東方幻奇譚 ~the Eighth Fantasy.   作:TripMoon

19 / 20
ご閲覧頂きありがとうございます。

霧雨魔理沙視点の物語である

東方幻奇譚 焔ノ章 流星編

の第6話あとがきでも記載した通り、本話より博麗霊夢編の物語である

東方幻奇譚 焔ノ章 幻夢編 をお送りいたします。


時系列は少し遡り、第7話 玉兎まで戻ります。


以後、博麗霊夢視点の物語を、お楽しみ下さいませ。


東方幻奇譚 焔ノ章 幻夢編
第1話 特異な妖怪


 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……遅い。 何やってんのよあいつ……」

昼下がりの頃。

本来ならば清々しい気持ちになるであろう快晴の元、私は縁側の(そば)で立ち尽くしていた。

いや、私の機嫌は天候ぐらいじゃ変わらないけどね。

異世界からの来訪者であり、特異(とくい)な人間である、海藤(かいどう) 恭哉(きょうや)

何故この世界に流れ着いたのかも覚えていない彼は、昨日この博麗神社(はくれいじんじゃ)の裏手に倒れ込んでいた。

その時一緒に居合わせていた、魔法使(まほうつか)いであり親友の霧雨(きりさめ) 魔理沙(まりさ)と共に、彼を発見し色々と話を聞くはずだった。

しかし、ひょんなことから魔理沙が制限を付けた上で、弾幕(だんまく)のことも知らない恭哉に勝負を挑むということに。

様々なスペルカードで翻弄(ほんろう)していたものの、一瞬の隙を突いた恭哉が勝ちを納めた。

……のだが、その際腕を負傷した為、魔理沙が謎の責任感からか医者の元へと連れていくことに。

ここまでは、私も近くに居た為、経緯を知っている。

次に会った時には、何故か一人の少女を背負ったまま、様々な人間が行き交う場所である「人間(にんげん)(さと)」で再会した。

話によれば、医者の元へと向かう最中、鴉天狗(からすてんぐ)射命丸(しゃめいまる) (あや)との遭遇により振り落とされてしまったらしい。

そのまま道なりに歩いていくと、湖の近くに建つ「紅魔館(こうまかん)」に行き着き、吸血鬼(きゅうけつき)フランドール・スカーレットに出会った。

命を奪われる所か気に入られたらしく、一緒に遊ぶ……とか言っていたかしら。

怖いもの知らずもいい所よ、本当。

それで空腹の為、人里に最近出来た甘味処(かんみどこ)に連れて行き、そこで奢ることに。

……何で奢るとか言ったのかしらね。

その代わりの条件として明日、博麗神社まで来るように。

そう告げたのだが……。

恭哉はおろか、参拝客の一人も来やしないじゃない。

約束をすっぽかすなんて、(ばち)が当たっても知らないんだから。

因みに、私がわざわざ神社に来る様に告げた理由は至って単純だ。

そろそろ、神社の近くに建っている小屋の掃除をしたいと思っている。

見覚えのないものから用途の分からないものまで。

一体いつ現れたのかすらも分からない。

そんな得体の知れないものたちを相手にするには、人の手も借りたいのよ。

ここを訪れる人間なんて限られているし、謝礼をするのも正直面倒くさい。

その為、先にこちらが何かを負担しておくことで、手伝いを断りにくくする寸法(すんぽう)よ。

……最初から計画よ、間違いなくね。

ほら、重いものとかあると困るじゃない?

私も女の子なんだし、力仕事はしたくない。

だからこそ、あいつを使うのが最も楽な選択なのよ。

……とっとと来なさいよね。

霊夢(れいむ)さーん……顔が怖いです……」

「何よ、仕方ないじゃない。 約束すっぽかす奴が悪いのよ」

私の後ろで、弱々しく(つぶや)く一匹の狛犬(こまいぬ)

高麗野(こまの) あうん、それがこの子の名前。

実体化する以前からこの神社を守っていたらしい。

少し前に起きた「四季異変(しきいへん)」という異変の際に、私の前に現れた。

そこからは私の神社に住み着き、何かとだらけたり勝手に守ったりしている。

まぁ、悪い子じゃないし良いんだけど。

「そのうち来るんじゃないの~?」

そしてもう一人、縁側で勝手に(くつろ)ぐ者が。

度々この神社に現れては、好き放題お酒を飲み、私に突っかかって来る。

「お酒飲んでるだけなら、あんたが探して来てよ。 特徴教えるし」

「真っ昼間に人里には行けないな~。 人探しも博麗(はくれい)巫女(みこ)の仕事だろ?」

「違うわ! うちは何でも屋じゃないの、頼みたきゃ山の巫女にでも頼め」

「いや私頼まれた側なんだけど……。 あっ、(さかな)がなくなった……」

絵に描いた様に落胆(らくたん)する、小さな鬼。

伊吹(いぶき) 萃香(すいか)

薄い茶色の長髪が、膝裏程にまで伸びており、先端の方で一つに束ねるという少し特殊な(くく)り方をしている。

少し淡い色合いの真紅(しんく)の瞳と、その風貌(ふうぼう)には似合わない左右に伸びる長い一対の(ねじ)れた角。

そしてこれまた似合わない紫と赤のリボンに、奇妙な御札(おふだ)が貼られた瓢箪(ひょうたん)

彼女が持つこの「伊吹瓢(いぶきひょう)」というものは、お酒が無限に沸き出るようになっている。

但し、鬼専用のお酒ともあり、人間や力の弱い妖怪が飲むと大変なことになるとか何とか……。

流石の私でも、これは飲もうと思わないわ。

「霊夢ぅ……肴……」

「硬ーい拳骨(げんこつ)ならあるけど?」

「そんなのお酒に合わないじゃん!? あうーん、霊夢がいじめる!」

「私に頼らないで下さいよぉ~!!」

泣きべそ(嘘)をかきながら、狛犬に(すが)る鬼。

そう、こいつこれでも鬼なのよ。

妖怪の序列の最上位に君臨しても過言ではない程に、強大な存在。

あの天狗(てんぐ)でさえも、鬼に対しては頭が上がらないと言う。

……いつぞやの威厳(いげん)はどこに行ったのやら。

こいつと初めて会った時が、何だか懐かしく感じるもの。

馬鹿騒ぎしている妖怪二匹を見守っていると、石段(いしだん)を上がってくる気配が一つ。

この感じ……人里の人間っぽくはないわね。

っていうか、人じゃないわあれ。

うちは妖怪屋敷(ようかいやしき)じゃないんだけどなぁ。

重い腰を上げ、その方へと向かってみる。

対処出来ない相手じゃないだろうし、何とかなるでしょ。

 

 

 

 

長い石段を上り、私たちの視界に入った一つの影。

背丈は高く、身体は細長い。

いや、身体って言っていいのかしらあれ。

鎧っぽくも見える装飾に、不気味に光る単眼(たんがん)

あんなのが人里に居たら、大騒ぎってレベルじゃないでしょうね。

もちろん、色んな意味でだけど。

この幻想郷(げんそうきょう)には、多種多様な妖怪(ようかい)が生息している。

人間は妖怪を退治し、妖怪は人間を襲う。

これが、この世界の(おきて)だ。

人間の数も少ない訳ではなく、妖怪と同様に様々な人間が居る。

私たちのように戦うことの出来る人間も居れば、その逆も(しか)り。

当然、私は前者よ。

伊達に異変解決を生業(なりわい)にしていないしね。

妖怪共に好かれ、家に入り(びた)られ……。

縁側でゆっくりとお茶を飲みたい。

「あんた誰?」

私の問いには答えず、その場でじっとしている。

言葉が通じない妖怪ってのも、何か珍しいわね。

大体の奴は(おど)せば逃げて行くんだけど。

うわー巫女だー逃げろー、って。

……って、誰が鬼じゃ。

「なんだなんだー? おや、見た事ない顔だねぇ」

「むむっ、この異様な妖気(ようき)……霊夢さん! 退治しないとダメですよ!!」

それぞれが、各々(おのおの)の感想を口走る二匹。

いや、退治しないと行けないのは分かってるんだけどね?

何というか、反応がないとこっちも困るというか。

「うちは妖怪神社じゃないのよ。 受け入れは御免だから、大人しく帰りなさい」

「……」

先程と変わらず、ただこちらを見据(みす)えているだけのようだ。

……やりづらい。

「なぁ霊夢ー、私がやってもいい? 弱そうだが、余興(よきょう)の一つにはなるだろうしさ?」

「ダメよ。 あんたがここで暴れたら、また神社が倒壊するかもしれないじゃない」

「大丈夫大丈夫、手加減するし任せろってぇ~」

「信用ないわよ。 ……丁度おかきがあるから、それで我慢しなさい。 宴会用の肴は後で買ってくるから」

「本当か!? じゃあよろしく~!!」

上機嫌で神社の本殿へと帰っていく萃香。

……って、分銅(ぶんどう)を回すな分銅を!!

あぁーもう……。

「れ、霊夢さん!! 私はお供しますよ!!」

「あんたも下がった下がった。 萃香と茶菓子でも食べてなさい」

「本当ですか!? じゃあお願いします!!」

丁寧にお辞儀までして、後ろを振り返るあうん。

いやあんたもか。

確かに下がれとは言ったけど……。

一応神社を護る狛犬なんだから……まぁいいや。

これで一対一だし、十分でしょ。

「さてっと。 余計に参拝客も来なくなるし、とっとと片付けるわよ」

「……!!」

瞬時に目の前に現れ、両腕を交差させる。

……腕ってこんなに長いものなの?

後方へと回避しながら、目を()らす。

実際の長さは身丈に合っているだろうけど、今この瞬間だけは別ね。

多分、伸ばすことが出来るんじゃない?

妖術(ようじゅつ)とかで出来そうだしそういうこと。

……当たらなければ一緒よ!

数枚の御札を、鋭い光の筋と共に妖怪へと放つ。

まずは小手調べって所ね。

これに当たるようじゃ、所詮(しょせん)妖精(ようせい)レベル。

こういった純粋な化け物は久し振りに見るし、もう少し見てみたい気もする。

そう思うのも、絶対に負けない自信があるからで。

妖怪はというと、難なく回避してみせる。

オマケに後方へと回転しながら、私と大きく距離を取って見せた。

身のこなしは軽そうね。

重そうな鎧なのに、意外に軽量な造りなのかも。

「じゃあこれはどう? 珠符(たまふ)明珠暗投(めいしゅあんとう)」!!」

青と白に光る、数個の陰陽玉(おんみょうだま)を不規則に出現させる。

それぞれが意志を持つ様に、地を跳ね妖怪へと向かっていく。

このスペルカード一枚で仕留められるとは思っていない。

私の半身程の大きさもある為、身を隠すことも出来る。

この攻撃に気を取られていると……次の一手を貰うことになるわよ!

時間差で跳ね続けることによって生まれる、微妙な隙間の数々。

それを目で捉えつつ、着実に距離を詰めていく。

次は……こいつよ!

宝符(ほうふ)陰陽宝玉(おんみょうほうぎょく)」!!」

左手に、(まばゆ)い程の光球(こうきゅう)(まと)う。

黄玉色(おうぎょくいろ)にも見えるこの光球は、単なる目くらましではない。

体術の様に肉体的に攻撃する技とも少し違う。

なんというかこう……あぁもう面倒くさい。

とにかく攻撃よ攻撃!!

(ふところ)に潜り込み、腹部へと放つ。

先に()いた陰陽玉の効果もあり、私の攻撃は直撃。

後方へと吹き飛び、その様子を(うかが)う。

……ん?

あら、案外平気?

まぁ、それも予想してはいたんだけどね。

「……!!」

「何よ、はっきり喋んなさい」

言っても無駄か。

ってあれ?

何か外見が変わったような……?

今までは細い身体だったはずなのに、気付けば腕に(とげ)の様なものが数本生えている。

背中には触手(しょくしゅ)や羽にも見える大きな棘まで。

自らの原型を残したまま姿を変える妖怪なんて、初めて見たかも。

でも、妖怪は妖怪でしょ?

退治するのが、私の仕事だからね。

「姿を変えて威嚇(いかく)しても無駄よ。 あんたはもう身動きすら出来ない」

四方から囲む、青い方陣(ほうじん)

繋縛(けいばく)の名を(かん)したこの結界は、対象の身動きを封じる。

自らが置かれた状況を理解したのか、途端に機敏(きびん)になる。

気付いた時には遅いのよ。

「これで決めるわね。 神技(しんぎ)八方鬼縛陣(はっぽうきばくじん)」!!」

足元から伸びる、巨大な光の柱。

(あやかし)を縛る光は天高く(そび)え、無へと返す。

……こんな所かしらね。

妙な妖気も消えたみたいだし、一件落着っと。

さーて、そろそろ買い出しに――。

と思ったら、また来客か。

はぁ……。

 

 

 

 

 

「あれっ、確かにこっちの方角に来ていたはずなのに……」

「見当たりませんね……」

「珍しいわねあんたが参拝なんて。 とりあえず野菜ちょうだい」

「いやあげないよ? 今晩の料理の為の材料なんだから」

両手で抱える程の袋を持ち、こちらを見つめる少女。

魂魄(こんぱく) 妖夢(ようむ)

普段は冥界(めいかい)に建つ屋敷である「白玉楼(はくぎょくろう)」に仕える庭師(にわし)

幻想郷から見ると「(そと)」に位置する為、本来ならば行き来することは出来ない。

元々冥界とは、死者が転生(てんせい)成仏(じょうぶつ)を待つ為の場所。

その為、生きる者が立ち入ることすら出来ない世界。

しかし顕界(げんかい)である幻想郷と、冥界との境目(さかいめ)が薄くなっている為、現在は往来(おうらい)することが可能になっているのだ。

私も何度か訪れている。

理由はまぁ、色々ってことで。

そういえば、見慣れない子が居るんだけど……誰?

妖夢へと率直に(たず)ねてみると、もう一人の子が口を開く。

「初めまして、東園寺(とうえんじ) 鈴花(すずか)です。 霊夢さんのことは、妖夢さんから聞いています」

「あーどうもどうも。 えーっと、幽霊(ゆうれい)……って感じじゃなさそうだけど、生きてるの?」

「はい、まだ人間ですよ。 何と言いますか、実は違う世界からここに来まして……」

……あーそういうことか。

この子も恭哉と同じで、外の世界から流れ着いた人間ってことね。

見た目は、私と同じぐらいの年齢かな?

黒色の髪を左右に括り、服装は恭哉と似た色の服を来ている。

けど……着方は変わっているかも。

それに腰に備えてある二本の刀。

外の世界も、うちと似たような場所なのかしらね?

知らないけど。

「で、妖夢と揃って何の用?」

「実は冥界から霊魂(れいこん)の一つが逃げ出して、幻想郷まで追い掛けてたの。 それで、博麗神社の方角に移動していたからここまで来たんだけど……」

「あー。 それって腕が細くて、目が一つしかない奴?」

「それです! 見かけませんでした?」

「見たも何も、ついさっき退治した所よ」

驚いた様子を見せる鈴花ちゃんと、変に納得した様子の妖夢。

まぁ、私の所に来た時点で……ねぇ?

それにしても、冥界から霊魂が逃げ出すなんて妙な話だ。

冥界の管理は白玉楼の主である、西行寺(さいぎょうじ) 幽々子(ゆゆこ)が担当している。

仕事をサボる様な人物ではないけれど……。

どの道、幽々子に話を聞きに行くしかなさそうねこれ。

仕方ない、行きますか。

妖夢に事情を話し、白玉楼へと向かおうとした時。

「あの、霊夢さん。 この紙は一体……?」

「うん? 何それ、随分ボロボロじゃない」

「人の形みたいね。 あっ、何か書いてる」

妖夢と共に、鈴花ちゃんが拾い上げた古紙に目を通す。

はっきりと解読出来るのは、筆で書かれたであろう「百々目鬼(どどめき)」という妖怪の名前。

おそらく、先程私が退治した妖怪の名前で間違いないだろう。

他には、様々な文字が羅列してあるものの、解読することは出来ない。

見慣れない字ではないのだが、(かす)んでいたり破れていたりと、完全な形を保っていないのだ。

それに人の形か……。

形代(かたしろ)依代(よりしろ)なら、これらは当て(はま)るんだけど……。

式神(しきがみ)、そう考えることも出来る。

……(ゆかり)の仕業か?

それならばまだ文句の一つでも言えば解決するのだが、もっと違う何かが関わっている気配がする。

こういう時でも、博麗の巫女の(かん)は当たるのよ。

うーん、まだ情報がなさすぎるわね。

幸いにもまだ形は保っているようだし、保管しておきましょうか。

「私が預かっとくわそれ。 何かあった時対処しないと行けないし」

「それがいいかもね。 鈴花さん、霊夢に渡して貰えますか?」

「私たちではどうにかすることは出来ませんしね……。 霊夢さん、よろしくお願いします」

「はいはいっと。 こいつだけ仕舞(しま)ったら、白玉楼に向かいましょ」

一度本殿へと戻る。

私以外の手が届かない場所なら……大丈夫よね?

えーっと、どこがいいかしらっと。

この神社に住むのは私だけなのだが、出入りしたり居候(いそうろう)したりと、何だかんだで人の出入りはある。

現に今も、あうんと萃香が居るしね。

……あら?

こんな木箱あったかしら?

……ってかこれ、秘密箱(ひみつばこ)か。

寄木細工(よせぎざいく)の一種で、古くから伝わる容器のことだ。

私もよく触っていた覚えがある。

まぁ、何だかんだで色んな物がありそうだし、使っちゃえ。

ふむふむ、そういうことね。

これをこうしてっと……。

……あぁっ!?

何で開かないのよ!!

……これも秘密箱の特徴。

特定の手順をしっかりと踏まないと、箱を開けることが出来ないのだ。

何処で間違えたのかしら……。

「霊夢ー、まだー?」

やばっ、とにかくこの箱ごと押し入れにでも仕舞ってっと……。

白玉楼から帰ったら、また詳しく調べてみましょうか。

聞き出さなきゃならないこともあるし。

「待たせて悪かったわね。 さて、行きましょ」

二人の剣士と共に、冥界を目指す。

 

 

 

 

 

「他に冥界から抜け出した奴は居るの? 本当に一体だけ?」

「私が見た限りでは、他には居ないはずよ」

空を飛びながら、妖夢に聞けるだけのことを聞いている。

幽々子はともかく、妖夢がサボることはなさそうだしね。

そういえば、何気なく飛んでいるけど、鈴花ちゃんは……?

辺りを見回すと、私たちの少し後ろを飛んでいた。

……飛べるのね。

まぁ、恭哉も空を飛ぶことぐらい普通と言っていたし、おかしなことではないのかも。

「鈴花さん、どうかしました?」

「いえ……幻想郷の景色って綺麗だなーと思いまして」

「外の世界って、どういう場所なの? 恭哉は、五月蠅(うるさ)い場所だって言っていたけど」

私が恭哉の名前を出すと、二人揃って違う表情を見せる。

妖夢は怪訝(けげん)そうな、鈴花ちゃんは目を見開き驚いた様子。

「兄上……じゃなくて、恭哉のことを知っているんですか?」

「えっ兄上? 鈴花ちゃんの兄弟ってあいつなの?」

「い、いえそうではなくて!! その、幼馴染みなのですが、昔はそう呼んでいたので……」

そっぽを向きながら、小さく呟いていた。

最後の方は聞き取れなかったし。

ふーん、あいつが「兄上」ねぇ……。

「霊夢は、海藤 恭哉に会った?」

「えぇ、あいつうちの神社に倒れてたし。 あんたも会ったことあるの?」

「……一応ね。 出来ることなら、もう会うことがないといいかな」

あら、鈴花ちゃんとは真逆。

何かあったんだろうけど、今は鈴花ちゃんも居るし……聞かない方がいいわね。

そこまで悩むタイプには見えないけど。

「霊夢さん、私や恭哉の他に、誰か外の世界から来た人間には会いましたか?」

「いや、二人以外には会ってないわよ? わざわざうちまで来ることもないでしょうし」

……自分で言ってて少し寂しくなりそう。

「鈴花ちゃんたちは、皆こんな風に飛べたりする訳?」

「一応飛行ぐらいなら、無意識にでも出来る程度だとは思いますよ? 恭哉に会ったのなら、能力のことも聞いていたりしますか?」

能力……?

私たちと同程度の能力を、外の世界の人間も持っているの?

……根拠はないけど、こっちのことも聞いておいた方が良さそうね。

「私たちは、ある契約(けいやく)を交わし『守護精霊(しゅごせいれい)』たちの力を借りています。 そうでなければ、命を落としてしまうので」

「そっちにも妖怪が居るってこと?」

「根本的には違いますが、似たようなものだと思います。 まだこの世界の妖怪には、あまり出会っていませんので……」

出会わない方が助かるんだけど。

私の仕事が増えちゃうし。

……まぁ、普通の妖怪程度なら、楽に戦えちゃうんでしょうけど。

「それなら、やっぱり帰りたいって思うの?」

「それはそうですけど……もし、この世界に危険が迫っているのだとしたら、私たちはまだ帰る訳には行かないと思うんです」

「へぇ、でもこの世界は他に心配される程柔じゃない。 自分たちが帰る為の方法探した方がいいわよ?」

「……恭哉ならきっと、その返答には、いいえと答えますよ」

目を真っ直ぐに向けたまま、そう告げる。

こんなにも鋭い眼差しを見たのは、随分と久しい気もする。

そこまで人を信じられるなんて、何か凄いわ……。

私なら、きっと真似出来ない。

「鈴花さん、もし自分の信じる人が間違った方向に進むとしたら、どうします?」

「その過ちを正しますよ。 刺し違えてでも、私はその人を救います」

妖夢も変なこと聞くわね……。

それに刺し違えるって、そんな大袈裟な……。

鈴花ちゃんの表情を見るに、冗談ではなさそうだけど。

「あーお堅い話はここまでにしましょ。 幽々子はどうしてるの?」

「幽々子様はいつも通りよ。 でも確か紫様がいらしてたような」

八雲(やくも) (ゆかり)

幻想郷最古の妖怪であり、私とも縁の深い人物の一人。

何かとちょっかいも掛けてくるしねあいつ。

それにしても妙な話だ。

あの霊魂が抜け出す際に、幽々子と紫が揃っていたのなら、冥界からは出られないはず。

どこに居たとしても、逃げられないからね。

妖夢が紫のことを話している以上、白玉楼から幻想郷へと向かう際には居たことになる。

わざわざ逃がす真似もしないでしょうし……うーん。

どの道聞かなきゃ始まらないか。

(きり)(みずうみ)紅魔館(こうまかん)の上空をそれぞれ通り過ぎた頃。

私たちの目の前に、黒い影が現れる。

「霊夢さん、あれって?」

「さっきの……? 倒されても出てくるなんて、随分としつこい奴ね」

先程神社で退治したばかりの、一つ目の鬼である、百々目鬼がそこに居た。

しかし、何処か様子がおかしい。

こちらを見据えたまま動かないのは、先程と同じなのだが……。

そう思ったのも一瞬で、すぐに変化が生じた。

生々しい音を立てながら、徐々に姿を変えていく鬼。

四肢(しし)は完全に消え去り、胴体(どうたい)が大きく伸び何対(なんつい)もの脚が、(にご)った液体と共に姿を表していく。

強靭(きょうじん)な羽と、尾に生えた二つの牙。

一つ目の顔も形を変え、原型すら留めない程の形相(ぎょうそう)になった。

……何なのこいつ?

羽の生えた巨大な百足(むかで)……そう例えるのが、一番近いかもしれない。

「この先へは通してくれなさそうね。 急いでるし、とっとと片付けましょ」

「これがこの世界の妖怪……? 何処か似てる……」

「何が相手だとしても斬るのみ!!」

(かざ)()(やいば)よ、暗雲(くらぐも)()(てん)()せ。 ――韋駄天嵐魔(いだてんらんま)!!」

同時に、刀を引き抜く二人。

一筋に銀の軌道を描く、妖夢の持つ楼観剣(ろうかんけん)

そして風の通り道を()した様な刀身を持つ、一対の刀。

恭哉の時は上手く見れなかったが、外の世界の人間がどの程度戦えるのか。

見せてもらおうじゃない。

――異変解決に手を出すならね。

 

 

 

 

 

長い胴体をくねらせ、耳に(さわ)る羽音を鳴らしながらこちらへと近付いてくる妖怪。

こういった醜悪(しゅうあく)な姿と戦うのも、何時ぶりだろう。

今回の妖怪退治は、溜め息混じりには行かなさそうね。

「遅い!! 断空翔(だんくうしょう)!!」

その場で急降下し、逆への字に妖怪の死角を突きに行く鈴花。

刀を握った途端、あんなにも豹変(ひょうへん)するなんて……。

いつかの妖夢みたい。

妖夢も遅れまいと、逆方向から斬りに掛かっている。

って、弾幕使いなさいよ。

相手が何してくるか分からないんだから。

怪我されても困るし、私は少し離れた位置から牽制(けんせい)かしらね。

数本の退魔針(たいましん)を取り出し、脚部の関節へと投げ込む。

あの胴体を覆う黒い甲殻(こうかく)

なーんか硬そうなのよねぇ。

精巧に作られてはいるが、刀と違い一撃では致命傷にはならない。

……そもそも弾幕通じるのかしらこいつ。

二人の攻撃を軽くいなし、こちらへと尾の(きば)を伸ばしてくる。

流石に一撃じゃびくともしないか。

私だって、そんな見え見えの攻撃には当たんないのよ。

早めに回避動作(かいひどうさ)を取り、空に大きく()を描く。

下腹部がダメなら……背中はどうかしらね!

垂直に降下し、大幣(おおぬさ)と共に両手を下へと突き出す。

――ここ!

霊力(れいりょく)を放つ衝撃波(しょうげきは)と共に、背中へと突きを繰り出す。

落下するスピードに沿って、重力が加わる。

生身とはいえ、これらの自然の力と霊力の合わせ技。

少しは効いてよね。

「霊夢後ろ!」

妖夢の掛け声で、背後を向く。

脚の関節を()らぬ方向へと曲げ、こちらへと蹴りを繰り出そうとしていた。

そういうこともするのね……。

でも、当たんないわよ!!

「伊達に結界術(けっかいじゅつ)使ってないのよ。 そっちも気を付けなさい!!」

私の身体へと到達する前に、結界が生じ行く手を阻む。

何処ぞのお節介者(せっかいもの)に教わったからねぇ。

こういう時は役に立つのよ、練習した覚えはないけどね。

獄神剣(ごくしんけん)業風神閃斬(ごうふうしんせんざん)」!!」

風龍剣(ふうりゅうけん)一式(いっしき)花嵐(はなあらし)!!」

二つの風の刃が、互いに交差しながら妖怪の脚を捉える。

数本の脚を幾度となく切り裂き、残骸(ざんがい)が宙を舞う。

中には(とが)った物もあるだろうし……このまま落とすのは危険よね。

甲殻の破片となった小さな刃たちが、落下を始める前に少し下へと移動する。

この距離なら十分間に合う。

数枚の御札を地へと構え、霊力を集中させる。

塵よりも細かくすればいいんだし、これで足りるわよね。

夢符(ゆめふ)封魔陣(ふうまじん)」!!」

私を中心に、青白い結界が生じ天へと伸びていく。

結界の中で、小さな刃たちは目に見えない程にまで細かい粒子(りゅうし)へと姿を変える。

さてっと、あいつをどうにかしないとね。

――うん!?

おかしい、先程切り刻んだはずなのに……。

切断した数本の脚が、何事もなかったかのように復活していたのだ。

それに身に纏う無数の鬼火(おにび)にも似た霊魂の群れ。

一つ一つが意志を持つように、大百足(おおむかで)の周りを徘徊(はいかい)させている。

異常に気付いたのか、二人も妖怪から距離を取る。

「どうすんのあれ。 何度脚を斬っても、あれじゃあ(らち)があかないでしょうし」

「あーあれ、あれっどうしよ!? あわわわわ!」

「よ、妖夢さん!? 急にどうかしました!?」

「半分幽霊の癖に、お化け苦手なのよこいつ」

「そこお化けとか言わない!! こ、怖くない……怖くない!!」

「妖夢さん!! あれはきっと大きな虫です!! ばっさり斬っちゃいましょう!!」

あれ?

ひょっとして、この子も意外と抜けてる?

思わず溜め息が出そうになる。

一人でやった方がいいかしらこれ。

「よっと、ほら茶番は終わり。 戦いに戻った戻った」

妖怪の突進を結界で受け止める。

甲高い音が、辺りに鳴り(ひび)く。

とっとと先を行きたいんだから、邪魔しないでよね。

「よ、妖夢さん気を確かに!!」

「す、すみません鈴花さん……もう大丈夫! 魂魄 妖夢、引いて参るー!!」

「引かずに()して下さい!!」

あーあ、ダメねあれは。

刀を構え、前方に突進しようとする妖夢の前に立ちはだかる。

「れ、霊夢?」

「下がってなさい、そんなんじゃ怪我するでしょ」

「だ、大丈夫だってば!!」

「あーはいはい。 ボロボロになる前に、先に冥界まで行ってなさい。 すぐ追いかけるから」

「敵を目の前にして逃げるなんて恥でしかないよ!!」

ったく人聞きが悪いわねぇ。

「手の平に人と言う字を三回書いてですね、それを飲み込めば落ち着きますよ!!」

「なるほど!! ……半人の方がいいです?」

「そ、そこはお好きに」

「もう!! 喜劇なら余所(よそ)でやりなさいよ!! いい加減腕が(しび)れそうなんだけど!?」

わざとやってんでしょあんたたち!!

結界ごと妖怪を離れた位置へと押し返し、大きく距離を取る。

あーあ、何でこんなことばっかり……。

「よし! これならいけそうです!!」

「すみません霊夢さん、ここからは私の舞台にしますよ」

「イマイチ信用ならないんだけど?」

「少し見ていて下さい。 第一の鎖(ファーストチェイン)解放(かいほう)!! ――斬魔風雪ノ縁(ざんまふうせつのえにし)

――身に浴びたことのない程の強風(きょうふう)

先程までは楽観的(らっかんてき)だった少女の雰囲気が、がらりと変わる。

まるで何かが取り()いたかの様なその光景に、私はただ黙って見ることしかなかった。

「これが私たちの能力に共通する『覚醒(アウェイク)』です。 さぁ、片付けてしまいましょうか」

聞き慣れない言葉。

って、能力が変化するとかそんなのアリ!?

おまけに人柄まで少し変わってるし。

まぁ、後でみっちりと聞かせてもらおうじゃない。

今はこいつをどうにかしないとね。

「悪いけど、妖怪退治は私の専売特許だから。 女の子の(ひと)舞台(ぶたい)を、ただ見届けるのはごめんだわ」

「いざ尋常に、宜しくお願い致します!!」

その言葉と共に、私たちを包む紅桔梗(べにききょう)閃光(せんこう)

私たちの丁度間で、綺麗に真っ二つに割れる。

それは、一人の少女による、刀の一振り。

――何だろう、もっと見てみたい。

私の知らない世界に住む、同じ種族の生物。

この際限のない能力の果てを見てみたい。

妖怪へと飛んでいく最中、そんなことを思っていた。

こんなにもワクワクすることなんて……何時ぶりかしらね。

 

 

 

 

 

幾重(いくじゅう)にも飛び交う光弾(こうだん)と斬撃。

妖怪が纏う鬼火は、標的を捉える度に突進を繰り返し爆発する。

永久的に作り出され、絶えず小さな炎を燃やし続けていた。

こちらも攻撃を与え続けるも、硬い甲殻の下に眠る肉までは届いていない。

何か、瞬間的に強撃を叩き込む方法は……?

「霊夢さん、少しいいですか!?」

攻撃の雨を()(くぐ)りながら、こちらへと声を掛けてくる。

背中合わせになり、その問に応じる。

「どうしたのよ」

「少し試したいことがありまして、協力して貰えませんか?」

「私じゃないと出来ない事?」

寸分(すんぶん)の狂いもないタイミングで、妖怪の攻撃を避ける。

反撃を加えた後、互いの背を(ひるがえ)す。

その目は何を訴えているのか。

正体は分からないけれど、この話に乗るしかなさそうね。

埒が空かないし。

「妖夢さん!! 敵の注意をお願いします!!」

少し離れた位置で応戦する妖夢に、鈴花ちゃんは声を荒らげる。

先程までの(おび)えは消えたのか、勇敢(ゆうかん)に立ち向かっているようだ。

まだまだ未熟者とはいえ、今の所は大丈夫そうね。

「それで、何をすればいいの?」

「私たちには覚醒の他に、もう一つ共通している能力がありまして。 それを試してみたいんです」

「へぇ、まだ隠してたの。 私たちに教えても大丈夫なの?」

「もちろんです、仲間だと思っていますから」

……仲間ねぇ。

お人好しが過ぎるというか、正直者過ぎるというか。

いずれにせよ、この世界では生きにくそう。

っと、それは置いておきましょうか。

龍脈転生(りゅうみゃくてんせい)勁風(けいふう)。 霊夢さん、何か感じませんか?」

えっ、何それそういうお祈りか何かなの?

何も感じない……そう思ったのも一瞬の出来事で、すぐに変化が生じる。

身に纏う不思議な感覚。

まるで無数の風の刃の一つ一つが、自分の周りを吹いているかの様。

「これがもう一つの能力『転生』です。 ある程度の魔力(まりょく)や霊力を施す方に、自分たちの持つ属性の原素(げんそ)を分け与えることが出来るんです」

「成程ねぇ。 つまり、より強力な攻撃が出来るってこと?」

「そういうことです。 妖夢さんにも一度試したことがあったのですが、相性が良くなかったのか、効果が薄かったので……」

相性もあるのね。

まぁ妖夢は半分死んでいるようなものだし、半身人間とはいえ合わなかったのかも。

それにしても、よく魔力と霊力の存在に気付いたものだと思う。

目には見えない特殊なエネルギー体だし、公言(こうげん)しても信じないという選択が普通だろう。

これも、似た境遇にあるからなのかもね。

「先程脚を数本切断した時、ほんの僅かですけど手応えはあったんです。 出血も多量でしたし、自己再生には限りがありそうですね」

「それが分かっても、直接攻撃出来ないんじゃあねぇ……」

結界で動きを止めてしまえば、再生する隙も与えずに倒すことが可能なのだろうけど……。

あぁいう変則的な動きをする妖怪は、これまでの例を含めても初めてかもしれない。

今まで通りの要領で、どうにかなるとは思えない。

第一、スペルカードルールにも沿っていないしね。

弾幕に似た攻撃をして来ているとしても、奴がルールを理解しているのかしら。

……スペルカードが通用するのかどうかもね。

「行きましょう、先陣は私が切ります!!」

身をすくめ、妖怪に向け一直線に突撃する。

その後を私も追う。

攻撃のタイミングは、ほぼ同時に行う必要があるだろう。

まさか、私がこっち側に回るなんてね。

「――ここ!! 霊夢さん!!」

二本の刀を、妖怪の胴体を繋ぐ細い関節へと突き刺した。

風を纏う魔力なんて、どう使うかは知らないけど……。

――思いっ切り叩き付ければいいんでしょ!

「大人しくしてなさい!!」

私の持つ霊力と風の魔力を込め、斬撃によって出来上がった傷口へと一気に叩き込む。

耳に障る、狂乱(きょうらん)にも似た(うめ)き声。

その場で何度も身体をくねらせる。

その度に、鋭く硬い甲殻が消滅していく。

本当に何とかなっちゃうなんて……。

っと、まだ終わってなかったわね!

獄炎剣(ごくえんけん)業風閃影陣(ごうふうせんえいじん)」!!」

空塵鎌鼬(くうじんかまいたち)!!」

霊符(れいふ)夢想封印(むそうふういん)」!!」

各々が放つ一撃により、目には見えない程にまで小さくなっていく妖怪。

一枚の古びた紙を残し、完全に消え去った。

地に落ちる前にそれを拾い上げ、目を通してみる。

先程神社で見たものに似ている。

やはり、誰かがあの妖怪を喚び出した……?

「やりましたね!! 一時はどうなることかと……」

安堵(あんど)に胸を撫で下ろす鈴花ちゃん。

刀を手にしていた時とはまるで別人。

聞きたいことが山積みなんだけどねぇ。

「鈴花さん、霊夢に何かしました?」

「えぇ、以前試した術を少々。 私も不慣れなのでどうなることかと思いましたが、霊夢さんのお陰で何とかなりましたね」

おい、私は実験台か。

はぁ……成功したから良かったけど、失敗していたらと考えるだけで、頭が痛くなる。

何というか、外の世界の人間ってやっぱり変わり者だわ。

まぁ、向こうからしても似たような印象を抱いているんでしょうけど。

さてっと、改めて冥界に……って、また話し込んでるし。

仲良いわね本当。

お互いに刀を主体とした戦闘スタイルから、何処か通ずる所があるのかもしれない。

戦闘方法なんて、弾幕が大半を占めているし、物珍しいのもあるかもね。

私も刀とか使ってみようかしら?

やらないけど。

余計に負担が増えそうだし、遠慮しておくわ……。

今の戦い方が、自分の肌にあっているのもあるけどね。

それにしても、あの大百足は一体……?

あーもう、次から次へと分からないことだらけ。

「霊夢さん、何か気掛かりなことでもありましたか?」

私の様子を見兼ねてか、声を掛けられる。

こんな様子を見るのも珍しいのか、妖夢まで不思議そうな顔をしていた。

――考え込みたくもなるっての。

今までの異変は長期的で、かつ目に見えていたものが多い。

しかし、今回はどうだ。

結果として、見慣れない妖怪が一匹見つかっただけ。

まだ異変と呼ぶにも、事が足りなさすぎるのだ。

もう少し、様子を見るしかないか……。

「何でもないわ。 ほら、とっとと冥界まで行くわよー」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。