先週遅れた分+10000UA突破記念ということで、この日曜日で3話投稿したいと思います!予定では1巻内容はすべて終わらせるつもりです!
読者の皆様、これからもよろしくお願いします!
~陸斗side~
授業が終わり、放課後になった。あの縦ロール(オルコット)に絡まれないようにさっさと片付けて教室を出る。
廊下を走らないまでも早歩きでそそくさと寮の自分の部屋へと戻る。
「……待ちに………って…………條さん!」
後方でなにやら声がするが俺には関係ない。………今日は最悪な一日だった。
~セシリアside~
放課後になり、すぐさま西條さんと話そうと思い、彼のところに近寄ろうとしました。
しかし、西條さんは逃げるように帰ってしまい、追いかけようにも速すぎて追いつけません。
私は負けじと大声で西條さんを呼びましたが、彼は気づかずにそのまま帰ってしまいました………。
「私、このまま西條さんと仲の悪い状態が続くのでしょうか………。」
そう思うと、自然と視界が涙で霞み始めて……。
「セシリア!」
「は、はい!」
後ろから声をかけられ、そちらの方を振り向くと、そこには一夏さんがいました。
「陸斗と話せたのか?」
「………」
無言で顔を横に振ると、一夏さんが私に微笑みかけながら言葉をかけてくれました。
「大丈夫だって。ちゃんと謝れば陸斗も許してくれるはずさ!」
「大丈夫でしょうか………。」
「おう!俺が保証する!だから元気出して今日の特訓に付き合ってくれよな!」
「は、はい!」
~陸斗side~
俺は一度寮の部屋に勉強道具をすべて片付け、前から目をつけていたところへと足を進める。
「(全くいいところを見つけたもんだな。)」
(そうね。それで、今日は何をするの?)
「(そうだな、今日は普通に刀1本で鍛錬しておくよ。ISの時は刀1本しかないからな。)」
(じゃあ今日はそれだけ?)
「(あとは須佐能乎のコントロールの練習ぐらいかな。今日は遠隔操作やってみる。)」
(分かったわ。でも完全防御をわざわざ遠隔操作する必要あるの?)
的確なところをついてくる。確かにわざわざ自分の絶対防御を外してまで遠隔操作などをする必要はない。
いや、むしろ逆に自殺行為に近い。須佐能乎はとてつもなく集中力を使う上にそれを遠隔操作をするとなると、余計に集中力を使う。
さらにその上で自分の絶対防御を外したうえで他に集中力を使いながら自分の身は自分で守る、もしくは相手を倒さなくてはならない。
こんなのありえない話だ。おそらくこんなことをしようとしているのは俺ぐらいだろう。
「(確かに必要かどうかと言われると分からないとしかいいようがない。けど、須佐能乎のコントロールが上手いに越したことはない。)」
(確かにそうね。)
「(まあそういうわけだから、仮面よろしくな。)」
(わざわざする必要あるの?)
「(誰かに見られるのも嫌だからな)」
(そう、分かったわ)
「(よろしく頼むよ)」
俺はIS学園の端の方にある雑木林みたいなところへと向かった。
~一夏side~
「………つ、疲れた………。」
今日の特訓は箒が打鉄の貸し出し許可を得たため、箒も参加した。
そこまではよかったんだが、箒とセシリアのどちらが俺の特訓の相手をするかで言い合いになり、結局2対1という形に………。
「一体なんだってんだよ………」
「い~ちか!」
首筋に冷たいものがあてられる。
「う、うわっ!だ、誰だっ!………って鈴か。」
「私で悪かったわね。それより……はい、これ。スポーツドリンクとタオル。スポーツドリンクは温いのでよかったわよね?」
「おう!………ってあれ?それじゃあさっき首に当たった冷たいものは何だ?」
「ああ、あれは私のミネラルウォーターよ。一夏は昔からじじくさいこと言ってたんだからそのぐらいわからないはずがないじゃない。」
「じじくさくて悪かったな!でも不養生するぐらいならそう言われたほうがましかもな。」
2人そろって「はははっ!」っと声をあげて笑う。正直言って懐かしいかぎりだ。このIS学園に来てからはそんなことはなかったからな。
鈴が来てくれて嬉しく思うよ、本当に。
IS学園にはこうやって腹を割って話せる奴がいないからな。
「一夏、私は先に帰るぞ!シャワーの件だが、先に使ってもらって構わない。」
「おお、そりゃありがたい!」
「では、また後でな。」
「ああ、また後で。」
いつも通りの凛々しい後ろ姿で帰っていく。
「………一夏、今のどういうこと?」
「ん?いや、いつもは箒がシャワーが先なんだけけど今日はどうやら譲ってくれるみたいだ。」
「しゃ、しゃ、しゃ、シャワー!?『いつも』ってあの子とどういう関係なのよ!?」
「どうって言われても………前にも言った通り、幼馴染なんだが………。」
鈴が詰め寄ってくる。………なんかいい香りがする。こいつも1年少し会わない間に女の子らしくなったんだな。
「幼馴染とシャワーと何の関係があるのよ!」
胸ぐらをつかんでくる。………前言撤回。ほとんど変わってない。
「お、俺今箒と寮で同じ部屋なんだよ………それより鈴、手を…離してくれ………息が苦しい………」
息が苦しくなり、俺の胸ぐらを掴んでいる手をペシペシと叩いた。すると気が付いてくれたのか、鈴が手を緩めてくれた。
「ご、ごめん!………それより、何でそれで同じ部屋になるのよ!?」
「ケホッケホッ……いや、俺の入学って突然決まったから寮の都合がつかなくてそうなったんだとよ………。それに陸斗も同じで入学が突然だったから女子と相部屋だぞ?」
「………それって寝食を共にしてるってこと!?」
「ああ、まあそうなるかな?でもまあ箒で助かったよ。これが知らない相手だとかだったら本当に気が休まらないからな~。陸斗はよく初対面の女の子と一緒に暮らす気になったもんだ」
『ハハハ』と笑い、ポリポリと頭を掻きながら答えると、目の前では鈴がプルプルと震えている。
「………だったら良いわけね?」
「ん?何か言ったか、鈴?」
「幼馴染だったら良いのね!?」
「は?」
「分かったわ、ええ分かりましたとも。」
………嫌な予感がするのだが………。
「一夏!」
「お、おう。なんだ?」
「幼馴染は2人いるんだからね!」
「?それがどうした?」
「じゃあ後でね!」
………今のはなんだったんだ?
~陸斗side~
時刻は8時過ぎ。修行に集中しすぎたせいで時間のことを忘れていた。
(やりすぎよ、陸斗。力が残ってないじゃない)
「(ああ、自分でも本当にやりすぎたと思ってるよ。でもまあ遠隔操作がある程度形になったから良しとしないか?)」
(まったく、そんなんじゃいつ身が滅んでもおかしくないわよ?)
「(………そうだな)」
寮に帰り、今日の夜ご飯はどうしようかなと悩みながら自分の部屋を目指して歩いていた。
その時だった。
「ふ、ふざけるな!出ていけ!ここは私の部屋だ!」
一夏の部屋の方向から箒の声が聞こえてくる。
はぁ、また一夏絡みの問題か?
急いで一夏の部屋へと言ってみると、そこには言い合いをしている箒と鈴の姿が見えた。
(つくづく一夏君は女性絡みの問題を起こしてくれるわね)
「(巻き込まれる方の身にもなってくれって話だな)」
(まったくよ)
「とにかく部屋は変わらない!出ていくのはそちらの方だ!自分の部屋に戻れ!」
「ところでさ一夏!あの約束覚えてる?」
「む、無視するな!ええい、こうなったら力づくでも!」
箒が右手に竹刀を持って鈴へと殴りかかろうとする。
チッ
舌打ちしながら一気に瞬歩で近寄る。
今の体の状態で生身の瞬歩は少し負担が大きいが、1回ぐらいはどうにかなるだろう。
俺は一気に箒の前を通り過ぎ、前を横切る際に手に持っている竹刀を取り上げた。
「はぁぁぁぁぁ!」
箒が『剣を持っているはず』の手を振り下ろす。
だがその重みのなさと『相手に竹刀が当たって生じるはず』の衝撃がこなかったせいでポカンとしている。
「箒、お前何やってんだ?」
「「「り、陸斗!?」」」
3人が一斉に驚きの声をあげる。
鈴は腕にISを部分展開している。流石は代表候補生、ISの扱いは上手いな。
「箒、鈴がいくら部分展開しているとはいってもこれはやめておけ。これは『力づく』で済むほどのことじゃない。ただの暴力だ。」
「し、しかし!」
「武道を嗜むのであれば、自分の心を律せ。もしそれが出来ないのであれば剣を置け。取り返しのつかないことになる。今回もそうだ。もし鈴が部分展開せずに、お前の竹刀が直接当たっていたらどうする?いくら竹刀でも当たり所が悪かったら死ぬぞ?」
「うっ………す、すまなかった。」
鈴と俺に対して謝ってくる。
鈴が箒をジト目で見ると同時に、どこかいい気になった顔をしている。
こいつにもお灸をすえなければならないな。
「鈴、お前もだ。」
「な、なんであたしなのよ!?」
「お前は自分勝手すぎる。郷に入っては郷に従え、今寮の管理人がこうして部屋割りをしているんだ。文句があるなら一夏や箒ではなくて寮長に言え。こいつらにとったらお前の言いがかりはとてつもない迷惑行為だ。」
「で、でも!」
「黙れ。先ほどのお前の顔を見ていたが、自分から焚き付けておいて何勝ち誇った顔をしている?代表候補生になって専用機をもらって、大人からペコペコされていい気にでもなったか?世界がお前を中心にして回っていると思ったら大きな間違いだ。」
鈴がプルプルと震えている。………もしかしてこいつもあの金髪バカ女と同じ類の人間か?
「あ、あんた言わせておけば言いたい放題言ってくれたわね!」
「言いたい放題ではない。客観的に見て両方に非があるからそれを注意しただけだ。もし不満だというのならば第3者を呼んできて事情を説明しろ。そして俺が言っていることが間違っているかどうか聞いてもらおうか?」
ブチッ「いいじゃない?誰でも呼びなさいよ!」
「そうか、では寮長でも呼ぶとしよう。」
その途端、箒と一夏の顔が青ざめる。
俺は携帯電話を取り出し、数少ない電話帳の登録者の中から千冬さんの番号にかける。
prrrrrrrrrrr
「ふん!寮長でも誰でも呼んできなさいよ!」
「お、おい!今すぐ止めろ!寮長を呼ばれたら寝られなくなる!」
一夏の慌てようから何かを汲み取ったのか、恐る恐る鈴が一夏に尋ねる。
「え、い、一夏、寝られなくなるってもしかして………。」
「そうだよ!ここの寮長は千冬姉だ!」
「!!!!!!!!!!!!!」
あまりに驚きすぎて声になっていない。と、思ったら鈴がいきなり俺の携帯目がけて飛び込んできた。
俺はそれをヒラリと躱し、鈴の方を見る。
「何をする?」
「で、電話を止めなさい!」
「………『止めなさい』?」
「!!!す、すみませんでした。私も悪かったです。ですからお電話をやめていただけないでしょうか………?」
そう言って頭を深々と下げる。
「そうか。自分も悪いと認めたのであれば俺から千冬さんに報告することはあるまい。じゃあもう部屋に戻れよ。」
「ちょ、ちょっとだけ一夏と会話していくわ。それぐらいならいいでしょ?」
「まあそれぐらいならな。ただし、箒はお前に対して謝ったんだから鈴も箒にちゃんと謝っておけよ?」
「え、ええ。」
俺は取り上げた竹刀を箒に渡す。
「剣は暴力に使うものじゃないからな?それじゃあお休み。くれぐれもこれ以上問題を起こしてくれるなよ?」
「あ、ああ。悪かったな、陸斗。迷惑をかけた。」
箒に手を振って返事をし、自分の部屋へと戻った。
~箒side~
陸斗が帰った後は穏やかに話が進んだ。
「ごめんね、え~っと………」
「箒だ。私こそすまなかった。」
「それにしても、陸斗っていつ箒の竹刀を取り上げたの?」
「………私にもわからない。」
そう、いつの間にか私の手からなくなっていたのだ。
「陸斗って何者?もしかしてめちゃくちゃ強い?」
「ああ!そりゃもう相当強いぜ!多分この学年で1番強い!」
一夏が目をキラキラ輝かせながら語る。全く、こいつは男の、それも自分の親友の話となるとこうやっていつもと違った風にウキウキしながら話すから『男好き疑惑』をかけられるというのに………。
「そうは見えないけど、やっぱ強いのね………。」
「おう!」
「はは、あたしでも流石にあんな知らない内に現れるようになやつに勝てる気がしないわ………。」
乾いた笑い声が部屋に響く。
しばらくの沈黙の後、鈴が思い出したかのように一夏に話題を振る。
「そうそう、一夏、あの『約束』覚えてる?」
「約束?え~っと………。」
その後、先ほど陸斗に言われたばかりだというのに一夏が鈴を怒らせてしまった。
また陸斗が怒りに来ると嫌なので、表面上はポーカーフェイスで我関せずを貫く一方で、内心は半分その話に興味を持ちつつ、半分陸斗が来ることに怯えていた………。
嬉しいことに、陸斗は怒りに来ることはなく、胸を撫で下ろしながら安心して寝ることが出来た。
後日聞いた話だが、その時陸斗は『こんな遅くまで何やってたの?』とルームメイトの鷹月に問い詰められていたらしい。
あの陸斗も鷹月には弱いのだな………。