NRC第2校医のロマニ・アーキマンは今日も生徒になめられる 作:駒由李
原作:ツイステッドワンダーランド
タグ:クロスオーバー クロスオーバー コラボ ロマニ・アーキマン ケイト・ダイヤモンド 二次創作 捏造 if
▼このロマニは自分が消えたあとのことは把握してません
pixivからの転載
ナイトレイブンカレッジには3人の校医がいる。医務室は小さな病院で、全寮制のこの学校には欠かせないものだ。しかしそれ以上に、この学校の生徒が喧嘩っ早く血の気が多く、そしてそれを抜きにしても授業で魔法の事故が同時多発的に起きることがままあるからだ。要はひとりでは足りない、2人だと不安、3人ならまぁ大丈夫だろうということである。実際は3人でも足りない事態はまま発生するし(例:マジフト大会)、そのときは魔法薬学のクルーウェルも混ざって治療をすることはある。
まぁそういうわけで、NRCの校医はクソ忙しい。第1校医はそろそろ定年だし、第3校医(20代女性)は若さと体力に任せて今日も廊下を突っ走っている。さて、真ん中の第2校医はと言えば。
「ロマニー」
エースが机の端に顔を寄せる。
「Dr.ロマンー」
デュースもそれに倣う。
「ロマン先生ー」
ケイトもそれに倣った。
その中で、ポニーテールの青年は皿に切り分けられたそのケーキを高々と掲げた。
「そんな目で見られてもこのマロンタルトは僕のでーす! というか怪我も病気もしてない元気いっぱいの君たちが医務室に居座らないで欲しいな!」
「えーそういうこと仮にも校医が言うー?」
「カウンセリングだって立派なお仕事でしょ、そのマロンタルトまじマジカメ映えしそうだから是非撮らせて欲しいな~」
「カウンセリングは保健室の養護教諭の先生に任せなさい! それより君たちハーツラビュルだよね、ケーキなんて『なんでもない日のパーティー』でいくらでも出て来るだろ。クローバーくんが腕によりをかけて作ってくれるんじゃないのかい」
「ちっちっち、わかってないなロマニ先生は」
指を振りながらエースは立ち上がる。優男のような見てくれで意外に大柄なロマニに比べれば小柄だが、それでも頭の位置は近付いた。エースは言う。
「うちの『なんでもない日のパーティにはマロンタルトは絶対出しちゃ駄目』なんだよ」
「えぇ……ハーツラビュルって変わった規則があるね……」
「他にも火曜日にハンバーグを食べちゃいけないとか、クロッケー大会で2位だった奴は1位の奴にお茶を淹れなきゃいけないとかそういうルールがあんの」
「ちなみにリドルくんは800条以上のそういう規則を全部憶えてるよっ☆」
「最早執念だね…………それはそれとして、それには同情するけどこれは僕のマロンタルトだからね。クソ忙しい仕事のためのエネルギー補給だから」
「けーちけーち! 鬼! 悪魔! 編集者!」
「作家が言う悪口一文字二文字三文字を並べるんじゃないよ。はい散った散った」
「ちぇ~……」
しっしと手で追い払う仕種をするロマニに、渋々とエースとデュースは退散していく。それを見送ったのち、さて、と机にマロンタルトを載せてフォークを立てようとしたところで――ケイトがまだ残っていることに気付いた。彼はにこにこと笑っている。ロマニの知る限り、彼が不機嫌だったことはない。落ち込んでいるふりをしているを見たことはあるが。フォークを片手に嘆息する。
「ダイヤモンドくん……マロンタルトはあげないって言っただろ」
「だから言ったじゃ~ん、マジカメ映えしたいから画像撮らせてって。それだけで用は済むからさ」
「まぁそれならいいけど……――あぁ、そういえば君は辛党だっけ」
「どこから情報が?」
「まぁ校医やってるとあちこちから情報が舞い込んでくるね。はい、撮るならどうぞ」
「ありがと先生~。はいパシャッと」
マロンタルトの前にスマートフォンを翳し画像を撮る。それをマジカメに「#マロンタルト #第2医務室 #Dr.ロマンのおやつの時間」などと呟きながらハッシュタグをつけていきアップロードをする。それを眺めながらマロンタルトに手を付けはじめたロマニはごく幸せそうにそれを頬張った。それを微笑ましいものを見る目で見遣るケイトは、ふと、以前から気になっていたことを聴く気になった。いつもは面倒事に首を突っ込まない主義のケイトにしては珍しい行動――それは魔が差したとしか言いようがなかった。
「そういやロマン先生って、ここに来るまでは何してたの」
「――何、とはなにかな」
「そのまんま。大学通ってたとか? でも第2校医の人から受け継いだ時点でアラサーだったよね。それまで何してたの」
「……」
「ハーツラビュルの変な規則のことも知らなかったんなら、この学校の卒業生ってわけじゃないんだよね? なんでウチの学校に来たの?」
ロマニは黙っている。タルトを咀嚼する小さい音が、医務室に響いた。フォークがタルトを貫通して突き立てられる音もした。紅茶を啜る音がした。そして、ソーサーにカップが置かれたところで、ロマニは言った。
「ちょっと、人理を」
「ジンリ?」
「――有り体に言うと、世界を救う手伝いをしてたよ」
ケイトは思わず目を瞠る。何の話をしているのだろう、この男は。人畜無害そうな見た目の目の前の青年が、正体不明の何かに見えてくる。ケイトが思わず身を引きそうになると、ロマニは笑った。それはごくいつも通りの、穏やかな微笑みだった。
――ケイトは知らない。それが、彼が「最期」に、「人類最後のマスター」に見せたものと同種であると。
ロマニはフォークを片手に笑った。
「そこで医療技術と、ちょっと魔術も囓ったお陰で、この世界で学園長に拾ってもらえて第2校医として働いてるってわけ。まぁ、そんなところだよ」
丁度そのとき、予鈴が鳴る。フォーク片手のロマニは、いつも通り人好きのする笑みを見せた。
「ほら、ダイヤモンドくん。時間だよ、午後の授業に行きなさい」
「あ、うん……わかった。けど、先生。ひとつ訊きたいんだけど」
「なんだい」
それはある意味、とてもケイト・ダイヤモンドらしい質問だった。
「今の話、マジカメに上げてもオッケー?」
「ダイヤモンドくん。自分でも信じていない話をフォロワーに受け入れられると思うかい? 叩かれるのがオチだよ」
「だよねー。それじゃオレはこれにて☆」
ウィンクして、医務室を辞するケイトの貫禄はさすがNRC3年生というべきだろうか。そんなことを思いながら、ロマニはマロンタルトを頬張り続ける。残り少しだ。それが名残惜しい。
実際、残りの自分がどれぐらい生きられるかなど、このマロンタルトのようにわからない。食べる量が多ければ多いほど短く、少なければ少ないほど短い。けれど満足度は違う。こうして、どうしてかこの世界にまた普通の人間として――ただし、魔術王ソロモンとしての素養も魔術面で強めに出ている。このために魔法が横行するこの世界で生きられる――生きる身としては、できれば今度はもっと長く生きたいと思ってしまうのだ。
あの世界に残してきたカルデアのスタッフ、及び人類最後のマスターが気になりはするけど。……マシュがいなくなったことで自棄になっていたが、頭は冷えてくれただろうか。尤も、自分も「あれ」を見て表に出ることを決めたようなものだから人のことは言えなかったりするのだけど。
あの世界とはもう縁が絶たれてしまったと、自分は思う。たとえ異世界だろうと英霊の座から抹消されてしまった身としては、今の自分は将に奇跡だ。どういう理屈で成り立っているのかもわからない。ただ、言えるのは。
「ここが終の棲家なんだろうなぁ」
何かと騒がしい、この学校で生徒たちと触れ合うことが、「最期」の自分に許されたことなのだろう。マロンタルトを食べ終え、フォークを置く。そして何気なく、手袋越しの指を触れた。そこに、あの最後の指輪はなかった。当たり前だ。置いてきたのだから。……マスターのあの子は無事だろうか。ちゃんとカルデアに帰れただろうか。そこに後輩がいなかったとしても。
自分の罪が許されるとは思っていない。ただ、願うことだけは許されると思いたかった。恐らくこの、あまりにも遠く隔たれた土地にて。
ロマニ・アーキマンは謎が多い。謎が多いということが謎のひとつだった。
ただひとつ、ケイト・ダイヤモンドへ語った言葉が事実だと、証明できる人間はどこにもいなかった。
End.
ロマニ・アーキマン(アラサー)
・英霊の座ごと滅びたはずの身の上だがなぜかツイステの世界にいた
・闇の鏡からスポーンと飛び出てきたのをメンテしに来た学園長が見て腰を抜かした
・学園長は一応彼の身の上は大体把握している が、信じ切れてはいない ロマニはそれも無理もないなと思ってる 普通世界を救ってたとか思わないよね
・現在の体はロマニ・アーキマンとしてのものだが、根幹にソロモン王としての魔術の素養が残ってる 大魔法士レベルなのだがこの世界では普通に医者として過ごしたい 別に世界の危機とかないしいいでしょ?
ケイト
・自分が真実を語られたことはわかっていない