死神がISの世界に 改   作:岩男 一前

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Ep.25 ブロンドとブラックラビット

~陸斗side~

 

五反田食堂での食事を終え、俺は午後から用事があったので一夏たちと別れた。

 

別れ際に蓮さんから『また来て頂戴ね?』と言われたので『また来ます』と返しておいた。まあおそらく次来るのは早くても夏だろうけど。

 

そして今、俺は束さんのラボに来ている。

 

「それでりっくん、今日はどういった用事かな?」

「少し武装について相談がありまして。」

「ん?どういうこと?」

「ISに乗っているときでも斬魄刀を使えるようにしたいんです。」

「え?普通に使えばいいんじゃないの?」

 

束さんは本気でそう思っているようだ。顔が『どういうこと?』という顔をしている。

 

「えっとですね、もし斬魄刀を使おうとしたら必ず一度は死神の服装になってしまうんです。例えばこんな感じに。」

 

私服から死覇装へと一瞬で変わる。

 

「これをどうにかしてISの機能を使って誤魔化せないかと………。」

「それなら簡単だよ~。」

「………へ?」

 

難しいと思ってたばかりに、束さんの回答に驚く。

 

「えっとね………」

 

 

 

 

 

 

「まじか〜」

 

俺はIS学園に帰りながらひとり呟いていた。

 

なんでも、束さんによると、ISスーツじゃない人が瞬時にISを呼び出す時の機能を使えば万事OKとのこと。

 

一時的に服を格納庫に電子化するとかどうとか。

 

そこで、束さんに相談したところ、その機能を強化してもらえることになった。

 

俺が死神の力を発動すると、自動的に黒龍が感知して死覇装を電子化してくれりように改造してもらった。そして後は俺が死神の力を解除してからISを解除すればいいとのこと。但し少しエネルギーを消費するからそこだけは気をつけなければならない。

 

束さんはものの3分で改造してくれた。元々黒龍は束さんの作ったISだったから改造しやすかったらしい。

 

 

そんなこんなで俺の休日は終わった。

 

 

 

 

 

 

~月曜日~

 

「ねえ、あの噂聞いた?」「聞いた聞いた!」

 

週明けの月曜日。今日はなぜか女生徒たちがそわそわしている。どうせ一夏絡みだろうから放っておくのが1番だ。

 

 

 

「きょ、今日は転校生を紹介します!」

 

いつも通り山田先生がおどおどしながら朝のHRを進める。

『転校生』という言葉にクラスがざわつき始める。

 

「静かにせんか!」

 

いつ入ってきたかわからない織斑先生の一喝でクラスが水を打ったように静かになる。

 

「それじゃあ2人共、入ってこい!」

 

ん?『2人』?

 

パシュという音を立てて開いた自動ドアの先には2人の女生徒……いや、1人の『美男子』生徒と懐かしい軍人ウサギ少女がいた。

 

2人の生徒が教卓のところへと歩いてくる。

 

ここで俺は少し違和感を感じたため、写輪眼でその男子生徒を見ると、すぐにその違和感の正体がわかった。

 

(陸斗、あの男子生徒、どう思う?)

 

どうやらレイも気付いたようだ。

 

「(ダウト。完全に骨格が女だ。)」

(やっぱりね。一応用心しといてね?)

「(了解)」

 

一夏は………あいつはフラグメーカーだから大丈夫か。

 

でも男装を千冬さんが見破れないはずがない。そう思って千冬さんの方を見ると少し複雑そうな顔をしていた。

 

まあ一夏を狙いに来たんだったらそりゃ嫌だよなと思いながらも内心では少し笑っていた。なぜかって?それは一夏の場合は落としちゃうからさ。

 

~千冬side~

 

突然フランスから転校して来たシャルル・デュノア。

どこからどう見ても男装した女だ。

と言うことは、おそらく男性操縦者のデータか遺伝子が目的だろう。…ということは陸斗を狙っているということか!?

 

あの小娘、陸斗が狙いなら只じゃ済まさんぞ?

 

 

~陸斗side~

 

千冬さんが身震いしそうな程の殺気を放っている中2人の自己紹介は行われた。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。こちらに同じ境遇の方が2人いると聞き、今日からこのIS学園で皆さんと一緒に学ぶことになりました。どうぞよろしくお願いします。」

 

そう言って綺麗なお辞儀をするデュノア。

 

「「「「「「「き」」」」」」」

 

やばい!あれが来る!

 

俺は咄嗟に耳を塞いだ。

 

「「「「「「「きゃああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」」」」」

 

「うぎゃああああああああ!」

 

一夏がソニックブームを食らって撃沈。あいつは本当に学習能力がない。

 

「さ、3人目の男性操縦者!?」「それも美男子!」「守ってあげたくなる系の!」「織斑君の黒髪とか西條君の茶髪もいいけどデュノア君の色もまた…ぐへへ」

 

やはり今回も変態が出てきた。

 

「静かにせんか!」

 

再び千冬さんの一喝でクラスが静かになる。

 

「ボーデヴィッヒ、お前の番だ。」

「はい、教官」

 

(あの銀髪ちびっ子はやはりボーデヴィッヒか。少しは大きくなったかとは思うが、あの頃とほとんど変わっていないな。)

 

ボーデヴィッヒが千冬さんに敬礼をする。そういう固いところも全くと言っていい程変わっていない。

 

「ここでは教官ではない。織斑先生だ。」

「はっ!了解であります!」

 

再び敬礼をしてから綺麗な姿勢になり、自己紹介を始めた。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ。」

「あ、あの、以上でしょうか………?」

「以上だ。」

 

ボーデヴィッヒは、この上なく簡略化された自己紹介をした後、あたりをキョロキョロ見回した。

 

「むっ、貴様が」

 

そして一夏を見つけると、小声で呟いて一夏の席へと近づいていく。そして一夏の前へと辿り着くと、右手を振りあげた。

 

(全く、世話を焼かせる。)

 

手を振り抜く寸前に瞬時に近づき、ボーデヴィッヒの手首をつかんだ。

 

「全く、いきなり問題を起こすな。」

「ふ、副教官!?お、お久しぶりです。」

「久しぶりだな、ボーデヴィッヒ。それより早く席に座れ。」

「で、でも!」

 

まだ気が済まないようだ。それにしてもこいつも相変わらず血の気が多いな。

 

「でもじゃない。今はホームルーム中だ。話があるなら後で聞くからさっさと座れ。」

「っ………分かりました。」

 

そう言うと、ボーデヴィッヒはおとなしく自分の席へと座った。

 

「今日はこの後2組との合同実習だ。この後着替えて第2グラウンドに集合だ。それから織斑、西條。」

「「はい。」」

「デュノアの面倒を見てやれ。そして西條、お前はこの後少し話があるから私のところへ来てくれ。」

「「分かりました。」」

「それでは解散!」

 

千冬さんのこの一言でホームルームは自然に終了し、一夏は急いでデュノアを連れ出し、俺は千冬さんのところへと向かった。

 

 

「織斑先生、何かご用でしょうか?」

「今は個人的な話だ。畏まらなくていい。」

「分かりました。それで、話とは?」

「ボーデヴィッヒのことだ。」

 

なるほど、確かに『個人的な話』だな。

 

「これからしばらくの間、少しあいつの世話を見ておいてくれ。」

「分かりました。」

「それと寮の部屋割りの話だが、一夏とデュノアが相部屋になった。陸斗の方は変更なしだ。」

「了解です。…ボーデヴィッヒは相変わらずでしたね。」

 

千冬さんは少し顔をしかめたが、すぐにやわらかい顔になった。

 

「全くだ。あいつの『教官』として、しっかりと指導してやらないとな。なあ、『副教官』?」

「ちょ、やめてくださいよ、千冬さん。」

「ふふっ、ついついあの頃が懐かしくなってしまってな。」

「そこまで昔じゃないですよ。」

「そうだな。それよりもうそろそろグラウンドに急げ。授業に遅れるぞ?」

 

時計を見ると、授業開始5分前だった。

 

「………え?もちろん見逃して「そんなわけがあるか。」ですよね~………。」

 

俺はダッシュでグラウンドに向かった。

 

 

 

 

 

 

 

~第二グラウンド~

 

「はぁ、全く、容赦ねえなぁ………。」

 

見事に実習に遅れた俺は、千冬さんから愛の出席簿をいただいた。まあ避けることもできたんだが、避けるとめんどくさそうだったのでありがたく頂戴しておいた。

 

「やっぱり陸斗もそう思うよな………?」

 

どうやら一夏ももらったらしい。デュノアは今日が初めてということで免除されたみたいだが、その分一夏の分が2倍になったそうだ。

 

「そろそろ始まるぞ。」

 

生徒たちにはジャージ姿の千冬さん。あの人は本当にジャージが似合うのな。

 

「本日から実習を開始する。」

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

「まずは戦闘を実演してもらう。凰、オルコット!」

「「はい!」」

「専用機持ちならすぐに始められるだろう。前に出ろ!」

 

千冬さんに指名されて少しだるそうになる鈴とオルコット。まあ俺も指名されたらめんどくさくて仕方ないが。

 

「めんどいな~。なんで私が………」

「こういうのは見せ物のようで気が進みませんわ………」

 

文句を言いながら渋々出る2人。前に出たところで、千冬さんが2人の耳元で何かを囁く。

 

「…………………」

「「!!」」

「やはりここはイギリスの代表候補生、このセシリア・オルコットの出番ですわね!」

「実力の違いを見せる良い機会よね、専用機持ちの!」

 

気持ち悪いぐらいに急にやる気を出す2人。まあ千冬さんのことだ、大方一夏絡みのことでも言ったのだろう。クラスのみんなも『えっ………』って感じで固まっている。

 

「ねえ一夏、今先生はなんて言ったの?」

「俺が知るかよ………。」

「一夏は相変わらず唐変木だな。」

「ひ、ひでぇ!」

 

酷いのはお前の鈍感さだ、このキングオブ唐変木。

 

「それで、お相手は?鈴さんでもよろしいのですが。」

「ふふ~ん、こっちのセリフ!返り討ちよ!」

「慌てるな、バカ者。対戦相手は」

 

ヒュ~~~~~~~~~~~~~~~~~ン

 

『きゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

上から何かが降ってくる音と、女性の叫び声が聞こえる。

 

『どいてくださぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!』

 

この声は…………山田先生か………。あの人ならやりかねん………。

 

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

そのまま一夏へと衝突し、大量の砂埃が上がった。

視界が不明瞭になったが、しばらくすると元に戻った。

 

そこには、山田先生の胸をガッチリ(・・・・)掴んで、山田先生に乗りかかっている一夏がいた。

 

「お、織斑君、そんないけません。私たちは先生と生徒…………あ、でもこのままいくと織斑先生が義理のお姉さんに……それはそれで」

 

頬を赤く染める山田先生。

 

「うわぁ!」

 

一夏が驚いて飛び退くと、さっきまで一夏がいたところを一筋の蒼いレーザーが通り過ぎる。

 

「ほほっ、おほほほほほほほほほほほ、残念ですわ。外してしまいましたの。」

 

オルコットが額に筋を浮かべながら笑っていた。オルコットだから怖くはないが、これが千冬さんだと思うと………ああ、身震いしてきた。

 

 

ガキン

 

 

今度は別の方から音が鳴った。見ると鈴が双天牙月をくっつけて一夏へとブン投げた。

 

「お、おわぁぁぁぁぁ!」

 

しかし双天牙月は山田先生の銃撃によって弾かれ、一夏には当たらなかった。

 

あの足場が不安定な巨大な穴から、あれほど正確な射撃ができるなんて山田先生もなかなか出来る。

 

「織斑君、お怪我はありませんか?」

「は、はぁ、ありがとうございます。」

「山田先生は元代表候補生だ。あれくらいの射撃は造作もない。」

「そ、そんな~昔の話ですよ!それに、候補生どまりでしたし。」

「さて小娘共、さっさと始めるぞ!」

 

なるほど、千冬さんも人が悪い。わざと2対1にしているんだろうな。確かに2人は1対1ならそれなりの力を持っているだろうけど、チーム戦となれば話は別だ。

 

「え、で、でも2対1で?」

「流石にそれは………。」

「安心しろ、今のお前達ならすぐに負ける。」

 

千冬さんの一言で頭に来たのか、2人はその後何も言わずに山田先生と上空へと飛んでいった。

 

 

 

 

『手加減はしませんわよ』

『さっきのは本気じゃなかったしね。』

『い、行きます!』

 

3人の戦いが今始まった。

 

「デュノア、山田先生のISの解説をしてみろ。」

「は、はい。山田先生の機体は、デュノア社製のラファール・リヴァイブです。第2世代開発最後期の機体ですが、その性能は初期第3世代にも劣らないものです。現在配備されている量産型ISの中では最後発でありながら、世界第3位のシェアを持ち、装備によって格闘、射撃、防御といった全タイプに切り替え可能です。」

「デュノア、そこまででいい。そろそろ終わる。」

 

山田先生が陽動を上手く使い、鈴とオルコットを同じ所へと集め、そこにミサイルを撃ち込んだ。

 

鈴とオルコットは避けることもできず、ミサイルに直撃し一気に地面に落とされた。

 

 

「わ、私がこんなこと………。」

「あ、あんたねえ、何面白いように回避先読まれてんのよ。」

「り、鈴さんこそ、無駄にバカスカ撃つからいけないんですわ!」

「これで諸君にも教員の実力は分かっただろう。以後敬意をもって接するように。分かったか?」

 

「「「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」

 

さて、そろそろ実習が始まるのか?と言っても結構時間があるんだが………?

 

「ふむ、思いの外早く終わったな。………よし、西條、前に出てこい!」

「………はい。」

 

はぁ、やっぱりこうなったか。

 

「諸君にはこれから銃撃戦を見てもらう。西條、今回は刀を使わずに銃だけで戦え。」

「分かりました。相手は?」

「山田先生に決まっているだろう。」

「………やっぱりですか。」

 

正直連戦の相手とは模擬戦で戦いたくないのだが………仕方ないか。

 

「来い、黒龍」

 

俺は黒龍を展開させ、山田先生と対峙する。

 

「それじゃあお願いします、山田先生。」

 

わざとやる気のなさを見せるために、気合のない緩めの声を出したのだが、帰ってきた反応は予想外のものだった。

 

「西條君、本気で行かせてもらいます。」

 

それは野獣に牙を向けようとする野生の動物の目だった。

 

「………分かりました。自分も本気で行かせてもらいます。」

「ええ、もちろんです。手を抜いたら怒りますよ?」

 

目の前には先ほどの試合とは全く違った雰囲気を纏った山田先生がいた。

 

(先ほどの試合は本気ではなかったということか。………なるほど、面白い。やってやろうじゃないか。)

 

「準備はいいか?それでは、始め!」

 

 

 

今ここに、IS学園史上最高の銃撃戦の火蓋が切って落とされた。

 

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