荒れたセレナと、臆病なクリス   作:蒼葉蒼輝

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先に書いておきます、今回想定以上に長いです。
まさかここまで長くなるとは思ってなかった、まぁ、セレナさんの大切を積めたら・・・気が付いたらえらい文字数に成っちゃいました。
そして出来たの28日になる直前・・・二週間前ぐらいに書いてたのにどうしてこうなった。
それでは、時間があるときにどうぞ―


クリスの誕生日! 2020

 

 

・・・12月某日―

 

こんにちは、セレナよ・・・いつもこんなあいさつでごめんなさい。

 本当は結構気分はいい方なのだけれど、口調が変えられないの・・・これは、もう昔からこんな喋り方していたからなのだろうけど、それでも昔は礼儀正しい可愛い子とか言われてた気がする。

 まぁ、だからと言って昔みたいな喋り方は、もう出来ない、大体あの頃の話し方は忘れちゃったら・・・

それは兎も角、そろそろクリスの誕生日ね、毎年祝ってあげてるけど、今回は前と違って倉庫とかで祝うなんて味気ない事をしなくて済みそうなのが、何より喜ばしい事だ。

 これに関してはクリスも嬉しそうに話してくれる・・・その笑顔が何より綺麗で・・・

だから、クリスに何時も助けて貰ってるお返し・・・と言うのもおかしいのだけれど。

 せめて、生まれた日、その大切な時を感謝するぐらいは、しても良いでしょ?

 

 

  ・・・だって、私達には、大切なものが、お互いしか知らないのだから・・・

 

 

 

―――陽溜まりにゃんにゃん―――

 

 

最近ではここを起点に色々やらせて貰ってる・・・とはいえ、意図的なのか家から近いのよね・・・

 クロエルもよく私の膝の上を占領して丸くなってるし、悪い気はしないけど。

主な外出以外は大体こうして猫たちの相手をしている気がする・・・生来からのものかもしれないわね?

 それに気が付くと私の周りって猫塗れになるのよね、何でこんなに集まって来るのだか・・・リューシェ曰く皆一緒に遊んで欲しいらしいのだけど、私そんなに懐かれる謂れ無いんだけれど?

 ・・・それは兎も角、今はクリスと別行動してる、一応だけど彼女のバースデイプレゼントについて考えたいから此処に来たってのがあるのだけど、いつも大したものを渡せてないから、こういう時はしっかりとした贈り物をしたいわね・・・この前の私の誕生日の時には特別なプレゼントを貰ったから、お返し、と言うのは違うわね、彼女は私と違って祝われるべき人だから、だから・・・・・・

 

 

「それで相談しに来たって事ですか、セレナさん」

 

「アンタぐらいしかまともに相談できそうな人が居なかったのよ、悪い?」

 

「いや、悪く無いけど・・・そうですね、セレナさんが蝶の髪飾り、でしたらクリスさんは雪の結晶を(かたど)ったアクセが一番かなと」

 

 

やっぱり、そう言う感じよね、まぁ、今までそう言った凝ったアクセなんかは作っても上げられなかったし、そう言うのが一番かも知れないわね・・・

それはそうと、彼も何だかんだ作るつもりなのかしら?

 

 

「いや・・・前回のセレナさんの誕生日の時に懲りたから流石にパーティみたいなバカ騒ぎはやめにするよ。

皆も反省してるみたいだし、僕は無難に猫のアクセでも作っておくよ」

 

「それでも貴方はブレないわね・・・」

 

「まぁ、ね それで、買い付けてくるのかい?」

 

 

・・・そんな都合のいいモノなんて売ってるわけないでしょ?

とは言っても、贈り物をする以上、他のヤツが作ったものなんか渡しはしないけど、ね?

でも、クリスも年頃の子な訳だし、やっぱり可愛らしいモノが良いのかしら?

 

 

「そこの所どう思う? ねぇ凪?」

 

「いきなりそんなこと問われても僕には答えようもないし・・・

第一、彼女って何が好物なのか分からないし・・・」

 

 

まぁ、それを聞いても『お姉様以外に好きな物は無い』なんて返されそうだけど。

 それはそれで、困るけれど・・・雪音・・・う~ん、安直な物は、避けたい気がするけど。

 

 

「それでも心のこもった物なら、あの子は凄い感謝すると思うよ?

何せ大切な人から貰ったプレゼント、どんなものでアレ、彼女はそれを無碍にする事は無いと思うけれど?」

 

「逆にそれが心配なのよ、下手に食べ物を渡しても『大切なものだから』って一切手を付けないから、手作りの食べ物とかは禁止、後考えられるのは手軽に持っていけるアクセサリーか、飾れるものとかが一番なのだけれど」

 

「なら、休みの時間についてきてくれるかな?」

 

 

 何をする気なのコイツ・・・まぁ、午前中も暇でどうしようか考えていたけれども、そういえば、そろそろクリスマスって言う祝祭の日が近いって言ってたっけ?

それでクロエル達、猫の子達も赤い羽織みたいなの付けてサンタの装束に揃えてる訳ね、何となく納得。

 

それに店内にやたらと大きい木が立てられていてその装飾は豪奢とも言える程・・・と言うよりこんな大木何処にあったのかしら?

とか聞いてみると『魔術の神秘』とか訳の分からない返しをされてしまった・・・それって錬金術の神秘とかと同じ理由かしらね?

クリスマスの様なイベントも年に一回だから色々やるのも分かるけど、こっちのイベントも一年に一回、何よりも欠かせないクリスの誕生日、だから、絶対に失敗とかはしたくない。

例え邪魔されたって私は――

 

 

「あ、今は別にセレナさんを邪魔する人も居ないと思うよ・・・あ~でも、響さん、まだいるんだよね・・・」

 

「いい加減帰らないの? アイツ」

 

「帰してあげたいんだけど、まだ起動状態じゃないんだよね、ギャラルホルン・・・

こうなると、年末年始のイベントも彼女がとんでもない事しそうで困るな・・・

歯止めの人が居ないし、第一この世界だと彼女の知り合いも少ないし。」

 

「ご愁傷様とだけ言っておくわ」

 

 

まぁ、あの子のお陰で今の私達がある訳だし、それだけは感謝はしておくけど、それはそれ。

 今は・・・取り敢えず、翼と奏のクリスマスライブで忙しいと思われるあのメンバー達は頼れないし、第一、頼るつもりもない。

だから彼、凪 翔希、に頼みごとをしている訳ではあるのだけど・・・

 

 

「まさかクリスさんが率先してライブの支援をするとは思わなかったな。」

 

「あの子も、平穏に生きてれば、今みたいに笑顔でいられたかもしれないのだけど・・・

私も、きっと、そうだったのかしらね?」

 

「でも、【かもしれない】をいくら並べても【現実】は変わりませんし。

ソレでしたら今出来る事を最大限成していくのが一番でしょう、そうではありません? セレナさん」

 

 

・・・ご尤もだけど、なんか癪に障るのは何故かしら・・・?

とにかく、手作りの贈り物をする事にはしたけど、道具も無ければ技術もない(?)から、その辺どうしたものか・・・何か案はある?

 

 

「でしたら、以前クリスさんも世話になった所に行きましょうか。

僕もそろそろ取りに行かないといけないモノが有りますからね」

 

「あぁ、前私の髪飾りを作ったって言っていたところかしら?」

 

「うん、こっちだと大分世話になってるからね。

それに、セレナさんをそっちに案内するつもりだったし。」

 

 

最初っからそのつもりだったのね、コイツ・・・

まぁ、それはいいや、でも、急がないとそろそろ時期的にキツイのよね・・・

 

 

「取り敢えず、休みの時間まで待っててもらえるかな?

時間になったら呼ぶから」

 

 

としたら、時間までは暇ね・・・他にも誰か居ないし・・・どうしたものか・・・

 外はクリスマスムード一色だし、私が行っても違和感しか無いと思えるけど。

まぁ、暇な時の時間潰し位はできるかしらね?

取り敢えず、外で適当に時間を過ごすことにした・・・は良いのだけれど。

 

 

 

―――――アーケード街―――――

 

 

「何この人数・・・・・・・」

 

 

確かにクリスマスで色々催し物が出てるのは知ってはいたけど、此処まで人が多いとは思わなかった・・・

 こんな狭い都市なのにどうしてここまでの人間達が群れることが出来るのだか・・・

前居た世界の広さを考えれば、この都市は遥かに狭いはず、なのにも関わらず、ここに居る人たちはソレに対して違和感も何も持っていないんだろうな・・・

 少なくとも、私はこの空間には息苦しさと違和感しか感じない・・・

もう少し閑散とした場所は無いのかしら・・・?

 

 

「・・・人の少ないカフェにでも行くしかないかな・・・?」

 

 

正直、このまま何もせずに歩くのも気分が悪くなりそう・・・

 と言うより、悪い、正直に気持ち悪い、こんな場所に留まる位なら倉庫の片隅に閉じこもっていた方が良い位だ・・・

 まぁ、前潜んでいたあの場所は、私の重要品を回収したのちに完全処理されて、もう更地にしかなってないらしいけれど。

それで、人での少ないカフェを探していたのだけど・・・

 

 

「何処も彼処も人だかり・・・日本ってこんなに集る生き物ばかりなの・・・?」

 

 

 いつもは閑散とした場所にしか居なかったから分からなかったけど、今にして思えばこの都市部にうん十うん万の人が住み着いているらしくて、それが一堂に会せばこういう事にもなるだろう、でも、これでも一部分しか此処にはいないんだろうな・・・あ、やばい・・・少し吐きそうかも・・・

 

そうこうして、適当にぶらついていたら・・・

 

 

「あ、あの、セレナ、姉さんですよね、大丈夫ですか?」

 

「うん?・・・貴女は・・・たしか」

 

 

 この間不慮の事故で助けた子だったかしら?

前、衣服の買い付けだか何だかでツヴァイウィングに振り回されたときに、色々あって助けた子が居た、まぁ、気が付けばその子も私の【ナニカ】に当てられたのか、この子の方が年上にも拘らず私の事を【姉さん】呼ばわりする始末・・・クリスのは分かるけど、他の子に関しては良く分からない。

まぁ、それは兎も角・・・

 

 

「大丈夫よ、只あんまりの人の多さに気分が悪くなってただけ―」

 

「それ大丈夫じゃありませんよ! 家にすぐ来てください!」

 

 

 そうは言うけど、ってもう手を引っ張られて連れ込まれたのだけど・・・まぁ、悪い子じゃないのは分かるけど、この子の強引さには何故か惹かれるのよね・・・いや、引かれてるのかな?

 まぁ、この子は私の過去を知らないけれど、後で何か聞いたら【かっこよくて素敵】とか応えられて、もう何が何だか良く分からないけれど、歓迎はされてるようだし、興味は無いけど別にいいかなと・・・

 ついでに凪の知り合いでもあるらしいのだけど、彼女の親が・・・・

・・・そんなこんなで彼女のカフェに連れ込まれた・・・他は結構混んでいたはずなんだけど、此処は相も変わらずそこまでの人は多くいなかった、大丈夫なの、此処?

 

 

「今はそれよりセレナ姐さんの方が心配ですよ!

兎に角、姐さんはもっと頼ってください!」

 

「そ、そうは言うけど・・・いいの? 楓子?」

 

「良いも何も、私は姐さんに助けられたんですから尽くさせて下さい!」

 

 

そう言ったのは、何だかんだ世話焼きな彼女【柴羽月 楓子(しばつき ふうこ)】ほんの少しの関りだったのに、何故か私達に良くしてくれる、ついでにツヴァイウィングの大ファンで家族みんなで良く応援に行くそうな・・・

まぁ、それは置いておいて―

 

 

「ふぅ、まぁ、助けてくれたことに感謝するわ ありがとう楓子」

 

「そ、そんな、ね、姐さんから感謝なんて―」

 

 

・・・なんでそんなに顔を赤くするのかしら? 私達普通に接してるだけよね・・・?

あ、そうだ

 

 

「ねぇ楓子、この辺りで手作りプレゼントが作れる場所とか知らないかしら?」

 

「ふぇ!? て、手作り、ですか・・・?」

 

 

そんなこんなで、色々と楓子から聞くことが出来た、彼女のご両親も私達の関係を微笑みながら見守ってるのがなんとも・・・

これも何かしらの因果があるのかしら?

まぁ、それでも私も助けられているし、彼女と一緒に居ても割と平気に感じるのは何かしらがあるのかしらね?

と、そんな感じにここで結構な時間お世話になってたら―

 

 

「っと、連絡・・・やっとね、もしもし、こちらセレナ、今は前に世話になった喫茶店に来てるけど―」

 

『えっと、柴羽月さんの所であってる?』

 

「ええ、こちらからそっちに行った方が良いかしら?」

 

『いや、そこからなら割と近いし、こっちから迎えに行くよ、えっと・・・』

 

「一分もかからないでしょ? それぐらいなら待ってるから早く来なさいよ?」

 

 

まぁ、彼なら相当な速度でここに来てくれるでしょうし、気にする必要も無いでしょうね。

・・・と、残りの紅茶を飲みながら少し待ってると・・・

 

 

「・・・・・・セレナさん、わざと急かせませんでした?」

 

「何の事かしら?」

 

 

割とほんとに何の事?

 

 

「まぁそれはいいとして、行きましょうか」

 

「はぁ、まぁいいや、ごめんね、世話掛けたみたいで」

 

「い、いえ、姐さんと過ごせて私は楽しかったので別にいいです!

あ、またのご来店、お待ち、してます!」

 

 

顔を赤面にさせて私を見送ってくれる彼女に微笑みかけ手を軽く振り店を後にする。

 

 

「さて、じゃあ急ぎましょう」

 

「相当やる気だね、まぁ、僕もあの人たちの世話になってるし、と、この話は別にいいか。

それじゃ、すぐそこだし早く行こうか」

 

 

そう言って歩いて行った先・・・工房と書かれた場所に着いた

ここって・・・

 

 

「こんにちわ、また世話になりに来たよ」

 

「お? そろそろ来るかなって思ってた所だよ~・・・お?

な~にその美人さん~、しかもまた外人~? 相っ変わらずのたらしっぷりだね~」

 

「そんなんじゃないから・・・それより美樹さん、例のヤツ取りに来たから・・・」

 

 

・・・何この間延びした人は・・・

 

 

「一応紹介しておくよ、彼女はこの工房の奥さんで―」

 

「結弦 美樹だよ~ 見てる人は二回目だね~

また会えると思ってなかったよ~ ま、これからも何回か合うかもだけどね~」

 

「・・・誰に対して言ってるの?」

 

「およ? その髪飾り付けてくれてるんだね~

うわ~すっごい似合ってる~、ん? って事は今回はお返しかな?

ん~! いいね~青春してるね~ 女の子同士だけど応援しちゃうよ! 私は」

 

「・・・何この変態 後クリスのこと知ってるの?」

 

「ちょっと、セレナさん、変態って言っちゃダメだって・・・ってあれ?

誠司さんは?」

 

「うんにゃ? せーじきゅんなら配送に行ってるよ~?

君達が来るなら急いで戻って来るように言っておこうか?

どうしなくてもお返しのクリスマスプレゼントに手作りのを~って言う奴だよね?

あ~、あっついのいいねぇ~ 青春だね~ 焼けちゃうね~・・・ 燃えちゃえ」

 

「あの、みきさん? 今何言いました?」

 

「べっつにな~んにも言ってませんよ~? 気の所為じゃない?

えっと、何ちゃんだったかな?」

 

「セレナ」

 

「っと セレナちゃんね~・・・え、マジの外人なの?

日本語めっちゃうまいんだけど」

 

「いやそこ突っ込んじゃダメだから! やるのめんどくさくて編集してないことバレるから!」

 

 

・・・・・・さっきから何言ってるのこの人達・・・?

それに、私はクリスマスプレゼントに、じゃなくて・・・

 

 

「ふぅ~ん、誕生日がクリスマスの三日後に~、ね~?

ま、頑張れば間に合うかな? で、クリプレど~すんの?」

 

「? くり、ぷれ?」

 

「クリスマスプレゼントの略よ~ だって言うのも書くのもめんどいじゃん。

え、メタい? しらな~い」

 

「・・・そっちは・・・クリスと一緒に過ごそうかと・・・」

 

「あ~ あっつい・・・取り敢えずご馳走様しときますね~

ほんじゃ、翔希くんは出来てるのあっちにあるから~

んで、ね? 何が作りたいとかあるのかな?」

 

「・・・・・・雪の結晶、みたいな・・・オーナメントって言うのかしら?

そう言うアクセに出来るものをって」

 

「う~ん、メジャーだけど、蝶の奴より難しいよ?

それでも―」

 

「やる、この日だけは逃せないから」

 

「うん、わかった~、とりま 誠司さんに連絡してからやってくね~」

 

 

いうが早いか、既にメールを送ってるように見えたのだけど、兎に角―

 

 

「そんじゃ、始めましょうか?」

 

 

何でか既に工房の方に移動してた、あれ、いつの間に・・・?

 

 

「細か~いことは気にしちゃだ~っめ、さ、時間があるうちに型を作っちゃいましょ?」

 

 

・・・気にしちゃダメなモノってそれほど多くは無い気がするのだけれど?

今はそれより大切な事があるから、兎に角そっちを優先しよう・・・けど―

 

 

「クリスも同じように来たのかしら・・・?」

 

「ん、まぁ、プレゼントって大切なものだからね~

やっぱり適当に【なんか】で済ませたくないじゃん? セレナンもそ~だよね~」

 

「・・・そうかも知れないわね」

 

「うや! まさかのツッコミ無し! これは中々手痛いね~

はぁ~、それじゃやりますか」

 

 

 やっとか、何かやけに時間が掛かった気がする、気のせいかしら?

まずは完成図を書き出していく・・・のだけど、絵はあまり得意じゃないのよね、クリスは綺麗に描いてくれるけど、私のは大分抽象的になってるってよく言われる。

 それでも良く分かるらしいのだけど、それが何でかはよく分からないらしい。

なんなんだか・・・と、思ってるうちに何とか元型にするモノができた。

 

 

「う~わー、アンタ達って揃いも揃って才人ぞろいなのかね~

これだけ器用にできるなら別にそれ程時間掛からないと思うよ~・・・っと、なになに?

 『帰って来るまで少し待ってくれ』ってコレ翔希からの連絡じゃん!

な~んでうちの旦那は連絡を遠回しに送って来るのよ~!」

 

「えっと、一先ず置いといて良いって事かしら・・・?」

 

「ん~、ま、仕方ないか~ わたしも仕事に移るからテケト~に見て回ってていいよ~?」

 

 

発言が相も変わらず適当なのが何と言うか・・・よくこんな人と一緒に居るな、と思う。

 それでもしっかりしてるのか、やる事に凄い紳士に取り入ってくれてる様子が不思議と見えた・・・なんでかは分からない、でも、クリスも彼女の言動をしっかり受け止めてコレを作ってくれたんだと考えると、まぁ、感謝はしないと、ね?

 それは兎も角として、この空いた時間をどうするべきか・・・と、一つ、不思議な作品が目に入った。

あれ、この形・・・何処かで・・・?

 

 

「おぉ? そんなところに有ったんだ~ いや~色々置いてると管理が大変で困るよね~

いや、わたしの所為でもあるか~」

 

「あの、これって・・・」

 

「北欧の妖精さんで、トントゥって言うらしいんだ~

なんでも、人に祝福を与えてくれる不思議なお守り人形さんだってさ~、ま、私もうろ覚えだからよく知らないんだけどね?」

 

 

妖精の伝承・・・昔自分の扱っていたギアの出力を引き上げる為に対象になった力で、昔の私のギアの象徴でもあった、けど、今の私には、多分その力は扱えない・・・

 

 

「まぁ、この子達もクリスマス用として喜ばれるプレゼントとして有名なんだよ? 一部ではだけど」

 

「そう・・・」

 

「あ~、信じてないパターンかなこれ~

これでも今年のトントゥは結構売れたんだよ~・・・たまたま作り過ぎちゃって少し余っちゃったけど~?

 良かったら貰ってくれない?」

 

「え? いい、の?」

 

「いいよいいよ、むしろ大歓迎だと思うよ、その子も多分喜んでくれると思うしね?」

 

 

そう言って手渡されたのは二つのトントゥ・・・いやこの場合は二人と言った方が良いのかな?

 片方の背はそれなりに高く、もう片方は寄り添うように作られている、二人ともクリスマス仕様に出来上がってる・・・でも妙に出来過ぎてるような・・・?

 

 

「いや~、翔希氏からの注文で少し量間違えちゃってね~

うや基本そんな間違えしないんだよ? でも今回は特別感があるというかね?」

 

「・・・・・・それにしても、よく喋るわね、貴女」

 

「旦那も無口だからね~ 誰か喋ってないと此処静かすぎて何か出そうだもんよ~

ほら、あそこの木の人形とか今にも動き出しそうじゃない? いや~よくこんな怖い所に居るわ~自分、マジに怖いな~」

 

「全然怖そうじゃないわね・・・」

 

「怖がって仕事が出来ますかっ、てなもので~ あ、お帰り~旦那~」

 

 

 話してる最中に誰かが歩いてるのが聞こえたと思ってたけど、此処の主人が帰って来てたのね。

成程、確かに無口そうな人ね。

 

 

「彼女がそうか?」

 

「うん、そうよ~、今回は結構難しそうだから時間結構掛かりそうなのよね~。

あ、これ下書き~」

 

 

言うが早いか、私が描いた下書きをじっくり見つめる男性・・・

 凪もそうだったけど、大概関わる男って妙に特徴あるわね、彼も手元に切り傷が絶えないぐらいにあるわ・・・

 じっくり見る事数分、やっと口を開いた

 

 

「コレを自作していつまでに完成させたい?」

 

「二十八日、あの子の誕生日までに」

 

「そうか、ならすぐに取り掛かろう」

 

 

やっぱり行動が早い、もう既に道具を取りそろえて工作準備が完了してる・・・流石仕事人とでもいう所かしら・・・?

 

 

「それでだ、アクセにするにしても色々あるのだが」

 

 

・・・説明は色々あるから少しだけ端折らせて貰いましょうか。

 大体的に言わせれば、私の付けてる髪飾りが【一本づくり】の蝶々型、それで多機能で色々使い勝手のある【可変型】とか色々あるらしい

 今回作る雪の結晶型はこの【多機能型】を作る事が多いらしいから・・・まぁ、こっちを作ってみましょうか。

 ・・・ただここからが相当大変だったのは言うまでもない事だったのだけど、それはこの際省略させて貰いましょ? 以前クリスも作ったらしいし、今日一日で出来る事はそこまで多くは無いらしいから、雪の結晶の一片一片を少しずつ丁寧に作り上げて、それから―

 

 

「・・・・・・見てる人は何をどう作ってるかって言うとね~ 木を粗削りして型を取って細かくしていってってクッソめんどくさい事してるの~、だから気にしないでね~、木だけに」

 

 

・・・どうしよう、この一片鋭くして刺そうかしら・・・

 

 

「ごめんごめん、あんまりに真面目が過ぎたからおちょくりたくなってさ~、ね?」

 

「悪い、翔希、いるならこいつをどっかに連れてってやってくれ」

 

「僕は別に便利屋じゃないんだけど・・・それで、どれぐらいかかりそう?」

 

「・・・そうだな、彼女も相当出来るとみてるから・・・二日、いや、三日四日と言った所か

後は、そうだ、翔希、後で相談に乗ってくれるか?」

 

「ん、了解、今晩でいい?」

 

「あぁ、それでいい、どうしなくてもクリスマスの奴は全て完了して暇をした所だからな」

 

「新年のはいいの?」

 

「新年明けは毎年暇を頂いてるからな、そっちと違って」

 

「あ~そうだったか・・・まぁ、忙しいこっちとは違うよね」

 

「こっちが暇みたいに言うな」

 

「ごめん、そう言う意味で言ったんじゃないんだけどね。

クリスさんの誕生日まであと一週間くらい、だっけ?」

 

「だいたいそれくらいね・・・

兎に角、これは秘密にしておいて欲しいかな・・・」

 

「分かってるよ、じゃ、僕は帰るから、後は頑張ってね」

 

 

 えぇ、また、そう言うと、彼自身はゆっくり帰って行った。

やっぱり相当無茶してきたんじゃないかと思ったけど、そうでもない、のかしら?

 

 

「それじゃ、今日は出来る所まではやって行こうか」

 

「えぇ、お願いしますね、先生、で良いのかしら?」

 

「慣れない呼び名で呼ばなくても良い、普通に名前で呼んでくれ」

 

 

分かったわ、誠司・・・そう言えば、自己紹介してない気がするけど―

 

 

「来た人の名前は大体美樹が教えてくれるからな、気にはしてないが、覚えはする。

まぁ、仕事関係をメインにするからな、こっちは」

 

「そう、ま、それが一番ね」

 

 

 不思議と彼とは気が合いそうね。

・・・・・・と、そんなこんなをやってて・・・

 

 

 

 

―――――――ごめん途中端折る!――――――

 

 

 

クリスマス前日・・・相も変わらず人出が多いわね・・・

 まぁ、ここ最近は本当に平和なモノ・・・災厄が降らないのも逆に珍しく感じてしまうほど・・・ね。

これが、本当の平和なら、どれだけ良かったのか・・・

 まぁ、そんな事言ってる場合でも無くて・・・

 

 

「セレナさん、調子は・・・もう少しかかりそうだね」

 

「やっぱり難しいわね、小物づくりなんてあんまりやって来なかったし・・・

でも、間に合わせないと・・・」

 

 

だって、何より大切な、クリスの為に―

 

 

「焦りは禁物だ、何に対しても【急いては事を仕損じる】。

それにもう直に完成間近まで来てるんだ、頑張れば今日中には全行程終わらせることが出来るはずだ」

 

「ふぅ・・・これで・・・後は・・・」

 

「しかし、本当に全部やるのか? なんなら色彩工程はこっちで―」

 

「やる! 絶対・・・誰かの手を借りてなんか・・・」

 

「・・・ふっ、その意気があるならこちらはそこまで手出しはしないさ。

只注意しろよ? これだけ細かい細工品、下手をすれば直ぐに壊れる」

 

「えぇ、だから、簡単に壊れないように気を付けなければ、ね」

 

「しっかし、セレナさんも相当やりますよね・・・一つだけかと思ったけど」

 

「私たちは二人で一つ、それを真に願ってるから・・・だから」

 

 

作るのは、常に二つ・・・これだけは、譲れないから―

 

 

「よし、これで通せたな・・・後は―」

 

「セレナさん、コレを使ってください」

 

 

これ・・・? 普通の絵筆のようだけど・・・?

 

 

「出来たんだな、翔希」

 

「当然、と言いたい所ですが、色々やってたんで結構掛かっちゃいましたよ・・・」

 

「・・・とにかく、これで隙間なく塗って行けばいいのよね?」

 

「あぁ、それでいったん乾かして、次に色彩を付けてそれからもう一度、の三度塗りをしていけば大体剥がれる事も無いだろう」

 

 

ふぅ、結構掛かっちゃったな・・・クリスに内緒で色々やってたし、クリスマスの日はクリスを沢山甘やかして上げないと、怒ってるかもしれないし・・・

 

 

「それじゃ、こっからは時間が掛かる工程だし・・・いったん区切ろうか?」

 

「そうだな・・・それじゃまた後でな」

 

「・・・さっきから何か良く分からないのだけど、なんなの・・・?」

 

 

 

―――――もう少し時間置くよ―――――

 

 

 

―――自宅―――

 

 後は完全に乾くまで時間が掛かるからと言われたので、明日、クリスマスの日には何とか出来上がって来るだろうという所・・・さて、じゃぁクリスマス当日はクリスの日にしましょ?

・・・と言うより今まで離れてた分抱きついてないと落ち着かない・・・のだけど。

 

 

「姉様・・・また何かしてたんですか・・・」

 

「クリス、まだ機嫌直してくれないの・・・?」

 

「流石に何かしてるのは判りますが、それでも危ない事を一人でしてるんじゃないかって心配にもなりますよ! 良いですか! 姉様はですね!」

 

 

・・・結構怒られてしまった、やっぱり、誰かと一緒に居るのは難しいわね・・・

 これでも、昔は、誰かと一緒に居ないと不安で仕方なかった、それは、多分今も変わらない。

今はそれがクリスに変わってるだけ、今はクリスと一緒に居ないと、心が落ち着かない、それはまるで呪いのようで、でもそれが私を落ち着かせる【安定剤】のようで・・・

 時折り、それがとても悲しくて辛くもなる、いつか、失ってしまいそうで・・・だから―

 

 

「ずっと大好きよ、クリス」

 

「―――っ!!?!? お、お姉様っ!?」

 

 

 今大好きなのはクリスしか居ない、それ以外は、もうこの世界からは、消えてしまったのだから―――

これからも、ずっと――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――クリスマス当日――――

 

 

 

 

・・・気が付いたら、クリスを抱いて寝てしまっていたらしい、でも、クリスも満足そうな顔しているから良いか。

 今日は一日クリスの日、で、ツヴァイウィングの大型ライブの日・・・らしい。

まぁ、そっちは気が向いたら行くようにしよう、夜の七時かららしいから、いい記念日になればと思うけれど、ね?

 

 

( ※例のライブの一年前なのでまだ起動実験はしません、そもそもアレ多分新年一発目のライブだと思うので―

後本編に関わりそうなので一般的に成功したライブをやります! いつもライブ滅茶苦茶になってたので(GX除く) では)

 

 

 さてと、朝風呂を一緒に入って身嗜みをととのえましょうか・・・あ、クリスは相変わらずまだ寝ぼけてるのね・・・ほんと、可愛らしいんだから。

 

 

「ふぇ? お姉様?」

 

「もう、クリスったら、ほらしっかりして?」

 

 

顔に水を浴びてスッキリさせてる筈なのに目が未だにトロンとしてる・・・あぁ、もう今日一日中抱いてたい・・・いや、ダメ、今日はクリスと居られなかった分、思いっ切り遊ぶって決めたから・・・

 

 

「にゅぅ、お姉様・・・着替えさせて・・・」

 

「クリス・・・そこまで堕落しなくても・・・」

 

 

さ、流石にそこまでは―

 

 

「だめ・・・?」

 

 

あの、上目遣いで見ないで、やっちゃうから・・・あ、ごめん、我慢できない!

こんな風に誘うクリスが悪いんだから・・・ね?

 

 

「ふにゅ! ちょっ、お、お姉様、そこはっ! ふみゃん!!」

 

「く~り~す~? そんな悪いことするのはこの身体? それともこの口かしら?」

 

「あふっ、だ、だめ、そこ、敏感、だかr、あぅっ!?」

 

「ふふっ、クリスってば慌てちゃって、ほんっと可愛い」

 

 

 

 

・・・遠くで見てる姉さん、もう一人のわたし、皆悪い子に仕上がっちゃってます、ごめんなさい・・・

でも。

 

 

「クリスもすっかり大きくなったよね・・・ここが」

 

「そ、それは、お姉様が、ふみゃう!?」

 

「(あぁ、可愛すぎてヤバイ)あぁ、可愛すぎてヤバイ」

 

「お、お姉様今思った事そのまま口にしませんでした?」

 

「(何の事かしら?)可愛いんだから仕方ないじゃない」

 

「・・・お姉様・・・」

 

 

 いつも通りだと思うのだけど・・・違うかな・・・?

あ、こんな事してると時間が無いんだった。

 

 

「ほらクリス、早く着替えてご飯にしましょ?」

 

「お姉様・・・大好きだけどこういう所少し嫌いです」

 

「クリス・・・そんなに嫌いだった・・・」

 

「あ、ち、違いますよ! お姉様の事は大好きです!

・・・でも、朝はいつもうまく起きれないんです・・・布団の魔力が強くて・・・」

 

 

分かるけど、少しは抵抗して・・・

そんなこんなだけど、私達自信のこの幸福な時間は、何よりもやっぱり大切で、私が唯一傷付かずにいられる時間・・・クリス以外とは、こんな事は、あり得ないから―

 

 

 

 

――――少し送るよ――――

 

 

――――――クリスマスのアーケード街――――――

 

そんなこんなでやって来た恋人たちのクリスマス、司会は、しません、以上 凪 翔希でした。

 

 

 

・・・何今の、文字数多くなってヤバいんだけど(メタァ)

 

 

「前も見に来ましたけど、いつもよりやっぱり人多いですよね・・・」

 

「えぇ、これほどの人数が一体どこに居たのやら・・・」

 

 

・・・やっぱりクリスと居ると気持ちが落ち着く、何より変に気負わなくて良くなる、周りのクリスマスの祝福(Bless)が不思議と気分を高揚とさせてくれる。

それでも、クリスとこうやって穏やかに過ごせてるのは・・・やっぱり。

 

 

あの人達(二課)には感謝しておいた方が良いかな・・・」

 

「そう、ですね、あの人たちが私達を泥沼から救ってくれた・・・それはやはり感謝するべき、ですが・・・」

 

「何でもに感謝できるわけじゃない、けど、今はそれにも一応感謝を・・・」

 

 

そうして、私はクリスと今まで廻れなかった見知らぬ場所から色々な所を見て回ったり、カップル同然に過ごさせて貰った・・・やっぱり、あの人たちには感謝はしておきましょう、人並みの幸せを有難う、と。

そうこうして時間を共に過ごしていると、気が付いたら辺りが暗くなってきた・・・

 

 

「クリス、今時間って・・・?」

 

「えっと、六時回った所ですね・・・もう会場が開いてると思います」

 

 

・・・やっぱり、行こうか、あの場所へ。

 クリスもそれを分かってくれたみたいで、二人で現地に急ぐことにした・・・

いや、歩いて行くと普通に一時間以上かかる位置だったから、移動手段は―

 

 

『ミサイルは無しですよ、お二方』

 

「先に水差さないで」

 

『いや以前からお話しましたよね? とにかく危険物で飛んでこないで下さい』

 

「あ、じゃぁ翼のバイクある?」

 

『あれは一人乗り用で―』

 

「このままじゃこっち間に合わないから借りるよ? 大丈夫、壊さないし運転は小さいころに何度かやってるから」

 

『あ、ちょっと・・・』

 

 

直バイクに突っ込みかき鳴らして走らせる、臨時で詰め込んでいたらしく、場所が偶々近かったから良かった。

 これなら数分前に間に合うでしょう、多分。

しかし、翼のバイク、結構綺麗にしてあるのよね・・・まだ免許あるかどうか知らないけど

( ※まだ取得前なのであるのはおかしいですが気にしたら負けデス )

 

 

―――――閑話―――――

 

 

――ツヴァイウィング――

 

「緒川さん、今の連絡は?」

 

「ええっと・・・あの、セレナさんから・・・で・・・」

 

「ん? こっちに来てくれるってなら普通に来させりゃ良いんじゃ?」

 

「車は間に合うかどうか怪しいのでヘリで来させようと言おうとしたんですが・・・」

 

「何か問題でも?」

 

「バイク、使うって・・・」

 

「バイク・・・? って確か翼が来年使おうとしてたヤツ、だったか?」

 

「はい、前に気に入ったのを先に買い付けて整備してはあるのですが・・・」

 

「別に扱うのに問題ないんじゃ―」

 

「まだ免許持ってませんよ、彼女」

 

「―・・・ま、気にしたら負けだぜ・・・」

 

 

その場の三人は溜息を吐いてバイクの無事を祈るようにして、ライブに望むのだった・・・

 

 

 

 

尚、当のセレナさん達は―――

 

 

「っへ~、結構速度出るのねコレ!」

 

「姉様、大丈夫なんですかコレ!!」

 

「へーきなんじゃないかしら? 知らないけど」

 

――警察に当ったら一発アウトである――

 

 

 

 

 

―――かれこれあってライブ開始数分前―――

 

 

何とか時間前に到着したセレナ達はバイクを下りてヘルメをミラー部分に引っかけ会場に急いだ。

 とはいえ、目下特別室に案内されるのでそこまで急ぐ必要はあまりないのだが・・・

 

 

「緒川、今どこにいるの!」

 

『ソレはこっちのセリフです! 今は何処の入口に来てるんですか!?』

 

「お姉様! 東口ホールの入口あたりです!」

 

『東側・・・見つかりました! 少し待ってて下さい! 係の人を寄越しますから!』

 

 

・・・大体人は入ってるのは見えたけど・・・あれ、あの子・・・

 

 

「楓子?」

 

「え? その声・・・姐さん?」

 

「あれ、えっと、楓子さん、来てたんですか」

 

「はい! それは来ますよ! だってあのツヴァイウィングのクリスマスライブですよ! 来ない訳ないじゃないですか!

ただ、チケットが一枚しか取れなくて私一人しか来れなかったんですが、それでも! 父さんと母さんの分まで精一杯応援します!!!」

 

「え、えぇ、怪我、しないようにね?」

 

「はい! 当然です! しないように精一杯応援するんですから!

それにしても、姐さん達が着てるのが意外で・・・え?」

 

「お話し中すいません、セレナ様とクリス様でございますね?」

 

「えぇ、コレを見せればいいかしらね?」

 

 

 途中で割って来たやせ型高身長のグラサンスーツの男が私たちの前に来た、緒川が呼んだ人、だとは思うけれど、やっぱり警備がガッチリしてる、隙はあまりないかも、ま、何するでもないけどね。

 そうこう言って一応持ってきていたチケットと、常備しているギアペンダントを二人してみせる、と後ろから―

 

 

「え”っ!? ぷ、プレミアムチケット!? しかも特別仕様!!?!?

超限定版でウルトラレアのチケットをどうして!?」

 

「・・・そんな希少なものだったの?」

 

「はい、特別参加者限定エリアの為一般には出回らないものです

 お二方はツヴァイウィングの特別な客人としてこの会場の特別席からご観覧していただきますので―」

 

「・・・ねぇ、そこにこの子も連れて行っていいかしら?」

 

「ヴゥェ”!?!? な、何言ってるんですか!? わ、私みたいな一般ピーポーが立ち入ってはあの、その、アレがアレで―?!」

 

「とにかく落ち着いて下さい楓子さん・・・姉様、まずは色々確認しないと」

 

「そう、だったわね、えっと、今ツヴァイウィングの二人と話せるかしら?」

 

 

来たら私たちの部屋に来てくれって奏が言ってたし、恐らくだけど緒川もそれを知ってるはず、としたら

 

 

「残り時間が少ないので、お早めにお願いします」

 

 

 よし、やっぱり話がついてたみたいね、ついでに迷子にならない様に楓子もつれていく、のはいいけど顔真っ赤でいっぱいいっぱいみたいになってる、大丈夫かしら、この子・・・

 と、扉の名札掛けに【ツヴァイウィング様】と書かれてる部屋がある・・・ここね?

 

 

「それでは、五分内でお願いします」

 

「そこまで長い用事は無いわよ、さて、じゃ失礼するわ、奏、翼」

 

 

入って早々艶やかな香りと不思議な空気に包まれた・・・らしい、楓子の話だけど、私にはあまり違和感はなかった、だって、いつも通りの二人だもの

 

 

「お、やっと来てくれたか! 待ってたぜ! ん?その子は・・・」

 

「この前世話になった子ね? また連れ去りしてるの?」

 

「違うわよ、たまたま居合わせただけ、まぁ、まずはお礼を言っておくわ、ありがと、二人とも」

 

「お、おぉ、何か面と向かってそっちから感謝されると違和感あるな」

 

「いえ、寧ろこちらから礼を言いたいわ、来てくれてありがとう、セレナ、クリス」

 

 

・・・別に礼を言われることをしてるわけじゃない、それに単なる気まぐれだし―

 

 

「それでもだよ、それに、その子も、今回のライブ、楽しんでってくれよな?」

 

「は、ひゃいぃ! あ、あの、えと、ひゃぅぅ~、ほ、ほんとに つ、ツヴァイウィングの二人が目の前に~!?」

 

「奏、近寄りすぎよ・・・でも、私たちも全力でやるから、特別席で全力で楽しんでね?」

 

「・・・そっちも張り切りすぎて空回りしないようにね、特に奏」

 

「なんであたし!?」

 

 

そんな簡単なやり取りをしていたけど、そろそろ始まるようだ―

前座? の人がほかの部屋に戻っていくのが見えて、そろそろかなと思って

 

 

「それでは、奏さん、翼さん、また後で」

 

「おう、クリスも今回は名いっぱい楽しんでくれよな。頼んだぜ? あっと、楓子、だったか?」

 

「ひぇう!?!? え、私の名前なんで知ってるんですか!?」

 

「あの辺りだと貴方割と有名よ?」

 

 

と、談笑が思いのほか弾んでしまったみたい、もう時間だ――

 

 

「ツヴァイウィングのお二方! 準備よろしくお願いします!」

 

「おっし、緊張もいい感じにほぐれたし、全力で行くか、なぁ、翼!」

 

「えぇ、目にもの見せてあげましょう! 奏!」

 

「それでは、お三方はこちらに」

 

 

 ついでのごとく何処かの一室に移動、シアター形式、みたいだけど、色々なボタンがあり、各席には相当な額がかかりそうなヘッドフォンが備え付けられている、後で説明されたけど、このヘッドフォンと部屋の温度が程よく会場の雰囲気とを一手に感じつつ、目の前でアイドルが歌っているのを見られるのが売り出そうな・・・一体なんでこんな・・・監視しやすくするためか・・・

 適当に説明を受け、それぞれ弄り始める、なお、楓子は最初っから飛ばす気なのかサイリウム全開だ・・・ごめん、こんなところじゃなければ意味があったかもしれないのだけど―

 

 

「何言ってるんですか! 姐さんたちと一緒に楽しめるこの空間が一番大切なんですよ!

それにこの設備がものすごくいいですし、あぁ! 会場がこんなに近くで大画面で見られるなんて!!」

 

 

 ・・・事実、縦幅で考えれば三メートルは優にありそうなスクリーン、いやもっとでかいかもしれない、横幅は会場が全域見渡せるような雰囲気を醸し出し、どこを見ても会場の雰囲気そのものを感じ取れるようになっていた。

・・・なんかとんでもないクリスマスになっちゃったかも・・・?

 

 

 

 

――――閑話――――

 

 

 

 

(済まない、ライブシーンを却下させてくれ)

 

 

 

 

 

――――ライブ終了後――――――

 

 

 

 ライブ終了後、舞台袖に降りた奏たちから何かあるからって言われてクリスと楓子(ほぼ気絶状態)も連れてツヴァイウィングの一室に向かった、いやそんな時間かからないけど―

 そこで見たのは―――

 

 

  【ハッピーバースデイクリス!】

 

「・・・えっ・・・っと、まだ誕生日に早いんですが」

 

「細かいこと気にすんな! それにあたし達は二十八日は用事があっていないから今のうちに祝わさせてくれよ?」

 

「ごめん、奏の勝手なわがままで、迷惑なら日を改めるから」

 

「ふわぁ!? クリスさんの誕生日近かったんですか!?」

 

「二十八日・・・さっき奏さんが言ったとおりです、でも三日ほど早いし・・・」

 

「まぁまぁ、それに当日は姉さんと一緒にいるんだろ?

あたしたちのは前祝的な奴だから気にしないでくれ、あ、これプレゼントな?

ついでに楓子の分もな」

 

「えふぁうっ!? 私の分もですか!?!?」

 

「うん? 迷惑だったか?」

 

「迷惑なんてとんでも!!! とっっっっっッても嬉しいです!!!」

 

「お、そ、そうか、今日はありがとな、あたしたちもすっげー楽しめたし」

 

「別に、時間が空いてただけよ、それより、そろそろ混んできそうだから着替えて帰った方がいいんじゃないかしら?」

 

「いやー、でもやっぱり熱がまだ冷めねーし、そうだ、皆でこの後焼肉いくか?」

 

「いや、奏、もうそろそろ時間があれだから、早く着替えてかないと、あ、セレナ、今回は本当にありがとう、おかげで最高のパフォーマンスが出来たわ」

 

「・・・どーも、それじゃ、そろそろ私たちは行くわ

このままここにいると、この子の帰りがなくなちゃいそうだし。」

 

「うぉ、もうそんな時間経っちゃってたか、ごめんごめん、それじゃ、また後でな、セレナ、クリス」

 

「えぇ、今日はお疲れ様、なかなかの舞台だったわ」

 

 

いや舞台じゃなく― そんな言葉を聞かずにその場を去る・・・アイドルって面倒なものね・・・

 正直、歌に共感できる間隔でもあれば多少なりとも違ったんでしょうけど・・・もう、私には・・・

 

 

「姉様、楽しく、なかったですか・・・?」

 

「いえ、クリスといられる時間は、とても楽しいわ」

 

 

 そう、歪んでしまったのは、歪めてしまったのも、私自身だから・・・

だったら、この子には幸福を、私は、不幸になればいい・・・それで、ネフィリムを潰せるなら、なんだって――

 

 

「お姉様、また、ネフィリムの事を考えてました?」

 

「・・・クリスには適わないな・・・ごめん、せっかくの楽しい時間を」

 

「いえ、お姉様が良ければ、私は、それだけで嬉しいんです、それだけ、ですから」

 

 

クリス・・・無茶してないと、いいんだけど・・・

無茶してるのは、私も、か・・・ううん、今は違うことを考えよう

 

 

「そういえば、クリスはどの曲がいいと思った?」

 

「え、あ、えっと・・・やっぱり――」

 

 

 私たちはやっぱり、こういう関係じゃないと、居られない、多分、クリスがいなくなったら、私―

だから、だからこそ、彼女の誕生日は、特別じゃないと!

 

 

 

 

 

―――――クリスの誕生日、当日――――――

 

 

 

 あれから三日、クリスマスの喧騒は別の喧騒に変わり、周囲は新年に向けてか大騒ぎなのは相も変わらずだった。

 実際、奏や翼たち二課の面々はクリスマスライブ以降見ていない、喫茶店の方も新年の準備の為か臨時休業している・・・空の雲行きが怪しいかんじ・・・

 でもようやく来たんだ・・・クリスの生誕日・・・零時に渡そうと思ったけど、これだけは特別だから・・・なるほどね、恋人達の何とやらって言うのはこういうことなのかしらね?

 いつも、彼女には世話を掛けっぱなしでもあるから・・・でも、こういう時にはいつも以上に一緒にいる気がする

 ・・・バルベルデに行った時もそうだった、クリスは私から一切離れることなく私の行動に何を言うこともなくまっさらな瞳で辺りを見回して・・・壊れた人形のようだった・・・

 それはきっと、その時の自分を指して言っていたのかもしれないけれど、もうあのクリスは見たくない。

 だって、あれは、あんなものは、二度とごめんだから!

だから、だからこそ―――

 

 

 

 「誕生日、おめでとう、クリス」

 

 雪が降りゆく世界の中、私は一切の余分な言葉は使わず、それだけを伝える。

そうして送る手作りの【ソレ】にクリスは―――

 

 「ねえ・・・さま・・・どうして、私なんかのために・・・」

 

 「なんか、じゃない、私たちはもう一人じゃ生きていけない、私もあなたが必要なの。

 これからも、一緒にいてくれる? クリス―」

 

 言い終わるが早いか、確かな彼女の重みが体に掛かる。

思い切り全身で抱きかかってきたけれど、その程度で倒れるほど私も軟じゃない。

そうして――

 

 「ねぇさま、姉様! ねぇ、さま! あぁ、 うわあぁぁぁぁぁ」

 

 「私ばかり泣いてたから、今まで負担掛けてごめんね、クリス」

 

 「負担、なんて、そん、なの、無いです! 姉様、これからも、ずっと、ずっと一緒ですから、何があっても!」

 

 

 ええ、ずっと一緒よ、中々泣き止まない彼女だけど、それでも、私の一番大切な、【家族】だから。

だから・・・

 

 

「何があっても、一緒だから、ね、クリス」

 

「はい! セレナ、お姉様!」

 

 

 

 彼女の髪にキレイに輝く雪結晶の髪飾り、もう一人にはキレイな蝶のような髪飾りが夜闇に降りしきる雪の世界を微かに彩る、周りには誰もいない、だからもうこの世界を、誰にも邪魔させるものかと、そう決めた、だから、だからこそ―

 

 

「お姉様、必ず、復讐を!」

 

「えぇ、絶対に、やり遂げて見せる・・・例え何を殺そうとも―」

 

 

 だから傍にいて、クリス―

 

そんな言葉が闇夜に掻き消えた、でも、クリスはきっと分かってくれる・・・

 だって・・・私たちは・・・

 

 

 

 「大好きよ、クリス、これからも、ずっと、ね」

 

 「はい! 大好きです! お姉様!」

 

 

 この関係でいい、だって・・・私達は、もう―――

壊れてしまっているから、なら、新しく関係を築けるのなら・・・

いえ、その言葉は要らないわね、私たちは、私達らしく、ただ、前を向いて―

 例え、再び絶望に染まろうとも、この歩は、もう―

 

 

 「止まる道を、見失ってしまった、だから―」

 

 

微かな幸せを、享受させていただきましょう・・・

それじゃあ、安らかな、夢を・・・

 

 




前回の誕生日に出てきた夫妻の再登場、とちょっとした新キャラの子がいます。
このオリキャラについてですが、名無しで出す予定でしたが、色々あってこんな感じになりました。
あとこの子、劇中でも言ってる通りセレナより年上です、背は低いのでセレナの事を大人の姐さんと思ってしまってます。
彼女については本編でも登場予定なので片隅にでも置いておいてください、じき出ます。

・・・ふぅ、今年はこれで終わりですね~
あ~クリスの誕生日にクッソ手間取った~ 楽しかったけど
それでは皆様、よいお年を!

現状いまの文字数で良い? (七千~一万程

  • そのままのペースで?
  • もう少し減らして
  • 読み足りない?
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