荒れたセレナと、臆病なクリス   作:蒼葉蒼輝

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戦闘二話目・・・書いてたらクッソ長くなったのは秘密
では・・・


第六話

開戦の合図はナイフが落ちてきた瞬間に始まった。

それは見る人によっては一瞬であり、衝撃波だけで見る人も、そこに建つ物も吹き飛びかねない【ソレ】を放ったのは紛れもない何も特殊な物を纏っていない一人の人間と、人類の災厄に立ち向かう為に作られたとされる【ソレ】を纏った少女の激突によるものだった

 

右腕同士のぶつかり合い、そうして交互に殴りあう漢と少女は互いに隙を見せることなく舞う、合わせ、そして舞う、まるでそれは演武のように、だけどそこにもはや言葉はいらず、殴り、蹴り、時には距離を取り、ナイフや瓦礫のぶつけ合いにもなったりしていた

 

弦十郎も余裕がないのか、周りの建物や地面のアスファルトを利用して、殴りつけ地形を変容させて装者と渡り合っていた

その行動が最善では無いかもしれない、だが、弦十郎は少女を救う事に尽力すると決めた

故に少女を傷付けてでも助けると誓った拳は、迷うことなく正面に振り抜かれる

その途端に激しい衝撃波が少女を襲うが、少女はその衝撃波に乗り、壁に立ち、反動で急速に弦十郎へと立ち向かう、だがそれに反応できない弦十郎ではない、即座に足を振り抜き鉄山靠の構え、少女は起動を逸らすことが出来ずに衝突をするが、タダではぶつからない、当たる寸前大量の刃が少女を覆い、衝撃を和らげると共に霧散した刃が軌道を変え弦十郎に四方八方から襲い来るが―

 

「フンっ!」

 

一声の発勁と共に周囲のナイフが力を無くしたかのように崩れ落ち消える

その気功術と思しき技巧に少女は苦虫を噛み潰すような表情を浮かべ、十字にナイフを展開し飛ばす、と同時に周囲の瓦礫を蛇腹剣でいくつも投げ飛ばす

しかしこれに屈することなく一つ一つを拳と風圧でどんどんと飛ばしていく

そうして一しきり付けた所で互いに呼吸を入れ、次の一手を攻めあぐねていた

すると弦十郎から―

 

「ここまで出来るとはな・・・翼や奏以上だ。

やはり、惜しいな、君のその才能、他の事に活かせただろう」

 

「何? こんナ時ニいのチ乞いデモ?

こんな才能、ワタシはイラなかった! 戦えるダケなラ、ヘイ機だけデ十分デショ!」

 

少女のその一声に散っていた小剣が動き出し一か所に集まり、大きなナニかに変容した

それは人型の様な、獣のようなソレは少女と向き合い確認しあったあと、一直線に弦十郎に向かって行った

 

「なんだ! これは・・・ギアによる遠隔操作か!

だとしても! 俺は負ける気はない!」

 

一直線に拳を振るう弦十郎、当たらない事は分かっていた、だからこそ、意図して隙を晒す行為をした。

その隙を貰ったとでも思ったのか、獣は低姿勢で突っ込み、切り払おうとした、瞬間に

 

「ハァッ!」

 

震脚により、姿勢が崩れ刃に力が入らず弦十郎に届くことは無かった、そうして一連の動作で掌底を打ち込み獣をバラバラに破砕した

しかし、それだけでは終わらないこの獣は、砕けていない手足を乱雑に動かし、竜巻を作るかの如く渦巻き、そして

 

「フキ飛びチレ! LAST ∞ METEOR!!!」

 

狂った少女の狂った竜巻が間近で弦十郎に撃ち迫ろうとしていた、奏の技を扱う事に驚きを隠せないでいたが、これは少女の力ではないだろうと取り決め、更に大地を穿ち、地を高くに上げ、瓦礫で初撃を防ぎ、次手に右、左、右と交互に闘気を纏わせた拳を振り抜き、渦を散らす瞬間

その背後にいる少女に気付きながら、次の動作を繰り出していた

 

「引き裂カレろ! ゲンジュウロウ!!!」

 

「悪いが、俺も大人なんでな、容易くやられたりは、しない!」

 

言葉と共に再び震脚、地面が割れ、土が露呈する程の深い踏み込みが周囲を砕き割る

飛び込んできていた少女に瓦礫の破片が飛び散るが、気にすることなく複数のナイフを思い切り振るいぶつけようと飛ばす

しかし距離が近くなっていたことに気が付けず、振り飛ばした右手を掴まれそのまま真下にぶん投げられる

 

「クハッ! この・・・げほっ、ガハッ!!?」

 

起き上がろうとした少女は、うつ伏せになり咳を吐き出す、その中には血も混じっていた

それもそうだろう、ロクに物を食べれておらず、細身の少女を弦十郎の筋肉で投げ飛ばしたのだ

例えギアを纏っていたにしてもその衝撃は計り知れないものだ、これで決着がついただろう・・・

そう思えた・・・いや、思いたかっただろう。

 

「もうやめるんだ、これ以上は君の身体を壊してしまう。

そんな事に成れば、君の言う復讐も何も叶わない―」

 

「アンタに・・・カテないようジャ・・・目的ナンて・・・果たせやしないのよ・・・

だから・・・まだ動けるうちには・・・たたか・・・って」

 

「セレナ君!」

 

カッ!という音と共に、再び溢れ出す黒い光の奔流、弦十郎は溜まらず大きくバックステップして距離を離す、実際は近接で彼女を抑え込む必要があるが、先程から地面に落ちて散っているナイフが消えずに残っていることを危惧して、回避を取った

そうしていると、落ちて散っていたナイフが生きているかのように彼女に吸い寄せられて行く

 

「何を・・・する気だ! そんな状態でやれば君の身体が―っ!?」

 

辺りの建物を徐々に破壊し、顕現するのは刃の機神、その身体には所々に刃で作られた花の様な装飾が目立つように張り巡らされ、その姿はまるで龍の様な存在であり、約5m級のその胸部にはセレナは磔上に繋がれていた、その少女の瞳にはもはや光は灯らず、真っ黒な眼で弦十郎を見下ろしていた

 

「あ、アAaaaaaaaaaaaaaaーー!!!!!」

 

甲高い方向と共に、機神の顔の部分に黒い光が収束する、途端に―

カッ!と、収束した光が光線状に延び、弦十郎の居た部分から一直線に破壊する

それはまるで呪いを振りまく怪物の様に、だが少女は止まらない、止まる事を知らないかのように―

 

「俺には・・・俺達には・・・もう、彼女を止められないのか・・・?」

 

彼女の攻撃を回避した弦十郎だが、被害を見て騒然とする

もはや彼女をどうこうする前に、止めなければならない、それが今の弦十郎のやるべきことだと判断できた

だが、それを行うにも、自分ではやはり無力だと、そう思えてしまう自分自身に不甲斐無さを感じていた。

 

「頼む・・・セレナ君、やるなら俺だけでいいだろう、他を攻撃するんじゃ―」

 

しかしそんな言葉は咆哮によって掻き消された

もはや彼女には声など届かないかのようだった、だがそれと同時にどうにかしなければならないという使命に弦十郎は迷っていた・・・

するとそこに、ミサイルと共に【何か】が降って来た

 

「弦さん! こっちはあの装者に任せて僕たちは住民の避難を!」

 

「司令さん! あそこまでなると流石に司令にはきついと思う、だからここはわたし達に任せて!

行っくよ~、わたしの氷たち!」

 

そうして避難を優先される弦十郎、そして相対する相手が変わっても依然として、振るう刃を止めない機神

その刃たちに合わせる様につららを展開していくネコミミ少女

そんな中、弦十郎の端末に通信が入って来た

 

『弦十郎さん、私もお姉様を止めるために尽力させていただきます』

 

「なっ、クリス君!? 良いのか、協力してもらって」

 

『構いません、それにあんなお姉様、見ていられないですから』

 

その一言の後に、弾丸が機神の頭部に着弾する、反動で仰け反るが、それでも破壊には至っていない

そして怒ったかのように刃を乱雑に振り回し目に映るものをどんどん引き裂いていく

 

「ふ~ん、そんな鋭いんだ~っとあぶなっ!

ってあれ、ナニアレ! 斬れた所が溶けちゃってるじゃん!?」

 

機神が切り裂いた部分はまるで溶けたチーズの様にドロドロに溶けて落ちていた

ある程度まで溶けると固まり浸食が終わるが、それでも当たれば一溜まりも無く亡くなってしまうだろう。

しかし、機神は何も気にすることも無く、周囲の建物を遠隔操作のナイフで次々と溶解していく

 

「う~わ・・・ギアが彼女の扱っていた毒を体現しちゃってるって事なのかな~

だとしたら長時間の相手は絶対しない方が良いね・・・ま、空に浮遊していないだけマシと考えるべきか・・・なっ!」

 

飛んでいるナイフにいくつかの目星をつけて、つららを当てて行く、起動が微妙に逸れたのを確認しつつ、氷の礫を作り、アラレも無い方向に投げつけ、反射する。

すると、軌道を変えられたナイフにどんどん反射し、その数を増やしていた

 

「さ~て、少し遊びましょうか?

ジャックナイフはど~こかな・・・?」

 

そう言うと、懐に仕込んだナイフを一本、礫が反射している中に投擲する

すると、ナイフが一瞬で凍り付き、霧氷を作り出し、辺りが霧に包まれ出した

 

「流石に普通の人は凍えて動けなくなりそうだけど・・・鋼鉄に身を包んでるあなたなら問題無さそうだね~、ねぇセレナちゃん?」

 

まるで嘲笑うかのようにくるくる回りながらナイフの中に居る機神を見つめる

しかし機神はソレを意に介さず、両腕を縦に思い切り振るい、すべてを飛ばそうとしたが地面に着弾する瞬間に両腕が凍り付き動かなくなる

それに慌てた機神は急いで両腕をパージしようと藻掻くが、藻掻いた先に自分で飛ばしたナイフが次々に刺さっていく。

 

「さーて、そろそろ暴れるのは辞めて、その分厚い殻を脱いでもらいましょうか・・・

これが私の氷戟!」

 

―――――――Blizard Coffine Astfugel―――――――

 

複数のナイフが柄の長い槍の様に変容し、少女の機体にぶつかり、一部は少女を傷付けないように機神の身体を貫いていく

リセは正直なことを言うなら弦十郎に一度吹き飛ばして貰ってから戦いたかったと思っていたが、後の祭りだと思い、機神の胸部に居る少女を助け出すために手を取ろうとした・・・が

 

『Gulaaaaaaaaaaa!!!?!!」

 

少女の人らしからぬ咆哮を受けてリセは仰け反ってしまい、動かないと思っていた左腕に吹き飛ばされる

 

「なっ!? クァッ!? な、んで・・・あれだけ強固に固めたはずなのに・・・」

 

ギリギリ刃の部分から逸れたものの、巨腕ともいえる腕で殴り飛ばされたのだ、装者であっても、多量のダメージは免れない程だ

 

「Kulaaaaaaaaaaaa!!!!!」

 

叫びと共に、両腕を再生、そうして今度は両腕に黒いエネルギーが溜められて行く

 

「やばっ! まさかあれをまた撃つつもり!?

倒れている場合じゃないけど・・・流石に装甲が脆すぎてきっつ・・・

言ってる場合じゃないか・・・とにかく!」

 

そんな希望的観測を残しながら、少女は爪を立てる、ネコ科の動物の特徴であるソレを巨大な氷の爪に変容させて、その一つ一つがまるで鎌の様に変化、そうしてー

 

「せめて少しぐらい動き止めてよ! 守りたいものがあるんでしょ! セレナー!!」

 

―――――――ColdEdge Cross Absolute――――――――

 

自信を侵食する程の氷塊を纏いながら機神に突撃する

ただ、爪と言う爪に刃を乗っけ、複数飛ばしながら機神を撹乱し、的確に相手に届くように近付いていく

しかし機神は意にも介さない、まるで壊す対象を最初から目を付けているように・・・

 

「コイツ・・・何処を見て・・・え?

まさか! 務所狙い!? させないから!」

 

機神を中心にX字の氷痕を描きながらさらに氷塊を大きくしていく、機神を覆いこむほどの大きさに肥大化していく、そしてそれは辺り一帯のの温度までも下げていく程に強く冷えていく―

 

「絶対零度・・・その氷度は万象を凍てつかせるぐらい・・・らしいけど、ま、辺り一帯を氷海にするには丁度いいわよね・・・それじゃあ! 少し眠ってもらいましょうか! 機神!」

 

彼女の叫びと共に円形に作られていた氷の陣が機神を包み込み、一瞬にして氷塊の機神が出来上がった

大きなクリスタル状になったそれを確認し、一息

 

「・・・ふぅ、これで止まってくれたかな・・・はぁ~、全く、私でも弦十郎さんには勝てないってのに・・・この子はホントに・・・」

 

辺り一帯は静まり返り、生物達の音も聞こえない程の冷たい温度の中、少女はゆっくり動いている

まるで寒さを感じていないかのように―

 

「ひっさしぶりにこんな冷たい温度を放ったけど・・・うん、体調は問題ないね

・・・まぁ、周りが一番問題だけど―」

 

時期的にはそろそろ雪が降りそうな程ではあるが、それを超える天変地異の様な氷度を引き起こしてしまっているので、そもそも平気かどうか以前に大丈夫ではないのは言うまでもないだろう

だが、それでも、戦闘が終わったと言えるほどの状況でも無かった

 

「―――――――k――――ua―――――――a」

 

「え・・・今、何か聞こえて―」

 

「kiguluaaaaaaaaaaaa―――――!!!!!」

 

氷塊の中から超高温の刃と共に機神の叫び声が溢れ出る。

一度砕けた氷塊は、機神が少し動くだけであっという間に粉々に砕け散り彼の者を封じていた氷はもはや跡形もなくなり、周囲の温度も徐々に平温に戻っていく

それだけに、いや、それ以上にこの機神は―

 

「この高温・・・そしてこの瘴気は・・・呪い!?

まさか呪いを熱に転換しているって言うの!?

出鱈目が過ぎるわよ! 流石に・・・これじゃあ誰が相手でも勝てる訳が―」

 

『こんなところで諦めないで下さい! 私のお姉様を取り戻すまで、私は、あなた達を手助けします!

もしこんな所で諦める様なら、幻滅してあなた達をお姉様と共に叩き潰します!

良いですか! 私はあなたの力を信用します! だから―」

 

その言葉を継いだのは、この場に居る筈のない存在からだった―

 

「生きるのも! 助けるその手を止めないで! わたし達がついているから!」

 

リセのすぐ隣、機神に対して真正面から顔面を殴り飛ばす金色のガングニールがそこに居た

 

「んなっ!? 立花 響!? 何であなたがここに居るの!?」

 

「え? 何でって、助けるためだよ?」

 

「そうじゃなくて! 分かってるの貴女!? こっちに来たらある特定の周期でしか帰れないんだよ!?」

 

「えぇ!? そうだったの!?」

 

そんな事を知らずにこの少女、立花響はこの状況に介入して来ていたのだ

 

「まぁいっか、未来には少し行ってくるって言ってあるし」

 

「未来さん・・・よく許可したね・・・いや、むしろ分かってなくて言ったのかな・・・

まぁいいや、ようやっと平温に戻って来たところだと思うし、動けるよね? 立花 響?」

 

勿論です! とはっきり言葉を返す少女を眩しく見ながら、時間はもうすぐ夜中に移りそうなほど暗くなってきていた

 

「gうlua・・・arグruaAa-----!!!」

 

気が付けば先程両腕に溜め込んだエネルギーは氷を解かすために使ってしまったためか、今は黒くきらめいているだけになっている

そしてこちらが何かしているのに対して怒ったように刃を飛ばしてくる

 

「響! この子の刃には触れないで! 周りの建物みたいに溶けちゃうから!」

 

「うえぇ!? ナニソレ! ギアってそんな事も出来るの!?」

 

驚きつつも、的確に避けては落ちていた瓦礫で迎撃していく響

対してリセは、つららを複数自分の横に待機させながら避ける度に氷を打ち付けていく

もう間もなく夜に代わる時刻・・・そうなれば街灯も無くなったこのエリアは真っ暗になる

その前には何とかしないと、そう考えていたら

 

『・・・伏せてください! GO・・・FIRE!!」

 

言われてからの数秒、響とリセの動きが止まる、それに対して刃は対象を失ったかのようにウロウロとしていたが、次の瞬間一斉射撃の音と共に刃が砕ける音が響き渡った

そしてそれを皮切りに、二人ともに機神に迫っていた

 

「響に合わせる! やっちゃって!」

 

「はい! お願いします! すぅー、行きます!」

 

震脚、そこから放たれる拳は弦十郎のそれと酷似していたが、響はギアの力と誰かを助ける為の拳を併せ持ち、片方は機神の外郭を砕くために、もう片方は磔られた少女を助けるために全力で手を伸ばしていた

それを援護するようにつららを周囲に展開し、響を守るように氷が集まっていた

対して機神はその行動が気に入らないかの様に急速に後ろに下がり、その道をアガートラームの刃が無尽に数を作り妨害する、その後に、再び機神の口がエネルギーを溜め始める。

 

「響! アイツの顔面の軌道逸らせる?」

 

「はい、全力で! やってみます!」

 

『援護する、気を付けて・・・』

 

一直線に駆け抜ける響を援護するように二人が遠近両方から道を作るように、そして彼女を守るように弾丸で道を作ったり、氷のレールを作りその上を駆け、走り、飛び殴り込む

まるで彼女だけは近付けさせないように、離れようとする機神だがそれは別の何かに押し止められる

そう、それは壁のような、だが真っ白に彩られたソレは刃を持っていた

 

「あれは、翼さん!?」

 

「むっ? 誰かは知らないが、コイツを縛る手伝いぐらいはさせて貰う!」

 

「ああ、わたし達もコイツに借りがあるからな! それぐらいはさせて貰うぜ!」

 

「しかも奏さんも! わぁー! ツヴァイウィング勢揃いだぁ~!」

 

『前を向いて! 舌を噛むよ!』

 

言った瞬間、響の近くにあった刃たちが砕け散り消し飛ぶ、そしてその後には氷で彩られた道が出来る

 

「さぁ、あと少し、行って! 響!」

 

奏が周りに飛ぶ小剣をアームドギアで弾き飛ばし、翼もそれに呼応するかのように飛び回り、響の道を作る

彼女の心には暖かいモノが紡がれていた、恐らくソレは、この世界のセレナが知らない、だけど皆が知って欲しいと願う想いの形

その気持ちをアームドギアに込めて、響は叫び伝う

 

「この想い、響き、届けえぇーーーーーーー!!!」

 

機神の間近、上空から一気に機神を殴りつけようとしたときに―

 

≪純粋が!!! 邪魔を!! するなあぁぁぁーーー!!!!!≫

 

響の拳は確かに機神に届き、頭部を砕いた、が、それと同時に胸部に磔られた少女が響を掴み、殴りつけていた

 

「えっ、あ、ぐあっ!!」

 

≪はぁ・・・はぁ・・・貴様の様な・・・太陽が・・・

ワタシノセカイni入りコんで・・・来るな・・・いや、こないで・・・いやぁ!!!!!」

 

響は殴り飛ばされ地面にうつ伏せで受け身も取れずに倒れる、だが少女の纏っていた機神は分解され、少女は黒塗りになりながらも、両手で頭を抑え込み苦しむように地面に倒れ伏した

それに反応して奏が支えようとしたが、機神の破片がソレを許さないかのように立ち塞がり、彼女の邪魔をする

 

「セレナちゃん! もう終わったの! 戦いはもう」

 

「おwaって・・・ない、まだ・・・ワタシは・・・まd・・・ぐぁ!

痛い・・・イタイ、いたい!! ナンデ! 何でこんなニくるし・・・イ・・・の・・・タス・・・けて」

 

しかし少女の苦しみとは別に機神は少女を守るように立ち振る舞う、まるで誰も近付けさせないかのように、その体躯は先程少女が入っていた時よりも小さいものだが、それでも、立っている足先からは蒸気が噴き上がっていた

 

「おい! お前の主人がピンチなんだ! そこをどけよ!」

 

「奏! 近付いちゃダメ!」

 

奏が近づこうとした瞬間、刃の切っ先が奏のアームドギアに当たり、部分的にはじけ飛ぶ

まるで近付く者を許さないかのように、機神・・・いや、もはや機兵と言った方が良いかも知れない

彼の者は少女の状態を確認するでもなく、目の前にいる相手を威圧していた

 

「ダメだよ・・・そんなことしちゃ・・・手を繋げなくなっちゃ―」

 

『立花さん・・・でしたか?』

 

唐突に、弱い声色ながら、聞き覚えのある声が響だけに届いてきた

 

「え・・・っと、クリスちゃん? だよね?」

 

『え、私の事を・・・知ってるの?

ううん、それより、手を繋ぎたいって・・・本気ですか?」

 

「うん! 本気だよ

だって、一人なんて、寂しいから・・・その寂しさを知ってるから、だから、たとえ違うセレナちゃんでも、私は、この手で助けることを諦めたくない! 伸ばしたこの手を! 絶対に誰かに繋げる為に!」

 

『そう・・・ですか・・・まぶしい・・・ですね・・・」

 

え、眩しい? と、反芻した言葉に返事は無く、瞬間、響の視界は気付いた瞬間には地面に落とされていた

―――――――

 

 

 

 

 

 

次回に、闇は続く―

 

 

 

 

 

 




まだ戦闘が続くんじゃ(なんでや!)
因みに、セレナちゃんがLAST∞METEOR撃ってるのは、自分の心の技が無いからと言っておく
そろそろ作り置ききつくなってきたかも・・・もうちょい頑張る!
ツヴァイウィングのライブまでどれくらい掛かる事やら・・・では!

現状いまの文字数で良い? (七千~一万程

  • そのままのペースで?
  • もう少し減らして
  • 読み足りない?

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