もっとスムーズに話を進めるべきだよなぁ。
自分でもくどい駄文だと思いますが、何卒もう少し、もう少しお付き合いを....。
色々ありはしたが、そんなこんなでアルフィアとザルドもベルたちと共に暮らすことになり、家族四人での生活が始まることになった。
急なことだったが、違和感もなく、ベルを含め全員が生活の中に溶け込み、まるで昔から共に暮らしているように錯覚するほどだった。
アルフィアは義母として、ベルに優しく、そして厳しく接した。
ベルもそれを感受し、実の母親にするように甘えた。
変わったことと言えば、食事が美味しくなったことだろう。
食に関してはこだわりのあるザルドが共に暮らすようになり、料理については全て引き受けたからだ。
愉快な祖父に、厳しくも優しい義母、頼りになるおじさん、そんな家族たちに囲まれ、ベルは騒がしくも楽しい平穏な日々が送られていく。
そうなればいいなぁ。と、ベルは幼いながらも、そんなことを思っていた。
思っていたのだが......。
残念ながら、そんな想像通りの日々がやってくることはなかった。
その要因は、アルフィアだ。
アルフィアは静寂をこよなく愛する。
雑音、騒音などもってのほかでアルフィアの傍で騒ごうものなら即刻黙らされる。
言葉ではなく、実力を持って。
そう、アルフィアは神経質な女王だった。
それは当然、ベルたちと共に暮らすことになっても健在であり、その女王っぷりをいかんなく発揮した。
ザルド、アルフィアがやってきた日
ベルは新しく増えた家族と、その家族たち共に暮らしていくだろうという未来に、はしゃいでいた。
それは、ゼウスも同様だったようでベルと二人、歓迎会だ! と大騒ぎしていた。
しかし、そんな騒音を
「騒ぐな、五月蠅い」
ベルに認識できたのはそこまでだった。
次の瞬間には、頭をとんでもない衝撃が襲い意識が闇へと落ちた。
暫くして、ベルが頭をなでられる心地のいい感触と共に目を覚ましたのは、アルフィアの膝の上だった。
当然、目を開けると一番に見えるのはアルフィアの顔で、ベルの身体は蛇に睨まれた兎のように固まってしまう。
そこで、チラッと視界の端に何かが入ったことに気付く。視線を少しズラすと、天井から何かがぶら下がっているのが見えた。
ゼウスだ。
ゼウスは天井に首から上をめり込ませ、プラ~ンと垂れ下がり愉快なオブジェへと成り果てていた。
その光景を見たベルは思わず「ひっ!!?」と声を上げてしまい、自分と祖父がどうしてこんな目にあっているのかという事を思い出し、慌てて口を手でふさぐ。
すると、その声でベルが目を覚ましたことにアルフィアが気づき、ベルを撫でていた手を止める。
「起きたか、今ザルドが夕飯の準備をしている。もう少し、こうして寝ていろ」
そう言って、またベルを撫で始める。
そんなアルフィアは笑みを浮かべていた。
だが、撫でられているベルのほうは気が気ではない。
視界には天井から垂れ下がる無残な祖父の姿。
もし下手に身じろぎしたり、音を立ててアルフィアの機嫌を損なってしまえば、祖父と同じように天井から垂れ下がる愉快なオブジェになり果てるのではないか。
そんな予感がよぎり、ベルの動くことができなかった。
ベルにできるのは、震えながらも黙って撫でられることだけだった。
一縷の望みにかけ、目だけを動かしザルドを探す。
視界の端に映ったザルドは黙々と料理の下拵えをしていた。
明らかにこの惨状を見て見ぬフリをしていることが分かる。
ふと、ザルドがベルの方へと視線を向けたとき、ベルの助けを求める悲痛な目とザルドの目があったが、スッとザルドは目を逸らしてしまう。
(ザルドおじさぁぁぁん!!?)
(すまんベル、俺にはその女王を止めることは出来ん)
その後、夕飯の支度が終わり、
しかし、そこには団欒などなく、時折ベルが立ててしまう食器がぶつかり合う音やスープをすする音だけ鳴る。
「ベル」
「は、はい!!」
「音を立てて食べるな、行儀が悪い」
そう言って、アルフィアは食事に戻る。
ベルは恐ろしい拳が飛んでこなかったことに安堵の息を零し、音を努めて立てないようにしながら食事を再開する。
本来、歓迎会になるはずだった夕食の席は、まるで葬式の席のようになっていた。
そのことをきっかけに、ベルの家ではルールが設けられた。
唯一にして絶対のルール。
それは、
『アルフィアをイラつかせるべからず』
そう、アルフィアはベルの家に来たその日に女王として君臨し、家族内のヒエラルキーの頂点に立ったのである。
こうして、ベルの家のルールが設けられた。
設けられたはずだったのだが.....。
ただ一人、アルフィアの機嫌を息を吸う様に損ねる人物がいた。
ゼウスである。
何故ならこの男神、平然とアルフィアにセクハラを行うのだ。
狒々爺、エロ爺と呼ばれるのを否定できないとベルが納得してしまうほどに
アルフィアがベルと一緒に風呂に入ろうとした時に乱入しようとしたり、一緒に寝ようとしたところベッドに潜り込もうとする。
他にも覗き、ボディタッチ、大胆にも抱き着きに行ったり、どこから持ちだしたのか分からない可笑しな衣装を着させようとする等、挙げればきりがない。
その全てが失敗に終わり苛烈な迎撃に合っているというのに懲りないのだ。
ある時ベルが、懲りずに風呂に入っているアルフィアを覗こうとしていたゼウスに「何故こんなことをするの」と聞いたことがある。
そんなベルにゼウスは向き直り、コレまでみたこともないような真剣な目と声で真剣に語り始めた。
「良いか? ベル。よく聞け、覗きはな...男のロマンじゃ。
乙女たちが一糸まとわぬ姿でそこにおる、手を伸ばせば楽園に届く。
ならば、例えそこにどんな困難が待ち受けていようとも、諦めず挑む。
それが男、それがロマンじゃ」
そういい、自ら地獄へと向かっていった祖父の笑顔をベルは忘れることはないだろう。
数分後、意識もなく木に括りつけられたゼウスの姿がそこにはあった。
アルフィアの迎撃は、拳が飛んでくるだけならばマシな方で、ベルがアルフィアの近くにいる時には魔法で迎撃される。
そのたびにゼウスごと家も吹き飛び、立て直しが行われた。
ここで一番不憫なのが、ザルドである。
アルフィアの保護があるベルは魔法の影響を受けないが、ザルドは違う。
ゼウスがアルフィアにセクハラを仕掛け魔法で迎撃されると、もれなくザルドも巻き添えを喰らうのである。
アルフィアが魔法を使った次の日は、毎度ゼウスと共に家の残骸の中に倒れ伏しているザルドの姿があった
その様な波乱万丈な生活を送って、3年が経ったある日。
再び、岐路が訪れる。
「ようやく見つけたぞ。ゼウスファミリア、ヘラファミリア」
男がベルたちの家を遠くから眺め、一人呟く。
「さて、俺の立てた計画の要。