町人Aは逆ハーヒロインに狙われる 作:いちおう匿名。いちおう
悪役令嬢に救済ルートがあるなら、踏み台転生逆ハーヒロインだって救済ルートあっていいよなぁ?
ーー同じく注意点をばーー
・エイミーのアレンに対する好感度は並。勉強は教えてくれるし、貴族と違って謙虚で素直なとこらに「これはこれであり」とか考えてる。今んところは王太子がトップ。
・アレンは基本的に必要以上に目立ちたくないのは不変。しかし原作でも断罪イベント前からアナスタシアと仲良くなってたりとそんなに強い意志ではない。
アレンとの会話イベントというイレギュラーが追加されたけど、あの後は他の攻略キャラとも順調にイベントをこなしていって、きちんと逆ハールートのフラグを立ててあげたわ。そうしたら面白いように攻略キャラはあたしに魅了されて傅いてくれるようになったわ。
でも、アレンはゲーム通りのセリフじゃないせいか、そんな魅了されている感触はなかったわね。やっぱDLCの情報が分からないのが痛手だわ。まぁ主観だけど好感度はそれなりって感じね。
その後ゲーム通り嫌がらせは少しあったけど、前世で散々いじめられてきたあたしにとっては1ダメージにもならなかったわ。実害がない分むしろ優しいくらいよ。
それでも、ゲーム内の描写から予想してたのとは違って思ったより少なかったわ。意外に思ったけど、まぁでも攻略キャラとのイベントは問題なく進んでいるから特に気にしなかったわ。
でもこの前、少しびっくりしたことがあったの。放課後、アレンと勉強会を開く約束をして、ついでに嫌がらせの犯人探しのために少し教室を離れて見張っていたのよ。そしたら、案の定あたしの持ち物に近づく女子生徒が現れたわ。まぁこの女との会話イベントはゲームでも必要だったし、あたしは偶然を装って教室に入ろうとしたんだけど、驚いたことにアレンがその女を止めていたのよ。
ちょっと前に、アレンもあたしが嫌がらせを受けているのを知っているようで、「最近何かあった?」って遠回しにだけど他の攻略キャラと同じように心配した声をかけてきたの。だからあたしも同じように「大丈夫ですよぉ。慣れてますしぃ」って返したのよ。
そう言うとカール達は大なり小なり気遣う声をかけてくれて、犯人探しをしてくれたり好感度が上がったりするんだけど……アレンは「そっか」の一言だけだったのよ。それ以降、アレンは何も聞いてこなくなったわ。アレン関連のイベントなんて事前知識もないし、選択肢間違えたんじゃないかと思ったわ。まぁアレンは平民だし、貴族同士のいざこざには関与したくないのかもしれないけど。
今考えたら、その会話の後から妙に嫌がらせが減っていたのよね。悪口が聞こえる回数が減ったり、無くなったと思っていた物がいつの間にか戻ってきたりとか。もしかしたらアレンがこっそりと止めてくれたんじゃないかと思うわ。
あの時も、アレンはその女が持っていこうとした物を無言で手に取って止め、貴族令嬢であるアナスタシアの取り巻きに対しても怯えずに毅然とした態度で接してわ。
「な、なに?平民のくせに邪魔する気?」
「……友人を守るどこがいけないのでしょうか」
「あんた、もしかして恩を売って取り入ろうとしているの?あの女は辞めておいた方が」
「そういう貴方は、アナスタシア様を利用して王太子に取り入ろうとしているのではないですか?」
「「……っっ!?」」
取り巻きを途中で遮ってアレンのセリフに息を飲んだのは、取り巻きだけでなくあたしもだったわ。
正直に言うと、あたしはアレンのことを侮っていたのよ。平民だけど、賢くて魔法と剣術が少しできるから学院に特待生として入れたんだろうから、こういう貴族間のトラブルは疎いと思っていたのよ。クラスでも目立たないように過ごしていたし。でも実際はその真逆で、アレンは自分の立場をよく分かっているのよ。不干渉だったのは……たぶん、あたしのためね。
きっと平民のアレンは、貴族のあたしとの間に変な噂が立たないようにしているんだわ。恐らく、アレンは他の攻略キャラと違って影ながら助けようとしているのね。
これはアレンの攻略フラグは立っていると言っても過言じゃないわね。だってあたしの事を第一に考えているし、普段控えめなのも実は惚れていて、身分の差に嘆いているんじゃないかしら。そうに違いないわ。
それにしても、あの時のアレンの横顔は格好良かったわ。声も普段からは想像できないくらい冷たかったし、凄く頼り甲斐がある声だったわ。あれはDLCで追加されたイベントなのかもしれないわね。もしそうならいつもの照れたアレンとのギャップもあって、かなり良イベントだと思うわ。
言われた相手も、アレンの思わぬ反撃に言い返すことも出来ずに逃げていったわ。逃げる途中であたしとすれ違ったんだけど、目が合うとかなり怯えた表情をしていたわ。ふふ、今の会話を聞いたあたしが王太子に密告されるのが相当怖いんでしょうね。いい気味だったわ。
アナスタシアの取り巻きの姿が消えた後、あたしは何事もなかったように教室に入ったわ。アレンは疲れたような表情をしてため息を吐いていたのだけど、その手には未だ私の持ち物を持っていたのよ。あたしに気づくと慌てて元に戻していたけど、あたしが見逃すわけないでしょう?
「えーっとぉ、アレンさんあたしの小物入れ欲しいんですかぁ?」
「あ、いや、そーじゃなくて。えっと、ごめん」
さっきまでの泰然自若な佇まいとは打って変わって羞恥心で頬を染めて謝るアレンに、あたしはギャップ萌えをしてしまったわ。今までツンデレとかクーデレにはさほど興味なかったけどね。これは実物を見たら考えを一変するものよ。
「いいですよぉ。今度お揃いの物を差し上げますぅ」
「あー、うん……ありがとう」
ふふ、この様子だとアレンの逆ハーレム入りも確実かしらね?
それから他の攻略対象者含めてイベントはゲーム通り順調に進んで夏休み直前になったわ。夏休みもいくつか個別イベントがあるけれど、1番大きいのはやっぱ迷宮探索イベントよね。逆ハールートだとアレン以外の5人からは確実に誘われるんだけど、アレンだけはよく分からないわ。
平民だからって遠慮してしまうかもしれないし、彼はあたしが誘っておかないとないね。で、先ずは終業式を受けるために講堂に向かったわ。そしたら期末試験の成績一覧が貼られていたのよ。ゲームではヒロインが1位で悪役令嬢が2位なんだけど、やっぱり1位はアレンだったわ。あたしも想像以上にできていたのだけれど、悪役令嬢の点数も予想外に高くて僅差で負けてしまったわ。
そして終業式とホームルームも終わって、アレンが帰ってしまう前に話しかけようとしたら……先に悪役令嬢のアナスタシアがアレンに話しかけていたの。
……期末試験で興味を持ったのかしら?悪役令嬢がカール様以外に話しかけるシーンなんて見たことないし、目的が分からないわ。点数もあまり下がってなかったし、少し警戒する必要がありそうね。
アナスタシアは、あたしのとっては嫌がらせをしてくる奴らのトップで、前世のいじめっこのリーダーみたいなものよ。だから、断罪イベントで前世の分も纏めて報復してやるつもりよ。そうしないとこの世界に転生した意味がないもの。
しばらくしたら、ようやくアナスタシアがアレンから離て行ったわ。ようやくアレンと話すことができるわね。
「アレン?どうしましたかぁ?」
「いや、なんか試験で1位取ったせいか公爵令嬢様に目を付けられたらしい」
どういうことだろうか?平民のアレンを取り込もうとしているのかも……それだけは何としても阻止しないと。
「……アレンは賢いですしぃ、アナスタシア様に目をつけられるのも納得ですねぇ」
「そうか?エイミーも3位じゃないか。この調子なら次は満点狙えると思うぞ」
「ありがとうございますぅ。アレンに言われると嬉しいですぅ。次はぁ、アナスタシア様を超えられるよう頑張りますぅ」
そうよ。今度こそアイツを超えてアレンから遠ざけてやるんだから……。
「エイミー、そろそろ行かないか」
そして、本来の目的である自由研究を一緒にやらないか誘おうとしたら、背後からカール様に話しかけられたの。
「カール様ぁ、分かりましたぁ。でも、ちょっとアレンに話したいことがありましてぇ」
「自由研究か?そういえば、俺はまだ誰にも誘われていないぞ。エイミー、この平民を先に誘うわけではないだろう?」
……どういうこと?カール様が嫉妬深い性格なのは知ってるけど、そうなるのは2年生以降のはずよ。他の攻略キャラと話しても何も言わないのに……とりあえずは2年生のイベントと同じセリフで切り抜けよう。
「もちろんですぅ、カール様を最初に誘うつもりでしたぁ」
「そうか、ーーならいいんだ」
あたしがそう言ったら笑顔になるカール様。だけどアレンは、チラっと視線を向けたら顔を俯けて去っていってしまったわ。アレンは平民寮だから、夏休み中に会えるチャンスなんて限りなく0だし……。仕方ないわ、アレンの夏休みイベント参加は諦めるしかなさそうね。
でも、どうしてカール様は会話を妨害してたの?平民のアレンだから?……こっちも少し考える必要があるわね。とりあえずは夏休みイベントを満喫しましょう♪
アナスタシア?
時間軸の関係上、次回になりました。とりあえずアンケートはやす……まずに適当なキャラで人気投票します。(するんかい)
…………5票入ったら良いほうかな?
キャラ投票
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カールハインツ・バルティーユ・フォン・セ
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マルクス・フォン・バインツ
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レオナルド・フォン・ジュークス
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オスカー・フォン・ウィムレット
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クロード・ジャスティネ・ドゥ・ウェスタデ
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しるかだれやこいつら