わたしも」

 

 乗るべき列車が到着しても、蛍と燐はまだベンチに腰かけたまま話をしていた。

 

 飲み物を飲んで少し気持ちが落ち着いたようで、二人は仲睦まじい様子で談笑をしていた。

 

 蛍は少しフルーツの方が多いミックスジュース、燐は定番のカフェオレではなく、父が好きだった少し味の濃いスポーツ飲料をそれぞれ飲んでいた。

 

 ずっと終わらないと思っていた。

 あの三日間の日のことは。

 

 永遠に夜の闇に囚われたままなんだと。

 

 ふたりともあの時は確かにそう思っていた。

 

 特に蛍は、生まれ育った町がたった一夜にして絶望と狂気の世界へと変貌を遂げてしまったわけだから、そのショックは図り知る事はできない程だっただろう。

 

 そしてその事に秘伝と言われた座敷童とその秘密、しかもそれは自分の事だと言われたわけだったし。

 

 更には燐の従兄も関わってくることになって。

 

 偶然という一言だけでは語れないほどの体験や思いを経験したわけで。

 

「でも、蛍ちゃんのお陰で悪夢は崩れて、わたし達、一応戻ってきたわけでしょ」

 

「わたしのお陰とはちょっと違うと思うけど……まぁ、そうだね。そこまでは、良かったよね」

 

 と、そこで蛍は改めて燐の顔を見返す。

 

 非難するような瞳、ではないが、その真っ直ぐな視線に燐は耐えられなかったようで。

 

「あははは……」

 

 髪を弄りながら上擦った声で笑うしかなかった。

 

「あっ、別に燐を責めてるわけじゃないの。むしろ、逆。わたし燐にはとても感謝してるんだ」

 

「わたしに……? どうして?」

 

 あんな気持ちを裏切るような事をしたのに?

 心の内に問いかけるように燐は自身の服の襟元をぎゅっと握った。

 

「あのあと、燐が”異変の起こらなかった世界”にしてくれたんだなって。きっとそれは間違いないと思う」

 

「わたしが? 蛍ちゃんじゃなくて!?」

 

 蛍の目の前で、不思議そうに燐は首を傾げる。

 

 思い当たる節など一切ないみたいに。

 

「わたしにはもともとそんな力はないから。だからそんな事が出来るのは燐だけだって思ってるよ」

 

「うー、買いかぶり過ぎだよ、蛍ちゃん。わたしは至って普通の女の子なんですけどぉー」

 

「そーかなぁ……あ、今はわたしも”普通の女の子”だからね」

 

「はいはい、分かってるよ。蛍ちゃんは普通の”可愛い女の子”になったんだもんねぇ~」

 

 燐は軽く手をぱたぱたと振った。

 蛍はもう、と少し頬を膨らませて隣で笑う燐のことを肘で軽くつついた。

 

「きっと燐は、自分の意思とは無関係に勝手に力を出していただけだよ。わたしだって幸運とか座敷童とか何も知らずにそういう幸運みたいなのを呼んでいたみたいだったし」

 

「んー、そう……なのかなぁ? 自分じゃそういうの全く分からないけどね」

 

 燐は自信なさそうにはにかむと、鼻の頭に指先を乗せた。

 

 結局のところ、燐も蛍も分かっている事は。

 二人が戻ってきて、そして町がそのままだったということ。

 

 その代わりなのか、歪みのあったという証拠や、その為の幸運すらも町から消えうせてしまった。

 

 あれだけの、取り返しの付かない犠牲を払って得た幸運そのものが、本当に意味のない、誰の記憶にすら残らないものになり果ててしまったのだが。

 

「わたしさ、蛍ちゃんにずっとそのままでいて欲しいってあの時願ってたけど、本当は違ってたんだ」

 

 そう言って燐は腰かけていたベンチからゆっくり立ち上がる。

 つられたように蛍も一緒に立ち上がった。

 

「そうじゃなくてさ、多分、わたしが変わりたくなかったんだと思う。ただ、ずっと子供のままでいたかったんだって、最近それが良く分かるようになったの」

 

「燐……」

 

「きっとね、まだ切り替えてないんだと思う。蛍ちゃんやオオモト様がしたように、わたしの中ではまだ何も切り替わってない気がするの」

 

「それって、気持ちの上でのこと」

 

「うん。それと……ううん、それだけじゃないと思う」

 

「じゃあ燐はその為に、行くの? 聡さんのところへ」

 

 そう呟くように尋ねる蛍に、燐は小さく笑う。

 自分でもその辺りのことはよく分かってはいない、そう言うように。

 

「他に、分からないんだよね 気持ちの切り替え方が」

 

「………」

 

「何かもっと適切な方法があるんじゃないかって思う。でも見つからなかったから。ヒントみたいなものは沢山あったはずなのにね」

 

(もしかして、それって……!)

 

 蛍は、小さく口を開けたのだが、結局何も言えなかった。

 

 今の燐にかける言葉が見つからなかった。

 

 燐が決意のある眩しい瞳をしていたから。

 夏の日差し何かよりもずっと輝いている表情で。

 

 それが寂しくもあり、嬉しくもあった。

 

 だって燐は──あんな、悲しいことがあったのにずっとキラキラしている。

 

 それは以前よりもずっと強い光。

 

(燐の事、前は夏の向日葵(ひまわり)みたいに、いつもきらきらとしてるって思ったけど……)

 

 けれど、今は少し違った形に見える。

 

 向日葵みたいに笑顔が綺麗なのは変わってないけど、ちょっとそう”陰り”というか、ほんの少しだけ何か物が分かったような顔立ちになっている、そう蛍には見えていた。

 

 もし例えるのなら、一輪挿しではなく、荒涼とした野に咲くマリーゴールドみたいに。

 

 一度折れてしまったのに、また綺麗な花を咲かせている。

 強い生命力、そのものを燐の内側から感じとることができる。

 

 可憐だけど決して折れることのない、真っ直ぐな不器用さは変わっていないのかもしれないけど。

 

 それでもほんの少しの柔軟さ、身軽さをもった気がする。

 

 意思を伴った妥協というか。

 折り合いを、つけられるようになったと思う。

 

 蛍は今の燐をそんな風に捉えるようになっていた。

 

(前みたいに、どこまでも青い空に向かっていくような感じはちょっとしないけど)

 

 でも燐ならきっと、また伸びていく気がする。

 

 わたしの手さえ擦り抜けて、どこまでも遠くへ。

 

「ん? わたしの顔に何か付いてる?」

 

 こちらを見つめたまま急に口を閉ざした蛍を見て、燐はまだ涙の痕が残ってるかと思って手の袖で顔を少し拭った。

 

「あ、ううん。そういうわけじゃないよ」

 

 蛍が慌てたように首を振ると、燐はふぅ~んとちょっと訝し気に眉根を寄せた。

 

「あ、そっか。あの事を気にしてるんだね蛍ちゃん。うんうん、確かに。ごめんね、蛍ちゃんには色々やらせちゃって」

 

 思い立ったように燐は手をパチンと鳴らしたと思ったら、急に困った顔で謝られてしまった。

 

(燐に謝れることなんてあったっけ……?)

 

 もし仮にあったとしてもそんな事は蛍は全然気にはしないのだが。

 

「あ、もしかして、”青パン(燐のお店)”のこと? それなら大丈夫って言ったでしょ。わたしあのお店で働くの好きだし。ゆくゆくは正式に雇ってもらいたいって前に燐にも言ったと思うし」

 

「それは、知ってるけど……だって、わたし家の店なのに蛍ちゃんだけに働かせちゃうのって、なんか悪くって……」

 

 燐が北海道に行っている少しの間だが、蛍がその穴埋めをすることになっていた。

 

 もっとも、燐の母は別に無理に手伝わなくてもいいと言ったのだが、蛍が是非にとのことだったので仕方なく手伝ってもらう事になったのだが。

 

「わたしがしたいだけだから気にしなくていいんだよ燐。それに咲良さんにはいつもお世話になってるし、吉村さんやパートの人達もいるから平気だよ」

 

 それに何度も手伝いに行ってるから大体のことは出来るつもりだし、と蛍は少し胸を逸らして言った。

 

「いやぁ、実はね。その事じゃないんだよね、本当に心配してるのは」

 

「???」

 

 燐が意味ありげに呟くので、蛍はきょとんとして首を傾げる。

 何か、他の事情があるのだろうか?

 

「あのね。どうもお母さん、最近、誰かと会ってるみたいなんだよね。配達で深夜出かけるのはいつも通りなんだけど、戻ってくるのが最近少し遅くなってきてるんだよね。なんか男の人と会ってるって噂もちょっとあるし」

 

「その人って、燐の、その前の……お父さんじゃないの?」

 

 声を潜めてひそひそと囁く燐に合わせて、蛍も声を潜めて尋ねた。

 

「どうもね。()()()()じゃなくて、別の男の人、みたいなの。さっき言ってた吉村さんが夜の帰り道、二人でいたところを偶然見かけたらしいんだって。そしたら全然知らない人だって言ってたの、だからね」

 

「じゃあ、それって……!」

 

 不倫、というか、この場合は再婚?

 なのだろうか。

 

 燐の父と母はもう正式に離婚の手続きを済ませてしまったし、それでも数か月は一度お互いの合意の下で会う事にもなっているので、もう”そういう関係”ではなくなっていたから。

 

 だから燐の母である”咲良”が誰と会っていても全く問題はないのだが。

 

「けど、誰なんだろうね。咲良さんと会っていたの」

 

「うん……わたしの知っている男の人じゃないみたいだけど」

 

 配達の契約をしているホテルの関係者かもしれない、と密かに燐は睨んでいた。

 

 県境に立つホテルまでパンを届けにほぼ毎日車で行っているのだが、燐が蛍と共に駅前のタワーマンションに一緒に暮らすようになってからは、殆ど母が行くようになっていた。

 

 その事に燐は少なからず罪悪感を抱いていたのだったが、当の本人はそれほど気にしていないばかりか、何故だか楽しそうにしていたのだ。

 

 朝の配達といっても、まだ日の登らぬ真っ暗な峠道をひとり車で走ると言う毎日するには過酷なものだというのに。

 

(なーんか、妙に楽しそうにしてたのは、()()()()()なのかな。まあ、まだ分からないけど……)

 

 けど、最近はずっと楽しそうにしている。

 以前の張り詰めた空気など、微塵も感じられないほどに。

 

「燐、分かったよ。わたしがそれとなく探りを入れて見るから」

 

 蛍は任せておいてというように自分の胸の間をとん、と叩いた。

 

 それを見た燐は苦笑いを浮かべる。

 

「あははは……でも、まあ無理しなくていいからね。完全にわたし個人のことだし。それに勘違いってことだってあるからね」

 

「そうだね。でも、なんかちょっとドキドキするね。何て言うか探偵みたいなカンジで」

 

「……なんか蛍ちゃん。楽しそうだね」

 

「そ、そう?」

 

「なんかニヤニヤしてるよ。もう全く……他人事だと思ってぇ」

 

「あははっ。でもさ、燐。もし、もしも咲良さんがその人と、例えば再婚とかすることになっちゃったら、どうする?」

 

「どうするって……?」

 

 まだどんな素性の人物か分かってもいないのにそんなことを聞かれても燐には答えようがない。

 

 母は見た目通り気の強い方だから、もし選ぶのならそれを受け止めてくれる優しい人だろうとは思うけど。

 

(それなら……お父さんだって……)

 

 とても、優しい人だったわけだし。

 それは今だって。

 

(……やっぱり戸惑っちゃうよね、燐は)

 

 そうだろうとは分かっていても尚、蛍は燐に問いかけた。

 きっといつかはこうなるだろうと思っていたから。

 

「燐はどう? やっぱり反対……する?」

 

「わたしは、うん……そうだなぁ」

 

 歯切れの悪い声で呟きながら、燐は視線を宙へと彷徨わせた。

 

 けれどその空を映し込んだような曇りのない澄んだ瞳には、もう既に答えは出ているようだった。

 

 ……

 ………

 …………

 

「えと、燐は一人で、乗れるんだよね? もしなら途中まで一緒に付いてってあげても」

 

「もう、流石にそこまで子供じゃないからね」

 

「うん。だよね」

 

 呆れた顔で言い放つ燐に、蛍は少し困った顔ではにかんでみせた。

 

「ずっと立ち話させちゃってごめんね。じゃ、わたし行くから」

 

(本当に行くんだね、わたし。何もかも……蛍ちゃんすらも置いて)

 

 己の気持ちを確かめるように燐は胸の内に語り掛ける。

 

 そこまで覚悟のいることだったのかと、その真意を問いかけるように、心の本当に大切な部分に燐は何度も呟き続けた。

 

「燐。メールとかLein(SNS)とかしても、良いんだよね?」

 

「そんな事、いちいち許可とることじゃないよ。わたしなんか蛍ちゃんにスタンプとかいっぱい送っちゃうと思うしー」

 

「ふふっ、わたし燐の2倍は送っちゃうよ」

 

「別にいいけどー。でも、秒単位に送信とかはなしだからね」

 

「じゃあ。数十秒単位なら問題ない?」

 

「そんなわけないでしょー、もう。それにそんなに頻繁に送ってくるなんてそれこそ……」

 

 はっとした顔で口を閉じる燐に、蛍は不思議そうに眉を寄せた。

 

「どうしたの、燐?」

 

「あ。ううん、何でもないよ」

 

(さっきから何だろ、なんか今日のわたしちょっとおかしいのかな)

 

 蛍ちゃんの顔を見るだけで胸がどきどきする。

 

 確かにいつもよりも髪もちゃんとしてるし、ドレープのついた可愛い服も着ているけど。

 

 だからって、こんなにどきどきしたことなんてない。

 

(わたし、期待しているの? やっぱり一人で行くのが不安だから? それとも……)

 

 思いが叶わないことは知っている。

 

 仮に少しの時間それが続いたのだとしても、それはずっと永遠ではないことだからと知っているから。

 

 だからといって、その先が暗いものだとか絶望的なものだとかの刹那的なものではなく。

 

 むしろ希望や楽しみに満ち溢れていると思うからこそ、意図的に意識しないようにしていたのだ。

 

(わたしにとっての幸せが、蛍ちゃんにとっての幸せとは違うもんね)

 

 二人一緒だからって幸せを共有できるとは思ってない。

 

 結局それはただの押し付けでしかないから。

 座敷童がもたらした幸運のように。

 

(これでいいんだね。きっと)

 

 できないと思っていた感情に折り合いをつけるように。

 

 燐はその想いを告げることなく、小さく折り畳みそっと胸の内だけにしまって行く。

 そのつもりだった。

 

 だけど。

 

「あのさ、蛍ちゃん。やっぱりわたし、と……」

 

 燐の唇はそこまで言って止まってしまった。

 

 動かないのは、その桜色の小さな唇だけでなく、手も足も、瞬きすらも忘れているみたいに膠着していた。

 

 今いる場所も時間も忘れてしまったように。

 

(燐……)

 

 燐が言いかけた言葉、蛍にはそれが直ぐに分かった。

 

 けど、それの続きを燐に促すことはできない。

 

 してはいけない。

 

 この微妙な均衡を破ればきっと何か大事なものを失ってしまうような、そんな気がしたから。

 

 燐が、とても単純で希望を持った事を言おうとしているのは分かる。

 それを、蛍自身が拒否しないということも。

 

 だからこそ、燐が言わないんだろうということにも。

 

(そうか。そう言う事だったんだ)

 

 蛍の頭の中に急に別の問の答えが浮かび上がった。

 

 全く関係がないようで、今の状況に意味のある言葉が。

 

 あの、もうずっと前の出来事となった、夜の異変に巻き込まれた時に、青いドアの家──オオモト様が不意に蛍に投げかけてきた問いの答えを。

 

 今この場で、燐の目の前で理解することが出来た。

 

(”見つけて”、”選択”して、そして”選び取らなければならない”。そう言っていた)

 

 あの人の、黒い瞳に見つめられながら言われた時の事を。

 蛍は、今更ながらに思い出していた。

 

(わたしには、選ぶ必要があるんだ)

 

 それはもう過ぎて(選択)しまったことだと思ってたけど。

 

 よく考えたら、選択肢なんて何度でも遭遇するものだし、その度に悩むのだって当たり前なのだった。

 

 人間か、座敷童か、だって。

 

 もしかしたら、もっと前に選び取るだけの選択肢のようなものがあったのかもしれないし。

 

 ただ、それに気づかなかっただけで。

 

 それはあの人(オオモト様)だって多分きっと……。

 

(けど、わたしは未だに選び取っていない……あの時もその前も誰かがやってくれていた。わたしは結局、燐に選ばせてしまったんだ)

 

 確かに転車台には自分で歩み寄り、そして押したのだけど。

 結局のところは自分の力だけでは最後まで押し切ることは出来なかった。

 

 燐の時だってそうだ。

 

 自分で守ってあげると言ったはずのに、最後の最後で自分の気持ちに自信が持てなくなってしまったから。

 

(そのせいで燐は……)

 

 罪悪感を抱いているのだとすれば、それはきっとわたしの方なんだ。

 

 ──わたしが不甲斐ないから本当に大切なものを失ってしまった。

 

 もう二度とこんな思いはしたくないから。

 

 だからわたしは。

 

 蛍は唇をぎゅっと噛むと。

 抑揚のない、燐にはおおよそ出したことのない声色で言った。

 

「燐。そろそろ発車(出る)するみたいだよ。その後の飛行機の時間もきっちり決めてあるんだから、これに遅れたら面倒なことになるんでしょ」

 

 燐は驚きのあまり、蛍が一体誰に対して言っているのかが分からなくなった。

 

「えっと、それは……そう、だけど」

 

 蛍の口調が自分を突き放したようなひどく機械的な感じに聞こえたのか、燐は無意識の内に握りこぶしをつくっていた。

 

 蛍ならすべて言わなくとも察してくれるだろうと思ったから、燐の動揺は見た目以上に大きかった。

 

「メールか電話、必ずするから。あと、身体には十分気を付けてね。向こうはこっちより少し涼しいみたいだし」

 

「う、うん。それはわかってるよ」

 

 少し強引に言葉を投げ続ける蛍に、燐は疑問を抱きつつも小さく頷いた。

 

 蛍はもうこれ以上自分の気持ちにごまかしがつかなくなったのか、瞼を半分ほど閉じて燐の目を見ないようにした。

 

「じゃ、燐、元気でね。わたしは、大丈夫だから。燐のしたいようにすればいいんだよ」

 

「わたし、その……本当に、すぐにもどってくるからっ!」

 

 燐は勢い込んで、蛍にそう言い切った。

 

(蛍ちゃん、ごめん)

 

 多分また、蛍に気を遣わせてしまった。

 

 その蛍は自分の身体を支えるみたいに、両手でぎゅっと抱きしめるようにしてこちらを黙って見つめていたから。

 

 その表情は普段と変わりないようにみえるけど。

 内面はきっと違う。

 

 自分以上に苦しんでいるんだと思う。

 

 あんな蛍ちゃん、今まで見たことなかったし。

 

 けれど。

 これで良かったんだろうと思う。

 

 いつか必ずそれぞれの別の道に行かなくてはならないわけだし。

 

 ずっと一緒だなんて、そんな子供じみた考えにいつまでも固執してなんかいられないことはきっとよく分かっているだろうし。

 

 ここが何かの分岐点なのだと。

 そんな予感がする。

 

 これから先、もっと辛い事や悲しい出来事に直面するだろうから、その前の到達点。

 

 もしかしたら、これを気にお互いの人生が変わっていくのかもしれない。

 

 良いも悪くもなく。

 ただその進む方向へと。

 

 お互いの心のまま。

 

 ──自然な形で。

 

「じゃあ……行ってくるね」

 

「……」

 

 そう言って燐が手を振っても、蛍はもう何も言わなかった。

 ただ小さく手を振り返してくれるだけで。

 

 燐は、その手をとってあげたかった。

 

 震える指先をぎゅっと握ってあげて蛍を安心させてあげたかった。

 

 けど、それをしたらもうきっと乗ることはなくなるだろうとも思っていた。

 

 気持ちはお互い同じ方向だから。

 

 二人と同じようにホームに残っていた乗客も次々と列車に乗り込んでいく。

 

 外から見た車内の様子は何だか病院の待合室みたいに白く殺風景に見えて、薬を待つ患者みたいにただ人がまばらに座っているだけに見えた。

 

 燐はこれから小一時間ほど乗るであろう、綺麗な車両から目を離してもう一度振り返って見た。 

 

 蛍は何かを堪えるように俯いたまま、こちらをもう向いてはいなかった。

 

 ──ひとりぼっち。

 

 不意に燐の脳裏に浮かんだ言葉。

 

「……っ」

 

 燐はカバンを手にしたままくるりと身を翻すと、蛍の傍まで駆け寄った。

 

「えっ──燐!?」

 

 我に返ったみたいに、はっとなった蛍は頭を上げ目を見開き、自分の頬を抑えた。

 

 あたたかい。

 その感触と柔らかさ。

 

 そして言葉には到底出来ない、心の底から震えるような、とめどない歓喜。

 

 それがいっぺんに蛍の左頬に集中したから。

 蛍は、目を見開き凍ってしまった。

 

 まるで蛍の間の時間だけが止まったみたいに。

 

 不快感などもちろん一切なく、むしろ驚きと喜びしかなかった。

 

 燐はその蛍の驚いた表情をみてくすっと笑いだす。

 

 けれど耳まで真っ赤に染めたその表情は、恥ずかしさの為の照れ隠しなのだと誰の目にも明らかだった。

 

 無論蛍の瞳にも。

 

 顔を真っ赤にしている燐の姿は映っていた。

 ただ、動けなかっただけで。

 

 幸いホームでは誰も二人の姿を見ていなかったようで。

 

 けど、もしかしたら、停車している車両の中から見られていたかもしれない。

 

 だとしても、今の二人には全く関係のないことなのだが。

 

「んっ、はあぁぁ~」

 

 燐はやや大げさに一回、すうっと深呼吸をすると、おもむろに蛍の長い髪を優しく撫であげた。

 

 この温もりがいつまでも手の中に残ればいいのにと、愛おしさを閉じ込めるように。

 

 そしてにこっと微笑んで、もう一回、目を見て言葉を交わす。

 

 簡単でとても単純な言葉だけど、心と思いが繋がるように。

 

 一言一句思いを込めて口を動かした。

 

 意識した、本当の言葉で。

 

 想いを届けるように。

 

 ”いってきます”。

 

 蛍は、まだ頬に手を当てたまま、小さい声で呟く。

 

 顔は熱を帯びたように上気して、燐の顔すらまともには見れないけど。

 

 それでも。

 

 目の前の好きな人。

 燐にだけ聞こえる小さい声で。

 

 ”いってらっしゃい”。

 

 それだけ答えた。

 

「うんっ」

 

 

 何を──焦っていたのだろう。

 

 急に世界が広がったみたいに気持ちがすっきりした。

 色づいた蕾が咲きほこるみたいに、心にぱっと色がついた気がする。

 

 言いたいことは結局言えなかったけど。

 

()()がその柔らかい笑顔を向けてくれた。

 

 たったそれだけで。

 

 今、この場で全てが終わっていいとさえ思った。

 

 

 ──

 ──

 ──

 

  






先日、某スーパーな銭湯に行った時、脱衣所のトイレでまさかの転倒してしまったのですよー!! 幸いケガは……ちょっとあったり。骨には異常なさそうでしたけど。けれど少し頭をぶつけてしまったことが気がかりでしたねー。床がちょうど少し弾力性のあるものだったのか、ぶつけた直後の痛みはなかったのですが……でも後になって側頭部がずきずきと……まあ二、三日様子をみてみたのですが、やっぱり気になったので結局脳神経外科にーー。

で、MRI検査を行ったわけですが──やはり異常なしなのかーーーまあ、いい事なんでしょうけどねー。まあ、前にもこの病院へ行ったことがあって、その時も異常なしだったから何となくそんな気はしてましたけどね。
それにしても、”きれいな脳”は誉め言葉なのかなぁー??? 頭使ってないって言われてるのと同じ気がして、なんかちょっと複雑な気持ちになってしまったりたりたり。

検査費用は6000円前後でした、ちょっとお高い感じ? けれどそれよりも謎のマスク代のほうが気になってしまいましたよー! いや、ちゃんとマスクしてたんですよー。でも、着用してたマスクが金属探知機に引っ掛かるとの理由で、結局買わされてしまったんですよーーー!! ”マスク一枚50円”だったんですけどなんだかすごく損をした気分に……。

ちなみに自分の後に検査を受ける人も案の定同じ目に合ってしまったようで、別途50円支払ってました。

これは……マッチポンプ? なのかな??? 何だかよく分かりませんが、検査受ける前の問診(しかも2回もあったのに)では一切言われなかったのに、なぜこんな入る直前の、”下着と検査用の上着だけ”の時になって突然聞いてくるのかなぁぁぁ。
全国の病院がこうだとは思わないですけど、もうちょっと早く言ってもらえると助かりますねぇ。

もし、これからMRI、もしくはCT等に入る方がおりましたら、マスクは鼻の部分にワイヤーが入っていないものか(どうもここの部分に探知機が反応するらしい)、”日本製の”ちょっと質の良いマスクを持参してから検査を受けることをおススメしますー。この病院から買ったのも日本製マスクでしたしねー。

あ、そういえば某都内のSAでまさか売ってるとは思いませんでしたよー、”みのぶ饅頭”!! ミニサイズもありましたが、やはりここは普通サイズのものを購入しました。
ゆるキャン△ のプリントクッキーも売ってたからまさかとは思いましたけど。仕入れの人がゆるキャン△ ファンかもですねー。ちなみに売っていたのは石川SA上り(東京方面行)でした。もしかしたら下り線のSAにもあるかもしれないですねー。

※すみません、どうも失念していたらしく、私が立ち寄ったのは上り線の方のSAでした。ごめんなさいっ。ファミリーマートがある方です! 上記の文は訂正いたしました。混乱させてしまってすみませんでした。

みのぶ饅頭は予め冷蔵庫で冷やしておいたのをアイスコーヒーと一緒に頂きました。結構大きいので一個でも食べ応え十分で、中の餡子の甘さも控えめで大人ウマーでした!


それにしても、つい少し前、大分気温が下がってきたなぁって思って長袖を出したのに、もう今日は猛暑になってるとか、もうね……。

皆様も体調管理にはぜひぜひご注意ください。


それではではー。



で、映画ゆるキャン△ ネタバレ&考察コーナー!! なんですが……。
もう結構忘れてるので、超! 個人的に気になった所を交えながらネタバレしていこうかなって……あ、もしまだ見に行ったことがなくて、これから見ようと言う方はここからの事は見ないことをおススメします。

さてさて、まずは映画の内容というかあらすじから……。
──もう使われていない施設が廃墟になってしまったと言う話を千明が持ってきたので、リンやなでしこ等、大人になった野クルメンバーが集まって、みんなでキャンプ場をつくるって言うお話になっています。

何て言いますか、もう最初のコンセプト段階で、むぅ!? ってなっちゃったんですけどぉー!! 偶然ですよねぇ、これ。
まあ、キャンプ場を作るってこと自体が、今ですと一種のブームみたいになってますからねー。これぐらいは偶然の範疇ですねー。

で、様々な登場人物がリン達と関わってくるわけですが、やっぱりみんな大人になったから、出てくる人も大人が多いですねー、当たり前ですけど。
その中でもゆるキャン△ 本編では完全に子供キャラ扱いだったあかりちゃんがまさか美術大生の設定になってるとは思わなかったなー。
その姉のイヌ子さんも、小学校の教師になっていたし……赴任先は廃校になってしまったようでしたが。
その時、迎えに来ていた千明の車が、ライトグリーンとホワイトのツートンカラーだったんですけど!? まあアルトラパンではなくて、N-ONEっぽかったからセーフかなぁー。

それでキャンプ場作りは順調に進んでいたのですが、すっかり老犬となってしまった”ちくわ”のおかげで? 作業は一時中断することに……。
そういえば重機を操縦するのはてっきり千明かと思ったんですが、なでしこがきっちり講習を受けて操縦するとは思わなかったーー……なんでしょう、この展開に少しだけ既視感があるような、ないような??

その結果、ボランティアでやっていたキャンプ場制作をお休みして、みんな普段の生活に戻るわけになるのですが……この時のあるエピソードがもうねぇ……あんまり詳しく書くのもあれなのですが、冬のトレッキングはいいんですが、(ちょっと気になるけど)何故シーフードのカップ麺を……しかも何か意味深な台詞をなでしこが言ってるしぃぃぃ!! これも偶然なんでしょうか? それともよもやの必然!!?? 正直、どっちでもコワーなんですけどぉぉ、特に後者は……ねぇ。
まあ、でも殆ど偶然だとは思ってますよー。ネタ被りは良くあることですしねー。

でも、実は原作漫画の方でもちょっと気になることがありましてですねぇ……このことは次の回でちょろっと書いてみることにしますー。

さて、ちょっと脱線しましたが、映画の後半では、何とか作業も再開して、遂にキャンプ場オープンという運びになったのですが、そこでちょっとしたアクシデントが……という展開になりますねー。

もう少し分かりやすいネタバレをしても良かったのですが、やっぱり一応配慮した方がいいのかなって思いましてここまでにしました。

前にも書きましたが、予想していたよりも全然面白かったです。それにスクリーンの大迫力、大音量でゆるキャン△ を見るという行為自体が、もう感動ものなんですよねー。
先で上げたSAで売っていたクッキーもそうなんですけど、ゆるキャン△ もここまで有名になったんだなーって思って。映画も全国ロードショーでしたしねー。

さてさて、長々と書いてしまいましたが、ここまで読んでくださった方には最後までお付き合いいただきありがとうございました。

映画の方も上映が減ってしまうようですが、新たに上映するところもあるみたいなので、まだ未視聴の方もぜひぜひ見に行ってみてください。

私が書いたこと以外にも、いっぱい見どころがありますよー。それに何気に三期目のフラグを映画で立てていますし。

ゆるキャン△ アニメ三期、あるといいですねぇー。



ではではー。
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