荒れたセレナと、臆病なクリス   作:蒼葉蒼輝

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今回投稿しないと今月投稿できない気がしたので投稿します。
・・・そういえば、マリアさんの誕生日ってそろそろでしたっけ?
 なんかしとこうかな・・・?

えっと、今回は話し合いもあるけど、ネフィリム全般色々いいます。


・・・次回は時間が飛びます、はい、進行度はあまりよろしくないですが、頑張る


 それでは!


第二十四話

 それから色々、飯食べて映画見て―――

 

どうもこんにちわ、で時間的にもいいわね、セレナよ。

 

 あれからまた色々話し合うことになるとも思ったけれど、起動したソロモンの杖の試験運用に付き合わされたり、ツヴァイウィングの二人の身体強化に付き合わされたり、まぁ、情報自体はある程度共有できたから悪い事ではなかったが、それでも、フィーネの核心部には触れられなかった・・・まぁ、私自身の話すことのほうが多かったことも相まって時間が一日では足りない、その上、月面調査も併せて成す事が大幅に増えた、というのが現状なのだろう、あの喫茶店の店主も苦笑いしていたところを見ると、当分はそれぞれの対策に当たると言っていた、だからこそ、私達のやりたいことが出来る、だから、ね。

 

 

 

 『個体N―DOLLの出現を確認、個体数28! 皆さん! エンゲージまで残り10っ!?

ってセレナさん! 先行しすぎないでください!』

 

「ネフィリムの小型個体が国内の至る所に発生しているのは着いたときから知っていた!

これで・・・158!」

 

 

 

 地上に着地する瞬間、ネフィリムの分体を一発で殴り飛ばす。

 殴られた部分から消滅するように消えていくのを後ろ目に確認し、脚部のブースターを点火、速度を出さないように出力のみを引き上げていく。

 その間遠方からクリスの狙撃が私の死角を潰すように跳弾し、ネフィリムを地面に縫い付ける。

 

 ところで、なぜ唐突にノイズではなくネフィリムの子供のような個体を大量に相手取っているのか、というのも基本的に避難警報はノイズ以外には地震や津波以外に発令しないから、ということでネフィリムの存在をある程度の距離から感知できる私やキャロルの持っているシャトーの機能で探知するしかない。

 だけどその機能を取り付けるだけでも時間がかかる、故にデータだけを施設に取り込んだ、そうしたら近辺だけだがネフィリムの反応を探知することに成功した・・・まぁ、施設の機材が程良くあっていたんでしょうね、こちらが気にすることではない・・・にしても・・・

 

 

『これだけの量、一体どうやって隠れていたんでしょうか・・・』

 

「奴らはこれだけじゃ収まらない! おそらくだけどこの国全土にまで出没しているでしょっ!

 本体のネフィリムがやってくるのを待ちながら・・・ねっ!」

 

 

 三体ほど一気に飛び込んできたのを両手で纏めて抱え込み咆哮、吐き出される音の波に反応して真っ青なブレスが直線状に放たれ霧散する。

 もはや人ではない、と以前から言っていたのはそういうこと、現に着地からここまでギアは足にしか装着していない、あくまで機動力確保のためのギア運用、部分展開、これが運用できるようにしてくれたのはキャロルのおかげ、実際、歌うことなく念じるだけで装着できる利便性で的確に運用できる、ただ難点としては呪いの力を転用できないから装着部分は赤の宝玉が足首辺りに煌めいていて踵あたりから白い、白銀の羽が煌びやかに輝く今に似つかわしくない白銀のヒールシューズ、ただ踵は着地した瞬間にネフィリムに弾け飛ばしておいた、なんで女性ってあんなタイプの靴で安定できるの・・・? よく分からない。

 

 

「いや、あたし達からしたらセレナの戦い方も相当だぞ!?」

 

「奏、戦場には来ないでって言ったはずだけど?」

 

「それでも私達は防人る者だ、民を守るために此の身を戦場に捧げる覚悟なら当の昔に出来ている!

 っ! ハァッ!」

 

 

  【蒼の一閃】

 

 

 腰部から一気に弾き出された刀から蒼色の巨大な波動が一直線に小型ネフィリムたちに襲いかかる、これなら倒せるだろう、と息巻いている・・・が

 

 

 

 

  ズガンッ!!!

 

 

 

 集団に当たる前の位置で刃が消滅し黒煙を撒き散らす、セレナとクリスはやっぱりと言う顔持ちで呆れた瞳をネフィリムたちに向ける。

 そうして煙が晴れた頃に先程までいたものとは違う大きさのネフィリムが赤い瞳を相手に向けながら煙のような息を口から吐き出していた。

 

 

「なっ!? アレを、防いだのか?」

 

『違います、喰べられたんです!』

 

「食べた、だと?」

 

「そういえば、あなた達はネフィリムの主食が何だったか知らなかったわね。 いいわ教えてあげる、クリス!」

 

 

 遠方から三発ほどの細いミサイル上のなにかが高速で飛来する。

 見るのは愚か下手をすれば可視速度を超えていたのかと思えるほどの速度だったが、相手三体をそれで吹き飛ばせたのだろうかと思えたのだが。

 

 

『弾け飛ばします! ご注意を』

 

 

 当たったであろう三体の内部から赤結晶状のクリスタルが増殖、内部破壊を引き起こし破砕される寸前、他のネフィリムたちが集いそれぞれを喰らっていく、まるで餌に群がる鯉のように―

 それを黙認し、右腕に呪いの渦を作り出し、溜め込む・・・そして

 

 

「確認は終わったかしら? だったら―  これで終わりよ!

 

 

 

  【〈CoDE.Cast:CARSED>TOrNAdE FeArS】」

 

 

 

 塊になっていたネフィリムたちのど真ん中に右腕を打ち込み大きな力場を作り出す、そうして内側から生まれた竜巻は縦に渦巻くことなくブラックホールのように内側に巻き込んで引き裂いていく。

 その音は何かを細切れにするようにグシャグシャと不快な音を巻き起こしながら、ネフィリムの血のような黒い液体や緑、茶色など様々な色のなにかが弾け飛びながら悲鳴が響くことなく圧し潰されていく。

 その様子を見たくもないように目をそらし他の個体を探しながら様子を見るツヴァイウィング、それに対してクリスは複数の弾丸を嵐の中に打ち込み、更に加速させて行く。

 それはさながら歪曲に曲がるレールガンのよう、一体、また一体と肉片ながら生命維持されているネフィリムの心の臓を撃ち抜いていく、まるで曲芸のように、そうして―

 

 

『これで・・・終わりっ!』

 

 

   【MEGA DEATH SpyRaL】

 

 

 本来であればミサイルの連射の砲撃を渦状にうごめく弾丸で成す、直線にしか動かないものを空間を捻じ曲げるか如く闇の渦の中に入り込み撃ち抜かれたネフィリムから無数のスパイク状の赤結晶が再び隆起する。 それだけで留まらず、這い出た結晶が更に黒ずんでいき動きを止めたネフィリムたちに突き刺さっていく。 そして―――

 

 

「・・・いい感じのオブジェができたわね」

 

『上手く行きましたか?』

 

「上出来よ、クリス、お疲れ様・・・これで185体・・・埒が明かない・・・けど」

 

 

 そこまで口に出して首を横に振り否定するように汗を振り飛ばす。

もうじきに10月も終わる頃だが、それでもまだ暑い時期が続いており、ギアを纏わずに動いていたセレナには現状の暑さが吹き抜ける風に何処か心地よさを感じつつもその乾気に苛立ちも感じていた。

 そこまでしても苛立ちは収まらない、だから―

 

 

「なぁ、セレナ、それをどうするんだ?」

 

「・・・黙ってて・・・さて」

 

 

 脚部に込めたエネルギーを別の形に変形させる、右足はまるで重機のようにドッシリと構え、反時計に二回転、勢いをつけて左足を突き刺すように叩き込む、更にそこを支点にし前のめりに上に駆け上がる、そうして頂点立ち、右足を思い切り点火したブースターで叩き落とす。

 縫い留められたネフィリムの塊は弾け飛ぶことなく潰れていき― そうして―

 

 

 「何度目かしらね・・・消え散りなさい!

 

     ヴァニッシュドカノン・ヘルズ・セレナード

   !VaniShD CaNon HELL`s SERENADE!」

 

 

 叩きつけた右足から赤黒い極太の光線が地面を抉り散らし、弾けた火花が天上に舞い上がり辺りを更に暗く染め上げる。

 それは彼女の象徴のような色、打ち込んだ瞬間の爆音は小さく消えて、纏まっていたネフィリムが悉く消え去っいく、まるで鏖殺し尽くすかの如く、しかし留まることはなく、彼女の狂気は更に濃く、さもレーザーの様なソレは鋭い刃物のように変質していく、刃のような、されどナマクラを作り出したかに思えたソレが収束し、更に白い闘気となり弾け飛んで木霊する・・・ソレは、まるで一つの聖遺物に変わったかのような変化だった・・・そして―――

 

 

 

「またハズレ・・・村正の贋作か・・・」

 

『勾玉、鏡、村正の贋作・・・かなりのモノを蓄えた用に感じますね・・・」

 

「前はシャムシールの贋作だった、その前は毒蛇の呪眼・・・」

 

『確実に、何かの意思を汲んだ異物を此方に渡してきてる・・・ひょっとして、遊ばれている?』

 

「・・・・・・アイツなら・・・間違いなくヤル・・・そうして、多分、私がここにいることを勘付いたはず」

 

『だとしたら、半年の間に来るのでは―』

 

「な、なぁ、さっきから何の話を―」

 

「・・・奏、翼、人間を辞める覚悟はある?」

 

「っ!? はぁっ!? おま、何言って!?」

 

「セレナ、自分で何を言っているのか、分かっているのか!?」

 

「当然、それに見たでしょ? あなた達の攻撃、あいつらには傷を付けることすら出来てなかったの」

 

「それは、ギアの出力を出せて―「じゃあしっかり出力の出せる翼の攻撃も通っていなかったのはなぜかしら?」 っ!」

 

 「だけど、人間をやめるって―」

 

「ちょっとストップ、皆熱くなりすぎです。 少しは冷静になってください」

 

 

 唐突に風が抜けたかと思ったら、来たのね、凪 翔季・・・しかし相変わらずに苛つかせてくる感じ、なんでかしらね・・・

 まぁ、それはいいけど・・・

 

 

「ネフィリムの残骸は残してない、一課はお呼びじゃないのだけど?」

 

「いや、周辺の被害状況の報告も僕たちの仕事だからね

 ・・・それに、僕も戦闘に色々入らせて貰ったから、ね?」

 

 

 言って此方に何かを投げ渡してくる・・・これは、贋物・・・?

 

 

「ここいらに居たネフィリムが体内に保有していた聖遺物、箱の形からして【パンドラ】かと思ったけど・・・アレは災厄の聖遺物だし、セレナさんが持ってるかと思ったんだけど」

 

「その異名については私もよく知っているけれど、生憎持っては居ないわ。

 キャロルも存在は知っていても倉庫にも入ってないと言っていたわ」

 

 

 投げ渡された小さな箱状の塊を見つめる。

 所々煤けており元の色が分かりづらいが、白を貴重にした幾何学模様の箱だった、どうやらこれはピンクに近い色だったのかもしれない。

 それにこれは彼が言ったように【パンドラの箱】ではない。 事実、そうであったのならば私がこの手に加えない訳がない。

 アレは人の不幸の体現、私にあっている聖遺物だから、逃したくはない・・・でも、目の前のこの箱は一体・・・

 

 

 

「開けていいかしら?」

 

「どうぞ、とはいえ、僕たちじゃ開けられなかったんだ、でも君なら開けられるんじゃないかな?」

 

「なにそれ、どういう・・・って、開かないのだけど?」

 

「? なぁ、翔季の兄貴、こういう箱なら外側を壊して中身を出せばいいんじゃ?」

 

「もしこれが箱と一体型の聖遺物だった場合それでは効果がなくなってしまう。

 それにね、調べたらこれが【完全聖遺物】だっていうのが分かった、だからセレナさんになら開けられるかと思ったんだ。」

 

 

 

 まぁ、結果は無理だったわけだけど・・・

 にしても不明確なモノを渡すなんて、どういうつもり?

 

 

「セレナさんたちは確か聖遺物を掻き集めていたと言ってましたから、どんな聖遺物でも力になるかと。

 それに、自分の使っているギア以外のギアも纏えますよね?」

 

「何を根拠に・・・?」

 

 

一つのペンダントを投げ渡してきた、これって・・・

 

 

「【複製トリシューラ】 僕たちはオリジナルを持っていないからね、贋作だけどオリジナル以上の性能を作り出すことにして、まぁ、成功させたのが僕たちのリーダーだけど、よかったら試しに使ってみてくれないかな?」

 

「扱うのに歌が必要でしょ、コレから聖詠は浮かんでこないのだけど・・・?

・・・あぁ、なるほど、櫻井了子の作ったギアシステムじゃないから、つまり、そういうこと?」

 

「うん、そういうこと。 君なら雑にでも簡単に扱ってくれそうだし、壊さなければあの人も何も言わないだろうからね」

 

「・・・先ほどから話を聞いていれば、なんだ? 櫻井女史ではないものが、ギアシステムを、作ったと言ったか?

 コレはそんなに簡単に真似できるものなのか? あの人からすれば無理だと言っていたが」

 

「普通は、無理だろうね、でも僕たちのリーダーはソレを可能にする科学力を持ってる、それに信頼できる。 だから僕たちは【彼女】についていくことが出来る・・・って言っても、君たちと合うことは絶対ないと思うけどね。 だから僕たちが代理として君たちの【異変】を解決するために力をつけて色々やらせてもらってる・・・っと、コレは特に君たちには関係ないことだったか」

 

 

 

 ごめん、と一言謝ってきた、というよりそんなことで謝らないで・・・私に謝ることなんて、ナニモナイ、ただ・・・力が欲しい、ソレだけだから―

 

 

「翔季、一つ聞きたい・・・あなたの全力は、私より強いの?」

 

「・・・力の使い方による、かな―」

 

『そんなことないでしょ翔希く~ん、私達の主戦力集って戦ってもかすり傷一つ付けられないんだからわたしたちの中で最強は間違いなく翔希くんだよ?』

 

「ちょっとリューシェさん! ・・・ごめん、今のは―」

 

「そう、なら―」

 

 

 私と戦ってくれる?

 思ったことはそのままに、だけどまっすぐ左手にダインスレイフを引き出し真正面に向ける、彼の戦い方は詳しくはわからないが、速度に特化させたものなのは見ていてよく分かる、そして―

 

 

「翼たちの戦闘教官もしているらしいわね?」

 

「はぁ・・・君とは絶対戦いたくは無かったけど・・・演習ならいいか・・・

分かった、けどすぐには出来ない、此方にも準備があるからね」

 

 

 それは分かってる、けど、逃げないで

 

 

「勿論、あ、場所は・・・二課のエレベータシャフトのエリアでいいかな、あそこ結構広いし、ちょうど壊していい許可もおりたから―」

 

「ちょっ!? 待て待て翔季のアニキ! そんなところで戦ったらリディアンにも被害が出るだろ!

 本気かよ!!?」

 

『構わないわ、奏 むしろ景気のいい花火を打ち上げてくれればいいわ』

 

「その声、櫻井女史か・・・しかしいいのか? あそこを壊せば二課も扱えなくなる。

その上、リディアンにも多少なり被害が―――」

 

『そのことについてだが、話がある、一度本部に集まってくれ』

 

「旦那・・・」

 

 

 どうやら何か考えがあるそうね、ま、私は何も気にすること無く容赦なくフィーネの異物を壊す気だったけど、どうやらこの人もソレを壊す気でなんだかんだノリが良いみたいで助かるわ。

 さて・・・じゃあ

 

 

「186体目・・・逃さないわ!」

 

「っ!? 居たのか!?」

 

『さすがお姉さま、此方からでは建物の影で射抜けなかったので助かります。』

 

「気づいてたなら連絡してくれればよかったのだけど・・・まぁ、コイツにも利用価値はあるもの、ね!」

 

 

 右手で貫いた心臓部、ソコに這わせるようにダインスレイブを近付けて、思い切り横に薙ぐ。

 しかしネフィリムは横に真っ二つになること無く体制そのままに力尽きる、そうして溢れ出た気味の悪い色の体液をダインスレイフが余すこと無く吸い尽くしていく、そして・・・

 

 

「こんなものね、後は私の血を最後に飲ませて・・・終わり」

 

 

 右手首を軽く切り溢れ出る血を剣に与える、それを喜んでいるかのように脈動し吸引していく血吸剣《ダインスレイフ》、しかし一定の量を吸うと満足したのか赤い脈動は収まり、黒く寝静まる、まるで生きているかのような脈動は見る人が見れば(おぞ)ましい異物に感じることは確かだろう。

 かの伝説では其の者の血が尽きるまで血を喰らい続ける魔剣、だけど、コイツにはその常識は通用しない、いや、させはしない。 私という楔が、コイツを活かし殺す その為に互いに活かし殺し続ける、そう決めた・・・だから、コイツは―――

 

 

「ダインスレイフ自身が、セレナさんであり、また彼の存在【ヘグニ(原初の所持者)】を模した【異形】へと成り得た、彼のドヴェルグすら畏怖した存在・・・それが」

 

「そう、それが私・・・異端者【セレナ】と言う叫びそのモノ、分かったでしょ? 私が何を背負い、なぜ生きられているのか」

 

「・・・検査しなくても分かる・・・セレナさん、貴女は・・・・・・」

 

 

 

  ―――人の形を模した、聖遺物だ―――

 

 

 

「くふっ! フハハハっ! なぁにその言い方っ! 笑えるじゃないっ! ふふっ」

 

「なっ!? あんだよ・・・それ、セレナ自身が人じゃないみたいな言い方――『奏、残念だけど、彼女の言う通り、人じゃないわ』

 っ!? はぁっ!? どういうことだ!」

 

『それについて詳しく話したいから早く帰投してくれ』

 

「了解しました、奏、詳しいことは」

 

「―っちっ! 分かった! ・・・もっとしっかり話してもらうぞ! アンタのこと」

 

「・・・とはいえ、遥か昔のことは、忘れたけどね・・・まぁいいわ、戻りましょ」

 

 

 

 そこで本当の絶望を教えてあげましょ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ~二課本部~

 

 

 

 

 あれから数十分、撤収にしては早かったほうだと思う。

一課の仕事がある翔希は無理やり連れてきた、コイツ一人居なくともなんとか出来るでしょ?

 まぁ、それで私が人じゃなくなっている理由・・・か、クリスやキャロルには話してあるけど、二人共そんなことより私のことが心配とか言って離してくれないのよね・・・ま、いいけど。

 ・・・で

 

 

「どうしても検査させてくれないの?」

 

「何度も言っているでしょ、誰にも身体を見せる気はないから」

 

 

 結局こうなるのは見えていたのだけど、にしてもこのフィーネの時は相対しづらい・・・本当に嫌なヤツに転生したものね。

 

 それで、人間じゃないどうのは前回、聖遺物を複数身体に入れているという話をしたわね、それで私自身が聖遺物のソレになっているんじゃないかっていう話。

 半分正解で半分外れなのも、話したかしら?

それで結局どういう存在かって言うと・・・私自身も分かってない、キャロルも誰も理解できていない。

 

でもそれでいいのかもしれない、だって、これ以上誰かと関わって生きるのは、辛くなるだけ―――

 

 

「だがそれでも俺たちは君たちを助けたいんだ、済まないが無理にでも君たちの身体を調べさせてもらう」

 

「っ・・・だから、私達は―」

 

「弦さん、らしくないですよ、相手の嫌がることはしない主義じゃなかったんですか?

 とはいえ、此方のリーダーもあなた達のことを気にかけているので人のことは言えませんがね」

 

「・・・それでも、私達は・・・」

 

「お姉さま・・・」

 

 

 静かになる周りの状態に、不思議と心は怒りとは別に穏やかになっていくのを感じて、またその矛盾に怒りを覚えうるのも嫌気が差しため息一つ、それで・・・

 

 

「・・・ふぅ、知りたいんだったらアイツを、悝嶺 幽華に聞きなさい、一応私達の専属医みたいなことをしていたから、おそらく私達の体のことを一番知っているはずよ」

 

「それでも、全てを話してはくれないでしょうけど、少しは理解に足るものがあると思われます。

とはいえ、あの人の性格ですから、ほとんど話してくれないこともあるでしょうが」

 

「悝嶺さんか・・・分かった、今度食事に誘ったときにでも聞いてみるよ」

 

「翔希さん、よろしいのですか?」

 

「彼女は闇医者だけど、決して悪ではないからね。

それでも、何もかもが良かったと言えるほどの善人でも無いけれど、ね。

ま、彼女のことはこっちに任せてほしい、二課の皆さんはこれまで通りにお願いします。」

 

 

 そういった彼はまだ仕事があるからと早々に去っていった。 思えば彼も大概にイレギュラーだと思う。 というのも、彼からはフォニックゲインや呪いとは全く別の不可思議な力の波動が見て取れたから、しかも虹色に輝いて見えるから余計に眩しくて、痛い、というのもおかしいと思うけれど・・・あっ

 

 

「アイツの実力を見れてない・・・」

 

「彼も多忙だからな、暇なときに相手取ってくれればいいだろう

それよりも、君の身体の聖遺物・・・逆鱗と、双対のギア・・・だったか?」

 

「コレらは正確にはシンフォギアシステムのものではない、一種のお守りみたいなものよ。

 そもそも、シンフォギアシステムは 櫻井了子 にしか作れない危険物、だとしたら私達歌女が簡単に扱える聖遺物で言えるなら完全聖遺物の起動しか無い。

 そこから技術的になにか提供してくれるなら、ということで、一番に信頼できるウェルに色々頼んだの、その結果、キャロルと併せて色々な聖遺物、呪物を掻き集め、私自身に連動するように扱うことが出来るようになった・・・あとは、あなた達も見てきたとおり、私とクリスにはノイズの攻撃は一切受け付けない身体になった、後は、分かるでしょ?」

 

「・・・人ではない、か、だが君たちは食事もするしキチンとした人である上に、化物のようにも思えないんだ、例え、人並み外れた力を持っていようと、な。」

 

「・・・・・・チッ ウェル、この前の検査結果を」

 

「了解しました、セレナ様、ですがよろしいのですか?」

 

「後はこいつらがどうするかの話、私のことなんでしょうけど、気にすることでもない、悝嶺に聞きに言ってもはぐらかされるだけ、時間の無駄、でも彼女しか知らない事象もあるから一切無駄とは言えないでしょうけど、ね。

 それで、そのデータを見て、私達をどうするか・・・しばらくはあの家を使ってあげる、けど、必要以上に邪魔するようなら・・・」

 

 

 天井を見上げ、指先で指し示した後、握りこぶしを作り―

 

 

「あんたらの世界も潰す、この世界で邪魔なものは・・・壊せない物なんかいらない。

私は・・・ただ、復讐を成すだけ、それだけ」

 

「セレナくん・・・君はそれでいいのか? その先に、自分はいるのか?」

 

「知らない、後はあんたらの事でしょ、その世界に私なんか必要なわけない。

人と同じように生きることの出来ない怪物の私が、人と同じように生きていて良いわけ、無いでしょ」

 

 

 それにこの世界は、私の大切なものを悉く奪っていく、壊していく、コロシていく・・・そうして、燃え尽きた丘の上に、何が残る? 大切なものが、また増えると? ・・・クリスは、大切なもの、それは、間違っていないはず、あの時の間違いを二度としない為に、私は強くなった、その、ハズだ、だけど、護れているの? 私は、このまま強くなれるの?

 私の心の世界は、何を映し出しているの・・・?

 

 

「お姉さま・・・もうここにいる必要は無いです、行きましょう」

 

「・・・そうね、行こうか、クリス」

 

 

 私の中に新しく生まれた大切なもの、それは多分、これからも私の中で全く別の概念になって、元の私とは全然違う存在に移り変わっていて・・・でも、私は未だに姉さんの言葉を思い出す。 呪いのように、その一言は未だに私をこの世界に縛り付ける・・・あのとき言った言葉は一生忘れることはない、私に【生きていて、世界を見て】と言った姉さんの表情は明るかった、だけど、この世界は、そんな容易く生きていられる世界じゃなかった・・・最悪は・・・すぐ其処にあって・・・

 なんで、わたしは・・・世界を呪って・・・ちがう・・・わたしは・・・私を・・・そうだ・・・そうだった、ははっ、なんだ、世界を壊す? そんなんじゃ復讐は果たせない・・・それは最悪の結末だ。

 この手で、ケリを必ず着ける、その為になんだって利用する、フィーネも、この砲台も、デュランダルも、何もかも・・・聖遺物は・・・私の力で、アイツの・・・ネフィリムの、獲物・・・あぁ、そうか、この追いかけっこは、そういうことだったんだ・・・

 

 私がヤツを追えば追うほどに、アイツは聖遺物を喰らい続け強くなっていく、そうして、私もアイツと同じように強くなるために兵器を纏う。 同じだ・・・結局・・・でも、それでも―

 

 

「お姉様の思いはいつか届きます。 私も一緒に居ます、ですから、諦める事は、しないでください」

 

「勿論よ、絶対、アイツを、ネフィリムを!」

 

 

 

   この手で仕留めると決めたのだから、止まらない、止まってなんて、やらないから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「行ってしまったか・・・」

 

 

 司令室には錬金術師たちを除くメンバーがほぼ全員少女たちが出ていった後を静かに見送っていた、しばらく言葉を発すること無く、ようやく出た言葉が司令の一言だった。

 それに対して、未だ誰も何も言葉を発することが出来ないでいる、了子含め、彼女の存在が世界にどれほどの危険性を孕んでいるのかは、誰しもが理解していて・・・そして―

 

 

 【特危険排除対象:セレナ・カデンツァヴナ・イヴ 又それに与する者も状態問わず排除の旨―――】

 

 

 先刻、防衛省から届いた災害排除対象として、彼女がその最たるものとされていたのは以前から挙げられていたが、此方に捕縛されていると誤認しているあちらからは、弁解の余地もなく彼女を排除しろと指令が上がっている。

 国からの依頼・・・コレを無碍にすれば、護国の名でもある風鳴であったとしても除名は免れない・・・が、弦十郎はソレを良しとしない、いくら罪人であったとしても、ソコには理由がある、だからこそ矯正し、ともに過ごすことができれば、と、口利きしてくれていたが、痺れを切らしたのか、それとも他国との多数決で矯正されたのか、不明ではあるが、厳命が早すぎる、というのがあった。

 なお、このことに対して上に類する【風鳴 訃堂】並び外交官でもあり弦十郎の兄君の【風鳴 八紘】も手を焼いていた、特に風鳴 訃堂は彼女を活かすために最大限の助力を惜しむこと無く動いていた、八紘とてソレは同じだ。

 しかし、ここ数年において彼女のしてきた悪行は決して許されることではない、が、ここまでコレが発令されていなかったのにも訳がある、それは彼女の特異性にも由来するが、一番には【ノイズに唯一対抗できるシンフォギア装者である】というのが一番にあり、また適合数値的にも奏のソレを上回っているのも見て取れていた、が故に排除を優先するのではなく、彼女をノイズ排除の盾役、及び立役者として表舞台で活躍してもらうことを前提に話し合いに出ても居た、が・・・

 

 

「これ以上は騙し続けるのも、無理・・・ですか・・・」

 

「ですが、いま現状彼女を排除できうる存在が居ない以上、これを行うことが出来ない、というのが現状でしょうか・・・」

 

「ま、絶対やらないでしょ? ね、弦十郎くん?」

 

「あぁ、こんなこと、許されて言い訳がない。 だが同時に彼女自身許されていいわけではないが・・・」

 

 

 今でこそ彼女は静かにしている、それは俺たちを信頼しているからなのか、それとも大したことないと判断しているからなのか、それはわからないが、彼女に協力することを決めた以上国家相手でも何とかせざるを得ないのが現状だ。

 とはいえ、親父(訃堂)でも其処まで抑制出来ていないのを考えると、外国からの影響力も視野に入れられる、が、八紘兄貴も抑止力として動いている以上外国陣営の影響力は其処まで無い・・・とすれば。

 

 

「民の怒りが原因か・・・?」

 

「国防である以上、国内の問題も此方に回ってくる・・・ですが、この注意はあくまで此方にいる彼女が新たに誰かを殺した場合の注意・・・だけど、大丈夫でしょうか?」

 

「・・・緒川が一応監視に就いてくれているが、それでどれだけ抑制できるか・・・そういえば、ソロモンの杖はどうしたんだ?」

 

「此処にあるわよ、全く律儀なものね、てっきりそのまま持っていくのかと思ったのだけれど・・・?

 なにこれ、なんでこんなものが?」

 

「どうしたんだ了子くん?」

 

 

 ソロモンの杖に見慣れない文字列、そして封されるように青かった部分が赤く明滅している、そうして浮かび上がっている文字には―――

 

 

 

 「【ソロモン王は目覚め得た、起き上がる時は近い】・・・どういうこと?」

 

「了子くんがわからない以上、彼女たちに聞くしか無いな・・・しかし彼女たちの行ったとおりの事が起きてしまったというべきか・・・?」

 

「まだ分かりませんね、了子さん、それでノイズを操れるんですか?」

 

「・・・不明ね、こんなところで扱うわけにも行かないから、奏ちゃんか翼ちゃんに任せるしか無いわね」

 

「はぁ、そうですか・・・とはいえ、色々知れてしまった以上、彼女たちを放置する訳にも行きませんし、しばらく彼女たちの監視をしないといけませんね」

 

「そうなるな・・・というと、翼か奏に任せないといけなくなるが、出来るか? 二人共」

 

 「構わないぜ?」 「了解」

 

「助かる、さて、緒川の通信を待つしか無い・・・か?」

 

「そうで・・・! 司令、伝令です、緒川さんから!」

 

「っ!?どうした! 緒川!」

 

『っく!? 申し訳ありません・・・数人、やられてしまいました・・・』

 

「っ!? なん・・・だとっ!?」

 

 

 唐突な訃報、しかしその報告をしている緒川自身忙しなく動き回っている様な音が聞こえている、それと同時に―

 

 

『逃げるな・・・私の動きを抑制しようなんて・・・させない・・・もう、今更私を止められると思うな!

 ・・・もう、遅すぎるのよ、あんたらは、一手を間違えた―』

 

 

 緒川の通信機越しにセレナの声が聞こえるのと複数の銃撃音、どこかしらからの悲鳴が上がっているのがすぐに分かるほどの大音量で響いてきていて―

 

 

「緒川! 絶対に捕まるな! 俺がつくまで耐えきってくれるか!」

 

『簡単に捕まりませんよ! 僕は!ですが三分保つか怪しいです!』

 

「気合でなんとかしろ! すぐに向かう! 例の倉庫だな!」

 

「はい、アガートラーム、及びイチイバルの反応を検知しているから其処で間違って・・・民間人の生体反応途絶・・・後、一人・・・」

 

「っく! すぐに着くから待ってろ!」

 

 

 駆け出すとすぐとなりに置いてあった赤色のジャケットを羽織り速度そのままに駆けていく、時刻は、彼女たちがこの場に居なくなって早一時間ほど経っていた。

 この場(二課本部)から彼女たちを見つけた廃屋の倉庫まで車でも十分近く掛かる、故に弦十郎の取った行動は―――

 

 

「凪、お前の武道、頼りにするぞ! はぁっ!!!」

 

 

 地上に降り立ち、周りに誰も居ないことを確認し、地面を思い切りけるつけ飛び上がる。

 高度はリディアンの屋上を遥かに超え、目的地まで一直線に飛び出していく―――

 

 

 ・・・さて、此処でだが、セレナたちが元の倉庫に向かって行こうとしていて散々二課に邪魔されてきていた訳だが、先程、緒川が言ったように、彼女たちは自分達の住んでいた倉庫に着いているにも関わらず、緒川が何やらやばい感じになっている、だけどそれ自体彼が原因というわけではない。

 本当に原因は他にあるわけだ・・・さて、少し時を戻そうか?

  ・・・ん?僕が誰か? だって? 気にしなくていいさ、君等には、必要だろう? 案内人が、なろうじゃないか、この僕が・・・

 あぁ、しているよ、仕事をね、これでも多忙なんだよ、僕は。

 其処の君、僕がさる組織の局長じゃないかと疑っているように思えるが・・・さて、君のような勘のいい子供(ガキ)は嫌いじゃないが好きでもないよ。

 それに彼女たちも言っていたじゃないか、僕の身体がどうなっていても彼女たちは気にすることはないよ・・・ただ、気落ちしてしまうね、どうにも、強いのだよ、彼女たちは。 分かるかい? 何百年もトップを張ってるのに十歳そこらの少女に堕とされるトップがいる時点で僕の存在価値は― 『そもそもお前の存在価値はオートスコアラーほどもないぞ?』 ・・・親友の娘が辛辣で辛いよ、助けてあげたはずの恩は何処に・・・あぁ、それは彼女の父親の残した約束で終わってしまったのか、仕方ない、でも彼女の稀代の錬金術師でもあるわけだ、コレばかりは、許すほかないのだろうね・・・え、逸れていると? 話題が?

 すまないね、身内話ばかりしてしまうのだよ、最近ね、おかしいね・・・まぁそれは気にしなくてもいいだろう? 当然、君たちも、だよ。

 

 はて、その身内事僕のワイh・・・一体君は何処から撃って来ているんだい? 弾だけが的確に僕を貫いているんだけど? そしてどうしてかな建物に損害を与えない手法、さすがとしか・・・また飛んできたよ? 流石に彼女も怒っているからこの辺にしておこうかな、では、彼女たちについて見ていこうか?

 

 

 

 

 

―――――

 

 

 

 

 

 

――その後、アダムはしばらく姿を見せることはなかった――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――――

 

 ―緒川が連絡を入れる前、セレナたちが二課本部から出てきてから―

 

 

 少女たちはまず先に自分達の元々の棲家に急ぐように駆け出していた、なお、この時の速度は言うまでもなく相当早い、まず人の引き出す速度ではないというのも言うに固くない、が、緒川もそれに並ぶような速度で彼女たちの後をつけ、見逃さないギリギリを追っていった。

 しかし少女たちも追われているのを気づいてるからか、幾らか無駄とも思える方向へと移動した後に目的の場所、二課に見つかる前まで住んでいた倉庫に辿り着いていた。

 なお、着いた時点で緒川は大分遠巻きの場所につけ離されていたが、まぁ、それでもすぐにたどり着けるほどの距離であるだろう。

 それで、だが、今の彼女たちの住処がどうなっていたか、覚えているだろうか?

 死体処理班が彼女たちの場所にいた故人たちの処理のために幾人もの人が出入りした後、事後検証の為に至る所に通行禁止のテープが張り巡らされているため、通常では通るのにも一苦労するぐらいには、彼女たちの場所は侵されていると言ってもいいのだろう。

 ただそれ自体彼女たちが許すことは無いのだろうが・・・

 

 しかし、それでも彼女たちは一介の犯罪者、例え日本国であったとして世界は変われば状況も変わる、故に墓荒らしのようなものまで現れないことはない・・・つまり・・・

 

 

「貴様ら、此処で何をしている」

 

「んぉ? 何だ・・・って、キレイな嬢ちゃんたちじゃないか? おい、誰かの連れか?」

 

 

 染めたような粗い金髪、そばかすまでぶつぶつとついている学生と思しき荒れた少年、その周りに5、6人程が集まってきていた。

 ソレを見て、再度問いかける、同じように、圧を乗せて―

 

 

「コレで最後だ、貴様ら、此処で何をしている」

 

「おいおい、見てわかんないか? 金目のものとか探してんだよ、ほら、此処って彼の有名な殺人鬼の住んでた所って言うじゃん? だったら財産か何なおいてんじゃないかってな?

 あんたらも似たような口か? だったら遅かったな、生憎取れるもんは俺たちが全部貰っちまったよ」

 

「・・・」

 

「あん? 返答もなしか? こっちは答えてんだ、そっちも答えるもんだろ? それとも何か? 犯し―」

 

 

 

   ズガンッ!!!

 

 

 

「もう一度問います、なにをしてるの?(・・・・・・)

 

 

 天井が抜け、そこからAML(アンチマテリアルライフル)による近接狙撃、普通で言えば、足元を射抜くだけでもそこから飛び出す破片で傷がつくものだが、入射角を調整して破片が当たらないようにしている、だがコレはあくまでの温情で、脅し、【いつでもあんたらを殺せるぞ】と言っているだけである。

 ただ、ソレに対してコイツラは・・・

 

 

「は、はは、何だよその脅しは! き、きかねぇよんなもん!

脅されたってあるもんはこっちの―っ!?」

 

「・・・此処に居た人が、誰か知ってる?」

 

「あん? 誰か知ってるか?」

 

 

 そう言いはするものの、だれも誰が居たかは知らない様子だった・・・が

 

 

「あれ、でも有名な殺人鬼の告知が掲示板に・・・あった、最近の・・・っ!?」

 

 

 睨み効かせるのも飽きて、ナイフをジャグリングしながら相手から目をそらし、口笛を適当に吹く、音程もバラけたただの風音に乗せたもの・・・ただ、彼らはどうするのか、と

 

 

「な、なんだよ、可愛らしい嬢ちゃんたちがそれとなく話してただけの事だろ・・・? だ、だったらビビることはね~よ・・・なぁ?

 そ、それにこんなの信頼できるほどのことじゃないだろ? な、なぁ?」

 

 

ガタガタ震えながら周りに同意しようと意見を求める・・・が、とどめは既に刺されている

 

 

「あぁ、そういえば名前を言ってなかったわね、冥土の土産に教えてあげる。

 セレナ・カデンツァヴナ・イヴ それが私の名よ」

 

「ま、間違いねぇ、こいつは・・・コイツは―――っ!?」

 

「・・・殺すのは容易いけど、奪ったものを返してくれるなら見逃すわ。

取ったもの全部おいてとっとと―――」

 

 

 だがソレだけで簡単に終わるほど単純ではなくなった現状を、少女は分かってなかった、ただ、激昂するには、十分な理由を持っていた・・・それだけで・・・終わる―――

 

 

「う、う、動くな! コレがどうなっても良いのか!」

 

『姉さま! アレは―』

 

 

 遠巻きに離れていた野郎の一人が貴重に保管されていたリボンをその手で握り、ライターで火をつけようとその動きをやろうとした瞬間――

 

 

「それに、キタナイ手でフレるな”あぁぁぁぁ!!!!!」

 

「はっ!? あ”っ!? え・・・」

 

 

 瞬間、飛んでいたはずのナイフが何処かに消え、少年のあったであろう腕の部分は肩から先を失くし、鮮血は数秒ほど遅れて流れ出していた。

 それに反応するのが遅れ、何が起きたのかわからずに喚き散らかされていて・・・

 

 

「・・・あぁ、そうか、結局、人間は・・・どいつもおんなじなんだ・・・そっか・・・」

 

「や、やめてくれ、かえす、盗ったもんは全部おいていくから―」

 

「今更言うな、クズが」

 

 

 トスッと眉間の真ん中に包丁が突き刺さる、深く、深く、人の膂力では到底刺さらないほどの深さまで刺さったそれは、刺さったところから血を吹き出させること無く、相手の命を奪っていった。

 そうして一人殺したところで―

 

 

「てめぇらも・・・逃さない・・・ころして・・・奪って・・・奪い返して・・・終わらせてやる、ナニモカモ・・・・・・ね・ぇ・?」

 

 

 言い終わるが早いか、子を散らすように悲鳴を上げながら散り散りに逃げていく相手を簡単に殺すことはない、自分にされたことを、相手にもやってやる・・・気がつけばそんなことばかりやって、奪って壊して、殺して、そうやって生きてきた今が、この最悪を引き出すのに、対して時間は掛からなかったのだろうか・・・そうして、彼女たちの見る夢は・・・―――

 

 

「お前で、最後だっ!!!――っ!?」

 

『やらせません!!」

 

 

 トドメの一投が銃撃と複数のクナイによって阻止され、一人の侵入者を取り逃した、それと同時に聞き覚えのある声と、もう一つの人影が確認できた。

 

 

「なぜ邪魔をする、緒川っ!!!」

 

「民を護るのが僕たちの仕事です! なぜ無抵抗になった彼らを―」

 

「無抵抗? 本当にそう思うの? ・・・なら何故違法の武装を彼らが持っていたのかしら?」

 

 

 明らかに未成年の彼らの懐を足で器用に転がし、ソコにある異物、明らかにモデルガンにしては精巧に出来すぎているソレを小指で器用に外しナイフを持っていない左手で器用に分解していく、中身に六発ほどの鉛玉が見える・・・普通で言えば、この時点で大罪、まず表に出れるような罰ではなくなる。 だが少女はコレも見抜いていた、だから、両腕を断ち切り、下手な抵抗を出来ないようにして殺した。

 普通であれば此処までしなかっただろう、だが、彼らは少女の逆さ鱗に触れてしまった、故に・・・

 

 

「退いてください、彼らはまだ助けられるはず―」

 

「もう無理よ、マンイーターの力とダインスレイフの吸血能力を甘く見ないほうが良い・・・もう終わりね」

 

 

 そう話している間に最初に両腕を切られた少年が干からび、ミイラのように変質してしまっていた。 ソレだけでなく、辺りに真っ赤なオーラの様な影が倒れている少年たちからある一点に引き寄せられ、いや、吸われて行くのを確認できた、が故に

 

 

「貴女をこれ以上罪人にする訳には行きません! お覚悟を!」

 

「そう、なら私のやり方で、貴方を討たせてもらう!」

 

 

 戦闘、開始の合図の瞬間、緒川が何処かに連絡しているのを確認、瞬時に刃を交え、相手の足を狙い斬撃と投擲を放つが丸太に変質して躱される、だがその後撃たれた銃撃を影を守るように回避、銃撃を片手で回す短剣で弾き、緒川に接近、だが剣戟は影に飲まれ消えた、瞬時に辺りを確認するも複数の分身がこちらに睨みを効かせている。

 

 

「クリスさんには攻撃させないんですか? 二人がかりならたとえ僕でも危ういんですが」

 

「貴方を倒すのに二人がかりなんて笑えない冗談よ・・・アンタやあの司令をぶっ飛ばすのにそこまでのものは必要ない、それに―」

 

 

 その言葉と同時に一歩前に、銃撃の音がなると同時に髪が流れ、まるでそれが目眩ましかのように揺らめき、言葉のように動き、緒川を追い詰める。

 気づけば分身も数瞬で消え去っており、彼の袂に迫る凶刃はその胸ぐらを捉えようとしていた―かに見えた。

 

 が、寸前のところで、発勁の気迫で間を開けられた

 

 

「――っ! ・・・助かりました、司令」

 

「部下の不始末をどうにかするのも、上の仕事だからな・・・さて、セレナくん・・・どうしても、人を殺すのはやめてくれないのか」

 

「クドイッ! 私の人生をぶち壊した人間たちなどこの世界に腐るほどいる、そんな奴らを庇ったところで何になる! ・・・だったら、私はこんな世界、知りたくなかったのに・・・

 あぁ、あんたらに早く会えていたのなら、変わっていたのかも知れないのに・・・今更、遅い!」

 

 

 自分の頭上に複数の真っ赤な刃を形成する、それは人を殺した意、その真っ直ぐな意思そのモノ、そうしてコレで脅すことを、相手に、そうして己に言い続けてきたこと・・・もはや、世界の優しさなど、微塵も投げ捨てた・・・心に残る愛は、いつかの、自分のものだと思うから―――

 

 

「逃げるならこれ以上何もしない、それでも関わろうとするのなら・・・戦ってもらうわよ、弦十郎!」

 

「・・・俺は、ただ君たちを―」

 

「・・・・・・ねぇ、いつまでそんな甘ったれた思考でいるつもり? 貴方は人を切り捨てる立場の人間でしょ、優しさだけで物事が為せるだなんて甘い考えで、私達の居た地獄が分かるだなんて言わせない!

 こんな甘ったるいこの国で・・・正義を履き違えてなんてほしくない・・・

 ・・・ねぇ、なんで・・・なにを・・・」

 

 

 

 

 

 

 

    私は・・・何を・・まちがってきたの・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 数刻後、司令部

 

 

「ダンナ・・・アイツラは・・・」

 

「・・・言わないでくれ、俺には、どうしようもなかった・・・」

 

「諦めるのか、アイツラのことを」

 

「諦めるつもりは毛頭ない・・・だが・・・俺たちとて政府の犬であることに変わりはない・・・・

 彼らの決定を覆せるものがない限り、俺達は、彼女たちを殺すしか・・・」

 

「・・・出来るやつがいるのかよ・・・アタシたちだって太刀打ちすら出来ないんだぞ!

 それに緒川さんだって足に怪我を負う始末・・・でも、アタシだって放っておきたくは―」

 

「今は・・・互いに安静にする時間が必要だ・・・それに、彼女たちは一応ノイズの殲滅には協力してくれるという話は付けれた、とはいえ、邪魔をしないことが条件だ」

 

「・・・・・・はぁ」

 

 

 呆れたような、疲れた響きが司令部に響き渡る。

あれからだいぶと時間が立ち、今現在、緒川は多少なりとも怪我をしているため入院をすることに、弦十郎は戦うことはなかったものの、彼女たちに悪いことをしたと、己の行動を恥じても居た。

 

 

 

「ふぅ、難しいものだな・・・」

 

 

 儘ならないことばかりが世界に蔓延っていて、それを許容するにも、悪意は常に広がり、ソレを抑える者はいない。 故に世界は壊れることを許容してしまっているように動いていく。

 彼女は、セレナは一体どれだけの犠牲を払って、あの怪物に勝とうというのだろう・・・むしろ、その犠牲は、必要だったのだろうか、ということもある。

 だが彼女は血を吸い込むたびに強くなっているというのは緒川が教えてくれた、ということは彼女のメインで扱っているダインスレイフが彼女に力を貸し与えているのだろう。

 ・・・最も、彼女があの星遺物に操られている可能性は、無いと断定して良いのだろう・・・扱う器として、彼女は感情が豊かすぎる。

 人一倍泣いて、人一倍怒る、そこに笑顔でもあれば、と思うが、彼女は決して笑うことはない、彼女の微笑みは、心からの笑いには程遠いから・・・

 

 

「奏は、どうしたら良かったか分かるか?」

 

「そんなもん分かるもんじゃね―よ・・・けど、ライブの音を聞かせて、歌は恨むもんじゃないって分かってくれりゃ少しは変わってくれるんじゃねーの・・・アタシはソレを信じるぜ」

 

「そう、か・・・なら、この件は奏たちに任せて俺たちは俺達の出来ることをするとしよう」

 

「おう、任せてくれ! それにダンナの元気がね―とこっちまで気が滅入っちまうからな~

さって、じゃレッスンにでも行ってくるよ」

 

 

 意気揚々と司令室を飛び出していった奏、翼は居られなかったからか、訓練室で今後の鍛錬に励んでいた、ソレに対して弦十郎も今後について考えることにした。

 

 

「・・・よし、今後はセレナくん達の徹底的に支援することにする、奏の補助も含めてそのほうが良いだろう」

 

「司令、あの子達って通信デバイス持ってましたか・・・?」

 

「帰ってくる前にいくつか渡しておいた、それに賃金にも困っていたらしいからな・・・

まぁ、後は彼女たちの動向を少しずつ探るしか無い まぁ、最悪には、ならないだろう」

 

「それ、保証してくれるんでしょうね・・・」

 

「あぁ、衣食住をこちらが保証する代わりに、一応ではあるがこちらに対して敵対はしないと言ってくれたが、二課に対してだけと言っていた」

 

「・・・不安しかないですね」

 

「後は、なるようにしかならないな・・・だが、彼女たちを暴れさせないのが今後の課題、だろうな」

 

 

 頭は痛くなってくるが、コレばかりは仕方ない・・・だがそれでも、と、今後について深く反省しながらも、時間の経過を見ながら・・・

 

 

「(今は時を待て・・・か、なるようにしかならないのを待つのは、正直に辛いな・・・)」

 

 

 唯一の幸運は、未来の存在がこちらにいることだろうか?

 なお、当の響は―――

 

 

 

 

「う~ん、お~いし~」

 

「まだおかわりあるから、どんどん食べてっていいよ~」

 

 

 

 ・・・ふらわーに行くわけに行かないので、いつもの店(陽溜まりにゃんにゃん)で食べくつろいでいた―――

 

 

 

 

現状いまの文字数で良い? (七千~一万程

  • そのままのペースで?
  • もう少し減らして
  • 読み足りない?
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