「たくよぉ、わざわざこんなことしなくても自然と治るっていうのに…」
「誰だお前!」
饕餮だと思っていたヤツはそっくりなただの畜生界のヒツジさんだった。いや、よく見ると塗り残しがあるような…
「饕餮尤魔だ。忘れたのか?」
黙って手鏡を押し付けた。饕餮尤魔と名乗るヒツジさんは鏡を見て驚愕した様子だった。どうやら本当に饕餮尤魔らしい。
「何があったんだ?アイツは逃げたのか?というかお前どうしたらそんな変わるんだよ。」
「アイツはまだ近くに居る、気配を感じる。何かを探しているようだ。多分またこっちに来るぞ。それで、実は畜生界や地獄界も人間界と同じように絵画でできた偽物に襲われてな、各派閥が強力して立ち向かったが歯が立たなかったらしい。それで呼ばれた私は、仕方なく喰ったんだ。絵画を。お陰で色々面倒なんだ、吸収しきれてない感じがする、破壊されなくなったがそれ以上に傷の治りも遅い、その上一歩間違えばアイツに支配されかねない。おまけにあんな可愛いヒツジさんになっているなんて…」
見た目の変化にショック受けすぎだろ…というか饕餮が絵画を喰えるなら今までの私達の苦労は何だったんだ。霊夢の偽物の封印すら意味ないじゃないか。饕餮をカービィにコピーさせれば全部ワンパンってことになるし、おまけに能力の解除とコピーを繰り返せば簡単にリセットできるから饕餮の能力のデメリットも実質無い筈だしな。
「ちょっと我慢してくれよ。」
絵筆で何度か饕餮をつついてやると、絵画の力はボロボロと剥がれ落ち、かつての姿を取り戻していく。
「一応効くんだなこれ。にしてもお前、性格が丸くなったな。」
「そうか?だとしたらさっきのトマトジュースのせいだ。」
お喋りして誤魔化しているところにちょうどよくアイツが現れた。よく見るとアイツの足(?)は色が抜けているような気がする。アイツは足を筆代わりに何処からか取り出したキャンバスに絵を描くと、アイツの足はついに真っ白になってしまった。そして饕餮の偽物が現れる。
「おいおい、今度は私の偽物か?流石に此方が喰われてしまうぞ!」
「いや、そうでもないぜ。カービィ、パチュリーを吐き出せ、そして饕餮を喰え!」
「は?」
「いいか、よく聞けよ。食べ物はカービィと仲良く食べるんだ。独り占めしよう者なら二度と復活できないと思え。」
あの賢い饕餮が「ナニイッテンダコイツ」みたいな顔をしている。思考がフリーズしてしまったようだがまあ饕餮なら大丈夫だろう。饕餮をコピーしたカービィは、水色のリングに血の色の星2つを纏った。カービィを絵筆でつっついて飛ばすと、周囲のモノを吸収し、力を増強しながら転がっていく。その凄まじいカービィの食欲が勝ったのは言うまでもない。
「生まれて初めてだ、こんな美味い食い物。」
「ポーぅヨ!ポヨポヨ!(ね!美味しいでしょそのチョコレートパフェ!)」
「お前復活早いな、パチュリーでも喰われてから意識の回復に2時間以上はかかったぞ、多分。しかしアイツに逃げられちまったぜ。」
今回一切出番のなかったデデデ大王とメタナイトだが、あの二人は何か良からぬことを考えているような顔になっていた。