荒れたセレナと、臆病なクリス   作:蒼葉蒼輝

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ちょっとした裏話的な悝嶺さんとの対談です。
それは兎も角として、クリスちゃんの誕生日が近いですね・・・
どないしよ、とにかく書ききれるように頑張る、それでは!


第十五話

 

青年は夜間密談に至る―

―亜麻髪の少女は妹と今後の復讐を考える―

 

 

 

 結局先程の会話は何が何だか分からない内に解散になってしまい、フィーネには逃げられ、会話が纏まって居ないまま投げ出された感じだった。

まぁ、私、セレナとしてはいつでもあいつ(フィーネ)を狩れると分かって満足半分と言ったところか・・・

 とは言え、今のまま殺すには惜しい事この上ないからまだ殺しはしない。

アイツを、ネフィリムを殺すまでは生かす・・・その上で苦しませてから・・・それは後の話ね。

 それで、あの後には一応ながら学園、もとい二課本部の場所を教えてもらい、これから住む場所の提供も済ませて貰った・・・

ついでと言わんばかりに奏が衣服をいくつか寄越して来てたけど・・・あんなに使わないと思うのだけれど?

 というか、一部使わないのかアイドル衣装みたいなのも渡されたから何なの? と思ったぐらい、後で緒川に渡して返して上げたけど。

 

それはそうと、悝嶺が何か用があるらしい・・・いったい何の用だか。

隣にはいつもの様にクリスが一緒に居る、でも、少し眠そうにしてる・・・

帰って休んだら? と言ったけど、一緒に居たいって聞かないから、まぁ、私一人でも何か無いとは言えないし、これでいいのかな・・・

それよりも・・・

 

 

「やけに遠いわね・・・いつもならもう着いてる筈なのだけど?」

 

「うん、何か集まる場所がいつもの場所じゃないらしい・・・っと、セレナさん、こっち」

 

 

ある程度の建物を通り過ぎた後、広い大通りに出たと思ったら、路地裏の道を歩き始めた・・・

一体どこに向かうつもり?

 

 

「おっと? 連絡・・・悝嶺さんからか、はい、もしもし、こちら凪―」

 

『翔希氏~! まだ来ない訳~? そろそろアレなんだけど~」

 

「・・・酔ってますよね、今声が聞こえてきましたので、すぐですよ」

 

 

そう言うと、不思議と開けた場所に出た・・・?

先程まで鬱蒼としてた路地裏に居たはず、地図の見間違いか?

時刻は大体12時ごろ、もう間もなく日が変わる時間、だけどこの場所には噴水公園の様な広い場所に街灯が等間隔で点滅したりして、少し不気味ながら、違和感もなく不思議と置かれているおでん屋と、そこに居る悝嶺、それと私達だけと言う不思議な世界に迷い込んだかのようで―

 

 

「またここで飲んでたんですね、ま、良いんですけど・・・それならこっちのツケ払tt―」

 

「それはまた今度ね~、で? セレナちゃんとクリスちゃんは~、あー居るね?」

 

 

どうも、と軽いあいさつで済ませ、何でこんな所で・・・と思ったが―

 

 

「セレナさんにはお昼ごろに魔術についてお話したよね?

此処は所謂【プライベートフロア】みたいなところ、敢えて言うと【一人部屋】?」

 

「一人部屋は酷いな~ あたしこう見えてもボッチじゃないんだぞ~?」

 

「相手にしてるの大体患者さんじゃないですか・・・

友達は他に居ないんですか?」

 

「友達百人作ってるアンタなんかと一緒にされたくはないわい!

あたしだってね~、あたしだって・・・」

 

「・・・そんな事より、話があるんじゃないの?」

 

「そんな事って・・・はぁ、まぁいいわ、取り敢えず好きなモノ頼みなさいや~

酒も割安で提供してくれるぜ?」

 

「悝嶺さん、セレナさんは未成年だから― 「そうね、熱燗頂けるかしら?」 !? ちょっと!」

 

 

何をそんなに驚いてるの? 酒を飲むのに年齢なんて些末なモノじゃない・・・

煙草よりはやりやすいし、最近はかなり飲み慣れて来たし・・・

 

 

「やるね~ セレナちゃんのそーゆーとこお姐さんは好きだな~」

 

「はぁ、本当はダメなんだけど・・・ここの店主はそう言うの気にしないんだよね・・・

オススメのおでんセットでお願いできる?」

 

「飲まないのかい? 男が廃るね~」

 

「明日も早いですからね、お冷で十分ですよ」

 

「・・・根っからの真面目君ね・・・そんなのが私の近くに居たとしたら遥か昔に死んでたと思うわ」

 

「手厳しい言葉ありがと、まぁ、こんなのでも負けた数なんてロクに無いからね・・・

とはいえ、武道を極めた人には負けるけど」

 

 

ふ~ん・・・まぁ、どうでもいいわ。

因みに、席は悝嶺が真ん中、その右に翔希、左側に私、クリスの順で座ってる

他に適当に注文して、モノが来たのを確認して飲もうかな、とした所で―

 

 

「ちょっと~、乾杯ぐらいいいでしょ~?」

 

「悝嶺さん、もう先にやってるのに何言ってるんですか・・・」

 

「興味ない、やるぐらいなら他に費やすよ」

 

 

そう、クリスの頭を撫でてあげたりとか・・・ね

手渡された木製のカップを口付ける、うん、程よい暖かさ・・・

翔希はもう突っ込む気は無いのか、私の行動に何も言わなくなってる。

 

 

「ひゅ~、セレナちゃん結構いける口~?」

 

「どういう意味かしら?」

 

「いや、未成年でそこまで飲めるのは・・・酔わないの?」

 

「あぁ、そう言う意味・・・正直これで酔えるなら酔いたいものね・・・

私も、この子も酔わせてくれるなら、正直、もう酒なんかで酔えやしない」

 

 

あれは、小さいころ・・・私がまだ施設に居たときの話。

 まだ幼くって、姉さんについて回ってた時、ある飲み物を飲んで全力で吐いたのはまだ記憶に残ってる。

今思えば、あれ自体がアルコールだったんだと思えた。

 その後は、独りで放浪している時に落とされた液体を飲んだ、食料も何もなかったから、食えるもの、飲めるもの、何でも加え込んだ。

 それで一番多かったのが赤ワインと呼ばれるものだった、正直、これはクリスもよく飲んでいたから、よっぽどジュースらしい飲み物だと思っていた・・・

 酒類だというのを知ったのはその一年後ぐらい、密輸されてたらしく、相場として数百万は下らないらしかったけど、正直生きるのに必死だったせいで気にする事も一切なかった。

 なお、これはアダム調べらしい、だから信用しない事にして、飲んだ瓶は適当に錬金術師の人達に回収させた、らしい、これは後でキャロルさんに聞いた話。

 何でも相当なヴぃんてーじ?モノがこぞって無くなっていたらしい、私自身どうでもいいと思っていたが、売り出せばそれだけで何年も過ごせるほどの富が儲かるモノだった・・・

 まぁ、そんなこといまさら言われても、と返しておいた、生きるのに必死でそんなモノ知れる訳ないでしょ? まぁ、後にキャロルさんに保護される事の話は、また後にしましょ。

 

 

「やっぱり、僕は君達を全力で保護したいと考えてるよ。

ネフィリムの事変だって、国同士が連携すれば―」

 

「その国同士が歪み合ってて正直お笑い種なんですけどね~

何ですか? 自分の国の保身も出来ない連中の会合に何の意味があるんだか~

第一、アイツはノイズも潰せる兵器、人の手で操れるほど弱くなんかない。

それは、セレナちゃんがよ~っく知ってるよね?」

 

 

えぇ、アイツの特異な性質、聖遺物を喰らい成長する身体、そして―

 

 

「食らった聖遺物の一部を扱えるようになる変異性。

今アイツは、疑似太陽の力をブレスの様にして暴れまわっている筈・・・

何時になれば・・・私は・・・っ!」

 

 

【アレ】を倒せるというの!!!

私から家族を! 大切な人を! 何もかもを奪って自分はノウノウと生きて・・・!

殺す、必ず殺ス、例え言葉を介したって知るモノか! 私を殺したように、テメーを・・・ネフィリムを!!!

・・・そこまで吠えかけて隣で眠りこけて居たクリスが瞼を擦って欠伸、半目で辺りを少し見まわしたかと思うと、私の腕に抱きつき、また寝息をたて始めた。

まるで落ち着かせてくれるように、撫でながら・・・やっぱりかわいい・・・

先程までの威勢を圧し殺し、クリスの頭をまた撫でてあげる、と、落ち着いたように「うぅん・・・」と小さく鳴いて、身動ぎして再び寝息をたてた。

 

 

「・・・・・・クリスさん置いてきた方が良かったんじゃ・・・」

 

「翔希氏・・・彼女が置いてかれてゆっくり寝ている様な玉だと思える?」

 

「・・・無理そうだね、それじゃ、早い所用事終わらせて休んでもらおうか」

 

「ほいさ、んじゃ、コレ、翔希氏に、そんでもってこっちの~が!

セレナ氏とクリス氏に渡したいものっと~、いや~重たいな!」

 

 

バッグの中から明らかに入らない程の大きさの【ソレ】が取り出されたんだど。

それをどうやって私達が持っていけばいいの? と思ったけど―

 

 

「転移ジェムでも使えば楽じゃね?

アンタ達もそーゆーので持ち運びとかしてんじゃない?」

 

「まぁ、そうだけど・・・と言うよりこのデカブツは何なの?」

 

「ふっふ~ん、今は秘密~ま、持ってれば時期に分かるよ~

後、セレナ氏、これも渡しておくよ」

 

 

掌に収まる程の長方形のケースを渡してきた、けど、これは?

 

 

「・・・もう日本政府の聖遺物管理がガバガバすぎて管理も何も出来てないじゃないか・・・

まぁ、僕達も聖遺物を隠し持ってたから人の事は言えないけど」

 

「はっはっは~ 翔希氏~聖遺物なんて探せばそっこら中にあるんだぞ~?

今渡したのは海中調査で見つかったヤツだからね~・・・名称知らないけどさ」

 

「いやそれ本当に聖遺物なの!?

相変わらず怪しい事しかしないよね! 悝嶺さん・・・」

 

「それが私だからね~ ま、一応は励起状態にしてあるから扱ってみるといいよ?

一種のアーティファクトだと思うからさ?」

 

 

アーティファクト・・・古代文明におけるオーバーテクノロジーの塊の総称だったか・・・

今時代において科学技術の発展は留まる事を知らないレベルで進化し続けている、ただ、それ自体誰かの犠牲の上で成り立っているのを知らないものは数多であることは言うに固く無い。

私達も、その犠牲者だった訳だ・・・クソどもが・・・

そんな悪態を呟きつつも、渡されたソレに呪いの断片を通し、励起させる。

彼等が魔法、及びそれらを魔力で扱うというのなら、私のコレは【呪力】

一種の霊異物であると言える、あの人たちがオーラの一種だと言ったように、呪われた物を扱い続けた私にも、それと似たような力が扱えるほどになっていた・・・

媒介としては、恨み、辛み、憎しみ、怒り・・・いわゆる負の感情を媒介に黒い力、この場では【闇の力】の呼称で問題ないでしょう。

それを彼らの言う【魔力】状に変換、物質利用するだけ・・・

この世界においては、歌による励起が一般的だろうけど、私はそんなの必要ない・・・

だって、歌は、私カらタイせツなヒとをウバったヘイきだかラ!

 

 

「セレナさん・・・その励起は・・・」

 

「さっすがセレナ氏だね~ ここまで簡単に【マルチプルウェポン】の宝玉を扱えるなんて流石だよ。

誰も彼もが認める程の実力者であることは間違いないね、いや~天晴れだね~」

 

「【マルチプル・・・ウェポン】?」

 

「そ、私も科学技術での励起で、何ができるかなって色々試してみたけど、包丁とかそんなモノの形にしかならなかったんだ。

だけど、これが想像力豊かな人が扱ったらどれだけ強い兵器になるんだろうって思ってね~

あ、因みにこの間会った時に渡さなかったのは、まだキチンとした契約をしてなかったからだよ~」

 

 

因みに呼び方は適当に付けてるだけだから好きに呼んでいいよ~、そう言って酒を飲み干して水を頼んでた。

今私が持ってるコレの形状は千枚通しのような鋭く、だけど小さな針状に変化させていた。

次に鞭のような形に変化させ、意志を持たせて動かしてみる・・・あ、結構動くんだこれ。

それで・・・契約・・・確か、二課の人達も似たような事言ってたような・・・

 

 

「名前だけのサインだったし、セレナ氏以外にもクリス氏のサインも欲しい訳だし~

二人とも共同生活するっしょ? だから身分証明が欲しいって~、めんどいのがさ~、ね?」

 

「・・・・・・それじゃ、家名を統一させても?」

 

「オーケーオーケー、と言うより、他人として登録するより、ちゃんとした【姉妹】として登録してくれた方が私としては楽かな~? な? 翔希氏~」

 

「僕に振られても困るんだけど、まぁ、君がそうしたいならそうするといいよ。

 僕達は君達の意思を尊重するし、何より―」

 

 

 そこで一旦口休めの為か水を飲み、一旦落ちつけて再度話してくれた

 

 

「君たちの身の安全を翼さんも奏さんも保証するって言ってくれたし、これから勉学とかやってもらわないと、って言う話が色々出てきてね?

 それに、君達が学校とか言ってくれて無いと、保証も何も出来なくて・・・何か縛るようでごめん」

 

「別に、そんなモノ必要ない・・・私達は私達で自由にやらせて貰う・・・

それだけじゃダメ?」

 

「確かに~そーゆー自由な所も必要だけど~ コミュ障は流石に避けた方が良いと思うよ~?

風鳴 翼みたくなっちゃうからね~?」

 

「悝嶺さん・・・翼さんのアレは突っ込まないで・・・」

 

 

ん? あの青髪、何かやらかしているの?

 

 

「結構やらかしてるよ? この間もお茶の間を笑いの渦に巻き込んだとか~

普通の頭は良いはずなのに何で常識的な所抜けてんだろうね~、ま、【あの汚部屋】を見れば誰でも分かるかな~な? 翔希氏」

 

「僕に振らないでよ、あれはもはや天性の何かだよ、治らない問題だよ・・・治せない僕も緒川さんも問題なのかもしれないけど―」

 

「いやいや、翔希氏も緒川氏もな~んも問題無いよ、アイドルも多忙なんは分かるけど~

でも着替えた服をその辺にスポ~ンっと投げ捨ててあるって相当ヤバくない?

だって女性物の下着だってその辺に放っぽかれてる訳だよ~

・・・同じ女性でも奏の方が出来てるってヤバくない? ヤバいよね?」

 

 

しかもそれらを片付けてるのはあの緒川 慎二と言う彼女たちのマネージャーらしい。

あぁ、そういう所を直してほしいから学校での団体行動をしろと、そう言う事ね、把握

・・・直ってない人に関して、何か言う事無いのかな・・・?

 

 

「ふぁ~・・・ぅん・・・?

小さい防人・・・すぅー」

 

「クリスさん今どこの事言ったんですか!!」

 

「ブファッ!? クッハハハッ、面白! 何この子! 寝ながら突っ込むなんて高度な技使えるのっ!

あっ、ヤバ、ちょ、笑いが止まらなっ、ぷっ、アハハっ」

 

「笑いすぎですよ悝嶺さん! そこの所大分気にしてるみたいだったんですけど、正直諦めた方が・・・

あ~、貴女の用事を済まそうと思ったところなのに、何これ・・・翼さん弄りですか・・・」

 

「よしよし、ゆっくりしてていいよ、クリス・・・

でも、クリスより年上なのに、小さいよね、彼女」

 

 

実際、私もここまで成長できるのだから、彼女もそれなり大きくなれる筈。

なのに、クリスよりはるかに小さくて・・・いえ、背が高いのは分かるけど・・・

 そんなどうでもいい事話してたら時間が大分経ってしまっていた、そろそろ解散かしら?

 

 

「そう~ね~、あ、セレナちゃん、ナイフ入れるブツ欲しくない?」

 

「あるなら欲しいけど、そんな便利な物無いでしょ? 大体、私がどれだけの量の刃物を扱ってたか―」

 

「っ! そう言えば悝嶺さん、セレナちゃんを病院へ搬送するときにナイフが幾つか無かったらしいんだけど―」

 

 

言うが早いか、バッグの中から複数のナイフを満遍なくその辺に置きだす・・・

これ、私が扱ってたやつだ。

 

 

「ほい、あの衣服に入ってたナイフは全部回収済みさ~

そんでもって、ほい、マジックストール・・・ストールで合ってんのかねコレ?」

 

 

マフラー状の三mは超していそうな程長い布、取り出すと同時にナイフをその布に当て込むと―

 

 

「消えた・・・? いえ、収納された、と言っていいのかしら?」

 

「そ! すっごいよね~異世界の技術ってさ~

う~ん、相変わらず惚れ惚れする技術~、さいっこうだよね~

と言う訳で、はいこれ、もう一個はクリスちゃん用だよ~

これから寒くなってくし、丁度いいアイテムだと思って持っとくといいよ~

それに、夏でも扱えるように変換できるんだよコレ」

 

 

そう言うと、布を少し弄り、浮き出た綿毛を一本抜くと―

 

 

「ホイ、羽衣状に変換完了ってね、戻す時はわしゃわしゃしてやれば戻るよ~

いや~これ作った人は本当にすごいよね~、職人様様だよ」

 

「ねぇ、これ作った人に思い当たりが僕にはあるんだけど・・・」

 

「言わないが吉だよ翔希氏~

 ほらほら、寒くなって来てるし、付けて見なよ~」

 

 

誘導されてしまった・・・まぁ、クリスも少し寒そうだし、巻いてあげよう。

色は私が薄青色、クリスが薄紅色、とどちらも明るめの色が扱われているのが気になるけど・・・

これって取り出す時はどうするんだろう・・・?

 

 

「取り出す時は、対象をイメージしてみればいいと思う、それか個数を指定して取り出す感じ」

 

「ふぅ~ん、こういう感じかな」

 

 

先程複数入れ込んだナイフを卓に並べる様に取り出してみる・・・綺麗に並ぶものね、コレ。

クリスにも起きてから教えてあげよ・・・でも、本題ってコレだけ?

 

 

「翔希君がいるから本題はこの手紙に入れておく」

 

 

小声でそう言われ、ポケットに正四角形の封筒が入れられた、彼に見えないように。

そうしてー

 

 

「そんじゃ、おっちゃん御馳走さん、お代置いておくね~

ほいじゃあ皆、今後頑張りなよ~」

 

 

いうが早いか、置石に札を数枚置いて逃げる様に去っていく悝嶺・・・

どれだけ飲んだんだか、そう思いながらタコを口にして熱燗で一気に流し込み・・・

 

 

「翔希のアニキ、これ、ツケの分」

 

「ん、あぁ、君か・・・全く彼女には困ったもので―」

 

「悝嶺の姐貴は仕方ねーっすよ、そいで、まだ何か食べてくか?」

 

 

言ったのは誰か、と思ったが、この場に居るので話してないのはと言えば、此処の店主か、とすぐに判断できた・・・結構渋い声してる・・・

 

 

「それじゃ、持ち帰りして良いかしら?」

 

 

アイよ、の返事と一緒に適当にパック詰めしてくれた、それじゃ、今日はここまでで帰ろうかとしたときに一言聞いてきた

 

 

「セレナさん、一つ聞いていいかな?」

 

「良いけど、何?」

 

「今、ラルムに何か変化起きてない?」

 

「それは・・・ある、かも。

ただ何かは私には何とも」

 

「だったら、この腕輪を二つ、君とクリスさん用に渡しておくよ。

指輪でも良かったと思うけど、変な事に成りそうだからね、こっちのデカいのは僕が君たちの家に運んでおくよ」

 

「ごめんだけど、お願いするわ、私はクリスも運んでいかなくちゃだから」

 

「困った時はお互い様、だよ?

助け合いは日本人の心意気ってね?」

 

 

そんな事言って悝嶺の残した置き土産を両手で楽々持ち上げて運ぶ・・・

ねぇ、それってそんなに軽いものなの?

 

 

「少なくとも決して軽くは無いよ?

ただ僕は他の人よりは身体を鍛えているからって言う話」

 

 

人よりは・・・? それにしては一息に簡単に持ち上げていたけど?

悝嶺が出す時はバッグから異次元宜しく状態で取り出していたのだけど・・・

 

 

「これ、多分二百キロぐらいの重さじゃないかな?

とてもじゃないけど普通の人が運べる重さじゃないよ・・・

よく取り出せたよね・・・いや、寧ろそのマフラーに収納してたのかな?」

 

 

仕舞うと重量は無くなるらしい、と翔希は言った・・・

そんなに利便性の高いものなら、と思ったけど、取り出した時に置けなくなりそうだから、彼に運んでもらう事にして帰路に就いた私達。

・・・明日からまた何とか色々やって行かないと・・・か

 

 

「まさか、こんな不良宜しくの問題少女が家を持つ事に成るとはね・・・」

 

「はは、まぁ、君達には普通の私生活を送ってもらいたいっていうのが僕たちの見解だよ。」

 

 

そんなこと・・・出来る訳ないでしょ・・・

だって、私は、私達は・・・

 

 

「ねえ・・・さま・・・

大丈夫・・・です・・・から・・・すぅ」

 

「クリス・・・・・・」

 

 

先程までの思考を放棄して眠っているクリスを見て落ち着く。

・・・これから先どうなるか分からない、けど、扱えるものは全部扱ってやる・・・

ソレが例え、大切な【何か】を失うとしても・・・

 

 

「(私は、この復讐を諦めるつもりは無い・・・もし何らかで絆されてやる気を削がれても、私は絶対に、アイツを! ネフィリムを! この世界をこんなことにした、神も何も! 許す気は無い!

必ず、殺してやる・・・お前らを、生かしてやる気は・・・ない!!!)」

 

 

今は共に行動する、だけど、私は、私達は・・・もう殺すことしか、出来ない・・・

する気も―

 

 

「セレナさん、落ち着いたらでいいので、今度皆とお茶でもしません?」

 

「ん? そんなモノ、行っても・・・」

 

「まぁ、落ち着いて下さい、そんな焦ってばかりじゃ肝心な時に力を発揮できませんよ?

それに、僕達もセレナさん達の事をもっと知りたいんです」

 

 

全く、こいつは・・・

 

 

「とんだお人好しね」

 

「よく言われます、でも、自分を悪いと思った事はそうは無いですね」

 

「でしょうね、偽善やってて楽しい訳でしょうしね」

 

「そうじゃないんですけどね・・・

まぁ、家の事が終わったらこっちの店の方に来てください、歓迎しますよ?」

 

「ん、それとなく覚えておく」

 

 

しっかり覚えておいてくださいね、と言を残して、荷物を家において行ってそのまま帰って行った・・・

しかもちゃんとコーディネートされた感じに置かれてる、ホント何なのアイツ・・・

 

 

「んぁ・・・ねえさま・・・終わりました・・・?」

 

「あ、クリス、ごめん、起こしちゃった?」

 

「大丈夫です・・・お風呂入ってから寝ま・・・すぅ・・・」

 

 

完全にお眠り状態だ・・・仕方ないから私が身体を洗ってあげよう。

着替えは・・・この中暖かいから要らないね。

 

 

・・・暖かい世界・・・多分、これを望んで・・・いたのかな・・・

でも、この世界は・・・

 

 

「醜くて、汚くて・・・荒んで、消えてく・・・大切なモノ、全部・・・」

 

 

ある程度し終わった私はクリスと一緒にベッドに入り込む。

明日から、また何事かをしないと・・・そうでもしないと・・・

 

 

「姉さん・・・わたし・・・」

 

 

あの時を、思い出してしまいそうで・・・私・・・わたし・・・

そんな意識を残しつつ、私はこの一時の穏やかな時間を堪能することにした・・・

 

 

―――だって、世界はこれほどに、残酷なのだから―――

 




今回はここまででー・・・因みにセレナさん達は基本フィーネと似た裸族dげふんげふん

ネルトキダケデスヨ― とかいったり・・・
年内にはもう少しあげたい所存・・・クリスのバースデーも書かないとね? ね?
それでは!

現状いまの文字数で良い? (七千~一万程

  • そのままのペースで?
  • もう少し減らして
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