荒れたセレナと、臆病なクリス   作:蒼葉蒼輝

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もはや何も言うまい・・・?
セレナちゃんの過去を端的に話し合おうとか言うところです。
・・・後少しで無印行けるかなというところまで書いたは良いけど投稿は相当遅れそうな気しかしないです。
 とりま頑張りますよ、はい では・・・?


第二十二、五話

 これは私、セレナ・カデンツァヴナ・イヴが受けて来た現実、そしてこうなってしまった原因へと至る本当の話・・・

 これは、そうね、今話してる時間の五年以上昔の話よ―

 

 

 

 

 

 

 

 

―――セレナが荒れた理由と、クリスとの出会いから錬金術師との関り―――

 

 

 私はね、当初こそ、聖母とか優しき女神なんて呼ばれた程に人に優しく、誰とでも分かり合おうとする程分け隔ての無い優しさを持っていた、それは生まれ持ってともいえるものらしくて、姉さんもそんな私を大切にしてくれたし、姉さんの優しさを真似て育ったの・・・そんな姿を父も母も優しい瞳で微笑んでくれて、それが嬉しくて、誰にでも優しい、善人であろうと、そう思って生きていたの

 

 ・・・・・・でもね、世界ってやっぱり残酷で、時間ってやっぱり戻らないのよね、どうあっても。

 

 最初に響いたのは何かが爆発する音で、今でも覚えてる・・・私達に被害が出ないようにって、父も母も私達を抱きしめて逃げ惑っていたわ、ただ、当時それが良く分からなくて、追いかけっこでもしてるのかなって思ったの。

 それで速く走って行こうとしていた私を庇って・・・父も、母も、私に覆いかぶさるようにして・・・黒くなって、亡くなった・・・それを聞いたのは後になってからだった・・・その時は気を失っていて、マリア姉さんに起こして貰うまで全然動けなくなっていたみたい。

 

 それから私達は二人で当て所もなく歩いて行って・・・そうしてる所で、ある人達に捕まったの、正確には保護、と言った方が良いのかもしれないわね、ねぇ、フィーネ?

 

 

「・・・そう、だな、あそこの戦地が終わってから私達が現場で救助活動の最中を縫って、親元の無い子供達を誘って、F.I.S.に預けたんだからな・・・だが、お前達だけでは生きていけなかったんだろうし・・・知らない母性でも現れたのかもな、私らしくもない」

 

「でも、事実、貴女のお陰で今まで生きてこられているのは事実よ・・・一応、そこには感謝するわ」

 

 

 それでも貴方のしたことが覆る事は無いけどね。

 

 それから・・・そうね、そこで行われたことでも話しておきましょうか?

 

 

「ソレでしたら、映像があるので、それを見ながら解説していきましょうか」

 

 

えぇ、ありがとうウェル。

 ・・・さて、入れられてから数日、身体検査と色々調査され、此処がどういう所かまだあまり記憶出来てない頭で何とか理解しようと頑張りながら、怖いながらも姉さんと頑張って生きて行こうと・・・その時は、お母さんも、お父さんも生きているから、いつか迎えに来てくれるって信じて、頑張ってたのよね・・・現実は全く違うのを知ったのは、入ってから一年ぐらい経ってから・・・かな。

 早い事に、その施設に収容されてる子供達・・・その施設では私たちの事を【レセプターチルドレン】って呼んでたらしい、何でも、フィーネの器になる子供、及び装者を探す為の研究が・・・ってそれを言えば此処も似たようなモノよね。

 そんな事は今はどうでもいいわね。 私が装者として覚醒したのは七歳になるぐらいだったかしらね。

 

 その夜は不思議と寒くて、姉さんと一緒に抱き合って寝ていたのだけど、何かに呼ばれるかのように目を覚ませられて、無意識に動き回ってたら・・・

 

 

「聖遺物の保管庫に一人で歩いて行ってたんですよ、研究員の誰かしらがそんな事言ってまして・・・まぁ、本人も寝ぼけ眼で見たらしいので詳しい事は後に監視カメラで分かりましたが。

 やっぱり、アレ等の覚醒は、本人の意思とは、全く相反するもので・・・嫌になりますよ、本当に」

 

 

 ・・・そう、ね、ウェル、でも貴方が悲しんだりすることは無いわ・・・だって、姉さん達を護ることの出来る力が手に入った事を本当は嬉しかったんだよ・・・だけど・・・あの研究者共は・・・!

 

 

「この映像は・・・っ!?」

 

「酷いものですよね・・・僕が非番の時にこんな研究を堂々と記録してやってるんですから・・・

人は、いえ、子供たちは・・・モルモットなんかじゃないというのに・・・」

 

 

 そこに映し出されているのは私を除いた子供たちが無理やりに聖遺物に対して歌を歌わされ、薬物の過剰投与をさせられ、血反吐を吐き散らかしながらも無理やりに纏わされ・・・そして・・・

 

 

「おい・・・これ・・・マジなのか? わたしも、間違ってたらこうなってたのか!?」

 

「・・・あれは、まだ実用に至る前の劇物のリンカーです・・・あんなもの使っても適合率の上昇は微々たるもので・・・そんなモノの過剰投与が十になる子供の身体に耐えられるものじゃない・・・

 結果として、聖遺物たちに拒絶され、身体を・・・ぶちまけられたのですよ・・・

 あの子達は、何も悪く無い・・・悪いのは、僕達ですよ」

 

 

 でも、ウェルは悪く無い、貴方が居ない時にやらされたの・・・わたしを除く、非適合者たちを、一斉検査と称しての・・・大虐殺・・・

 その映像に映るのは血塗れになった試験室を呆れた目で見つめる職員たちと、泣き喚く子供達・・・

 その場には、マムもウェルも居ない・・・非道な大人たちの蛮行でしか無かった・・・

 ・・・・・・? この、映像は・・・?

 

 

「っ!? すいません! 即刻止めて下さい!」

 

 

 映像は姉さんが聖遺物の前に立たされている所で停止させられ、その場所のガラス戸の向こうには私が誰かと一緒に立っている状態で止められた・・・ねぇ、ウェル・・・これ・・・

 

 

「今の、セレナさんには・・・見せられません・・・申し訳ありません・・・」

 

「ねぇ、何が、有ったの・・・姉さんに、何が・・・?」

 

「貴女の姉であるマリア・カデンツァヴナ・イヴさんは・・・ネフィリムによって殺された、この事実は変わりません・・・なので、この映像を見る必要は・・・「ウェル!!!」・・・」

 

「何を・・・隠してるの? 教えてよ! ねぇ!!!」

 

「隠していませんよ・・・それに、ガングニールの欠片は、セレナさんが持っているでしょう? マリアさんの形見として」

 

「あれは・・・姉さんが・・・? ねえ、さん・・・が・・・?」

 

 

 ・・・あれ? 私、何か忘れてる・・・でも、記録上では・・・姉さんは、ガングニールを、纏って・・・? 劇薬で・・・纏った・・・?

 でも、姉さんは切歌ちゃんや調ちゃんとも会ってて・・・でもこの映像は・・・私が八歳ぐらいになる前の物で・・・?

 

 

「ねぇ・・・この映像って・・・」

 

「何を言われてもこれ以上は見せられません・・・これ以上、貴女は何かを気負う必要は無いですよ・・・

 お願いです、これ以外なら見せられますから・・・申し訳ありません・・・」

 

「・・・ウェル君・・・この先は・・・」

 

「たとえセレナさんの関係で上司になるであろう方でも見せられません・・・すいません、コレは・・・残してはいけない記録なんです。」

 

 

 お願いします、と、念を押して映像を一度切る・・・ねぇ、ウェル・・・貴方は、本当に私たちの味方なんだよね・・・ねぇ?

 

 

「えぇ、誰が何と言おうとも僕は、セレナさん達の味方ですよ。

 たとえ、裏切り者と言われても・・・ね

 

 

 ・・・? 何か言っていた、気がするけど・・・今はそんな事を言っている場合じゃないわね・・・

 そういえば・・・この後にウェルやマムが帰ってきて、子供たちが半数近くいなくなっていたんじゃなかったっけ・・・どうなの?

 

 

「・・・はい、その通りです・・・それからですね、貴女も壊れたように話が飛んでしまった喋り方をしだしたのは。

 それから櫻井 了子・・・いえ、フィーネと言っておきましょうか。

 彼女の行動は早かった、少なくなった子供達を補充するかのように、戦場を渡り歩いたかの様に様々な人種の子供達を際限なく施設に入れ込み、優しく接している間にも・・・非道が何処かで行われていて・・・僕もナスターシャ教授も、抑えるのが手一杯に成ってしまって・・・

 上にも掛け合ったのですが・・・子供達には、未来が無くなって・・・ですが、僕もそんな事を簡単に許せるほど人間出来ちゃいないですし、終わっても無いです。

 何とか数名ほど、歳の多い子達を隠蔽して助けたり・・・本当に忙しかったですよ・・・ネフィリムが来る前は、ですね・・・

 来てからは・・・酷いものでした、僕は即刻研究から切られ、ナスターシャ教授も、ギリギリの所を繋いでた所でしたが・・・それでも、人の欲を抑えることが出来なかったんでしょう・・・

 結果として、アレが・・・完全自立兵器【ネフィリム】・・・僕達は神の異形体として判断しましたので別称【メギド】・・・神の怒りを示して、そう呼ぶことにしました。

 ・・・・・・因みにですが、初期起動時に抑える為に、セレナさんも絶唱を歌っていたのですよ。

 その後に、イガリマと、シュルシャガナの装者が大切な人を護る為に、と一緒に絶唱していたんです。

 もっとも、コレは後で確認できたデータの話でしたが・・・そこにガングニールの破片もあったので・・・恐らく、あそこに有った聖遺物の殆どは・・・もう機能すらしなくなっているかと・・・」

 

 

 ・・・あれ、私も、絶唱したの・・・?

 あれは、姉さん達が抑えた影響で施設を全壊、ネフィリムがさらに暴走して・・・人を、モノも、見境なく食べつくして・・・姉さんを、切歌ちゃんや調ちゃんも・・・誰も彼も、喰べつくして・・・

 

 

「えぇ、最後に映った記録は・・・これです」

 

 

 その映像は、ネフィリムの前に何処かで見たような機械的な装甲が見られて、その色は黒を基調として居ながら、ギアペンダントの赤色が所々に散りばめられた装甲、そして、鎌首をもたげて対象、ネフィリムを威嚇し、暴れ回った瞬間に、映像が途切れて・・・

 

 

「あれは・・・まさかと思うが、ラルム、なのか?」

 

「・・・おそらくこれが、彼・・・と言えばいいのか分かりませんが、初期起動した瞬間だったのでしょう・・・そして、これがセレナさんの、力でもあります」

 

「あの・・・それから先って、お姉様が辿った道筋で、間違ってないのでしょうか・・・」

 

「えぇ、恐らくそうでしょう・・・一応、映像記録でどっちに向かったかまでは分かったのですが・・・如何せん、あの崩壊が起こってから一週間程帰国に掛かってしまったので、事後処理も何も、有ったものじゃなかったのですよ・・・しかし、本当に惜しい人達を亡くしました・・・

 せめて、ナスターシャ教授でも生きてくれていれば、と思いましたが。

 ・・・セレナさん、後は、貴女の辿った道程を・・・教えてください」

 

 

 辛いと思いますが、と付け加えてくれた・・・確かに、辛いけれど、コレは誰かにも知っておいてもらいたかったことでもあったから。 話すよ、私は・・・

 

 

 

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 F.I.Sがネフィリムによって倒壊した後、南の方面に別の施設があるらしく助けて貰う為に他の生き残りである研究員の人達と共にその場所を目指す―

 

 間柄親しい訳では無かったが、話しあう内に打ち解け合う事も出来る人は何人か居た、だけど、皆が皆そんなに優しい訳では無く――

 

 

 

 

「だから捨て置けと言っただろ! いくら装者が重要だからとは言え、私達まで身投げすることは無い!

重要なのは【装者】ではなく【シンフォギア】だ! だったら彼女は別にどうなったって―」

 

「唯一の適合者を投げ捨てて自分だけ助かろうとするようなことをするな!

第一、彼女が居なければこんなものただの宝石に過ぎんだろ!」

 

 

 そんな事を言い始めたのは三日ぐらいたったころだと思う、辺りはもう既に暗く、遠目ではあるが、木々が見え始めている所までは来たが、辺りには一切の家と言う家は見えていない。

 不幸中の幸いと言えば、避難道具にはテントが何組かあった事、また、それらが簡易で軽く、小さい私でも持ち歩けるほどのモノだった事が幸いしていた・・・だが、ただそれだけだ。

 水も人数分ともなれば相当量であり、持ち歩くにもバッグに入る分でも重量が重み、その中にも食料、携帯用のレーションなど、人数的に考えても一月持たないだろうというのは小さい私にでも分かった。

 

 ただ、あまりにも周囲が閑散としすぎているのはあまりにも不思議で、どれだけ街から離れた位置に作られていたのか・・・今にして思えば極秘裏にするにしては、交通の便が悪すぎるとしか言えなかった。

 だがそれでも生き残る為に、聖遺物たちを何とかするためには行動するしかない、それは小さい私でもなんとか分かったのだけど、問題はその量、そして人数・・・

 

 

 その場から行動し出した時は私を含めて十人余り、明らかに多すぎる程、その上体力のある人はあまりいなかった、だから私がギアを纏って荷物運びを手伝っていたのだけど・・・それでも、此処から無事に似た施設までたどり着けるかどうかは希望も何もあった物では無かったらしい。

 らしい、と言うのはあくまで聞いた時の話・・・でも実際、クリスと出会えた以上、施設は有った訳だけど、その距離が問題だった。

 結局、私以外は皆死んでしまったのだから・・・食糧難だけでなく、森も抜けて行ったときに毒を貰って亡くなった人も居た、それだけでなく、身内同士のやり合いも有ったの。

 

 仕方ない、なんて思いたくなかった、みんな生きて安心できる世界で過ごしたかった。

 確かに、姉さん達は、ううん、私の家族と思った大切な人たちは皆居なくなってしまったけれど、それでも、絶望だけに染まらないように、その時は必死に頑張ったんだよ?

 けど、結局世界は私を、わたしたちを拒絶した、最後に残ってくれた私にとって大切な希望も、私に最後の聖遺物を遺して逝ってしまった。

 あの人だけでも、生きていて欲しかった、私の、導になって欲しかった・・・けど、結局叶わなかった。

 

 

 それから私は一人で地図に付けられた跡を頼りにひたすら歩いて行った、歩いて、歩いて、動かなくなるほどにまで歩き通して、つかれて、でも、未来がある事を信じて・・・

 そう、信じて・・・

 

 

 

「どう、なったんだ、その後は・・・」

 

「最悪の、世界が待ってた・・・あんな事、知りたくなかったのに・・・っ!」

 

「あぁ、そこから先は・・・サンジェルマン達が知っている筈だ・・・そうだろ?」

 

「・・・・・・あぁ、一応、な・・・だが私達が行ったのは事後処理だけだ、それにその場にいた何人かの命は、無事では無かったな・・・恐らくだが、そこで今の彼女が覚醒したんだろう」

 

「ふむ・・・詳しい事は聞かない方が、良さそうだな・・・

だったらそこを抜いて続きを話してくれるか?」

 

 

 

 ・・・ありがとう、弦十郎・・・けど、ある程度は話させて貰うわ。

 私が最悪を受けて数か月ほど経っていたんだと思う、もうその頃には私には時間的感覚が無くなっていて、気付けば痛みも苦しみも、何かに置き換わってしまっていたんだと思う。

 解放されたときには、その場にいた何十人と殺してた・・・それだけは、覚えてる、その後誰かが来ていた気配は有ったけど、私は当初の目的通りに記されていた目的地に歩いて行ったの、その場所にあったいくらかの食料を奪って、ね。

 

 ・・・それから森を抜けて・・・いくら経ったか分からないぐらいの日にちを歩き通して、それで気が付いたらいくら歩いても疲れる気配が無くなっていて・・・

 それ自体は、これを見て貰った方が良いかしら・・・背中を見て貰える?

 

 

「友里、頼む」

 

「はい、失礼しますね・・・? 翼ちゃん、奏ちゃん・・・見た時こんなのあったかしら?」

 

「? どうしたんですか?」

 

「・・・黒い、突起物・・・? 何ですかコレ・・・」

 

「あぁ、そう言う事か、だからあんな無茶しても無事だった訳か・・・」

 

『分かるんだね、キミには、やはり、なら、説いて貰おうか、その聖遺物について』

 

 

 アダム、アンタも分かってるでしょ、この異物について・・・

ついでに胸元に入れ込まれている紅の結晶、ギアペンダントとは違う深紅の結晶を見せる。

そう・・・私は・・・

 

 

「まさか、身体全てに聖遺物を入れ込んだのか、お前は!」

 

「逸話や神話、伝承を調べたり、色々と、やって、ね。

生きる為に、自分を道具にすることも厭わなかった結果よ」

 

「そんな事をすれば、生命として終わる事が分かって・・・っ!?

 そうか、その為の【逆さ鱗】を埋め込んでいるのか! だがそんな無茶をたった一人の子供に出来るものか!」

 

「普通なら、そうでしょう・・・でも、それは一人で背負ったならばの話です。

お姉様、もう打ち明けてよろしいので?」

 

「えぇ、双対の聖遺物・・・と、言えばいいのかしら?

 私達はこれを【双星の呪戒(ジェミニ・ギアス)】と呼ばせて貰っているけど、まぁ、これも体を壊すには十分な聖遺物、そして、私の力の変換機能を担ってもらってて、そして―」

 

 

「ファフニールの龍血逆鱗・・・そこまで揃っていたのか、いつだ?」

 

「いつ? とは?」

 

「いつF.I.S.に運び込まれていた、そんなモノ普通では―」

 

「さぁ、私は最後に残ってくれていたあの人から形見として受け取っただけなので、詳しい事は知らない。

でも、あの人も私の幸福を願っていたのは、確かだった・・・もう戻れないけれどね」

 

 

 そう行って自嘲気味に笑う、周りは冷める程に静かだったけど、逆にこの感じが心地いい・・・そうだ、私は、クリスも自分の世界に巻き込んで、そして・・・

 

 

「・・・それから、クリスと出会って・・・後は、アンタ達も情報として知っている筈よ。

 バルベルデ大虐殺事件・・・軍隊が軒並み惨殺された惨たらしい事件の事を。」

 

「・・・・・・あれを、本当に君一人で・・・」

 

「クリスにもいくらか手伝ってもらったけどね・・・この子も、復讐したいって言っていたから。

だから―」

 

「殺させたのかよ・・・本気か!」

 

「本気よ、そうでなかったら私達は自分の意思もなく殺されていた。

殺されて当然だったのよ、あんな奴ら―」

 

「だからって、だからってっ!?」

 

「奏、戦場での油断は命取りよ・・・今あなた達の前に居るのは心優しいセレナでは無い。

何千何万の人間を殺した虐殺者、ただそれだけよ」

 

 

 迫って来ていた奏に一瞬にして近付き背後からナイフを突き立てる。

全く、ギアも纏わず、身体の弱い人間は・・・いえ、私たちの環境がおかしかっただけ、か・・・

 

 

「それに比べて、この日本は本当に平和ボケの酷い世界ね・・・こんな所じゃいざと言う時に身を護る事も出来やしない・・・いえ、それすら必要が無いほど平和なのかしら・・・

 ・・・私たちの居た世界が此処ほど平和であったなら、どれだけ・・・どれだけ!!!」

 

 

 奏からナイフを引き、感情のままにこの世界の不条理を言葉に・・・でも、言葉だけじゃ事足りない、そんなモノだけで、人が分かり合えたら、あんな残酷も無かったのに・・・クリスも、此処までなる事は、無かったはずなのに。

 だから――――

 

 

「・・・フィーネ、バラルの呪詛について、再度問いかけるわ。

 アレが壊れれば、本当に人同士の争いは無くなるの?」

 

「・・・・・その、筈だ、統一言語を失った我々が最初にとった行動が戦争だったからな。

 ならば、逆に統一言語が戻れば・・・と思ったが・・・」

 

「こんな惨状で今更言語が戻った所でどうにもなりませんよ。

統一言語は統一意識で再生される、と言うのであれば、確かに【戦争】事態は起きませんよ。

 しかしそれは人類の発展の妨害に他なりません。 違いますか?」

 

「今にして言えば、そうなのだろうな・・・

だが、あのお方と話し合う為には、あの言語が必要であったのだ・・・あった、筈だ」

 

「だけど、当の呪詛は、今やネフィリムの体組織と混同されていると言っても過言じゃないのでしょうね・・・壊れていないのは、恐らくネフィリム自身理解できていないからでしょう。

 でも、これでネフィリムが次に狙うのが良く分かる・・・キャロル、アレを持ってきてる?」

 

「持ってこない筈が無いだろう、これを目的にしてたんだろう?」

 

 

 長方形の何枚折りかされた機械部品の様なアイテムを空間から取り出してこちらに投げ渡してくる。

 一応聖遺物なんだから変な扱いは・・・

 

 

「一番変な扱いしている奴には言われたくはない、と他の聖遺物たちも言うんじゃないか?」

 

「それもそうね・・・じゃ、これが、多分一番狙われやすい、と私達は思ってるけれど、どうかしら?」

 

「・・・まさかそれまであるとは、お前たちは一体どれだけ・・・」

 

「了子君、これは・・・まさか」

 

「深淵の竜宮・・・入るのは容易では無かったにしろ、警備の無力化は楽だったぞ」

 

「そしてこれは―――」

 

「ヤントラ・サルヴァスパ・・・任意的機械制御装置・・・それさえあれば機械と判断されるものは何でも制御できてしまうという、聖遺物・・・だが、それなら態々盗む必要も―」

 

(オレ)達の城を動かすために必要だったんだ、すまないな」

 

 

 そこまで言って画像を別のモノに移し替える、私が次に移りすんだ場所、それがキャロルの潜んでいる城、【チフォージュ・シャトー】

 何でも錬金術の技術を最大限に活用して作られた【不落の城】・・・がテーマらしい、あくまで聞いただけな上、私が全力を出すとあっという間に堕ちてしまうからとか、だから今は、いろいろできる便利な移動要塞としか思っては無いけど。

 

 

「・・・だったら、協力体制をとってくれれば―「(フィーネ)が居る所に協力が簡単にできると思うな、お前とて分からぬものと手を取り合うことなど出来んだろう?」 ・・・ぬぅ」

 

「そう言う事だ、結局皆自分可愛さに甘え、本来の事をおろそかにしているにすぎん。

 その上、悪事に加担していることも知らずにこの様、笑えるとしか言えないな」

 

「キャロルさん・・・奏さん、翼さん、あなた達は、それでもフィーネを・・・櫻井了子を許せますか?」

 

 

 そう言われては黙る二人、そうよね、さっきフィーネに拳を向けようとした奏はそう簡単には許せる筈が無い、結局、人間集まれば衝突は避けられない、当然の結果ね・・・挙句、自分の目的すらも達成できなくしてしまうなんて、本当に、本末転倒よね、フィーネ。

 それで、アンタらは彼女の罪に対してどう付き合うつもり?

 

 

「・・・それでも、この力は了子さんがくれた、唯一の、武器で、あたしの信念だったんだ・・・

恨んでも、今更どうこう言える立場じゃねーよ、あたしは・・・」

 

「そう、だな、例え加担してしまっていたとしても、それは結果に過ぎない。

そのお陰で私達はこうして出会い、互いに理解し合おうとしているんだ。

 無駄、とは言えないだろう、だから、櫻井女史を、いや、彼女だけを罰に掛ける様なことをするなら―」

 

「それは俺達の罰でもある、事実、こうやって聖遺物を管理、保管し、利用する手立てまで整えているのはこちらだからな、個人の失態は全体の失態でもある・・・だから、キミが了子君を殺そうとするなら、俺達もそれ相応の罰を―――」

 

「バカ言ってんじゃない、あなた達はこっちの事とは無関係だ。

 偶々今回関わっただけで、それがフィーネの関係者だっただけ・・・

私とて、無関係な奴らを鏖殺しにしたいわけじゃない、それだけは分かって欲しい」

 

(オレ)達が無事な理由がそう言う事だ、とは言え、サンジェルマン達の目的としては一国軍が全滅したのは心穏やかでは無かったようだがな」

 

 

 サンジェルマンが渋い顔してるけど、まぁ、事実ではあるらしいわね。

 彼女たちも昔から数えられない程の人数を殺してきている・・・けど、それは目的達成のためのモノ、私が殺すモノとはわけが違う。

 ・・・でも、人を殺せて分かった事もある・・・

 

 

「私は・・・もう人には戻れない・・・

ふぅ、話疲れたわね・・・少し休憩させて貰っていいかしら?」

 

「・・・そうだな、(オレ)達も少し休ませて貰おうか、サンジェルマン、お前たちはどうする?」

 

「一応、連絡を入れさせて貰おう」

 

『じゃあ、させてもらうとしようか、ゆっくり、言ってくれよ? はじめる時は』

 

「別にあなたに報告する義務は無いので此方で好きにやらせて貰います。

・・・訃堂さんは・・・なにを?」

 

『別に大したことではない、気にしないでもいい』

 

「・・・・・・なぁ、セレナ、さっき言った事・・・」

 

「答える気はないわ・・・それじゃ、また後で」

 

 

 そう言い終えて各々色々やり始めてるけど・・・こんな所にいる時点で、私は既に捕まっているようなモノよね。

 だけど、なんでこの人達は、私達を捕える様なことをしないの・・・?

 あの時の大罪人で、この国でも人を殺していることを知っている筈なのに・・・

 ・・・・・・考えるだけ疲れるわね・・・今は、ゆっくり休憩させて貰いましょ。

ねぇ、クリス・・・私達・・・これで、良いのよね・・・?

 

 

「お姉様、大丈夫ですよ・・・私達は、絶対に果たすんです、復讐を・・・あの怪物を・・・」

 

 

   ―――打ち砕く為に―――

 

 

小さい言霊、だけど今の私達には必要な言葉の重ね合い

・・立った小さな軌跡かもしれない、だけどそれでいい・・・だって、私達は・・・

 

 

「もう人でなしなのだから・・・いいよね、クリス?」

 

「はい! 何も問題はありません、お姉様」

 

 

 さて、次は・・・何を話しあいましょうか・・・これからか、あの怪物(ネフィリム)についてか・・・分からないまま殴り合いも、まぁ良いでしょう・・・? 奏、何かしら?

 

 

「なぁ、これだけは教えてくれ・・・お前は、この先、生き続ける気はあるのか?」

 

「それは、どういう意味での質問かしら? 奏」

 

「クリスを残して消えちまうような事しねぇよなって事だよ!」

 

「大丈夫よ、だって、消える時は―――」

 

 

 

―――――クリスと一緒なんだから―――――

 

 

 消えないとは答えない、だって・・・私は復讐の為に生きてるのだから、終われば、どうなるか・・・そんなの自分ですらわかる事でもない、だけどこれだけは言える。

 私は、クリスを残して消える気はない、例え、ヒト型でなくなったとしても、私は―――

 

 

 

 

 

   ―――――この世界を、呪い続けるのだから―――――

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