スペルカードルールでは、技の宣言回数を予め定め、全ての技を攻略されるか戦闘不能になったら負けである。
元々妖怪が弱っていたタイミングで訪れた吸血鬼が幻想郷を制圧し、他の妖怪を支配してしまった異変がきっかけで導入された。このルールの導入によって、妖怪同士や人間との格差が減り、吸血鬼でも他の妖怪の支配が難しくなった。それだけでなく、妖怪が気軽に異変を起こしやすくなり、退治されやすくなったことで人間と妖怪の共存共栄の関係が改善した。
はぁ、伸びたコイツを放置しとく訳には…いかないよな。でも運ぶのはダルいし…あ、ちょうどいい(胃)袋があるじゃないか!
「おいまりさ、念のため言っとくが、やるなら先に吐かせるぞい。」
何かを察したデデデ大王が後退りながら忠告した。
「そうか、わかった。カービィ、パチュリーを吐け。」
「ポヨっ!」
パチュリーがよくわからないところから飛び出てきた。口から出すんじゃないのかよ!リバースしろよそこは!
「で、コイツを喰え。多分ウマいぞ。奇跡の味がする。」
奇跡の味がなんなのかわからないが、伸びた早苗を袋に入れておくことはできた。後ろで三人(デデデ大王、メタナイト、偽物のチルノ)がドン引きしているが…
案の定緑色のリングと2つの青い星がカービィの周りをグルグルと回っている。
「ちょっとカービィを貸して。」
パチュリーがカービィを鷲掴み、何かの魔法を使用した。おそらく能力について調べてくれているのだろう。
「残念だけどスカね。この能力はボール状態じゃ使えないわ。カービィにとって奇跡は魔法と違って詠唱無しで使えるものは無いみたい。」
「ちょっと待て、早苗には風や妖力を使った攻撃ができるじゃないか!」
「早苗の攻撃がどういう仕組みかはよく知らないけど、奇跡を利用しているんじゃないかしら。」
「そうか、なら仕方ないな。しかし、カービィの能力ってホント不思議だな。それで、もうパチュリーの技は使えないのか?」
「使えないわ。カービィの能力は多種多様な力を使えるようにするけど、その代わり能力は基本的に1つで他の能力を使うには前の能力を捨てなきゃいけない。強い能力ほど制約も大きいことが多いわ。カービィの場合、便利さの代償に不便さが付いてくるといったところかしらね。」
「基本的にっていうのは、例外もあるってことか?」
「相性のいい能力は混ぜれるみたいよ。刃と電気とか。今の姿じゃできないけどね。」
パチュリーと話してみてわかったことは、早苗は体に悪いってことだ。早いとこ吐き出させなきゃな。
「さて、油を売るのもおしまいだ。チルノ、あの炎を消せ!」
「消すだけでいいのか?」
「いや、もっとやれ、全部凍らせろ!」
「そうこなくっちゃな!」
チルノが無縁塚を凍らせると、凍り付いた烏が見つかった。
「これ、八咫烏の偽物だ。描かれたみたいな見た目だし、足が3本ある。つまりお空の絵画だったってことか?」
無縁塚は何が起きてもおかしくない。おそらく結界の歪みのせいで絵画のバリアみたいなものが絵筆無しで破られ瀕死の重症を負ったまま燃えていたのだろう。無縁塚を荒らしているヤツが何かと思ったがとんだ拍子抜けである。どれどれと覗くデデデ大王とメタナイトは3本足の烏に違和感を覚えたようだが、しばらく興味深そうに観察し、その後ハンマーで粉々に砕いた。その瞬間、絵画と本物が入り交じったような空間から絵画の部分だけどんどん崩れ落ちていく。おそらくあの偽物がこの不安定な空間を何とか絵画に保っていたのだろう。半分保ててなかったけどな。
「何か変な感じがするわ!早くここから逃げましょ!」
「言われなくても!デデデ大王、箒にしっかり掴まれよ!」
私はカービィをしっかり抱き留め、パチュリーを引っ張り猛スピードでこの場を離れた。デデデ大王は泣きながら何とか箒に掴まっている。メタナイトがチルノを引っ張って私に続く。
無縁塚を抜けたが再思の道でも絵画の崩れは止まらない。絵画が崩れた場所は本物へと変わっていく。無縁塚ほどではないが再思の道も安定していなかったためか、連鎖的に崩れたのだろう。魔法の森に戻ったときには、再思の道があった場所には何もなかった。こちらから見る限りでは。