私はボールと絵筆を観察しながら香霖のところへ向かった。
よく見たらこのボールには顔がある。しょんぼりした様子だ。もしかしたら、元の星に帰りたいのかも知れない。ここから見える星の多くは既に滅んだものだ。きっとどこかに、まだ光が届いていない、宇宙人がたくさんいる星があるんだろう。
色々考えているうちに目的の場所に着いた。
私はいつも通り、堂々と扉を開いた。
店の扉が開く音が聞こえた。
僕はいらっしゃいと言おうとして、やめた。
「なんだ魔理沙か…」
「何だとは何だ!今日は香霖に鑑定を依頼したくて来たんだが。」
どうせろくな物ではないだろう。
「まぁ、見るだけ見てやるよ。」
「これなんだが」
別の意味でろくでもない物が出てきた。奇抜なデザインの絵筆とピンク色のボールだ。僕の能力によると、絵筆の方は魔法の絵筆というらしい。それよりもおかしいのは用途の方だ。道具自らの意志で用途が変えられた形跡がある。変わる前の用途は不明だが、現在の用途はカービィを導くと出ている。そしてボールの方だが、宇宙人と出ている。それも妖怪ではなく人間だ。名前はカービィというらしい。手足がないのは呪いの類いのように見える。よく見ると酷く落ち込んだ様子である。いくつか質問してみたが弱々しくポヨとしか言わない。喋れないらしく、こちらの言葉が伝わっているのかもわからない。
「魔法の絵筆とカービィだな。魔法の絵筆はカービィを導くための道具だ。カービィは宇宙の人間らしい。」
「そのボールが人間って紫と同じこと言うんだな、カービィって名前は初めて知ったが。しかし、お前の能力も鈍ったんじゃないか?確かに普通の絵筆じゃないが、こんなものでどうやって導くって言うんだ?」
僕の能力は鈍ってなどいない。
「さぁ?そこまでは僕もわからない。絵筆だし、試しに何か描いてみたらどうだい?」
すると彼女はお気に入りの壺に絵筆を向け、振り回した。落書きは止めてくれと言おうとしたが、なんと壺にではなく空中に虹色の線がグルグルと描かれたのだ。
「コイツは驚いたぜ。」
これはもしかしたら…
「魔理沙、カービィをさっき描いた線に乗せてみてくれ。」
「ん?わかったぜ。」
すると予想通りカービィは彼女が描いた線を彼女が描いた方向に転がっていった。が、ループとなっている部分はまるで天井に張り付くかのように転がっていき、勢いが増していく。カービィはそのまま店の窓硝子を突き破って店の外へ出ていってしまった。これは思ったより危険な物かもしれない。そう忠告しようと思ったが、すでに彼女はいなかった。カービィを追いかけたのだろう。虹色の線はいつの間にか消えていた。