~陸斗side~
休み時間になった。さてもう一眠りしましょうかね。
(流石にさっきのは言い過ぎだったんじゃないの、陸斗?)
(知るか。なんで自己紹介しただけであんなに言われなくちゃなんないんだよ。それより俺はもう眠いから寝るぞ。)
(また寝るの?寝過ごして授業が終わったなんてことだけは無いようにしてね。)
(ああ。)
俺はレイとの会話(?)を終えた後、もう一度寝ようと机に突っ伏した。その時だった。
「陸斗!久しぶりだな!」
む、男の声。ということは
「一夏か。」
「ああ!」
「久しぶりだな。3年ぶりくらいか?」
「それぐらいになるな!男子が2人だけだからな、これからもよろしく!」
一夏が手を差し出してくる。俺は差し出された手を握り返す。
「こちらこそ。にしても肩身が狭いな。」
「ああ。息が詰まる思いってこんな感じなのか……。にしても元気そうでなによりだ!」
「一夏こそ相変わらず元気そうだな。」
「……ちょっと良いか」
声のする方を向くと、そこにはあのウサギさんの妹がいた。
「お、箒じゃねえか?久しぶりだな」
「箒さんか。久しぶり。あれから束さんとは上手くいってる?」
「一夏も陸斗も久しぶりだな。」
「あれ、陸斗と箒って知り合いなのか?」
「ああ。陸斗には去年姉さんとの仲直りを手伝ってもらってな。陸斗、あれから私と姉さんは上手くやっている。本当に陸斗には感謝してもしきれない。」
箒さんが頭を下げてくる。
「いいって、箒さん。それよりも何か用?」
「ああ、そうだった。少し一夏を借りてもいいか?」
「いいよ。積もる話もあるだろうし、俺のことはいいから行ってきなよ。」
「すまないな。じゃあ一夏、ついてきてくれ。あと陸斗、私のことは呼び捨てにしてくれ。同い年にさん付けは少し違和感があるからな。」
「わかったよ、箒。じゃあふたりともさっさと行ってきな。じゃないと時間がなくなるぞ?」
二人は慌てて教室を出て行き、俺は再び机に突っ伏した。
頭に鋭い痛みが走った。目を覚ましてみると授業が既に始まっており、目の前にはSHUSSEKIBOを構えた千冬さんが仁王立ちしていた……。
(ほら陸斗、だから言わんこっちゃない。)
(レイ、だったら起こしてくれよ……。)
(甘やかすとダメ人間になるよ?)
(いや、まあそれは……)
俺はIS学園初めての授業を、睡眠で迎えていた。
千冬さんから頂いたあのこもった痛みのおかげで、今は真面目に授業を受けています。
IS学園に来て初めての授業なのだが、これぐらいなら大丈夫そうだな。正直なところ、レベルが低すぎる。これぐらいなら一夏も大丈夫だろ……。ん?一夏のやつ、顔しかめてないか?しかもなんか冷や汗っぽいのが流れてるし。
「(キョロキョロ)……?……ッ!?」
さらに挙動不審。一夏、予習してないな?絶対そうだ。100%そうだ。
それだけならまだしも、他の子の手元を凝視したり、その視線に気付いた女の子に笑いかけて女の子が顔を赤くし……ああ、あれは落ちたな。千冬さん曰く、一夏は『女を落とすことに関しては日本、いや世界一』らしい。
おっと、今は授業中だったな。また千冬さんに殴られないように真面目にやってる振りだけはしておこう。
「織斑君、西條君、今までの所でわからない所がありましたか?」
山田先生が俺たち男子のことを気にかけてくれる。
「今のところは全く問題ありません。」
「はぁ!?」
一夏よ、やっぱりか。
「織斑君はどうですか?質問があったら聞いてくださいね?何せ私は先生ですから♪」
「……先生」
一夏が恐る恐る声を出す。
「殆ど全部、解りません!!」
「……へ?」
山田先生がキョトンとする。
「え!?……ぜ、全部ですか?…い、今の段階で解らないっていう人は、どのくらいいますか!?」
「「「「「「「「「「し~ん……」」」」」」」」」」
一夏以外は誰もいない。
「り、陸斗、お前はなんで分かるんだ?」
「そんなのもちろんあのウサギさんに全部教えてもらったからだ。それに自分でも自己学習ではあるがいろいろ調べてたしな。」
「……織斑。入学前の参考書は読んだか?」
「古い電話帳と間違えて捨てました」キリッ
スパァァァァァァン!「「「「「「「「キャッ!」」」」」」」」
「一夏、そこは『キリッ』と答えたらダメだ。」
頭からプスプスと煙を出して机に突っ伏している一夏に言う。
「織斑、再発行してやるから1週間で覚えろ。」
「ええ!あのタ○ンページをですか!?」
「やれと言っている」
千冬さんがこれでもかというくらいの殺気を放つ。
「……はい、わかりました。」
「それで西條、すまないが一夏の勉強を見てやってくれ。」
「分かりました。それじゃあ一夏、今日からみっちり教えてやるから覚悟しておけよ?」
「え……きょ、今日から?」
「ああ。今日の放課後から、な?」
俺は目元は髪の毛で隠しているため、口だけをニヤリという表情に変えた。
「り、陸斗、お前何か企んでるだろ!」
「織斑、静かにせんか!授業中だぞ!」
「は、はい。」
「よしそれじゃあ授業を再開する。」
その後の授業では、一夏は終始顔に冷や汗を浮かべていましたとさ。
~休み時間~
~一夏side~
「や、やっと授業が終わった~……」
「大丈夫か、一夏?」
「お、おう、なんとかな。」
陸斗が少し笑いながら言ってくる。
「ちょっと、よろしくて?」
いきなり話に割り込んできたのは、いかにもお嬢様って感じの金髪の少女だった。
「……ん?なんか用か?」
「まあ!?なんですの、そのお返事。そちらの方と同じじゃないですか!わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」
「うるさい、だま「私はあなたみたいな根暗男に話しかけているんではございませんの!口を開かないでいただけますか!あなたみたいな男は生きているべきではありません!」
……前言撤回。
「おい、ふざけんなよ。お前何様のつもりだよ!」
「何様って私のことをご存じないのですか!?セシリア・オルコットを!?イギリスの代表候補生にして、入試主席のこの私を!?」
ん?代表候補生?
「なあ陸斗、『代表候補生』ってなんだ?
どんがらがっしゃん!!!
「あれ、なんでみんなこけてんの?」
「当たり前だ、一夏。それ参考書の最初の方の用語だぞ?」
「いや……だから読んでないって……。」
「あ……あ、ああ…」
「「?」」
プルプルと震えながら小さな声で「あ」を連呼するオルコットに対して、俺と陸斗はそろって首をかしげる。
「信じられませんわ!!日本の男性というのは、こうも知識に乏しいものなのかしら!?常識ですわよ!!常識!!」
「いや、そんなこと言われても……で、陸斗。結局代表候補生ってなんだ?」
「はぁ、一夏。お前少しは言葉から想像しろよ……。読んで字のごとく、国家代表IS操縦者の候補生のことだ。わかりやすく言えば、もう引退しちまったけどチー姉が国家代表。んで、代表候補生は将来その国家代表になるかもしれない人のことを言うんだ。」
「ああ、なるほど。サンキュー陸斗」
陸斗がやれやれといった顔をする。いや、陸斗、仕方ないだろ?誰だって知らないことの一つや二つはあるものさ!
「そう!!エリートなのですわ!!」
目の前のオルコットが腰に手を当ててふんぞり返っている。
「本来なら、わたくしのような選ばれた人間とクラスを同じくするだけでも奇跡のようなもの。その幸運を少しは理解していただけるかしら?」
「そりゃあラッキーだな。」
「何がラッキーだよ一夏。言っとくけどな、さっきは良い言い方で言ったけど、代表候補生って結局は国家代表の『補欠』って意味だぞ?代表候補生でも国家代表を目指して死に物狂いでやってる人ならまだしも、こいつは『補欠』程度で自分をエリートって言ってる中途半端な人なんだぞ?どこがラッキーなんだ?むしろアンラッキーだと思わないか?」
「あなたみたいなクズに言われたくありませんわ!」
オルコットのその一言で教室が一気に騒ぎ始めた。
「そうよそうよ!あなたみたいなクズ男が代表候補生を馬鹿にするな!」「どうせあんたなんてISを動かるだけなんでしょ!」「代表候補生はあんたみたいな能無しには一生なれないのよ!」「つーかもうあんた死ね!」「消えろ!」「いなくなれ!」
「おい、みんなそれは言いすぎだろ!」
「え~織斑君はそんなクズのことかばうの?」「そんなやつほっときなよ!」「織斑君みたいな才能ある人間がそんなクズと一緒にいたらダメになっちゃうよ!」「ほら、こっちで一緒に話そうよ!」
「お、お前らなぁ「静かにせんか、この愚か者どもめ!!」
千冬姉がどなりながら入ってくる。ん?千冬姉?
時計を見てみるともう休み時間も終わろうとしていた。
「お前たちはどこまで男性を下に見れば気が済むんだ!」
さっき怒られたのがまだ利いているのか、誰も何も言わなくる。
「オルコット!お前は仮にも国を背負おうとしている人間だろう!そんな人間がこんなことでどうする!」
「ですが織斑先生、その男に何の価値があるというのですか!」
「……そういうことなら本当に陸斗に価値がないかどうか試してみるか?」
千冬姉が相当怒っているのがわかる。だって陸斗の呼び方が『西條』じゃなくて『陸斗』になってるんだもの。
「どういうことですの、織斑先生?」
「1週間後にお前と陸斗で模擬戦をしろ。それではっきりと白黒をつけろ。いいな?」
「いいですわよ、織斑先生。まああのクズ男が逃げなかったら、の話ですけど。
「陸斗もいいな?」
「嫌です、織斑先生。」
へ?今陸斗なんて言った?
「おほほほほほほ!やっぱりそのクズ男はどうしようもないクズでしたね!戦うことすらできないなんて!」
周りの女子も一斉に笑い始め、陸斗を馬鹿にし、嘲笑っている。
「……どういうことだ、西條。返答次第によってはタダじゃ済まさんぞ?」
「それはその人がISをただのスポーツと勘違いしているからですよ。そんな命がけでもないのに戦う理由なんてありません。そんなことやっても時間の無駄です。」
「ならどうすればお前は戦うというのだ?」
「そうですね。SEが0になっても負けにはならず、どちらかが死ぬまで戦い続ける『殺し合い』じゃないと俺はやりたくありません。」
クラスのみんなの顔が一瞬にしてひきつる。もちろん俺もそうだ。
ただオルコットだけ得意げな顔をしている。
「おい、西條。流石にそれは教師として許可しかねる。」
「かまいませんわ、織斑先生。そんな自分から死にたがるようなおバカは今のうちに処分しておかないと。どうせ私が負けることなどありえませんので。」
「そうか。それはよかった。なら俺は戦いますよ、織斑先生。ちなみに今までの会話は全部録音させてもらったからお前を殺しても何も問題はないな?」
そう言って陸斗がスマホを取り出す。
「あら、あなたが私に勝てるのかしら?」
「お前を殺すのなんぞに30秒もかからん。ちなみにイギリスにも事前にこのことは報告させてもらうからな?」
「ええ、構いませんわ。」
キーンコーンカーンコーン
「あら、チャイムが鳴ってしまいましたわね。それじゃあ1週間後、楽しみにしてますわ。」
オルコットはそう言い残すと、自分の席へと帰って行く。陸斗も自分の席へと戻ろうとしていたところ、千冬姉に呼び止められて耳元で何かを囁かれていた。
~陸斗side~
チャイムが鳴ったので席へ戻ろうとしたところ、千冬さんに呼び止められた。
「陸斗、話があるから放課後私のところに来い。」
「わかりました。」
千冬さんとヒソヒソ話をしていたところを一夏がじーっと見つめていたが、気にせず俺は自分の席へと帰って行った。
一夏sideが書きにくい今日この頃。
グダグダ感も否めない状態ですが、これからもよろしくお願いします。
問題発言『殺し合い』についてはできれば触れないでください。
あ、ちなみに原作キャラは死亡させませんよ?