いつか英雄を超えるため   作:矢藤奏多

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ダンメモ三周年、アストレア・レコード面白かったですね。
ノアールさんたち老兵たちの決死の行動、託し受け継がれていく意志、途中で号泣してました。
これからも『ダンまち』『ダンメモ』より一層の盛り上がりを期待していきたいですね。

ちなみに、これは『ダンまち』のスマホゲーム『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかーメモリアス・フレーゼ』というゲームの三周年記念のオリジナルストーリーを題材にしています。

小説オンリーでゲームは未プレイという方には知らない設定、キャラが出てくることがあると思いますが、まぁちょいちょい、そういう方様に解説、説明はしたいと持っています。

それ以外にも、ストーリーとの齟齬、解釈の違いなどが出てくるかもしれませんが、そこはなにとぞご容赦を。
あまりに酷過ぎる間違いは修正しますが、押し通せるものは、そのまま押し通します。

それではお付き合いください。


プロローグ
一つ目の岐路ー『静寂』と『兎』の出会いー


会うつもりなんてなかった。

会わずに最後を迎えるつもりだった。

アルフィア()と『あの子』の道は交わらず、私は『あの子』を、『あの子』は私のことを知らずに他人のまま終わる。

『あの子』を妹が糞爺(ゼウス)に託した時点でそうなると、そうしようと思っていた。

 

妹の忘れ形見、残した子供。

私には会う資格がないと、そう思っていたから。

まぁ「叔母さん」などと呼ばれたくないなどという下らない理由もありはしたが。

 

だが、そんな決意に魔が差した。

 

理由は些細なことで、とある男(ザルド)の言葉にのせらてしまったのだ。

 

 

 

「無理に会えとは言わん、お前にも並々ならぬ思いがあるだろうしな。だが、せめて遠くから顔だけでも見たらどうだ」

 

 

 

そんな些細な言葉に決意を揺るがされ、私とザルドは『あの子』に会いに山奥にある辺鄙な村まで足を運んでいた。

 

 

 

「なぜ、お前までついてくるザルド」

 

 

 

私の後ろについてくる大男に振り返り言外に邪魔だと言ってやると、ザルドは大げさに肩をすくませる。

 

 

「俺も一目見ておきたいと思ってな。その子の父親はうちのファミリア(ゼウス・ファミリア)のあの馬鹿だろ?なら、俺達(ゼウス・ファミリア)の家族といっても違いあるまい」

 

 

そういうことかと納得し、再び前を向いて目的地を目指す。

道中は、ザルドが私の性格を知っているという事もあり会話はない。

ただ、草木が風に揺れる音や鳥たちの鳴き声が聞こえてくる心地のいい静寂が流れていた。

 

そうして、黙々と山中を歩いていくと目的地にたどり着く。

 

 

村の外れにある一つの家。

 

そのどこにでもあるような変哲もない家を森の木々に隠れて窺い見る。

 

暫く様子を見ていると、家の扉が開き誰かが出てくるのが見えた。

 

出てきたのは一人の幼い人間(ヒューマン)だった。

 

穢れを知らない処女雪のような白髪。

ルビーのような綺麗な赤い目。

まるで兎のような可愛らしい少年だった。

 

一目でわかった。

 

 

―あぁ....メ―テリア

 

 

妹の...メーテリアの子供だと。

 

胸の内から何か熱いものが込み上げてくる。

 

その姿を一目見て元気に暮らしていることを確認し、立ち去るつもりだった。

 

だが、ダメだ。

胸に込み上げてくるものに耐え切れない。

自分に去るべきだと何度も言い聞かせようとする。

しかし、そんな自分の思いとは裏腹に体が動いてしまう。

 

気づけば私は、その子の後ろに立っていた。

 

声をかけようとするが、何かに縛られたかのように声が出てこない。

そうして何もできずに立ち尽くしていると、少年がこちらの気配に気づき振り向いた。

 

その子は突然に自分の背後へと現れた私に驚いて目を見開いた。

 

先ほど、木の陰から覗き見ていた時よりも、ずっと近くに『あの子』がいる。

白い髪も顔もメーテリアにそっくりで、唯一その赤い目だけが父親譲りのものだ。

 

私は無意識に『あの子』の頬に手を伸ばし触れていた。

 

少年はそれを避けるのでもなく、嫌がるのでもなく、ただ受け入れた。

頬に私の手が触れると、そこから体温の熱が伝わって来る。

 

「名前を聞かせてくれ....」

 

 

「ベル。 ベル・クラネル」

 

 

「ベル....ベル....」

 

 

気づけば、私はベルを抱きしめていた。

壊れないように、壊さないように優しく。

それでも、決してどこかに行ってしまわないように、強く。

抱きしめていた。

抱きしめているベルからは、懐かしい匂いがした。

メーテリアの匂い。

 

気づくと抱きしめているベルも、私にしがみつくように抱き着いてきており、涙を流し、声を出して泣いていた。

不思議とその鳴き声は、不快に感じることはなかった。

 

 

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