私は例の人間を追いかけていった。あのボールはカービィというらしい。名前からして男の子なのか?
窓を突き破ったことについては香霖の指示に従っただけの私たちに責任はない。むしろカービィが硝子で怪我してしまったら香霖の責任だ。
…そんな心配は必要なかったようだ。彼に傷ついた様子はない。むしろ希望の眼差しをこちらに向けている。この絵筆の用途はあながち間違ってないらしい。香霖、疑ってごめんな。
そろそろ夕暮れだ。私は茸を採りながら家へと向かう。晩飯はカレーにしようか、シチューにしようか。
「なあカービィ。晩飯はカレーがいいか?」
「ポーヨ!!!」
「それともシチューか?」
「ポーヨ!」
どちらも喜んでいるようだが、カレーの方がいいらしい。言葉が通じているかわからんがな。
「じゃあカレーな。」
家に付くと、カービィが転がらないように適当なクッションを机に置いて、その上にカービィを乗せた。
採ってきた茸と適当な肉野菜を煮込みカレーを作る。採ってきた茸にはいくつか毒キノコもあるが多少なら食べても大丈夫だ。切ってブチ込んで煮るだけだから楽だぜ。
カービィは私の料理を楽しみに待っているようだ。この様子だと彼の星にもこういった料理の文化があるらしい。
待てよ?じゃあ何で彼に手足がないんだ?手足のない種族が文化を形成するなどあり得ないことだ。手足が生まれつき無いという病気もあるらしいが…何かしらの理由で手足がもげたと考えた方が可能性は高そうだ。この絵筆のことも考えると、彼の手足を戻すために私のところに来たのかもしれないな。しかしこれはあくまでも予想に過ぎない。彼の過去の真実を知るには、少々居心地が悪いが、アイツに頼るしかないな。
色々考えながら煮込んでいたら、煮込みすぎて煮崩れを起こしてしまったらしい。人参の角は取れ、ジャガイモは跡形もなく溶けてしまっている。
まぁ、これはこれで美味しいので気にしないぜ。あ、ご飯炊くの忘れてた…今晩はカレーライスじゃなく、カレーになっちまったな。私は和食派だからパンのストックは無いんだぜ。カレーが和食なのかは疑問だが、香霖曰く和食と化した洋食らしい。本物のカレーは全くの別物ということだ。
出来上がったカレーをカービィの前に置くと、驚くことに彼は大きな口を開けてお皿ごと頬張ってしまった。わざわざ私が食べさせてやろうとスプーンを用意したというのに。今さらだが、カービィの分のカレーを私にとっての一人前にしてしまっていた。あの直径20cmほどの球体のどこにあれだけの量のカレーが入るんだか検討も付かない。にしても美味しそうに食べるなあと思いながら私もカレーを頬張る。
ご丁寧にお皿はちゃんと吐き出してくれた。
私はカービィと一緒にお風呂に入った。プカプカと気持ち良さそうに浮いている。
カービィを抱き枕のようにして寝た。プニプニしてて気持ちいいぜ。