死神がISの世界に 改   作:岩男 一前

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Ep.08 黒ウサギ&ほうき

~陸斗side~

 

病院で涙を流したあの日から、俺の心は晴れなかった。というのも、俺みたいな血に塗れた人間が恋なんてものをしていいのかと葛藤していたからだ。

 

それはさておき、俺は千冬さんの弟の一夏と友達になった。一夏と友達になるのも少し戸惑ったが、一夏は俺の血塗られた過去を知らないから大丈夫だろうと千冬さんが言ってくれたので、友達になり、メアドも交換した。

 

あの後、俺はクラリッサという女性から事情聴取を受けたのと、個人的な質問をいくつかされた。もちろん個人的な質問というのは俺の裏の顔についての質問で、俺の正体を知ってしまったから詳しいことを教えてほしいと言われたので、『他人には一切漏らさない』という条件で話した。最終的に涙を流しながら『不躾なことを聞き、申し訳ありませんでした』と敬礼しながら病室を去って行った。

 

今後のことについては、千冬さんは今回の事件での礼ということで、一年ほどドイツ軍の教官になるとのことだ。俺と一夏も一緒にドイツで暮らさないかとのことだっのだが、一夏は学校のこともあるからとその提案を断り、一緒に来た友人たちとドイツ観光をした後日本へと帰って行った。俺はというと、クラリッサさんに『我が隊の戦闘訓練の教官をしてください』と頼まれたので、千冬さんの補佐という形でドイツ軍に身を置くことになった。立ち位置としては千冬さんの知り合いの武術(主に格闘と剣術)の達人で、今回急遽呼び寄せた特別教官ということになっており、身分としては『西條副教官』らしい。

 

もちろん、住居や食事は軍の方で提供してくれるらしいし、何よりも千冬さんのそばにいられる。そして嬉しいことに、軍で射撃訓練をやらせてくれるとのことだ。この条件は正直なところ、俺にとっては良いこと尽くしだ。そろそろ銃の練習もしなくてはと思っていたところだし、家賃や食費を稼ぐことに頭を悩ませなくてもいい。そして何より、千冬さん。こんなに至れり尽くせりの条件を蹴るはずがないだろう。

 

 

というわけで、俺は今ドイツ軍に身を置いている。

 

俺が教えている人たちの中にひとり、気になる子がいた。彼女の名前は「ラウラ・ボーデヴィッヒ」。俺と同い年だというのに周りから蔑まれるような目で見られている。なんでも、いろいろと訳ありで、昔は優秀だったのに今では『出来損ない』と呼ばれているらしい。

 

「ラウラさん、か……。あのままほっといたら大変なことになるかもな……。」

 

俺は確かに女性を殺してきたが、何も人を殺すことや他人の不幸を見ることを楽しんでいるわけではない。理不尽な暴力や虐殺などに抵抗し、それらをなくそうとしているだけなのだ。

 

そして今、目の前にはクソみたいな大人たちの勝手な都合で、理不尽な待遇を受けている彼女を俺は放っておくことはできなかった。どうやら千冬さんも同じように彼女のことを気にかけているようで、俺と千冬さんは彼女をできるだけ指導してあげた。

 

 

 

 

そして1年間弱の指導を終えてみると、彼女はまた軍の中でもトップに躍り出ていた。彼女のこの1年間の努力を考えると当然の結果だろう。

 

 

 

そして日本への帰国を翌日に控えた月曜日、俺はラウラさんに個人的に呼び出されていた。

 

 

「副教官、あなたはなぜそんなにも強い?」

「……。ラウラさん、君はそれを知ってどうするつもりなんだ?」

「私はもっと強くなりたい。ただそれだけだ。」

「ラウラさん、ひとつだけ言わせてもらう。間違っても俺みたいにはなっちゃいけない。こんな力をつけても虚しいだけだ。どうせきくなら千冬さんのような『力ではない』強さを持った人に聞くといい。力なんて、結局は身を滅ぼすだけだ。」

 

俺は何もかもを代償として力を得た。だが結局残ったものは虚無感だけだ。それに後戻りももうできない。

 

「教官にはもう聞いた。だが私にはよくわからない答えが返ってきた。副教官、あなたもまた意味のわからない答えを返してきた。私は一体どうすればいいのだ?」

「千冬さんの言葉の意味を追い求めたらいいと思う。そうすればきっと俺の強さは意味のないものだと気付くことができるだろう。」

「……あなたの言っていることは矛盾している。それではなぜあなたは意味がないとわかっていながら今の強さを手に入れたのだ?」

「……気付いた時にはもう手遅れだっただけの話さ。」

「……わかった。もう一度頑張ってみようと思う。……今までのご指導、ありがとうございました。」

 

この会話をした翌日、俺は日本に帰り、『日常』がまた始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~とある日のこと~

 

俺は一夏誘拐事件の時に手伝ってもらったお礼をしようとして、束さんに連絡をとっていた。

 

『もすもすひねもす~!は~い、みんなのアイドル、篠ノ之束だよ☆』

「……」ブツッ

 

幻聴が聞こえたから電話を切った。え?幻聴じゃないかもしれないじゃなかって?いや、あれは幻聴だろう。幻聴に違いない。幻聴じゃないことがあってたまるか!

 

そんなことを考えていると、すぐさま携帯に着信が入る。

 

「はい、もしもし。陸斗で『も~りっくんから電話してきたのにいきなり切るなんて酷いよ~!』……。」

 

幻聴じゃなかった……。今の俺の姿勢を文字で表すと「orz」。冗談抜きで自分の部屋でこんな姿になっている。

 

『もしも~し、りっくん!聞こえてる~?』

「……あ、はい。すみません、一瞬思考の方に意識が飛んでました。」

『も~束さんと電話してるんだからちゃんとしてよね!それで今日はどうしたのかな?』

「いえ、一夏が誘拐された時に手伝ってもらったからそのお礼を……。」

 

といっても何も準備してないんだけど……。

 

『え、お礼!?何をくれるのかな?りっくんから貰えるならなんでもいいんだけどね~!』

「いえ、どうせなら束さんが今1番望むものにしたいんですが……。」

『ん~……そうだねえ……。あ、そうだ!それなら箒ちゃんの話し相手になってあげてよ!』

「箒ちゃん?」

 

聞いたことないぞ?誰なんだろう?新しい興味対象か?

 

『箒ちゃんはね、束さんの妹なのだ!でもね、箒ちゃんは束さんのせいでいろんなところを転々としなきゃいけなくなっちゃったんだ……。そのせいで転校も多いし、元々不器用な性格だから全然友達とかが作れないみたいで……。』

 

そっか、そういえば妹さんがいるって言ってたな。それに俺の記憶が正しければ妹さんは束さんのことを……。

 

「わかりました。それぐらいのことならお安い御用です。ただし僕のことはあんまり教えないでくださいね?」

『うん!ありがとう!りっくんのことは束さんとちーちゃんの共通の知り合いってことだけ教えておくからあとはりっくんが好きなようにお話してね☆それじゃあ今から箒ちゃんの方に連絡とってからりっくんに箒ちゃんの連絡先教えるね!それじゃあバイバ~イ!』

 

あんなに束さんは箒さんのことを思っているのか……。なんかどっちも可哀想だな。束さんは自分のことを箒さんに受け入れてもらえないし箒さんはあんなにも愛されているのにそれに気づかないままお姉さんを恨んでる。

 

束さんはこんな俺でも気にかけてくれる優しい人なのに、こんなのはあんまりだ。

 

今回は俺が束さんを助ける番だ。絶対にふたりを仲直りさせる!

 

 

 

 

こうして俺は箒さんとも友達になった。




正直この話はちょっと書きにくかったな~というのが本音です。

駄文で申し訳ないのですが、どうぞこれからもご贔屓に読んでもらえると嬉しいです。
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