荒れたセレナと、臆病なクリス   作:蒼葉蒼輝

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 会議は続くよまだまだ・・・っと遅れて申し訳ない、なかなか難産になってきたこの頃・・・?

しばらくは対話になります、今回はセレナさんと結社の人たちのとか、色々・・・?


今、ライブの所書いている最中なのでもう少ししたら無印のところに入っていけると思います、はい・・・では後で。


第二十三話

 

 

 

 

 

 

 

―――会議、再開―――

 

 

 

 

 

 場所は変わって指令室、時間は、十時を過ぎたくらいかしら?

どうも、お早う、ね? セレナよ

 それぞれに席が設けられ、本格的な会議場の体を成している。

 先ほどの対話から奏や翼がこちらに向ける視線は明らかに別のモノに変わってはいたけど、そんな事を今更気にすることは無い、だって、今まで幾度となく向けられてきた視線でもあるし、そんな心の人間に助けられることも、無い、そんな弱い人間になんか助けられることは、もう、ない。

 だって、その弱い心は、私が昔に切り捨てたモノなんだから―――

 

 

 それで、次に話す事について、だけど、その前に中央テーブルには未起動の完全聖遺物やそれに連なる聖遺物、及び、シンフォギアのペンダントも並べられ、それに私たちの持っている唯一出せる聖遺物をいくつか場に置いておく、ただ、【ダインスレイフ】等の呪われた聖遺物は現存するだけでも周囲に変化を巻き起こす為並べない。

 これはあくまで私やキャロルが扱えるだけのようなモノ、クリスも一応は扱えるのだけど、それでも長時間は無理だって言っていた。

 そうしてこの中に・・・

 

 

「了子君、この杖のようなモノがさっき言っていた【ソロモンの鍵杖】なのか?」

 

「あぁ、コレは先日、F.I.S.が崩壊する前に半分は起動状態にして置いた物、だがまだ能力の半分も利用できない・・・もし扱えれば、ノイズの完全使役も容易いのだがな・・・」

 

「・・・前から思っていたのだけど、コレでバビロニアの宝物庫にアクセスしているのよね?」

 

「あぁ、私が何度も転生している中でこれだけはその性質を変えて居ないのだが・・・何かおかしいか?」

 

 

 ・・・フィーネは気付いていない? 何故?

だって、普通に言えば、ソロモン・・・つまり、悪魔の塔の創設者であり、有名な伝記では【ソロモンの七十二柱】と言うメジャーもメジャーな、と言っていいかは分からないけれど、恐らくその扉を開く鍵でもある筈の【ソロモン】と名の付いた【鍵】・・・それがかの有名なギルガメッシュ伝記に登場する【バビロニア】、しかもその英雄の宝物庫の鍵になっているというのがまず疑問だ。

 繋がっている以上そこにおかしく思う事は無いのだろうけれど、普通であれば、原典の鍵、及び杖があってもおかしくは無い・・・

 私やキャロルの考えが違うのかしら?

 

 

「あの、フィーネ、コレが【ソロモン】の名に関するもので間違っていないんですよね?」

 

「あぁ、名義上間違って―「じゃあ何でギルガメッシュ王の宝物庫を開く鍵になってるんですか?」・・・? どういう事だ? 何が言いたい?」

 

「それに関しては私達も疑問に思っていた。

フィーネ、お前がアンティキティラの羅針盤を奪って行ったのを覚えているか?」

 

「・・・あぁ、一応、な・・・だがアレは今の話と―」

 

「あの時私達が持っていたのと同じだ、この鍵はな」

 

「・・・? 何故お前たちがソロモンの杖を持っていたんだ?

 そして何故こちらに・・・」

 

「恐らく、ですが、物々交換された物が渡りに渡って日本国に運び込まれたのでは?

 何百年もそう言う道具を大切にできる程人間はしっかりできてませんから」

 

 

 私達を見ればわかると思いますが、と言葉を締めた。

 事実、その後サンジェルマンはソロモンのソレを協会に預けた後の事を知らないそうだ。

 実際、起動できたことは無かったらしいから、結局この今に至ると言った所か・・・

 ・・・・・・所でだけど。

 

 

「それを扱ってノイズにどこまでのことが出来るの?」

 

「一応だが、細かい所まで出来はする、特定の人物だけを襲うように、とかな。

 だが持っていたにしても扱えたことが無い以上は―「なら起動しましょうか?」 っ!? なに?」

 

「クリス、いいの?」

 

「はい、お姉様も気になっていましたよね? これが、彼の魔術師、ソロモンの扱ったとされる杖なのかどうか」

 

「そう言えば、二つ名に【魔術王】なんてけったいな名前があったわね・・・

ホント、伝記って読めば読むほど、胡散臭い、って私たちが扱ってるコレもそうか」

 

「・・・で、本当にこれを起動するのか? 後でどうなっても」

 

「あくまで確認の為に起動ですよ、とは言え、こんな所で急に誤作動起こしてノイズまみれになっても困りますし・・・外でやります?」

 

「待て待て、歌で起動するって言うなら私達が歌っても起動するんじゃないのか?」

 

「・・・多分、クリスなら一番早く起動できるわ、次に私が・・・だとも思うけれど、翼とどっこいじゃないかしら?

 まぁ、とっとと起動しましょ、もし本当にノイズの制御が出来るのなら、それに越した事は無いし。 それに・・・中の何かが騒いで五月蠅いし、ね・・・」

 

「ん? 何か言ったかセレナ?」

 

「何でも・・・それで、まだ未起動の聖遺物は、サクリストD こと【デュランダル】と、こちらとしても重要な【ネフシュタン】、後・・・」

 

「今ここにある分だとそれだけだ・・・

 しかし、他国が今どれほど聖遺物を保持しているかは分からん。

現に米国はあの怪物に襲われない為に隔離しているらしいしな」

 

「だとしたらここも相当に危険では?」

 

 

 

 言いたい理由は良く分かる、現にここを【カ・ディンギル】であると言った以上、此処は人口聖遺物の中と言っても良いのだろう・・・? あ、そもそも聖遺物は人の作ったものか。

 近代文明で作り上げた砲台、それには恐らくだけど聖遺物と同じような力が備わっている筈。

 そうだとすれば、此処が危険であるのは想像に難くない・・・けど。

 

 

 

「平気でしょ、事実コレが砲台だとしても、弾が無い以上恐らくネフィリムは近づいてこない。

 そして対抗するためにも、サクリストⅮ、こいつが欲しい」

 

「先程から言っているだろう、コレは国の― 「そもそも国として現存できなければ保持している意味も無いはずですが?」 ・・・あいつが国を容易く滅ぼすと? 聖遺物しか喰らわない筈・・・」

 

「・・・それについては・・・キャロル、お願い」

 

 

 

 あぁ、その返事と共に、然る時に起こり得た一つの国の攻防戦が・・・いや、最早ネフィリムの一方的な蹂躙が映し出されている。

 逃げ惑う者、立ち向かう者、数多の人物が次々に灰燼と帰していく・・・

 私達がそちらに着いた時には既に何もかもが終わった後で、残った後の塵には人の物であったであろう異物があちらこちらに散乱していた。

 そして、現場の焼け着く様に染み付いた鉄の臭い、そして硝煙の燻ぶった黒い煙、何処で呼吸しても歪な香りしかなくなった其の地は一夜経たずに廃墟になる程にまでなってしまった。

 ・・・そこには憶測ではあったけど、一応聖遺物が祀られて居たらしい。 と言うのも、その聖遺物を目指してくるだろうと予測して動いていたのだけど、それを、奴の分身体【N(ネフィリム)・ダミードール】によって邪魔され、私たちの力を露呈させられたと言っても良いとおもう、事実、この数か月後に遭ったネフィリムには、私たちの力が殆ど通用しなかったから。

 だから、言える、これほどに聖遺物を管理しているこの国なら、間違いなくネフィリムの標的になっていることは間違いないって。

 

 

 

『今まで・・・どれほどの国が被害に遭ってきた?』

 

『五か国ほどだよ、数えでね、そろそろもう一国家滅ぼすんじゃないかな、【アレ】は』

 

 

 

 細かい障害なら数えてもキリがないほどだけど、としめたアダムの言葉に頷く私達、それについてはサンジェルマンもキャロルも知っている上、私も関わった事の多くが、大部分の街を、市を滅ぼして行っていて・・・

 その罪の贖いに、私が標的になっていて・・・後は、言わなくても分かるよね?

 

 

「そんな・・・けど、セレナは見ず知らずの人達を護ろうとして・・・そして―!」

 

「奏、言葉で取り繕えるならいくらでもできる、だけど―――」

 

 

   そんな程度で人が分かり合えると思わないで!

 

 

「程度・・・程度、だって・・・?」

 

「あの黄色のガングニールの子が言っていたことが、全て成せるだなんて甘言はやめて、だとしても、と手を伸ばされても、私たちの血塗れた手を握るその意味を、その意思を、あなた達に背負えると?

たとえ手を握り合った仲でも、次の日には敵対する事だってザラにある。

 そんな中で、敵とされて居る相手とも、手を取り合えると・・・? ふざけないで!!!

 だったら、だったらなんで私たちはその手で殺されているの! これもそれも全てあのバラルの呪詛のせいだとでも? いいえ、そんな事はあり得ない! アレこそ人の本懐、人そのものの意思に他ならない! 私がこうなっているのも、人の欲が消せないのも、あれだけのセイでは決してない。 私達が互いに理解し合えないのは・・・己も、相手も、何もかも怖いから・・・昔のわたしであったなら、恐怖の前に何かしようとしていたのかもしれない。

 だけど! そうした結果、どうなった・・・? クリスは見るも無残な姿に変わり果て、私はもう人としての形を留める事は無かった・・・今生きている理由は、最早身体自体が完全に【人】と言う器を成しているに過ぎない・・・

 それでも、この姿をしているのは・・・未練、なんでしょうね、私と、あの世界と、今を繋いでくれている・・・だとして、アイツを殺しても・・・結局、私は・・・

 

 

  大罪人であることに変わりはない・・・たとえ、私が殺してなかったとしても、ね」

 

 

 

 そこまで言い切って、映像は幕を閉じ、通信状態の三人が再度映し出される。

 奏はもう言える事は無いのか、唇を歯噛みして悔しそうに目を伏せて、翼は視線をオロオロさせて、何処か焦っているようで・・・、弦十郎は聞き終えて何かを決したかのように何かを書き綴・・・正確には叩き込んでいると言えばいいのかしら? まぁ、こんな大罪人を政府が見逃すはずが・・・? 弦十郎、それは何?

 

 

「これ以上詳しい事は君が話したいときに話してくれ、だが、なんだ・・・少しは、この世界について良い事もあると、君たちに知ってもらいたいんだ。 と言う訳でだ、奏、翼」

 

「はい!」 「なんだ? ダンナ」

 

「君たち四人で、あるテーマパークに行ってもらおうと思っている、と言うよりは、あと少しで期間が切れそうなチケットがあるのでな、ついでだから行ってもらいたいんだ。

 俺もいければと思ったが、離れる訳にも行かないだろうしな」

 

「あら、別に気にしなくてもいいのに、弦十郎君が居なくてもこっちはしっかり回せるわよ。

 それより保護者も無しに中高生を遊び惚けさせるのが問題だと思うのだけれど?」

 

「ぬ・・・それもそうか・・・」

 

「ねぇ・・・また私たちに無駄ごとを―「無駄だなんて言わせないさ」・・・なに?」

 

「君は誰よりも人を護ろうとして、絶望を知り、それでも今尚生きようとしている、だから、知っておいて欲しいんだ、キミが守って居たモノを、誰の為に守ろうとしていたのかを・・・」

 

「知ったかぶりしないで! 私たちの何を―「確かに分からない! だが、最初は誰でもそうさ」・・・」

 

「だから、これから互いに分かりあって、知り合って・・・そうして、その先で、笑い合おう、君となら、違うな、君たちは笑っていて良いんだ、だから」

 

 

 

 ・・・本気で言っているの、コイツ・・・

だとしたら、相当に頭が逝っているとしか思えない・・・だって、私達は許されてはならない程の罪を犯して来た、罪には罰を、それが私たちの為してきた事であり、同時に自分達を戒める楔。 それだけでは無いのだけれど・・・やっぱり、分からない、何が言いたいの、こいつは・・・周りの奴らも不思議な笑みで、気持ち悪い・・・ぅっ

 

 

 

「お姉様! 大丈夫ですか!?」

 

「ごめ・・・クリス、肩、貸して」

 

「・・・弦十郎、あんまりそう言う事はやらない方が良い、彼女自身、何でも受け入れられる程強くは無いんだ・・・あの時から、彼女の幸せは無くなったんだからな・・・」

 

「どう、いう事だ?」

 

「その前に、ベッドに運んでやれ・・・さて、こっからは彼女についての事ではあるが・・・そうだな、(わたし)達もお前たちに協力しても良いと(わたし)は思っているが、お前たちは?」

 

『ないよ、異論は、合流したのだからね、その為に』

 

「局長が異論無いのなら、私達は言える事は無い。 このまま話を続けよう」

 

 

「そう、か 所で、君たちの組織は一体・・・」

 

「セレナから教わらなかったのか? 錬金術師結社【パヴァリア】そこのサンジェルマンは、その結社の幹部をしている・・・統率者でもあるな」

 

「局長がやらない以上、誰かがやらなければ結社として崩壊するからな・・・それに、この事にセレナも関わっている」

 

「錬金術師、か・・・」

 

「そうだ、フィーネ、お前がかつて相対した存在、そしてお前も扱った事のある術だ」

 

「・・・サンジェルマン・・・アダム・・・あぁ、そうか、それでアンティキティラの羅針盤と言っていたのか、ようやく思い出したぞ」

 

 

 くくっ、と低い声で少しの笑い、その後に言葉を綴る・・・それは過去にフィーネが対錬金術師にしたのであろう所業の数々、だがそれをもってしても、己が命題を成せなかった、からこそ今に至る。

 そうして、現在に至るのだが・・・

 

 

「それよりも、セレナ君のあの容態は何なんだ・・・翼からも聞いたが、幸福を感じると成る、とはいったい・・・?」

 

「それはだな――「不幸喰ライ、そうじゃないか?」 ・・・あぁ、そうだ」

 

「アイツの体中に聖遺物を入れ込まれているのはお前たちも確認しただろ? それと同時に不幸がクリスに向かわないように、ありとあらゆる不幸を喰らい、自分のものとする、そうして得た負の感情は彼女の力になる、故の戦場での殺害だった訳だ・・・

 最も、アイツも何かがあって女性に好かれる【ナニカ】を持っているらしい・・・効果は・・・まぁ、そこの装者二人が良く見ているだろう?」

 

「私・・・「達?」」

 

「先日、ノイズの襲撃があって、そこで助けた女性がおかしな言動をしていなかったか?」

 

「そういや、セレナの事を、真っ先に【お姉さん】って言ってたな・・・でもあれは―「偶然だと思うか?」 ?」

 

 

「今まで数多の女性たちを助けて来たアイツだが、誰も彼も、年上年下関係なく、女性は皆彼女を見て第一声には【姉さん】と口にする。

 これでは、まるでサキュバスの呪いの様な、だな」

 

「それを、彼女は?」 「知らない、だが薄々勘付いているんじゃないか?」

 

「じゃあ、じゃあクリスのあの慕いようは・・・」「呪いの所為、と言いたい所だが厳密には違う」

 

 「な、なんだ、違うのか」

 

「敢えて言うなら、それよりもキツイ呪いに掛けられていると言った方が良いかもな、何せ、アイツの主従を結ばせたのは・・・いいや、コレは言わなくていいか、それにやったのは(わたし)じゃない、セレナが、自分の意思でやった事、そして、クリス自身もそんなセレナと契りを結ぶことになんら抵抗も無かった、まるで、初めからそうなる事を望んでたかのように、な」

 

「・・・じゃあ、アイツが死んだら・・・」

 

「クリスも死ぬ、そういう呪いだ・・・

 こっちが聖遺物どうのこうのと騒いでいる間にも、アイツは次々に曰く付きのアイテムを探し出して、(わたし)達に扱いやすいように加工させられていたな、今にして思えば当然か、なんせアイツは―――」

 

 

 

 

 

 

 

    世界に呪われた聖女なんだからな・・・

 

 

 

 

 

 

「・・・は? 聖・・・女・・・? それに、呪われたって」

 

「簡単な話だ、アイツは全世界の悪意を一心に受けると決めた幼い時からダインスレイフを何の負荷もなく扱い、それ以外の呪物も容易く、何を支払うでもなく扱いのける、正直、(わたし)も正気を疑ったよ・・・まぁ、アイツは自分を【狂気の化身】と揶揄していたが・・・

 それでも、アイツは・・・セレナは、(わたし)達の大切な・・・」

 

「本当に、大切に思って・・・居たんですね・・・ですが、なんで?」

 

「・・・(わたし)達【パヴァリア光明結社】はたった一人の少女に皆負けたんだ。

ありとあらゆる術式、聖遺物の効力、あらゆるものを駆使して、負けたんだ、彼女はただ【アガートラーム】を纏っていただけだったというのに、な」

 

「あぁ、その時にも私や局長達も力を貸してくれていたが・・・刃が彼女の守る者に届く遥か前に潰されていた、私も、キャロルも、プレラーティやカリオストロも、結社のほぼ全勢力が、彼女一人に推し負けたんだ、それも、十になった辺りの少女に、ね・・・正直、心が折れたよ」

 

『だからこそ、してるのだよ、彼女の支援をね しなければね、殺されないように』

 

「なん、だよそれ・・・じゃああたし達が戦った時は、手加減してたってのか? あれで」

 

「ラルムの存在を出しただけ十分な戦果だ、と言いたいが、アイツ一体で本来ならあそこいら一帯は廃墟同然になる筈だったが・・・イレギュラーが居たお陰で倒壊は殆どなく済んだのは意外だったな」

 

「成程、響君の事か」 「違う、お前の事だ、弦十郎」 「・・・」

 

 

「何でアイツがお前に対してあれだけ用意周到に戦いを進めていたか分かるか? それはお前が(わたし)達やアダム達よりも危険と判断したからだ」

 

「それでも、俺は彼女の毒で一時戦闘出来ない程まで追い詰められたが」 「だがそんなモノ己が力でどうとでもできただろう?」 「・・・ぬぅ」

 

「アイツの麻痺毒であそこまで早く復帰できたのは弦十郎を置いて他に居ない。

対策のしている錬金術師ですら手間取っている間に狩られる始末、(わたし)とオートスコアラー達を合わせて戦っても十分もたないんだ、こっちがな」

 

「あぁ、それは私達も同じだ、むしろ五分も保たない、局長に至っては―」『一分だよ、全く、しかもクリスにね、酷いものだよ』

 

「クリス君一人で、君たちの長が倒されるほど、なのか・・・」

 

「むしろあの時の戦いはただの蹂躙だったな、と言うよりアダムが【嫁にしよう、彼女を、祝ってくれ、僕達を】 なんて出鱈目こいて彼女をブチギレさせたからな、自業自得だ」

 

『冗談のつもりだったんだ、本当にね、困ったものだよ、通用しないのは』

 

「ですが局長、あの時の言葉は冗談では無いように聞こえましたが、その上、彼女はその時11程の少女だったと記憶していますが―」

 

『黙っておいてくれ、その事は、分かっているよ、気が早いのは。 だが先約しておきたかったんだよ、何事も、早い方が―――』

 

 

 

   ズドンッ!!!

 

 

 

 唐突に通信先のアダムの部屋の後方に大きな穴が空き、彼の頭を何かが撃ち抜いた後が出来ていたが、彼自身それを気にすることなく、苦笑いを浮かべていた。

 

 

「だ、大丈夫なのか? アダム局長・・・?」

 

「いつもの事だキニスルナ」

 

「あぁ、このぐらいで局長は倒れないからな。

 しかし相変わらずの精度の高さに驚くよ、よっぽど憎んでいるんだな、局長の事」

 

『おいおい、酷いじゃないか、傷付くよ、心が』

 

「身体が傷付いても大したことない癖に良く言うな、ホント。

 どうせならダルマにでもして貰った方が良いんじゃないか? 動かない局長らしく丁度いいオブジェになるぞ?」

 

『やめてくれよ、言うのを、実行されるからね、今に・・・っと!?』

 

 

 画面の向こうでは次から次に風穴から飛んでくる弾丸を器用に避けるアダムが映し出され、次第に弾幕が濃くなっていき・・・

 

 

『許さない・・・姉様を汚そうとするアンタなんかアアアァァァァ!!!!!』

 

『待ってくれないか! それはもうやめにした話だったはずだろう、だからこれは言葉の―――』

 

『知らない! このまま滅んじゃえーーーーーー!!!!!』

 

 

 

     MEGA DETH CARNIVAL

 

 

 

 最後に見えたのは真っ赤に燃えたギアを纏い空を浮遊する銀髪の少女に射抜かれる巨体の姿だけだった、哀れアダムの冒険はここで終わってしまった―

 

 

 

「はぁ、オシイヤツヲナクシタナー」

 

「全く、口には気を付けろとあれほど言っておいたのに・・・局長だから仕方ないか」

 

「い、いいのか? あれは」

 

「どうせんでもあとでアダムの部屋だけ再生すればいいだけの話だろ? だったら今の(わたし)達に何の関係も無い・・・音声を切っておいてくれ」

 

 

 先ほどから鈍い物理音が響き続けているのが伝わって来るが、まぁ、気にしなくていい、いい、のか・・・?

それはともかく、彼女の手に別の物が握られて居たような・・・

 

 

「【ソロモンの杖】の起動ついでに叩きに行ったんだろう、所々にノイズの残骸を出している辺り、意図して使っているな、まぁ、起動完了している辺り流石と言えるか」

 

 

 流石アダムだ と感嘆する・・・が反応はそれでいいのか・・・?

 

 

「・・・まぁ、こっちの事はまだ色々やる事はあるが・・・さっきの流れでまだ話すのは少し気が引けるしな・・・どうする?」

 

「彼女達にも色々準備が必要な物もあるし・・・後は俺達で話しあえばいいだけだろうからな、翼、奏、付き合わせてすまなかったな」

 

「いえ、こちらとしても彼女について色々聞けて良かったです・・・ですが」

 

「より一層付き合い方が難しくなっちまったな・・・どうするか考えるの、ちょっとめんどくさいな・・・」

 

「奏っ」 「分かってるよ、翼、兎に角 彼女から出来る限り目を離さないようにしておく、それでいいか?」

 

「クリスにも気を配っておいてくれ、あれでもセレナに次ぐ、って言わなくても分かるよな、お前たちもアイツにやられてるんだろうからな」

 

「ところでクリス君が向こうに居るという事は、今セレナ君は― 「緒川さんが様子を見に行きました」 そうか」

 

「ま、此処の場所を登録してるだろうから、クリスもすぐに帰って来るだろう、と噂してたら来たか」

 

「只今戻りましたキャロルさん、弦十郎司令・・・これ、あのクズの物です サンジェルマンさん処理お願いします」

 

「・・・あんなでも局長だからあんまり悪口を言わないで―「な・に・か?」 ・・・何でもない」

 

 

 何故かおぞましい微笑みを見た気がする、だが此処にいる者たちの話ではあの男はまだ生きているらしいから気にしなくても良いらしい、それよりは―

 

 

「クリス君、ソロモンの杖の起動は出来たのか?」

 

「あ、はい、あのクズを潰そうと歌を口にしたときに並列して起動しましたから、特に問題無いかと?」

 

 

 ・・・クリス君、それは良いが、その禍々しい杖状の【ナニカ】に触れて良いのか、悪いのか・・・

 

 

「弦十郎さん、これについて聞きたいんですか? これはですね―――」

 

「ストップ! まて、落ち着け弦十郎! 早まるな聞くな言わせるな! クリスも早くそれを仕舞え! 良いから!」

 

「・・・はぃ・・・」

 

 

 ・・・・・・なぜかとてつもない勢いでキャロル君に制止されたが、どうやら認識してはいけない【ナニカ】だったらしい・・・ん? 今動かなかったか?

 

 

「・・・このこかわいいですよね?

 

 「・・・(俺は何も聞いていないっ!)

し、しかし・・・もうこんな時間か、時が経つのも早いものだな」

 

「もうお昼ですか・・・じゃあこのままいつもの所に集合ですかね?」

 

「キャロルさん達はお昼どうしますか?」

 

「・・・そう、だな―「考えていないのなら、私達と一緒にどうだろうか?」・・・いいのか?」

 

「だな、そうだ! サンジェルマンさんも一緒にどうですか?」

 

「キャロルも向かうのなら、同伴に与ろうか」

 

「藤尭、友里、此処まで話しておいたことの纏めは―「あの局長さんがやられている間に全て纏めておきましたよ」 そうか、出来て無かったら飯の後でも良いと思ったんだが」

 

「その辺は抜かりなく、今日仕上げるものもセレナさんが早く来たお陰で直ぐに済ませる事は出来ましたから、取り合えず翔希さんに連絡入れておきますね」

 

 

 あぁ、頼む・・・ふぅ、これで先ずはひと段落、か・・・そういえば、八紘の兄貴、一言も喋ってなかったが・・・

 

 

『別に気にしなくても良い、こちらはこちらで聴取を執っていただけなのでな、それで、その後はどうする?

 もしまだ話しあうのであればこのまま通信を続けておくが?』

 

「いや、もういいだろう、セレナ君達はしばらくこちら預かりで良いだろうし、親父もそれでいいよな?」

 

『あぁ、是非そうしてくれぃ!』

 

 

 ヤケに声を張っているな・・・まぁ、奏以来の貴重な戦力と言う点でも、重宝する事になるだろうな・・・

さて、ここから忙しくなりそうだ

 

 

「司令、翔希さんがあと二十分ぐらいしてから来てくださいと報告が来ましたので、追々向かう事にしましょう」

 

「そうだな、今日はもう早上がりで良いだろう、藤尭、今日はもう良いぞ、明日も非番で良いからな」

 

「マジですか! 有難うございます!!」

 

「いや、わざわざ夜勤までやらせて此処まで居させてしまったしな、なに、飯代位こっちで請け負うから好きなの食べて良いぞ?」

 

「うわ~ 今日ほどマジで夜勤明けが嬉しい日も無いですよ~ あ~ テンション上がって頭ヤバいかもな~」

 

「そう言って羽目を外し過ぎないでよね?」

 

「分かってます! 節度を持って ですからね」

 

 

「・・・こちらもこういう奴らばかりの結社ならどれだけ楽だったことか・・・」

 

「言わないでくれキャロル、悲しくなるから」

 

 

 

 ・・・彼女たちも彼女達で相当に辛かったんだろうな・・・まぁ、今回は全員分奢って良いだろう・・・と言うよりいつもあそこでは後払いにしているから気にしなくても良いのかもしれないが・・・

如何せん、彼にはこういう事も含めて感謝してもしきれない、それに、まぁ、他にもいろいろあるが、まぁ、言葉では言い表せないぐらいには、あるな。

 

 

「これで記録お終い、さて、そろそろ向かいましょうか」

 

「そうだな、良し、戸締りして・・・と、そう言えばだ、響君はどうしてるんだ?」

 

「あ、そう言えば散々話していてすっかり忘れてました・・・部屋にいるんでしょうか?」

 

「だれか彼女の様子を―――」 「あ~!!! すいません! 立花 響! 寝坊しました!」

 

 

 唐突に開かれる指令室の扉から、勢い良く前のめりに転けそうに・・・こけた

 

 

「っと、大丈夫か? 響君」

 

「あ、はい! 頑丈さだけは取柄なんで・・・って、あれ? サンジェルマンさん!?」

 

「? お前とは初めてだったはずだが?」

 

「あ、えっと・・・『響、響、後は私が話すから通信機渡して』 あ、はい!」

 

「その声、リューシェか」『そだよ~いつぶりだっけ?』

 

「前 翔希が局長に交渉して以来だから、半年ぐらいじゃないか?」

 

『そんなもの振りか~・・・で? 通信に来てたはずのその局長は?』

 

「先程、クリスによる抹殺が遂行されたところだ、無事を願うつもりは無いが」

 

『あ~、まぁいいや、どうせ生きてるでしょ

それで~、こっちの響って子がサンジェルマン・・・相変わらず長いから【エルマ】って呼んでいい?

 その子なんだけど、実は並行世界の最も強い響ちゃんだったりするんだよね? 多分』

 

「つまり(わたし)達の事を知っていたのはその並行世界の(わたし)達と会っていたからか・・・だが見る限り、そっちの(わたし)達は亡くなっているんだな?」

 

「はい・・・だから、他の世界でもこうやって出会えて手を握り合えるのがうれしくって・・・」

 

『あ~ ところでこれからお昼だよね~

とっとと来てくれない? お話は後で良いから~、ね?』

 

「そう、だな、これ以上遅れる訳にはいかないから急ぐか」

 

「サンジェルマンはそのまま言ってくれ、(わたし)はセレナを連れて行く」

 

「分かった、後でな」

 

 

 あぁ、いうが早いかキャロルはセレナが居るであろう部屋を目指す。

まぁ、まだ話すことは纏まっていないのが現状、だろう。

 幸い、ここにいる奴らはセレナを許し、幸せにしようと考えるお花畑な連中が多いと言える・・・だが、それだけで物事は簡単には済まないのが現状であって。

 こと、件の問題、ネフィリムの事に関しては、まだ纏まっていないのが気にはなるところだが・・・今はまだゆっくり考えればいいところだろう。

 もし、だ、必要ともなればシャトーの全出力を使ってアイツを、ネフィリムを対消滅させる覚悟くらいは必要だろうな・・・

 とはいえ、だ

 

 

「起きているか? セレナ」

 

「起きてる、少し気分が優れなかっただけよ」

 

「そうか、これから例の場所で昼食を取るんだが、動けるか?」

 

「・・・えぇ、平気、大丈夫よ・・・」

 

「・・・・・・頼むから、あまり心配させないでくれよ・・・(わたし)にも、セレナが大切なんだから―――」

 

「分かってる・・・じゃあ、遅れると悪いから、向かいましょう?」

 

 

 

 あの司令も言っていたが、やはり、幸せには、なって欲しいかもな・・・なにせ、世界の不幸を一身に背負ってきたんだ・・・だから―

 

 

 

 

  ―――どうか、彼女たちに幸福があってくれ―――

 

 




・・・途中弦十郎さんが言っていたテーマパークについてですが、別口で書いていきますので本編とは別投稿にします(分けるだけで対して変化は無いかと?

そろそろ苛烈になってくるかと・・・次回はやばいのが来て、来ます!(?)

ではまた

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