あと、最後だけオリジナル展開に入ります!
~一夏side~
「「はぁ………」」
今日はクラス対抗戦。今俺はクラス対抗戦を目前に控え、選手控室にいる。
第2アリーナ 第1試合 1年1組代表 織斑一夏 VS 1年2組代表凰 鈴音
ご丁寧に電光掲示板に今日の試合の情報が書かれている。
第2アリーナは超満員で、席に座れずに通路に立って見る人がいるくらいだ。
そんな中、今控室では溜息をつく人物が2名。
それは俺とセシリアだった。
「私、まだ陸斗さんとお話できていません………。」
そう、セシリアはあの日以降陸斗と全く話が出来ていないことを悩んでいた。ちなみに、今ここに陸斗はいない。おそらくセシリアが来ることを予測してのことだろう。
一方俺はというと、鈴と口喧嘩をしてしまったのだ。俺はついつい発育の遅い女子、特に鈴には言ってはいけないある一言を言ってしまったのだ。
その言葉は『ひんぬー』。世界中のまな板少女を敵に回す言葉だ。現に鈴が敵に回ってしまった。
その後、鈴とはまともに口を利かないまま………というより、会う度に敵意のこもった視線を向けられるという関係のまま今日の対抗戦を迎えてしまった。
そして、何の嫌がらせだろうか、初戦でいきなり因縁の対決みたいな流れになってしまっているのだ。
「まあまあ、2人ともそんなに落ち込んではダメだぞ?特に一夏!お前は今日試合なのだから、ベストを尽くさないでどうする!1組の女子全員の期待を背負っているのだぞ?」
「陸斗は入ってないのか?」
「陸斗は………一夏に期待………というよりは、一夏が優勝したらもらえる『スィーツ半年間フリーパス』のために頑張ってくれって感じだな………。」
「そうですわね、実際にそう仰ってましたし………。」
「ま、マジかよ……なんかちょっとショックだな………。」
陸斗の優先順位は『俺の頑張り<スィーツ半年間フリーパス』なのか………と少しショックに思いながら試合に向けて最後の確認をする。
「と、とにかく一夏、今日は精一杯やるのだぞ?」
「そ、そうですわ、一夏さん!観客席から精いっぱい応援しておりますわ!」
「お、おう!ありがとな!」
時計の針が試合開始時刻の5分前であることを教えてくれる。
「そろそろ時間だな。それじゃあ行ってくる!」
「行ってこい一夏!」
「頑張ってくださいまし!」
俺はカタパルトに乗り、アリーナへと飛んだ。
~箒side~
「行ったか。それじゃあセシリア、一緒に管制室に行かないか?」
「管制室?観客席ではないのですか?」
「千冬さんに言われてな。どうだ?観客席よりも人は断然少ないし、いいと思うのいだが?」
「………折角のお誘いですが、お断りさせていただきますわ。私は今はもう一般生徒と同じ身分です。一度自分を見直すためにも、今までのような特別扱いは少し控えようと思いますの。」
特別扱い、か。自分にはそのような意識はなかったな。………私もみんなと同じように観客席で見るべきなのだろうか?
「篠ノ之さんは管制室で見てくださいまし。折角のチャンスです。それを私の意見で棒に振られるのは少し心苦しく思いますの。」
「そ、そうか。ではここでお別れだな。」
「そうですわね。それでは失礼いたしますわ。」
私たちは控室を出るとそれぞれの目的地へと足を進めた。
セシリアは随分と変わった。前のように他人を見た目や印象だけで蔑んだり、自分が特別だといった傲慢な態度をとったりすることがなくなった。
相変わらず陸斗とは上手くいっていないみたいだが、それでも以前と比べたらその違いは明らかだ。
「私も変われるのだろうか……」
はっきり言って私は自分が嫌いだ。一夏のことが好きなのに、どうしても素直になれない。それに姉さんのように特別な力もない。姉さんとは仲直りして以来、上手くやっているし嫌いではない。それでもやはり自分と姉さんの能力の差には嫉妬を感じてしまう。
「どうして私はこうも悲観的なんだろうな………」
こんなことを考えている時点で、私はダメなのだろうな………。
その時、一夏と鈴の会話が廊下にあるスピーカーから聞こえてきた。
「む、試合が始まりそうだな、急がなくては。」
私は管制室へと急いだ。
~陸斗side~
今俺は観客席で試合前の一夏と鈴の会話を観察しているのだが、全くこいつらは試合前になんて会話をしているのだろうか?傍から見ればただののろけ話だ。途中途中に少々物騒な言葉が入ってはいるものの、痴話喧嘩にしか見えない。
腹立たしい ああ腹立たしい 腹立たしい
ちなみに席取りに出遅れた俺は、通路で立ち見をしている。
会場に沈黙が訪れる。どうやら2人の会話が一通り終わったようだ。
『それでは両者、試合を開始してください』
試合開始のアナウンスとブザーが入り、一夏と鈴が激突した。
~第三者side~
一夏が試合開始直後の鈴の初撃を防ぐ。だが鈴はもう一本の青竜刀のような武器を取り出し、攻撃を仕掛ける。
「くっ!」
一夏の最も得意とする近接戦闘では手数の違いで押され始めた。
「このままじゃマズい………。」
どうにか押し返そうと思ったが、鍔迫り合いでも2本対1本のせいで一夏は優勢に持っていくことができない。
「そろそろ行くわよ!」
鈴が2本だった武器を1本につなげてバトンのように扱う。どうやら相当武器の扱いは慣れているようだ。
(1年前まで俺と立場は変わらなかったはずなのに!)
そう、この少女が1年前までは一夏と一緒の中学で、同じようにバカをやって過ごしていたのだ。しかし今のこの状況を見て一体誰がそんなことが想像できようか?
(この1年、鈴は本当に苦労したんだな………)
小さい頃ではあるが、武道を嗜んでいた一夏であったため、鈴が今の状態に至るまでどれほどの苦労を要したかは想像できた。といっても、あくまで『想像』であって『理解』ではないが。
(でも俺も負けてらんねえ!)
一夏も負けじと反撃をする。だが、攻撃は当たらなかった。
鈴に反撃の暇を与えてしまったが、どうにか一夏は躱し続ける。
(このままじゃ消耗戦になるだけだ。一度距離を取らないと!)
どうにか距離を取ろうとした一夏は、小回りを利かせてどうにか鈴から離れようとする。
「甘い!」
鈴が声を出した瞬間、肩のところにあるアーマーがスライドして開き、その中心に現れた球体が光りだした。
次の瞬間、大砲を撃ったような音がすると同時に、一夏の体が吹き飛んだ。
「今のはジャブだからね!」
体勢が崩れた一夏を見て、この攻撃が有効だということが分かった鈴は、一夏に対して攻撃を加える。
再び同じ攻撃(威力は先ほどのものより強い)が一夏を襲い、一夏の体が再び吹っ飛んだ。
~管制室~
「なんだ、今の攻撃は!?」
一夏が吹き飛んだところを映像で見た箒は、鈴の攻撃が見えないことに驚いていた。
「今のは衝撃砲ですね。空間自体に圧力をかけて砲弾を打ち出す武器です。」
一緒に管制室にいる山田先生が丁寧な解説を添える。
「中国の最新鋭機であり、第三世代型兵器だ。」
千冬さんからも解説が加わる。
『う、うぅっ………』
一夏が立ち上がった。
「一夏!」
立ち上がった一夏に鈴が連続で衝撃砲を撃つ。一夏は見えないながらも懸命に体を動かして避ける。
『へぇ、見えないのによく躱すじゃない。この龍砲は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに』
「しかも、あの衝撃砲は砲身の射角がほぼ制限なしに打てるそうです。」
「それは………死角がないってことですか?」
「そういうことになりますね」
(一夏………)
山田先生の言葉を聞き、箒は心配そうに画面を見つめていた………。
~アリーナ~
一夏は、尚も続く龍砲の嵐を避け続けていた。
(このまま行ったらやられちまう!どこかで先手を打たないと!)
必死に避けながら、鈴にどこか隙がないか探す。
だが、焦りからか、表情がだんだん険しくなる。
(落ち着け、そしてしっかりしろ、俺!俺は千冬姉と同じ武器を使ってるんだぞ!こんなところで足踏みばっかしてらんねぇ!)
一夏は、『零落白夜』を使うタイミングを必死に探した。
零落白夜は姉と全く同じ技………そして、姉が自分に『1つのことを極めた方がお前にはピッタリだ』と言って使い方を教えてくれた技。
鈴が攻撃を止めて空中でとまったため、一夏は雪片弐型を構えて鈴と正面から向き合う。
(バリア無効化攻撃………使えるか………いや、使うしかない!)
『鈴!』
『何よ?」
『ここからは………本気で行くからな?』
『何よ!?そんなこと当たり前じゃない!とにかく、格の違いってのを見せてあげるわ!』
鈴が再びブレードで接近戦に持ち込もうとする。一夏は攻撃をかわし、何かを待つかのように逃げ続ける。
龍砲の嵐が再び一夏を襲うが、それも躱し続ける。
一夏はセシリアに飛行技術について教えてもらったため、以前と比べて格段に上手になった。それが功を制し、鈴は攻撃が当たらないせいで焦れてしまい、一瞬集中力を欠いてしまった。
一夏はその一瞬を見逃さなかった。
(今だ!)
一夏は
『なっ!』
『もらったあああぁぁぁぁぁ!』
零落白夜を発動させ、今にも斬りかかろうとしていた。
その時、突然アリーナのシールドバリアーを破るほどのレーザー光線が、大きな爆発音を響かせるとともに、アリーナの地面に大きなクレーターを作った。
『『な、なに!?』』
その原因を探ろうにも、煙でよく見えない。確認したくてもできずに宙に佇んでいた。
しかし、今度は別のところで問題が起こった。
鉄の塊のような何かが『2つ』空から急降下し、観客席の
勿論、その鉄の塊に当たって怪我をした者はいなかった。
ただ、この事態はアリーナ全体を混乱の渦に巻き込んだ。
一夏と鈴はいきなりのことに驚きを隠せないでいる。
観客席も同様だった……ただ1人を除いて………