詰まる所小さいセレナちゃんは当分出ないです、多分
・・・こっからもう少し早く本編進めたいですね、ホント、色々書いてるけど、先日の切ちゃんの誕生日とか当日に書き終わった位ギリギリやったわ・・・
・・・因みに次はマリアさんの誕生日までああいうのは書かないと思う、多分。
では、本編へ・・・どうぞ
―――一方、眠っているセレナは―――
―――――Phase SERENA―――――
・・・ここは・・・
真っ暗な世界、だけど、その暗さになぜか懐かしさを感じている自分が居る・・・だって、ここは――
「・・・お久しぶり、で、あってますか・・・?」
「・・・間違って、ないわ、もう一人の、私・・・」
其処にはいつか見た昔のわたしがこちらをしっかりと見つめていた、逃さないかのよう、だけど、憐れんでいる様な・・・複雑な感情が直ぐに見て取れた。
でも、この子が私を呼んだわけでは無いと思う・・・でもなんで彼女が?
「それで、こちらに来ているって事は、何かしら私に用事が―」
「・・・そうだと思ったんですけど、大体の話は雪音さんが言っててわたしから言いたい事ってあまりないんです・・・ただ」
「ただ?」
「自分の身体を大切にしてください! ただ一人の孤独な体じゃないんですから!」
・・・それは、分かってる・・・けど。
「なら・・・貴女には分かるの・・・この身体の痛みが、苦しみが、悲しみが!
どれだけ絶望してきたのか・・・わかって、くれるの?」
「それは・・・」
「貴女の世界についてはこっちに来た立花から聞いたわ。
そっちにはマム、ナスターシャ教授がいるそうね」
「・・・・・・」
「せめてマムだけでも生きていて欲しかった。
たとえ少ししか生きられなくても、導いてほしかった・・・そうであれば、私も少しは違ったかもしれない、けど、そんな導なんてどこにもなかった!」
「でも、それでも! マムや姉さんがちゃんと導いて―!」
「そんなモノ・・・無かった、有ったのは私が紡いで纏ったアガートラームだけ!
姉さんが最後に遺したのは生きていて欲しいという願いだけ、いえ、【呪いの言葉】だけだった!
だから生きた、生き残り続けたよ! でも、それでどれだけ必要と、大切だと思っていた人が亡くなったと思ってるの!?
私を大切に守って一緒に歩んでくれた【あの人】は私を残して最後に亡くなった、悲しかった、辛かった! だけど、生き残るしか無かった! なんで、何でまだ小さかったわたしに何もかもを背負わせるの!
無理だよ、何も呪わずにただ生きるなんて、無理だった・・・挙句に奴隷商に捕まって、売り飛ばされて、たどり着いた世界には人間の悪意しか無かった・・・・・・・・・だから」
「・・・殺したんですか・・・その人たちを・・・」
「えぇ、凄く甘い味がしたわ・・・今思い出しても気味が悪くて、解放される思いは楽しくて・・・だけど・・・」
「そんな事をして、気が楽になる訳が―っ!?」
「・・・? もう一人のわたし? どうしたの?」
「何で、悲しそうなのに、笑ってるんです・・・か?」
「え、笑って・・・?」
頬に触れてみる、と不思議と口角が上がってるのが分かる。
私は、笑いたいわけじゃ・・・え? なんで・・・なに・・・が?
「ち、ちがっ!? 私、笑いたいわけじゃっ!?
違う、そうじゃないの! 私、わたしはっ!?」
「落ち着いて下さい! 別に怒る訳じゃないですから!
落ち着いて、ゆっくり深呼吸してください・・・ゆっくり」
言われたようにゆっくりと深呼吸しようとする、だけど、何故か心からその笑みが消える事が無くて、恐くて、震えて、だけど抑えられなくて―――
まるで、壊されるかのようで、いや、こんなの、こんなの!!!
「こんな感情、私じゃない!!!
誰! 私にこんな思いをさせているのは! だれなの!?」
「落ち着いて! お願いだから! そんなに焦ってちゃ変えられるものも変わらない!
だから―」
落ち着いて、その言葉の後には自分の感情が何処かにトンでイキそうな感覚と一緒に真っ黒な狂った感情が溢れて、溢れて、あふれて、アフれ・・・あれ・・・わたし・・・?
あれは・・・わたし・・・・・・?
気が付けば、真っ暗な感情が、真っ黒な大樹の様な形を成してこの精神世界を覆いつくしていた。
だけどソレを見て感じ取れたのは小さいセレナで、その中心にいたセレナは―――
「もう一人の私! ううん、セレナさん! わたしも頑張るから! お願いだから! 自分に、過去に、呪いになんか負けないで! わたしも、雪音さんも、みんな貴女を助けたいから、頑張って、挫けてでも、助け出したくて、だから!」
ギアを纏い黒い大樹を少しずつ切りつけながら声を張り上げる。
その小さくも優しく、張り上げた声は届いてるか分からない、だが、大樹は尚も呪われたセレナを縛り上げ、あたかも手中に収めたかのように、微かな笑い声を吐き出しているかのように胎動する。
それがどうしようもなく許せなくて、助け出したい、そう願ってやまない、ううん、願うんじゃない、助け出したい、たとえ弱くても、この力は、いつか誰かを助けるための力だと、そう自分に言い聞かせて、だから、だから―――
「逃げなさい、もう一人のわたし・・・この呪いは、ただじゃ―」
「黙っててください! このぐらい、わたしでも!」
そう自分に言い聞かせ、弱いながらも短剣をひたすらに突き立てる、だが甲高い音と共に何度も弾かれてしまう、だけどそれを意にも介さずに繰り返し刃を突き立てる、だけど次第に大樹がその枝を少女に向かって振り下ろし――
「お願い! 避けて!」
少女の叫びは届くことなく、無音に延ばされた枝木は少女に容赦なく叩きつけられる・・・が
『・・・ったくみてらんねーな!』
「っ!? だれか、居るの?」
「えっ、ヴェイグさん?」
姿は見えない、だけど小さいセレナの周囲を護る様に特殊な模様をしたキューブが展開されていた。
あれは・・・?
『このままの状態じゃ一方的にやられちまう、一旦離れろ!』
「っ! はい!」
判断が少し遅いが状況的に不利だと判断したのか、一旦大樹から離れ状況の確認を始めた。
その間に―――
「(出来ればこの呪縛を変容させることが出来れば・・・けど、さっきから頭に来るこの声は何・・・?)」
今現在、お互いのセレナの脳裏に不可思議な声の様な文字列が不明瞭に羅列しており、時折聞こえる声の様な叫びの様な【音】が互いの判断を鈍らせている。
それは先程小さいセレナを助けた声じゃない、でも、何処かで聞いたような声も混じっていて・・・
「ねぇ、小さい私、この声は響いている・・・?」
「・・・声・・・ですか・・・」
「さっきから、頭に反響する音・・・聞き覚えがある?」
「・・・・・・この歌・・・まさか・・・え、けど・・・・うぅん。
多分、いや、絶対に、マリア姉さんの残した思いが、この歌には残ってる!」
だから聞いて! そう言った彼女の言葉は何よりも強くて、だけど優しくて・・・
なんで、何でこんな私にそんなに優しく笑って話せるの・・・? 私はあなたとは違う、ううん、全くの別の存在になってしまった、だからあなたがそんなになって頑張る意味も必要も無い、なのに、なんで―
「誰かを助けるのに、理由が、必要ですか!
だったら、言います! これは、わたしの、ううん、私達のワガママだ!」
「っつぅ・・・何て、なんで・・・」
明るいワガママなんだろう・・・そんなワガママを言えたら、私も変わっていたんだろうな。
それに、彼女はまだ私の【
そんな思いを知ってか知らずか少しずつながらきつく巻き付いてくる大樹は、未だに成長が止まる事は無い、でも、これは、きっと私に呼応しているんだ・・・だったら。
「・・・一緒に、歌って、いい?」
「うん、一緒に歌って! 私達の大切な
大切な・・・歌・・・思い出・・・マリア姉さんとの・・・けど、遺してくれたモノは・・・わたし、何か、忘れて・・・?
思い出せない、けど、この音は分かる、懐かしい、姉さんの歌と、【何か】に繋がる、大切な―――
「りんごは浮かんだ、お空に」
この歌声、この歌、覚えがある・・・だけど、詩を忘れてしまった、大切だったのに、私の、大切な思い出―――
「ラーラーラ、ラララーラ、ラーラララ」
何時しかの、
そっか、私、歌いたかったんだ・・・なんで忘れていたんだろ、歌を纏う力を持っているのに、歌を、大切な思い出すらも、捨てかけて―
だから、今に思い出したこの数瞬の思い出だけは、どんな悪意にも―
「(打ち破らせたりは、絶対に、しない!
もう二度と、忘れない、姉さんとの大切な思い出はぁっ!)」
強く願い、数瞬、瞬きと共に拳を握り思い描く、私は、立ち止まってる場合なんかじゃない!
忘れてでも、残っている、想いは、まだ、生きてるんだから―――
《お前は、そんな簡単に生きられると?》
この、声は・・・っ!?
《我等はお前と共にある、忘れた等言わせぬぞ》
あぁ、そう、だったね・・・私は・・・
『様子がおかしい、一体何が・・・?』
「っ!? ヴェイグさん、あの黒い靄は―」
『気を付けろ! 無理なら引いた方が良い! こいつは―』
「さっきから聞こえている声は貴方だったのね、ドヴェルグ族、だったかしら?」
「っ!? ヴァイグさんの事が、分かって?」
『違う! 多分何かしら気配を感じていたからだろう、けど、近くで見てわかった。
コイツ、俺達が作った遺物を大量に持ってやがる、それで普通でいられる方が異常だったんだ』
「じゃあヴェイグさんの事が分かったのは」
『恐らくそっちの言う【聖遺物】の記憶からこっちを特定したんだろう。
第一、アレらを扱えるのはそれ程居ないだろうからな・・・とはいえ、どういうことだ?』
「? どういう、事ですか?」
『さっきから動きが無い、攻撃するなりやるならしてくるはず―』
そう、先程発した言葉を皮切りに囚われて居るセレナは項垂れるようにしながら、その口元は歪つに微笑み、無機質な金属音が木々が揺れ動くたびに激しく鳴り出す。
ただその中で不敵な笑みが響き、だけど、瞳から零れる【ソレ】を見逃すことは、小さいセレナにはできなかった、それは、恐らくだが彼女の、たった一縷の望み―――
だからこそ、小さいセレナは思った、もしかしたら、わたしもこうだったのかと・・・でも、涙は決して噓をつかない事を、知っている、分かって居る、だから―
「(その涙に、応えるよ、もう一人の私・・・だから聞いて、そして思い出して、姉さんとの思い出を、明るく笑えたその時を―――)」
「―星が、生まれて、歌が生まれて、ルルアメルは、笑った、常しえと―」
静かに微笑みながら歌う、謡う、詠う―
歌は決して誰かを縛り付ける物じゃないと示すために、繋ぐための絆である為に―――
だから―
「(歌って、あなたなら、わたしでもあるあなたなら、分かるはずだから!)
星がキスして、歌が眠って―」
「(歌はあなたの居場所を照らしてくれる、だから気付いて、貴女は―)」
「かえるとこは、どこでしょう・・・?」
「(独りじゃない、だから、だから―――!!!)」
「か、え、るとこは・・・どこでしょう・・・?」
「貴女には、変えられる、帰れる今がある、だから!」
帰ってきて!
小さな身体から発せられる心音はどんなものよりも強く、熱く、時に静かに、だけど激しく照らし出す。
この世界には眩しすぎる程の白銀が辺りを照らし出す、それは彼女の世界を照らす星空の様に、月の様に明るく輝き照らし出す。
意識が混沌に溶けだし混濁した彼女の意識は、小さな歌声から徐々に明るい世界へと連れ出そうとする、ただ、彼女を飲み込もうとする闇がそれを許さないかのように、蛇のように巻きつき離さない。
だが、それでも囚われた少女はその遺された唄を歌おうと口から漏れ出す息に乗せて、か細く吐き出される音へと変わりつつ、だがそれを何者かが許さないというように縛り上げていく。
それでも、彼女は―――
「(私は・・・もう一人じゃない、ううん、独りじゃ、もう居られない!
・・・貴女に応えるよ、セレナ・・・私は、私である為に!)」
「りんご、はおっこちた、じべたに・・・」
絡まっていた大樹が少しずつ変容し、彼女の意識を取り戻そうとナニカが蠢き出すように変化し始める、だがそれと同時に彼女の背後に悪魔の様な、鬼の様な形相のオーラが立ち昇り、歌わせることを否定するかのように囚われて居るセレナの首を締めあげようとして―――
「(!? やらせない!) 行って! 【ティアライト】!」
小さく木霊するナイフを一本投げ出した、それは大樹に当たり力無く落ちるかに見えた・・・が
零れた一滴が辺りの景色を少しずつ変えていく、空に、地に、世界を表すかのように自然が生まれていく。
それと同時に悪魔が蠢き、鳴き出した、まるで理性が崩壊していくかの様に・・・
そうして、囚われている少女は―
「りんごは、うかんだ、おそらに・・・」
最後の一節を歌い終え、左手に力を籠める。
右の手で枝木を掴み、口元を怒気に歪ませ、思い切り身体を捻り回し黒き大樹を崩していく、枯れ木を砕くかのように、そうして彼女は―
「ありがとう、小さい私・・・さて、貴女と会うのは何度目かしら? 私の悪魔・・・いえ、サタン?それともタナトスとでも呼べばいいかしら?」
大樹から抜け出し、未だにその場に残るソレに相対し言葉を掛ける
まるでそこに最初から居たのかのように―
《お前は我々を裏切れはしない、この先、一生
「・・・えぇ、確かに、私はそれを否定し続けていたし、共にいる者には隷属を敷いていたのは間違いない、けれど、クリスは違う・・・そして、わたしでもある彼女も―」
《だからこそお前は傷付くのだ、我々に身を預け、世界を、人類悪の抹消が使命、我等は、お前のその意思に従い共にある》
「それも分かってる、だから私はこの身を生涯呪うと誓った身、だから―」
そう、だから彼のような存在も、ラルムのような存在も、私には必要で・・・だから、人を、世界を呪い殺すと決めた、
「弱い私を許せない、だからこそ、あなた達の様な力持つ呪いが必要だった、たとえそれが何であれ、私は力を得る為に手段を選んでなんかいられなかった」
《だが、今のお前は―》
「優しさに絆されている・・・言いたい事は分かる、だけど信念には貫くための意味が必要、それはあなたも分かるでしょ?
私は自分が強いなんて思った事は一度もない、まして最強なんて
「でも! それでも、貴女は・・・自分を見失ってなんか居なかった!
どんな呪いにも打ち勝ってきたから、今ここで、自分を背負い生きている・・・そう、ですよね?」
「・・・たった二つの聖遺物を同時に纏ったぐらいの怒りしか知らない貴女程度では、私の全部は分からないでしょ・・・そんな程度じゃないの、私の怒りは・・・私の思いは―――」
《そうだ、故にお前は渡り歩いた、我らを求め、我らを扱い、この世界を、己が世界を、罪を、原罪を、スベテヲクライ、新たなる世界を、カミヲ食らいつくスモノへと昇華せしめる―》
「あぁ、そんな気さらさらないわ、それと、我が出過ぎてるわよ?
そんなのだから、私の様な矮小に負ける、絶大な力を持っていながら、強さなんてあった物じゃない・・・
最悪で最弱、だから・・・私は・・・姉さんたちの後なんて追えない、もう、あの背中を追いかけるなんて、出来ない・・・私はもう、罪を知らないモノではない、地獄を知り、人の闇を知って、絶望を知って・・・それで、それでも、人を信頼したかった! だから・・・クリスの手だけは、振り払えなかった、だから―」
「それが、貴女の優しさ・・・守りたいと願う、本当の強さ・・・そのはずです。
だって、こんなに離れてるのに、貴女の手は、暖かさに溢れてるんですから」
「・・・もう一人のわたし・・・」
そっと隣に立って私の手をぎゅっと握りしめてくれる優しい両手、やっぱり・・・貴女は優しすぎるのよ、もう一人のわたし、でも、だからこそ、私は・・・
《それで、そんなハンパな心で、お前は【ホロボスモノ】に対抗できると思っているのか? お前の全てを、何もかもを壊したアレを、幾度となく挑み、敗走した事、忘れた訳ではあるまい》
その事は分かって居る、でも、だからと言って何もかもを無碍にできる程、私は・・・壊れ切れてない・・・多分、心は、あの時の優しさを忘れてないんだ。
だとしても、私は―
「えぇ、忘れはしない、何事も、忘れるものですか、私の起こしたことも、アイツが滅ぼした何もかもを、それは、全部私と言う糧になっている・・・だからこそ」
お前も力を貸せ!
小さな一言、だけどそんな一言で十分だった
私の中にある思い全部をぶち撒けた訳じゃないけど、それでも、コイツを従えるには十分。
それでも、足りはしない・・・あいつは、それ程にまで強くなっていってる。
こんな所で、立ち止まっている場合じゃないんだ・・・だから、だからね・・・
「小さい私・・・ううん、多分生きてる経験はあなたの方が上だと思う、だから・・・姉さん」
「ふぇっ!? え!? な、なんでその呼び方なんですか!?
むしろわたしのほうから貴女を姉さん呼びするならわかりますけど、え? 何で!?」
「ふふっ、慌てた表情も可愛いわね、姉さん」
「ちょ、ちょっとどういう事なんですか! いつもの様に呼んでくれれば・・・それと、その、悪魔さん? どうなったんですか」
「あぁ、彼なら―」
後ろを少し見やり、先程まで悪魔の様な形相をしていたソレは跡形もなくなっており、そこに立っていたのは執事服を着た黒山羊の顔をした奇妙な人物と、その傍らに黒龍の様な姿をした人型の生命体がこちらに向かって跪き、頭を垂れていた。
それを後目に、小さいセレナに大丈夫と一言吐き出し、戻れ、の号令と共にその場から黒煙を撒き散らし消えていくのが見て取れた。
「なんか、呆気ない、と言いますか・・・」
「私がブレてしまった時に出てくる悪霊のようなモノよ、貴女が気にする事じゃない・・・けど、呼んでしまったのなら、ごめんなさい、それと、ドヴェルグの彼も」
「えと・・・ヴェイグさん、いい・・・ですか?」
『構わなくていい、どっちにしろ、俺も話す事がある』
「声は聞こえて無かったけど、本当に居たのね・・・ドヴェルグの民・・・」
『知ってたから俺を呼んだんじゃないのか?』
言いながら私とセレナの間にその姿を現した彼・・・確か彼女は彼の事をヴェイグと言っていたわね。
一応でもあるけど、彼には感謝している・・・あの世界を生き抜けたのは彼らが作ってくれた遺物のお陰だったから
「でも、不思議ですね」
「? 何か?」
「だって、本当だったら何かしらで行き来しないと会えないのに、私たちはこうして夢で会って話しあえて・・・それに、ヴェイグさんとも一緒に居られる、本当に不思議と思いません?」
『確かにな、普通人間の深層意識だったら俺も入ってこれはしない、が、此処はそれとは違う世界なのかもしれないな』
「・・・それは、当然かもしれないわね」
「え、どういう―」
「もしその深層意識が人間における意識の底の方だという意味なら彼の言う通りだけれど、私の場合は・・・ヴェイグさんでいいかしら?」
『呼び捨てでも構わない、あんたの事はどう呼べばいい?』
「同じセレナだと面倒ね、カデンツァと呼んでもらっていい? それで用事なんだけど、私に触れて貰える?」
『分かった、カデンツァ、だが触れる前にいいか?』
「・・・あまり時間は無いと思うのだけど、何?」
『お前は一体どれだけの聖遺物を喰らってきた?』
「・・・・・・喰らったのは、ファ▲×●Xのものだけ、の筈・・・」
『・・・成程な、お前の状態はそう言う事か、じゃぁ、触れさせてもらうぞ』
「え? 今何を言ったか分かったんですか?」
『悪い、セレナ、少し黙っていてくれるか?』
「あ、はい」
彼の前に屈み、手を広げ、彼を受け入れるように・・・抱きしめる様な感じで―
「あの、もう一人の私? ひょっとしてヴェイグさん抱きしめようとしてません?」
「聡いわね・・・もう少しだったのに」
『お前何気に俺をぬいぐるみみたいにする気だったろ今!』
「はいはい、本当は胸のあたりをと思ったけど、思ったより時間もなさそうだから両手で良い?」
『はぁ・・・本当にコイツお前と同一人物かよ・・・』
「えと、お、大きくなったら多分色々と綺麗になれるから、こんな感じに可愛いもの好きになってると思うよ、うん、多分」
「・・・さっきまでの緊張感返して」
『ソレをお前が言うな! はぁ、さっきまでの雰囲気は何だったんだお前は、まさか今のコレが素なのか?
さっきのは演技とかいうんじゃないだろうな!』
「そんな事言わないわよ、さっきのも本気の私、そして可愛いもの好きなのも私よ?」
「・・・ヴェイグさん可愛いですもんね、分かります」
『・・・もう何も言わんぞ』
あら、拗ねちゃったか、まぁ、冗談はここまでにして、そろそろ本当に時間が無いからやる事終わらせて話したい事も纏めちゃいましょうか
「それじゃ、ヴェイグ、お願いして良い?」
『最初からそうしてくれればよかったのによ・・・』
「ま、まぁまぁ、落ち着いて」
『はぁ、いいか? お前に触れて出来る事は、俺達が生み出して来た数多の遺産がお前にどれほどの影響を与えているのかを探るのと、どれだけの量持っているかの探知だ、それ以上も以下も出来ないからな。
お前も、何とかしてほしいとも思って無さそうだしな』
「えぇ、それで構わない、はじめましょうか」
私は両手で祈るように重ね、その手の上にヴェイグが右手を乗せる
正直言えば、どれがドヴェルグ=ダインの遺産か分からない私にとっては、これが一番助かっていると言っても良い行為であり、救い、にもなってくれていると思ってはいる。
ヴェイグは表情を変えることなく、眼を閉ざし、探るように何かを唱えていた。
でも、そろそろ、この世界も限界が近い、流石にあんな事に時間をかけ過ぎた・・・このモフモフ抱きしめたいのに・・・? あ、思考がズレた。
『おい』
「ごめん」
「ふぇ?」
『・・・はぁ、まぁ、大体わかった』
手から離れていくヴェイグの掌・・・もう少し味わっていたかったんだけど、今はそう言う事じゃないからね、うん、大丈夫、分かってる・・・それに―
「それじゃあ、本題から言ってもらえる?」
『・・・アンタがどうやってコレらを扱ってるかは分からないが、少なくともアンタの持ってるドヴェルグの遺産は、何故かアンタを気に入ってるみたいだ、不思議なことにな』
「え、それならそこまで心配する事じゃないって事ですか?」
『いや、違う、むしろその逆だ。
カデンツァの持っている俺達の遺産は正直数えるのが億劫になる程の量だった、が、それを無しにしても普通の人間が持っていいレベルを遥かに超えている・・・アンタ、一体・・・』
「そう、この子達は、扱われたいと思ってくれてる訳ね・・・ありがとう、それが聞けただけで十分よ」
『おい待て! お前の身体は確かに普通じゃない! だがそれが【あいつら】を扱っていい理由になんかならない! いつか絶対限界が来る、だから今のうちに扱うのを―むぐっ!?』
人差し指で彼の口を塞いであげる、分かってる、これ以上扱えばどうなるのか・・・でも、それでも
「貴方の優しさに感謝するわ、でも、止まれないの・・・これは、私が望んだ事だから―」
『・・・・・・』
「そろそろ時間ね、ありがとう、こんな私に付き合ってくれて」
周りの景色が少しずつ崩れて行っているのが分かる、今回は大分と長かったわね・・・
でもその分、大切な何かを得られた気もして―
「あのっ! また、会えますよね?」
「・・・今度は、こんな不安定な所じゃなくて、現実で会いたい・・・かな」
「はい! 絶対、会いに行きます! だから!」
―――――生きるのを、諦めないでいて―――――
それは、いつしか自分の呪いと化していた言葉、だけど、彼女から響いた言葉は、不思議と暖かくて、でも、だからこそ・・・
「(響くわね・・・心に、想いに・・・)」
そうして、この時間は終わりを告げるように、ガラスが割れる音と共に薄っすらと消えていく、再開を夢見て、小さな私とのまたの別れを、心に甘受しながら・・・甘くて、心地よい時を感じて・・・わたしはまた、おちていく、落ちて、堕ちる・・・知っている世界へ・・・
そして、私は・・・
「(この痛みに・・・落ちていくのね・・・恨み裏切られ、絶望に満ちる世界に・・・
けど、諦めない、絶対に、生き抜くから、だから、姉さん)」
行ってきます
小さな声は何処かに響いて消えて、でも、暖かさは抜けない、この想いは、絶対、手放しちゃいけない大切な、ものだから。
だから、小さな私・・・ありがとう、あの頃の、大切な歌を思い出させてくれて・・・そして―
行ってらっしゃい、もう一人の私
光になって消えゆく世界の、最後に響いた言葉は、何より暖かで、何よりも心に強く届いた・・・
あぁ、貴女のような世界に生きられたら・・・うぅん、私は、私の道を、ただ、ただ歩いてく。
そう、決めた、だから―
これからも、宜しくね・・・私の
現状いまの文字数で良い? (七千~一万程
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そのままのペースで?
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もう少し減らして
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読み足りない?