死神がISの世界に 改   作:岩男 一前

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陸「おい岩男(←作者)、お前、まだ投稿し始めて1カ月も経ってないのにUA数が3000超えてんじゃねえか!」

岩「いや~そうなんだよ~。しかもこれチラシの裏投稿なんだぜ?」

陸「そう、そこだよ。前のよりいいんじゃね?」

岩「いや~俺としては前作も捨てがたかったんだが……。」

陸「いやいやいや、今回の作品、2つ目の9の評価もらってんじゃねえか。」

岩「ああ、あれめっちゃうれしい!」

陸「これからも高評価もらえるように頑張れよ?」

岩「もちろん!読者の皆様、これからもよろしくお願いします!あ、ちなみにこれの前作なのですが、完璧に消したわけではないので、皆様のご要望があればこの作品が完結した後復活させるかもしれません。と、いうわけで、Ep.13スタート!」



Ep.13 ファイティング オブ ワンサマー

~陸斗side~

 

あれから1週間がたった。この1週間は正直めんどくさかった。椅子の上に画鋲がボンドで貼り付けられていたり、俺の服にわざと水やお茶をこぼして来たり、明らかないじめ行為が繰り返されていた。

 

だからと言って、別に気にすることもない。正直ガキの戯言にしか見えないし、これから奴隷になるやつらのささやかな反発だと思えばなんてことはない。

 

だがこれに怒ってるやつが目の前にいた。そう、一夏だ。

 

ちなみに今日は一夏の試合の日。試合目前、控室で待機している一夏は今も目に見えるぐらい怒っている。

 

「おい一夏、ただでさえお前は搭乗時間というハンデを背負っているのに、そんなに怒っていたらさらに不利になるぞ。」

「陸斗!お前は何も思わないのかよ!今日もまた陰湿な嫌がらせがあったんだぞ?」

「そうだぞ、陸斗!いくら陸斗のことを嫌っているからと言って、あのような行為は許されるものではない!」

「一夏に箒、心配してくれるのは嬉しいが、これは俺の問題でなにもお前らまでそれに巻き込まれる必要はない。それに明日俺が勝てばいい話だ。そうすればあいつらは俺の奴隷。今まで知らなかった奴隷の現状を俺がじっくり教えてやる。」

 

俺はニタ~っと不気味な笑みを浮かべる。目元はいつも通り隠しているため見えないとは思うが、それでも不気味に見えるように笑った。

 

「……。」

「……。」

 

一夏と箒が苦笑している。

 

「まあ一夏、それよりも今日はお前の試合だ。俺のことは考えなくていい。」

「そうだ、一夏。今は目の前の試合に集中だ!」

 

その時だった。一夏が箒の方をジトッとした目で見始めた。

 

「それより箒、ISのことを教えてくれる話はどうなったんだ?」

「…………………………………………………………………………………………」

「おい!目をそらすな!」

「一夏、どうしたんだ?」

「どうしたもこうしたもねえよ!この1週間、ずっと剣道してただけで、全くISのことを教えてくれなかったんだよ!訓練もしてないのに今日どうすんだよ!」

 

ガシッと肩を両手で掴む一夏。

 

「まあそう言うな、一夏。箒の訓練はある意味じゃ正しい。一夏には専用機が与えられるんだろ?専用機はIS学園で貸し出されてる訓練機と違って少しクセがある。訓練機に慣れてしまうと専用機のクセに戸惑うことになる。だから体を鍛えるのは今のお前には正しい訓練だ。」

「そ、そうだったのか……。怒って悪かったな、箒。」

「い、いや、いい。私もついつい剣道の方に熱が入ってしまった。すまない。」

「頭をあげてくれよ、箒。箒がいなけりゃ俺は本当に何もできなかったんだ。」

 

「織斑君、織斑君!き、来ましたよ!織斑君の専用機が!」

「織斑、お前のISが搬入された。すぐに準備を始めろ。アリーナの使用時間は限られているから初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)は戦闘中に行え。つまりぶっつけ本番ということだ。」

「え?」

「この程度の壁なら男子たるもの軽く越えるのが当たり前だぞ、一夏」

「…………………はい。」

 

ピットの搬入口のゲートが上がっていき、目の前に『白』が現れる。

 

「これが、俺のIS……。」

 

目の前のISに心を奪われ、見惚れる一夏。

 

「これが織斑君の専用機、『白式』です!」

「織斑、早く乗れ。」

「ああ。」

「背中を預けるように……座るような感覚でいい。あとはISが自動で処理をしてくれる。」

 

一夏が『白』を纏う。

 

「これがIS……体に馴染む……。理解できる……。これが何なのか、何の為にあるのか……わかる。」

 

その時、山田先生がふと思い出したように訪ねてくる。

 

「織斑先生、西條君は訓練機で戦うんですか?」

「西條はもうすでに専用機を持っている。」

「え、えええ!」

「ちなみにもう一つ言っておくと、篠ノ之束特製だ。」

「「「え、えええええええええええ!」」」

 

山田先生と一夏と箒が驚く。

 

「これですよ。」

 

俺は左手の中指を見せる。俺のISの待機状態は少し太めの黒の指輪なのだ。

 

「俺のISのカラーも関係してるのか、黒色なんですよね。」

「ってことは陸斗のISの色は黒なのか?」

「ああ。」

 

「織斑、そろそろ時間だ。」

「ああ、行ってくる。」

「「「勝ってこい、一夏!」」」

「ありがとう、千冬姉、箒、陸斗。白式、行きます!」

 

こうして一夏はアリーナへと飛び立った。

 

~一夏side~

 

「これが、ISなのか。」

 

今俺は空を飛んでいる。

 

「空を飛ぶのってこんなにも気持ちいいんだな。」

「あら、逃げずに来ましたのね。褒めて差し上げますわ!」

 

オルコットが腰に手を当てて偉そうに見下してくる。

 

「織斑一夏、最後のチャンスをあげますわ」

「チャンスって?」

「わたくしが一方的な勝利を得るのは自明の理。ですから、惨めな姿を晒したくなければ、今ここで謝るというのであれば、許してさしあげますわ。」

「そういうのはチャンスとは言わないな。それよりハンデを頼もうか?」

「あら、怖気づいたのですか?」

 

オルコットが馬鹿にするように笑う。

 

「いや、お前が負けた時の言い訳にできるように俺も気を利かせようと思ったんだけど……。まさかこの気配りがわからないのか?」

「あ、あなたねぇ!」

 

その瞬間、俺の横をレーザーが通り過ぎる。

 

「もう許しませんわ!あなたはここで打ちのめして差し上げますわ!……さあ、踊りなさい!私、セシリア・オルコットとブルー・ティアーズの奏でる円舞曲(ワルツ)で!」

「……それは遠慮しておくよ。」

 

~陸斗side~

 

「ほぇ~すごいですね、織斑君。」

 

俺と箒と山田先生、そして千冬さんは管制室のモニターで観戦している。本来なら俺と箒は入れないのだが、観戦席ではまた嫌がらせを受ける可能性があるとして千冬さんが特別にここに入れてくれたのだ。

 

で、今どういう状況かというと、山田先生が一夏の動きを見て感心しているという状況だ。

 

「山田先生、織斑はまだまだですよ。」

「でも初めてにしては上手じゃないですか?」

「……まぁ初めてにしてはマシな方じゃないかとは思いますが。」

「あ、照れてるんですね?やっぱり織斑先生もお姉さんですね~。弟のこと…い、イタタタタタタタタタタタタタタッ!」

 

千冬さんが山田先生の頭にアイアンクローをお見舞いしている。

 

「私はからかわれるのが嫌いだ。」

「す、すみませんでした!お、お願いですから手を放してくださ~い!」

「分かればいい。」

「うう、先輩いつにもましてキツいです……。」

 

涙目になる山田先生。正直このやり取りを見ていると、『先生が生徒を叱っている』ようにしか見えない。しかも呼び方が『先輩』になってるし。

 

「でもこのまま行ったら絶対注目されますよね~。」

「ま、まあ我が弟ながら容姿と家事スキルだけは世間に出しても恥ずかしくないぐらいだからな。」

 

珍しく千冬さんが少し赤くなる。

 

「え、『世界中の企業がほっとかない』って意味で言ったんですけど………。」

 

またもや山田爆弾が爆発。しかも山田先生の『えっ』って表情を見る限りでは、本気で言っているようで、からかっているようには見えない。

 

「やっぱり織斑先生も一夏君のこと少なからずかっこ…イダダダダダダダダダッ!」

「真耶、私はからかわれるのが嫌いだとついさっき言ったはずだが?」

 

再び千冬さんのアイアンクローがお見舞いされる。さっきよりも痛そうだ。だって山田先生の頭がさっきよりもミシミシ鳴ってるし、声が『タ』ではなく『ダ』になっているのだ。

 

「それに山田先生、陸斗の方が何倍もかっこいいと私は思うぞ?」

「………え?(パッと見地味にしか見えないんですが……)」

「ちょ、ちょっと千冬さん、変なこと言わないで下さいよ。一夏の方がかっこいいに決まってるじゃないですか。俺は不細工ですよ?」

「お前は髪の毛がぼさぼさで地味にみられているだけだ。山田先生と篠ノ之ぐらいには素顔を見せたらどうだ?」

「……すみません、まだ割り切れてないもので、今は素顔を晒したくありません。」

「……そうか。だがそのうち親しい者ぐらいには見せるんだぞ?」

「……はい。わかりました。」

 

俺と千冬さんはモニターへと目を向ける。

 

「で、陸斗、この試合どちらが勝つと思う?」

「まあ3:7で一夏が不利ですね。でも勝機はないってわけではありません。強いて言うならば、おそらくこの試合のチャンスは2,3回ってところかと。それを活かせるかどうかがこの試合のキーです。」

「やはりお前もそう思うか。」

「え?ということは織斑先生もそう思うんですか?私は織斑君も十分勝てると思いますけど……。」

 

山田先生が『私ってやっぱり見る目ないんでしょうか………』と呟く。

 

「山田先生、心配しなくてもいい。普通の人が見ればそう思うのも無理ないでしょう。篠ノ之、お前ならわかるよな?」

「……ということはやはりあの左手は………。」

「ああ。あのバカ、初めてのISで浮かれている。山田先生、あと陸斗、あの左手を開いたり閉じたりするのが見えるか?」

「「はい。」」

 

山田先生と声がかぶる。

 

「あれはあいつの癖でな。あの癖が出るときは大抵なにかをやらかす。」

「やっぱりそうだったんですね。」

「陸斗、やはり気付いていたか。」

「まあ戦う時に人を観察するのは必須ですからね。何かおかしなところがあれば気付きますよ。」

「むっ、そろそろ動くぞ。」

 

モニターに映っている試合がその時動いた。

 

何が起きたのかというと、ビット兵器の弱点を見抜いた一夏がビット兵器を次々と破壊し、セシリア・オルコットに切りかかろうとしたその時に隠していたミサイル兵器の餌食になったのだ。

 

「一夏ぁ!」

 

箒がモニターに向かって叫ぶ。

 

「機体に救われたな、馬鹿者め。」

「へ?」

 

爆風の中から、先ほどの白式とは違う『白』が現れた。

 

『ま、まさか一次移行(ファースト・シフト)!?あ、あなた、今まで初期設定だけの機体で戦っていましたの!?』

『よくわからないが、これでやっとこの機体は俺専用の機体になったらしいな。……雪片弐型?雪片って千冬姉が使ってた武器だよな……。ふっ、俺は世界で最高の姉さんを持ったよ。』

 

一夏の持つ刀のような武器が青白く光る。

 

『でもそろそろ、守られるだけの関係は終わりにしなくちゃな。これからは、俺も、俺の家族を守る。』

『あなた、何言って!?』

『とりあえず、千冬姉の名前を守るさ。弟が不出来じゃあ恰好がつかないからな!』

 

千冬さんの方を見ると、千冬さんはじっとモニターに映る一夏のことを見つめている。

 

『面倒ですわ!』

 

セシリア・オルコットが2発のミサイルを撃つ。

 

『見える、見えるぜ!』

 

一夏はミサイルを両方とも真っ二つに叩き斬る。

 

『うおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!』

 

そして再び、セシリア・オルコットに斬りかかろうとした時だった。

 

プーーーーーーーーーーーッ『試合終了。勝者、セシリア・オルコット。』

 

突然、一夏の負けが告げられた。

 

『へ?』『は?』

 

一夏もセシリア・オルコットも素っ頓狂な声をあげる。観客のみんなもわけが分かってないみたいだ。事実、俺と箒、そして山田先生も意味が分かっていない。

 

まあおそらくあの機体、もしくはあの武器の青白い光が関係しているのだろう。

 

「全く、あのバカは。」

 

やれやれといった顔をしながらも、千冬さんはどこか嬉しそうだ。

 

「……あぁ、やっぱ俺の恋は叶わなぬ恋……なのかな……。」

 

誰にも聞こえないようにボソッと呟き、もう一度千冬さんの方を向く。その顔はやはり普段の引き締まった千冬さんの顔とは違う、優しさの溢れた顔だった。

 

「……やっぱり、実の兄弟といっても、この2人は特別なんだな……。」

 

みんなが控室へと移動し始めたので、俺もそれについていった。

 

 

 

 

 

 

~控室~

 

今、一夏は控室で正座をさせられている。

 

「よくもあそこまで持ち上げてくれたものだ、この愚弟め。」

「うっ。」

「負け犬。」

「う゛っ。」

 

千冬さんと箒からのダブル口撃で沈む一夏。

 

「お、織斑先生、織斑君も善戦したんですからなにもそこまで……。」

「や、山田先生~!」

 

今にも飛びつかんとする一夏。

 

「山田先生、それは甘すぎます。敗者に対してそんな甘い言葉をかけてはダメです。そんなんじゃ伸びません。それにどんなに善戦しても『負け』は『負け』ですから。」

 

俺は負けのところを強調して言う。

 

「う、うわああぁぁぁぁぁ、陸斗、なにもそこまで言うことないじゃないああぁぁぁぁぁ!!」

 

一夏が正座のまま地面に伏せ、顔をつけた。

 

「それはさておき、織斑先生、なんで一夏はあそこで負けになったんですか?」

「あ、それは俺も気になります。」

 

俺の質問に、一夏もすぐさま回復して聴く体勢になる。

 

「『バリア無効化攻撃』を使ったからだ。武器の性質を考えないまま戦うからこうなる。」

「『バリア無効化』?」

「相手のバリアを切り裂き、本体に直接ダメージを与える。雪片の特殊能力だ。」

 

目の前に先ほどの一夏の攻撃シーンのVTRが映し出される。

 

「これは自分のシールドエネルギーをも攻撃に転化する機能だ。私が2回もモンド・グロッソで優勝を果たせたのもこの能力のおかげと言っても過言ではない。」

「そうか、それで白式のエネルギー残量が0に……。」

「ISの戦闘は、シールドエネルギーが0になった時点で普通は負けとなります。明日の試合のような例外もありますけど………。」

 

山田先生は心配そうに俺を見てくる。そしてもう一度一夏の方を向く。

 

「バリア無効化攻撃は、自分のシールドエネルギーと引き換えに相手にダメージを負わせる、いわば、諸刃の剣ですね!」

「つまり、お前の機体は欠陥機だ。」

「け、欠陥機?」

 

まあ確かにISは欠陥機だろうな………。世界をこんなにもめちゃくちゃにしてるし……。

 

「言い方が悪かったな。」

 

ええ、千冬さん。とても悪い言い方です。

 

「ISはそもそも完成していないのだから欠陥も何もない。お前の機体は、他の機体よりちょっと攻撃特化になっているということだ。」

「………はぁ。」

「ISは今は待機状態になっていますけど、織斑君が呼び出せばすぐに展開できます。規則があるので、ちゃんと読んでおいてくださいね?」

 

山田先生から分厚い『教則本』が手渡される。一夏の顔が世界の破滅でも見ているかのように歪む。

 

「一夏、お前も私と同じで何か一つを極める方が向いているだろう。これからは機体のことも考えて精進しろよ?」

「わかったよ、千冬姉。」

「それじゃあ織斑君、今日はお疲れさまでした!それじゃあ西條君、明日は頑張ってくださいね?くれぐれも危険なことはしないでください……。」

 

山田先生に祈るようにお願いされる。これを見ると一瞬心が揺らいでしまいそうになるが、それでも俺はやめるつもりはない。もし仮に明日やめるとすれば、オルコット自身が奴隷になる宣言をした時ぐらいだろう。

 

「そ、そうだ!陸斗、お前は大丈夫なのか!?今日やってみて思ったけど、やっぱりセシリアは強かったぞ!?」

「そ、そうだぞ陸斗!私はお前がぼろぼろになる姿など見たくない!今すぐ試合のルールを変更してもらうんだ!」

 

一夏と箒は今日の試合を見て不安になったのだろう。だが俺は最初から明日の試合のことなど眼中にないため普通に答える。

 

「大丈夫だ。あんな小娘、少し力を出しただけですぐに決着がつく。」

「陸斗、あまり酷くするなよ?」

 

千冬さんが『姉』のように心配して訪ねてくる。

 

「大丈夫ですよ、千冬さん。流石にすぐに終わらせてはつまらないんで、5分間は遊びます。……でもそのあとは潰します。一夏、明日俺の試合は最初の遊びの5分間だけ見ておけ。それ以外は絶対に参考にするな。」

「お、おう。」

「それじゃあ一夏、今日は疲れてはいないか?早く帰って寝た方が良いぞ?ほら、箒も一緒に行かないか?」

「あ、ああ。」

「それじゃあ千冬さん、山田先生、失礼します。」

 

こうして俺たち3人は帰路についた。

 

~千冬side~

 

「………。」

 

私はあの3人が帰った後、考え事をしていた。

 

「どうしたんです、織斑先生?」

「いや、なんでもない。それより真耶、今はプライベートだ。畏まらなくていい。」

「あ、はい。それより先輩、明日西條君、大丈夫ですかね?」

「……心配するのは西條ではなく、オルコットだ。あのままでは本当に殺されかねない。」

 

私の返答に、真耶がキョトンとした顔をする。

 

「え?やだなぁ、先輩。何も真顔でそんな冗談を言わなくても。一瞬信じちゃったじゃないですか~!」

「……………………。」

「……え?ま、まさかそれ本当なんですか?」

「……ああ。……真耶、ひとつだけ言っておく。西條は私よりも強い。私はISに乗ってもあいつの3割の力も出させることが出来ないくらいだ。」

 

これでも私は武道を嗜む身。一度手合せをすればどれほどの力量差があるかくらいすぐわかる。

 

「………。先輩、もしもの時はどうするんですか?」

「……私が止めに出る。私しかあいつを止めることはできん。たとえ生徒会長のあいつでも、だ。真耶、打鉄の調節頼めるか?」

「わかりました。必ず明日までに間に合わせます。」

「すまない。迷惑をかける。」

「生徒のことを守るのが私の役目ですから。たとえそれが攻撃する側でも、される側でも……。」

 

この後私と真耶は整備室へと足を運んだ……。

 

(陸斗、お前だけが苦しむ必要はないんだ。今は無理でも、いつか私にもお前の重荷を背負わせてくれ………)

 

~試合後のシャワールーム~

 

~セシリアside~

 

「織斑、一夏…………。」

 

今日の試合で『男性』というものに対する意識が変わりました。彼、織斑一夏が私の中の意識を変えてくれたのです。

今まで私は『男性』というのは皆私の父のような存在だという間違った認識をしておりました。

 

私の父というのは、男卑女尊の世界に見事に染まってしまった『情けない男』の典型のような男でした。

私の母は実業家、そして野心家でもあり、常に上を目指していて、女性として手本のような母でした。社長にまで上り詰めたその努力と才能。今でも尊敬しており、母を超えるのが私にとっての目標です。

 

当然、父はいつも母とその家族にペコペコしており、仲もそれほど良くはありませんでした。悪いと言っても過言ではなかったでしょう。

ですが、そんな2人は、いえ、そんな2人だったのに、死ぬときは一緒でした。列車の事故に巻き込まれて……。

 

それ以降、私の周囲には私の親友であり、メイドでもあるチェルシー以外に味方という味方はおりませんでした。

周囲に群がってくるのはいつも金目当ての大人ばかり。特に男性。男性はこのご時勢ですから、お金を欲しているのはよく理解はしていました。

ですが、理解はしていたものの、やはりそんな男性たちの姿を見て嫌悪感を抱かずにはいられなかったのも事実です。

ほかにも色々と理由はあるのでしょうけど、やはりそれが一番の男嫌いの決め手となってしまいました。

 

 

 

 

……だけど、今日戦った『一夏さん』は違いました。

 

一夏さんには勝ったものの正直なところギリギリでした。確かに今日の試合というのは不甲斐ないものに見えたでしょう。ですが私は不思議と納得してしまっているのです。というのも、彼の『目』は今までの男性とは全く違ったものだったからです。一夏さんの目は情熱を持った真剣な目。それは私に、男だからと言ってすべての人を下に見るというのは間違いだったと今日改めて気づかせてくれたのでした。

 

ですが2人目の男、西條陸斗だけは何があっても倒さなければなりません。1組の生徒のほとんどを貶したのですから。彼だけは許してはなりません!明日私は彼に勝って必ず『奴隷』にして差し上げますわ!

 

「でも、どうして彼はあんなに『奴隷』に過敏に反応していたのでしょうか……。」

 

その1点だけが気になりながらも、どうせ『くだらない理由だ』と自分の中で決着をつけ、明日の試合へ向けて彼に対する闘志を再び燃やし始めました。

 

 

そう、それが酷く愚かな行為であるということを知らないまま………。

 

 




今回は総UA数3000越え祝いということで少し長め(8000文字ジャスト!)にしてみました。

次回は皆さまお待ちかね、陸斗の戦闘シーンです!

え?待ってないって?そ、そんな悲しいこと言わないでください~(ノД`)・゜・。
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