神霊は僅かに命蓮寺の方角へと流れている。そして何となくだがその速度は加速しているように感じる。しかし、偽物と絵画を別々で作って物によっては大分遠くに設置されてるのは何故なんだ?もしかしたらモノによっては偽物の方が有効で、モノによっては絵画の方が有効なのか?それを見定めるために二つ作ったとかか?
命蓮寺の方角へ流れているのであれば夢殿大祀廟へと向かえば良い筈だ。今は廃墟となっており、妖怪の巣窟となっているが、異変の影響で妖怪共が邪魔してくることはないだろう。というかあっても優秀なボディガードがいるから大丈夫だ。
「デデデ大王、狭いところ通るからな。今まで以上に箒にしっかり掴まっていないと頭ぶつけるぜ。」
「ワシはもう寄る年波には勝てんぞい!」
「うるせぇ!大王様に拒否権はないんだぜ↑」
という感じで飛ばしてきたのだが、洞窟が何故か水で満たされていた。
「何て言うか、子どもが黒っぽい紙に色鉛筆で描いた落書きっぽい背景だな。」
「でもあれは魚っぽいし、岩とかもあるぞい。水もしょっぱい、これは海底洞窟っぽいぞい。」
「幻想郷に海はないんだがな…」
「そこはあの魔女の趣味だろう。目的地はこの奥だろ?急ぐぞ。」
そういってメタナイトとデデデ大王は恐らく泳ぐときに使うであろう保護眼鏡を装着した。保護眼鏡には息継ぎ用と見られる管がセットになっていた。
「ほれ、予備の水中メガネがあるから貸してやるぞい。どうせ水中もその箒で飛ばす気だろ?しっかり装着しないと目を傷めるぞい。」
なんでコイツらは何かと準備が良いのか…とりあえず借りた水中メガネのベルトを頭に合わせて調節し、装着してみた。眼鏡の縁が吸盤の外側のような感じになっており、顔としっかり密着する。さらにベルトの圧により簡単に外れることもない。まさに水中専用の保護眼鏡だ。幻想郷にも湖ならあるし、夏場に売れば儲かるかもしれない。
「デデデ大王、頼みがある。この洞窟の奥にある変わった模様の壁に近付いてきたらお前を投げ飛ばす。そのハンマーで壁を壊してくれ。」
「分かったぞい。お前こそ息が切れる前に、頼んだぞい。」
私とデデデ大王は箒に背を低くして掴まり、水中を勢い良く突き進む。水中は空よりも抵抗が大きい、スピードを出すには抵抗が少ないポーズを取る必要がある。しかしこれで霊夢に怒られるのが確定したな。私もデデデ大王も霊夢の服を借りてからずっと返してないし、塩水で確実に服が傷む。
それから夢殿大祀廟へと繋がる扉が見えてきた。水中では上手く力も魔法も使えないので私の力では開けられない。だが、自由落下時にハンマーであの威力を叩き出しているデデデ大王なら余裕で開けられるだろう。というかデデデ大王を何度も箒に掴まらせて飛ばしてきたから気付いたのだが、あのハンマーの重さは異常だ、恐らくデデデ大王より重い。あんな重いハンマーを軽々と振るうのも中々のものだ。ブレーキを掛けて箒を縦に回転させ、箒に掴まっていたデデデ大王を扉の方へと飛ばす。デデデ大王はハンマーを振るい、扉を破壊した。
扉をくぐってみると、意外なことにちゃんと空気があった。無かったら怖かったのだが…というか水が謎の力で塞き止められている。扉を壊したのにも関わらず一切水が流れてこないのだ。
「どうしたぞい?」
「いや、なんで水が流れてこないのか不思議に思っただけだ。」
「ワシらの星では当たり前のように起きてた現象だからな…深く考えたことがないぞい。」
遅れてメタナイトが扉をくぐってきた。
「思ったより広いな。想像以上の高さの建物がある。もしかして目的地はあの建物の上か?」
「その通りだ、中から上るぜ。」
私達はずぶ濡れのまま旧神霊廟へと足を踏み入れた。そこはまるで宇宙のような、美しい背景だ。以前来たときも同じような景色だったが、今回のこれが絵画なのかあの時と同じなのかはわからない。
それからしばらく上り、例の絵画を見つけた。と、そのタイミングで背中から聞き覚えのある声が聞こえる。
「それを始末するのは待ちなさい。」
「隠岐奈、いきなりどうしたんだ?」
「カービィについて色々調べているうちに呪いを解く方法をさっき丁度見つけたのよ。死ねば呪いは一時的に解ける、但し生き返ると呪いは復活してしまう…それと神霊は偽物のお陰で出てきている。」
「なるほどな、お前の考えていることは良く分かったぜ。手早く封印していつでもコピーできるようにしておいてくれ。」
実は神霊はカービィ達も無意識のうちに回収している。デデデ大王やメタナイトは使い方を教えれば霊界トランスに入れるかもしれないがカービィは無理だ。そこで隠岐奈が考えた手段が、神子の能力をコピーした状態でダッシュさせれば霊界トランスに入れるかもしれないということだ。霊界トランスになれば一時的に死んだのと同じ状態になれる。その僅かな時間であればカービィは元の姿で戦えるというわけだ。